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磁場とレーザー光で新しい化学をつくる

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磁場とレーザー光で新しい化学をつくる
磁場とレーザー光で新しい化学をつくる
物質科学部門 物質機能領域
教授
若狭雅信 (WAKASA Masanobu)
e-mail: [email protected]
URL: http://wakasa-lab.chem.saitama-u.ac.jp/
参
成 果 概 要
光分解装置の開発に成功し、これまでにない新しい化学反応場
 この装置でつくれる室温の強磁場環境は最⼤ 30 テスラ(30 万
ガウス)で、現在世界最⾼磁場を誇る。
 磁場とレーザー光がつくりだす新しい光化学反応で、反応場を
詳細に調べることができる「磁場効果プローブ」という⼿法を
開発した。
の⼤きさの銅銀製(電気抵抗を下げるため)のディス
た。これにコンデンサ(125kJ/5000V)に充電した電
荷を瞬間的に流すことで、内径 20 mm の室温空間に
5 0 0V
1 0 00 V
1 5 00 V
2 0 00 V
2 5 00 V
3 0 00 V
3 5 00 V
30
25
20
15
10
パルス磁場を発⽣できる(右図)。⾮破壊で室温磁場
空間をもつパルスマグネットとしては、世界最⾼磁場
を発⽣させることができた(物質材料研究機構との共
5
0
0
0 .5
1
1 .5
T im e / m s
2
2 .5
3
時間/ミリ秒
発生磁場の時間変化
同開発)。
明
装置について: ⾝の回りにある磁⽯の、数百から数千倍も強い磁場を発⽣できるパ
ルスマグネットと、1 億分の 1 秒(10 ナノ秒)より短い時間だけ光るレーザー光を
組み合わせた装置。30 テスラ(300000 ガウス)の強磁場下で、レーザー光により
反応が開始され、物質の反応過程を観測できる。
磁場効果プローブとは: 磁場とレーザー光を組み合わせることで、化学反応を詳細
に解析する⼿法。イオン液体(環境にやさしい溶媒として注⽬されている)の構造や
ナノ空間での反応メカニズムなどを調べるための重要な⼿法である。
反応生成物による吸収
2. 磁場による反応過程の変化をとらえることに成功
説

35
パルスマグネットは、切り込みが⼊った CD と同程度
クと絶縁フィルムを、コイル状に重ね合わせて作成し
をつくることができた。

1. 世界最⾼磁場をつくりだせるパルスマグネットの開発
磁場/テスラ
 強磁場下で光化学反応を直接観測できるナノ・ピコ秒レーザー
考
代表的な光化学反応である、ドデシル硫酸ナトリ
ウムの⽔溶液(⽯けん⽔)中でのベンゾフェノン
(芳⾹族カルボルニル化合物)の光反応において、
磁場あり
磁場なし
磁場効果が顕著にみられ、磁場を加えた場合には、
反応⽣成物が増加することが分かった。
時間/マイクロ秒
反応過程に対する磁場効果
3. 「磁場効果プローブ」でイオン液体の構造を解明
イオン液体は、不揮発性や電気伝導性、安定性などの特
異な物性を持つため、グリーンケミストリーや電気化学、
ナノ化学など多くの分野で注⽬されている液体である。
「磁場効果プローブ」を⽤いて構造を調べたところ、液
体であるにも関わらず 2 nm 程度の不均⼀な部分構造を
もち、その内部の粘性が⾮常に低いことがわかった。
パルスマグネット
ナノ・ピコ秒レーザー
「磁場効果プローブ」による解析から
わかってきたイオン液体の部分構造
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