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ベトナム調査(PDF:1428KB)

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ベトナム調査(PDF:1428KB)
2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (1)ベトナムの基礎情報
単位
ベトナム
( 参考) 日本
備考( 年、 出所)
国土面積
万ha
3,310
3,780 2013年、FAO統計
耕地面積
万ha
1,023
454 2013年、FAO統計
総人口
万人
9,073
平均年齢
歳
30.4
人口増加率
%
1.1
-0.2 2014年、世界銀行統計
65歳以上人口比率
%
6.7
25.8 2014年、世界銀行統計
第一次産業就業者数
対総人口比率
名目GDP
一人あたり名目GDP
12,713 2014年、世界銀行統計
46.5 2015年、国連統計
万人
2,444
233 2013年、ILO統計
%
46.8
3.7 2013年、ILO統計
億USドル
1,859
46,024 2014年、IMF統計
USドル
2,051
36,222 2014年、IMF統計
実質GDP成長率
%
6.0
-0.1 2014年、IMF統計
消費者物価上昇率
%
4.1
3.7 2014年、IMF統計
失業率
%
2.3
3.7 2014年、ILO統計
億USドル
337
546 2014年、国連統計
%
18.1
1.2 2014年、国連統計
億USドル
1,505
6,838 2014年、UNCTAD統計
億USドル
240
47 2014年、UNCTAD統計
億USドル
1,493
8,223 2014年、UNCTAD統計
億USドル
115
689 2014年、UNCTAD統計
農業生産額
対GDP比率
輸出総額
うち農水産物・食品
輸入総額
うち農水産物・食品
在留邦人数
人
13,547
- 2014年10月、外務省統計
日本食レストラン数
店舗
550
- 2015年6月ジェトロ調査
日本からの農林水産物輸出額
億円
292
- 2014年、農林水産省
うち農産物
億円
90
- 2014年、農林水産省
うち水産物
億円
197
- 2014年、農林水産省
うち林産物
億円
5
- 2014年、農林水産省
© Nomura Agri Planning & Advisory Co., Ltd.
(出所)Google Map
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (2)ベトナムの所得層分布と食品小売市場
(所得層分布: 中間層が急増中)
所得層区分
2009年
世帯可処分所得 (年間)
万人
2015年
割合
万人
2020年(予)
割合
万人
割合
低所得層
5,000USドル以下
6,885
79.8%
5,202
57.4%
3,544
37.7%
ローワーミドル
5,000USドル以上 15,000USドル未満
1,553
18.0%
3,262
36.0%
4,343
46.2%
アッパーミドル
15,000USドル以上 35,000USドル未満
129
1.5%
471
5.2%
1,241
13.2%
富裕層
35,000USドル以上
60
0.7%
127
1.4%
273
2.9%
8,628
100.0%
9,062
100.0%
9,401
100.0%
計
(出所)ジェトロ・ハノイ、YM TRIBE JOINT STOCK COMPANY、野村アグリプランニング&アドバイザリー作成
(食品小売の業態別市場規模: 依然として伝統的小売店のシェアが大多数を占める)
2004年
金額
兆ドン
食品小売店販売額
億円※
2014年
構成比
金額
兆ドン
億円※
構成比
年率成長率
(10期間)
222.5
11,793
100.0%
1,257.8
66,663
100.0%
18.9%
6.2
329
2.8%
53.9
2,857
4.3%
24.1%
スーパーマーケット
5.3
281
2.4%
37.8
2,003
3.0%
21.8%
ハイパーマーケット
0.9
48
0.4%
14.5
769
1.2%
31.5%
コンビニエンスストア
0.0
0
0.0%
1.6
85
0.1%
67.6%
216.3
11,464
97.2%
1,203.9
63,807
95.7%
18.7%
現代的小売店
伝統的小売店(個店・街市等)
(出所)Euromonitorより、野村アグリプランニング&アドバイザリー作成
※0.0053円/ベトナムドン
© Nomura Agri Planning & Advisory Co., Ltd.
