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利用加工部

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利用加工部
利用加工部
業務紹介 水産技術センター利用加工部では、岩手県沿岸に水揚された漁獲物の付加価値を高め、安全・
安心で高品質な岩手の水産物・水産加工品を提供し、消費者の方々に健康で豊かな食生活を営
んでもらえるよう、業務の推進に努めております。
また、水産加工を営む方々のために、水産加工開放実験室を設置するとともに、 HACCP(危
害分析重要管理点)方式を取り入れた加工相談などを行っております。
消費者への安全・安心な水産物の提供
~水産食品の品質・衛生管理の高度化~
水産加工衛生管理の指導( 勉強会講習会)
近年、消費者の食品に対する安全・安心への関心が高まって いま
す。このような消費者のニーズに対応していく ことが産地 の責任と
考えられます。
そこで、地元の加工業者や生産者の衛生管理 の向上のため、食
品衛生や食品表示の専門家、あるいは当所職員 を講師として、随
時県内業者の要望に応じて、勉強会、講習会を開催しています。
HACCPアドバイザールームによる指導
衛生管理を強化したい水産加工業者や県内業者 への個別相談
を行っています。
アドバイサールームには、 HACCP(危害分析重要管理点)・衛生
管理・従業員教育・設備導入等に関する資料等を取り揃えており、
加工場等の現場それぞれの事情に応じアド バイスしています のでご
利用下さい。
衛生管理工程のマニュアル化 ウニむき身・カキ
ホタテ・焼ウニ
養殖や漁業を営む生産者自らが生ウニ出荷・加工等を行う場合
には、衛生管理工程をきちんと定め、専門的知識 を有する職員を養
成し、各個人それぞれが高い自覚 の下に衛生的取扱いに取組み、
消費者への安全・安心な水産物を提供していくことが重要です。
水産技術センターでは、衛生的観点から現場調査を行い、衛生
的な取扱いが効率的に、確実に行 われるように、ポイントを整理し
たマニュアルを作成し普及に努めて います。
生産・管理工程のシステム開発
~養殖ワカメ加工作業の省力化と高品質への取組み~
ワカメ高速塩蔵装置の開発(特許出願中)
ねらい:岩手特産の湯通し塩蔵ワカメおよびコンブの水分活性を保
存性に優れた0.76以下(塩分ワカメ18%以上,コンブ20%以上)に
し,塩漬時間を従来の1~2昼夜から1時間に短縮化する塩漬法を
開発する。塩漬方法:湯通しワカメ(約300kg)を20kgずつネット袋に
入れ,飽和塩水(約1200L)に浸漬し,試作攪拌型塩漬装置により
攪拌しながら塩漬した。結果 の概要:ワカメの場合,1時間の塩漬で
水分活性は0.76以下(塩分18%以上)となった。装置の商品化:ワ
カメ300kgの高速塩漬に成功したので,平成20年春に本装置は販
売される予定である。なお,本塩漬法は特許出願している(公開特
許公報第135577号)。本法のメリット:塩からめと塩漬後の洗いを省
略できる。同じ飽和塩水を4~5日間使用すると塩代を10~20%程
度削減できる。安定した品質のワカメ加工が可能である。
水分活性による塩蔵ワカメの品質管理
ねらい:漁協等の生産現場で出荷前に湯通し塩蔵ワカメ の水分活
性を測定し,保存性の良好な製品のみを出荷する。水分活性:微
生物の生育や酵素反応に利用される自由水の存在比率を水分活
性(aw:water activity)と呼び,Aw=P/P o で示される(Po:溶媒=食
