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疥癬感染者対応と感染拡大 防止について 疥癬感染者対応と感染拡大

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疥癬感染者対応と感染拡大 防止について 疥癬感染者対応と感染拡大
疥癬感染者対応と感染拡大
防止について
社会福祉法人 青祥会
介護老人保健施設 長浜メディケアセンター
管理者・医師 山口 珠緒
疥癬とは
疥癬
大きさ 0.2~0.4mmのヒゼンダニとい
うダニの一種が、人の皮膚の角層に寄生
しておこる感染性皮膚疾患
角化型疥癬(ノルウェー疥癬)
免疫力の低下している人などに100~200万
匹のダニが寄生して発症。普通の疥癬より
症状が重く、感染力も強い
通常疥癬と角化型疥癬の違い
通常疥癬
角化型疥癬
寄生数
1000匹以下
100~200万匹
宿主免疫力
正常
低下している
感染力
弱い
強い
主な症状
角質増殖
かゆみ
丘疹・結節・
疥癬トンネル
強い
発生部位
頭部以外全身
全身
不定
感染経路
通常疥癬からの感染
直接経路:長時間肌と肌が接する
雑魚寝をする
間接経路:疥癬患者の使用した寝具な
どを取り替えずにすぐ他の
人が使用する
感染経路
角化型疥癬からの感染
・通常疥癬に比べ感染力が強いため(ダニ
の数が多い)短時間の接触や衣類・寝具
などを介した間接的な接触でも感染する
ことがある
・厚い角質からはがれ落ちたフケのような
角質には多数のダニが含まれており、感
染源となる
感
染
☆ 感染経路は皮膚、衣類、寝具等を介
する接触感染である
☆ 患者との密接な接触(ヘルパー、介
護職員、看護師、医師など)や、寝
具や衣類やコタツ、畳などを介して
家族間、友人間で感染する
ヒゼンダニの生活
・ヒゼンダニのメスは皮膚に取り付くと10~40
分で皮膚の角層内に侵入
・表皮の角層にトンネルを掘り、そこに1日2~
3個の卵を産み続ける
・卵は3~4日で孵化し、10~14日で成虫になる
・オスは皮膚表面を歩きまわり、メスを探して
交尾する
・人の体温が一番生活に適しており、人の肌か
ら離れると長く生きられない
ライフサイクル
潜伏期間
・疥癬は通常約1~2カ月の潜伏期間をおいて発
症(2回目以降の感染の場合は潜伏期が短
い)
・高齢者では数ヶ月かかることもある
・この1カ月間はヒゼンダニに対する感作が成
立し、症状が出る程度にまでヒゼンダニが増
えるのに必要な期間と、アレルギー反応が生
じるのに必要な期間
・角化型疥癬では一度にたくさんのヒゼンダニ
が感染し、増殖に必要な期間が短縮されるた
め発症が早くなる
症
状
1. きわめて強いかゆみ・
夜間の激しいかゆみ
2.指間・手のひら・四肢・腹部・腋窩など
に丘疹や疥癬トンネル
3.腹部・大腿部などに散在する紅色の小丘
疹
4.陰部・腋窩などに赤褐色の小結節
5.ノルウェー疥癬では骨の突出した部位や
摩擦をうけやすい場所にカキ殻状になっ
た厚い角質の増殖
ヒゼンダニ(メス成虫)の分布
0
手や手首
ひじ
足
陰部
臀部
脇の下
その他
0.2
0.4
0.6
0.8
ヒゼンダニの写真
ヒゼンダニの特徴
1、熱や乾燥に弱い(50℃では10分で死
滅)
2、人の皮膚を離れると長生きできない
3、人肌の温度でないと、動作が鈍くな
る(体表では1分間に2.5センチぐらい動く
が、16℃では動けない)
4、足の構造上、衣服を突き進めない
疥癬トンネル
主に手首や手のひら・指間・指の側面などにで
きる
ヒゼンダニが角層内に潜り込み、掘り進みなが
ら前進し、後方に卵や糞を残す。細い曲がりく
ねった1本の線状として残り、疥癬トンネルと
呼ばれている
疥癬トンネル
丘疹
へそを中心とした腹
部・胸部・わきの下・
大腿の内側・腕の内側
などに出ることが多い。
かゆみを生じる。ヒゼ
ンダニが残した糞や脱
皮の抜け殻に対するア
レルギー反応である
結節
外陰部やわきの下・
肘・陰部・臀部などに
みられかゆみを生じる
結節は6カ月以上続く
ことがあるが、ヒゼン
ダニが残した糞や脱皮
の抜け殻に対するアレ
ルギー反応のため、ダ
ニが見つからないのが
ほとんどである
水疱
通常疥癬
角化型疥癬
感染例
デイサービス入浴による感染
老人ホーム職員の感染
おゆみの皮膚科医院 www.scabies.htm より引用
どんな時に疥癬を疑うか?
ある時期を境に、施設内にかゆみを訴え
る利用者や職員が増えたとき
↓
疥癬を疑って利用者や職員の皮膚を診る
・かゆみや発疹部だけみるのではなく、
全身を診て見ましょう。疥癬トンネル
を探すのがコツ
・厚い角質増殖を要チェック
疥癬の診断
・顕微鏡検査
症状がある部分からピンセットやメスを使って
皮膚の一部を取り、顕微鏡でみる)
・ダーモスコピー検査(皮膚を拡大し
て見る)
これらの検査にて
・ヒゼンダニの虫体や虫卵の確認
・疥癬トンネルの確認
ができれば確定診断
確定診断は難しい
ヒゼンダニの虫体や虫卵を検出できれば診断
は確定しますが・・
・皮膚科専門医でもダニを見つけること
は難しく、検出率は10~60%
・症状や疥癬患者との接触機会などを総
合して診断
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