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A Phonological Study of the Middle English Romance ARTHOUR

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A Phonological Study of the Middle English Romance ARTHOUR
A Phonological Study of the Middle English Romance
ARTHOUR AND MERLIN
(MS AUCHINLECK)
BY
ASTRI LIEDHOLM
(UPPSALA 1941)
Contents
Preface
Bibliography
Abbreviations
Introduction
Chapter I.
Stressed vowels and diphthongs in words of Germanic origin
OE a
OE ea (Back-mutation)
OE a / o before nasal cons.
OE eo (io)
OE æ
Diphthongization after initial cons.
OE e
Palatal vowels
OE i
Guttural vowels
OE o
OE ēa
OE u
i-mutation of ēa
OE y / ÿ
OE ēo
OE ā
i-mutation of ēo
1
Vowel + palatal spirant
OE å
Vowel + voiceless guttural spirant
OE å2
OE ē
Vowel + voiced guttural spirant
OE ī
Vowel + w
OE ō
Scandinavian diphthongs
OE ū
OE ea (Fracture)
i-mutation of ea
OE eo
i-mutation of eo
Chapter II.
OF a
OF e
OF i
OF o
OF u
OF ü
OF ie
Vowels and diphthongs (triphthongs) in French loan-words
OF ai
OF ei
OF ôi and oi
OF üi
OF u-diphthongs
OF uei
OF ieu
1
.........
44
OF
ue
Chapter III.
w
r
l
m
n

p, b
f, v
Chapter IV.
Conclusion
Appendix
Index
OF
Consonants
eau
..............................................
t, d
þ, ð
s, z
c,
sc
g, î
h
Notes on inflections
.......................................
59
64
________________
Introduction
写
本
中期英語のロマンス、
『アーサーとマーリン』はただ1つの写本、すなわちスコットランド国立
図書館(以前の Advocates’ Library)の Auchinleck MS に現存する。この有名な写本の所有者は
18 世紀の人で、伝記作家の James Boswell の父、Alexander Boswell of Auchinleck であった。
彼は 1744 年にそれを Faculty of Advocates に寄贈した。専門家によれば、この写本は 14 世紀の
第2四半世紀、恐らく 1330 年頃に書かれたとされる。Of Arthour and of Merlin(見だしは赤)
は folio 201b から始まり、f. 256d で終わる(9,938 行)。元はその写本の 31 番目の作品だったが、
今は最初の5つが失われたために、26 番目である。そしてその長さにも拘わらず、未完である。
Kölbing は、作者が利用したフランス語の散文版が未完だったか、あるいは、この方がありそう
だが、写字生が書写した英語の写本の後半が失われていたためと考えている。見出しの下の彩飾
が切り取られていて、そのため ll. 34─44 がほとんど失われた。folio 254 と 255 の間でも1葉な
くなっている。この作品は全部一人の手で、Kölbing が scribe αと呼んだ写字生によって書かれ
ており、彼は Pope Gregorius、King of Tars、Amis and Amiloun、Sir Degarre、Sir Tristrem、
Roland and Vernagu、Horn Childe、Sir Orfeo、Continuation of Guy of Warwick その他を含め
て、Auchinleck 写本の大半を書き写した人である。
校訂本
Arthour and Merlin はまず W. Turnbull によって校訂された(Arthour and Merlin: a
Metri-cal Romance)。初めて Auch 写本から校訂され、1838 年に Abbotsford Club のために印刷
されたものである。後に、そのテクストは Eugen Kölbing によって彼の Altenglishe Bibliothek
の第4巻として 1890 年に Leipzig で出版された(私が利用したのもこの校訂本で、以後、AM と
略記する)。この巻は(脚韻の形態の簡単な音韻論的概観を含む)189 頁に及ぶ批判的な序論、四
つの写本にあるこの詩の後の version、Lovelich’s Merlin の最初の 1638 行、注釈、固有名詞の索
引、グロッサリーをも持っている。1838 年版は不完全な本と言わねばならないが(Kölbing によ
る長い訂正のリストを見よ)、Kölbing の校訂本の価値は、見事な徹底ぶりと学究的慎重さの故に、
2
時が経過しても減少していない。
作品の年代・形式・内容
この詩は 13 世紀の後半に作られたらしい。4つの強勢をもつ rhymed couplets で書かれてい
る。アソナンスや頭韻句もかなり多い。物語はイングランドの Constans 王の死で始まり、彼の
長男で後継者の Constaunt の殺害、王位を簒奪した執事 Fortiger の運命、マーリンの誕生と子供
時代、彼と Fortiger の対決、Fortiger の敗北と Uter の即位、アーサーの誕生と成長、Uter の死、
アーサーの戴冠と、描写が続き、ここまでが前半(3132 行)。後半はアーサーの敵への勝利、
Galathin と Wawain(Gawain)、そして Wawain の三人の兄弟たちの異教徒との戦い、アーサー
と異教徒の王 Rion との戦いでのマーリンの助力を語り、アーサーとグィネヴィア(Guenever)
との婚約、Rion の最終的な敗北で終わる。
この詩全体の文学的な価値はあまり大きくないだろう。独自性に欠けているし、特に後半は力
強くはあるものの、退屈な戦いの描写であふれている。しかし、好ましい文章も多い。叙情的な
もの --- これらはフランス語の原典にはなかっただろう --- や、様々な出来事の描写がそうであ
る。物語の前半は文学的な価値がなくはない。エピソードには劇的な効果があり、素朴なユーモ
アと混ざり合ったリアリズムもある。
この詩の作者については何も分かっていない。Kölbing は、King Alisauder と Richard Coer de
Lion の作者と同じで、方言の不一致は後者が少し後に書かれたためだと考えている。彼はまた、
少しためらいがちに、Seven Sages of Rome も同じペンで書かれたと信じたがっている。その仮
説の根拠は主に、文体の類似(叙情的な文章、戦いの描写)と材料、それに同じ方言で書かれて
いること、同じ句や決まり文句を好んで使っていることにある。今までのところ、彼の仮説を覆
すものは出ていない。少なくとも AM と KA に関しては間違いないだろう。一方、Heuser は、
これらの詩は恐らくロンドンを中心とする同じ地域に住んでいた、血縁関係にある同時代の詩人
たちの集団によって作られたと考えているが、これも正しいかもしれない。他の作品、特に KA
の詳しい音韻論的分析がこの問題を解決してくれるだろう。
ソース
この ME のロマンスはフランス語の典拠の翻案である。Kölbing によれば、AM の前半(3132
行まで)は、マーリン伝説のより古い版、すなわち Robert de Boron より前に書かれたものと、
その後の版、Robert de Boron のマーリンや、これに基づくフランス語の散文ロマンスの翻案や
翻訳との中間段階をなす、失われた古いフランス語版に基づいている。後半は(前半より長く、
ll. 3133 -- 9938)、Robert de Boron の詩のフランス語の散文版に基づいている。この散文ロマン
スはまた ME の散文版マーリンや Lovelich のマーリンの基になっている。一方、Bülbring は AM
の前半も Robert de Boron のマーリンと極めて近い関係にあり、また後半と同様、そのフランス
語散文版などに基づいていると考えている。ME の『アーサーとマーリン』の後の版について言
えば、Kölbing は、Auch 写本よりも古い版の、もっと完全な写本に基づいており、また別の典拠
も使われていると考えている。
本研究のプラン
ME のロマンス、『アーサーとマーリン』の音韻論に関するこのモノグラフでは、OE の音韻体
系に基づいて音を分類したが、この比較的早い時期のテキストにはそれが適当と思われる。私は
詩行の中の語とライムの語を区別し、別々のグループとして扱った。後者は恐らく詩人の言語を
反映し、前者は写字生のそれを反映するだろう。先ず、どのセクションでも規則的な例を挙げる
が、しばしばとても多数の例があるので、すべてを載せることはしない。次に、音価のあいまい
な例や疑わしい例をもっと詳しく論じるだろう。外国の固有名詞は発音に関して信頼できないの
で、例外的にしか触れない。第1章は OE の単語を、第2章はフランス語起源の借入語を扱う。
第3章は子音体系を論じ、第4章では屈折に関する短い概観を示す。最後に、テクストの方言上
の位置付けに触れ、それが従来の説と、とりわけ Heuser の説とどのくらい一致するか論じ、AM
は北部出身の写字生によって書き写されたロンドンのテクストであると提案する。
3
________________
Chapter I
ゲルマン語起源の単語の強勢をもつ母音・二重母音
OE (and ON)
à
1. 閉音節ではMEで unchanged
arwe (n.)
cartes (n.), carters (n.), carting(e) (ger)(ON kartr ?, cf. OE cræt, OF carre, carete)
cartes : certes (OF) は恐らく/a/ライムで、er > ar を例証する。それとも certes < OE
*cært をもつ /e/ライムか
(y)cast~cest / kest (pt., pp.)(ON kasta)
< a > 7:< e > 15、ライムでは a-形のみ。後者
は lesten の型の類推か、強変化第 7 類に合流したため。e-形は過去時制のみ。 fast, tobrast
(OE æ)、blast(OE å2 か ON á、短音化している)、hast (OF a)、ydast (pp.) と押韻するが、
どの脚韻語も紛れもない /a/ を持っているわけではない
cat (n.)(OE catt(e); cf. ONF cat)
at (pt.), sat (pt.; OE æ), at (prep.)と押韻する
? daste (pt.), ydast (pp.)(ME dassen, daschen; ? echoic) ‘strike’
AM の例はすべて< a >
であるが、/a/ とは断言できない(: brest)。cast (pp.)や alblast (n.)とのライムでも脚韻語が
e-形を持っている
habben~habbaþ (OE habban)
cf. haue
happen (inf.)(ON n. happ)
last (OE latost の語中音消失)
: last (pt.)、hast
pac (MFlem)
: spac (pt. sg.)
sadles (n. pl.)
語中音消失
spard (pt.)(OE sparian)
語中音消失
2.開音節では長音化した
< a >で表わされる(例外が1つ)
音価は OF a とのライムから分かる。
awaked (pt., LOE āwacian)
ape (n.)
ライムは : slape (OE å2)、
baþen (inf.)(OE baþian)
OE には beþian もあった。: haþen (OE å1)
bitake (LOE tacan from ON taka)
OE の第6類に従った再形成。: blake (OE æ)
care (n.)(OA caru)
e-形はない。: ware~were (OE å2)、Šare と押韻する(RCL)
crake (OE cracian)
: take
(y)fare (inf., pp.)(OE -faran)
e-形はない。: ware~were (OE å2)、: Šare ('years' 二重母音
化した WS ēa < @ )、: Šare ('ready' OE 割れの ea < æ)、: mare (OE ā)
fare (n.)(OE faru, fær, infl. far-) ‘commotion’
: ware : (y)fare
glade (OE gladian)
: made、: ferrade (OE å2)
haue~han (inf.), (habben~habbaþ)~haue(n)~han (pr. pl.), hast, haþ (OE habban)
habb-の2つの形態以外は類推形、han は縮約形。 haue : bilaue、: aue (OE å2)
knape (n.)
: rape
knaue (OE cnafa)
late
: gate : biŠate (OE ea < æ)
make (inf.), made(n) (pt.), (y)made (pp.)(OE macian, macode)
made(n) は縮約形
maþen (OE maþa)
: haþen~heþen (OE å1)
misfare (inf.)
: were (= ware) (OE å2)
naked (OE nacod)
: awaked
nauel / nouel (OE nafela)
o-形は v の前での円唇化 a > o で、EMid の特徴
4
paþes (pl.)(OE pæþ, pl. paþas)
: scaþes (OE ea < æ)
rake (inf.)(OE racian)
rape (n., inf.)(ON hrapa ‘hasten’)
: (a)sc(h)ape (ONF) は明白な /a: /ライム、: yslape
raþe (ad.)(OE hraþe, hræþe)
: quaþe (OE å2)、: scaþe
sake (OE sacu)
scaþen (n.)(ON skaði, OE sc(e)aþa)
scaþe (pp.)(ON scaða, OE sc(e)aþian)
smale (adj.)(OE infl. smal-)
: dale (OE ā)
tale (OE talu)
: hale (OE å1)、: bale (OE 割れの ea)
(of)(a)take(n) (ON taka)
ware (OE warian, OF warer = COF garer)
: bare (OE æ)
OE à / ò
鼻音の前の
1. 閉音節で(長音化を起こす子音群の前は除く)
<a> で表わされる
a(n)~o(n) ‘a(n)’
前者が多い。数詞・代名詞の on (OE ān)と混同されたようだ。
an~on ‘on’
OE の二重語から。ライムに来ても強勢はない。 men : on では、鼻音の前
に< o >をもつ確かな形態が AM にないので、man : an に直すべきだろう
(bi)gan (pt.)(OE beginnan, pt. sg. -gann / -gon)
: cam はアソナンス(母韻)、gan : none
(n.)では gon だったかも。gon はライムの位置で長くなったかもしれないが、/(:)/ : /o: /の違い
は残る
cf. on (ad.) : don (inf.)
can (pr.)
: woman : cam
fram (prep.)
: man は母韻。 fram : vplondismen (pl.)では -men を -man に替えるべき
だろう。 frem : men では men を man に替え、frem は fram のエラーと見るか(すぐ前に
Vrien : men があるので)、あるいは孤立した弱形 frem(OED にはないが)と見るか
(wi)man (sg.), -man~men (pl.)
pl.の man は鼻音の前で i-ウムラウトを受けた a を示す。
AM には mon はないので、man が sg.なら /a/、: bigan : can。 woman : men では man が
正しい。逆に、man (pl.) : ten では men に替えるべき。恐らく euerichman : ten でも。ただ、
前者は sg.形だろうから、時に euery の後に pl.の動詞や名詞が来る例があるものの(OED の
初例は 1558 年)、これは不正確なライムと見る方が無難。 man / men : Vterpendragon では
外国の固有名詞の故に正確な音価が分からない。 man : (bot of ) an
nam (pt.)(OE niman, nam)
: (bi)cam
:
anne、:
nanne
panne (n.)
rammed (pt.) ‘beat down (earth)’
ran (pt.)
: cam は母韻。 ran : barn (OE 割れの ea) では ran ではなく arn
sank(e) (pt.) (OE sincan)
span (n.)
þank(e)~þonkes (n.)
þan(ne)~þenne (ad.)
OE の二重語から。AM では þan、þennes ‘thence’ が多い。
: wiman、: gan : cam、þanne : manne、þenne : kenne (n.)(OE y)
þonked, þonkeinge
13 例。 à > ā と長音化し、ケントとその周辺で /a: / > /: /
opon (ad.)(OE uppon, uppan)
短い//
wanhope (n.)
whanne~whenne
OE の二重語から。AM では when、whennes が多い(弱い強勢のた
めだろう)
2. 長音化を起こす子音群(mb, nd, ng)の前で
< o >で表わされる
14 c.までは長母音だった(だから /a:/ > /:/)、北部ではもっと早くに短くなった。ライムは
5
2つを除いて同じ起源の音と
among(es)~amang (OE on gemang)
後者は無強勢形、among : song (n.)
answere (n.)(OE andswaru)
常に< a >、 lere (n.)と押韻する
biŠonde (ad.)
狭い/o(:)/だが、広い/(:)/をもつ fond とも押韻する(不純なライム)
brond(es) (n. pl.)
: lond
candel
屈折形や3音節語では à のまま、複合語 candelmesse でも
flang (pt.)(ME flingen; ON flengja)
北部形?
cf. sprong, slong, þrong (pt.)
(fele)fold (A -fald)
複合語では長音化せず
yfold (pp.)(A faldan)
: mold
fond~fand (pt.)(OE findan, fand)
fand ( : stand) は規則的な短母音をもつ同じクラスの
過去形(例 swam)への類推か。fond : biŠonde (ad.) は /: / : /o: /
(y)fond(en) (inf., pr.)(OE fandian)
: lond : ond (n.) : hond
(a)fong ( inf.)
OE fön の pp. fangen からの新しい形成
(a)(vnder)fong (pp.)
gong (pres.)
hond~hand
ö を持っている、hondling も。hand は北部形。 : Inglond : Norþlond、
hond : strong / afong(inf.) は母韻。hand : Anguisaunt では後者は /:/かもしれない
(Flasdieck によれば< aun > = ón)。
hong~hang~hing (inf.), heng~hing, hang, hong (pt.)
OE hön と弱 hangian と ON
hengjan が混合。 pr. heng~hing と pt. hang は ON の影響を受けた北部形。pt. hong は
pp.からの類推。AM では自・他の区別はない
lond
land は北部形、AM には lond の方が圧倒的に多い。 (Humber)lond : gong (pr.) /
strong は母韻。land : hand、Scotlant : Angvisant、Scotland : Anguisaunt(多分 /:/)、
londes : Soriandes では landes とするより、Soriondes に変える方が合理的
Londen~Lunden~Lounde
o-形は行内でのみ、長音化された ou-形はライムでのみ現わ
れ、音価は /u: / (: founde, grounde, etc.)。vnderstonde (pr.) : Lounde は不正確なライム。
特にロマンスで使われる南部の異形。u-形は屈折形 Lundenne の /u/をもち、行内に1例
longere (comp.)
lere (n.)とのライムは /: / : /: /
(a)long~alenge (adj., ad.)(OE andlang)
ライムでは北部形の lang(e)も(: strang)。e-形
は OE lengþe の影響か(cf. alength)、alenge : renge (OF)
longeþ (pr.), longed (pt.) ‘belong, concern’
ond (n.)
schond (n.)
schandliche, schandfulliche では短い à のまま。 : vnderstonde
slong (pt.) (OE slingan ‘worm, twist’, ON slyngva)
sond (n.)
biŠonde (ad.)とのライムは /: / : /o: /
(auen)song (n.)
: long
sprong (pt.)
: (a)long
stond(en)~stand (inf.)(OE standan)
後者は fand とのライムで
strengest / stron- / stran後の2つは原級からの新しい形成
strong
: long、 ライムでは北部形の strang も
þrang (n.)
北部形? : amang(無強勢)
þrong (pt.)
: long
vnderstonde (pr.)
Lounde とのライムは /: / : /u:/
wombe (n.)
wond (pt.) (OE windan)
: hond
wonded (pp.) (OE wandian)
wrong (n.)
: long
wrongful (adj.)
6
3. 開音節で
< a >で表わされる。WMid の方言群をのぞいて /a: /
crane (infl.) (OE cran)
: wane
game(n) (n.)
: dame (OF)
grame (n.)
mani (OE manig, mænig)
: ani (OE å1)
(sur)name(s)
: game : grame、: dame (OF) : fame (OF)
schame (n., inf.)
: dame (OF)
wane (n.)
OE ã
SE, Merc では / /に上げられた
1. 閉音節で
< a >で表わされる(時折 < e >でも)
after (prep., ad.)(OE æfter)
an ‘one’ (OE ãnne)
二重子音の前で短音化していた、同様に nan < nãnne
at(e) (prep., ad.)(OE ãt)
: gate : Algate では、脚韻語は短母音? at の長音化?
bacbiteing (OE bæc)
bad~bed (pt. sg.) (OE biddan, pt. bæd)
bad : adrad (pp.; 短音化した OE å2)、badde :
1
ladde(短音化した OE å )では // もあり得る
bar (pt.) (OE bãr)
pt. pl.は bare(< båron)で、1例だけ pt. sg.の bare がある。これは
SE の発達 å2 > ä が sg.に及んだのか、それとも à が長音化したものか。þar(e) : bar (sg.)では
短い/a/ だろう。pt. sg.の æ > e /:/ もあり得る
bare (adj.)(OE bær)
: ware (inf.)では、屈折形の ä をもっている(水平化)
(to)barst (pt.)(OE bærst)
tobrast : cast (ON)、(to)brast (= barst) : arst (ad.; 短音化した
OE å1)
bern-, brin(n)-, bren(n)- ‘burn’
OE tr. bærnan と vi. brinnan / birnan と ON brenna とが
混合。AM では bren(n)- が行中でもライムでも圧倒的に多い。北欧語の影響が見られるが、
音位転換形とも考えられる。i-形は OE vi.の継続。しかし、brenn- のrと歯音の間は i への
上げに有利。berne : Ygerne、brenne : mene (OF)。後者では開音節で長音化した音位転換形
brene < bernan。ただし、フランス語のアクセントが第1音節に移動することが前提となる。
あるいは、menne となったか。現分 brenand は行中に2例
blak (adj., pl.)(OE blæc)
: spac では、開音節で長音化した a をもつ屈折形 blac- 。
blacker (OE blæcra)
: rower (OE rūhra) は最後の音節が押韻する
(wiche)craft (OE cræft)
: schaft (OE ea)
erne (OE ærnan, iernan)
: terne (inf.)、: Šerne (ad.)では、長音化した å > e /:/だろう。
すると、/:/ : /e: /(もっとも、/ i /や /ü /の可能性もある)。現分 arnand は ã > à
fast (ad.) (OE fæste)
: cast (ON a)、: agast(短音化した OE å1)
fat (n.)
: biŠat (OE ea)
gadreþ, gadred, gader(d)~geder
OE の二重語 gædrian~gad(e)rian から。e-形は
tögedere の影響かも
glad(e) (adj.)(OE glæd)
: made では、屈折形の ā をもっている。mislad(短音化した
1
OE å )とのライムでは /a/
gras~gres (OE græs)
gres は北部形、ライムで使われる : pres (OF)
hadden~hedden (pt.)(OE hæfdon)
: wiþradden (OE å2)
haspes (n. pl.) (OE hæpse)
hat (n.), hatten (pl.)(OE hæt(t))
e-形はない。: at (pt., OE å2)、plat (OF a) : flat (n.)
lachi (inf.) (OE læcc(e)an)
lasse (OE læssa)
ライムでは lesse も(: misse)。この形態は lasse と lëste の混合
mast (n.)
: hast (OF a)
7
messe (OE mæsse < L messa, eccl. L missa)
行中では e-形のみ。ライムでは masse や
misse も。しかし、OF から入った messe もあった。misse はラテン語の影響によるのだろ
うが、messe の口蓋音化した形態とも、また inverted spelling とも考えられる。messe /
masse : lasse では /a/ か //
pac (n.)(MFlem)
: spac
pall~pell (OE pæll, pel; L palliun)
: elles : cendel (OF)、後のライムは /a/も可能
paþ
plat (pt.) (OE plættan)
: flat (pt., OF a)
rac (? < Scand) ‘rush, crash’
北部の単語
racches (pl.) (OE ræcc, ON rakki)
sat (pt.) (OE sæt)
: at (pt. sg.) : at (prep.) : cat
spac (pt.)(OE spæc)
spake(: make)は pt. pl.の長母音か、sg.の /a/の長音化
staf (n.)
tare
tare : hare (OE å2)、totere : here ( å2)も。/a: /と /: /と両方可能
tobrac (pt.)(OE tobræc)
: rac
þat (pron.)
was~wes (pt.) / næs (OE wæs)
wes はライムで生じる。弱強勢形か、Kent-Merc の上げ
ã > e の出力か。: les (OE ëa)、: flesche(s)(短音化した OE å1)は // : /e/ だろうが、/a/
も可能。: naþeles でも(cf. was : naþelas)。was は OF cas, solas, fas 等のライムで長音化
したかも
whal (n.)
: al (OE ea)
w(h)os~w(h)as (OE hwæs (gen. of hwa, hwæt))
o-形は hwa と hwam (dat.)の類推による
[a:](後に > [:])。 a-形は弱強勢の異形か、北部形
wiþsat (pt. sg.)(OE -sæt) ‘failed’
stat (OF)とのライムでは長音化した?
wrake (pt.)(OE wrecan)
その音が a < wræc(恐らく長音化されて/a :/)なのか、ä < wråcon
(pt. pl.) が sg.に水平化された SE の発達なのか、決めかねる
2. 開音節で
fader(s) (OE fæder)
water (OE wæter)
OE (and ON) è
1. 閉音節で(長音化を起こさない子音の前で) < e >で表わされる(時折 < i >でも)
adreint (pt.)(OE drencte)
nt(c は消失)の前で e > ei
bed(de) (n.)(OE. bedd, bed)
Gmc a の i-ウムラウト。: adred (pp. 短音化した OE å2 ) は
//ライム、 nede とのライムは // : /e: /
benche (OE benç)
: senche (inf.) : þenche (inf.)
ber (imp. sg.)(OE beran)
: ner (OE ēa)
best (adj.)(OE be(t)st)
: lest (n.)(OE y)、: hest (n.)(OE å1)、: chest(短音化した? OE ēa)
、
: trest (adj.)、: hest (OF)
bet (ad.)(comp.)
: bischet (pp.)(OE y)、: mett (pt.)(短音化した OE ë)
biþenke (pres.)(OE þencan)
OE þyncen との混同により biþinke もあるが、AM では
e-形の方が多い。biþenke : drinke(n.)では biþinke と読むべき
brink (ON brekka) ‘bank, shore’
恐らく借入語
(bi)delue (inf.)(OE delfan)
den (OE denn)
: men は同起源の音同士なので、/a/ なのか // なのか、決めかねる
den (OE denu)
: men は同起源の音同士
8
eft (ad.)
: aleft (pp.)(ON y)、: gleft (pt.)(< ? )
egge (n.)(OE ecg)
Gmc a の i-ウムラウト。 i-形は ME にないので、rigge (OE y) や
brigge とのライムでは regge, bregge の方がいい
elles
felle (n.)(OE fel(l))
: telle (pr.)
fen (OE fen(n))
: men
fett (pt), yfet (pp.) (OE fetian, fettan) ‘fetch’
: gret (adj.)
fordreinte (pp.)
: pleinte (n.)(OF ai) は /ei/ : /ai/
Freynsch(e)
/n∫ / の前で e > ei
gleft (pt.)(< ? )
北部の形態、eft と押韻
grininge (pr. p.)(OE grennian)
è > ì の上げ
helle (n.)
Gmc a の i-ウムラウト
helm(es) (n.)
help (n.)
: Šelp では、OED に hilp もあるので、/e/ライムとは断言できない
help(e) (inf.)
hem~ham (pl.)
ham は無強勢形。 hem : men は /a/ かも
knet~knit (pt.)(OE cnyttan)
fett (pt.) : knitt では knett の方がよい
legge(s) (n.)(ON legg-r)
Gmc a の i-ウムラウト
legge~ligge (inf.)(OE lecgan)
ligge : brigge (OE y) : rigge のライムでも /e / はあり得る。
licgan の諸形と混同されただろう
lenten (pt.)(OE lencten)
OE の別形 lenten から
men (pl.)~man
Gmc a の i ウムラウト形、men (: sg. woman)の音価は /a/
meynt (pt.)(OE mengde)
nd(g は消失)の前で e > ei
nek (OE hnecca)
: bek (inf.)(OF e)
nesse (OE hnesce)
: pruesse (OF e)
quelle(n) (inf.)
Gmc a の i-ウムラウト
red (pp.)(OE hreddan)
: yked (pp.)(短音化した OE ÿ)
rest (n.)(OE rest(e))
OE には ræst(e)もあったので、mest とのライムでは /a/もあり得る。
: brest (n.)(OE ēo)、: hest (n.)(OE å1)
rest(en) (inf., pt.)(OE restan)
OE には ræstan もあった。: fest (OF e)、: þresten (OE å1)
selle (inf.)(OE sellan)
Gmc a の i-ウムラウト。selle : stille、OE には syllan, sillan もあ
ったし、ME stelle もあった
senche (inf.)(OE senc(e)an)
sett (pt.)(OE sette)
: gret (pt.)(短音化した OE ë)
sigge(n)~segge (inf., pr.), -þ (OE secgan)
i-形は N か SE、口蓋音の前での上げ è > ì
sigge : bregge、sigge : abigge : brigge には / i /も // も可能
snel (ad.)
: castel (OF e)
step(pe) (inf.), steped (pt.)(OE steppan)
: bicleppe (inf.)(OE y)
sweuen (n.)
tel(len) (inf.), telle (pr.)(OA tellan)
Gmc a の i-ウムラウト。telle : nille : fulfille では、
nelle と SE の fulfelle が正しいライムにしてくれる
ten
: men は明らかな / /ライム
togider (OE togædere)
è > ì の上げ
trest (adj.)(< ? )
: best
tvelue (num.)
: delue (pr.)
þenche (inf.)(OE þenc(e)an)
þenne (ad.)
cf. þan(ne)
wedde (inf.)(OE weddian)
: bedde
wel (OE wel(l))
stiel とのライムでは長音化して狭い /e: / となる
9
welp(es) (n.)(OE hwelp)
: help(e) (inf.)
wenche (OE wençel)
: biþence (inf.)
west (n.)
: forest (OF e)
2. 長音化を起こす子音群(ld, nd)の前で
< e >で表わされる(少数の例外がある)
alange (adj.)(OE ålenge)
この a 形は æ の段階の i-ウムラウト形
cf. sant (pt.)
alangeþ
形容詞からの形成
(to)bent (pt.), ybent (pp.)(OE bendan)
ybent : ywent
blent (pt.)(OE blendan)
: enchauntement (OF e)
ende (n.)
: wende : hende、: fende (OE ēo)
ended (pt.) (OE endian)
endeles (adj.)
3音節語だから短い /e/
ender (adj.)(ON endr)
13th c.になって英語に記録される。恐らく短い /e/
feld (n.)(OE feld) ‘field, battle’
beld (adj.)(OE ea)とのライムは /e: / : /: /。OED には
fild(e)もあるので、feld : scheld : Šeld では、/e: /ライムとは断言できない。: held (OE ëo)
fling(e), flingand, -inde (ON flengja)
: sting (pr.) は鼻音+C の前での上げ e > i を示す
ginge~genge (ON gengi) ‘gang’
ginge : cominge は鼻音+C の前での e > i
genge : kinges : bring のライムでは ginge の方がいい
(vn)hende (adj.)(OE gehende の頭音消失)
: wende では長・短が不明、 : kende :
mende (OE y)、: wende (pt)(OE ë)、: frende (OE ëo)、defende (OF e)
hendelich(e) (ad.)
3音節語だから短い/e/、hendeschip も同じ
Inglond, Inglish
長音化しなかった e > i
leng(e) (ad. comp.)(OE leng(e))
: reng(e) (OE hring) は母韻?
lenger (OE lengra)
長音化子音群の後にもう1つ子音があるから /e/、lengþe も同じ
: feld、: Šeld のライムは同起源の音同士
scheld (n.)(non-WS e)
schende (inf.), (y)schent (pp.) (OE scendan, sciendan, etc.)