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (3)ベトナムにおける生鮮食料品の流通構造
 日本の生鮮食料品(花き含む)は、主に、現地の輸入事業者が調達し、現地の小売・外食事業者等(実需者)へ供給されている。現状、現地
卸売市場内で販売されている日本産生鮮食料品は皆無に近い。
 また、現地の農水産物・花きは、各産地の担い手(中核的な存在の農業者等)がまとめて集荷・調達し、主に、卸売市場を通して販売(当市場
内に自らの店舗を構えるケースが多い)している。
日本
ベトナム
ビンティエントレードサービスカンパニー、
ファンフイフォントレードカンパニー、PCSC
カンパニー、フォンマイトレードカンパニー、
ティンタンクオソンカンパニー 等
輸出事業者
イオン、シティマート、フィビマート、コープマー
ト、ハプロマート、ロッテマート、ビッグC、ジャイ
アント、ファミリーマート、ミニストップ、ビンマー
ト、ビーズマート、サトラフーズ、アクルヒショッ
プ、オハヨーマート、トーキョーショップ 等
小売事業者
輸入事業者
ビンディン卸売市場 等
仲卸事業者
卸売市場
卸売市場
仲卸事業者
マレーシア、
ベトナム等
各産地の担い手等
農業者・JA 等
漁業者・JF 等
(出所)野村アグリプランニング&アドバイザリー
農業者・漁業者
© Nomura Agri Planning & Advisory Co., Ltd.
フン・トゥイ・マニュファク
チャー・サービス・トレー
ディング、トットランフード
カンパニー 等
消費者
外食事業者
Sushi House友楽、すし処 豊、紀伊、弁慶、
江戸、ヤマダヤ、Tokyoデリ、スシバー、Sumo
BBQ、コロワイドベトナム(NIJYU-MARU、牛
角等)、ビアードパパ、味千ラーメン、ペッパー
ランチ、カプリチョーザ 等
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (4)日本産農水産物・食品のベトナムへの輸出状況
(日本の農林水産物・食品の輸出額上位10カ国・地域: ベトナムは第7位)
国・地域
香港
米国
台湾
中国
韓国
タイ
ベトナム
シンガポール
豪州
オランダ
10カ国・地域合計
全体
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年(速報値)
年率成長率
(億円) (前年比) (億円) (前年比) (億円) (前年比) (億円) (前年比) (億円) (前年比) (億円) (前年比) (5カ年平均)
1,210
22.1%
1,111
-8.1%
986
-11.3%
1,250
26.8%
1,343
7.5%
1,794
33.6%
8.2%
686
-6.1%
666
-2.9%
688
3.4%
819
18.9%
932
13.9%
1,071
14.9%
9.3%
609
4.0%
591
-3.0%
610
3.3%
735
20.6%
837
13.8%
952
13.8%
9.4%
555
19.2%
358
-35.5%
406
13.4%
508
25.0%
622
22.4%
839
35.0%
8.6%
461
0.6%
406
-12.0%
350
-13.8%
373
6.6%
409
9.6%
501
22.6%
1.7%
212
17.1%
237
12.2%
265
11.5%
344
29.9%
348
1.1%
358
3.0%
11.1%
155
29.8%
196
26.7%
215
9.6%
293
35.9%
292
-0.1%
345
18.0%
17.4%
138
11.1%
141
2.1%
145
2.7%
164
13.1%
189
15.6%
223
17.9%
10.1%
53
-2.2%
59
11.2%
65
9.6%
80
23.4%
94
17.5%
121
28.3%
17.8%
47
8.0%
49
3.3%
50
2.2%
58
16.3%
74
28.5%
105
41.4%
17.4%
4,126
9.9%
3,814
-7.5%
3,779
-0.9%
4,622
22.3%
5,140
11.2%
6,309
22.7%
8.9%
4,920
10.5%
4,511
-8.3%
4,497
-0.3%
5,505
22.4%
6,117
11.1%
7,452
21.8%
8.7%
(ベトナム向けの品目別輸出額: 大分類(左)、個別上位5品目(右): 個別品目では水産品が上位を占める)
(億円)
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
(出所)農林水産省資料より、野村アグリプランニング&アドバイザリー
1位
2位
3位
4位
5位
ホタテ貝
粉乳
さば
NA
NA
61
27
21
ホタテ貝
植木等
さば
かつお・まぐろ類
いか
68
20
17
14
13
ホタテ貝
植木等
いか
さば
豚の皮
70
30
19
18
15
植木等
いか
さば
ホタテ貝
豚の皮
43
26
17
15
15
いか
植木等
ホタテ貝
さば
豚の皮
29
28
22
15
11
植木等
牛肉
いか
鶏肉
さば
36
12
11
7
7
© Nomura Agri Planning & Advisory Co., Ltd.