品中の水の示す蒸気圧=同じ温度における水単独の最大蒸気圧,
P :水溶液すなわち食品の示す蒸気圧=食品中の水を様々な物質
が溶け込んだ水溶液と仮定)。図1の説明:水分÷塩分の比が3.5以
上になると水分活性の値が高い。飽和塩水と同等 の0.750に近い
ほど塩蔵品の保存性は良好で あり,0.79以上の製品は貯蔵中に微
生物学的な影響を受けやすいので出荷 には不適である。
写真:攪拌塩漬の様子
24
0. 7 70
23
0. 7 65
塩分
22
0. 7 60
Aw
21
0. 7 55
20
0. 7 50
19
0. 7 45
18
0. 7 40
30
45
60
75
90
1 ~3 分間で測定 終了
水分活性計
(露点式)
約13 0万円
2 5℃測定
(恒温槽内蔵
タイプ)
ワカメを少量
のせ て、引き
出し を閉じ る。
測定終了でブザー
が鳴り、水 分活性
ダイヤル
を回すと
測定開始
32
の値を表示
2003/ 12/21
家庭用電
源でO K
トリーメータによる迅速鮮度評価法
魚の品質において、鮮度 が良いことは最も重要で取引価格に大き
く反映しますが、現在、市場等の鮮度判定 の主流は、眼や魚体 のは
り、エラの色、においなど官能的な方法で評価して いるのが通常で、
客観的な鮮度判定法が求められています。研究では、魚 の死後起
こる成分変化から、K値といった鮮度指標が確立されており、保管
温度と時間に依存します。しかしK値の測定法は手間と時間を要す
るため、現場ではあまり導入が進んでおりません。
一方、ヨーロッパでは電気抵抗を利用したトリーメーターが鮮度管
理に使われます が、我が国では他国 に比較し鮮度管理が厳し いた
め、鮮度変化が少ない国内流通で通用するか疑問がありましたが、
本法を適用したところ、サバ、サンマ等では十分鮮度評価が可能と
考えられます。
浸漬 時 間(分 )
表 1 湯通 し塩蔵 ワカメ の水分活 性、水分 、塩分(共 販品)
試料
水分活 性 水分
塩分 水 分/塩 分
1
0. 7 50
5 0 .2
1 5 .5
3. 2 3
2
0. 7 52
5 9 .2
2 1 .1
2. 8 0
3
0. 7 53
5 5 .4
1 7 .8
3. 1 2
4
0. 7 55
5 8 .7
1 9 .3
3. 0 4
5
0. 7 56
5 8 .0
1 8 .9
3. 0 6
6
0. 7 60
5 6 .6
1 8 .3
3. 1 0
7
0. 7 61
5 9 .6
1 9 .1
3. 1 2
8
0. 7 63
6 1 .0
1 9 .6
3. 1 2
9
0. 7 66
5 9 .5
1 8 .7
3. 1 8
10
0. 7 67
6 0 .3
1 9 .1
3. 1 6
11
0. 7 85
5 6 .3
1 5 .9
3. 5 3
12
0. 8 00
5 2 .5
1 3 .8
3. 8 2
13
0. 8 02
5 3 .3
1 5 .0
3. 5 6
14
0. 8 03
5 3 .3
1 4 .3
3. 7 4
15
0. 8 05
6 2 .2
1 6 .9
3. 6 7
ハロゲン水分計(1 7万円程度)
アルミのお皿に塩蔵ワカメ
の葉を0 .7g 程度のせる。
ハロゲンラン
プ
y = 16. 0 76 x - 9. 1 19 7
5.0
水 4.5
分
/ 4.0
塩 3.5
分 3.0
の
比 2.5
2.0
フタ を閉じ て、スター
トボタンを押す。
13 5℃で
乾燥
測定時間は 15 ~2 0分
※葉の場 合の み
r = 0 .9 216
0.7 40
芯は数時 間を要する
2003/ 12/21