稀だが i-形も ME にあった
schende : kende (OE y)、schent : talent : present : gent (OF e)
sende (inf.), sent (pt.)(OE sendan)
sant が1例あるが、これは SE 形
cf. man (pl.)
ライムは e-形のみで、同起源の音同士かフランス語と(sent : present : verrament)
present には presant があるので、/a/ライムも可能
singel (n.)
: suf. -ing : Guinbating では鼻音+C の前での e > i
strengþe~stringþe
e は長音化せず。strengþe : Šingþe (WS y)では i-形にするか、
Šengþe に代えるか
telt (n.)(OE teld)
: selt
telt(en)(pt. pl., pp.)(OE teldian)
torent (pp.)
: (y)schent (pp.)
Šeld (inf. )(non-WS e)
wende(þ)(inf., imp.), went(e) (pt.), (y)went(en)(pp.)(OE wendan)
1例だけ wante (pt.)
(: Nante)がある。これを Jordan は man (pl.)と同じように解し、Zuitza は強変化の
winden の pt. wand だと考える(cf. sant ‘sent’)。ライムは同起源の音同士(従って、元来
の /a/ を持っていてもおかしくない)か、フランス語と((y)went : verrament : talent : gent)
。
このうち talent には a-形がある。 wente : entre (inf.) は母韻。
3. 開音節で
< e >で表わされる(例外が1つ)、音価は /: /
bere (inf.)(OE beran)
: stere (OE y)
bere (OE berere)
: power (AN e)、接尾辞 -ere は /: /と /e:/の間で揺れていた
cf. swere (inf.) : leiŠer (OE lēogere)、swer (pr.) : heweere (OE hēawan)(< ee > のつづりは
狭い /e: / を示す)
10
(a)breke (inf.)
: reke (n.)
dere~deri(en), dery (inf.)(OE derian)
ēten (inf.), (y)ēten (pp.)(OE etan)
: awreken (pp.)
?? (vn)euen (OE efen)
: seuen は長・短ともに可能
fele (adj.)(OE fela, feola) ‘many’
heleþ (pr.)(OE hel(i)an)
leþer (n.)
mete (n.)
: hete (OE å1)
pani (OE peni(n)g)
唯一の例外、鼻音の前で i-ウムラウトを受けた a をもつ SE 形
reke (n.)(OE recan) ‘haste, rush’
speke (inf.)
: reke
spere (n.)
: bere (inf.) : dere : were、 : lere (OE y)、 speren : toteren (pt., OE å2)
stede (OE stede, styde)
: dede (pt. sg.)
?? steuen (n.)(OE stefn (f.))
: heuen は長・短ともに可能
swere (pr.)(OE swerian)
tere (inf.)
: lere (OE y)、: here (n., OE å2)
weder (n.)
wele (n.)
were (inf.)(OE werian) ‘defend’
OE には同じ意味の warian もあった。ME では ware
(< OF)も加わったので、/a/もあり得る。 : (bi)stere (OE y)、 : þere (ad., OE å2)
(a)wreke(n) (inf., pp.)
: prike (OE prician) では preke か(北部のテキストや Ayenbite に
e-形がある)。その場合 /: / : /e:/ か /: / : /: / か
OE (ON) ì
1. 開音節(長音化を起こさない子音群の前)と閉音節で
< i >で表わされる(稀に< e >で
も)、< y > は珍しい
abiden (pp.)
berdes (n. pl.)(OE brid(d), Nhb bird)
EMid 形、r + C の前で下げ i > e を示す
biche(s) (OE bicce)
bidden (inf.)(OE biddan)
‘invite, command’ を意味し、よく bede と混同された
biginne (inf.)
: winne
biker (n.)(< ? )
bistriden (pt.)
(y)bite (pt., pp.)(OE bïtan, pp. biten)
: (y)smite
blisse (imp.), blisseing (ger.), (y)blisced (pt., pp.)(OE blissian)
AM には e-形(< blèdsian)
は見出されない
chin (n.)(OE cin(n))
: in (ad.)
crispe (adj.)
cristiens (n.)(OE adj. crïsten)
: wiþþerwins で Kölbing は cristins と読む。OED は 13-4
c.に cristin(e) を挙げ、「1500 年頃ようやく(フランス語にならって)pl. -s をもつ真の実詞に
なった」と述べているが、AM のライムは初期の例かも。音量は長かったろう
drinke (n.)(OE drinc(a))
: þink (inf.)、: biþenke
fit (n.)
: witt
fitt (n.)(OE fitt ‘conflict’)
AM では ‘short period’の意味(OED の初例は 1583 年)
flit~flet (n.)(OE geflit, ? flet(t)) ‘struggle’
e-形は OE geflit の inverted spelling かも
gnidded (pt.)(OE gnïdan)
?強変化動詞だが、これは弱変化の活用形
(of)hit(te)(inf., pt., pp.)(LOE hittan, hyttan, ON hitta)
: (y)kit(te) (< ? )
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Šift(es) (n.)
: unriŠt と : kniŠtes は母韻
Šimmes (n.)(OE gim, cf. OF gemme)
: inne (ad.) は母韻
ic (pron.)
ille (ON illr)
: bifelle (pt.)
in (n.)(OE inn)
in(ne) (ad.)(OE in)
(of)(y)kit(te) (pt., pp.)(< ? )
kniŠtes (OE cniht)
libbe (inf.)
現分 libbeing (: yfinde) は写字生のものか? libbeinde が正しい
ligge (inf.)(OE licgan)
‘lie’の意味で legge も使われる、e-形は legge (OE lecgan)との混同
lilye (n.)(OE lilie)
limes (n. pl.)(OE pl. limu)
lippe (OE lippa)
liþ (n.)
liue (inf.)(OE libban)
Šiue だけでなく(y)Šeue とも押韻する。北部には lēue もあった
liuer (n.)(OE lifer)
midde (n.)(OE midd)
mid(d)e (prep.)(OE mid)
: Šede (OE ëo) は /i / : /e: / に見えるが、後者は短音化+上げ
による短い変種 yide(n)かも
milce (n.)(OE milts, milds)
milk(es)(n.)(A milc)
nille~nelle (= ne wille)(OE nylle, nille, nelle)
nille : telle
(bi)nime(n) (inf.)
nist (= ne wist)
: trist (? OF triste)
pin (n.)(LOE pinn)
: gin (OF i)
prike(n)~preke (inf.)(LOE prician)
e-形は N や OK のテキスト(Ayenbite)に見られる
(N では開音節で i > e、OK では後母音ウムラウトで i > e)。 awreke : prike は従って /: / :
/e: /か /: / : /: /だろう
quik (adj.)(OE cwic)
: ic
ribbe (n.)
: libbe
riden (pt.)(OE rïdan)
: abiden (pp.)、 : bistriden (pt.)
sibbe (adj.)
siker (ad., adj.), sikerly (OE sicor)
: biker (n. < ? )
sikerliche (LOE sicerlïce)
OE -lïce は ME では短音化されがちだった
site (inf.)
: gret(pt., OE grëtte の短音化)
(of)slit(t) (pt.), islit (pp.) (OE slïtan, ONhb pr. slittes, pp. slitten)
この弱変化動詞は
pp.形からの逆成? : hit(t) : (in litel) fitt : ofkitt
(y)smite(n) (pt., pp.)(OE smïtan)
lift (pt.)と押韻する smit (pt. sg.) は弱変化、smytte /
smette も RCL にある。 smiten : priken は母韻。 : stite (pp.)(< ? )
spillen (inf.), spilt (pp.)(OE spillan / spildan)
唇音と流音の間にあるので *spelt があって
もよさそうだが(cf. clemben, helt)、ない。 : gilt (OE y)、: schilt (OE ie < e)
stille~stelle (ad.)(OE stille)
stille : selle、: felle (OE ëo)、: castil (ONF)、e-形は i の音の
広い性質を示す。/i /の音と /e/の音は言わば中間で出合ったのだ。AM の著者は両者を区別し
なかったかも知れない
(þer)til~tel (ON)
: fel (pt.)
þink (inf.)
þisse (pron.)(OE þis)
e-形も ME にはあった
þridde
: midde
unriŠt
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wicke, wicked (adj.)
EME wicci が AS Chron.にある (cf. OE wicca (n.), f. wicce)
wille (OE willa, (ge)will)
: fel (pt.)
willen (pr.)(OE willan)
: spillen
winne (inf.)
winter (n.)
wite(n)(inf.)(OE witan)
: biŠete (pp.)では wete(北部の開音節での i > ë)を考えるより、
SE と SW の Šiten に直す方がいい
wit(t) (n.)
wiþþerwin(e) (n.)(OE -winna)
: (bi)nim(e)は母韻、wiþþerwins : cristiens
ywis (ad.)(OE adj. gewis(s))
: couaitise (OF /i: /)、: wesche (pt., OE ëo)では、後者は
wische の逆つづりだろう(w の後でよく起こる)
2. 長音化を起こす子音群(ld, nd, ng)の前で
< i >で表わされる
ng の前では早くから短音化していた。北部では nd の前でも。ほとんどのライムが同起源の
音同士
bihinde(n) (prep.)(OE bihindan)
: þousand では þousinde に直す
binde (inf.)
blinde (adj.)
bring (inf.)(OE bringan)
: genge
child(er)(OE cild)
: mild(e) : wild(e)
childed (pt.)
(y)finde(n)(OE findan)
: bihinde : binde : blinde : winde、: libbeing
mild(e) (adj.)
: bring、þreng : reng、 e-形は renge ‘rank’ (< OF
ring~reng (n.)(OE hring) ‘ring’
renge) との混同? ring の inverted spelling?
sing(en)(inf.), sing(g)eþ (pr.)
: þing : springeþ
springeþ (pr.)
sting (pr.)(OE stingan)
: fling (ON)
þing(es) (n.)
þring~þreng (n.)(OE geþring)
þring : hing (OE ë)、þreng : reng、e-形は þrengen
(OE þringan の使役動詞)への同化。reng は ‘ring’の意味
wild(e) (adj.)
winde (n.)(OE wind)
OE (and ON) ò
1. 閉音節で(長音化を起こさない子音群の前で)
bolt (n.)(OE bolt ‘arrow’)
bod (n.)(OE bod) ‘message’
borwe (OE 屈折形 borg, borh)
burre (n.)(< ? Dan. borre)
14th c.以前にはないが、恐らく本来語。 burre : werre は /u/
: /ö/ か // : /ö/
code (n.)(OE cod(d)) ‘the lower part of a helmet’ (?)
code : blod では code を hod に直せ
ば、正確な /o: /ライムになる
cop (n.)(ONhb copp, OE cuppe) ‘cup’
(of)coruen (pp.)(OE ceorfan)
(bi)(y)doluen (pp.)(OE delfan, dealf, dolfen) ‘dig’
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durst (pt.)(OE dorste)
新しい形成、/u/ は pr. pl., inf. durren から
floc, -k (OE flocc)
: stok
folk (n.)(OE folc)
: polk
forþ (ad.)
god (n.)
(eueri)grot
: wot (OE ä)では強勢によって長音化し、/: / となったかも
holpen (pp.)(OE helpan, healp, holpen)
hors (n.)
: cors (OF o)、 hors : wors は不純な // : /u/ (< OE /y/) か視覚韻
lockes (pl.)(OE loc)
(a)morwe (OE morgen)
: korwe (pt. pl.)
norþ (n.)
: forþ、 soþ とのライムは母韻(/r/ : /o: /)
of (ad.)
oft (ad.)
: soft(短音化した OE ö)
orped (adj.)(OE orped)
sorwe(s) (OE 屈折形 sorg, sorh)
: (a)morwe : borwes
stok (OE stoc(c))
top (n.)(OE top)
topped (pt.)
名詞からの逆成
welken~walken (OE wolcen)
前者は i-ウムラウト形、後者は古いマーシャ方言形(唇音
と流音の間での o > a) cf. OED v. welkin
2. 長音化を起こす子音群(ld, rd, ? rn)の前で
/o/ > /o: /
bord (n.)
lord ( /: /をもつ)とも押韻し、長・短ともに可能。: sword
corn (n.)
ford (ad.)(OE forþ)
: sword の長さは不確か。rþ が語末にあれば、長音化を起こさないだ
ろうが、forde (< forþe) : sworde (dat.) であったなら長音化に与っただろう
gold (n.)
: mold、: wold : nold : schold
hold (adj.)
horn (n.)
mold (n.) (OE molde)
狭い /o:/ だが、/:/ とも押韻する(: yfold)
nold = ne wold
ord (n.)
: word : bord
schuld~schold(est)(OE sc(e)olde, A sculde)
schuld は行中で使われる。北部起源だが、
/u/ は inf.と pr. pl.形(sculan, -on)から。ライムでは o-形だけ
wold(e)~wald(e)
強勢がないので、長音化しなかった(sceolde も)。が、長音化した gold
や mold とも押韻する。(fele)fold とのライムでは /a/かも。wald(e) は北部と西中部の形態で、
行中に 34 例もある(wold(e)は 56 例)。それは写字生が持ち込んだものと Liedholm は言うが、
AM が入っている Auhinleck 写本はロンドンで作られたとされているので、o-形の方が写字生
のものかも
word (n.)
: lord(/: /をもつ)は長・短ともに可能。: sword では、WS に wurd と swurd
があったので、 /u/ の可能性も捨てきれない。 : cord (OF o) は短母音
Šolden (OE golden)
3. 開音節で
/: / となる
biloke(n) (pp.)(OE belücan)
(for)(y)boden (pp.)(OE bëodan)
bodi (OE bodig)
3音節の屈折形の影響で、長・短の間で揺れる。 : rody
(y)bore (pp.)(OE beran)
: more (OE ā)
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tobroke (pp.)(OE -brecan)
ycrope (pp.)(OE crēopan)
: hope (n.)
dore (OE dor, duru)
長さは不確か
floted (pt.)(OE flotian)
(bi)(to)fore
: (na)more
(þer)fore
hope (pr.)(OE hopian)
loke (pp.) (cf. OE n. loc)
: tobroke (pp.)
forlore (pp.)(OE -lēosan)
: forswore : (y)bore
knoke (inf.)(LOE cnocian)
: (in þi) smoke (OE smoc(c))、 knok : smok もあるので、短母
音かも
lore (n.)(OE tö lore)
loued (pt. pl., pp.)(OE lofian)
: proued (OF /o: /)
moten (n. pl.)(OE mot) ‘mote, atom’
nose (n.)
ratled (pt.)
roten (pp. < OE rotian / adj. < ON rotinn)
恐らく短母音、inf. roten は echoic(?)
schoten (pt. pl.), yschote (pp.)(OE scēotan)
pt.形も pp.の /: /を持っている、: moten
: roten (inf.)
score (n.)(LOE scoru; ON skor)
smoke~smok (OE smoca)
bispoke (pp.)
第4類の /: /を持っている。/o: /をもつ boke とも押韻する
spurs~spor(e)s (OE spora, spura)
/u/も AM では< o >と書かれるので、/u/かも
(for)(y)swore (pp.)(OE -swerian, pp. (ge)sworen)
: (no)more
þrote (n.)
: yschote
þurchschoue (pp.)(OE scūfan, pp. scofen)
aboue とのライムでは /: / : /o: /か、或いは
/u/(pt. pl.への類推で): /u/ か
OE ù
1. 閉音節で(長音化を起こさない子音群の前で) < u >(稀に< v >)と< o >で表わされる
brosten~brust / burst (pt. pl.)(OE berstan)
butten (inf.)
clobbe (n.)(? ON klubba)
robbe (OF)とのライムでは不正確な /u/ : /o/
conne (inf.)(OE cunnan)
: sonne
cors (pr.)(OE cursian < ? )
(a)curs(s)ed (pt., pp.)
dubbed (pp.), dubbeing (ger.)(OE dubbian < OF)
ful (adj., ad.)
fulle (n.)
: schulle
furch (OE furh)
: þurch
gutten (n., pl.)
: butten
guttes (n., pl.)
korwe (pt. pl.)(OE ceorfan, cearf, curfon, corfen)
: morwe では pp.の / / を持っている
lut (pt. sg.)(OE lütan, pt. pl. luton)
but (pt., OF)とのライムでは恐らく pt. pl.の /u/
nonne (OE nunne; OF nonne)
schulle (pr. pl.)(OE sculon)
sonne (n.)
: conne : nonne : wonne (pp.)
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þurch (OE þurh)
wolf, wolues
(y)wonne(n) (pt. pl., pp.)(OE winnan)
2. 長音化を起こす子音群(nd, ng, rn)の前で
< ou >か < u >か < o >で現われる
(y)bounde(n) (pt. pl., pp.)(OE bindan)
: wounde
croume (OE crumb)
つづりからして /u: /(: toune は母韻)
fondling (n.)(< pp. funden)
: Šongling
flonge(n) (pt. pl.)(ME flingen; ON flengja)
< ng >の前では短くなった
forþer (ad.)
rþ の前では短母音かも。ferþere という異形は動詞 ferthren の類推か、OE
feorr の影響か
(y)founde(n) (pt. pl., pp.)(OE findan)
: biŠounde では /u: /
grounde (n.)(OE grund)
: (y)founde : stounde : mounde : hounde は /u: /だが、同起源の
音同士だから、/u/(特に北部の)の可能性もないことはない。 : Šounde も /u: /、 : founde
(OF u)
grounden (pp.)
Šong (OE giung, geong, etc.)
OE の二重語のせいで /u/も /o/もあり得る
Šongling (OE iungling, geongling)
fondling とのライムは /u/ : /u/の母韻
hounde(s) (OE hund)
hunder (OE hundred)
hundred
CC の後にもう1つ子音があるためか、屈折形の類推で、短い /u/
hunger
短い /u/
morne~murne (adj.)
soi(o)urne (OF)と押韻するが、脚韻語が二重語を持っていたので、
短母音だとは断言できない
morning (ger.)(OE murnan)
恐らく短母音
mounde (OE mund)
: husbounde (OE ü)、: rounde (OF u) : secounde : blounde
ourn(e)~vrn (OE pt. pl. urnon)
長・短ともにある
schulder~scholder
短い /u/
ysonge (pp.)(OE singan)
stong(en) (pt. pl.)(OE stingan)
stounde (OE stund)
: rounde (OF u)
tombel (inf.), tombled~tumbled (pt.)(OE tumbian)
短い /u/
tong(e) (OE tunge)
: ysonge : flonge
turned (pt. pl.)
恐らく短母音
þonder (OE þunor + 挿入字 d)
vndren (n.)(OE undern)
短い /u/
wonder (n.)
短い /u/、(a)wondred (pt., pp.)も。 : þonder : hunder
(for)(y)wounded (pt., pp.)(OE wundian)
wounde(s)(OE wund)
3. 開音節で
OE /u/ は< o >と書かれる。/o: /となった語もある。これは北部で始まった
/u/ > /o: / の変化を示す。
aboue (OE a + bufan)
: þurchschoue (pp.) は ŭ-ライムか、/: / : /o: /、(a)swowe とのライ
ムは /u/ : /u: /、 : proue (OF o)、: houe (inf.)では /u/も /o: /も可能
(bi)(y)come(n) (inf., pp.)(OE cuman)
: (y)nome (pp.)、: grome
ouercome (pp.)(OE -cumen)
: þrome、 Rome とのライムは /o: / : /: /
doke (OE dùce (? düce))
loue (n.)(OE lufu)
: aboue、: proue (OF o)
(y)nome (pp.)(OE numen)
dome や come (pt. pl.)とのライムでは、/u/ > /o: /の変化か、
16
あるいは pt. pl. nöme(n)の /o: /か
rody (OE rudig)
: body は /u/ : // か /o: /(開音節で /u: / > /o: /): /: / か
schosen (pt. pl.)(OE cëosan, cëas, curon, coren)
恐らく pp.の /: / を持っている
schoten (pt. pl.), schotest (pt. sg)(OE scëotan)
恐らく pp.の /: / を持っている
schouen (pt. pl.)(OE scüfan, scëaf, scofen)
恐らく pp.の /: / を持っている(水平化)
sone(s) (OE sunu)
sones : come (pp.)、 mididone とのライムは開音節での /u/ > /o: /を
明らかにする、 : crone は /u/ : /u/ か /o: / : /o: /
trome (OE truma)
: ycome (pp.)
þrome
ouercome (pp.)とのライムでは非ウムラウトの OE *þrum (?) cf. þrymm
wode (OE wudu)
gode ‘good’ とのライムは開音節での /u/ > /o: /を示す
woned (pt.), ywone (pp.)(OE wunian)
ywone : come (inf.)
OE (and ON) y
WGmc u の i-ウムラウト
< i >(時に < y >)と < e >で表わされる(稀に < u >でも)。 /(:)/ < OE /y(:)/ をもつ多くの
語が SE (K)の発達である。が、閉音節ではある種の子音のそばで (OE y(:) > ) i > e、北部方言で
は開音節で i > e(:) と変化したので、SE の一次的発達と区別せねばならない。しかし、その場合、
OE i と短音化した OE ï の出力も OE y > i の場合と同じくらい e-形を持っているはずであるが、
AM には、OE i の所で見たように、当てはまらない。だから、e(:) < y(:) をもつ多くの形態は SE
の発達と見てよい。i-形と e-形の出現数は
行内で
i-形
183
e-形
65
ライムで
i-形
7
e-形
72
ここから言えるのは、写字生が i-形の方に親しんでいて、行内の多くの e-形を i-形に替えただろ
うということ。口蓋音の前の OE û は、すでに OE で非円唇化の傾向が働いていたので、この数字
には含めなかった。ただ、注目すべきは、行内で meche だけを例外として、i-形だけを用いてい
ること、ライムでは、確実な例だけが e-の音価を持ち、他のライムは drihten とのライムを除い
て、すべてあいまいなこと。
OE û :
1. 閉音節(長音化を起こさない子音群の前で)と開音節で
astint (pt.)(OE ästyntan)
becleppe (inf.), biclept (pt.)(OE beclyppan)
bicleppe : steppe (OE e) は紛れもない e-ライ
ム、biclept : kept(短音化した OE ë)
biri (inf.), ybiried (pp.)(OE byrgan)
cf. Salesbiri, Wandlesbiri (OE byr(i)g)
chirche (LOE cir(i)ce, cyrce)
enserche とのライムでは / /、wirche とのライムでは / i /
の他に / /も可能(werche があるから)
clepeing (ger.)(OE clypping)
dede (pt. sg.)(OE dyde)
e-形のみ。: stede では pt. pl.の /: / < /å2/ の水平化
(vn)dede(n) (pt. pl.)(OE -dydon か、詩の dådon)
e-形のみ
din~den(e) (n.)(OE dynn, dyne)
OE ē をもつ kene、quen とのライムは /: / : /e: /
dined (pt.)(OE dynnan, dynian)
dint(es)~dent(es)(OE dynt)
dent(es) : verrament (OF e) : gent : rentes (pl.)、dint
(dent と読め): verrament と dintes(dentes と読め): rentes も e-ライム
first~ferst (ad.)(OE fyrst)
fulfille (inf.), filled (pt.)(OE -fyllan)
fulfelle は SE の異形。 fulffile : telle のライムでは
telle に l の前での上げも考えられるが、 e-形の方がいい
gilt (n.)(OE gylt)
: spilt (pp.)
17
girten (pt.)(OE gyrdan)
glift~gleft (pt.)( < ? ) ‘look, slip’
glift : lift (pt.) は音価が疑わしいが、gleft : eft は紛れも
ない e-ライム、だから ME の pt.形は OE y に由来するのかも、その場合、最初の例は同起源の
音同士のライムとなる
hille (OE hyll)
ich (OE ylc)
l の消失、もっぱら i-形
iuel~yuel (OE yfel)
: (a)diuel (ad.) は音価が疑わしいライム
kin (OE cyn(n)); nonskinnes (OE nänes cynnes)
þin (OE ï ) とのライムは長さが不正確、
ライムでは SE 形の ken もある(: Vrien)、 kenne : þenne (OE e) は紛れもない e-ライム、
kin(ken と読め): stren (OE ëo) は不正確な /e/ : /e: /
kisse (inf.), kist (pt.), kiss(e)ing(e) (ger.)(OE cyssan)
: þisse は þesse もあるので、i-ライム
とは言いきれない
(vn)knett~knitt (pt.)(OE (un)cnyttan)
knitt : fett (OE e) のライムでは、fett に t の前で
の上げも考えられるが、knett の方がいい。vnknett : stett (pt.) は stite (pp.)もあるので、eライムとは言いきれない
left~laft (adj.)(OE lyft, K left) ‘weak, left’
lift (inf.)、left (pt.) とのライムでは //? そ
れとも /i /? schaft : laft のライムは恐らく scheft : left の corruption だろう
ler(e) (n.)(OE lyre)
開音節で長音化して /: /、長音化した OE e をもつ spere, tere (inf.)
や ME /: / をもつ answere (n.), longere (ME /e: /も) と押韻する
lest (n.) (OE hlyst) ‘ear’
lest : best (OE e) は紛れもない e-ライム、 : gest (OF e)、
fest(短音化した OE ÿ)とのライムの音価はあいまい、OE līste ‘lobe of the ear’ もあったし、
脚韻語は /i /も可能だから
lift (inf.), lift~left (pt.), aleft (pp.)(ON lypta)
lift : smit (pt) は母韻。aleft : eft (OE e) は
紛れもない e-ライム
listen (inf.), listneþ (imp.)
listening (ger.)(OE hlystan)
miri(e)(OE myr(i)ge)
muri が1例あるが、/ü/ が残っている西部の形態だろう。不思議なこ
とに SE 形の mery がない。: Wandlesbiri は音価の疑わしいライム
mirþe (OE myr(i)gþ)
(vn)net (adj.)(OE (un)nyt(t))
: gret (adj.; OE ëa) は紛れもない e-ライム。Flasdieck は、
強勢がないので、OE y のノーマルな発達とは考えないが、un- をもつ複合語の場合は、単一語
が副強勢によって母音のあいまい化を防いだと思う
rede (inf.), redde(n)~ridde (pt.)(? ON ryðja) ‘make way, clear’
: stede (n.; OE ē) は明白
な e-ライムだが、前者の語源が不確か。ON ryðja に由来するのなら、/: / : /e: / となる。別の
解釈は rede が開音節での北部の二次的変化 /i / > /e: / を示すというもの。そうしたら /e: / 同
士となるが、AM にはその変化は明白に現われていない。もう一つの可能性は OE rådan から
の発達とみるもので、これも ’to clear (a way)’ を意味し得るが、CH も BT も挙げていない。
pt.形のライム、redde(n) : kedde(n) (OE cÿdde < cÿþde) と ridde : kidde はあいまい。OE
hreddan ‘deliver, free’ (OED, redd v. 1, 2.) も参照せよ
schert (OE scyrte)
: hert (pt.; OF hurter)は、後者が i- / e- 形と ü- 形で現われるから、音
価の疑わしいライム
schet (inf.), schet(ten) (pt.), (bi/ be)schet (pp.)(OE (be)scyttan)
: bet (OE e) は紛れもない
e-ライム、: gret (pt. 短音化した OE ē)、: stett (pt.)では後者の起源が不確かで、i-形も 1 例あ
るので疑わしいライムとした
sinne (OE syn(n))
stert (n.)
(bi)stir(en)~(bi)stere(n) (inf.), stireþ (pr.) bistir(eþ) (imp.), (bi)stired, bistirden (pt.)
(OE (be)styrian)
(bi)stere : were(長音化した OE e): bere (inf.) : fele(これは母韻)、
steren : feren (OE ë) は /: / : /e: /
18
stirt(en)~stert(en) (pt.)(? OE *styrten)
i-形は 20 例、e-形 3 例。stirt(en) : hirt (pt.; OF u)
: girten (pt.; OE y)、sterten : ongerten (pt.; < ? ; ‘strike’)、stert(動詞から作られた名詞):
yhert (pp.) の3つのライムは音価が不確か
swiche (OE swylc, swilc, swelc)
l の消失、もっぱら i-形
(bi)þenke~(bi)þinke (OE -þync(e)an)
OE þenc(e)an と混同されたので、OE y を表わして
いるとは見なせない。OE e の項を見よ
wiche (OE hwylc, hwilc, hwelc)
l の消失、もっぱら i-形
wirche(n)~werche (inf.), wirche (pr.), wircheþ (imp.)(OE wyrc(e)an, Merc. wircan, LOE
wercan, weorc(e)an)
wirche : chirche のライムは chirche : enserche (OF e) によって
/ /も可能、werche : serche (OF e) は脚韻語から e-ライム、ME の wirche~werche は必ず
しも OE wyrc(e)an からの発達とは言えない
OE û + 口蓋音
すでに OE で口蓋音は前の母音を非円唇化したため、 i-形が多い
abigge (inf.)(OE äbycgan)
: sigge (OE e)では //もあり得る、: flegge (OE y)
bregge~brigge (n.)(OE brycg)
brigge : egge のライムでは bregge が正しい、brigge /
bregge : sigge (pr.) や brigge : ligge (OE e) : legge などのライムもあいまい
driŠt (n.)(OE dryhten, drihten)
ME に e-形はない。: aliŠt(inf.; OE ālīhtan、ここでは短
音化): miŠt (pt.; OE miht(e)) : fiŠt (inf.; OE fiht)
flegge (adj.)(? < OE flycge) ‘high-flown’
: abigge は同起源の音同士
cf. OED, fledge
miche~meche (OE micel, mycel)
e-形は1例のみ、これは OE mycel から。もっとも北部
の二次的変化 (OE y(:) > ) /i / > /e: /、恐らく /i / > /e/ の可能性もあるので、その音価は断言で
きない
regge~rigge (n.)(OE hrycg)
rigge : egge のライムでは regge が正しい。が、rigge : legge
: ligge ではいずれの音も可能
2. 長音化を起こす子音群(ld, nd, ng, rd, rn)の前で
brini (OE byrne)
rn の前では音位転換形、ON brynja の影響を受けたかも
gilt (pp.) (OE gyldan)
ld の前では1例のみ、i-形
girdel (n.)(OE gyrdel)
rd の前では i-形7(girdel, girt(en))、e-形2(gert(en))
girt(en) (inf., pt., pp.)~(on)gert(en) (pt.)(? OE gyrdan) ‘strike’
短母音、girten : stirten
は音価が疑わしい
herne (n.)(OE hyrne)
: derne (OE e / ie)
cf. terne
kende (adj.)