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (4)日本産農水産物・食品のベトナムへの輸出状況
(輸出戦略上の重点品目※の輸出額・輸出数量(2015年))
(出所)農林水産省
© Nomura Agri Planning & Advisory Co., Ltd.
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (5)現地ヒアリング調査 ①ヒアリング先一覧
業種・分類
卸売市場
食品小売
農業生産
貿易・物流
政府・同機関
その他
会社名等
A社
日本へ
の招聘
○
備考
卸売市場Aの管理・運営企業
B社
ハノイとホーチミンでスーパーを展開する小売企業
C社
ハノイとホーチミンでスーパーを展開する小売企業
D社
ハノイとホーチミンでスーパーを展開する小売企業
E社
ハノイとホーチミンで小型の小売店舗を展開する小売企業
F社
グループで生産から流通・小売までを展開する企業
G社(ハノイ事務所)
物流会社
G社(ホーチミン事務所)
同上
H社
貿易・物流会社
I社
J社
農産物や食品の流通等に関連する政府機関
海外支援等に関連する政府機関
K社(ハノイ事務所)
貿易等に関連する政府機関
K社(ホーチミン事務所)
同上
L社
二国間の経済団体
M社
現地コンサルティング企業
© Nomura Agri Planning & Advisory Co., Ltd.
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (5)現地ヒアリング調査 ②主なヒアリング内容
A社(卸売市場Aの運営企業)
B社(食品小売企業)
 当卸売市場は、A社グループの子会社によって管理・運営されて
いる。これまで様々な場所で運営されていた小規模の市場を集
約して開設された。同市場全体の敷地はおよそ70ha(市場は
40ha)で、冷凍保管設備や排水処理設備、駐車場、配送センター、
専用ふ頭、管理施設等の施設・設備を備えている。
 当社はハノイ、ホーチミンにおいて食品小売店Bの出店等を行っ
ている。
 市場の1日の平均取引量はおよそ2,500トン、同平均取引金額は
およそ1,000億ドンである。取引される商品構成は、水産物65%、
肉類22%、青果12.5%(野菜10%、フルーツ2.5%)、その他0.5%である。
取引に関わる市場関係者は約3万人である。
 今後手掛けたいのは花卉とフルーツに関連する事業である。オラ
ンダ政府の支援、日本企業との提携、ベトナムのある省の花卉の
受入れなど進捗はあるものの、運営システムの検討をはじめとす
る今後の検討事項は幅広い。
 日本の卸売市場と共同ビジネスを検討することへの関心は高い。
 2014年に顧客(一般消費者)へ「食品の購入理由」を尋ねるアン
ケートを実施したところ、8割は「価格」で、2割が「安心・安全」で
あった。また、「新しいもの・珍しいもの」への需要も高いことが分
かった。
 2014年10月に輸入解禁された日本産りんごは予想以上に売れて
いるようだ。日本でさほど人気のない「世界一」が飛ぶように売れ
ている模様(大きく珍しい)。有望な生鮮品は、ベトナムにはなく味
の分かりやすいものだと考える。みかん、桃、いちじく、びあ、くり、
マスカットなどの果実が有望だと思われる。いちごも有望だが、航
空便ではコストが嵩んでしまう。
 今後、日本産農産品が輸入解禁されても価格差を縮めなければ
市場拡大は困難だ。例えば、ベトナムのダラット産レタスはおよそ
50円/個に対し、川上村等のレタスの日本での小売価格は300円
/個程度である。仮にベトナムに輸入できても600円/個近くになる。
 日本の卸売市場の現地におけるビジネス開発という意味では、
商品を持ってくることもよいが、卸売市場そのものをベトナム、例
えばダラットにゼロからつくっても面白い。価格形成の仕組みが
導入されれば、現地の農業者の方々の考え方も大きく変わること
になると思われる。
© Nomura Agri Planning & Advisory Co., Ltd.
