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Ⅲ.各課題の取り組み内容 - 一般社団法人日本電線工業会

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Ⅲ.各課題の取り組み内容 - 一般社団法人日本電線工業会
Ⅲ.各課題の取り組み内容
1.電線規格の国際整合化
電線規格、特に強制基準のある電気用品該当電線(600V 電線・ケーブルおよびコード)
は、TBT 協定上からも国際整合が求められる。
1995 年閣議決定に基づき JIS の IEC 整合 3 ヵ
年計画が制定され電線 JIS に関しても、1998 年にはビニル被覆電線・コードならびにゴムコー
ドなどが IEC 整合 JIS として制定されると共に、電気用品安全法技術基準に採用された。 し
かしながら当時、屋内配線用600V ケーブルの IEC 整合化が行なわれなかったため現在でも
JIS 規格製品のみが流通している状況にある。 IEC ケーブルは、導体サイズ系列が JIS と異な
る為、切替に運用上の課題が残るが、一方ではビニルの許容温度が 60℃から 70℃にアップし安
全性が増加し、またケーブル構造でも JIS および用品基準1項に比して、自由度が増すなど、
ユーザー・メーカーともに利点も多い。
産業用電線・ケーブルの仕様変更に伴う価格改定も
視野に入れて、ユーザーの理解を得つつ、整合化作業を進める必要がある。
本整合化に関する推進は次のとおり行われている。 平成 17 年 1 月に電線工業会会員に IEC
整合化アクションプランを示すと共に、アンケート調査を行い基本的な合意を得た。
その後
JIS 規格制定ならびに用品基準の改定を行う為に、日本電気協会・電気設備学会と共同で「電
線規格国際整合化特別委員会」を設置し、平成 17 年 6 月から平成 18 年 2 月まで、メーカーと
ユーザーによる IEC 整合に関する解決すべき課題の抽出を行った。
わる課題と製品の使用・運用に係わる課題がある。
課題には製品の製造に係
前者に関しては前記「国際化委員会」の
小委員会である「第20委員会(当会事務局)」の中に「アドホック委員会」を設置して、IEC
仕様600V ケーブルの JIS 制定・電気用品基準第 2 項への採用を進める。
後者については
電気設備技術基準の改正が必要であり改正作業を、電気設備学会・電気協会と協力して進める。
平成 20 年度の法改正と運用開始を目標としている。 300V
コードに関しては、翻訳 JIS は終
了しており、現 JIS を廃止しての IEC への統合が必要であるが、ユーザーとの合意形成に時間
が必要であり、600V ケーブルの導入後に、行うこととしている。
2.商慣習
昨年来、銅価格が急激な値上がりをしているが銅価格の値上がり分が電線の販売価格になか
なか反映されていないようである。販売価格そのものは、売り手であるメーカと買い手である
ユーザとの間できめるものであるが、銅価の高騰が販売価格に反映されづらく、電線メーカの
収益を圧迫している。
これは商慣習に関係するところであり、商慣習上でどのように扱われているか、過去の対
応状況についての資料等の有無をまず調査した。
過去の取り組みについての調査結果としては海外の電線概況・電線市場に関するに日本輸出
組合の調査報告書、建設・電販向け電線・ケーブルの流通の商慣行に関する(財)流通経済研究
所の報告書などはあるが、それらの中で銅価格の変動のリスクへの対応に関しての具体的な記
述は見出せなかった。その中で、銅価に関係するものとして、
「件名先物契約」が記載されてい
るがより突っ込んだ調査は実施されていなかった。
今後、今回の銅価格の急騰に対して国内の各メーカがどのような対応を進めてきたかの実態
を調査するとともに、欧米各国で銅価の値上がりに対してどのような対応がなされたのかある
いは商慣習としてどのように扱われたかの実態も調査し、その結果を基に電線メーカとして具