: (vn)hende (OE e)、: fende (OE ëo)では長母音かも
kinde~kende (n.)(OE gecynd)
nd の前では i-形1、e-形2。 : (vn)hende (OE ĕ)、
: fende (OE ēo)、kende : schende (OE e / ie) は e ライムだろうが、後者に稀に i-形もある
king(es) (OE cyning > cin(in)g)
i-形のみ。OE û の発達ではなく、母音の同化(Jordan)。
短母音
mende (n.)(OE gemynd)
: hende (OE e)、 fende (OE ëo) とのライムでは長母音かも
ment (pp.)
ME の動詞は名詞(OE gemynd)からの逆成。短母音。 : verrament (OF e)
terne (OE tyrnan, turnian; OF turner, torner)
erne (inf.), Šerne (ad.) と押韻するが、
< rn >の前に OE y をもつ語は、i-, ü-, e-形を持っているので e ライムとは言いきれない
OE ÿ : < i > と< e > のつづりがある
deueling (ad.)(ME deve < OE dÿfan (weak) (+ dÿfan (strong)) + -ling) ‘headlong’
(a)diuel (ad.)(ME deueling の短縮形) ‘flat, headlong’
iuel とのライムでは3音節語の
短い / i /?で、同起源の音同士
drie (n.) (OE drÿge)
SE 形は drēie
fest (n.)(OE fÿst)
: best (OE e) では短音化し、明白な e-ライム。 : lest (n.)でも短音化、
19
: brest (OE ēo)も e-ライム、: lest (OE hlyst) は音価が疑わしい
fire~fer(e) (n.)(OE fÿr)
fer : dere (OE ēo) や fer(e) : cler (OF /e: /) : cher(e) (AF /e: /) :
maner (OF) : souders (OF) は e-ライム、 fer : fer(共に OE fÿr)は音価が疑わしい
fist (n.)(OE fÿst)
: þurchþrest (pp.; < ? ) はあいまい
hide (inf., subj.), hidden (pt.), yhidde (pp.)(OE hÿdan)
hide : abide (OE ī) は明白な ī-ライ
ム、 hide : vnride は音価が疑わしい
hire (n.)(OE hÿr)
: desire (OF ī) は明白な ī-ライム
hire (pr.)(OE hÿrian)
kiþ (n.)(OE cÿþ(þ)) ‘quarter’
kiþe~keþe (inf., imp.), kid(de)~kedde(n) (pt.), yked (pp.) (OE cÿþan, pt. cÿdde < cÿþde)
yked : red (pp.; OE e) は明白な e-ライム、keþe : deþe (OE ēa) は /e: / : /: /、(y)kidde :
ridde (pt., 短音化した OE ÿ) : yhidde (pp.) は音価が疑わしい、kedde(n) : redde(n) (pt.)
も同じ
lite (ad.)(OE lÿt)
litel の i の影響を受けている(: OE ī : OF i)
litel (OE lytel, litel)
AM ではもっぱら i-形
pride (n.)(LOE prÿde < OF prüd)
: ride (OE ī) は明白な ī-ライム
reme (inf.)(OE rÿman)
: Šeme (inf.) は脚韻語が i-形と e-形を持っていたのであいまい
sky (n.), skies (ON ský)
: cri (OF i) は明白な ī-ライム
þrust~þrest(en) (pt.), þurchþrest (pp.)(ME þresten < ? ON þrýsta, ? OE þråstan) ‘strike’
þurchþrest : fist (n.) のライムはあいまい。þrust (pt.) : lust (pt.)も同様、前者は< þr >の後ろ
で /u/ < /ø/ をもつ西部の異形か? OE þråstan の pt.形は þrast となるだろう
vnrede~vnride (adj.)(OE ungerÿde)
: stede (OE /e: /) は明白な e-ライム、: rede (adj.;
OE ēa) は /e: / : /: /
whi / why (OE hwÿ, hwï)
AM ではもっぱら i-形
wische (inf.)(OE wÿscan)
i-形のみ。恐らく短母音
OE (ON) ā
AM では<o>で表わされる(少数の例外を除いて)
開音節で長音化した OE ă / OF a とのライムは、中部と南部で起こった変化 /a: / > /: / が
AM によく表われていることを示す。長音化子音群の前の OE a をもつ語もここに加えてよい。
abod(e)~abade (pt.)(OE abād)
abade ( : sade) は恐らく北部形
àske(n), asky, axi (inf.), asked, axed (pt.)(OE āscian, ācsan)
喉音 sk の前で短音化
bistrode (pt.)
blake (OE blāc ‘shining, white’)
AM では ‘ink, manuscript’の意味で使われているが、これ
は OE 以来 blæc と混同されてきたため。 : bitake (pp.)
bore (n.), bors (pl.)(OE bär)
: botors (OF /: /)
boþe (ON báðar か OE bā þā)
: (for)soþe (OE ö) は /: / : /o: /
brod(e) (adj.), abrod(e) (ad.)
: blod : wode : gode(いずれも OE ö)は /: / : /o: /
chon (pt.)(OE cān)
: ston
(y)cloþed (OE clāþian)
cloþ(es) (n.)(OE clāþ)
: soþ (OE ö) は /: / : /o: /
coue (ad.)(OE cāfe)
: houe (inf.)
dale (n.) ‘portion’
ライムに現われる(: smale)。SE 形(< OE dål)か、あるいは北部形
(< OE däl)か。AM では del(< OE dål)も ‘portion’、つまり「兵士の一団」を表わす
(to)drof (pt.)(OE drāf)
強変化第1類、: schrof (pt.) : torof (pt.)、 of とのライムでは恐らく
短い / /。 schof とは /: /
euerichon (euerich + on)
: pouermen (pl.) は euerichan : -man とすれば良くなるが、前
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者は AM に生じない。-on が不定冠詞 an と混同されたのかも。あるいは euerichmen :
pouermen だったか
fon (n. pl.)(OE (ge)fā)
: (y)don (OE ö) は /: / : /o: /、 opon とのライムでは /: / : //
fro (prep., ad.)(ON frá)
ygan (pp.)
北部の /a: /をもち、ライムに現われる(: man /a/)。強勢のない位置、特に
amiss のような副詞に修飾される所では短音化したかも。 AM では (y)gon がふつう
glod(e) (pt.)(OE glād)
強変化第1類
(for)go(n)~-gan (inf.), (y)go(n) (pp.)(OE (for)gān, pp. Šegān)
: þo
gore (n.)(OE gāra)
: more
gost (n.)(OE gāst)
: pentecost (OF /: /)、: acost (n., OF /: /)
grof (n.)(grāf)
grop(e) (pt.), gropen (pt. pl.)(OE grāp)
強変化第1類。pt. pl.形も類推によって本来の / i /
ではなく、/: /を持っている。 : stirope (OE ā)
hom (n.)(OE hām)
しばしば /o: / と押韻する。: dom : com (n.) : grom (n., OF o) は純粋な
/o: / : /o: / かも
hole~hale (adj. (n.))(OE hāl)
hale (n.)は北部形
holy (adj.)(OE hālig)
hot(e) (adj.)(OE hāt)
lo (interj.)( (1) OE lā (interj.), (2) ME loke の短縮形 (< OE löca (imp. of locian))
lord (< OE hlāford)
: gode のライムは母韻で、/: / : /o: /。 acord (OF)とのライムでは恐ら
く短い / /
lore(s) (n.)
loþ (adj.)
loþ(e)lich(e) (adj., (ad.))(OE lāþlic(e))
長母音のまま
mare (adj.)( < ? OE måra)
ライムに現われる(: fare)。恐らく北部の /a: /をもつ形態、そ
れとも SE /æ: / > /a: /? だとしたら、ME に mere (comp.) がないのは奇妙
mo (ad.)(OE mā) ‘more’
OE には最上級 måst への類推によって別形 må があった
more (ad.) (OE māra)
: (þer)fore : (bi)(to)fore : (y)swore : ybore では4つの脚韻語はどれ
も開音節で長音化した OE o を持っている
(al)most (OE māst)
nomo~namo (OE nāmā), nomore~namore (OE nāmāre)
a-形は弱強勢のため
noþelas~naþeles~-þelas (OE nāþēlås)
a-形は弱強勢のため
on(e)~an (OE ān) ‘one’
: (y)don (OE ö) : afternone (OE ö) は /: / : /o: /。無強勢の位置
で短くなり、an~on ‘a(n)’ と混同された。 man : (bot of) an や panne : anne では二重子音の
前で短音化した OE 形 ænne を表わす。 on : oŠan や nan : oŠan でも。 non : pouermen は
nan : -man と直せばよい
onan~anon (ad.)(OE on ān)
onan : wiman のライムでは短い /a/
cf. anon : opon
oke (n.)(OE āc)
: boke (n.; OE ö) は /: / : /o: /
ore (n.)(OE ār)
: store (OF /: /)
oþ (n.)
: soþ (OE ö) は /: / : /o: /
rode (pt.)(rād)
abod(e) (pt.) : glod(e) (pt.) : bistrode (pt.)
torof (pt.)(cf. ON rífa)
of とのライムでは恐らく //
rope (n.)(OE rāp)
(a)ros / agros (pt.)(OE (ā)rās)
強変化第1類。: los (OF /: /)
sarre (adj., ad.), sarreliche (ad.)(OE sār + līce) ‘sorely, severely’
意味が似ているので、
sori / soriliche と混同された。sarre- は比較級の形態が原級に水平化したものだろう
schode (n.)(OE scāda)
: brode
schof (n.)(< OE scūfan)
OE scofen (pp.)の語幹か、sceáf < scēaf (pt. sg.)からの形成。
: drof (pt., OE ā) は純粋な /: /ライム(恐らく短音化)
21
schrof (pt.)(OE scrāf)
pt. pl.形の schrof は類推による /: /を持っている、: grof (n.)
slo (n.)(OE slā(h), slāg)
on : þo (ad.)
slo(n) (inf.)(ONhb slān; ON slá)
cf. sle(n) < OE slēan
(of)smot (pt.)(OE -smāt)
強変化第1類の過去形は /: / を持っている
sore (adj., ad.)(OE sār(e))
sori (adj., ad.), soriliche (ad.)(OE sārig + līce) ‘painfully’
sōriliche では長母音のまま
stan-ded
複合語では短い/a/ だろう(それとも北部の /a: /?)
stirope (n.)(OE stigrāp)
ME には a-形もあった
ston(es) (n.)
stroke(s) (n.)(OE *strāc)
(a)tvo~(a)to (n.)(OE (on) twā)
狭い /o: /とも押韻する(: þerto)、他は /: /と(: þo : (y)go :
wo : mo)、あるいは C + w の後ろで /: / > /o: /となったか
token (n.)(OE tāc(e)n)
tokening (ger.)(OE tācnian)
þo (ad.)(OE þā)
þos (pron.)(? < OE þās)
あるいは þise~þese への類推による新造形か、þo + -s か。 : los
(OF /: /)
waileway (n.) (OE wā lā wā)
二重母音は ON vei の影響もあるが(cf. woleway)
、感嘆詞的
性格から、元来のゲルマン語の二重母音が保持されたのだろう
wed(de)loc (n.)(OE wedlāc)
: bok (n.; OE ö) : tok (OE ö) は /: / : /o: /
w(h)om (OE hwām (dat.))
whām もあった。これは弱強勢のために短音化したものか、OE
の二重語 hwåm の SE での発達(/a: /)か、同じ音をもつ北部の異形か
wo (n.)
: mo
walewo (n.), wolewo (interj.)(OE wā lā wā)
第1音節の< a >は短母音
woleway (interj.)
wolewo (interj.)と waileway (n.)との混交、後者でゲルマン語の二重母音
が保たれたのは感嘆詞だから
(at)wot (pr.)(OE ætwāt)
強変化第1類。: mot (OE ö) : bote (n., OE ö) は /: / : /o: /、
: (eueri) grot (OE o) は // : // か /: / : /: /
wroþ(e) (adj.)(OE wrāþ), wroþer (comp.)
: loþ : oþ : boþe
OE å1 and å2
< e >か < a >で表わされ、別の SE の特徴 å1 / å2 > /a: / を示す
e-つづりの場合は å1 の /: /なのか、å2の /: /なのか、あるいは /e: /をもつ OE の変種(A or K
(SE))に由来するのか断言できない。ロンドンなどでは /: /-形と /e: /-形が共存したようだ。AM
には短音化した OE å1 (~ë) の例も沢山ある。その場合、a-形は OE å1 に遡るが、e-形は必ずしも
起源の /e: /を示さない。後の /: /の短音化かもしれないし、pt.形と pp.形では類推のせいかもし
れない。短音化した OE å2 (~ë) にも同じことが言える。
SE の発達 å2 > /a: / をはっきり示す例は AM に2つしかない:
sade (n., 1x), Šare (n., 1x)
ライムで
å2
可能性のあるものは:
haþen (n., 4x), lade (inf., 1x)
行中で
å1
2
å
maden (n., 1x), laten (inf., pp., 2x)
haþen (n., 6x), bilaue (inf., 1x), hale (n., 1x)
ライムで
å1
2
å
rade (inf., 3x), grade (inf., 1x), (y)sade (pt., pp., 5x), rade (n., 6x),
(y)slape (inf., pp., 2x)
OE å1 (~A /e: / 歯音・歯茎音の前で)
22
< WGmc ai + i
ani (OE ånig > ãnig)
AM には a-形のみ。eni は強勢をもつ形態で、文語では / :ni/ が保
持されたが、つづりは < any >が広まった。: mani (OE a / æ) は、ME に meny もあるので、
a-ライムだと断言できない
agast (inf., pp.)(gåstan)
agast (pp.) : fast (OE æ) は恐らく a-ライム、agast (inf.) : alblast
(OF a) : hast (OF a) も音価が不確か(ここでは短音化)
(n)anne (infl. OE (n)ænne)
: panne (OE a) は明白な a-ライム
ar(e)(OE år, ON ár)
ar(e) : þar : whare : bar (pt. pl.)では、脚韻語が OE å2 を持っているか
どうか不確か、これらの音価は恐らく /a/
arnemorwe (OE on årne morgen)
arst (ad.)(OE årest, ärest; cf. ON ār)
å1 > ã か OE の /a: /をもつ二重語から。SE と Merc
で// に上げられ、ME で a と e の変種を作った OE ã とも押韻するので、(to)brast(barst と
読め)とのライムは /a/ だと言いきれないが、AM では OE ã はふつう< a >で表わされるから、
恐らくそうだろう。: darst (OE ea) でも後者に e-形がある(短母音)
badde (pp.)(OE bådan) ‘oppressed, defiled’
: gradde (? < å2) は両方ともあいまい
cf. badde (adj.) : hadde
bar (pt. pl.) (OE båron / bēron)
OE å2 を持っているかどうか不確か。音価は恐らく /a/
bilaue (inf.)(OE belåfan)
haue とのライムでは SE の /a: /であろう。 が、haue は短母音
だろうから、屈折形の /a/ の水平化とも考えられる(明白な ä-ライム)
del (n.)(OE dål)
: wel は明白な e-ライム、短母音だろうが、wēl もあったので、長母音の
可能性もなくはない
deled~delt (pp.)(OE dålan)
erand (n.)(OE årende)
er(e) (conj., ad.)(OE år)
: pouwer (AN /e: /) は明白な ē-ライム
(n)euer (ad.)(OE (n)åfre)
eueri, -y, -ich(e)(OE åfre ålc)
fatt (adj.)(OE fått)
flesche(s) (n.)(OE flåsc)
: wes (OE æ) は音価の疑わしいライム
flescheliche (ad.)(OE flåsclïc)
短音化
gastlich (adj.)(cf. OE gåstan) ‘ghastly’
hale (n.)(? OE hålu, hål)
tale とのライムでは SE /a: /であろうが、OE hāl (adj.)の幹母音
をもつ北部の別形 hale も考えられる(明白な ā-ライム)
heþen~haþen (n.)(OE håþen)
haþen は恐らく SE の異形(もっとも、屈折形の短音化し
た å の水平化と、その後の開音節での長音化も考えられるが)。 haþen : maþen(長音化した
OE a)と heþen(haþen と読め): maþen は明白な ā-ライム、: scaþen (OE (e)a) : scaþe (OE
(e)a)も同じ。haþen : baþen は、OE に baþian と beþian があったので、あいまい
hest (n.)(OE hås + t (剰音))
: best は明白な e-ライム(短音化した?)、: prest (OF /: /)も同
じ(ここでは長い?)、: rest (OE e, æ) は恐らく / /ライム、: hast (OF a) では脚韻語に e-の
異形がある
hete (n.)(OE håtu, håte)
: mete(開音節で長音化した OE e)は明白な ē-ライム、: þrete
(inf., OE ēa)も同じ
knoweleche (n.)(OE cnāwlåcan)
: seche(/e: / < OE ö + i)は明白な ē-ライム
lark (n.) (OE låwerce, lāwerce)
å1 > ã か OE の /a: /をもつ二重語から
lede(n)~lade (inf.), lede(þ) (pr.), lèd(de)~lad(de) (pt.), (y)lad(de) (pp.) (OE lådan)
lade
(inf.) は恐らく SE /a: /を持っているが(cf. låtan /å2/)、lade (imp.) は SE 形かどうか分からな
い(命令形は早くに短音化したかも知れないので)。OE å2 をもつ misdede や ferrede とのライ
ムは音価が疑わしい。 lede(þ) : gredeþ(語源不明の å): sede (pt., WS såde)も同じ。ledden
: bredden(短音化した å2)も。 ladde : badde (OE æ) は //も可能
(bi)left(en) (pt., pp.)(OE (be)låfan)
leren (inf.), lerd (pt.)(OE låran)
lerd : herd (n.) は明白な e-ライムで、恐らく長い
23
lasse~lesse (adj.)(OE låssa)
las(se) : tasse (OF a) : passe (OF a) は明白な a-ライム。
las(se) : was (OE æ) は wes もあるので、あいまい。lasse : cuntasse (OF)も -esse があった
ので不確実。 lasse : messe : masse、 lesse ( : misse) は lñste の // を持っている
lassed (pt.)(cf. OE adj. låssa) ‘lessen’
last~lest (pt.), ylast (pp.)(OE låstan)
last : last (OE latost) は明白な a-ライム、ylast :
mast は、後者が OE måst に由来するのなら、同起源の音同士
leue (inf.)(OE låfan) ‘remain’
: reue (n.,< ? OF)も少し怪しい、/a: /かも
leuedi (OE hlåfdige)
すべて e-形、ami や cri (OF)とのライムでは短母音だろう
(bi)leue(n), leueþ (pr.), bileuestow, (bi)(y)leued (pt., pp.), bileueing (ger.)
biment (pt.)(OE bimånan)
(al)mest~(al)mast (adj., ad.)(OE måst)
: a bast (OF) は、脚韻語が a-形しか持っていない
ので明白な a-ライム(/a: /?)。だが OE には māst もあったので å1 とは断言できない。 mest :
rest (OE e, æ) は疑わしいライム。(al)mast : hast (OF a) も脚韻語に e-の異形がある
mislad~-led (pp.)(OE lådan)
misled : adred(短音化した å2)は音価の疑わしいライム。
mislad : glad (OE æ) も疑わしいが、/a/ だろう
naþeles~naþelas (ad.)(OE -lås)
(noþe)las は SE /a: /を示すが、cas や pas (OF a) とのラ
イムでは、これらが OE ã と押韻するので、短音化した OE -lås からとも考えられる。 naþelas : was (OE æ)は、naþeles : wes もあるので、あいまい
(al)redi~rady, EME rædi(Š) (adj.)(OE (ge)råde) ‘ready’
rady の母音の長さは分からない。
1
もし長母音なら、SE /a: / < å かも。OE gerād に遡る北部の異形ではない。 redi : asaily (inf.)
は最後の音節のライムだろうが、両語とも a の変種を持っていたので、本来は rādi : asāly(代
償延長による)であったかも(-y に終わる南部の inf.であるので、a が北部で生じた ai の短母
音化を表わすとは解せない)
(a)rere(n) (inf.), arereþ (pr.), arered (pt.)(OE (ä)råran)
arere : were (OE å2) は音価の疑わ
しいライム
se(e) (n.)(OE så)
: þe(OE /e: /)は明白な ē-ライム(/: / : /e: /か、/e: / : /e: /)
spred(den) (pt., pp.)~sprad (pp.)(OE språdan)
teche (inf.)(OE tåc(e)an)
þrest(en) (pt.)(< ? OE þråstan, ? ON þrýsta)
語源が不確かなため、次のライムの音価は断
言できない、þresten : resten (pt., OE e, æ)、þurchþrest (pp.) : fist (OE ÿ)、þrest : chest (OE
ēa)。 : best (OE e) : brest (OE ēo) は確かな e-ライムだが、å1 ではなかろう
(of)(y)weued (< ? OE *wåfan か ON veifa) ‘remove, strike off ’
: heued (OE ëa) :
yreued (OE ëa) : cleued (OE ëo) は明白な ē-ライム
whar(e) (ad.)
OE å2 を持っているかどうか不確か。音価は恐らく /a/
vnwrest~vnwrast (n.)(OE adj. unwråst, wräst)
vnwrast は短音化した /a/か、SE /a: /か
wristling (n.)(< OE *wrēstlian)
起源の /e: / > /e/ からの発達
wre(t)þe~wra(t)þe (n.)(OE wråþ(þ)u)
wretþefulliche (ad.)では短音化、wratþe と wraþ1
fulliche は å > ã か OE の /a: /をもつ二重語 wrāþþu から
OE å2 (~A, K /e: /)< WGmc ā
< e >で表わされる
< a >も数例あるが、OE å2 に対応すると断言できるものはない。短音化した å2 は < e, a >で
adrad~adred (pp.)(OE andrådan)
adrad : gradde、adred : misled : bed では短音化、
adrad : bad (pt. sg.) では後者に e-形があったので、あいまい
aferd (pp.)(OE fåran)
at (pt.)(OE etan, pt. sg. åt)
hat (OE æ)とのライムでは短音化した åt(Wright は第4類・
第5類の pt. sg 形への類推とする)
、hat に e-形がないのと、OE æ はたいてい< a >で現われる
24
ので、明白な a-ライム。 at : sat は疑わしいライム(pt. pl.の母音の水平化もあり得たので)
aue (OE åfen)
: haue では、SE /a: /も考えられるが、短音化したものだろう
bad(e) (pt., pl.)(OE bådon)
pt. sg.形の /æ/ + 長音化(: made)
bere~bare (n.)(OE bår) ‘bier’
bere : liter (AN e) は紛れもない ē ライム
bere (n.)(OE gebåre)
: (y)here (A /e: /) は紛れもない ē ライム
beren~bare(n)~born (pt. pl.)(OE båron)
元5類(5類の動詞の多くは4類に移ったので、
pp.に /: /を持っていた。従って、それらは pt. pl.で e-形と並んで、o-形も見せる)。bāren
は pt. sg.形の /æ/ + 長音化だろう(SE /a: /ではなく)、born (pt. pl.)の /: /は pp.形の類推のた
めかも。bare : ware や bare : schar (pt. pl.) : whar(e) は音価があいまい(いずれも OE å2 で
はないだろう)
blast (n.)(OE blåst, ON blástr)
(y)cast (ON kasta) とのライムでは短音化した OE å か、
ON á を持つが、cest もあったので、あいまい
bredden (pt.)(OE brådan)
breken~broken (pt. pl.)(OE bråcon)
元5類
dede~dade (n.)(OE dåd)
dede : rede (n., OE å) : rede (inf.) : felawered (n.) や dade :
rade のライムは音価があいまい
(vn)dede(n) (pt., pl.)(OE -dydon か、詩の dådon)
e-形のみ
dradefullich (ad.)
SE /a: /ではなく、短音化しているのだろう
dred(e) (n.)(formed from OE ondrådan)
: dede (adj., OE ëa) 紛れもない ē ライム。
: sede : ferred
drede (imp.)
eten (pt. pl.)(OE åton)
5類
euen, auensong (OE åfen-)
後者は SE /a: /ではなく、短音化しているのだろう
felawered (n.)(OE -råden)
: dede (n., OE ëa) 紛れもない ē ライム
: forby
ferly, ferliche (adj., ad.)(OE fårlïc)
ferrade~ferred(e) (n.)(OE gefërråden)
ferrade : made は確かな a ライムだが、a-形が SE
/a: /を持っているとは断言できない。弱強勢のために /æ: /が短くなり、その /a/がライムで長く
なったのかも。 : þede (OE ēo) は紛れもない ē ライム。 ferrade : glade (adj., OE æ) は a-ラ
イムだろうが、/: /の音価も考えられないことはない
gredeþ (pr.), gradde~gred(den) (pt.), gredinge (ger.), gredeand (? OE grådan) ‘cry out’
< OE å2(?)、grade (inf.) は恐らく SE 形( : made)
Šare (n.)(WS gëar, A gër)
SE /a: / < å をもつ。 : fare (OE a) は紛れもない ā ライム
hare~here (n.)(OE hår, ON hár) ‘hair’
ライムには here も。here : tere (pt. sg., OE e)
は紛れもない /: /ライム。しかし hare : tare (pt. sg.)もあり、音声の不確かさを示す。a-形は
SE /a: /だろう(ON hár なら ö 形になるはず、北部の ā をもつ形態も可能)
lete (inf., imp.)~laten (inf.), late (pp.)(OE låtan)
laten は恐らく SE /a: /を持っている。
làte (imp.) と late(n) (pp.)は短音化した å か、SE /a: /をもつ。 (for)late : gate (OE ea, a)、
lete : biŠete (n., OE (i)e) は a-形もあるのであいまい。 late (pp.) : tate (< ? OF) もあいまい
mede(n) (n. pl.)(OE måd)
meteing (ger.)(? OE måtan, n. måting)
英語以外にはない
misdede
nedel (n.)(OE nådl)
ner(e)~nar (pt. pl.)(OE ne + wåre, -on)
pt. sg.形の /æ/ + 長音化
quaþe (pt. pl.)(OE cweþan, cwæþ, cwådon)
: raþe (OE a / æ)は音価が不確かなライム。
この pt. pl.形が d ではなく þ を持っていることは、必ずしも pt. sg.形を意味しない。ME では
þ がよく pt. pl.や pp.に水平化された
ras (n.)(OE rås, ON rás) ‘rush, race’
: cas (OF)では SE 形か、北部形(< ON)
red(e)~rade (n.)(OE råd, rād, A rēd, ON ráð)
rade ( : ymade) は北部形ではなく、SE 形だ
ろう(OE ā は AM では< o >で現われるから)。 rede / ferrede : spede (OE /e: /) と red : ded
25
(OE ëa) は紛れもない ē ライム。 red : qued (OE ëa) は共に a-形を持っているので、あいまい
rade (inf.), rede(n)~rett (pr.), redde (pt.)(OE rådan)
a-形は恐らく SE /a: /(: made)、
rede : nede (A /e: /) は紛れもない ē ライム
sade (n.)(OE såd) ‘semen’
SE 形。 : made (pp.) は紛れもない ā ライム
sede (pt.)~(y)sade (pt., pp.)(WS såde, non-WS sægde)
a-形は SE /a: /を持っているか、
代償延長によって ai (< sægde)から来ているか、それとも弱強勢のために ai > a となり、その
後開音節で長音化したか。 (y)sade : (y)made : abade (OE ä)、 sede : drede : ferred は音価が
あいまい
(vn)sely (adj.)(OE unsålig, *sålig)
set(e)(n) (pt. pl.)(OE såton / såte)
: wepe (OE /e: /) は紛れもない ē ライム
slape (inf.), yslape (pp.), slepeand (pr. p.)(OE slåpan, A slëpan)
slape : ape (OE a) や
yslape : rape (‘haste’) では SE /a: /を持っているか、ME の弱変化形では短音化が生じ /a/~/e/
となったので、その /a/ が強変化形に水平化し、その後長音化したものか
slepe (n.)(OE slåp)
speche (n.)(OE sp(r)åc)
(bi)speke(n)~spac~-spoken (pt. pl.)(OE (bi)spåkon)
元5類。a-形は pt. sg.形の /æ/ + 長
音化だろう。 : take : rake (OE a)
stalworþ (adj.)(OE stål-)
短音化したか、SE /a: / をもつ形態か
strete (n.)(OE stråt)
: ybete (OE ëa) は紛れもない ē ライム、: wete (OEå) は音価があいま
い
(to)tere~tare (pt. sg.), toteren (pt.pl.)(OE teran, pl. -tåron)
(to)teren : speren (OE e) は
紛れもない/: /ライム、(to)tere : here、tare : hare
trede (pt. pl.)(OE tredan)
: ferrede は音価があいまい、後者は ME で弱変化形も持ってい
たので、第2要素の短音化を考えれば、短い e ライムかも
þer(e)~ter(e)~þar(e)~tar~þore (ad.)(OE þår, þär(a), ON þar)
þare : care では、a-形は
2
OE å を持っているかも、あるいは OE の二重語 þär(a) が弱強勢のために短音化したのかも。
あるいは þår が早くに短音化し、その後再び開音節で長くなったか。ON þar も考えられる。
tere : here (ad., OE /e: /) や þere : chere (AN e) は紛れもない ē ライム。 þare / tar : bare (n.)
。 þore は OE þär(a) の o-形からか。 more と
はあいまい(どちらも OE å2 ではないだろう)
のライムでは両方とも a-形を持っているので、SE の å2 > /a: /も可能。 þar(e) : bar (pt. sg.,OE
ã) では後者が SE ā を持っていないので /a/が合理的(もっとも、類推によって pl.形から å2 を
もらったかも。また、水平化は pt. sg. → pt. pl.の方が強かったので、/: / (~/e: /)も可能、た
だし、OE æ は AM では< a >として現われる)
。 þer(e) / wher : Šer は a-形もあるのであいま
い。 þere : were (inf.) も、後者に共に「守る」を表わす OE werian と warian があったので、
a-ライムも可能
þral (n.)(OE þrål, ON þrâll)
短音化か、SE 形か
wer(en)~war(e)(pt. pl., pt. sg. subj.)(OE wåron)
war(e)は pt. sg.形の /æ/ + 長音化(SE
/a: /ではなく)。 ware (subj.) : Šare (adj.) では /: /も可能なので、あいまい。 ware : (y)fare
: fare (OE faru, fær)、 ware : care、 were(ware と読め): (mis)fare : care、 waren (pt. pl.
subj.) : taren (< ? MDu tarwe~terwe) も e-と a-と両方可能
wede (n.)(OE wåd(e))
: stede (OE /e: /) は紛れもない ē ライム
wete (n.)