15
2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (5)現地ヒアリング調査 ②主なヒアリング内容
C社(食品小売企業)
D社(食品小売企業)
 当社はハノイ、ホーチミンにおいて食品小売店Cの出店等を行っ
ている。
 当社はハノイ、ホーチミンにおいて食品小売店Dの出店等を行っ
ている。
 ベトナムの生鮮品流通はこれからである。市場流通や卸売の機
能はなく、各県や省における有力農家(地域の産物の取りまとめ
役)から調達している。ただ、返品条件付買取契約であるため、売
れ残りに対するスーパー側のリスクは基本ない。
 当社店舗の顧客(消費者)は世帯所得で月間1,700万VND(約10
万円)程度のアッパーミドル層。中国産の生鮮品にダラット産の表
示がつけられていたことがニュースとなり、中国産生鮮品への不
信感は強い。その裏返しで日本産生鮮品への期待は高い。
 地域の有力農家の方々と「計画栽培」的なことはやっているが、
モノがある時に持ってきてくれるといった程度。計画的な貯蔵もし
ていない(設備もない)ので、年間スケジュールを組むことは困難。
 ベトナムの消費者は安全安心の意識は高い。Veto-GAPは指示
されているが、お店の看板(ブランド)が何より重要だろう。日本産
りんごは今は売れているようだが、地元や他国産と比較をしても
価格が高すぎるため市場拡大は限定的かもしれない。検疫につ
いて、そもそも韓国産の梨はOKで、日本の梨がダメなのかは理
解不能だ。
 水産品については、最近、日本から輸入量が増えているもののト
レーサビリティ等の書類整備が大変(書類が整わずコールド
チェーンも弱いため商品が腐ってしまう)。冷凍魚は面白い。
 日本の卸売市場の機能は優れていると思うが、ベトナムでは全
体のコールドチェーンが整備途上段階であり、その一部だけを近
代化しても機能しないだろう。
 ただ、現状、検疫上の理由で持ち込めるのは、正規ルートではり
んごのみ。あとはハンドキャリーで個別で持ち込む程度。仮に持
ち込めるようになったとしても、ベトナムの消費者からみたブラン
ド価値と実際に払える(払ってもよいと思える)金額にはギャップ
がある。例えば、韓国産のりんごと日本産のりんごの味は価格は
かなり違うが、ベトナム人からみれば、味はそれほど変わらないと
映るのではないだろうか。りんごが台湾のように80億円程度の
(日本からの輸出)規模になるには相当な時間を擁しよう。
 市場規模は抜きにして、りんご以外でベトナムで間違いなく売れ
るのは、梨、カキ、イチゴ、ブドウだろう。これはベトナム人が日本
に旅行すると必ず買って帰るものだ。
 輸出拡大に向けた課題は、①物流コスト削減、②物量の安定期
的確保、③ベトナム人の嗜好・考え方に合わせた商品開発(水産
品は生では売れない、量を減らして単価を下げる等)、である。
© Nomura Agri Planning & Advisory Co., Ltd.
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (5)現地ヒアリング調査 ②主なヒアリング内容
F社(農業法人)
E社(食品小売企業)
 当社はハノイ、ホーチミンにおいて小型の小売店の出店等を行っ
ている。
 当社はグループで生産から小売・流通までを複合的に展開する
企業である。
 当社の主要顧客は若年層であり、現状、単価の高い日本産食品
は扱っていない。今後の検討とはなるが、大きな差別化ができて
いれば取扱いの可能性はある。例えば葉物野菜は日本産の方
がよいが、さつまいもはベトナムの方が日本より良いものができ
ている(日本産だからすべて売れるということではない)。
 当社は葉物、フルーツ、マッシュルーム、花卉、薬草等のさまざま
な農産物の生産を行っている。生産形態は露地栽培と施設園芸
である。日本の大手農業機械メーカーとも業務提携を行っている。
その他、日本の大手農業資材メーカーや同小売企業、大手総合
商社、花卉小売企業などとも連携を進めている。
 また、ベトナムの嗜好に合わせた輸出商品の選定(または生産段
階からの商品開発)も必要である。ベトナム人はマグロの赤身は
好きだがトロは苦手である。牛肉も霜降りが強すぎるのは苦手。
 当社グループでは食品小売事業(スーパー、コンビエンスストア)
を急拡大させている。食の安全安心の意識はベトナムで高まって
おり、自社生産を行うこととなった。Vet−GAPもよいが、店舗のブ
ランドが一番だ(信用が高い)と考えている。
 当社ではまだ取り扱いを考えてはいないが、(個人的には)ベトナ
ムにない商品という意味で日本の果実は有望だ。
 ベトナムでの農業・食絡みのビジネス開発では、日本からの「商
品」輸出よりも「技術」輸出の方が可能性が高い。日本式農業の
現地生産は、日本のJAがベトナムに来て展開すると面白い。当
社では、現在、現地の有望な若手農業者と商品開発等でコ・ワー
クを進めている。ほ場(産地)段階ではよいものをつくる農業者は
いるのだが、個人農家が多く、農機具や設備に投資ができないた
めに生産効率が悪い。保冷設備付の集荷場などの投資も不可欠
だ。日本の農協のようなシステムが現地に出来上がると面白い。
 当社グループでは生鮮食品に関する垂直統合をさらに深めてい
る計画がある。国内または海外からさまざまな農水産物(花卉含
む)が大量に集まる卸売市場の機能はとても関心が高い。当社グ
ループではまず物流・加工センターを早々に建設する予定。
 日本との面白い具体的な話があれば、ぜひ提案をしてほしい。
© Nomura Agri Planning & Advisory Co., Ltd.
