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「トランスフォーマティブ・リサーチ」について
JSPS Washington D.C. Office 日本学術振興会ワシントン研究連絡センター October, 2007 ○「トランスフォーマティブ・リサーチ」について NSF から 2007 年 9 月 24 日付けで全米の大学長宛に重要事項として「トランスフォーマティブ・リサーチ」について の通知が出されました。(http://www.nsf.gov/publications/pub_summ.jsp?ods_key=in130) この通知により、NSF においては、「トランスフォーマティブ・リサーチ」への支援を強化するため、今後「トランスフォ ーマティブ」な構想を有する提案・調査の企画にまで広げて評価をすることになります。 2007 年 10 月 1 日付けで NSF の評価基準等が改正され、2008 年 1 月 5 日以降に申請された研究計画はこの改 正された基準により審査・評価を受けることとなります。 <重要通知第 130:「トランスフォーマティブ・リサーチ」について(2007 年 9 月 24 日付け全米大学長宛)> 第 399 回米国国家科学審議会(NSB)において、NSB は全会一致で NSF における「トランスフォーマティブ・リサー チ」の支援を強化するための提案を承認しました。さらに、NSB は「NSF Proposal & Award Policies & Procedures Guide(NSF 研究費申請と授与の方針と手順のガイド)」のパート 1 で定める「Intellectual Merit Review Criterion(評 価基準)」の改正を承認しました。「Grant Proposal Guide(研究費申請ガイド)」には、トランスフォーマティブな方向 性を有する研究計画にまで広げた評価をすることになります。新しく改正された基準の全文は、以下のとおりです。 研究活動における利点は何か? (研究計画の評価基準:Grant Proposal Guide – Chapter III の A) 当該研究分野あるいは異なる分野に対して、先進的な知識や理解を得るために計画された重要な 研究活動か? プロジェクトの実施者(個人またはチーム)の研究能力は十分か(適切ならば、これま での業績についてコメントする)? 計画された研究活動は、創造的、独創的、あるいは潜在的にトラ ンスフォーマティブな方向性を有する提案・調査となっているか? 計画された研究活動はよく練られ ていて、組織されているか? 研究資金源への十分なアクセスがあるか? 2007 年 10 月 1 日付けで、Grant Proposal Guide に改正された新評価基準を盛り込みます。また、改正された基 準を盛り込むため、NSF の評価システムに必要な修正が行われます。2008 年 1 月 5 日以降申請されたすべての研 究計画は、新しく改正された基準により評価されます。 「トランスフォーマティブ・リサーチ」とは、並外れた研究成果が予想される研究活動(試み)を表しています。並外 れた研究成果とは、例えば、広い分野の基本原理に革新をもたらすこと、まったく新しい研究分野を切り開くこと、あ るいは、これまで一般に受け入れられてきた理論や物の見方を覆すことなどです。言い換えれば、これらの試みは、 科学・工学・イノベーションにおいて、我々が挑戦する取り組み方法を変化させる力を持っているものです。「トランス フォーマティブ・リサーチ」をこれまで以上に支援することは、21 世紀の急激に変化する科学と技術集約型の世界に おいて極めて重要なことです。 「トランスフォーマティブ・リサーチ」の概念は NSF にとって新しいものではありません。例えば、最近の調査結果に おいて、大多数の回答者(提案者)から、NSF がすでに「トランスフォーマティブ・リサーチ」を積極的に受け入れてい ること、またトランスフォーマティブなアイディアを受け入れる機関として、他のファンディング機関よりも NSF を積極的 2/2 に選択していることが明らかになっています。しかしながら、更に改善する余地はあります。 「トランスフォーマティブ・リサーチ」に対する支援強化を進展させるためには最終的に何が最も重要なのか、NSF のプロセス及びプログラムを通じた試みに、NSF は積極的かつオープンな姿勢を必要とします。「トランスフォーマテ ィブ・リサーチ」の重要性を強調する手段として、NSF は以下のことを行います。 1. NSF 及び NSF のすべてのプログラムにおいて、トランスフォーマティブな方向性を有する研究への支援を 強化する。 2. 潜在的にトランスフォーマティブな方向性を有する研究を促進する方法を検討する。 3. 研究者がトランスフォーマティブな方向性を有する研究を提案する機会を創り出すことにより、コミュニティ ーを先導する。 情報交換や既存の研究費制度の改善に加えて、評価基準の改正を実施することにより多くのことが達成できます が、これらの実施だけでは上記のアプローチを達成するには不十分です。NSF は、「初期段階の概念的」プロジェク トを立ち上げるための新しいファンディング制度に係るワーキング・グループを設置し、そのフレームワークを開発し、 実施要項を提言します。このワーキング・グループの役割には、そのプロジェクトのインパクトをモニターし、追跡調 査する機能も含まれています。この過程で、小規模な試験的研究とそれに対するコミュニティーの反響から学ぶ事 が不可欠あり、NSF は最終案が完成した段階で、新しいファンディング制度をコミュニティーに広く通知することとな るでしょう。 NSF は、あなた方がそれぞれの研究機関においてリーダーシップを発揮することにより、「トランスフォーマティブ・ リサーチ」を促進し、支援し、助成することを要求します。米国は、創造的活動において最高のレベルを維持し、また グローバル経済におけるリーダーシップ的役割を維持するため、大胆な努力を必要としています。この点において、 NSF は、これまで常に卓越した成果を残してきましたが、これからも皆さんと一緒に難問に取り組むことにより、将来 さらにより良い仕事をすることができると確信しています。 NSF 理事長 アルデン・ベメント・ジュニア 注1:第 399 回 NSB 会議は 2007 年 8 月 6~8 日に開催されました。 注2:NSF 評価基準の Grant Proposal Guide の全文は以下のとおりです。 http://www.nsf.gov/publications/pub_summ.jsp?ods_key=gpg (2007 年 10 月 ワシントン研究連絡センター)