魚は脂ののりで美味しさの評価 が分かれるところですが、食べる
魚がどのく らいの脂肪含量 があるのか、消費者にとって知りたい情
報ですし、情報提供することで、商品に新たな付加価値がつくもの
と考えられます。しかし、通常の方法では、食べる一部分を分析に
用いなければなりません。
近赤外分光法は特定成分と近赤外領域の光のうち関係性の高
い波長を選択し、光の反射強度により、魚を破壊せず迅速 に目的
成分の含量を測定する方法です。最近、スーパーでの果物などの糖
度表示は本法により分析しています。当センターではサンマ、サバな
どの脂肪含量を従来半日測定していたものを、30秒ほどで精度よく
測定評価する系を開発しました。他県ではアジを本法で選別し、一
定の脂肪含量以上の差別化した商品として出荷が行 われています。
12 0
図:高速攪拌塩漬による塩分,水分活性の変化
デジタ ル
計り
近赤外光による魚の脂ののりの評価
水分活性 Aw
%
写真: 直径1 .6m の攪拌型高速塩漬装置
0. 760
0. 780
0 .80 0
0 .8 20
図1 水分/塩分の比と水分活性Awの関係
水 分を%表示
31
近赤外分光法による測定概念図
プローブ断面
0. 840
Aw
水産資源からの新たな価値の創造
~未利用・低利用資源の利用法の開発~
イサダ食用化技術の開発
イサダ(ツノナシオキアミ)は、本県ではサンマ、サケに次ぐ水揚量
があり、毎年2万トン前後が水揚げされます。しかし、そのほとんど
が冷凍ブロックに調製され、 ハマチやタイの養殖餌料 や遊漁の餌と
して県外へ出荷されていますが、近年、宮城県では、生原料から食
用としての乾燥品を製造し、韓国に輸出されています。そこで、現
在、当所では、イサダが周年安定的に加工原料として利用でき、食
用化を促進することを目的に、冷凍原料から乾燥品を製造する試
験を実施しております。現時点では、まだ、改良、検討すべき点もあ
りますが、原料を2cm厚 に調整、 -40℃で原料を貯蔵、水道水で3
分間ボイル、乾燥の順で製造する方法を提案しています。また、すり
身など、乾燥品以外の加工品の開発も進めています。
サケ(頭部・内臓)からの調味エキス開発
水産加工に伴い発生する残滓には、タンパク質等の栄養素 が含
まれているものが多くありますが、有効 に利用されて いません。セン
ターではこれら低利用・未利用部位の有効活用方法 を研究しており、
その一環として、サケの加工に伴い発生する頭部、内臓からの調味
エキスの開発を行っております。エキスの調製には様々な方法 があ
りますが、頭部について は酵素分解によりタンパク質をアミノ化し調
味エキスを、内臓に関しては醤油の醸造に用 いられる麹菌の使用
により魚醤油を作りました。頭部エキスについては、魚 らしい風味を
呈した独特のものが出来まし たが、タン パク回収量 が低く今後も改
善が必要です。内臓魚醤油は、風味が市販大豆醤油 に近いものが
得られ、この方法を用いて、ツノナシオキアミ(イサダ)を原料とした
ものが、製品化されています。
ワカメ未利用部分の有効活用
ワカメは本県で年間2~3万トンの生産量がありますが、葉の利用
が中心で、「先枯れ」「元茎」等、他の部位はあまり利用されず、廃棄
されるものも多くあります。そこで、廃棄部位を有効に他用途向けの
食品や養殖飼料への活用方法 を各々検討しています。
従来の糠床にワカメ元茎をペースト化した後添加したものは、乳酸
菌が優先して生育するため、有害菌の繁殖を抑え、風味の良好なカ
リウム成分に富む漬物用糠床として利用が期待できるものです。