: strete
w(h)er(e)~w(h)ar(e) (conj., ad.)(OE hwår, hwår(a), ON hvar)
þare の説明が当てはまる
wiþradden (pt. pl.)
: hadden (pt. pl., OE æ) は後者に e-形があったので、あいまい
? wreken~wroken (pt. pl.)
元5類
OE ē
(< ö + i; Gmc close ē; 長音化した WGmc final e )
26
< e >で表わされる
OE /e: / はそのまま残り、様々な起源の /e: /と /: /の両方と押韻する
bibled (pp.)(OE blëdan)
短音化した /e: /を持っている
biclept (pt.)
短音化
bihef (adj.)(OE behēfe)
: mischef (AN e)
blede (inf.)(OE blēdan)
? blesse (OE blēdsian)
AM には現われない。 cf. blisse (OE blissian)
fele (inf.), feld (pt.)(OE fēlan < ö + i)
pt.形は /e: /~/e/で揺れる
(a)(vnder)fenge (pt.)(OE (ā)feng)
/e: /~/e/で揺れる、OE 期にも両方あった。-feng(e) :
lesing : king のライムは短い-eng と、恐らく ng の前での上げ e > i を示す
ferd(en) (pt.)(OE fēran)
/e: /~/e/で揺れる、: yherd (pt., OE ē / ïe)
fere(n) (n. pl.)(OE gefēr(a) < ö + i)
/e: /、: steren (OE y)、: (y)here(n) (inf., A ē)、: chere
(n., AN e) : maner (AN e)
fet (n. pl.)(OE fēt < ö + i)
: sket (ad., OE ēo)
feuer (n.)(OE fēfer; < Gmc ē; cf. OF fievre)
glede (n.)(OE glēd)
wide とのライムは /i: / : /i: /かも。そうであればそのライムは /e: / >
/i: /の上げを示すことになるが、AM の詩人はあまり正確ではないので、/e: / : /i: / だろう
greneþ (pr.)(OE grënian)
(of)gret(ten) (pt.)(OE grētan, pt. grētte)
: met(ten)では共に短音化している。: sett (OE e)、
: schet (inf., OE y)、: site (inf.)では、短音化+上げ e > i か、sittan と settan の混同か
he (pron.)(< 長音化した WGmc -e)
hede (inf.)(OE hëdan)
: nede (A ē)
hele (n.) (OE hēla)
: eschele (n., AN e)
heng~hing (pt.)(OE heng)
/e: /~/e/で揺れる、OE 期にも両方あった。hing : þring では
þreng もあったので、/ i/も /e/も可能
her(e) (ad.)(OE hēr; < Gmc ē)
: fere (n. pl.)、: tere (OE þår)、: der (n., OE ēo)、: power
(AN e) : messanger (AN e)
(bi)het(e)(n) (pt.)(OE (be)hātan, hēt / heht, hāten; < Gmc ē)
hing (pt.)(OE hëng)
< i > は短い/ i /、だが / e / もあり得る
kene (adj.)(OE cēne < ö + i)
/e: /、: dene (OE y)
keneþ (pr.)(ME vb. from adj.)
: greneþ (pr.)
kepe (n.)(OE cēpan)
: wepe (pt., OE ēo)
kepe(n) (inf., pr., imp.), kept (pt.)(LOE cēpan, cēpte; < ö + i)
pt. sg.では短音化。 kept :
biclept (OE y)、 kepe : wepe (inf.) : lete (pt.)
let(e)(n) (pt.)(OE låtan, lēt; < Gmc ē)
: bete (pt., OE ēo)
mede (n.)(OE mēd; < Gmc ē)
mete (inf.), met(ten) (pt., pp.)(OE mētan, mētte)
pt.形では短音化。 mett : bet (comp.,
OE e)
quen (OE cwēn < ö + i)
/e: /、: den (OE y)、: ben (inf., OE ëo) : stren (n.) : ysen (inf.) :
bitven (prep.)、quene : schene (A ē)
red (pt.)(WS rëd)
WS の短い弱変化形 rædde に由来するなら短母音
seche(n) (inf.)(OE sēcan < ö + i)
: knoweleche (OE å1)
slepe (pt.)(OE slåpan, slēp; < Gmc ē)
spede(n) (inf.), sped(den) (pt.)(OE spëdan)
pt.形では短音化。 speden : mede (n.)、
spede : ferrede (OE å2) : rede (n., OE å2)、: qued (n., OE ēa)
stede(s), -(n) (n.)(OE stēda < ö + i)
stede(n) : blede、: vnrede (OE y)、: rede (inf., OE y)、
: wede (n., OE å2)、: dede (adj., OE ēa)
swete (adj.)(OE swēte < ö + i)
teþ (pl.)(OE tēþ < ö + i)
we (pron.)(< 長音化した WGmc -e)
27
wend(en) (pt.)(OE wēnan)
/e: /~/e/で揺れる、: hende (adj.)
wepe (inf.), wepeing(es) (ger.)(OE wēpan < ö + i)
: sete (pt. pl., OE å2)
weri (adj.)(OE wērig)
: dreri (adj., OE ēo)
yherd (pt.)(OE gehëran, -hïeran)
: ferd では長・短が不明
OE (ON) ī
無変化。< i >で表わされる(時折 < ii, y >でも)
abide (inf., pr. subj.)
: hide (pr. subj., OE ÿ)
arist (3 sg. pr.)(OE ārīsan)
短音化
bi (ad.)(OE bī)
bite(n) (inf.)(OE bītan)
smiten (pt. pl.)とのライムは /i: / : / i/、: smite (inf.)、: delite
(inf., OF i)
bliþe, bliþeful (adj.)(OE blīþe)
bleþeliche の /e/は短音化した /i: / が円唇音化したもの
(/i/ > /y/ ( > SE /e/ ))(Wallenberg)。 : swiþe
bridel(s) (n.)
chidde (pp.), chideing (ger.)(OE cīdan)
pp.形では短音化、chidde : mide (OE mid)
diche (OE dīc)
: -liche (OE (ge)līc)
driue (inf.)
fift (OE fīfta)
二重子音の前での短音化。 fiftene, fiftend, fifti も同様
fiue (OE fīf)
forbi, -by (ad.)(OE foran (ad.) + bī)
: heiŠe (n.)、: ferly : sikerly
glide (inf.)
ire (n.)
: lire (n.)
ysen は南部の異形
iren~yren~ysen (OE īren, īse(r)n)
kniif, kniues (n.)(OE LOE cnīf)
liche (n.)(OE līc) ‘body’
: sikerliche は /i: / : / i/(OE -liche は ME で短くなる傾向があっ
た)、が、フランス語の影響で強勢が残っていたかも
liche (adj.)(OE gelïc)
EME の単語、: sikerliche は /i: / : / i/
lickenisse (OE (Nhb) līcnes)
短音化
(bi)liif (n.)(OE -līf)
: striif (OF i)
lime (n.)(OE līm)
(bi)line(s) (OE līne, OF ligne)
: chine (n., OF i) : matines
lire (n.)(OE līra ‘fleshy part, muscle’, < ? )
mile(s) (n.)(OE mīl)
niþe (n.)(OE nīþ) ‘evil, spite’
pine (n.)(OE *pīn; L poena)
ride(n) (inf.)(OE rīdan)
: pride (LOE ÿ)、: bridel (OE ī)では、後者は bride (< OF)かも
riue (inf.) (ON rífa)
: driue (inf.) : fiue
schide(s) (n.)(OE scīd)
sekeling (ger.)(OE sīclian)
OE には å, ē(o), ÿ をもつ異形があった
(bi)side (n.)
: tide (n.) : glide (inf.) : abide (inf.) : wide (ad.)
sikerliche (ad.)(LOE sicerlīce)
OE -liche は ME で短くなる傾向があった
smite (inf.), smit(en) (pt. pl.)(OE smītan, smāt, smiten)
: lite (ad(j)., OE lÿt)
stef (adj.)(OE stīf)
/i: / > /i/ > /e/ (Wallenberg)。語末のただ1つの子音の前でも短音化が起
こったのかも
stett (pt.), (wiþ)stet(ten) (pt. pl.), stite (pp.)(? OE *stīetan)
pt.形は vnknett や schetten
と押韻する。< i >を持っているのは pp.の1例だけで ysmite と押韻する
swiþe (ad.)
tide (n.)
28
þin (OE þīn)
þritti (num.)(OE þrītig)
二重子音の前で短音化
þriue (inf.)(cf. ON refl. þrífask)
: fiue : (in his) liue
white (n., adj.)(OE hwīt)
wide (adj., ad.)(OE wīd)
: glede (n., OE ë) は ī ライムだろう
wiman~woman (sg.)(LOE wimman < wīfman(n))
o-形は /w/ の影響
win(e) (n.)
: maseline (n., OF i)
wise (adj.)(OE wïs)
: iustise (n., OF i) : prise (OF i)
wise (n.)(OE wīse)
write(n) (inf.)
OE (ON) ō
< o >で表わされる。狭い /o: /(ハンバー川の南では保持された)
(after)none (n.)(OE -nōn)
one とのライムは 狭い /o: / : 広い/ c:/
blod (n.)
: flod (n.) : hod (n.) : mode (n.) : wode (adj.)、 brod (adj., OE ā)とのライムは
/o: / : / c:/、 blod : code (n., OE cod(d))
bok(e) (n.)(OE bōc)
: oke (OE ā)、bispoke とのライムも /o: / : /c: /(後者は類推の /c: /)
bond (n.)(OE bönda; ON bóndi)
bone (ON bón)
bote (n.)
: wot (OE ā)
broke (n.)
: boke (n.)
broþer (n.)(OE brōþor)
cloþ (n.)
boþe とのライムは /o: / : / c:/
com (n.)
/o: /をもつ
(bi)(ouer)cam~(bi)com (pt. sg)(OE c(w)ōm)
sg. com : grome (OF) は /o: /ライム。-cam
は同起源の音をもつ語や oŠan と押韻する。 sg. (pl.?) com : man では cam と読むべし。
cam は late Northumbrian で nom > nam と同様に、com が変化したもの(OED)
(bi)come(n) (pt. pl.)(OE c(w)ömon)
同起源の音や OE u と押韻する。ynome (pp.) とのラ
イムでは後者が /u/ > /o: /へ変化したか、pt. pl.の /o: /を持っているか
dom(e) (n.)(OE döm)
hom (OE ā)とのライムは純粋な /o: / : /o: /かも。: ynome (pp.) は
開音節での /u/ > /o: / を示す
do(n) (inf.), (y)don (pp.)
flod (n.)
fode (n.)(OE föda)
: gode (adj.)
fot (n.)
gode (adj.)(OE gōd)
: wode (OE u) のライムは開音節での /u/ > /o: / を示す
(y)gon (pp.)
hod (n.)
hore(s) (n.)(LOE hōre; ON hóra)
houe (pt. sg.)(OE hebban, hōf)
AM には類推の hef もある(: bref (adj., AN /e: / < OF ié)
houe(n) (inf., pr.)(EME hōuen < ? OE *hōfian) ‘tarry’
proue や loue と押韻する。aboue
とのライムは /u/ : /u/か、/o: / : /o: /、coue とのライムは /o: / : /: /
lok(e)(n) (inf.)(OE lōcian)
loke : souke (inf.) = /o: / : /u: /だが、後者が OE *sùcian に由来
するのなら、純粋な /o: / : /o: / < /u/ になる。あるいは、loke の /o: /は /u: /へ変化しつつあっ
たので初期の /u: / : /u: / かも(しかし Jordan はその変化を 1400 年頃とする) cf. toke
mididone~-ydone (ad.)(OE gedōn)
SEMid の表現。 : sone(開音節で OE /u/ > /o: /)
mode (n.)(OE mōd)
moder (n.)(OE mōdor)
most (pt.) (OE mōste)
(h)ost (OF o) とのライムは /o: / : /c: /
29
mot (pr.)
wot (pr., OE ā) とのライムは /o: / : /c: /
(bi)nam~-nom (pt. sg.)(OE nam, nōm)
同起源の音をもつ語や oŠan と押韻する
(bi)(vp)nome(n) (pt. pl.)(OE nomen)
同起源の音や OE u と押韻する
(after)none (OE nōn)
: one (num., OE ā)、none : gan (pt.) では gon だったかも
polk (< OE pōl, ME pōl(e) ‘pool’)
指小辞
schon (OE pl. scōs, gen. scōna)
soft (ad.)(OE sōfte)
二重子音の前での短音化 ( : oft)
son(e) (ad.)
: don (inf.) : mididone (ad.) : bone (n.)
(for) soþ(e)(n., adj.)(OE sōþ)
: toþ (n.)、oþ (OE ā) : cloþ (n.) : boþe とのライムは /o: / : /c: /、
soþ : norþ はアソナンス
stode (pt. sg. / pl.)(OE standan, stōd, stōdon)
tok(en) (pt.)(LOE tacan < ON taka, pt. tōk)
toke : soke (pt. sg) のライムには5つの解釈
がある。 1) toke の /o: / > /u/ : soke の /u/ < pt. pl. /o: / (sucon) が一番簡単な説明(Kökeritz
は tōc のような語で /o: / > /u/ はありそうにないと言う) 2) toke は /o: /の北部の発達 /ø: /
を示し、この音なら /u(:)/ とペアにされたかも
3) com の類推で sok があったので(Oct.に
は swoke (pt. sg.) や swokyn (pt. pl.) がある)、/o: / : /o: / が得られる(Fischer はこれに賛成)
5) toke の /o: / > /u: / の変化
4) socen (pp.)の /: /の水平化もありそう、/o: / : /: / になる
(1400 年頃)と souke (inf.)の /u: /への類推(pt. sg. souke のつづりもある)、/u: / : /u(:)/ が
得られる(ただし toke の /o: / > /u: / は疑問)
tole (n. pl.)
toþ (n.)
wode (adj.)(OE wōd) ‘mad’
abrod (ad., OE ā)とのライムは /o: / : /: /
OE ū
ME でも同じ音であり、< ou (ow, ov) >で表わされる(時折 < u >でも)
about(e)(n)~abuten (OE ābūtan)
abuten は恐らく短母音。: about : clout : out、: rout(e)
(OF ū) : dout(e) (OF ū)、: Brout (F Brut = Wace)
adoun (ad.)(OE of dūne)
: toun : broun
bounde (n.)(< OE būnda, bōnda の異形)
bour (n.)(OE būr)
: flour (OF ū)
bot(en) (conj.)(OE būtan)
短音化
bouke (n.)(OE būc)
: pouke
broun (adj.)(OE brūn)
buke (OE būc)
/u: / を表わす< u >は北部に長く残っていた。 : douke (OF /ü: /)
burmaiden (OE būr-)
短音化
cloude (n.)(OE clūd)
clout (n.)
clout (inf.)(cf. OE n. clūt)
couþe (pt., adj.)(OE cūþ)
crud (n.)(cognate with OE crūdan) ‘crowd’
長母音だろう(/u/ < pp. cruden ? でなけれ
ば)。 OED の初例は 1567 年
crudand (pr. p.)(OE crūdan)
donward~dounward (ad.)(OE adūn-)
短音化
doun (n.)
dust (n.)(OE dūst)
短音化、OE dŭst もあった(: ylust (pp.))
? founde (pt.)
hou~how (ad.)(OE hū)
: nov (now)、: Šou
hus(bounde) (LOE hūs(būnda); ON hús(bóndi))
hus- は短音化。: mounde(OE u の長音
化)
30
hous(es) (n.)
loude (ad.)(OE hlūde)
: cloude
loureand (adj.)(< ? OE *lūrian) ‘frowning, sullen’
mouþe (OE mūþ)
: couþe : souþe、 Portesmouþe : valoure (OF ū)
now(e)~nov (ad.)(OE nū)
no のつづりもある。: avowe (subj., OF ū)、: Jesu(OF obj.形)、
: Šou
our (pron.)(OE ūre)
our : four、 : dour (inf., OF /ü: /) : pure (OF /ü: /)
ous (pron.)(OE ūs)
ous : luxsorius (OF ū)、: Jesus (Iesus)(L 主格形で、ME には稀)
out (ad.)(OE ūt)
: snout(e) (n., < ? )
outward (ad.)(OE ūt-)
短音化
pouke (OE pūca; ON púki)
proude (LOE prūt, prūd; OF prud, prod)
proudeþ (pr., EME)
prout (adj.)
roume (n.)(OE rūm)
roun (n.)
: couioun (OF ū)
souke (inf.), soke~souke (pt. sg.), (OE sūcan, pt. pl. sucon, pp. sōcen)
pt. souke の
/u: /は inf.への類推( : loke)。seke (pt. sg.)もあった
cf. toke
soure (ad.)(OE adj. sūr)
(bi)souþe (OE sūþ)
stoupe (inf.)(OE stūpian)
: coupe (n., OF ū)
struted (pt.)(OE strūtian)
恐らく短母音
toun(e) (OE tūn < L ū)
: croume(OE u の長音化)は母韻、: coroun (AN ü) : renoun :
dragoun、 : June (< L ū)
þousinde~þousand (OE þūsend)
ライムで多用される、< i >は短母音。þouand は後者の
崩れた形態
vterliche (ad.)(OE adj. ūter(r)a, ütt(e)ra, etc.)
短音化
OE ěa
(割れ)
> /æ/ (11 C) > /a / (12 C)(= /a / < OE æ )
1. 長音化を起こさない子音群(r / l + C, hs > ks)の前で
< a >で表わされるが、OE ea
は ME で ( æ > ) a となったので、割れなかった OE a と区別できないことがある
al(le) (OE eal(l))
: halle : (bi)(y)falle : calle : wal(le) : Šalle (OE ea)、al : whal (OE æ)、
al(le) : greal (OF)は /a/ : /a: /か、純粋な /a/ : /a /か。 alle : talle (inf., OF ai)
arm (OE earm)
: harm : barm、armes : armes (OF a, ‘coat of arms’)
(n)art (WS, M eart, Nhb arð)
: part (OF a)
ax(es) (n.)(OE eax)
ex のつづりもある(OE の二重語から)
bal (? *beallu; ON bôllr; cf. OE heafodbolla ‘skull’, F balle)
bale (OE bale, bealu)
bealu は割れをもつ屈折形 bealw-からの形成、bale : tale (OE a) は
ā ライム
cf. Šare : fare
barm (OE bearm)
calle (inf.)(OE ceallian, *callian; ON kalla)
(to)carf~karf (pt. sg.)(OE ceorfan)
dar (pr.)(OE dearr)
darst (OE dearst)
: arst(短音化した OE å1)
(bi)(y)falle(n) (inf., imp., pp.)(OE feallan)
half (adj.)(OE healf)
halle (n.)(OE heall)
31
halp (pt.)(OE helpan)
hals(ed) (pr., pt.)(OE halsian, (? hälsian), healsian)
harm (n.)(OE hearm)
harmes : armes (OF) : gisharm (OF)
marked (pp.)(OE mearcian)
merk (n.)(OE mearc)
< e >をもつのは滑化を受けた A 形か、ON merki のため。仏語の
影響もあり得る。また、ME の変化 er > ar によって引き起こされた逆綴りか
scharp(pe) (adj.)(OE scearp)
selt (n.)(OE sealt)
OED には e-形がないが、これは F sel の影響か、または WS (K) æ
< ea の a palatal reflection かも。 : telt (n., OE e) : telt (pt. pl., OE e) は確かな e-ライム
starf (pt. sg.)(OE steorfan)
: carf / karf
sterk (adj.)(OE stearc)
werk (OE eo)とのライムでは滑化を受けた A 形か、ON sterk-r の
影響か。あるいは ME の変化 er > ar によって引き起こされた逆綴りか(cf. Ch perlament)。
werk > wark を考えると、/a/ライムの可能性もある
þarf (pr.)(OE þearf)
wal(les) (n.)(OE wall, weall)
: saunfail (OF ai) は /a/ライムかも
cf. redi : asaily
wexeþ (pr.)(OE weaxan)
Šalle (n.)(OE gealla)
Šare (adj.)(OE gearu)
ware (pt. subj., OE å2)とのライムはあいまい cf. were
Šare (acc.pl.)(OE gearu, infl. gearw-)
fare (inf.)とのライムは /a: / : /a: /
2. 長音化を起こす子音群(rd, rn, ld)の前で
長音化は OE で一様に起こったわけではないので、ME には短母音の形態もある。r + C の
前では < a > ( /a/ )~< e > ( /: / )を、l + C の前では < e > (WS /: / < /e:a/ )~< o > (A -Mid
/: / < /a: / ) を AM は示す。 -eld 形と-old 形の出現数は前者の方が多い:
行中では
66 : 22
ライムでは
7:2
alderman
/a/ を持っているが、WS /æ/ < /ea/ からか、A の割れを受けなかった /a/ から
か決めかねる
barn (n.)(OE bearn; cf. ON barn)
: ran では arn と読め cf. ernne
berd~bard (n.)(OE beard)
bard : steward (n.)
bold~beld (adj.)
bold : told (pt.)、beld : feld (n., 長音化した OE e) は /: / : /e: /
cheld (adj.)
feld (n., OE e)とのライムは /: / : /e: /
eld~old (adj.)
eld : beld (adj.)、bold : told
eldfader
北部方言に表われるが、満足のゆく説明はなされていない
ernne~arn (pt. sg.)(LOE earn)
ran (arn が正しい) : barn
(fele)feld~fold (ad.)(A -fald, -fold)
(fele)feld : scheld (n. A e) は /: / : /e: /、 (fele)fold :
wold (pt.)では /a/ライムも可能。 o-形は OE -fold(複合語だから短母音)に由来する
ferne (n.)
sterne (WS ie) とのライムは // : /e/
(y)fold (pp.)
: mold (n., 長音化した OE o)
hard (adj., ad.)(OE heard)
: (-)ward、: standard (OF a)
(y)held(en) (inf., imp., pp.), (y)holden (imp., pp.), heldeþ~holdeþ (pr.)(OE healdan, A háldan)
(at)(bi)held : teld (pt.) : aqueld (pt.)、 held : weld (inf., N/ EMid /K e) は /: / : /e: / だろう
が、後者は同じ意味の str. wealdan (WS) かもしれない
hern(panne) (n.)(ON hiarni)
北部とスコットランドの方言に現れる
(a)queld (pt.)
: feld (pp., N/ EMid/ K e) は /: / : /e: /
steward (n.)(OE stïweard)
: bard
(y)teld(en) (pt., pp.)~told (pt., pp.)
yteld (pp.) : (fel) feld (ad.)、 teld (pt.) : feld (pt., N/
EMid/ K e) は /: / : /e: /
ward (n.), -ward (ad.)(OE weard)
(to)werd : Šerd、 hiderward : bastard (OF a) と
32
afterward : maulard (OF a)では、脚韻語に -erd もある
warned (pt. sg.)(OE wearnian)
Šerd (n.)(OE géard) ‘garden’
: (to)werd (prep.)
OE ĕa の i-ウムラウト(A /, æ /, K / /, WS /ie/)
r / l + C の前
derne (adj.)(A derne, WS dierne)
herne (OE y)
eldest (adj. sup.)
elderlinges (n. pl.)
OED の初例は 1606 年
cf. eldringes in KA
felle (inf.), felleþ (pr.), (y)felled (pt., pp.), feld(en) (pt., pp.)(OE fellan)
felle : telle (OE e)
では OE feallan ‘overthrow’ の可能性もある。 yfeld : scheld (A e = WS ie)
ferd (n.)
(ax)helue (n.)
: tvelue (OE e)
wel (n.) (OE wiell(e), etc.)
welt (pr.)
cf. weld (inf.)
werne (pr.), wern(ing) (ger.)
: Šerne (inf., WS ie / io, eo)
Šerd(e) (n.)(A gérd) ‘rod’
OE ĕo
< e >で表わされる
> /ø/ > / /
1. 長音化を起こさない子音群(r / l + C, hs > ks, ht)の前で
bitvix(en) (prep.)(OE *betwiox(n) > WS -twëox(n))
*io から滑化によって出来た A 形か
(WS では eo, u, y)
fe (n.)(OE fe(o)h, infl. fēo; AN fee, fie) ‘property, payment’
: sle (OE åa) : þre (OE ēo)。
fe は屈折形に由来するが、AN 形とも混同された。AM の1例は ‘obligation, service’ の意味の
ロマンス語だろう
fer (adj., ad.)(OE feor(r))
: riuer (AN e) : souder ((n., AN e)。 air (AN ei)とのライムは ñr
もあったので、純粋な /(:)/ライムかも。 fer の// は語末の /r /の前で /a/ に向かっていた
herberwe (n.)(EME her(e)berge, OE *herebeorg; ON herbergi; OF herberge)
herken (EME herkien < OE *heorcian)
herre (n.)(OE heorr(a) ‘hinge’) ‘axis’
hert (n.)(OE heorte)
hert : cert (OF e) では /a/もあり得る。 : gert (pt.) : girt では脚韻語
の語源が不明
kerue (inf.), kerueinde (pr. p.)(OE ceorfan)
selue(n) (adj.)(OE se(o)lf)
: tvelue
sex (num.)(OE se(o)x)
sext, sexten(e), sexti
sterres (n. pl.)(OE steorra)
ster : herre (n.)
sterue(n) (inf.)(OE steorfan)
werk(es) (n.)(OE weorc)
werk : sterk (OE ea) : clerk (OF e) では /a/もあり得る
werk(e)men(nes)
worþ (inf., pr.)(OE pr. wierþ(s)t)
/w/ の影響。 / /か /u/か
worþ(i) (n., adj.)(OE weorþ, etc.)
/ / をもつ北部形か(南部と中部では< w >の影響で
weor- > wur-)。 worþ : norþ : forþ は / /のライム
worþschip(e) (n.)
/ /か /u/か
worþschipliche (ad.)
Šerne (ad.)(OE îeorne)
: wel-streme では長い /e: /で、母韻
33
2. 長音化を起こす子音群の前で
[OE ēo の項を見よ]
OE èo の i-ウムラウト
(hogges)herd (n.)(OE h(i)erde)
: lerd (pt., OE å1)
stern(e) (adj.)
: ferne (OE ea)
swere (n.)(OE swëora, swï(e)ra, etc.) ‘neck’
: here (inf., A ē)
wers~wors (adj. comp.)(OE wyrsa, wiersa)
wors は南部の形態(wyr > wur)( : hors)
Šerne (inf.)
werne ( i-ウムラウトを受けた OE ea) とのライムは /e/, / i/, /y/ が可能
OE èa の後舌母音ウムラウト(Back-Mutation)
ale (n.)(OE (e)alu)
開音節で長音化。AM ではライムに生じない
OE èo (ìo) ~ 非ウムラウトの (WS) e (i)
< e >で表わされる
bineþe(n) (ad.)(OE beneoþan)
/io/ > /eo/
clepeþ (pr.), (of)(y)cleped (pt., pp.)~clept (pt.)(OE cleopian)
/eo/ > // + 長音化、しかし
別形 OE clipian (/i / > /e: /) の可能性もある。 clept (pt.)も1例ある
cleued (pt.)(OE cleofian)
/eo/ > // + 長音化、しかし OE clifian (/i / > /e: /)も考えられる
fel(e) (adj.)
: wele (n.) : hele (inf.)、: bistere (OE y)、: damisele (OF e)
hele (OE he(o)lan)
hennes (ad.)(OE hionan + adv. -es)
/io/ > /eo/
hert (n.)(OE heor(o)t)
hertes : certes (ad.)では /a/もあり得る
heuen (n.)(OE heofon)
: steuen(長音化した? OE e)
mele (n.)
seuen (num.), seuend, seuenten(e)
: (vn)euen(長音化した? OE e)
seþþe(n) (ad., conj.)
/io/ > /eo/
siluer (n.)(OE seolfor, etc.)
/i /は ON silfr から
suster~soster, sustren~sostren (OE sw(e)ostor, swustor)
/w /の影響、だが < o >はつづ
りが違うだけかも
wele (n.)
world (OE w(e)orold)
/o/か /u/か。北部の warld(es)は werld (< weorold) の後の発達
Šalu~yalu (OE geolu) ‘yellow’
fale (OE f(e)alu ‘fallow’)への類推から作られた北部形
Šened (pt.)(geonian, ginian)
語頭前舌子音(Š, ç, sç)の後の二重母音化
1. 口蓋音+母音
つづりは < a >(< e >が1例)
1) èa < ã ~ 二重母音化しなかった ã
gate(s)~Šates (OE îeat, pl. g(e)atu)
at(e)とのライムでは短母音?
schaft(es) (n.)(OE sceaft)
: craft (OE æ)、 schaft : laft (adj.) の音価は恐らく / /
schal (pr.)(OE sceal)
schal : al は紛れもない a-ライム。 schel は滑化を受けた南部形
(< ea)か、二重母音化しなかった ã が口蓋音化した SE 形か。あるいは、強勢がないために
34
/e/となったか(cf. wes)
schar(e) (pt.sg.)(OE sceran)
scaþe(n), scaþes (n.)
e-形がないので、paþe(s) (OE æ, pl. paþas), raþe (ad.), haþen (n.)
とのライムは /a: / : /a: /
scaþe (inf., pp.)(OE sc(e)aþa, sceaþian; ON skaði, skaða)
e-形がないので、paþe(s),
raþe (ad., OE a / æ), haþen (n.) とのライムは /a: / : /a: /
(for)Šaf, Šaue (pt. sg)(OE -giefan)
Šalt (pt. sg.)(OE gieldan)
(bi)(for)Šat (pt. sg.)(OE -gietan)
forŠat : flat (OF) は紛れもない a-ライム。 biŠat : fat
(n., OE æ) : þat (pron., OE æ)
2) èa の i-ウムラウト(= ie, i, y)~ 二重母音化しなかった e
gestes (n. pl.)(cf. ON gestr)
3) WS ēa < @ ~ 二重母音化しなかった @, N /i: / < /i:e/ < /e: /
つづりは < e > ~ < a > ~ < i >
cheke (n.)(OE cē(a)ce)
/: /か、/e: /か
chest (n.)(OE cēast)
: fest (OF e) は紛れもない ē-ライム、恐らく短音化して // : /: /(cf.
chest : best)。 chest : þrest (OE å1 / ÿ) や chest : forest (OF)では /a/ かも
oŠen, oŠan(ward) (ad.)(OE ongēan)
oŠen : ben (OE ēo) は紛れもない ē-ライム(/: /~/e: /)。
men~man (pl.)とのライムは音価が疑わしい。oŠen : men (: ten : ben) では4行のライムかど
うか疑問。can : oŠan と oŠan : cam は a-ライム(ME には kem もあるが)。oŠan は SE ā (< 二
重母音化しなかった @ < æŠ)をもつ形態か、あるいは OE onŠān (< ēá) に対応する形態か。
oŠan : on ‘one’ : nan の脚韻語は OE (n)ænne。 oŠin もある
schepe (n.)(OE scē(a)p)
/: /か、/e: /か
schip (n.)