体的に何ができるかということを考える上でのデータの提供を行っていきたい。
3.リサイクル加速
銅やアルミニウムは貴重な資源である一方で、電線スクラップの被覆材を剥がす労働力コス
ト差から人件費の安い中国等に電線スクラップが輸出されているのが現状である。
こうした
現状をふまえて、可能な限り経済合理性のある範囲で国内でのリサイクル循環が進むよう、今
後、一層、解体・選別・分別が容易な電線・ケーブル構造、リサイクル容易な使用材料の選択
等の製品設計段階からの環境配慮、低コスト化が可能なリサイクル処理装置の開発普及を推進
する必要がある。
ている。
また、環境配慮の観点から、ドラムなどの梱包材に関しても議論がなされ
最近のプラスチック化に伴い、木ドラムのリサイクルに支障が生じてきているが、
3R ならびに LCA の観点から両者の特徴をバランスよく利用することが必要であるとの調査結
果が報告されており、その実現が求められる。
こうした状況の下で、電線工業会ならびに JECTEC は協力して、国内における電線リサイクル
事業の健全な発展のための支援活動を行っている。
工業会は「環境配慮設計の電線設計とそ
の普及」の観点から、解体ならびに分別容易なケーブル構造として①3 心ケーブルの介在テー
プレス化、②介在の無い単心、トリプレックス化および平形ケーブル化を進めると共に
縁・シースの易分別化を目的に、ケーブル表示の変更を行う。
③絶
これらの施策には電気用品技
術基準の改正を伴うため、技術検討(ユーザーの理解を含む)と法改正案の作成を進める。
JECTEC は、現在、経済的な分別装置の開発を行っており、今後も継続する。
また、ケーブ
ル梱包に関して工業会としては、ドラム規格の見直しをスタートしており、標準ドラム号数の
削減、軽量ドラムの標準化などを行うと共に、木ドラムの無塗装化を推進する。
国内で解体される廃電線は導体の銅、アルミはマテリアルリサイクルされているが、被覆の
プラスチックは一部を除きサーマルリサイクル(燃料)されるものが多い。また、廃電線のま
ま中国に輸出されるものも多く、銅、アルミを分別したのち、人海戦術でプラスチックの分別
が行われ、材質毎にマテリアルリサイクルされている。
最近の銅価、プラスチック原材料価格の上昇に伴い、リサイクル状況の変化が激しいと推
定される。リサイクル方法の検討には正確な現状把握が必要である。
これらの現状認識に基づき、電線工業会ならび JECTEC が協力して、国内における電線リサイ
クル事業の健全な発展のための支援を行う。JECTEC では電線リサイクルの実態調査、被覆材を
中心としたリサイクル技術の開発などを進める。
H18 年度の活動は下記のとおりである。
①リサイクルの実態調査(日本、中国)
特に架橋 PE のリサイクル技術とその適用可能性の調査
②架橋 PE のリサイクル技術の開発
③廃棄被覆材の分別技術
④廃電線塩ビ被覆材料の鉛除去技術の開発
H19 年度以降も実態調査を継続し、問題点と課題を把握・抽出する。その結果に基づき必
要な技術開発を中心に活動を行っていく。
4.製品設計改良による需要拡大
電気用品安全法に基づき電気用品技術基準は、家庭で使用される配線用ケーブルならびに、
電気器具用コードについて、その構造・材質ならびに性能を規定しており、製造者に対しては
第三者認証が要求されている。
このため、多様化するユーザーニーズに対応する製品の改良
には、基準改正というハードルを越えなければならない。
数年前に政府の規制緩和方針にも
とづき、技術基準の性能規定化(安全要求事項のみを規定し構造・材料の自由度を高める基準
改定)が指向されたが、世間を騒がす製品トラブルが続き、むしろ現在では技術基準の厳格な
適用の方向となっている。
電線・ケーブルに関しては、こうした現状に対応して省令 1 項ベ
ースでは、技術基準の改正を手順を追って政府に要望すること、また省令 2 項(IEC 基準の採
