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2015年9月号

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2015年9月号
めぐみ
2015 年
9 月 号
学校法人
初
雁
聖公 会北関 東学 園
幼
稚
園
〒350-0057 川越市大手町 8-5
Tel.222-5385
Fax 228-5010
http://hatsukari-kg.jp
自然の恵み
補助教諭 七五三掛 桜
皆さん夏休みはいかがお過ごしでしたでしょうか。我が
家の夏休みは毎年きまって「海のおばあちゃんち&山のお
じいちゃんち」に行きます。
海のおばあちゃんこと私の母は、九十九里の近くに住ん
でいます。子ども達はおばあちゃんちへ行くとすぐに、従
兄弟達と一緒に海に入り身の心も全裸になって弾けます。
普段クールに決め込んでいる長男もこの時は我を忘れては
しゃぎます。海の波乗りはプールの安全な波とは違い本物
の波ですから、小さい波が来たり大きい波が来たり、右か
ら来たり左から来たりと予期せぬ自体がふりかかります。
もちろん笑いながらも子ども達は命がけで遊びます。そん
な海にドキドキワクワクして一日があっという間に暮れて
いきます。子ども達の弾ける笑顔をつくってくれる海は偉
大だなと感じ、感謝するばかりです。
山のおじいちゃんこと私の父は、仕事の都合で美ヶ原高原隣山の頂上に住んでいます。家の
周りには外灯もなく、頼りは月明かりだけ。満月と新月の夜の明るさの違いを感じる事ができ
る程の山奥です。目を閉じると葉と葉が触れ合って風の音が聞こえ、小鳥や虫の音は音楽のよ
うにきれいです。山に居ると自然と心地よく「無」になる事ができます。茶道の稽古で坐って
複式呼吸をしつつ、心や頭を落ち着かせ、「無」の境地に入る修練がありますが、いつもは雑
念が多く中々「無」にはなれません。家元曰く「自分自身を
すっかり捨てる覚悟から無が生まれる」と言います。確かに、
これだけの自然の中に居ると我欲に価値はなく、自然の恵み
にただ感動していられます。だからこそ山では無になれるの
だと感じました。
自然の中から得られる「動」と「静」を子ども達が感じ感
謝して成長していってくれたらいいなと思う夏です。
どんな子ども達も毎年夏休みを楽しみにしています。もち
ろん長い休みだからという事もありますが、普段決まった時
間に起きて学校に行き…といったルールから解放されて何か
にチャレンジできる楽しみもあるのでしょう。
初雁幼稚園の皆も夏休みの間に一回り大きくなっているの
だろうと思うと、2学期に子ども達に会えるのが楽しみで
す!皆のお話が早く聞きたいです。
人文科学(リベラルアーツ)の重要性
太平洋戦争敗戦 70 周年記念を迎えたこの夏は、7月 16 日にい
わゆる「安保法制」が強硬採決されたり、ずさんなオリンピックのための競技場計画が明るみ
に出たり、物理的にだけではなく猛暑の日々が続きました。その騒ぎの影に隠されたしまった
感じがするのですが、今後の日本の人材育成に重要な教育政策に関する、見過ごしにできない
大きな出来事が起こっています。そのことについて、ご一緒に考えてみたいと思います。
先に述べた、騒がしい動きの渦中、今年の6月8日に「国立大学法人等の組織及び業務全般
の見直しについて」と題された文部科学大臣の通達が国立大学に送られました。当事者にとっ
てはいろいろ問題にすべきことがらがあるでしょうが、私が非常に引っかかりますのは次の部
分です。
「特に教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院については、18 歳人口の減少や
人材需要、教育研究水準の確保、国立大学としての役割等を踏まえた組織見直し計画を策定し、組
織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする。」
(2章 3-1
組織の見直し)
私はご縁があって北米の、特にリベラル・アーツ(原意は「自由人にふさわしい教養」)だ
けの単科大学の多い地域に滞在する機会を与えられました。アメリカ人は実用主義者だという
私の偏見に気付かされたのでした。それらの大学の学生数はせいぜい 3000 人ぐらい、教授は
150 人ぐらいです。ですから授業料は高く、経済効率上は最悪ですが、それは教育にはお金が
かかるということなのです。文部科学省が引き合いに出す国際大学ランキングで常にトップを
占めるハーヴァード大学の入学者の多くは今いった人文科学の単科大学の卒業生のはずです。
それは、「社会的要請の高い分野」に進む人こそ、
「自由人にふさわしい教養」が求められるか