北部形か。WS scīp もあった
ye (OE gē / gè)
: be
Ša (ad.)(OE gē(a))
南部の Šo < Šeá(強勢のシフト)の北部形。二重母音化しなかった @
の SE の発達 /a: /も考えられる
cf. Šare : fare
Šer(es)~Šare (n.)(WS gēar, A gēr)
/: /か、/e: /か。a-形は SE /a: / を持っている。 Šer :
messanger (AN e) は紛れもない ē-ライム、Šare : fare (inf.) は明白な ā-ライム。 Šer : þere
(OE å2) : wher (OE å2) は音価が疑わしい。Šer : fer (OE ÿ ) は北部形 Šir もあるので i-ライム
もあり得る。Šare : care (RCL)、Šare : ifare (Beves)、yere : care (KA)、yare : chaffare (S. S.)、
bar : þar と whar : yere (Oct.) などの例はすべて SE の特徴をもつとされるテクストに見られ
る
Šep (adj.)
: chep (n., OE ēa) は紛れもない ē-ライム(/: /~/e: /)
Šete (WS gīet, A gēt) ‘yet’
もっぱら< e >
Šeue(n)~Šauen (pt. pl., subj. pt. sg.)(OE giefan, gēafe, gēafon)
/: /か、/e: /か。 a-形は
sg. Šaf (OE geaf)への類推、恐らく /a: /
Šis (< OE gēasī(e), gē(a)-swā)
Š と歯音の間の上げ
4) WS ie, i, y ~ 二重母音化しなかった e
<e> ~ <i>
(y)feld (pt., pp.)(A fellan, WS fiellan)
N, EMid., K では e < ea / i。 : scheld (n.)
(a)(for)Šeld(en) (inf., pr., imp.)(A géldan)
: scheld (n.)、: feld (n.)では脚韻語に i-形もある
ので、e-ライムとは断言できない。 : biheld (pt.)も同じ
Šelp (inf.)
: help では脚韻語に i-形もある
(bi)(for) Šete(n) (inf., pr., pp.)(OE -g(i)etan) ‘gain’
Šiten (OE ie, i, y)は SE と SW の形態、
biŠete (pp.) : wite のライムでは i-形かも。 biŠete : lete
: grete (inf., OE ēa)では長音化、紛れもない
(bi)Šete~-Šate (n.) ‘procreation, progeny’
35
e-ライム。(bi)Šete : lete (inf., OE å2) はあいまい。 (bi)Šate : late (ad., OE a) は a-ライム、
(bi)Šate : gate (n., OE ea, a) は e-ライムかも。 a-形は pt. sg.形の影響だろう
Šeue(n)~(for)Šiue(n) (inf.), Šiueþ (pr.), (y)Šeue(n)~Šiue (pp.), Šif (imp.)(OE Šiefan, Šefan)
i-形は二重母音化した地域の外でも見られた。< i >をもつ動詞形、gift (n.)、niman、ON giva
などの影響。e-形の< e >は /i /かも(つづりが違うだけ)。(for)Šiue : liue、Šeue (inf.) : liue、
yŠeue (pp.) : liue は /i /ライム。北部の lēue だとしたら /e: / : /e: /も可能
scheld (inf., imp.)
scheld(es) (n.)
: (fele)feld(割れた OE ea)= /e: / : /: /、: feld (n.)は /e: / : /e: /だろうが、
脚韻語に i-形もあるので断言できない。: yfeld (pp.)もあいまい
schende (inf.), (y)schent (pt., pp.)(OE scendan, sciendan)
yschent : gent (OF e) は紛れも
ない e-ライム。schende : kende (OE y) : wende (inf.)では、脚韻語に i-形もあったので、e-ライ
ムとは断言できない。(y)schent : (y)went : torent (pp.)、yhent : sent (pp.)、senche : benche
などのライムでは、鼻音の前の /a/の i-ウムラウトが AM には< a >でも現われるので(cf. pl.
man)、/a/もあり得る。(y)schent : talent (OF) : present (OF)でも脚韻語が -ant 形を持ってい
た
schilled (pt.) (OE *sciellan, LWS scyllan)
WS の二重母音化した /ie/の出力
schille (adj., ad.)(OE *sciellan, LWS scyl)
WS の二重母音化した /ie/の出力
schilt (pp.)(WS scildan)
: spilt (OE i) は紛れもない i-ライム(*spelt は記録にない)
weld (inf.)(A wk. wéldan, WS wieldan)
weld : held = /e: / : /: / だが、WS str. wealdan
の可能性もある
2. 喉音+母音
AM にはわたり音の痕跡はない
biŠonde~(bi)Šounde (ad.)(OE beîeondan; LWS beîiundan)
(bi)Šounde : (y)founde (pt.,
pp.) : grounde (n.) は /u:/ライム。(bi)Šonde は OE の二重語から(: sond (n) : fond (pt.) は
/o: / : /: /)
Šengþe~Šingþe
Šingþe : strengþe では e-形か
Šon (pron.)
Šond(er) (ad.)
Šong~Šing (adj.)
Šing : fiŠting : king : witnesseing
? schad(de) (pt.), sched (pp.)(OE sc(e)ádan)
schame (n., inf.)
name : dame (OF)
? schof (n)(OE scūfan)
: drof (pt.)
schold(est) (pt.)
: wold (pt.) : mold (n.)
schon (n., pl.)
schond (n.)
: lond
長 母 音
OE ēa
< Gmc /au/
< e >で表わされ、音価は /: /
/: /~/e: /とは押韻するが、なぜか長音化した OE e // とは押韻しない
ybete (pp.)
: strete (OE OE å2)
bred(e) (n.)
: red (adj.)
chapman (OE cēapmann)
初期の短音化
chep (n.)
: Šep (adj., Š の後で二重母音化しなかった OE e)
ches (pt. sg.)(OE cēosan)
chest (OE cëast)
þrest (pt.)とのライムでは短音化?
ded(e) (adj.), dede (n.)
この名詞は主に北部で。 : red (n.) : ferred(e) (n.) : felawered (n.) :
36
drede (n.)では脚韻語はどれも OE å2、: stede (OE ē)、: nede (n., i-ウムラウトの ēa)
deþ(e) (n.)(OE dēaþ)
: vnneþe (ad.) : sleþ(imp., ēa の縮約)、keþe (inf., OE ÿ )とのライム
は /: / : /e: /、 : beþ (OE ēo)
ek(e) (ad.)
: leke (pt.)
em (n.)
ēa の縮約
ere (n.)(OE ēare)
(h)est (n. (ad.))(OE ēast(an))
: fest (OF)、: forest (OF)では短音化
estre (OE ēastre)
後の短音化、: fenester (OF)
gret (adj.)(OE grēat)
: hete (pt., OE ē) : mete (inf., OE ē)。 短音化して yfet (pp., OE e)、
bet (comp., OE e)、(vn)net (adj., OE y) と押韻する。語末のただ1つの子音の前での短音化か、
比較級の //への類推か
grete (inf.), greteþ (pr.)
biŠete (n., 二重母音化しなかった OE e)
heued (OE hēafod)
: weued (pp., OE å1)
leke (pt. sg.)(OE lūcan)
lepe (inf.)(OE hlēapan)
: wepe (OE ē)
les (n.)(OE lēas)
: mes (n., OF) : pres(n., OF) は /: /ライム。wes (pt.)、hes(‘them’, S(E)
の異形)とのライムでは短音化しているか、逆に、脚韻語の方が長音化したか、長さの不正確
なライムか
les (pt.)(OE -lëosan)
: pes (単母音化した OF ai) は /: / : /: /
leue (n.)(OE lēaf, str. f.) ‘permission’
: bireue (inf.)
leues (n. pl.)(OE lēaf, str. n.) ‘leaf ’
ner(re) (comp.)(OE nēarra; ON nærre)
: ber (imp., OE e) では短い ME の異形 ner(re)
ner(e) (ad.)(WS nēar, A nēr /e: /; ON når)
ēa の縮約。 : power : somer : messanger では
脚韻語は AN suffix -er をもつ
qued (n.)(OE cwēald ‘filth’) ‘evil’
: red (n., OE å2)、: spede (pr., OE ē)
rede (adj.)(OE rēad)
vnrede (adj., OE ÿ )とのライムは /: / : /e: /
reften (pt.)(OE rēafian)
後の短音化
rem (n.)
: lem (n., OE ēo)
(bi)reue(n) (inf.)
yreued (OE rēafode)
: yweued (pp., OE å1)
schrede (n.)(OE scrēad(e))
: rede (adj.)
seke (pt. sg.)(OE sūcan)
: meke (OE ēo) は恐らく /e: /ライム
sle(n) (inf.), sleþ (pr.)(OE slēan)
ēa の縮約。 : me (OE ē)、: þre : fe (n.) : sen (inf.) : ben
(pr. pl.) : bitven : stren (n.) では脚韻語はすべて OE ēo
cf. slo
stepe (adj.)
: depe (OE ēo)
strem(e)(s) (n.)
: Šerne (ad., OE ēo) はアソナンスで、/: / : /e: /
ter(e)s (n. pl.)
ēa の縮約
þrete (inf.)(OE þrēat(n)ian)
: hete (n., OE å1)
vnneþe (ad.)
OE ēa の i-ウムラウト
( A ē, WS īe)
< e >で表わされ、音価は /e: /
flem(en) (inf.)
: rem (n., OF reaume) は /e: / : /: /
(y)here(n) (inf., pr.), (y)herd(en) (pt., pp.)(A hēran)
(y)here : bere (n., OE å2)、: fere(n)
(n., OE ē)、: swere (n., i-ウムラウトした èo)、: chere (n., AN e) : maner : spere (OF) : preier、
(y)herd (pt.) : answerd (pt.) : ferd (pt., OE ē)では短音化した ēa / i
lese (inf.)
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leue (inf., pr.)(OE lēfan, līefan)
: Eue (OE ē)
nede (n.)(A nēd)
: rede (subj., OE å2)、: spede (inf., OE ē) : stede (n.) : hede (inf.)、: dede
(OE ēa)、: lede (n., OE ēo) : þede (n.)、: bed (OE e) は /e: / : /e/
schene (adj.)
: quene (OE ē)、: fiftene (i-ウムラウトした ēo)
(y)sene (adj.)(OE gesene)
: wene (n., OE ē)、: tene ( ēo の i-ウムラウト)
stiel~stel(es) (n.)(A stēl)
音価は /e:/、stiel ( : wel : Fannel) は AN のつづり
Šeme (n.), (inf.)(OE gīeman, gÿman, gēman)
: flem (inf.)、: reme (inf., OE ÿ )
OE ēo
(ON jú, jó)
< e >で表わされ、 狭い / e: /
bede (inf.)(OE bēodan)
be(n) (inf.), ben (pr. pl.)(OE bēon)
: oŠen (OE ēa)、: cite (OF e)
bete (pt.)(OE bēot)
bitven (prep.)(? OE betwēox(n))
bitven : men では短音化か
ble (n.)
: se (inf.)
brest (n.)(OE brēost)
: fest (n., OE y)、: þrest (pt., ? OE å1)、: prest (ad., OF e)。 rest (n.)
とのライムでは短音化か。brest : daste (pt., ? echoic)でも。これは不正確なライムかも
cf.
daste
cherl(es) (n.)(OE ceorl)
長音化子音群の前。 : erl
chese(n) (inf.)
cleued (OE clēofan)
弱屈折
depe (adj.)
der(e) (n.)(OE dēor)
: fer (n., OE y)
WMid と南部の一部では 15 th c.まで /ø: /であった
が、AM には円唇音の形態は稀
dere (ad.)
: pouwer (AN -ēr)
deuel (n.)
dreri (adj.)(OE drēorig)
erl(s) (n.)(OE eorl, sense infl. by ON jarl)
長音化子音群の前
erþe (n.)(OE éorþe)
長音化子音群の前
fe (n.)
(bi)fel(le)~-fil(le) (pt.)(OE fēoll)
/e: / は短くなり、ME では / i /へ上げられた(: ille (adj.) :
stille (ad.) : wille (n.) : til (ad.))
fende(s) (n.)(OE fēond)
: frende、: mende (OE y) : kende (OE y)。 ende とのライムでは
短音化
fle(m) (inf.)
fre (adj.)
: meyne (OF -e)。fri : leuedi では OK frīo かも。が、leuede も OED にある
frende (n.)(OE frēond)
hende とのライムでは短音化
Šede (pt.) (OE ēode)
/e:/ は短音化して / i / ヘ上げられていたかも (: midde)
Šern(e) (ad.)(OE georne)
長音化子音群の前。 : terne (inf.) : erne (inf.) では脚韻語が i- /
ü- / e-形をもっているので、不確かなライム(短音化)
Ch には he(e)ld、hild がある。
(bi)held (pt.)(WS healdan, A háldan, hēold, hēoldon)
: Šeld (A é)。 held : feld (n.)では短音化
lede (n.)
: nede (A ē)
lef (n.)
: þef
lem (n.)(OE lēoma)
leman (n.)(OE lēof- )
短音化
lepen~lopen (pt. pl.), lepe (pt., sg.)(OE hlēop)
第4類への類推で lopen (pp.) ができ、
その /: /が pt. pl.へ水平化した
38
lern (inf.)
長音化子音群の前
(for)lese (inf.), lesing (ger.)(OE lēosan)
: chese
meke (adj.)(EME mēoc, ON mjúk-r)
se(n) (inf.)
: priuete (OF e)
seke~sike (adj.), sikenes (n.)
sikenes は短音化 + // > / i/、sike /i: / は上げ+ sìk と sēk
との交差(Luick は i-形を*sīec から導く)
sket (ad.)(ON skiótt; OE adj. scēot)
stren (n.)(OE (ge)strēon)
kin (ken と読め、OE y) とのライムは /e: / : /: /
swerd~sword(es)(OE sweord, WS swurd)
長音化子音群の前。e-形はライムに生じない。
ford、lord、bord、word、acord (OF)とのライムは /o/であろう(/u/もあり得る?)。sward :
coward は cowerd があるので /a/とは断言できない。少数の o-形は南部起源
ten(e) (OE tēona)
: þrettene (i-ウムラウトの ēo) : fiftene
tre(we) (n.)(OE trēo(w))
: cuntre (OF -e)
þede (n.)
: ferrede (OE å2)、: nede (A ē)
þef (n.)
(y)þen (inf.)
: ben : bitven
þre (num.)(OE þrēo)
: meyne (OF -e) : leute (OF -e)
þrettene~þritten(e) (OE þrēo- )
短音化。i-形は上げも // > / i/
wepe (pt.)(OE wēop)
wesche (pt.)(OE wēosc)(OE wascan)
: ywis では、< i >をもつ pt.形もあったので、w の後
でよくある逆つづりかも
wex (pt. sg.)(OE weaxan)
ysen (inf.)(OE -sēon)
OE ēo の i-ウムラウト
dere (ad.)
derling (n.)
ten(e) (num.)
þester (adj.)
(PrimE ïu + i, j)
< e >で表され、/e: /
: prayer (AN e) : pouwer (AN e)
: sene (adj., OE åa の i-ウムラウト)。 : (fot)men : hem(母韻)では短音化
母音 + 摩擦音・/ w /
1. 母音+口蓋摩擦音(î, h)
1) OE ì + î > ī
leuedi, -y (OE hlåfdige)
: ami : cri : vilanie (OF i)
-lī, -ì ~ -lÿ, -û (ON -ligr, -liga)
OE -līc(e)の短縮語説もある。sikerly, -li(: cri : hardy, -i
: (for) bi)など
liþ (pr.)(OE lig(e)þ)
niŠen~neiŠen (num)
niŠe : curteisie : compa(i)nie と neie : compeinie は /i: /ライム。
neie と neiŠen は逆つづり
steiŠen (pt. pl.)(OE stīgan)
/i: /の逆つづりか、第2類への類推による pt. sg. ste(i)Š か
stirop(es) (n.)(OE stigrāp)
tiþe (num.)(< tigoþa)
: swiþe (OE ī)
tvii(e)s (ad.)(LOE twiges; cf. ānes)
þries (ad.)(OE þriga)
: Marie : þies (n. pl., OE uninfl. þēoh)
wreien (inf.), wreiŠe(n), -eŠ-, -ey- (pt. pl., pp.)(OE wrēon)
/i: /の逆つづり? 第2類への類
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推による pt. sg. wre(i)Š の水平化だろう。ライムに現われないので、発音がよく分からない
2) OE ī + î > ī
grehound(es) (OE grīghund)
A ē /e: / (= WS *grīeg- ) か A grēg ‘grey’ (= WS gråg)
heiŠe(n)~hiŠe (inf., pr.), heiŠe(þ) (imp.), heiŠed (pt.)(OE hīgian)
hiŠe : compainie、
heiŠe : aspie : vnplie (OF plier) : vilanie : curteisie : compeinie / -painie : forbi では、すべて
/i: /、< ei >は逆つづり。 heye : die (inf) も /i: /ライムだろう
heiŠe (n.)
脚韻語は heiŠe (inf.)と同じ
hy(e) (n.)(cf. OE hīgian)
: aspie (inf. OF i) : cri
3) OE ì + ht
aliŠt (inf.)(OE ālīhtan)
脚韻語は kniŠt, niŠt, riŠt, miŠt, fiŠt, liŠt, aliŠt。以下同じ。
diŠt(en) (inf., pt., pp.)(OE dihtan)
driŠt (n.)(OE drihten)
miŠt (pt. sg.)(OE miht(e))
(a)pliŠt (inf., pr., n.)(OE pliht(an))
cf. pliŠt (pt.)(OE *plycc(e)an)
wiŠt (n.)(OE wiht)
wiŠt(e) (adj.))OE vígt)
4) OE ÿ + î > ī
drie (n.)(OE adj. drÿge)
e-の段階を経たかも(cf. SE drēie)
5) OE ã + î > ai
< ay >~< ey >~< ei >
braid (pt. sg.)(OE bregdan)
brain (n.)
: main (n.)
day(es)~dai (n.), midday (n.)(OE dæg)
: play (n., OE e + î) : oway (ad.)、midday : tvay
(OE ē + î)、: May (OF ai) : amay (imp., OF ai) : astray (ad., OF ai)、: desray (AN ei) : (par
ma) fay (OF fei(t)) : pray (AN ei)、day : anoie, -oy は Picard oi > ai を示す(S.S.にもある)。
midday : carroy では後者に -ey (ai)の異形(< OF cha(r)rei, char(r)oi)もあった
fair, -er, -est (adj., ad.)(OE fæger)
: air (‘heir’, AN ei)
hail(e) (n.)
: saunfaile (OF ai)
hay (n.)(OE (ge)hæge) ‘enclosure’
: day
lay (pt. sg.)(OE licgan, læg)
: astray (OF ai) : fay (OF ei)
maide(ns)~maden (n.)(OE mægden, måden)
a-形は SE /a: /か代償延長か cf. sede (pt.)
maide : saide, ey
maidenkin (MDu dim. -ki(j)n)
may~mai (pr.)
: clay (n., å + î)
main (n.)
: sayn (pt. pl., OE å + î)、: oŠain (prep., OE ongegn)、: rain (‘rein’, AN ei)
say(e)~seye~sayn (inf., pr.)
2nd, 3rd sg. pr.への類推。 say(e) : ay (n., OE ege) :
(o)way(s)(n., ad.) : play (inf.) : tray (n., OE trega) : bilay (pp., OE -legen)、 say : biwray
(OE wrēgan)、seye (inf.) : yseiŠe (pp., A -segen)、 sayn (inf.) : oŠain、 say (pr.) : cuntray
(OF e) : averray (? < OF avérer / avier / averier)
sey(s)t(ow)~sei- , seiþ (pr.), (for)(y)seyd, ay, ai (pt., pp.), sey~say (imp.) (OE secgan)
seyd : leyd (pt., OE legde) : pleyd (pt.)、(y)seyd : ypaid (OF ai) : amayd (OF ai)、seyd : anoid
では後者で oi > ai (Jordan) (pt., pp.には sede~(y)sade もある)
slain~slayn (pp.)(OE slēan)
tail(e)~tayl (n.)
: saunfail(e), ay (OF ai) : batail (OF ai)、: conseyle (AN ei)
waines (n. pl.)
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6) OE å + î ( /i/ > ) ai
aiþer (pron., adj.)(OE ãgþer, åg-)
clay (n.)
lay(en)~lai- (pt. pl.)(OE lågon)
fay (OF ei)と押韻する lay は同じ音をもつ sg. læg に対応
するかも
may (n.)(OE poet. måg ‘(kins)woman, maiden’; cf. ON møyj)
neiŠed (pt.), naying (ger.)(OE hnågan)
sayn~yseyn~(y)seiŠen (pt. pl.)(OE sågon)
: eiŠe(n)~eyin (OE ē + î)、: neiŠe (OE ē + h)、
: heiŠe (ē + h)、pt. pl. (と anal. sg.)saye : cuntraye : desmay (n.)
7) OE è + î ( /i/ > ) ai
ay~ayŠe~eiŠe (n.)(OE ege)
bilay (pp.)(OE bilegan)
: cuntray (AN -eie < ee)
yleyen~(bi)layn (pp.)(OE (bi)licgan)
forlain (pp.) : chaumberlain (OF ai)
(y)leyd(en), ai, ay (pt., pp.)(OE legde)
oŠain(es), ei (prep., ad.)(OE ongegn, etc.; ON i gegn)
oŠein / ogain : swain (ON ei)、oŠain
: plain, ay (OF ai)
oway, a- (ad.)~(o)way(s) (n. ad.)(OE on weg)
: heiŠe (ē + h)、 : noblay (OF) : fay (OF) :
praye (n., OF)、(a)(o)way : iurnay (AN -eie) : valay (AN) : punay (AN)、: honteye (AN) :
korray (AN)
play (n.)(OE plega(n))
: asay (OF ai) : May (OF)
play(en), ai (inf.), plaid~(y)pleyd (pt., pp.)(OE plegan)
rein (OE regn)
sail
yseiŠe~ysein (pp.)(A gesegen)
ysain : swain (n., ON ei)
tray(e) (n.)(OE trega)
: cuntray(e) (AN -eie)
(y)trayd (pt., pp.)
: layd (pt.) : pleyd (pt.)
way(es), ai (n.)(OE weg)
weiŠe : eiŠe、weys : his (pron.) は /i: / : /i(:) /、つまり weg >
wig > /i: / だろう(OED にも i-形がある)
8) OE èa + h(t) ( e > ) ei
ハンバー川の南で
queiŠte : pliŠt (pt.)は ht の前での上げによる
aqueiŠt(e) (pt.)(OE ācweccan, pt. -cweahte)
/i /ライムか。pliŠt には //も可能
(y)dreyŠt (pp.)(OE drecc(e)an)
: nouŠt では ydrauŠt (A -aht < æht) : nauŠt が正しい
(h)eiŠt(e) (num.)
: sleiŠt、(h)eiŠt(t)e : fiŠt (inf.) : riŠt (ad.)では ht の前で e > i か。//
ライムも可能
neiŠebours (n. pl.) (OE nē(a)h)
neiŠehond (ad.)(OE nē(a)h)
(y)(bi)seiŠe~seye, seie (pt. sg.)(OE seah)
seiŠe (: oway)は OE seah からではなく、pl.
sågon への類推。: eiŠe (n.) : heiŠe (n.) : neiŠe (ad.) : fleiŠe (pt.)では脚韻語はどれも ē(a) + g, h
sleiŠ(s)t (n.)(OE sleaht, slieht, etc.; ? / i / )
: niŠt : (a)riŠt とのライムでは i-ウムラウトを
受けた slieht に由来するのかも(i-ライム)
sle(i)Šster
v. OED, sleighter
streiŠt (pt., pp.)(OE streahte, inf. streccan)
: aqueiŠt (pt.)
strait (adj. < pp.)(OE streahte)
awayt (ONF ai)と押韻するが、OF estreit ‘narrow’の
ME 形と混同された
þei (conj.)
短音化した ē(a)
9) i-ウムラウトの èa + h(t)
41
leiŠeing (K, SE hlehhan)
miŠt (n., pt.)
: niŠt、: driŠt (n., OE i + ht) : kniŠtes
niŠt (n.)
: fiŠt (inf., OE i + ht) : riŠt (n., ad.)、: sleiŠst
10) OE e(o), io + ht > LOE iht
briŠt (adj.)
: (a)pliŠt (n., OE i)
fiŠt(es) (n.)(OE feoht)
fiŠt (inf.)(OE feohtan)
: niŠt (i-mut. ea)、: eiŠte
hiŠt (pt. sg.)(OE hātan)
kniŠt(es)
: fiŠtes : riŠtes (n., ad.)、kniŠten (pl.) : diŠten (inf., OE i) : wiŠt (adj., ON í)、
: miŠtes ( i- mut. ea) : niŠt、: liŠt (inf., OE ēo, ī)、: Šiftes
(a)riŠt (n., adj., ad.)
: eiŠte : sleiŠt、vnriŠt : Šift
riŠt (inf., pt.)
: liŠt (inf., pt., OE ēo, ī)
siŠt (n.)(OE (ge)sihþ, -siht)
: briŠt : kniŠt : riŠt (ad.)
11) OE ē(a) + î
i) ハンバー川の南では、語末や子音の前で /e: i/ > /i/ > /ai/。北部では、語末の Š は落ち、
/e: /だけ残った
baye (num.)(OE bēgen)
: valaye (OF e) はつづりからして /ai/ライム
biwray (inf., pp.)(OE wrēgan)
類推形
flei(Še) (pt. sg.)(OE flēogan)
laite (n.)(OE lēget(u), lïg- )
: awaite (inf., ONF ai)
leiŠe (n.)(OE lēg, līeg)
: cuntray (OF e)では /ai/。leiŠe が ēŠ の北部の発達を示すので、
/e: /ライムかも
teyed (pt.)(OE tēgan, tīegan)
tvay (num.)(OE twēgen)
無強勢のために短音化。 : midday (OE æ + Š)
(bi)wray (inf.)(anal. < pt.; OE wrēgan) ‘betray’
: say (inf., anal. < 2nd, 3rd sg. pr.)
形容詞の屈折形の- ēŠ- は次の ēh で扱う
ii) 母音の前の ēŠ > /i:()/
dye (inf.)(? ON deyja; or OE *dēgan) ‘die’
die (MS duie) : heye (inf., OE ï + î) は /i: /
ライム。die の起源について、Jordan は ON 説、Luick は OE 説。ON deyja は ME *dei-(i)en
> *daien と発達したのだろう。そのような形態が day (inf.) : say (inf.) に見られる。
eiŠen (pl.)(OE ē(a)ge)
eiŠe : vilanie (OF)は ēŠ > ī(e) を例証する。eiŠe(n), eyin : heiŠe
(adj. pl.)(LOE infl. hē(a)ge) : (y)seiŠe(n), yseyn (pt. sg., pl.)(sg. seah, pl. A sēgon)も /i: /、ある
いは二重母音の段階か
ハンバー川の南の変化
12) OE ē(a) + h ( /e: i/ > ) /i/ > /i: / (14th c.後半に単母音化)
北部では近代まで語末の摩擦音は残った。初期の i-形は、母音間の規則的な /e(:)i/ > /i: / をも
つ屈折形への類推
eiŠtte (n.)(OE ē(a)ht)
fleiŠe (pt. sg. (pl.))(OE flēon)
: neiŠe (ad.)、: seiŠe (pt.)
heiŠe (adj., n., ad.)(LOE hē(a)ge)
: neiŠe (ad.) : sleiŠe (adj.)、: seiŠe, eyŠ, ey (pt. sg.)、
: oway (OE e + Š) = /i/ : /ai/、: cuntreie (AN) = /i/ : /ai/、heye : noblay (OF ei) = /i/ : /ai/
(この2つの二重母音の違いは、詩人に押韻をためらわせるほどではなかった)
nei(Še) (ad.)
: yseyŠe (pt.) : seyŠe、neiŠe : jurneie (AN) = /i/ : /ai/
neiŠe(d) (inf., pp.)(ME vb. < ad.)
sleiŠe (adj. (pl.))(ON sløgr)
yþei (pt. sg.)(OE þēon) ‘thrive’
: noblay (OF)
wray (pt. sg.)(OE wrēon, wrāh, ge)wrigen) ‘cover’
: verray (AN ai)
42
13) WS ēo, A ē + î, h(t)
滑化を受けた A /e: / (< /e: o/ ) > /i: / (1200 年頃)
fleiŠen (n.)(OE flē(o)ge, flÿge)
: crie (OF)
leiŠer(s) (n.)(OE lēogere)
lext (pr. 2nd sg.)(A lē(o)g(e)st)
3つの子音の前で短音化
lyŠe (inf.), leiŠe(þ) (pr. sg.)(OE lēogan)
lyŠe : signifie (OF i)、lye (1st sg.) : cheualrie
(OF i)
liŠt (adj.)(OE lēoht, līht, lì-)
ht の前。: wiŠt (ON)
liŠt (inf.), liŠted (pt.)
: kniŠt
þei~þi (n.)( ī < nom.をもつ屈折形; OE þēoh)
þi(es) : bi (OE ī) : þries (OE i + î)、þi : fi
(n., OF feie, fie)
2. 母音+無声軟口蓋摩擦音()
1) EME à + ht (< OE āht; A æht (= WS, K e(a)ht) > auht
atrauŠt (pt.)(OE -råcan)
auŠt (adj.) ‘valiant’
: nouŠt(OE の二重語)とのライムはあいまい
(n)auŠt (pron.)(OE (n)ā(wi)ht)
nauŠt : auŠt : fauŠt (pt.)