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (5)現地ヒアリング調査 ②主なヒアリング内容
G社 ハノイ事務所 (物流企業)
G社 ホーチミン事務所 (物流企業)
 当社はハノイとホーチミンに拠点を構え、ドライ・冷凍・冷蔵の物
流を全国で展開している。グループにて輸入・通関手続・倉庫・物
流を一貫して手掛けている。また、ホーチミン・ハノイ間を縦断す
るする物流も実施しており、ダラットの野菜をハノイやホーチミン
に届けている。
 当社は当初、水産物(海老・ナマズ等)の輸出から入ったが、ベト
ナム人の所得向上に伴い、現在ではアイスクリームや牛肉、ポテ
ト、ビール等の輸入食材の取り扱いが増えている。次のステップ
として、食品小売向けの中食の取り扱いを増やしたいと考えてい
る。
 現在のメインは、小売向けの市内配送で、清涼飲料や乳酸菌飲
料、ハム等を扱っている。日本から輸入している生鮮品は日本食
レストラン向けの冷凍牛肉と冷凍の魚くらいである。日本食は価
格が高すぎて、一般のベトナム人には手が届かない。
 当社はコールドチェーンが騒がれる前に実績を積み上げてきた。
まだまだ改善の余地はあるが、ベトナムでは最高レベルのサービ
スを提供できているものと考える。ただ、メーカーから当社物流セ
ンター、顧客の倉庫までは同チェーンが確保されていても、顧客
倉庫内または店頭にて、センター長や店長等の指示で冷蔵庫の
電源を切ってしまうこともよくある(教育等のソフトも必要)。
 ハノイは不動産コストが高く、当局のライセンスもおりにくく、また、
市内はトラックの規制が厳しい。1.0∼1.25トン車までしか市内に
入れず、バイクによる運搬がメインとなっている。一度に運べず結
果的にコストも増す。日本から空輸で5日、船便で15日で市内まで
は届けられるが、問題はラストワンマイル。物流インフラ・市内配
送という観点からは、ハノイはホーチミンの10年遅れの状況だ。
現地レストラン等からの需要はとても高いが、ハノイでの本格的
な食品フォワダービジネスは今すぐには難しい。
 日本からの輸出・同関連ビジネスは、長期的な目でみることがで
きる企業等であれば、その可能性はあるのではないか。今後の
課題は、「物流インフラ」、「検疫等の事務手続きの改善」、「富裕
層へのアクセス」である。
 当社はダラット市内に集積場があり、生産者にそこまで持ってき
てもらい、当社トラックに積み替えている。品質にこだわる日系企
業や一部のベトナム業者が弊社のトラックを使ってくれている。
 日本食材の拡大に向けた課題として、ベトナムの通関手続きの
複雑さもあげられる。商品毎にハノイで輸入ライセンスを取らなけ
ればならず、サンプルもハノイに送らなければならない。通関で1
週間も待たされることもよくある(生鮮品だと当然、ロス品になって
しまう)。またその基準が検疫官によっても異なる。ぜひ、国レベ
ルでその簡素化を働きかけて頂きたい。
© Nomura Agri Planning & Advisory Co., Ltd.