らに他なりません。それは、もちろん自分で考え自分で決断できることなのでしょうが、そう
できるためには、人間にはいろいろなものの見方があるということをわきまえている必要があ
ります。
昔、北米の大学で勉強させて頂いた時に、「読書と研究」という個人指導の科目を履修した
ことがありました。課題図書を与えられて臨んだ最初の時間に、読書の報告を終えると、先生
は私に向かって「君はその著者の主張に何か質問はないのですか」と質問したのでした。それ
以来私の本の読み方はすっかり変わりました。「社会的要請の高い分野」でそれなりの貢献が
できるとすれば、その最低の条件は、誰かの主張に疑問を提起できるということなのではない
かと、私は考えています。
義務教育ではペーパーテストがますます強化されるような方向に向かっているような日本の
義務教育ですが、それが子どもたちが自分で考え、判断する力を強化するとは思えません。現
場で働く先生方がそれぞれ工夫をして、子どもたちに自由人にふさわしい教養を身につける助
けをするようなことを、ご一緒に求めて行きたいと思う、この猛暑の日々です。
(チャプレン 輿石
勇)
特集
草津キャンプ 7月 22~24 日
今年のキャンプは、体調不良のため残念ながら4人の友達が欠席でした。クラスの4
分の1がいない草津キャンプはやや寂しくもありましたが、子どもたちの心にはいつも
お休みの子を思いやる気持ちがありました。また、雨が多い草津で強い雨に降られなが
らも、移動時だけは雨が弱まったりやんだりというお恵みもありました。そんな今年の
キャンプの様子を参加の教職員でレポートしました。
本当によく頑張りました!
すみれ組担任 森重 路子
お家の人と離れての2泊3日のキャンプ。
この子たちはどんな姿を見せてくれるだろう
と、すみれ組担任となった時から楽しみにし
ていました。寝食を共にする中で、素の自分
が出てきたり、友だち同士揉まれながら大き
く成長したり、キャンプで得るものは、大き
いと思ったからです。1学期より、キャンプ
ニュースとして草津の話をしたり、みんなで
草津地図を仕上げたり、キャンプファイヤー
ごっこをしたりしながら、準備をしてきまし
た。そして迎えた当日。とても残念なことに、
4名の友達が体調を崩して欠席となってしま
いました。クラスみんな、なんとなくしょぼ
んとなりましたが、気を取り直し、来られないみんなの分も楽しんで来ようと出発しました。
今回のキャンプはお天気にも悩まされました。天気予報を調べると、雷と雨という予報が出
ていて、「できるかな?」と心配したのですが、西の河原もキャンプファイヤーも降られず、
2日目の熱帯圏もそれまでの土砂降りが出発時には小雨になったりと予定していた事をみんな
楽しむ事ができました。私が楽しみにしていた、「みんなのぶつかり合い」もあちこちで見ら
れました。なるべく、子ども同士でどんな解決になっていくのか見守るようにしていました。
すると、今までよく泣いていた子が、一生懸命言葉を尽くして説得したり、周りの子が解決に
向けて奔走していたり、頼もしい姿がみられました。一方で、自分の思い通りならず、ヘソを
曲げて、泣いてしまう子もいます。自分の気持ちに折り合いをつけていくのも大事。たっぷり
泣いて、そこから立ち直っていく様子もありました。
今回、初の試みで、肝だめしもやりました。マーガ
レット館は古い建物で、新館と旧館が長い廊下で繋が
っています。この廊下は薄暗く、途中2つの扉があり
ます。一つはコンクリートの打ちっ放しの小部屋の扉
でもう一つは開かずの扉。そんな怖さ溢れる廊下を渡
って新館から出発し、旧館の部屋からご褒美の折り紙
を持って帰るというもの。一人では足がすくみそうで
すが、生活班のみんなで力を合わせ、頼るのは友達と
懐中電灯!戻った時のみんなの誇らしげな顔、嬉しそ
うな顔が印象的でした。
キャンプ中、みんな「お家の人に会いたいな」とか、
「帰りたい」という子がいなかったのも驚きでした。
その代わりか、2日目になると、なんとなくみんなスキンシップを求め、私にペタペタくっつ
いてきました。おんぶしたり、手を繋いだり…そんな姿も意外な一面でした。そして幼稚園に
到着してお家の人の顔を見た途端泣き出す子や、お家の人に抱きつく子。キャンプ中、言葉に
は出さなくても、お家の人への思いを心にしまい、頑張っていたんだなと、私までジーンとし
てしまいました。本当によく頑張ったね。
草津ではたくさんお世話になった松浦司祭ご家族。そして準備から支え応援していてくれた
お家の方のお陰で無事キャンプを終える事ができました。感謝です。2学期からは、全員揃っ
てまたみんなで大きく成長していきたいと思っています。
キャンプ初日…いきいきとたくましい姿!