(for)fauŠt (pt.)(A fæht; OE inf. feohtan)
lauŠt (pt.)(A lāhte, WS læhte; OE låcc(e)an)
ouŠt(est) (pt.)(OE āhte)
owen (pr.)(< āgan) への類推形
slauŠter (n.)(ON *slahtr)
(bi)tauŠt (pp.)(OE (be)tåc(e)an)
: auŠt : atrauŠt (pt.)
2) OE ò + ht (短音化した ō + ht も)> ôuht
ハンバー川の南で。北部ではわたり音は
/a/の後ろでだけ生じた
(a)bouŠt (pt.)
brouŠt(en)
douhter (n.)
dohter はわたり音を持たない北部形
douhti~duŠt (adj.)(OE dohtig; cf. dyhtig)
Jordan は u < duŠan とみる
(for)fouŠten (pp.)(OE fohten)
(n)ouŠt (pron.)(OE (n)ō(wi)ht)
nouŠt : bicouŠt (pp., ONF) は nauŠt : bicauŠt かも。
ydreyŠt (pp.) とのライムも nauŠt : ydrauŠt (A -aht) と読めば正しくなる(もしかしたら、
この改変は、北部の写字生が N 形を使わないためにしたのかも)
rouŠt(en) (pt.)(OE rōhte, inf. reccan) ‘care for’
: nouŠt : forfouŠten (pp.)
(bi)souŠt (pt., pp.)
: brouŠt : bouŠt : þouŠt (n.)
þouŠt (n.)(OE þoht)
(bi)þouŠt (pt.)(OE þenc(e)an, þōhte)
(y)wrouŠt (pt., pp.)
3) OE ō + ht > ouh > ūh
ハンバー川の南で。Luick は、語末の ūh の ū は語中の ōõ > ū
の水平化と考えている。AM のライムはその音価を教えてくれない。専ら同源の音と押韻す
る。語末に -ōh をもつ単数主格形と、語中に -ōŠ-をもつ屈折形を、また pt. sg.と pt. pl.を常
に区別できるとは限らない
(wiþ)drouŠ (pt.)(OE dragan)
: (a)swouŠ は /u/ か /u: /
louŠ (pt. sg.)(OE hl(i)ehhan)
plouŠ (n.)(LOE plōh)
slouŠ (pt.)(OE slēan)
touŠ (adj.)(OE tōh)
43
wouŠ (n.)(OE wōh)
ynouŠ (ad., adj.)
: slouŠ
: plouŠ : drouŠ : touŠ
4) OE ū, ù + ht
duŠt (adj.)(? OE dyhtig)
u < duŠan (Jordan)
cf. douhti
(y)fouŠt(en) (pt. pl.)(OE feohtan, fuhton)
fouŠt : nouŠt : þouŠt では ôu < pp.を持ってい
るだろう。が、fauŠt (< pt. sg.) : nauŠt も可能だし、þouŠt とのライムでは、þūhte との混同
により /u: /もあり得る。 : duŠt
(o)þouŠt (pt. sg.), þouŠt(en) (pt. pl.)(OE þync(e)an, þūhte)
þouŠt(en) : fouŠt(en)
3. 母音+有声軟口蓋摩擦音(語中の)
1) OE à +  > /au/
< aw >で表わされる
awe (n.)(ON agi)
dawe (n.)(OE infl. dag-)
dawy (inf.), daweing (ger.)(OE dagian)
(to)drawe(n) (inf., pp.)(OE dragan)
: biknowe (ā + w)
fawe (< infl. fag- , OE fæg(e)n) ‘fain, glad’
: drawe
felawe(s) (n.)(LOE fēolaga; ON félagi)
: knowe (ā + w)
hawe (n.)(OE haga)
lawe(s) (n.)(LOE lagu; PrimN *lagu)
laie, leye (n.)(? OE lagu) ‘lake, pool’
OE læge か ON legi か OF lai ‘pool’か(: valaie)
sawe (n.)(OE sagu)
(y)slawe(n) (pp.)(OE slēan, slagen)
: dawe (inf.) : awe : hawe : lawe
wawe (inf.)(OE wagian)
< ow >で表わされる。北部では /a: / > /au/
2) OE ā +  > ( /: / > ) ôu
(y)lawe (pp.)(? < adj. ‘low’)
: yslawe (pp.)
lowe~lawe (adj., (n.))(infl. läg- ; ON lágr)
lowe : owe、lawe : sawe (n., OE à + ) : lawe
(n., à + )
ow(h)en~awe (adj.)(OE āgen)
awe : biknawe (pp.)
stowen (anal. pt. pl.)(OE stīgan)
pt. sg. stāg への類推
þrawe~þrowe (n.)(OE infl. þrāg- )
: dawe : (y)slawe : felawe(3つとも OE à + )、
þrawe : blowe (inf)では後者に blawe もある、 þrowe : (a)rowe (ā + w)
3) OE ò +  > /u/
< ow >
bitowe (pp.)(OE betēon)
: lowe (n., ā + w)
bowe (n.)(OE boga)
: howe、: lowe (n., ā + w)、: flowe (pt., o < pp.) は /u/ライム
(y)flowen (pp.)(OE flēon)
elbowe (n.)
howe (OE hoga)
: windowe (ON au)
ylowe(n) (pp.)(OE lēogan)
4) OE ō +  > /ou/ > /u/ (ハンバー川の南で)
や折衷的な< ouŠw >でも)
(wiþ)drowen~(to)drawe (pt. pl.)(OE dragan)
: gnowe
gnowen (pt. pl.)(OE gnagan)
lowen (pt. pl.)(OE hl(i)ehhan, hlōgon)
44
< ow >で表わされる(時折 < ouw >
a-形は pp.への類推。-drowe(n) : slo(u)we(n)
slo(u)we(n)~slouŠwen (pt. pl.)(OE slēan)
swōnen (< swowenen, OE *swōgenian)
北部形。異化による2番目の w の消失か?
aswon (ad.), swoned (pt.), swoning (ger.)
(a)swowe (ad.)(infl.)
aboue とのライムでは /u: / : / u/
(a)swouŠ (ad.)(uninfl.)
: drouŠ (pt.) は /u/ : /u/ か、/u: /のライム
wowen (inf.)(LOE wōgian)
2つの w の間で ō > ū
ynouŠ (pl.)(? uninfl. genōh)
ynowe (ad.)(infl. genōg)
: Bristowe (OE -stōwe) は /u/ : /u/ で、語中の ō が ōw の発
達と合流し、13th c.後半に /u: /とはならなかったことを示す
5) OE ù +  > (uu > ) /u: /
< ow , ou >
flowe(n) (pt. pl.)(OE flēon, flēogan)
: avowe (AN ū)、: bowe (ò + ) は /u/ライム
foul(es) (n.)(OE fugel)
lowe (pt. pl.)(OE lēogan)
: avowe (AN ū)
mow(en)~mo (pr. pl.)(OE *mugon)
mo は = mow か、ME mōten の短縮形か。: avowe
< ow >
6) OE ū +  > (ūu > ) /u: /
rowe(r) (adj.)(infl. rūg-, OE rūh)
4. 母音 + w
1) OE ā + w > /u/(< ow, ou >で表わされる)~ /au/(ハンバー川の北で)
blowe~blawe (inf.)(OE blāwan)
blawe : felawe (ā + )、: (y)slawe (pp.)、 blowe : þrawe
(n., ā + ) = /u/ : /a:w/
clowes (? OE clawu)
OE a の長さははっきりしない(cf. OED, claw n.)。AM clowes は長
母音だろうが、< ow > は< aw >の代わりかも
crowes (n.)(OE crāwe)
knowe(st)~knawe(stow) (inf., pr.), biknawe (pp.), knoweing (ger.)(OE cnāwan)
knowe : blowe、biknawe (pp.) : rawe (n.)、: lawe (n., a + )、(a)knawe (inf.) : todrawe (inf.,
a + ) : fawe (‘glad’, OE infl. fag-) : wawe (OE wagian) : felawe (LOE fēolaga)、: awe (adj.,
ā + )、(bi)knowe : ydrawe : felawe = /u/ : /au/ : /au/ から、Jordan は /u/ が /au/へ非円唇
化しつつあったと考え、Malone は逆に /au/ が /u/へ円唇化していたと解する。が、/au/ は
北部方言の可能性もある。ou > au は ei > ai の変化と並行的だが、これらの二重母音は必ずし
も明瞭に区別されて発音されていなかったのではないか
knoweleche (n.)
lowe(s) (n.)(OE hlāw, hlåw)
: blowe : ysowe、: bowe (o + ) : bitowe (pp.)
(a)(o)rowe~rawe (n.)(OE rāw, råw)
rawe : biknawe、: sawe (OE à + ) : dawe (OE infl.
dag-) : felawe(n)、: (y)slawe (pp.)、 arowe : þrowe (n., ā + )
(y)sawe~sewe (pt. pl)(OE sēon, A sēgon)
(y)sawe : (y)slawe (pp.)、 e-形は pp. sewen へ
cf. (y)seiŠe(n), yseyn
の類推(: pt. hewe /u/)
soule (OE sāw(o)l)
ysowe (pp.)(OE sāwan)
(ouer)þrowe~yþrawe (pp.), þroweinge (ger.)(OE þrāwan)
yþrawe : (y)slawe (pp.)
2) OE ō + w > /u/ (= /u/ < āw )
Bristowe (OE Brycgstōwe)
: ynowe (ad.)
our, noure (OE (n)ōwēr)
北部の縮約形
45
3) OE å, ēa + w > /u/
< ew, eu >
dewe (n.)(OE dēaw)
: fewe : schewe
fewe (adj.)(OE fēawe)
hewe (inf.)
: sue (inf., OF sieu-)
lewed (n.)(OE låwed(e))
schewe(n) (inf.), (y)schewed (pp.), scheweing (ger.)(OE scēawian)
schrewe (n.)(? OE scrēawa, scråwa) ‘wicked person, shrew’
sleuþe (OE slåwþ)
tohewe(n) (pp.), heweing (ger.), hewe(e)r(e)(OE hēawan)
4) OE e(o) + w > ( öu > eu > ) /u/
strewed (pp.)(OE strewian)
5) OE ēo + w > (/ø:u/ >) /eu/ (つづりは < ew, eu >) > /iu/ (Luick) (?)
同起源の音と押韻する
anclowe (n.)(OE anclēow)
avowe とのライムは /u/ : /u: /か、ハンバー川の南の /u: / >
/u/ の初期のものか(avowe の他の脚韻語はすべて /u: /)
(a)blewe (pt.)
four(e) (num.)(OE fēower)
強勢のシフトによって /ou/、さらに前の唇音の影響で /u: /
fourten(e), fourti も。 for は four の異形。 : our、 : misantour : socour (OF) : Arthour
glewe (n.)(OE glēo(w))
Šou(r) (pron.)(OE ēow(er))
強勢のシフトによって /ou/、さらに前の唇音の影響で /u: /
Šo は恐らく Šou の異形。 : hou : now、 : Jesu : vertu : nevou (OF)
hewe (n.)(OE hēow, etc.; pl. hīwan)
: (vn)trewe
(to)hewe(n) (pt.)(OE hēawan)
sewe(OE sēon の pt. pl.、OE pp. sewen への類推)との
ライムは、hēow と hēaw- がよく混同されたので、純粋な /u/ ライムかも
(a)(on)knewe(s)~knowe (pt.)(OE cnāwan, infl. cnēo(w))
knewe : þrewe、 (a)knowe は
強勢のシフトによって /ou/
newe (adj.)
rewe(þ) (pr., imp.)(OE hrēowan)
rewþe, eu (n.)(EME; cf. OE hrēow)
treuþe (n.)(OE trēowþ)
treuþed (pt.)
(vn)trewe (adj.)
trewe : hewe (n.)は Luick の言う /eu/ > /iu/ (by 1300) に有利なようだが、
後者は OE の異形 ēo- に遡るかも。Luick の説は北部方言については正しい(Orton)
(of) trewe (n.)(OE trēo(w)) ‘tree, wood’
trewes (n. pl.)(OE trēow) ‘truce’
(ouer)þrewe(n) (pt.)(OE þrāwan)
: glewe (n.) : rewe (inf.) : knewe : ? blewe (pt.)
6) OE ī + w > iu
hewe (n.)(OE (pl.) hīwan)
: trewe
steward (OE stīweard)
< iw >の逆つづりの早い例で、/eu/ > /iu/ の説に有利
Tiwesday~tewisday
tewisday も< iw >の逆つづりか、単なる< i >と< e >の書き間違い
(写字生はよくそれをしている)。もっとも、強勢のない音節では、特に北部方言で // は /i /
に変わりやすかった。/iu/ を表わすには < iw >より< ew >が好まれた(Luick)。stiward が
ないのはそのためかもしれない
46
北欧語の二重母音
1) ON æi, ei >= ME (OE) ei > ai
< ai, ay, ei >
ay (ad.)
nay、 : fay (OF ei) : lay (‘law’, OF ei)
graiþeþ, (y)graiþed, ay (pr., pt., pp.)
Šain (inf.)(ON gegna)
hail (adj.)
hayl(e) : conseyle, eil (OF ei)
nay (ad.)
swain(es), ei (ON sveinn)
: ogain, oŠein (e + ) : ysain (pp., e + )
þai, ay~þa (ON þeir), þair (ON þeir(r)a)
waile (inf.), wailing (ger.)(ON *veila)
: Cornwaile(Cornwall のフランス語式発音で、E
/l / が F l mouillé で表わされている
cf. amiral~amirail)
2) PrimN ôu, au > /o: /, /ou/
los (adj.)(ON lôuss, lauss; cf. OE lēas > leás > *lôs)
: Sinargos
sour (n.)(ON saurr) ‘mud, dirt’
: colour では /u: / ( not /ou/)、恐らく OE sūr ‘sour’の影響
(‘sour’ ~ ‘turbid’ ~ ‘dirty’)
trust (n.)(cf. ON traust)
windowe (n.)(ON vindauga)
: howe (n., ò + )
Chapter II
フランス借入語の母音
ライムではフランス語のアクセントを保持したが、行中では、韻律の要請で第1音節に置かれ
ることもある。その場合、強勢を失って、母音の長さや性質が変わる
OF a
1. 閉音節の2つ以上の子音の前では /a/
armes (n.) ‘coat of arms’
: armes : gisarmes
(y)arm(ed) (inf., pt., pp.)
bar (n.)(OF barre)
bastard~-erd (n.)
(bi)cac(c)hen (ONF cachier)
pt. cauŠte は lauŠte (OE læccan ‘seize’, lāhte)への類推、pp.
形も同じく cauŠt が普通。Ch の cought (pp.) : thought (n.) は珍しいライムで、ôuht > auht
を示すのかもしれないが、AM にはそのような発達を示すものはない
cf. bicouŠt : nouŠt
(over)carked (pp.), surcarking (ger.)(ONF carkier)
(y)charged (pp.)
coward
< erd >は er > ar による逆つづりか、強勢がないためか。 : sward
flat (n.) ‘blow’
短母音と分かる(: hat)、動詞形の影響か(cf. ON flatr)、: forŠat (OE
ea- / æ-)
flat(ten) (pt.)(OF flatir, -er)
: plat (pt., OE æ) : hatten (n. pl.)
gabbe(st) (inf., pr.)(? Scand or OE)
cf. OED, gab
gisarmes
harlot(es)~herOF の二重語から。強勢は両方ある
larg(g)e (adj.)
marche (n.)
maulard~-erd (n.)(OF mal(l)art)
47
passe(n) (inf.), (y)pas(s)ed (pt., pp.)
: tasse、: lasse(短音化した OE å1)
(de)part (inf.)
part (n.)
: cert は /a/ライム、後者は AN, ME と MF の両方で起こった変化 er > ar による
逆つづり(cf. cartes : certes)、強勢がないために a が e と書かれることもある
plat (adj.)
(a)plat (ad.)
短母音(: hat)、動詞形の影響か
quarre (adj.)(OF qvarre)
第1音節に強勢
rauist (pt.)(OF raviss- )
第1音節に強勢
standard~-erd (n.)(OF estendard)
tasse (n.)(OF tas(se))
: lasse(短音化した OE å1)
2. 開音節と語末のただ1つの子音の前で /a: /
age (n.)
alas~allas (interj.)(OF (h)a las)
: haras (n.)
alblast (n.)
ME に e-形もある。 : agast(inf., 短音化した OE å1): (al)mast。OE à とも
押韻するので(: dast (pp.))、OF a /st がいつも長母音だったかどうか疑問。: ost (OF // ) は
不正確なライム
barnage
bast (n.)
: mast (OE å / ā )
blamen (pr.)
cas (n.)
: las (ad., OE å1) : ras、OE ã とも押韻する(: was)
damage
dame (n.)
: name : game : schame では OE a とのライム
fable
face~fas (n.)
: pas、: was
fame
: name (OE a)
greal
: al(le)、OF には graal, grael, graial などの異形があった
hast~hest (n.)(OF haste)
: (al)mast (OE å / ā ) : hest (OE hås + t) : agast (pp.)、OE à,
ã とも押韻する: cast (inf.) : (atte)last : (sted)fast : mast (n.)。別形 hest は OE håst ‘violence’
の影響? hest : best では / / (?)、hast : forest : tempast では /a /かも
haras (n.) ‘haufen’ (?)
harace ‘poursuite’ も l. 782 の文脈に合うし、MS P の race ‘rush’
を説明してくれる。’worry, torment’ (cf. OF harasser) も考えられるが、MS L に合わない
hiritage
mace
message (n.)
page (n.)
pas
: noþelas (SE ā < å)、OE ã と押韻する
plas~place
: trace : mace
purchas (inf.)
rage
: hiritage : barnage : damage
(a)scape(d) (inf., pt., pp.)
: awaped ( a < ? )
(a)sc(h)ape (inf., pp.)
: rape (ON a)
solas (n.)
: was
solausing (solansing が正しい)
-ace が接尾辞-ance に取って代わられた v. OED, solance
stat (n.)(OF estat; L status)
: wiþsat (‘failed’, OE æ) : tat (OF ai)
table (n.)
: fable
trace
3. OF の鼻音化した a
< au >(時折 < a >でも)
48
同起源の音とのみ押韻する
alegaunce
: grevaunce
angels (n.)
balaunce
: launce : contenaunce
chalanged (pt.)
chaumber (n.)
chaunce(s) (n.)
chaunged (pt., pp.)
comand(ment) (inf., n.)
contenaunce
danger ‘difficulty’
enchauntement (n.)
encombraunce
ensaumple (n.)
flaunke (n.)
nk の前でも
geaunt(es)~geant (n.)
geauntz : Riounz は円唇化した発音か
graunt (n.)
greuaunce (n.)
launce(s) (n.)
launde (n.)
miscreaunt (adj.)(OF mescreant)
olifaunce
: Riouns では、より丸みをおびた発音か
penaunce~-ance (n.)
: emcombraunce
remanant (n.)
saumbers (n., pl.)(OF sambue) ‘saddle-cloth’
semblaunt (n.)
strangled (pt.)(OF estrangler)
waraunt (n.)
: graunt : miscreaunt
OF e
長・短で揺れている語もある
1. 閉音節の2つ以上の子音の前では / /
asent (n.)
鼻音+C の前
begger(e) (n.)(? OF begar(d))
bek (inf.) (OF becquer)
語末の1つの子音の前に短い e(: nek (OE e))
bel (adj.)
castel~castil (ONF) ‘fortress’
: snel (ad., OE e) : wel、: stille
catel (ONF)
celle (n.)(OF; LOE cell; L cella)
cendel~cendal (OF cendal)
語尾の-el, -et は短母音であり、これらの語は行中では第1
音節に強勢が来る。それが a > e の弱化を説明してくれる(cendel : pelle): grauel, catel,
pomel, pensel, damisel(s), (bel, fel(ler)も) や soket, violet, palet など
cert(es) (ad.)
: hert (n., OE heorte) : hertes ‘OE heor(o)t’、 cert(es) : cartes、: part、
: (y)hert (OF ü)、: togert (pt.)
clerk (n.) (OE cler(e)c; OF clerc)
conquerre (inf.)
: werre (n.)
contek~cuntek (n.), cunteked (pt.)
語末の k の前の e は短い
cuntasse~-esse (OF cuntesse)
: lasse (ad., OE å1)
damisel(es) (n.)
-el は長・短で揺れる、: fel(s) (adj., OF) : fele (adj., OE eo)
49
defende(d) (inf., pt.)
鼻音+C の前、: hende (OE e)
desert (n.)
: cert (ad.)
dresse (inf.)
: presse (n.)
enchauntement
enterement (n.)
: parlement
enserche (inf.)(OF enserchier)
: chirche (OE y) : werche (OE y)(r+Cの前の e は短い)
fel(ler) (adj.)
felle : telle (OE e) : helle
gent(il) (adj.)
鼻音+C の前
grauel (n.)
haterel
: russel
heritage~hir(r)itage (n.)(OF (h)eritage)
短い / /で、AM では / i /へ上げられる
legged (pt.)(? alegier) ‘plead for’
cf. OED, allege v. 1.
let(t)er(s) (n.)
messel (n.)(OF; L missäle)
: Bretel
palet~pelet ‘head-piece’
e-形は ME pel(le), pal(le) (OE pell, pæll) ‘cloth, covering’の影
響だろう。 : yset (pt., OE e)
parlement
pensel (AN pencel < penoncel)
(þurth)perced (pt.)
pomel
presse (n.)
present~presant(es) (n.)
鼻音+C の前、(þis) present ‘these words’、: sent (pr., OE e)
pruesse
: nesse (adj., OE e)
renge~ringe (n.)(OF renge, range) ‘rank, row’
i- 形は鼻音+C の前の上げ? ring~
reng (< OE hring)と混同された。 ring : bring、renge : alenge(ME に range もあったので、
元は /a/ライム?)
renged (pt.)(OF renger)
鼻音+C の前
rentes (n. pl.)(OF rente)
: dentes : dintes
russel
semble(d) (pt.)
鼻音+C の前
serche (imp.)(OF cerchier)
serue(n) (inf.), (de)(y)serued (pt., pp.)
skec (n.)(OF eskec)
語末の1つの子音の前に短い e ( : Mandelec)
skecken (inf.)(< n. skec, skekes (OF eskec)) ‘plunder, raid’
soket (n.)
solempne (adj.)
鼻音+C の前
talent~talant (n.)
terme (n.)
tresse(s) (n.)(OF tresce)
wodenesse (OE e)
verrament (ad.)
: went (pt., OE e)、: dent
violet
wer(res) (n.)(LOE wyrre, werre, ONF werre = OCF guerre)
: burre (n., < ? Dan. borre)
では worre かも。これは e > ö と円唇音化した西部の形態
wer(re) (inf.), (a)werred (pp.)
2. 開音節と語末のただ1つの子音の前で
best (n.)(OF beste)
fenester (n.)(OF fenestre)
/: /
: ester (n, OE ēa)
50
fest(es) (n.)(OF feste)
: onest、: chest (n., OE ēa) : (h)est (n., OE ēa)、: rest (inf., OE e)
forest~forast (n.)
: (h)est (OE ēa) : chest ( OE ēa)、: best : west (n., ad.)、 hast (OF a)
: forest のライムでは /a/ かも
gest (n.)(OF geste, jeste)
: lest (n., OE y)
mes (n.) ‘(course of) dishes’
/: /、: les (n., OE ēa)
mischef (n.)
: bihef (adj.)
onest (adj.)(OF honeste)
preche(ing) (inf., ger.)
pres (n.)
/: /、: ses、: les (n., OE ēa)、: gres (n., OE æ)、: hes (3rd pl. acc.)
prest (adj., ad.)
: brest (n., OE ēo)、 hest (n., OE å1)とのライムでは長い? st の前の ê
は長・短で揺れていただろう
reue ‘n’ (< ? OF re(s)ver, raver ‘ramble’; reve ‘violent’) ‘great excitement’
OED は e-形を
挙げていないが、この名詞が派生した動詞が二重語を持っているので、ME にも e-と a-の変種
を期待してよかろう。 : leue (OE å1) は /: /ライム?、/a: /かも
ses (n.)(OF ces)
souder(s) (n.)(OF soud(i)er, etc.)
fer とのライムは長さが不正確?
tempast
: hast (OF a)
3. OF e < L a(< 学術語の L ē)は /e: /
AM では語末と、語末の -e の前に現われる。語末の r と母音間の r の前にも
charite
: me (OE /e: /)
cite(s) (n.)
: leute、: pite、: be (OE ēo)
clare (OF claré) ‘a liquor’
: meyne
cler (adj.)
/e: /、: fer (OE ÿ)、: quarter (AN -er) : buteler (AN -er)
cuntray(e)~cuntre (n.)(OF cuntree, AN -eie)
cuntre : jurne、: tre (OE ēo) : þre (OE ēo)
cuntray(e) : tray(e) (n.) : leiŠe (n.) と cuntreie : heiŠe (ad.) は ai-ライム
deinte (n.)
entre(s) (n.)
entre (inf.)
eschele (n.)
fe (n.)(AN fee, fie)
‘obligation, service’の意味ではロマンス語
iurne(s) (n.)(OF jo(u)rnee) ‘day’s travel’
jurnay, jornaying (AN journeyer, OF jo(u)rneer, etc.)
-ei(e)もある
cf. valay
iurnay
:
away
と
jurneie
:
neie
は
ai-ライム
jurne : cuntre、
leute (OF lealte, etc.)
: cite
medlay
: þorsday は ai-ライム
meyne, ei (n.)
: þe (OE /e: /)、: fre (OE ēo)
per(es) (n. pl.)
: carpenter (AN -er)
pite (OF pite(t))
priuete (n.)
: se (OE /e: /) : me (OE /e: /)
? punay (OF pu(i)gnee, etc.)
spere (n.)(OF espere)
: yhere (inf., OE ēa / i)
valay(e), -ei(e) (OF valee)
valaye, -aie : baye (num.) : laie, -ey (n) は ai-ライム、。 valay
: say (pt. 1st. sg., ‘see’)では、ライムが /e: / なので se の間違いだろう
OF i
1. 閉音節の2つ以上の子音の前では / i /
51
Auerille (OF avril(l))
: wille (n., OE i)
firmament (sb.)(L; OF)
prince(s) (n.)
skirminge (ger.)(OF eskirmir, etc.)
tiffen (pr.)(OF tif(f)er)
trist (OF triste)
‘appointed place’ (Kaluza)
2. 開音節と語末のただ1つの子音の前で /i: /
afie (inf.)
: compeinie
ami
aspie (inf.)
ater (n.)(< vb. OF atir(i)er)
mester (n.)とのライムは恐らく i(r)(か ie(r))のペア
atired (pp.)
: deliuerd
bacin
: him では短母音だろう
chin(e) (n.)(OF eschine)
chinne があるのは、OE cinn との混同のため
compeinie~-pa(i)nie
: niŠe
couaitise
ywis とのライムは /i: / : /i/
cri(en) (n., inf.), crid(en) (pt.)
: sky (OE ÿ)
curteisie
delite (OF delit(i)er)
: bite (inf.)
deliuerd
desire (inf.)(OF desirer)
: hire (OE ÿ)
deuise (n.) ‘wish, order’
(ioe / ie vus ) di~dy (= OF je vous dis)
: gramerci
di(n)gne(r)~dine (adj.)(OF digne)
dine (: Blasine)ではフランス語の湿音 n が歯音 n で表
わされている
cf. li(n)gne~line, si(n)gne~sine
enemis (pl.)
: ywis (OF i)
ermite
exil(e) (n., inf.)
: vile : periil
fiz (n.) ‘son’
: in : pin では短母音だろう
cf. ON ginna
gin (n.)(OF engin の語頭音節消失)
hunist (pp.)(? OF honnir 12th c.)
ire (n.)
iustise (OF justise)
: wise
lyoun, i (n.)(AN liun)
maseline (n.)(OF mazelin)
: wine (n.)
? matines
nice (adj.) ‘foolish’
orible (adj.)
periil
pri(i)s~priss (n.)(OF pris)
: ywis (OE i) : þis (OE i)、prise : wise
queintise
quite (adj.) ‘free’
riche (adj.)(OF; OE rīce)
短母音?(Ch では長い)
cf. diche : -liche
riued (pp.)(OF (a)river)
(de)scomfit(e) (n., pp.)
signe (n.)(OF signe)
ME には si(n)gne, sine のつづりもある
signifieþ(e) (pr.)
sir (OF sire)
短母音? : hire (pron.)
52
sise (n.)
: queintise
(a)spie(n) (inf.)(OF espie(r))
spite (n.)(OF despit)
striif (n.)(OF estrif)
: (bi)liif
viis (n.)
: ywis では /i: / : /i/
vilanie
vile (adj.)
visite (inf.)
: ermite
vnplie (OF plier)
OF o
1. 閉音節の2つ以上の子音の前では / /
abobbed (pp.)(OF abober) ‘astonish’
acord(ing) (n.)
comfort (n., inf.)
(a)cord (n.)(OF corde)
r + C の前では長くなることがある。 : sword : word : lord
cors (n.)
: hors (OE o)
(a)force(d) (inf., pt.)
(par) fors
(a)loge(d) (inf., pt.)
短い / /かも、AM ではライムに生じない
loges (n.)
/ /
port (n.)
robbe (inf.), rob(b)ed(en) (pt., pp.), robbeinges (ger.)(OF rob(b)er)
: clobbe
scorn (pr.)
2. 開音節と語末のただ1つの子音の前で /: /
acost (ad.)
/: /
astoned~astuned (pp.) (OF estoner, esto(u)ner) ‘stun’
cf. OE stunian ‘crash’
botors (n. pl.)
/: /
glosing (ger.)
los (n.)
/ :/で、: þos (OE ā)
noble(r) (n., adj.)
(h)ost(es) (n.)(OF (h)oste) ‘host’
: most (OE ō)
ost (n.)(OF (h)ost, (h)hoost) ‘army’
: acost : pentecost、: alblast は不正確なライム
: bost (n., < ? )
pentecost
/ :/
persone
roche (n., (adj.))
store (n.)(OF estor)
(a)store(d) (inf., pt., pp.)(OF estorer)
tresor(e)
: Estalibore(OF Escalibor の崩れた形態)。 tresour(: licour : honour)もある
3. /o: / 唇音の後ろで
fole (n.) ‘fool’
/o: /
grom(e) (n.)(? OF gromet)
/o: / だが(: come (pp.) : come (pt. sg.))、/ :/ もあったかも
(: hom OE /a: /) cf. Rome
pouer(men) (OF povre)
ここの< u >はあいまいだが、/o: / だろう
53
proue(n) (inf., pr.), proued (pt., pp.)