18
2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (5)現地ヒアリング調査 ②主なヒアリング内容
H社 (物流企業)
I社、J社 (政府・同機関)
 当社はベトナム全土で展開しているが、工業製品の取り扱いがメ
インである。食品関係では、ベトナム国内で製造された食品の第3
国への輸出は行ってきたが、生鮮品の輸出入の取り扱いは顧客
ニーズに対応する形で始めたばかり(スポット的な対応のみ)。
 日本の農産物は、ようやくリンゴが輸入解禁になったが、今後、毎
年一品目の解禁が期待される。TPPの合意と検疫は無関係であ
り、日本サイドからしても農薬まみれの農産物がベトナムから入っ
てきても困る。また、検疫に関する担当官も限られている。
 鮮度をある程度維持しながら物流コストを下げる手段として、CA
コンテナに注目が集まっている。ただ、搬入する窒素や二酸化炭
素の調整が難しく、CAコンテナをコントロールできる技術者が少
ない。現状、CAコンテナは実験段階であり、本格的な使用はこれ
からだと考えている。
 コールドチェーンはまだ不完全。ハイフォン以外に、港の近くに大
きな冷蔵庫がない。仮にあったとしても、ベトナムのトラックの多く
は、そのような冷蔵機能が整備されていない。
 ベトナムは通関がとても 複雑 だと感じる。韓国系の企業はいろ
いろな意味で商売がうまい。日本からの食品の輸出拡大には、物
流コストの改善と同時に、通関の簡素化(透明化)が待たれる。国
レベルの話かもしれないが、(国毎に文化・商慣習が異なり)そう
簡単なものではないと認識している。
 ハノイの日本食レストラン等で扱われている日本産品はハンド
キャリー品が大多数だと推察される。通関の問題もあるかもしれ
ないが、そもそもハイエンドのマーケットがまだ確立されていない
(市場が大きくないからハンドキャリーで十分に対応できている)。
時間がかかるかもしれないが、ハイエンドマーケットづくりを行っ
ていかなければならない。それには、日本の商品の価値を地道に
訴求(教育)していくしかない。
 これらの課題をクリアすると同時に、日本側での輸出拡大に向け
てハード・ソフトの整備も求められる。生鮮品の物流はスピードが
命なので、日本の中央卸売市場内に税関を設けるアイデアは良
いと思う。その際、税関だけに留まらず、原産地証明の発行のた
めの商工会議所の出張所の設置やベトナム農業農村開発省へ
の事前届け出のための窓口等を施し、『(輸出に向けた)ワンス
トップ・サービス化』まで踏み込んでもらいたい。
 日本の「食のフードバリューチェーンの輸出」という観点では、政
府系のいろいろなプロジェクトが現地で立ち上がろうとしている。
例えば、ラムドン省では野菜と花卉が戦略作物だが、それらの農
業団地づくり(構想)や、ポストハーベストセンター(集荷場等)の
建設、ブランディング活動の強化といった事業が、日本側の協力
で進められている。また、ケアン省では契約農家の導入によるバ
リューチェーン構築に取り組んでいる。
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (5)現地ヒアリング調査 ②主なヒアリング内容
K社(政府・同機関)
K社(政府・同機関)
 ベトナムは農業輸出国であり(ベトナムの「青果」輸出額は約15億
USドル)輸入は少ない。神戸牛等の日本の高級牛肉はブランドだ
が、その下に手を伸ばせば届く価格帯の豪州産 WAGYU がある。
 「鮮魚」は台湾産等のサンマが入ってきている。ベトナムの鮮魚は、
ダナンやニャチャンで獲れた魚は発泡スチロールに氷を満たして
車に載せてハノイまで運ばれる。冷蔵トラックではコスト的に合わ
ない。「花卉」は、ベトナムでは良い花ができるので、フラワーアレ
ンジメント等のソフト技術を付加するか、ベトナムでは作れない花
を対象とするべきではないだろうか。
 日本食レストランには、①個人経営(日本の鮮魚等をハンドキャ
リーで持ち込む)、②ベトナム資本との合弁、③ベトナム資本の
チェーン展開(FC形態で多出店化が可能)の3つの形態があるが、
③は業態も様々なでかつ必要量も多いため、日本からの食材輸
出を狙える機会があるのではないだろうか。
 輸出促進に向けた課題は、①港や物流インフラにコールドチェー
ンがない、②検疫が厳しい、③税関(担当官の対応を含む)、④
需要量が少なくフルコンテナにできずコストが嵩む、などである。
今後、近代的なスーパーが増えること、また、商談会をもっと頻繁
に開催し、日本食材を取り扱うバイヤーを増やす必要がある。さ