元気に「行ってきます」と出発し
たバスの中、ゲームをしたり、外の
景色を見ておしゃべりしたり楽しそ
うな子どもたち。あまり「寂しい」
などの不安そうなことは言いません。
ちょっと驚きました。きっとそんな
思いは心の中にしまってウキウキす
る気持ちの方がいっぱい顔を出して
いたのでしょう。
1日目、なんといっても印象に残
っているのは「西の河原」です。西
の河原が見えてくると「うわ~、す
ごい」「ここに入って遊べるんだね」と一気に足取りが軽くなりました。パンツとシャツに着
替えると意気揚々と川に入っていった男の子たち。水を得た魚とはまさにこの状況!ジャブジ
ャブ入って流れを楽しんでいます。川の中に寝転ぶのも、ヒョイヒョイと進むのもへっちゃら。
女の子のサンダルが脱げるとサッと取ってあげ、
「怖い」「手を持っていて」と恐る恐る慎重に
歩を進める女の子たちに「ここがゴールだよ」「大丈夫だよ」と声をかけていました。なんだ
かいつも以上に活き活きとして頼もしい男の子たち。
一方、女の子たちもたくましい。ゲームとなればバンバン手を挙げて答え、荷物や準備も自
分たちでやろうとします。仲がいい子同士でカレーの野菜を切るときも寝る時も誰とやるか、
誰の隣かで揉め、思いを出し合い、
涙を流しながら解決していきます。
幼稚園にいる時よりも、ずっと一緒
にいられるからこそできる大事な経
験です。この日の夜、みんなが眠っ
たあと今日以上にもっと活き活きと、
さらには「色々な友だちと」けんか
をしたり、楽しんだりできるよう先
生たちはキャンプ中の子どもたちの
食事席を決めて「仲を深めよう作
戦」を立てたのでした。
(中塚
梢)
雨にどきどきの2日目は…
外から聞こえてくる大きな雨の音で目を覚ま
した2日目の朝。今日も出かける予定が盛りだ
くさん、雨にどうなるかな…と心配だったので
すが、ちょうど外へ出る時間になると雨が弱く
なり、なんとか出かけられる程に。神様のお恵
に感謝しながら、カッパを着て熱帯圏へ出発し
ました。ドームの中は熱帯圏だけあり、蒸し暑
く、所々で水漏れしていて雨が落ちてくるとこ
ろも。ですが、子どもたちはとにかく元気いっ
ぱい!ふいに落ちてくる雨に驚きながらも、カメラを片手に楽しんでいました。間近で見るワ
ニやヘビの迫力に驚き、ここぞとばかりにシャッターを押します。所々動物と触れ合えるとこ
ろがあり、サルの手に触れてみたり、ハムスターを触ってみたり。最後には角質を食べるドク
ターフィッシュの水槽に手をいれ、寄ってくる魚にびっくり!「くすぐったいね」「〇〇ちゃん
は大人気だ!」「私は全然来ないよ」「動かしちゃいけないんだよ」と大盛り上がりでした。
午後は、湯もみを見学しに熱乃湯へ。座席数が限られ
ており、リニューアルして人気があることから少し早く
出発。思いのほか早く着いてしまい、入場できる 15 分
前から外で待ちました。やっと中へ入れたと思いきや、
開演までは 30 分あります。疲れの出る2日目の午後、
ですが子どもたちは「まだー?」「早く見たい」と言いなが
らも本当によく待っていました。友達とお話をしたり、
クイズをしたり。大好きな友達と一緒だと、時間の流れ
も早く感じるのですね。いよいよ湯もみが始まると、独
特の草津節の音楽と湯もみの動きにどの子も見入っていました。湯もみ体験の時間になると、
少し遠慮がちな子が多かったのですが「やりたい」と率先して出ていく子も!大きな重い板を持
ちながら、貴重な経験をすることができました。そして、いよいよ自分たちのお風呂へと出発
したのでした。
(吉田 梨紗)
お風呂タイム
7月 23 日の、夕方というにはまだ
早い時刻。空模様を気にしつつ大滝の
湯へ向かった。かつては湯畑の真下に
あり、今は、リー先生がその働きを開
始された、湯の沢に開かれた大きな浴
場である。宿舎であるマーガレット館
の真向いにある聖バルナバ教会の牧師、
松浦先生と合流の後予定通り、男子7
名は私と松浦先生と一緒に入浴するこ
ととなった。
何せ大きな浴場なので、脱衣場では
全員が密着できるように浴場にも出入
り口にも近い一列を先ず確保した。そ
れぞれが脱衣を始めると同時に、一人の子がパンツを脱ぎながら「トイレに行きたい。アッ、