: loued (pp.)(OE / :/)
/o: /(: houe)、: loue : aboue (OE /u/ > /o: /)、
OF (NF) u
1. 閉音節では(語末のただ1つの子音の前は除く) /u/~/u: /の間で揺れる
< u, o, ou >
acomber (inf.)
blounde (OF blond < medL blundus)
: mounde、 OED の初例は 1481 年(Caxton)
ONF では鼻音+C の前で /o/ > /u(:)/
cf. blondir~bloundyr
butten (inf.), but (pt.) (OF buter, boter, etc.; cf. Swed dial. butta, botta)
: gutten (n. pl.)
: lut (pt.)
cours (n.)
court (n.)
: Bohort では /o/ (CF /o/ = Norm. /u/ に対応)
destourbes (pr.), desturbing (ger.)
duble(d)~double (inf., pp.)
(before muta cum liquida)
encumbrement (n.)
? founde (inf.)
foundement (n.)
fourm
juste (inf.), iustinge~justing (ger.) ‘engage in tournament’
justes (n.)
mounted (pt., pp.)
no(m)bre~noumble (n.)
rounde (adj.)(OF rund- , rond- , round- , etc.)
: mounde : stounde
schourge (n.)
secounde (OF second < L secundus)
: mounde、 Ch には secondde もある
soi(o)urne (inf.), soiourn(u)d(e) (pt.), soio(i)ur(n)inge (pr. p.) (OF sojorner, sujurner,
-journer, etc.)
: murne、: morne
suffre (inf.)
susten(d) (inf., pt.)
trosse(d)~trussed (inf., pt.)
trumpes (n.), trumpeing (ger.) ‘trumpets, trumpeters’
turnament (n.)
2. 開音節と、語末のただ1つの子音の前では /u: /
< ou, ow >
: flour : socour : vauasour
amour (n.)
(mes)auentour(s)
avowe (inf.)(OF avo(u)er)
: anclowe (n., OE ëo) は /u: / : /u/ か
barouns
Brout~Brut (F Brut) ‘chronicle’
Wace を指す。< Brutus, mythical king of Britain
(in þe) Brout : aboute
colour (n.)
: sour (n.) は /u: /ライムだろう
c(o)roun(ment) (n.) (AN coroune; OE corona; ON krúna)
couched (pp.)
couioun
coupe (n.)(OF c(o)upe)
crone (n.)(OF corune の語中音消失)
sone とのライムは /u/ : /u/か、/o: / : /o: /(その場合
ラテン語から直接借入された OE corōna を表わす)。多いのは c(o)roun(e)で、toun や broun
54
と押韻する
crouned (pt.)
croupe (n.)
dour (inf.)(OF durer)
our とのライムでは OF /y: /の N/ NMid の発音 /u: /
doute (n.), douted (pt.)(OF d(o)uter, etc.)
: route
dragoun(s)~dragon
o-つづりは CF /o/かも。/u: /や、強勢のシフトによる /u/も可能。
cf. pauilonis, coron(u)ment, coroning
flour(es) (n., pl.)(OF fl(o)ur)
(de)foil (inf.), (de)foiled (pt., pp.) defuiland (pr. p.)(? OF f(o)uler) ‘trample down’
変則
的な u > oi(cf. recoil)。defoil(ed) : recoil(e) : toile : totoiled は /ui/ か /oi/。 Wyld は OF
fouiller との混同を、Godefroy は defoler, -(o)ul- の別形 defolier の口蓋音化した / l / が湿音
の/ l /と誤解されたためと考える。oi は l mouillé をもつ OF 形から説明するのがいい。その音
は口蓋音化した / l /のように聞こえただろうし、実際 palatal l と n は AN ではよく歯音の l と
n と混同された
v. OED, foil v. 1, defoul, defoil v., recoil v. 1.
garsoun(s) (n.)
: tronsoun : barouns
ioiouse (adj.)
Jesu (OF obj.)~Jesus (Iesus)(L nom.)
Jesu : now、Jesus は稀(: ous)
June (< L Jünius; OF juin(g))
: toun
luxsorius
nevou (n.)(ONF nev(o)u)
: Šou
nortour ‘education’
(h)onour(d) (n., pp.)
pauiloun(s)
precious(e) (adj.)
recoil(e) (n., inf.)(? OF reculer)
変則的な u > oi (Liedholm は OF recueillir に遡ると考
える) cf. foist < OF fuste, fuist
renoun
resoun (n.)
rout(e)(OF r(o)ute)
: doute
socour
spouse (n.), (y)spoused (pt., pp.)
: ioiouse : precious(e)
stout (adj.), stoutelich (ad.)(OF estout)
tabour(er)s (n. pl.)
tour(s) (n.)
tronsoun
valoure
vauasour
OF ü
1. 閉音節では /u/
< u, (o) >
(y)hert~(y)hirt (pt., pp.), hurtinge (ger.)(OF hurter)
(y)hert : cert (OF e) : schert (n.,
OE û) : stert (n., < *styrtan)、 hirt : girt (pt., OE y) : stirt (pt.)
hoge (adj.)(OF ahuge, ahoge)
v. OED, huge
iugged (pp.)(OF jugier)
iuggement~jugg- (n.)
2. OF /ü: / は /u: /
< ou, (u) >
55
AN では /ü/ は早くに /u/ に軟口蓋音化された。この発音は NMid だけでなく SE (London)
の特徴でもある。
azur
: colour (OF u)
comoun (adj.)
comonliche (ad.)
/u/
coure (n.) ‘care, heed’
: doure : nort(o)ure
douk(es)(n.) (OF duc)
: buke では OF /y: /の N/ NMid の発音 /u: /、: dout (OF u)
doure(n) (inf.)
(mes~mis)auentour(s)
接尾辞の交替(armour, nortour でも)。 : honour (OF u)、
(mes)auent(o)ur(e) : Arthour、 misantour : four
pure (adj.)(OF pur)
our とのライムでは OF /y: /の N/ NMid の発音 /u: /
soure (adj.) ‘firm, secure’
statout
: dout (OF u)
vertu (n.)
: nevou (OF u)、: Šou
vse (pr.)
二 重 母 音
OF ie
>
AN /e: /
<e>
OF ie の他に、OF e、OE ÿ、OE å2、OE ē、OE eo、OE ēa、A ē と押韻する
agreued (pt.)
bacheler(s)
AN の接尾辞 -er(e) < ier(e)をもつ
baner(s)
suf. -er(e) < ier(e)、 : boteler
boteler~butsuf. -er(e)
bref
AN /e: / < OF ié、 : hef (pt.)
carpenter
cher(e) (n.)(OF chiere, AN chere)
/e: /、 : maner : destrer
conten(e)d(e) (pt., pp.)(< OF -tien-, inf. tenir)
conteyn (imp.), contein(e)d (pt.)などの異
形があるが、attainen < OF atteindre との混同によるもの(OED は Norm. -teigne (3rd pers.
pr. subj.)を挙げている)
corner
: quarter
destrer
feblenis (n.)
fers (adj.)
gref
liter (n.)(AN litere, OF litiere)
maner(e)
suf. -er(e)
messanger
: Šer
mister~mester (n.)(OF mest(i)er) ‘need’
: ater (n., OF i) : power (OF ei)
pauteners
suf. -er(e)
peces (n.)
quarter
riuer (n.)
suf. -er(e)、 : fer
(bi)sege(d) (n., inf., pp.), segeing
somers (n. pl.) ‘pack-horse’
suf. -er(e) < ier(e)
squiers (n. pl.)(OF esquier)
CF 形。 : destrers
56
OF ue
( < uo < L ô )
この音の ME の出力は不明な点が多い。ライムには生じない。Pope によれば、3つの方向へ
発達した: 1) CF /ö/ 2) NF /ö/~/u/ 3) WF /u/ ( > // )。AN では 1) /úe/ > /u/(つづりは
< u, o >)2) WF の /u/ 3) CF と NF の /ö /(< ue, oe, eo >)を区別し、/ö /は /ö: / < OE /e:o /
と合流し、その後 /e: /へ非円唇化され、< e >で表わされたとする。Luick は、OF ue を反映す
る AN の音には ME /ö: /が当てられ、< o, u >でも表わされたと言う。Slettengren は ME(東
部)では /o: /(西部では /ö: /)が当てられ、北部では AN /ö/ < OF ue は ME /o: /と同一視さ
れ、/ö, ü/のような音に口蓋音化されたとする。しかし、北部のつづり< u, o, (ou) >は、Pope が
言うように AN /u: / < úe > があったのであれば、/u(:)/ を表わすだろう
popel~pople (n.)(OF pueple, etc.)
Auch MS の他の作品でもこの形態。可能な音価は
/ö: /, /u: /, /o: /。AM には (S)W /ö: / < OE /e: o/ や N /ö, ü/ < ME (OE) /o: / を示すものがな
いので、/ö: /は除外できる。Slettengren は proven, coveren, dol の形態で確立された /o: /に
基づいて pople にも /o: /を提案する。が、dol には doul(: Šoul)もあるので /o: /だとは断言
できない。pople の音価ははっきりしない
diol(e) (n.)(OF duel, etc.)
Jordan によればケント方言形。でも、なぜ AN ö < OF ue に
(OK ëo > ) īo ( > ie) を当てねばならないのか(音も似ていない)。OF の pl. dieus(dueu- <
duel- の d の後に i が入った)の別形 diels /djö/ から、-s を pl.語尾と勘違いしたイギリス人が
diel を、そして diol を、del~dol の代わりに散発的に使ったのかも。diol (del と読め) :
Arundel、diol : Cardoil では doil (u + l mouillé > ui をもつ) が正しい(Cardoil = Carduil)、
d(i)ol : Randol では、後者が -del, -doil のつづりを持っているので、あいまい
(a)(re)couer(e)d (pt., pp.)(OF (re)c(o)uvrer + OE acōfrian ‘recover’)
keuer(en) (inf.), (a)(re)keuer(e)d(en) (pt., pp.)(OF (re)c(o)uvrer + AN rec(o)uvrir)
despuled (pp.)(L dēspòliāre) ‘undress, strip’
/u/ + l mouillé が < u > + 歯音 l で表わさ
れている。普通は despoile, -spuile
OF ai
OF ai の他に、OF ei、OE æ + î、OE e + î、OE ē + î、OE ē(a) + h と押韻する
1. OF ai は AM ではたいてい保持される。新たな /ai/ が a + 湿音 n / l から生じた
aire (n.) ‘air’
aise (n.)
: paise
amay (imp.), amayd (pp.)(OF esmaier, am- )
amirail(s), ay~amiral (OF amira(i)l)
v. OED, admiral
asay~asayle~asaily (inf.), asailed~aseyd (pt., pp.), (a)sailing(e), ey (ger.)(OF as(s)aier)
aseyd : deleid (pp.)。 -y に終わる inf.は南部形。 asaily : redi は最後の音節が押韻する。
が、asāly : rādi の母韻だったかも
astray (ad.)(OF estraier)
averray (inf.)
ME aver(re) (OF avérer, ‘assert the truth of ’) と ME avay (OF avier, pr.
sg. aveie, ‘inform, teach’)との混交か? OF averier ‘prove’ の pr. sg.からの発達か? verray
(adj., ad.)の影響か? averray : say (pr.)
awaite (inf.)(ONF awaitier)
: laite (n., OE ē + î)、: strait (adj.)
batail, ay (OF bataille)
bonair (adj.) ‘gentle’
chaumberlain
citisains~citeseines~citaisins
citaisins では2番目と3番目の母音が入れ替わっている
57
claim (inf.)
desmaied (pp.)
deleid (pp.)(OF delaier)
desmay (n.)
: saye (anal. pt. sg., OE æ + î)
fail(e), ay (inf.), failed (pt.)
fay
honteye (? n.)(cf. OF honta(i)ge ‘affront, déshonneur’; hontoi(i)er ‘outrager’)
l. 6879 の意
味は‘(cry of) shame’で、元は crie & honteye ではなく、crie of honteye だったのでは。 : way
(OE e + î)
maister (OF maistre; OE magister, mæg(e)ster)
: after は最後の音節が押韻する。が、
母韻 (assonance) も可能(/a(:)/ : /a/)
May (OF)
noblay
paid (pt.), ypaid (pp.)(OF paier)
paien(s) (n.)(OF paien, paen)
pais~pay (n.)
painem(e)(s)~panimes (OF pai(e)nime, paenisme)
多音節語では第2要素が落ちることも
paise
plain(es), ay, ey (n.)
: claim (inf.) : chaumberlain : Breteyne (Britain も)
pleint(e), ey (n.)(OF plainte)
音価は /ai/、: fordreinte (pp.)
praye
putain ‘whoreson’
sa(u)nfail(e), -fayl (OF fail(l)e)
wal とのライムは /a/ : /a/(F の湿音 l はここでは普通の
< l >で表わされている)、 : asayle : batayle, ai : trauail(e) : amirail(e) : Cornwaile、: wal
seyn(t), ei (OF saint; OE sanct)
sen は強勢のない接頭辞の形態
sodeinliche~sodanliche
talle (inf.)(OF taill(i)er ‘cut’) ‘cut to pieces, slaughter’
: alle (adj.)
a-形は第二要素を失った taite から(?) e-形
tate~tete (n.)(? < OF tet(t)e, taite) ‘teat’
は歯音の前で単母音化した異形 taite か、直接 OF tete へ遡る。 tat : stat (OF) は明白な a-音
価だが、tate : late (pp.) は e-ライムも可能
traisoun
traitour(s)
trauail(e)
verray (ad.)
: wray (pt. sg., OE ē(a) + h)。ME には 4-5 verri, verry もあった(v. OED, very)
wait(en) (inf., pr.), waited (pt.), waiteing (ger.)(ONF wait(i)er)
2. s / g の前では /ai/ が単母音化して /: / となることがある
egreliche (ad.)
ese
les~las(se) (n.)(OF laisse, L lax- )
: pres (OF e)、las(se) : was : dasse では /a/?
たら、/ai/ の第2要素が落ちたものかも
pes (n.)
短母音化、: les (pt., OE ēa)
tresoun
とし
OF ei ( > CF ôi ) = Norm. êi (ê)
OF ei の他に、OF ai、AN -eie (OF -ee)、OE æ + î、OE e + î、OE ē(a) + h、ON ei と押韻す
る
58
1. < ai, ei >で表わされ、音価は /ai/
air(es) (OF (h)eir) ‘heir’
alaine (OF haleine)
: paine
aperceived (< OF aperceiv- , inf. aperceveir)
buffeyt, ei (pp.) ‘strike (with the hand)’
buffet の異つづり。< ey >が /e/ を表わす AN
のつづりでなければ、OF buffier, -oier, etc.に遡るかも
buriays (n.)(OF burgeis, LL burgensis)
carrey~carroy(s) (n.)(OF cha(r)rei, char(r)oi)
carroy : midday
cf. charrois : harnois
conrey~korray (n.) ‘outfit’
OF conrei と corroi の交差に似ている。 korray : way
conseil(er), ey (n.) ‘council, counsel, counsellor’
conseil : meruail
curteys (adj.)
: palays (n.)(OF ai)
demeyne (n.)
: Breteyne (OF ai)
desplayd (pt.)
desray (n.)
faire (n.)
: bonaire (OF ai)
fay (OF fei(t))
: noblay : monay
feined (pt.)
? fi (n.)(OF 12th c. feie, fie, etc.) ‘liver’
: þi (n., infl. OE ī ) では二重母音もあり得る
harnais, ei~harnois, oy
harnais : curteys、harnois : charrois : Leoneis
mene (OF meyné)
meruail(s) (n.)
: conseil、: (saun)fail(e)(OF ai) : bataile (OF ai)
monay
noblay
: cuntray : valaie (AN -eie, OF -ee)、: heye (OE ē(a) + h) : yþei (OE e + î)
(y)praised (pp.)
pain (n.) ‘punishment’
pray (n.) ‘prey’
: cuntray (AN -eie)
pray (pr.) (OF preier)
praie (n.) : joie (OF /i/)では /i/? その場合は CF /i/ < /ei/ を表
わすが(cf. inf. praise : Marmidois)、/ai/ライムもあり得る。その場合、joie は Picardian /ai/
< oi を持っているのだろう(cf. anoye : day、anoid : seyd)
rain (n.) ‘rein’
regned (pt.)(OF regner)
二重母音は現われない
ressaiued
turnay(en), ai (inf.)
veir (ONF veir(e))
: air ‘heir’
2. OF (h)eir では単母音化
air (n.)(OF (h)eir) ‘heir’
fer とのライムでは単母音化して /: /
lel (adj.)(OF leial, loial)
: Bretel では /: /(母音連続による縮約): //
po(u)wer~pouer (AN poër)
AN suf. -er (< Norm. -eir ) /e: / を持ち、脚韻語の mester,
carprnters は AN -er(e) < ier(e)を持っている。OE suf. -ere、OE å1、OE ē、OE ēa、OE ēo
ともライムになる
stouer
AN -er < -eir、stouers : pauteners (AN -er < ier)
OF /i/ と /oi/
1. /i/ (L au + i )
ioie, joie (n.)
ioiouse (adj.)
: praie (n., OF ei)
59
ioifulliche (ad.)
? noise, oy
: Marandoise
2. /oi/ ( < L ō, ù + i ) ~ Norm /ui/
< oi, (u) >
< oi > は /oi/ の他に /i/ や /ui/ を表わすこともある
asoine (n.)
: Moyne : Galoine (pl.)
croice
: voice
(to)frust (pt., pp.)
ui > u をもつ、: lusten, o (pt.) : dust (pt.)
joined (pt.), joinand (pr. p.)
poine~punay (n.)(OF poignee, puignee, etc.) ‘a handful (of men)’
punay ( : oway) は
end-stressed で、-ei(e) < ee と、< n >で表わされた OF n mouillé とを持っている
point (n.)
purpoint ‘quilted doublet’
toile (n.)
: defoile (n.)
totoiled (pt., pp.), toil(inge) (ger.)
totoiled : defoiled (pp.)
voice (n.)
OF üi
( < L ū + i; or older *uei < L o + i )
< u > と < (u)i >
1. 2つの発音があった:下降調の /üi/(> /ü: / > /u/)と上昇調の /üí/ 。AM ではライムに生じ
ない。下降調の /ü(i)/ は < u >で、上昇調の /(ü)í/ は < (u)i >で表わされる
condid (pt.)(OF conduire)
< (u)i > つづり
condue (inf.)(OF conduire)
< u > つづり
(de)strued (pp.)(OF destruire, L destrücere)
< u > つづり
quissers (n. pl.)(OF cuiss(i)ere)
< ui > つづり、/k/ の後で /u/ が残っている
tobrussed (pp.)(OF bruisier; OE brÿsan)
2. 様々な起源の oi をもつ異形
anoi(e)d (pt., pp.), anoiing (ger.)(OF enuier, etc. < *inodiäre)
語末に強勢を置かれた CF 形
の ôi を持っている。anoi(e) : day、anoid : seyd (pp.)のライムでは Picard /oi/ > /ai/ を示す
anoye, oi~noiŠe (n.)
oi をもつ動詞形の影響かも
astroie (inf.)
tropie とのライムでは astrie ( /i: / < /üí )だったのかも。ただし、tropie も
はっきりしない。Kölbing は troplie ‘troop’を、Godefroy は tropele(e)を提案する。また、別
の解釈 astroi(e) : tropoi も可能。tropoi は OF trepoi ‘bruit, vacarme’ の変種で、文脈にも合
う。すぐ前の aspie につられて tropoi が tropie と書かれたのかもしれない
destroi(e)d (pp.)(OF destruire)
oi < L destrùcere (Jordan)。Luick は anoien : enüien へ
の類推のせいとする。 destroie : anoie
devoided (pt.)(OF de(s)vuid(i)er, etc. < *vocitäre) ‘deprive’
oi は end-stressed の形態か
ら(Jordan)。Luick はノルマン語の方言形を提案する
cf. destroi(e)d の項
(y)stroi(e)d (inf., pp.)
u- の二重母音
1. au < a + l ( + C )
asaut (n.)
baudekines (n.)
cauci (n.)(ONF) ‘mound’
60
chaufed (pp., (adj.))
defaut (n.)
: asaut
faut (n.)
(h)auberk (n.)(OHG halsberc)
maugre (prep.)
ribaud, -bau(de)s (pl.)
sauen (inf., imp.)(OF salver, sauver)
a の代償延長で v の前の u が落ちている。 saut もあ
る、saut : Gvinbaut ( -bat : flat : þat) : Sinalaut : Nohaut
(12th c.末から 13th c.に CF で、AM でも)
2. /u/ ( < o + l (+ C) ) > /u/
pouder, -re (n.)
pouer(men)
< ou >が /o:v/ を表わしていなければ、/u/で、/u/ < /v/
powe (n.)(OF po(w)e, etc.< ? OLG *pauta)
v. OED, paw
soudan(s) (OF so(u)d-, sold-)
v. OED, soldan
souders (n. pl.)(OF soud-, sold-)
三 重 母 音
OF uei
< uoi < L ô + i
queint (adj.)(AN cueint)
queintise, ey (n.)
OF ieu
(< L ê + u )
< uw, (u) >
dieu~de
(par) de (: me) は OF dē から、不敬な言葉を和らげるため
sout (n.)(AN s(i)ute, etc., OF sieute <VL *sequita) ‘dress, uniform’
/u:/
cf. suwe
suwe(n) (inf.), suwed~sueden (pt.), suweþ (imp.)(< sieu- , OF s(u)ivir, etc. < VL *sequere
(L sequi))
suwe : avowe (OF ū)では AN と NF の /ieu/ > /iu/ > /u: / を示す。 sue :
hewe (inf.)では /iu/ : /u/ か、/iu/ : /eu/(< OE hēawan の pt.語幹 ēo)。Luick が言うよう
に 13th c.末までに /eu/ > /iu/ となっていたのなら、/iu/ : /iu/。北部方言では /u/(先の動
詞の現在語幹にもある)は 1375 年までには /iu/となっていたと Orton は言う。ともかく、
/u/ と /eu/ は厳密に区別されていたとは思われないし、/iu/へ向かう変化の中で、/u/ が
/eu/ と合流する例もあったであろう
OF eau
( < e + au ( < al ) )
>
/u/
beaute (n.)
フランス語のつづり
bieu~bewe (adj.)(OF buau, biau, etc., earlier bel)
AN /u/ は ME /eu/ と同様、口蓋音
化されて /iu/となる(Pope)
leute~leaute (n.)(OF lealte, etc.)
leaute(: beaute)はフランス語のつづり
rem (n.)(OF reaume, re(i)alme)
/u/ の二番目の要素が /m/の前で消失(: flem)
61
Chapter III
子
音
子音を2度書く doubling はたいてい AN のつづりの影響を受けた単なる異つづり
w
w の消失
/u/ の前で:
suster, o (OE s(w)ustor, swostor)
Jordan は 12th c.から、Luick は 9th-11th c.とする
sore (pt. pl.)(< swore(n))
w は OE swor(on)の /o: / > /u: / を助長し、消失
ich の後で:
ichil(le) (pr.)、ichot (OE ic wāt)
ne の後で(OE からある):
nil(len) (pr.)、no(s)t、nar (pt.)(OE nåre, -on = ne wåre, -on)、ner(en)
縮約形 noþer (OE nowþer < nō-, nāhwæþer)~noiþer(Hand I のつづり < oi >は北部の /o:/)
その他:
knely (inf.)(EME cneol(i)en < OE cnēowlian)
swoned (pt.), swoninge (ger), aswon (ad.) (< swowenen)
(al) so (OE swā) / (a) to (OE twā) は強勢がないため(Jordan)
t, d, s の後で:
< v (u) > が < w > に替えられる
tvii(e)s (ad.)、tvay (num.)、(a)tvo、tvelue、tventi、suiftli~swift- (ad.)、duelle(st) /
duelling、Vinchester(語頭の v の代わりに w が書かれることはない)
これも Hand I の特徴(北部の?)
ゲルマン語起源のノルマン語にも語頭の /w/ が保持される(= CF /g/):
(a)wer(red) (inf., pp.), wer(res) (n.)
(a)wait(ed), ay (inf., pt.), &waiteing (ger)
warnise(n)(inf., pr.), ywarnist (pp.)
waraunt (n.)
しかし、/ i /の前では / g /が好まれる:
gie(d), ye (inf., pt.)
(bi)gile(d) (inf., pt., pp.)(cf. OE wīl)
gise (n)
r
r の音位転換
AM にはかなりある
ht の前で:
briŠt (adj.)(OE beorht)
(y)wrouŠt (pt., pp.)(OE (ge)worht(e))
s, n の前で:
(to)brast (pt., sg.), brust~borsten (pt. pl.)(OE berstan)
fresche (adj.)(OE fersc)
brini (n.)(OE byrne; ON brynja)
bern(e)~bren(n)- (inf.)(cf. ON brenna)
berdes (n. pl.)(OE brid(d), Nhb bird)
strit~stirt-, e (pt.)(OE *styrtan)
62
r の重複(? echoic): dorren (n. pl.)(OE dora) ‘humble-bee’
類推: chosen (pt. pl., pp.)(OE cur-, cor-)
inf., pt. sg.の s を持っている
同化 r__l > l__l: alblast (OF arbaleste)
異化 r > l: purpel(les)~purper (OE purpure, LOE purple; L purpura; OF purpre, etc.)
語源的でない r: goruerny (OF governer)、
Wincherster (OE -ceaster)
dittographic (anticipatory) か
r と rr の混同: hirritage~hiritage
変種: poudre~pouder、
encumbrement~encumber-, acomber (inf)(OF encombrer)
l
l の消失
/t/ の前後で: swiche、w(h)iche、euerich(e)、miche
強勢がない所で: as(so) (OE eal swā)
縮約形で: (þou) schust
OF u < 子音の前の l: (de)faut (n.)、beaute、souder(s)、pouder, -dre
Latin l が現われる: fals (adj.)(LOE)、palme- (n.)(OE palm- ; OF)
OF u < l の消失
唇音の前で: rem (OF reaume)、
saue(n) (inf.), sau(e)age (adj.)(OF sauver, salver)
OF l mouillé は < il, l >で: fail(ed)、batail(e)、trauail、amira(i)l(OF の二重語)、
orgulous (adj.)(OF orguillus)、despuled (pp.)、talle (inf.)(OF taill(i)er)
その他: nobeliche~noble- (ad.)
fiz (n.)(< filz)
m
fro (prep., ad.)(ON frá)~fram (OE)
同系の語
n
n の消失
無強勢母音の後で: game (n.)、ire、maide、aue (OE åfen)、owe, awe (adj.)
maide を除いて行中では n をもつ形態が普通
seþþe (ad.)、bineþe、(a) (bi) (to) for(e)(n 形は行中でのみ)、
o (OE ān)、mi (poss. pron.)、þi
h 以外の子音の前で。しかし、n, g の前では n 形
異分析
n が母音で始まる次の語に付けられる:
mi, þi nem (OE ēam)、þi nore (OE ār)、no noþer (OE nān ōþer)、for þe nones、
at þe, o nende
mn > m
子音の前で: nemd(e) (pt.)
double n
swannes (pl.), stonnes (pl.) は単なる異つづり、at onnes は短音化した /: /
(cf. ModE nonce)
final n~m
paien(s), ay (n. pl.)~paiem(s), ay
n>m
唇音の前で: comfort (n., inf.)(OF cun- , confort(er)、
(de)scomfit(e), -cum- (n., pp.)、gomfa(i)noun, ay(gonfaynoun もある)
63
異化による消失
couenaunt (n.)(OF co(n)venant, inf. convenir)
r の後の n の消失
soiour (inf.), soioiuringe (pr. p.; 重複誤写の i )(OF sojorner, etc.)
しかし soi(o)urne (: murne, o), soiourninge (pr. p.)
語源にない n の挿入
messanger(s) (n.)(OF messag(i)er)
OF n mouillé は < in >で: asoine (n.)、joined (pt.), joinand (pr. p.)(OF joign- )、
poine~punay (n.)(OF poignee, puinnie, etc.)
< (n)gn, ygn, n(g) >で: signe (n.)、di(n)gne(r) (adj.)~dine (: Brasine)、regned (pt.)、
linage (n.)(OF li(g)nage)、seygnour(s)~sengours

droken (pt. pl.)(OE druncon)
dronken に修正している
ON drukk- を表わす初期の(北部の)変種か? Kölbing は
p, b
m__n の間に p が挿入される: solempne (adj.)(OF solem(p)ne)
語末の b がすぐ前の m に同化: croume (adj.)(OF crumb, -mp) ‘crooked’
OE -bb- が現われる: habbeþ (pr. pl.), libben (inf.)