また未利用部位を乾燥粉末化し高速高圧押出装置により低温度
で加工し、鮮やかな緑色を呈する膨化食品を開発しました。
飼料用途としてエクストルーダでワカメ粉末やペーストを原料にバ
インダーを添加して飼料を試作し、アワビ、ウニ飼料への展開の可能
性も考えられます。
サケ頭部エキスの調製
3 ろ過
4 エキス
ワカメ由来養殖用飼料試作状況
ワカメ元茎の発酵試作品
ワカメ飼料
ワカメ膨化食品(ス ナック菓子)試作品
アカモクの加工特性の把握
本県で資源量も多いもののあまり利用が進んでいな い海藻である
アカモクは日本海沿岸地域で は食用海藻として長い歴史がありま
す。この資源の食用 への有効活用を目的として、岩手県山田産 の
アカモクを1~8月まで1ヶ月毎に分析したところ、粘性多糖類も含ま
れる水分と灰分以外の成分は3月に最大となり、最も成熟個体の
割合が多い時期と一致していました。粘りがあるものが価値 がある
ため、この時期に極力刈り取りし利用するのがよいと思われます。
一方、同一地域から採取したものでも成熟に個体差が大きいこと
から、留意する必要があります。
2 酵素分解物
1 酵素分解
アカモクの含有成分
熱量
たんぱく質
脂質
炭水化物
水分
灰分
ナトリウム
食物繊維
カルシウム
マグネシウム
カリウム
鉄
亜鉛
(kcal/100 g)
(g/ 100g)
(g/ 100g)
(g/ 100g)
(g/ 100g)
(g/ 100g)
(mg/10 0g)
(mg/10 0g)
(mg/10 0g)
(mg/10 0g)
(mg/10 0g)
(mg/10 0g)
(mg/10 0g)
あかもく
(湯通し後)
15
1.5
0.1
5.8
90 .8
1.8
5 70
5.4
48
8
40
28
3.8
※五訂 日本食品標準成 分表記載の分析値
めかぶわかめ※
(生)
11
0 .9
0 .6
3 .4
94 .2
0 .9
1 70
3 .4
77
61
88
0 .3
0 .2
わかめ※
(原藻、生)
16
1.9
0.2
5.6
89
3.3
6 10
3.6
1 00
1 10
7 30
0.7
0.3
も ずく ※
( 塩蔵、塩抜き)
4
0 .2
0 .1
1 .4
97 .7
0 .6
90
0 .2
22
12
2
0 .7
0 .3
岩手県産水産物の優れた特性を生かす研究
~地元水産物の特性、旬の時期の評価・把握~
マガキ・ホタテガイ
身入 り(%)
1 6 .0
1 4 .0
※5月以降は成熟が進
み食用に堪えない。
1 2 .0
1 0 .0
8 .0
6 .0
4 .0
1 0月 1 2月
1月
2月
3月
4月
宮古マガキ 水分・タンパク変
化
82.0
81.0
5月
7月
宮古マガキグリコーゲン変
化
16.0
4.0
12.0
78.0
77.0
10.0
76.0
75.0
74.0
8.0
水分
タン パク
タンパク( %)
79.0
グリコーゲ ン(%)
14.0
80.0
水分( %)
水産物のいわゆる「旬」は、その水産物が大量に出回っていて、最
も美味しい時期と考えられていますが、両者 は必ずしも一致してい
ません。
そこで、岩手県産のマガキ、ホタテ等、養殖水産物の食味的な「旬」
の時期を把握し、漁業者の生産、販売に役立 たせることを目的とし
て、成分や身入りの周年変化を調べています。
これまでに、宮古湾産マガキの周年変化を調べ、最も身入りがよ
く、かつマガキの呈味成分といわれているグリコーゲンが最も多く含
まれている時期を明らかにし ました。これは、宮古地域で「花見ガキ」
として出荷販売している4、5月と一致していました。