出ちゃった」というハプニングがあったが、幸いにも、「出ちゃった」という痕跡は床に見つ
からず、大浴場に入る前にトイレタイムを取ることになった。
浴槽に入る前には、体に湯をかける場所があり、子どもたちも当然のように体に湯をかけて
から浴槽に入った。湯かげんは子どもでも「い~い湯だな」と感じるようになっている。体を
洗うと、次は露天風呂。やや広めの浴槽、その溢れる湯を受ける小さな浴槽、それに谷川のせ
せらぎのようにしつらえられた沢があって、子どもたちは湯を浴びるよりは、そのささやかな
渓流を上り降りするのに夢中であった。こうして、体の汗を流し渓流遊びで心も洗われ、快適
な気分でマーガレット館に帰ったのだった。
(輿石
勇)
3日目…おみやげ、収果会、掃除
「私はね~、○○と△△と□□と自分の分」「僕はおじ
いちゃんとおばあちゃんの分もだから〇個!」「わぁいっ
ぱいだね~」なんて会話を楽しみながら松村饅頭屋さんへ
みんなで歩いて向かいました。その途中、家族へ書いたハ
ガキを赤いポストに投函。「届きますように」とお願いを
している子もいました。
饅頭屋さんに着くと、子どもたちは「○個ください」と
それぞれ購入するお饅頭の数を伝え、袋からお金を出して
順番にお饅頭を買いました。少し緊張した面持ちの子もい
ましたが、無事にお土産を買うことができて満足そうな表
情をどの子も浮かべていました。ちょうどお饅頭を製造し
ている時で、窓越しにその光景を見ることができました。
機械を使ってラッピングされるお饅頭。リズミカルに包装
されていくとともに、ぷ~んとお饅頭のいい香りも漂っていて、子どもたちは釘づけで見てい
ました。
マーガレット館に戻ってきてからは収果会をしました。
「西の河原(の水)が冷たくて気持ちよかった」「アブラハ
ム体操したのが楽しかった」「マーガレット館でみんなで鬼
ごっこしたのが楽しかった」などなど、色々なキャンプでの
思いを一人ひとりが発表していました。
3日間過ごしたマーガレット館の掃除時間には、「あ、こ
こも汚れてる」「よし、今度はあっちの階段に行ってみよ
う!」と楽しそうな声が。「見てみて~こんなに雑巾が真っ
黒になっちゃったよ!」とにっこり笑顔で知らせる子もたく
さんいました。
(岡部 珠美)
食事から読み取る今年のすみれ組は…
キャンプの食事メニューは、焼きそばから始まり、自分たちで作るカレーライス、サンドイ
ッチや子どもたちに人気のホットドッグ、きんぴらごぼうやひじきの煮物といった和食まで。
キャンプで初めて食べるという子もたまにいますが、大体はいつものお弁当に出てくるような
内容にしています。「はじめて」の体験ばかりのキャンプですから、食事くらいはほっとでき
る時間になればと考えています。
キャンプ中の食事の進み具合で、子どもたちの普段の
家庭での様子がなんとなく分かります。台所の横を通る
たびに「今日のご飯なに?」と何人も声をかけてくる学
年の場合、おかわりが続きあっという間になくなります。
その雰囲気にのまれるのか、普段はゆっくり食べる子に
も変化が起こり、食べるペースが全体的に早まります。
同時に、よく食べる学年は友だち同士のトラブルが続出
します。しっかりとパワーを蓄え、自己主張を様々な形
でします。傾向として、普段から家庭以外の家に泊まり
に行った経験をしている子が多いです。
さて、今年のすみれ組は…「しっかりさんが多い!」の一言です。おかわりをする子は少な
いのですが、残飯もほぼゼロでした。自分のペースを乱さず、たとえ時間がかかっても最後ま
で食べきる子が多かったです。それはす
べての行動に通じていて、それぞれにキ
ャンプの使命を担っているかのごとく、
昼も夜も例年になく静かな落ち着いたキ
ャンプでした。職員としては、その緊張
を解きたくてあちこちに作戦を入れてみ
ましたがなかなか手強い子が多く、2泊
3日は乗り越えられてしまいました。台
所まで響き渡る泣き声で自己主張してい
た子が、唯一台所チェックに来る子でし
たね。その姿は逆に私たちをほっとさせ
てくれました。
(山本由香里)
マーガレット館、松浦司祭ご家族の皆様、お世話になりました!
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