用)の適用拡大によって選択肢を増やし、ユーザーニーズに適応する製品の改良と需要拡大を
目指す。
省令 1 項ベースの製品改良については、EM 電線(耐燃性ポリエチレン被覆)が、曲げに対し
て硬く、固定配線では許容できるが、キャブタイヤならびに電気器具に用いるコードについて
は改良が必要であるとのユーザーニーズに立脚して、ワーキンググループを組織して材料開発
を行ってきた。
(H13∼15 年末)
その結果、
「耐燃性ポリオレフィン混和物」ならびに「耐
燃性 EP ゴム」の適用が提案された。
この検討成果をもとに技術基準の改正案を第 20 委員会
に諮って承認を得(H16 年 4 月)
、電気用品等規格・基準国際化委員会を経由して、電気用品調
査委員会(H16 年 7 月および 10 月)にて最終承認ののち、政府に対して同委員会から申請がな
された(H16 年 10 月)
。
その後、強くプッシュを重ね、担当課の製品安全課とは H17 年 5 月
∼10 月に質疑を重ねたが、平成 18 年 1 月には技術的にはクリアーになったとの説明を受けた
が、その後省内手続きに時間が掛かっており、本日に至るまで省令改正の公示は行われていな
い。 本件ついては、フローを重ねる。また、省令 2 項における IEC 基準の採用拡大に関して
は、JIS の IEC 整合化方針に沿った「電線規格の IEC 整合化アクションプラン」に基づき、手
続きをすすめる。
5.海外活動に関する統計整備
電線工業会では輸出入通関実績を基に海外からの輸入統計を継続的に集計しているが、近
年、輸入電線・ケーブルが急増している。2005年度の実績として輸出額が約2000億円
に対し、輸入は約4000億円とここ5年間でほぼ倍増している。この中には、国内の電線ケ
ーブルメーカの海外現地法人からのものも含まれていると推定されるが、どのくらいのものが
含まれているか判っていない。このため、純粋に海外メーカからの輸入品による国内市場への
影響を把握することが困難になっている。
国内の電線・ケーブルメーカの海外での活動に関する調査データとしては、経済産業省調
査統計局が実施している、
「海外事業活動基本調査結果」があり、売上高、その中の日本向け輸
出高・現地販売額・第三国向け輸出高が公表されている。しかし、そのデータは非鉄金属とし
てまとめられたものであり、電線・ケーブルとしての個別のデータではないためにこの報告か
らは電線・ケーブルの輸入実態について把握することができない。
輸入電線・ケーブルによる影響を把握するために、経済産業省の調査に準ずる調査を電線
工業会として会員向けに独自に行い、out-in データの把握をしていくことが必要である。具体
的には来年から年1回、売上高や仕向け地等に関し会員各社の現地法人の活動状況についての
調査を行うことで調査内容を調整している。集計したデータは工業会会員各社のグローバル化
展開状況の把握や EPA/FTA 交渉といった行政の活動に資料として提供し活用いただく。
6.改正省エネ対応
平成18年4月1日に施行された改正省エネ法では、全ての荷主に省エネ対策が求められ更
に、貨物輸送量が年間3,000万トンキロ以上の事業者は、
「特定荷主」として毎年度、省エ
ネ計画及び実績の報告義務が生じることとなった。
物流委員会では、
05年11月より実態調査を開始すると共に、住友社が工業会を代表
して参画した【荷主等による省エネ法対応算定・報告試行事業】を通じて
の検討を重ね、 電線業界の改正省エネ法対応ガイドライン
を作成した。
輸送データ取り
06年4月には、
当該ガイドラインやQ&A・関連情報を、当会ホームページに掲載する等して、会員各社が的
確に法対応が行なえるよう周知した。
従来の輸送統計データによる、当委員会主要12社の
05年度実績は、輸送重量115
万トン・輸送トンキロ34,288万トンキロであった。又、12社中4社が特定荷主と想定さ
れた。現在、12社において、改正省エネ法対応のトンキロ等関連データの
06年度見込み
を調査中である。