現在、県内4漁場のホタテガイの成分変化を調べています。
宮古マガキ 身入り(むき身重量/殻付重
量%)
1 8 .0
3.0
2.0
1.0
6.0
73.0
72.0
4.0
10月 12月 1月
2月
3月
4月
5月
0.0
10月
7月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
7月
採取 時 期
等級が低いものはイクラが硬い傾向
イクラ
サケ卵から作られるイクラ加工品 は、サケ生産額の7割を占めてい
る産業的に重要な加工種です。原料は、産卵のため沿岸に帰って
くる卵で作られますが、性成熟 が進んだ卵を用 いた商品は、口に入
れたとき硬く、歯で潰したとき膜 が舌にざらつく食感 が残るため、品
質的に劣るものと市場では評価されています。この卵膜 の硬化は
卵を取り出す前はあまり硬くないのですが、特 に熟成の進んだ卵ほ
ど、加工等で時間が経過する間に、保管温度と時間に応じて硬く弾
力があるものに変化します。その状態を把握する客観的な評価指
標を考案するとともに、その科学的現象面から考察し、有機酸塩を
加えた液に卵を浸漬することでを硬化を防止する技術を開発しまし
た(特許3583409号)。現在、既に県内企業と実施契約を締結し、
その活用が期待されて いるところです。
イクラを於いておくと段々硬くなります
有機酸塩につけるとイクラは硬くなりにくい。
サンマ
サンマの脂ののりの時期別変化
サンマは回遊魚であり、南海の産卵場から北海道国後沖まで北
上し餌を蓄えて産卵のため、南下する生活をしています。 この、県内市場で水揚げされる同サイズのサンマについて、漁獲
時期毎に脂肪含量を調査したところ、時期 が早いものほど脂肪含
量が多く、漁期後半になるほど減少する傾向になっています。
しかし、これはあくまでも平均値の場合で、かなり個体間ではばら
つきが多 いことから、早い時期 に漁獲された魚 の全て必ず脂がのっ
て美味しいわけでなく同じ店頭に並んだサンマでもあたりはずれが
あるようです。
粗脂肪量(%)
35
30
25
20
15
10
5
0
8/17
9/6
9/26
10/16
11/5
水揚日
マガキとイワガキの成分
マツカワ・イワガキ
イワガキ
マガキ
季節 によるイ ワガキの官能評価
2
養殖イ ワガキの官能評価
H1 1天然
H1 2天然
H 13天然
H 14養殖
1.5
1
0.5
一
般
成
分
0
1 00 %
45
炭水化物
95 %
90 %
40
灰 分
35
粗脂肪
85 %
80 %
30
粗蛋白質
75 %
70 %
20
65 %
- 0.5
60 %
55 %
-1
50 %
4月
24
5月 日
27
6月 日
27
7月 日
29
8月 日
26
日
9
月
30
12 日
月
2
2月 日
19
日
旨味 評 価
マツカワやイワガキは県の新しい養殖対象種として推進してきてお
り、その過程で季節による成分や加工特性についても研究してきま
した。マツカワは年を通じて成分変動が少ないのが特徴でコラーゲ
ンを多く含有するため、身肉は弾力に富んでいるのが特徴です。
イワガキはマガキに比較して水分が少なくタンパク質が多いのが
特徴で、タウリンも多く含まれます。生殖腺の発達に応じ成分 が変
動し、夏~秋にかけての発達期には水分は76%と少なくなるが、産
卵放精後では水分80%のいわゆる「ミズガキ」になったあと除々に
回復する年変動を繰り返します。
殻高
全重量 軟体部重量 身入り 生殖腺指数
一般成分(%)
(m m) (g )
(g )
(%)
(G.I.)