: toune
f, v
v の消失
d の前で: hade(n)~had(de) (pt.)(OE hæfde)
fd > dd の同化
n の前で: abone ( : come)
n が u でなければ(← これは aboue)
r + C の前で: lord (OE hlāford)、lark (OE lāferce)
fm > mm
LOE 以来: wiman~woman (< wīfman)、leman (< lēofman) は ME で
v ~ w: korwe(n) ( : morwe)
coruen, k- (OE curfon)と並んで現われる
f ~ v: Šif~Šiue (OE gif)
/ v/ をもつ異形は有声音の間に現われたのであろうが、AM で
は無差別に使われる。語末の f と語中の v をもつ名詞・動詞形も同様:
stri(i)f~striue ( : fiue)(OF estrif)、half~halue、clef~cleue (pt. sg.)(OE clëaf)
これは
単なる異つづりかもしれないが
その他
neuen (pr.) < ON nefna
pouer(men)
< u > はあいまい。/u/も可能
misantour~misauen-
t, d
異化による t の消失: OE best (< bet(e)st)、ME last (OE latost)、grest (OE grīetest)
語末の t の消失
n の後で: se(y)n~seynt (OF saint)、gramerci (OF gra(u)nt merci)
turnamens ( : verramens) は -ment だったのでは? geaunce (pl.)(OF geant)
剰音の t: hest (n.)(OE hås)
語末の t の有声化: schald~schalt (pr. 2nd sg.)(単なる異つづりでなければ)
母音間でも gliderand (ME glit(e)ren)
/ts/ が < c>で:milce (n.)(OE milts, -lds)
挿入音 d の発達
l__r、n__r の間で: alder (OE ealra)、þonder (OE þunor)、
þondred (pp.)(OE þunrian)
64
語末の d の無声化
弱変化動詞の pt., pp. で: (y)brent、meynt (OE mengan)、girt(en)、
(bi)left など、Šalt (pt. sg.)(OE gieldan)、bot (OE bīdan)も
時折、第2強勢の位置で: Scotlant ( : Angvisant)~Scotland ( : Humber-lond)、
-launt ( : saunt)~-land ( : launt)~-lond
d の消失
屈折語尾 s の前で: ribaus~ribaud(es)(OF ribau(l)d, etc.)
d の代わりに t: pertris、maulard
その他: (par ma) fay
þ, ð
同化: atte(last)、(her(e) &) ter(e) (OE þår)、schaltow、bileuestow
atte þe dore では重複誤写(atte gate + at þe gate)
縮約形: stont (stondeþ)、rett (OE rådan)
語末の þ の代わりに t/ d: seyt (pr. 3rd sg. seiþ)、wit (prep.)、(al) fort~ford (ad.)(OE forþ)
は AN の影響か、同化・異化か
つづりの混乱か: wretþe(fulliche)~wreþe~wraþfulliche (OE wråþ(þ)u)
その他: ded (n.)のみで、-þ が生じない
þ の代わりに散発的に th: ythe(n)~(y)þe(n) (inf.)(OE þēon)、
s, z
語源にない s の挿入: citisains, citeseines, citaisins (n. pl.)(OF citeain, citeyen, etc.)
s の消失
すでに 11th c.に OF の発音で: me(i)ne ‘household’
語末に s の追加: vairs, veires~veir, ai (OF veire, etc.)、verramens などの s は副詞の -s へ
の類推か
その他: medlay (n.) ?
OF の語尾の s は AM では< s >で、geauntz (pl.)でだけ< z >
OF の母音間の s が< ss >でも: vssage~usage、confussiouns~confusiouns
cf. (a)curssed(liche)~cursed (pt., pp., ad.)(? OE cursian; ? OF)
Double s は< sc >でも: (y)blisced (pt., pp.) ( : ywissed)
cf. purchasced~purchast (pt.)(AN -chacer, OF -cha(s)cier, -chass-, etc.)
assensioun (n.)(L ascensionem)、decended (pt.)(OF descendre)、decente (n.)
誤写 faunfail 7554 は saunfail (1163, 2743, 3388 でも)
c /k/,
ç /t/
k の消失
縮約形で: (y)made(n)~maked (pp.)(OE (ge)macod(e))、to (pt.)(LOE tōc)、
siŠhing (ger.)~sikeende (OE sïcan) ‘sigh’ は pt. siŠte からの逆成
< c > の代わりに< k >
a の前で: kan(estow) (pr.)、(to)karf (pt.)
一部は水平化のため、一部は、特に北部、北中部、東中部では北欧語の
/k/ と /t/の交替
影響で、/k/ をもつ形態が好まれる:
OE þync(e)an: þenkeþ, þink (pr.)~ofþincheing (pr. p.)
OE þenc(e)an: (bi)þenke, ofþink (imp., pr.)~(bi)þenche (inf.)
OE (be)sēcan: seke (inf.)の1例以外はすべて< ch >
kerue(inde) (inf., pr. p.)(OE ceorfan) の< k > は pt. pl., pp.から
chon (pt. sg.)(OE cīnan, pt. cän) や chosen (pt. pl., pp.)(OE cēosan, curon, coren)
65
散発的な schosen はフランス語の借入語で起こる< ch >と< sch >の交替による(もっとも、
それらが /t/ と// を表わしている可能性もある)
riche (OE rīce; OF riche) は rike ( : Betike) を除いてすべて< ch >
(y)liche (adj.)(OE gelīc)、licham (OE līchama)、like、lickenisse (n.)(OE (ge)līcnes)
liked (pt.)(OE līcian)
swiche (OE swilç)、w(h)iche、(þat, þis) ich~þilke (adj.)(OE ilca, -e)
ich~y (pron.)(OE ic)
ic : quic (OE cwic)
-lich(e), -ly, -like(e) (ad. ending)
crouche (n.)
croice : voice
ラテン語の c は a の前では Picardy と North Normandy を除く OF で /t/になった。だから
フランス語の借入語で /t/ と /k/ の交替が見られる:
(y)charged (pp.), charging (ger.)(< L carricāre)~cark (n), carked (pp.), surcarking (ger.),
ouercarked(英語の接頭辞)(< late L (syncopated) carcāre)
charrois (n.)~carroy
(a)scape(d) (inf., pt., pp.), askape, ofscaped~(a)schape(d) (pt., pp.)
ONF 形でも: carols, k- 、catel、carpenter(s)、cauci、carters ~ skec (n.)、skekes、
skecken (inf.)、scorn (pr.)、学術語も k で、cas、cabel
OCF は ch: chalanged (pt.)、chaunged、chaumber (n.)、cher(e)など
その他: ME の異形 schourge (n.)、eschele (n.) ‘troop (of soldiers)’
ラテン語の qu は< qu >: quarre (adj.)、conquerre (inf.)、squiers
< c, k >でも: licour (n.)、OF qu は< k >: cokin (n.)、aketoun
sc
( //, /sk/ )
OE suffix -isc: Inglisch(e), -isse, -is、Scottis ( : ywis), uplondismen
French suffix -iss は -is: rauist (pt.)、hunist (pp.)、ywarnist、warnise(n) (inf., pr.)
ライムで OE sc : s: nesse (adj.)(OE hnesce) : pruesse (< OF)、
flesches (n.)(OE flåsc) : wes (pt.)、flesche : wes、fische (n.) : ywis、
wesche (pt.)(OE wēosc) : ywis
さらに、las(se) (n.)(OF laisse, lesse) : dasse (pt.) : was : Solmas、les : pres (n.)(OF presse)、
lasse (inf.) : tasse (n.)(OF)、las (n.) ‘(sudden) blow’ : was
// < OE sc と並んで /s / があったとは断言できない。母韻、s(s)のつづり、/s /とのライムがあ
るので
OE の語頭の sc は< sch >の他に< s >で: senche (inf.)(OE scenc(e)an)(異化?)
cf. singel (L scindula)、(in a) busse
Scand sk: scaþe(s), -en (n.)、sky, skies (n.)、scippe (inf.)、sket(e) (ad.)
Latin (?) sk: Scotlond、Scottis
OE での音位転換
語中と語末で /sk/ > /ks/ (< x >で): axi(ng) (inf., ger.), axed (pt.)~
ask(en)、bitvix(en) (prep.)
g, Š
AM では、/k/ や /t/ と同様に交替する。
Scand /g/: gett(e) (pr., pt.)(ON geta)、gestes (pl.)(ON gestr)、algat (ad.)(ON gata)
口蓋音の Š: oŠa(i)n(es) (ad., prep.)~ogain(1例、恐らく ON i gegn の影響)
66
< Š > が散発的に喉音を表わすことがある: Šain (ON gegna)
摩擦音の Š: Šolden (pp.)(OE golden, inf. gieldan)では pr. / pt. sg.語幹の摩擦音が水平化して
いる。一方、(y)Šouen (pp.)は、規則的な yŠeue (OE giefan, pp. gifen / gefen) と並んで、語
源的な摩擦音を持っている(母音は第4類への類推によるもの)
喉音 /g/ の水平化: gate (sg.), gates (pl.)
cf. Šates (OE g(e(atu)
OE の WS/ K 方言では、d と n の前で口蓋音の Š が消失した: sede (pt.)、(y)sade、
maden (n.)、oŠan(ward) (ad.)、mirþe < OE myr(i)gþ
その他: amorn~(a)morwe
このタイプの屈折形と単数主格形は区別なしに使われる
gs > ks: lext (pr. 2nd sg.) < A lē(o)g(e)st
h
h の消失
縮約形で: ichaue (pr.)、nadde (pt.)
cf. ichim ‘I him’
散発的に無強勢形で: is (pron.)、adden (pt. pl.)
h の間違った挿入: her (OE år)、hest ‘east’、heldest ‘oldest’、heiŠte ‘8th’、(bi) heiŠte
a~an (art.): h 以外の子音で始まる語の前で n が落ちる
OE での h の消失
hn の前で: nesse (adj.)(OE hnesce)
OE hw は < wh, (w) >で: whom~wom、whos, whas~wos, was、what~wat、
wher(e), whar(e)~wer(e), war(e)
< w > つづりは S と SEMid 方言
h の間違った挿入: whe ‘he’、owhen~owen (OE āgen)
アソナンス(?): Šift(es) : kniŠtes : vnriŠt
口蓋の母音のあとで、語末の h > f(?)
Šiftes : ariŠtes が Libeaus Desconus に生じる
ゲルマン語起源のフランス語借入語では、語頭の h は残る: hauberk~auberk(1例)
他方、ラテン語からの借入語の h は、民衆語では早くに発音されなくなった: ost~host (n.)、
ermite~hermite、onest (adj.)、orible、など
残ったのは: honour、しかし onour, anour, onourd (pp.)
語源にない h: gisharm~gisarmes (n.)(OF g(u)isarme、語源未詳)
Chapter IV
屈折に関する覚え書き
以下は AM の屈折に関する詳細な記述ではない。AM が提供する方言の証拠に関する議論に
多少とも関係するものだけ扱うことにする
名詞の複数
-(e)s と並んで、弱変化の語尾 -en も、行中とライムによく現われる
-is が1例(3203 の行中)
副詞(形容詞)の語尾
-lich(e), -ly (-li)~-lik(e)(まれ)
分布
行内では
-lich(e) 77、-ly 14
ライムでは
-lich(e) 65
お互い同士か、あいまいな脚韻語とのペアだから、音価が確実なものが
ない。inter se 59、後者が 6(riche(adj.)、liche (adj., n.)、 swiche、
schriche (inf.))。 南部の方言で普通の形態
67
-ly
-lik(e)
13
3
OE /i: /、 OF /i /、 Blasy、 Herui とだから、すべて確実
biswike (pp.)(OE swïcan) と quic とのライムは確実(母韻でなければ)、
残る1例は Camberuic (n. pl.)
南部で散発的に現われるのは OE の屈
折形のせいかも
cf. euerich(e) 42 ~ eueri, -y 12
すべて行内
数詞のなかで注目すべきは
seuend、neiŠd、fiftend で、すべて行内
-ende 形は K と N の方言に現われる
人称代名詞
1st sg.: ich, y(行内で)~ ic /k/ ( : quic)(母韻かも)
Auch MS では、AM を含む南部のテキストで ich が y よりも多い(Holmqvist)
実際は AM ではほぼ同じ割合: 最初の 3000 行で
ich
94 ~ y
93
5000 行で
ich 123 ~ y 129
しかし、ich/ y は方言の信頼できる証拠にはならない
3rd sg. f. nom.: sche
3rd pl. nom.: þai, ay ~ hye, ie(かなり多い)
obl.: hem(ライムには2回、: Sapharem、: ten)
acc.: hes(S(E)形で、ライムには4回、: les (OE ēa)、: pres (OF e))
gen. pl.: her ~ þair(2回)
動詞
不定詞
南部の語尾 -y、-i: 行中には少なくない(axi、asky、maki、dery, deri(en)、
þoly, -i、dawy、knely、lachi、goruerny (OF)、graunti (OF))、ライムに一回(asaily :
redi)
cf. pr. pl. louieþ 4204、speki 4991
現在
3rd sg.: -þ(縮約形もある)~ -s(行中に2回だけ)
3rd pl.: -eþ(大部分がこれ)~ -en(行中に4回)~ -e(行中に1回とライム
の signifie(: lyŠe (inf.)、恐らく -n ライム))~ φ(行内の scorn)
OE bēon の pl.形: beþ ( : deþ : seþ) ~ ben ( : slen)
過去
-ud が1例あるが(soiournud)、すぐ前の u に引かれた間違いだろう
命令法
pl.: -eþ
過去分詞: y- と -n は付いたり、付かなかったり。それはライムや韻律のせいでもあるの
で、方言の基準にはならない。Holmqvist は y-形の方が優勢というが、AM では
最初の 2000 行で
y- 形
106 ~ φ- 形
88
5000 行で
y- 形
208 ~ φ- 形 196
現在分詞: -and ~ -end(e) ~ -inde ~ -ing(e)(全部で 83 例、うち 23 例がライム)
行中では:
-and 45、 -end(e)
4、 -inde 11
ライムでは: -inde
8、 -ing(e) 15
-inde のライムの内訳
bihinde(ME に bihende はあるが、-and ライムとはとれない)、
yfinde (pr.)(: libbeing は -inde と読め)、-inde 2例、の計4例は確実。þousinde と2
例
-ing(e)のライムの内訳
king(e)、þing (sg.)、þring (sg.)、動名詞との9例は確実。6例
は同じ -ing(e) と
上の数字を見ると、-and は -end/ -ind の3倍あるのに、ライムに現われないので、写字生
に属すると思われる。これだけ見れば、写字生が北部の要素を排除したと Heuser が言うのは
肯ける。が、AM に関する限り、-and が北欧語の影響の下に SE で発達したという Holmqvist
の主張には同意しかねる。また、-and が行中に多いからといって、それをフランス語の影響の
せいにするのもどうか。実際、AM の写字生をフランス系のノルマン人、あるいはフランス語
の影響をかなり受けた者と考える理由もない。なぜなら、後者に特有のエラーが極めて少ない
し、後者に典型的なエラーは皆無だから(この点で、Seven Sages の写字生と異なる)。
68
これに関連して興味があるのが、OE þūsend の ME 形の AM での分布である。その語尾は
pr. p.のそれと同じような動揺を示す。
行中では:
-and(es) 162 ( + 1)、-end(es) 12、-ind(es) 15
ライムでは: -ind(es) 56
54 例が確実なライム
bihinde(6841 の þousand は -inde と読め)、(y)finde (inf., pr.)、
winde (inf., n.) と。それに pr. p.と2例
行中の例に erand (OE årende) が1例加えられよう。
OE þūsend、årende(wāsend, etc.)の -and(e)に終わる異形は pr. p. -and(e)への類推のため
と説明されてきた。AM に関しては、分布の類似を考えると、Wallenberg が Ayenbite にした
ように、フランス語の直接の影響(< -ent / -ant)を仮定するより、類推説の方が妥当だろう。
AM のたくさんの -and をもつ pr. p.形が、フランス語の pr. p.の語尾の影響を受けたとは考えに
くい。
結
論
これまで OE(と OF)の母音と子音の AM における出力について記述してきた。それに屈折
についても少し触れた。最後に、私の調査から明らかになった主要な音韻論的事実を手短にまと
め──ただし、最も重要な方言上の基準を重点的に扱う──、そしてそれらが広く認められてい
る ME の方言タイプの1つに合致するかどうか注意深く調べよう。特に、Kölbing のあまり詳細
でない調査に基づいてなされた分類 ‘Essex-London’ を支持するかどうか、また、AM に見られ
る対立点が大きすぎて、そのような調整を受けつけないのかどうか。テクストがただ1つの写本
にしか現存していない事実だけでなく、民衆的なロマンスというテクスト自体の性質のため、そ
れが最初に書かれた方言を確定するのが困難になる。まず、この長い、しかし断片的な詩の本体
を書くのに複数の著者(翻訳者)が与ったと考える理由はないが(序文を見よ)
、あちこちに、多
少とも伝統的な戦いの描写などを含む一節が──この種の物語にはどれでも合いそうな──、余
分な潤色として他のペンで付け加えられたかもしれない。第2に、我々のテクストは写本であり、
我々の知る限り、それは写本の写本でさえあり得る。当然ながら、そのようなテクストは均質な
言語を持っていないだろう。それでも、原著者の言語を反映する基本的な傾向を知り、そしてひ
ょっとしたら、その上に載っているもう1つの、最後にテクストに加えられた修正を表わす、多
少とも逸脱する形態の層をも知ることができるだろう。つまり、写字生の言語を。
時折現われるライムは著者の慣用には属さず、様々な理由で(フランス文学の影響や、脚韻語
の乏しさ、等)修復されねばならないが、大部分のライムは、行中の形態よりも著者の言語に手
がかりを与えてくれるだろう。従って、以下の概観では、ライムの形態の証拠が行中の形態のそ
れと食い違う場合は、ライムの証拠だけを考慮する。その概観に続いて、ライムの形態から逸脱
する行中の一連の形態に含まれる証拠を扱う。AM の写字生の方言上の特徴に、できれば、光を
あてるためである。
1. OE /a/ + 鼻音は < a >として現われる。(cf. SE þonk- 行中)
2. OE i-ウムラウトの /a/ + 鼻音は普通 < e >、しかし SE a も散発的に行中とライムに。
3. OE /æ/ は < a >(時折行中に現われる wes は弱強勢のせいかも)
4. OE a/o + mb, nd, ng は普通 < o >(時に行中とライムに a-形があるが、確実なライムには
ない)
5. OE /a: / は規則的に< o >(< a >が行中とライムに少数、 cf. OE /a: /の項)
6. OE /y(:)/ は確実なライムで < e > 72 : < i > 7。
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7. OE å1 と å2 はたいてい < e >で表わされる(広いか狭いかは決められない)
。SE /a: /の変
種が生じるが、確実なのはライムの2例。しかし、そうだと思われる例がかなりある。
8. OE /a/ + ld は大部分 < e >、しかし、割れなかった / /もかなり多い。確実なのは行中では
< e > 66 : < o > 22、ライムでは < e > 7 : < o > 2 。
屈折にも注目すべき点がある。
9. 名詞の弱変化複数形も行中とライムにいくつか現われる。
10. 副詞の語尾は大部分が -lich(e)(行中に 77 回、ライムに 65 回)、-ly(行中に 14 回、ライム
に 13 回)、や -lik(e)(ライムに 3 回)も。
11. 人称代名詞の 3rd sg. f. nom.は sche、3rd pl. nom.は þai、時折 hye;目的格は hem(ライ
ムに2回)、(S)E hes もライムに4回;gen. pl は her、þair も2回。
12. 南部の不定詞の語尾 -y は行中にかなりよく現われる。ライムにも1例。
13. pr. 3rd sg. は規則的に -þ(行中に -s が2回)。3rd pl.はたいてい -eþ、時折 -en やゼロ語
尾も。命令 pl.は -eþ に終わる。
14. ライムの pr. p.は -inde(8例、うち4例は確実)と -ing(e)(15 例、うち 9 例は確実)
方言の証拠は、上の概観に見られるように、AM が元々──大雑把に言って──南部の方言で
創られたことを明らかに示している。2, 6, 7, (8) は確かに SE 地方、恐らく Essex か London を
示しており、我々の証拠は従来の分類を裏付ける。/a: / < OE å1 と å2 の確実な例がライムにし
か生じないという事実と、割れを受けなかった -old の割合が、-eld に比べて行中よりライムで低
いという事実は、著者に属する形態の基本的な層を明らかにしていて重要である。
ライムの形態の証拠に関連して、開音節での /u/ > /o: / の変化も注目すべきである。これは元々
北部で発達し、南へ広まったもので、北部方言地域の外でも多くのテクストに見られる。これと
並行する変化 / i / > /e: / は AM には確かに出てこない。
abade : sade は明白な北部のライムであり、恐らく mare: fare も同様。先に述べたように、著
者の通常の言語習慣から逸脱する形態が散発的に現われるが、多数のライムが提供する証拠の妥
当性は変わらない。
不正確なライムについて言えば、AM の著者はよく同じ音の広い変種と狭い変種をペアにして
いる。また、短い /e/ と短い / i /も。さらに、長さの不正確なライムがかなりあるが、多くの場
合、脚韻語が長音化や短音化を受けたかもしれないので、長さを推測するのは難しい。他方、も
っと不正確なライムは例外的で、少ない(正確な音価に修復できるものを省けば): hors : wors
(視覚韻?)、ost : alblast、Lounde : vnderstonde、恐らく euerichman : ten も。
次に、行中の形態の証拠がどのような点でライムの証拠と異なるのか、また、それが異なる方
言型を示すものとしてどの程度重要なのか、検討しよう。以下に挙げるのは注目すべき逸脱であ
る。
Point 6. OE /y(:)/ は行中で < i > 183、< e > 65、即ち、i-形が際立って多い。
Point 8. 割れを受けなかった -old 形の割合が行中での方が高い。
Point 14. pr. p.の語尾の行中での相対的な分布は -and 45、-end(e) 4、-inde 11 で、-and 形
はライムには生じない。
これらに、Point 15 も加えてよい。OE wolde は行中で< o > 56、< a > 34 で、a-形はライムに
生じない。
6と8だけ考えれば、我々の写字生はロンドンの人である、即ち、彼の方言は著者のそれと年
代的に異なるだけで、地域は異ならないという Holmqvist の主張に同意したくなる。割れなかっ
た -old 形も、/ i / < OE /y(:)/ も、1300 年以後ますますロンドンの英語に入ったことを知ってい
るからである。しかし、14 と 15 は無視できない。それらは前の章で触れた他の特徴──例えば、
noiþer のつづり、異形 warld(a 11 : o 7 で、行中のみ)、þair──と共に、写字生の言語慣用に
ある北部的な要素を強く指している。(WMid 起源は、/ü/ < OE /y(:)/ と、OE a / o + 鼻音を表わ
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す< o >がないので、排除できる。)現在分詞の -and をフランス語のせいにするのも怪しい。こう
して我々は Heuser の「首都にやって来た北部の写字生の仮定」を再考することになる──不十
分な理由からではあるが、Holmqvist が否定した仮定を。しかし、同じ写字生があれほど高い割
合の (N) -and(と walde)を持ち込み、一方では副詞の語尾 (S) -lich と pr. 3rd sg.の語尾 -þ を
そのまま残したのは何故かと問われるだろう。彼は少なくともそれらに慣れ親しんではいなかっ
た。(北部の異形が写字生のものであることは、彼が書写した Auch MS の他の作品にも繰り返し
現われることから明らか。しかも、ライムには生じない。
)それとも、北部と南部の中間に、その
ような形態の混合が期待できるような方言上の境界領域が存在したのだろうか?
この点を解明するために、Oakden が作った方言地図に向かおう。すると、-ande 形ははるか南
の G-線、つまりほぼ Salop-Wash 線まで生じるのが分かる。この線は pr. sg. -es の南限でもある。
もっとも、-eþ はその境界の北でも見られるが。-lich 形について見ると、B 線(ほぼ Ribble-Air
谷)がその北限である。こうして、我々の写字生が AM で見せる方言の混合が Oakden の地図の
B 線と G 線の間の地域、つまり(N)EMid に属するかもしれないことが分かる(WMid は前に述べ
た理由から、考えないでよかろう)
。ただし、写字生の実際の言語慣用が書写の際の彼の「言語」
と同一だと言うつもりはない。
先に述べたように、Heuser は Auch MS に北部形が混じっているのを説明するために、この写
本の一部はロンドンに「流れ着いた」北部の写字生が写したのかもしれないと示唆した(しかし、
強調はしなかった)。はっきりとそれを示すものはないが、もちろんそれも考えられる。現存する
写本について分かっている事実、即ち、それが Auchinleck の Alexander Boswell の所有すると
ころとなり、彼は 1744 年に Edinburgh の Advocates’ Library にいわゆる Auchinleck MS を寄
贈したという事実だけを見ても、原本が (N) Mid のどこかに移り、そこで我々の写字生が、恐ら
く修道会で、一部作ったと想像するのは容易だろう。それからこの写本は Auchinleck を経由して
最後に Edinburgh に着いたが、原本は失われた。
AM の写字生の (N)EMid 説は、Auch に入っている Sir Tristrem は南部の写字生によって書写
されたとする Kölbing の主張と矛盾する。なぜなら、AM の写字生は Sir Tri をも写しているから
である。Jordan は Sir Tri を N (Y)と分類しているが、中部の要素が混じっていると断っている。
Sir Tri は Amis and Amiloun と多くの類似点を持っており、Kölbing は後者を EMid の北の境界
に割り当てている。Amis の Auch 版もまた Hand I によって写されている。しかし、一点だけ挙
げれば、Sir Tri も Amis も /e/ < OE /y(:)/ の確実なライムを示すことが注目される。つまり、Sir
Tri の行内に見られ、Kölbing によって写字生のものとされた南部の特徴は、彼によって持ち込ま
れたとは自信を持って言えなくなる(それが (N)EMid と見なされない以上;例えば Firumbras
と Otuel と Roland の Fallingham MS の方言に関する O’Sullivan の議論を参照せよ。また、南
部の inf.の語尾 -y も)。実際、この問題をもっと深く解明するには、同じ写字生が写した Auch
のすべての作品を詳しく再検討する必要があるが、ここでは上でした提案で満足しよう。
最後に、AM は「チョーサーの明晰で純正な表現とはかけ離れた、14 世紀初頭のロンドンの民
衆語、言わば中世のコックニーの鉱脈」であるとする Heuser の堅い信念に関して一言。著者が
どちらかと言えば素朴な人で、彼の言語は多かれ少なかれロンドンの下層階級の言葉を反映して
いることは、テクストから明らかであるが、著者や写字生の時代(13th c.の後半 ─ 1330 年頃)
の首都の様々な社会階層に特有な言語習慣に関する我々の知識は、ある異形が当時俗語であった
かどうかについて、はっきりしたことが言えるほど詳細でも、完全でも決してない。もっと後の
ロンドン英語の場合でさえ、何が容認された言葉で、何が下品な言葉かについてはかなり不確か
である。一つには、後者が前者に強い影響を及ぼしていたようだから。AM の言語について言え
ば、それが著者の方言を明らかにする限りでは、初期のロンドン(City)の方言と見なされてい
るものとかなりよく一致する。が、それが典型的な「コックニー」だときっぱり言えるような音
韻論的特徴は実際のところ AM にはない。語彙については、それが SE(London)のロマンス群
に特有な語や句を含んでいるからといって、それらが当時のロンドンの俗語や下層階級の語彙を
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代表していると推測することはできない。それらは民衆文学というジャンル自体に特有な一種の
ジャーゴンを表わしているのかもしれず、必ずしもロンドンの下品な言葉を表わしているのでは
ない。
補
遺
完全を期すために、私がこれまでの章で論じなかった、AM に現われる起源や意味のあいまい
な単語を挙げておく。
afterclap (n.)
‘an unexpected stroke after the recipient has ceased to be on his guard’
(OED、ただし ante 1420 の初例)、Bense は LG 起源
battes (n. pl.)
‘club, cudgel’ ? OF batte (cf. battre); OE *bat (? Celt); echoic、: flappes
boies (n. pl.)
OE Boia (Jordan)、E Frisian boi, boy (OED, SOED、起源不明)
breþeling (n.)
‘good-for-nothing, wretch’ cf. broþer(同じ意味)、OE brëoþan ‘decay’,
broþen (pp.), bretheling~broþelyng
clappe (n.)
‘(sudden) stroke’ cf. afterclap
: Minape
(þe brigge) drein
= the bridge Drian (l. 7867) : oŠain
fest
OE fæstan ‘drive home (a blow)’ か OE fÿst (n.)
fitlokes (n. pl.)
‘part of a horse’s leg’ v. OED, fetlock (n.)
flappes (n. pl.)
‘blow’ ? echoic
cf. Du flap ‘blow’
hucking (ger.)
‘bargaining’ v. OED, huck (v.)
cf. huckster
legge (n.)
‘transverse bar fixed on a gate, etc.’ legge ‘lay’からの逆成か
pelt (inf., pt., pp.) ‘push, thrust, strike (with repeated blows)
cf. OED, pilt, pult v. (OE
*pyltan, L pultare), pilt
pett (pt.), put (pt.) potian, pÿtan (Holthausen)
pett : stett
romende (pr. p.)
v. OED, roam v.
roue (inf.)
‘zucken’ (Kölbing)
cf. OED, rove v. 4 には AM の例のみ
rugged (adj.)
Björkman は北欧語起源とする
cf. OED, rugged a. 1
yschatred (pp.)
v. OED, scatter, v.(EME、反復の接尾辞をもつ)、shatter v.
schirt (pt.), (MS) schirsten
v. OED, shritch v. ‘shriek, screech (echoic)’ cf. schriche
(gode) scour(e)
‘at a good pace, a run, rush’ v. OED, scour n. 1, v. 1 (2)
: Arthour
togging (ger.)
EME toggen ‘tug’ は *teuhan, tauh, tuŠum の弱階梯から作られた強意形
tolling (ger.)
‘allurement’ OE *tollian, *tullian
þern hel
Kölbing は kern-hel = OF crenelle と解するが、Kaluza は þ を定冠詞とと
り、þ/ ern-hel = erm-hel = arm-hole とする。が、OE hol, hole (infl.) ‘hole’
がなぜここで< e >と書かれているのか説明していない。私の考えでは、hel
の背後にあるのは OE healh, heale (infl.)で、意味はやや曖昧(v. CH, healh
m. ‘corner, nook, small hollow (in a hillside), etc.’)。次に、þern は þe erm
‘arm’ かもしれない。もっとも、すぐ後に “under the arm” とあるので、冗
長にはなるが、先例がないわけではなく、認められるであろう。しかし、私
はここの þern は指示代名詞の acc. sg. m.で、Ayenb.と Shoreh.に見られる
þerne と同じものだと思う。AM の元々の読みは、写本では þern の後の c が
消されているという Kölbing の脚注からも分かるように、þerne であろう。
消された文字は e だったのだ。
vnspaid (pt.)(MS) Kölbing は vnspennid と修正する。Zupitza は desplaid ’unfold’ の書き間違
いだと言う。写字生は vndede と書こうとし、vn まで書いて、写本を見たら
splaid とあったので、spaid と続けたのだろうと。確かにここはフランス語
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(= ModE display) である。が、写字生が de を vn に変えたと考える必要は
ない。unsplaid は著者のものであろう。フランス語の接頭辞はよく本来語の
接頭辞で置き換えられたからである(例えば、surcarking (ger.)、ouercarked (pp.)、ascaped (pt.)、ofscaped (pp.) などの AM の異形を参照せよ)。
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