また、省エネ対策及び検討として、他の業界に先がけ
96年より、当委員会では、都市部
工事現場向けや遠隔地向けの共同輸送をテーマとして、積載率の向上による省エネ活動を実施
してきた。又、東京・大阪間のモーダルシフト(自動車→JR)等検討を重ねてきたが、残念
ながら経済性低下の障害により実施に至っていない。
今後の省エネ対策としては、モーダルシフトの成功例や長距離輸送実態分析により、更なる
①モーダルシフトや共同輸送の検討②貨物の2段積等による積載率向上等の省エネ活動を業界
共同で展開して行く。
7.環境保全対応
環境委員会は環境保全に関する自主行動計画を策定し目標達成に向け下記の活動を行って
いる。
CO2排出抑制の取り組み
メタル電線は一般に、地金を溶解、鋳造、圧延し荒引線を製造、これを所要のサイズに加工
(伸線)したうえで必要に応じて熱処理やより合わせ、絶縁被覆を施し製造される。一方、光
ファイバケーブルは、ガラスの母材を加熱して線引し(所定の外径まで引き伸ばす)、保護用の
樹脂被覆を施して光ファイバとし、これをケーブル化して製造する。これらの製造工程におい
てエネルギー消費量が多いのは熱処理工程であり、これまでに炉の断熱対策、モーターのイン
バーター化、待機電力削減等の対策を行い、97年以降省エネ対策によってCO2排出量を2
7千 t-CO2(90年の排出量の3%)削減している。今後もモーター類のインバーター化等、
前年度まで実施してきた対策を更に継続して実施する予定
産業廃棄物最終処分量削減
産業廃棄物発生量の抑制、リサイクルの推進及び有価物へのシフトを図っている。また、四
半期毎に各社のリサイクル化の実績調査を行い、進捗状況管理を継続している。 今年度から更
に産業廃棄物発生量削減という独自目標を掲げ、書類のペーパーレス化、社内発生廃棄プラス
チックの再生ペレットにして再利用化、免制震天然ゴムの工程内再使用、ケーブル製造時の余
長の短縮化、全社LANを利用した遊休設備・備品の有効活用、電線ドラムのプラスチック化
や通い方式化、無包装による出荷方法などにより発生量削減に取り組んでいる。
VOC排出抑制
平成17年度に実施したVOC排出抑制対策結果では、2000年度(基準年度)排出量1
815トンが2005年度で1149トンとなり、基準年度比37%の削減を行った。今後に
ついては、塗料についてVOC溶剤から水系溶剤への代替え検討等や平成17年度までの対策
実施内容を継続しVOC削減に努めて行く。
8.特定技術研究
一般産業用向け電線ケーブルの特定技術研究は、従来大手メーカーが担ってきた。ところが、
大手メーカーは軒並みこの産業電線事業から撤退し、分社化やアライアンス化に走った。その
結果、特定技術研究の推進主体不在となり、中小メーカーはその先導役を失い右往左往の状態
にある。
そこで、工業会と JECTEC にいる大手出身のエンジニアが中心となり、この特定技術研究を継
承することにする。同時に、中小メーカーのエンジニアの人達に大手の持つ技術、ノウハウ、
管理手法などを伝授する。
電線工業会大阪支部は、中小メーカー35社の中堅エンジニアの人達を対象に「技術研究会」
と称する勉強と情報交換の場を、過去35年間に亘り提供している。そこで、この「技術研究
会」を活用して、特定技術研究を推進することにし、早速、12名からなる「特定技術研究3
件推進ワーキンググループ」を9月22日に発足した。取り上げたテーマは下記 3 テーマであ
る。
デスクワークはこの WG メンバーで行い、実際の試作、実験、技術検討などのワークは JECTEC
で行う。3件のテーマは全て「環境」に関わるものである。
①「導体サイズアップ化と電圧の 200V 化による通電ロス削減効果の定量検証」、
②「分散型新エネルギー用機器に使われる電線ケーブルの調査研究」
、
③「バイオプラスチックの電線への適用可能性見極めの研究」
以
上
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