らに、もっと現地調査を行いベトナム消費者の需要をしっかりと把
握するべきだ(「日本産だから売れる」という発想は捨てるべき)。
 ベトナムの日本食レストランはおよそ770件あり、ホーチミンが同
400件、ハノイが200件、その他地域となっている。
 ベトナム人の間で日本食は富裕層だけでなく、アッパーミドル層
にも浸透してきた。理由の一つに、日本向け観光旅行が手頃にな
り日本を知る機会が増えたことがあげられる。
 日本食材の輸出促進に向けた課題は、①検疫、②税関、③価値
を伝える地道な努力(啓蒙・教育含む)、である。検疫は時間がか
かるが今後、政府間のバーター交渉で一品目ずつ解消される。
税関は書類審査に時間がかかる。また、税関職員に関税率の解
釈等で無理な要求をされることもよくあると聞く。これらは政府間
マターのことであろうが、今できることは、政府と民間がタッグを組
んで日本食の価値・文化を伝える地道な啓蒙活動である。例えば、
ベトナム人は海魚の白身を嫌うが、これらが美味しいことや調理
の仕方等を知ってもらう必要がある。
 ラムドン省は計画中の農業団地の中に、まさに日本の卸売市場
的な機能を取り入れようとしているものと思われる。現状のベトナ
ムには、ダラット(の日系関係者)くらいしか、日本からの輸入食
材の(卸売市場的な)受け皿になる組織はないかもしれない。
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (5)現地ヒアリング調査 ②主なヒアリング内容
M社(その他、コンサル企業)
L社(その他、二国間の経済団体)
 当社はベトナムと日本の経済交流等を推進する団体である。
 ベトナムで30年以上コンサルティング業務を行っている。
 40年前の日本が今のベトナムである。ベトナムの民間にはほとん
ど利益はおちていない。
 日本人の味覚を押し付けるのではなく、ベトナム人の味覚や嗜好
に合わせた品目を選ぶもしくは開発をするべきであろう。ベトナム
人はマグロの赤身は好きだがトロは苦手である。
 「郷に入れば郷に従うこと」が重要。日本の成功モデルを持ち込
むべきではない(現地の事情や需要をしっかりと把握すること)。
 現地ビジネスをする際のパートナーは、国営系の企業がよいかも
知れない。農業関連企業では、R社という肥料会社がある。ベト
ナムでの肥料のシェアは40%で、全国に500の代理店ネットワーク
もある。同社と組めれば、このネットワークを販路として活用でき
るのではないか。エースコックのベトナムでの業界シェアは50%に
のぼるが、組んだパートナーが強力な販路を有していた。
 ベトナムの農業は個人の零細農家がほとんどだ。規模を拡大し
たり生産性を高めるための投資もできない。当然、担保もなく、農
業の保険もない。ベトナムの農家で競争力があるのはドラゴンフ
ルーツやマンゴー、ナッツ、コーヒー、お茶を栽培している農家だ
と考える。
 高品質だが、高価格の日本産品を持ち込んで、数日∼1週間程
度の日本食フェアを開催しても、スーパーは喜ぶかもしれないが、
日本食は現地に根付かない。売れるモノの特定、現地消費者へ
の訴求を含めたじっくりと腰を据えた取り組みが求められる。
 日本農業の輸出ビジネス拡大に向けては、「ミドルプライス・ミドル
クオリティ」の商品開発が今後のポイントになるものと考える。そ
れには「現地生産」の取り組みも必要で、これらの推進にももっと
注力すべきではないだろうか。
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (6)現地視察調査 ∼現地卸売市場
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (6)現地視察調査 ∼現地卸売市場
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (6)現地視察調査 ∼現地卸売市場
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (6)現地視察調査 ∼現地卸売市場
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (6)現地視察調査 ∼現地卸売市場
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2.海外調査輸出入に係る業務提携等に向けた輸出先国の事前調査
2.ベトナム調査 (6)現地視察調査 ∼現地卸売市場
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