Comments
Description
Transcript
本文(PDF:457KB)
平成20年度 政策評価書(総合評価) 担当部局:経理装備局装備政策課 実施時期:20年4月~21年3月 1 施 策 等 名 :FMSの未精算問題の改善 2 政策体系 : 政策体系番号 施策名 1-7 3 調達・補給・管理 施策の目的 施策の目標 備 考 防衛装備品調達の合理化・効率化 装備品の高性能化、大型化、高価 に取り組み、装備品の適正な維持・ 格化に対応し、装備品の調達、補給、 管理の推進を図る。 維持、廃棄までのライフサイクルコ スト全般を見据えたコスト管理や生 産・品質管理を行い、装備品の維持 ・管理によるコスト節減を図る。 施策等の概要 (1) 概要と必要性 FMS(Foreign Military Sale)調達(有償援助調達)は、米国政府が武器輸出管理法(1976年・米国法)に基づき、武 器輸出適格国(同盟諸国及び友好諸国等)に対し、装備品等を有償で提供する制度であり、日米間においては、日米相互防衛援助 協定(1954年)に基づいて行われているものである。FMS調達は一般的な国内調達とは異なった仕組みであり、次に示す条 件を各国共通に適用している。 ① ② ③ ④ 契約価格は米国の見積価格 調達のための代金支払いは前払い 装備品の出荷予定時期は、出荷の「目標」時期 米国は前払いで受領した額のうち、総費用を超過する額をFMS購入国に返還 FMSケース(契約)の価格は米国による見積価格であり、装備品の納入完了後、又は役務の履行完了後、米国が精算を行い、 その代金が確定される。一般的に、多くの品目が含まれる大型装備品のケース、米軍や他の多くのFMS購入国が同時に注文をし ているケース等については、前払金の精算に長期間を要する場合がある。 FMS調達の概要 日本側 米側 ③前払金等支払い ⑥精算 防衛省 ②引合書授受 米国国防省 ④発注・出荷指示 陸・海・空軍補給廠 又は製造メーカー ①見積書授受 ⑤装備品等の納入 FMS調達制度の基本的な仕組からやむ得ない面があるものの、昨今の厳しい財政状況や限られた予算の適正な活用を勘案すれ ば、FMS調達における前払金の精算に長期間を要しているという課題の改善、前払金については、その有効活用に取組む必要が ある。 未精算問題の改善のため、我が国は新精算方式(ACCP:Accelerated Case Closure Procdures)(注1)に参加することにより、 未精算金額の大幅な減少を達成したところである。 前払金の有効活用について、我が国の支払ったFMS調達のための前払金は、従来、米連邦準備銀行の無利子口座に入金されて いたが、同銀行に利子付き口座を開設し、同口座に留まる前払金の利子を国庫に収納しているところである。(注2) (注1)新精算方式:従来の精算方式ではすべての装備品の納入が完了し、物品の代金が確定されない限り、精算が行われなかっ たため、長期間にわたり未精算金額が存在していた。新精算方式では装備品等の納入完了又は役務の履行完 了後2年を経過した契約(ケース)について、みなし確定を行い、早期の精算、ひいては早期のケースクロ ーズ(契約の終結)を図る制度 従来の精算と新精算方式の比較 従 来 みな し確 定 によ る ケ ー スク ロー ズ(注 ) 新精算方式 ケ ー スク ロー ズ 納入完了 2年 以内 を目 途 (注)みなし確定後、最終精算が行われ、代金が最終確定 (注2)米連邦準備銀行に開設された利子付き口座に入金された前払金は運用され利子が生じる。 (2) 実現しようとする目標 本施策の実施により、装備品の納入完了又は役務の履行完了後2年以上経過したケースで、精算が完了していないケースの未精 算金額を減少させる。あわせて口座に留まる前払金が運用されることを通じて資金を効率的に活用する。 (3) 目標を達成する手段・方法 装備品の納入完了又は役務の履行完了後2年以上経過しても精算が完了していないケースの未精算額削減を図るために、新精算 方式に参加した。FMSの前払金を効率的に活用するために、米連邦準備銀行の利子付き口座の開設し同口座に前払金を入金、資 金運用を行っている。 4 評価 (1) 施策等の効果 新精算方式への参加により、FMSを通じて調達した装備品の納入完了又は役務の履行完了後、2年以上が経過しているが精算 が完了していないケースは減少傾向にある。 未精算金額の推移(億円) 3 ,0 0 0 600 2 ,5 0 0 500 2 ,0 0 0 400 1 ,5 0 0 300 新 完 て い 精 算 方 式 で は 装 備 品 等 の 納 入 了 後 2 年 以 内 の 精 算 を 目 途 と し お り 、 2 年 以 上 精 算 が 終 了 し な も の を 未 精 算 と す る 未 精 算 額 の 3 カ 年 毎 の 平 均 1 ,0 0 0 200 5 2 9 500 5 19 4 0 7 2 53 40 2 2 84 2 37 20 6 2 0 4 15 16 17 18 100 0 11 12 13 14 19 利子付き口座の開設により、我が国の支払ったFMSの前払金に対して生じた利子は、約190億円(平成17年度~平成19 年度)であり、これを国庫に収納した。 収納利子の推移(単位:億円) 1 4 0 1 2 0 1 0 0 8 0 6 0 4 0 2 0 0 1 7 1 年 8 度 1 9 (2) 効果等の検証 ア 新精算方式の導入について 本手法により、米側によるみなし確定が行われ価格の早期確定が可能となり、未精算金額は減少されていることから、当初の 目標は達成されたものと考える。 イ 利子付き口座の開設について 本手法により、発生利子を国庫に収納することができ、前払金という資金が有効活用されていることから、当初の目標は達成 されたものと考える。 (3) 施策等の有効性 ア 新精算方式の導入について 未精算金額の大幅な減少に繋がっており、予算の有効的な活用に資するものであると評価できる。 イ 利子付き口座の開設について 利子付き口座により発生した利子を国庫に収納することができ、予算の有効的な活用に資するものであると評価できる。 (4) 方策等の検討 ア 新精算方式の導入について 新精算方式の導入後でも、未精算金額が生じている。これは、FMSケースの価格は、装備品等の納入完了後、米国が精算を 行って、代金が確定されるが、多くの品目が含まれる大型ケースや米軍、他の多くのFMS購入国が同時に注文をしている場合 については、米側による代金の確定に時間がかかり、精算に多大な時間を費やす傾向にあると考えられる。しかしながら、未精 算金額が大幅に減少した経緯もあり、本方式の実施を継続する。 イ 5 利子付き口座の開設について 発生した利子を国庫に収納することができており、本方式の実施を継続する。 今後の対応 今後ともこれら施策の実施を継続することとするが、さらに未精算金額を削減するためにあらゆる機会を活用して、米側に対し精 算の促進を働きかけることとしたい。 なお、FMSの価格については、その内訳が明らかになっていないという問題があるが、価格の透明性の確保のため、一部のケー ス(役務ケース)については、当該ケースの履行に係る人員の経費等が記載された工数旅費データシートを米側より入手していると ころ。今後は物品(装備品)ケースについても価格内訳を入手できるよう米側と調整し、将来的には米側と価格交渉が可能となるよ う検討していきたい。