水分 粗タンパク質 粗脂肪 灰分
122.4 263.7
20
6.9
23.5
79
13.3
1.5
3.9
140.3 221.3
16.1
7.3
17.3 79.5
12.1
1.6
3.5
- 1.5
4
5
6
7
8
9
10
調査時期(月)
11
12
1
2
3
25
15 生
10 殖
腺
5
指
0 数
水 分
生殖腺指数
付加価値を高めた高次加工品の開発・促進
高齢者向け介護食品の開発
塩焼きの平均 値
7.2×105 Nm2
7.0E+ 05
・加 熱後に皮が取れ 易く
なる時 間。
6.0E+ 05
焼浸 しの平均 値
5.0×105 Nm2
5.0E+ 05
UDF区分 1合格ラ イン (5.0 ×105Nm 2以下)
・加 熱後に身 崩れが発 生
する時 間。
4.0E+ 05
3.0E+ 05
軟化前
7割 の硬さ
2.0E+ 05
1.0E+ 05
4割の硬さ
4 8 時間
1 2 0 時間
4 5 時間
2 4 時間
9時間
2 2 .5 時間
6時間
3時間
2時間
1時間
0.0E+ 00
0時間
N/ m2
わが国において高齢者人口は増加の一途 をたどっています。セン
ターでは、これら高齢者 の食の楽しみや意欲 をかき立て、健康維持・
増進に役立ち、要支援・要介護状態になることを予防する食品の
開発に取り組んでいます。この食品 は、食材の形を残しな がら(何を
食べているのか分かることにより、食べる意欲をかき立てる)、ユニ
バーサルデザインフード(UDF)区分1(容易にかめる)をクリアした
ものを目標としています。サンマ、サバ等に比べて、加熱加工後に
硬くなるサケを材料に、加熱前に酵素処理を行うことにより、確実
にUDF区分1をクリアする食品を作ることが出来 ました。この食品
は、現在グループホーム等老人施設において試験的に使用して頂
き好評を得ています。将来的には、市販化し、家庭介護を受けてい
る方々にも広く利用して頂くことを目指しています。
処 理時間と硬 さの変化
酵素処理による介護食用途のための焼魚硬さの改善
8.0E+ 05
処理時間
葉:ボイル後
m g/ 10 0g 湿重 量
そ の他
プ ロリ ン
350
シ スタ チオ ニ ン
300
シ トルリン
250
ア ラニ ン
グ リシ ン
200
K
Ca Mg
グ ルタミン
150
グ ルタミン酸
100
ア スパラ ギン
セ リン
50
ロ イシ ン
0
中 国カッ ト水 戻し
岩 手カッ ト水 戻し
中 国塩蔵 水戻し
岩 手塩蔵 水戻し
冷 凍生ワカ メボ イル茎
冷 凍生ワカ メボ イル葉
素 干宮城4 等水 戻し 茎
水産加工業者の製品開発に役立ててもらうために、 これまで「水産
加工ハンドブック」、「加工部だより」、「岩手県水産加工品製造法」、
「ザ 浜料理 イン いわて」などを発行してきました。その主な内容は、
サケ、サンマ、ワカメ、イカなど本県で漁獲される水産物を用いた加工
品(料理も含む)の作り方を紹介しており、調査したものや当所が試
作したものなど数多く記載しています。本県の加工品 の中には、「氷
頭なます」や「サケハンバーグ」などこれらを参考にしたものも見受けら
れ、地場産品の創出に多少なりとも貢献しているものもあります。ま
た、過去に紹介できていない加工方法 や現在、作成中のもの、ある
いは当所以外で作成されたものなどもありますので、今後とも、逐次
皆さんに紹介していきます。
「浜料理」は、「いわてのさかな料理」として、当水産技術センターホー
ムページで紹介してあります。
400
素 干宮城4 等水 戻し 葉
加工マニュアル作成・普及
0
冷凍生ワカメのミネラル成分
右: 通常冷 凍品
450
生メ カブ3月 末
本県のサケの生産額は概ね100億円(県漁業生産額の1/4)と、主
要な産業ですが、沿岸で漁獲される産卵回帰中のサケは、性成熟
が進行し、体表はブナの木肌 の色ににて銀色 が変化し (ブナサケ) 、
身肉の赤い色素は卵に移行して白くなり、価格も左右されやすくな
ります。そこで、ブナサケの加工による付加価値を高めるため、落と
し身を中心とした有効利用技術開発を行いました。エクストルーダを
用いたスナック菓子、肉の食感を持 つ食品素材の製造やサケフレー
ク、ハム風サケ、くんせい品、サケハン バーグ、揚げ豆腐、山漬、新
巻、ソーセージ、はんぺん等の再成型食品から新巻の既存の製品改
良等、 様々な商品開発を行っており、商品化されている品目もあり
ます。
葉:塩蔵品水戻し後
200
500
早 採り 1月生 茎
サケを用いた高次加工品の開発
芯:ボイル後
400
Na
湯通し後 の写 真 左: 冷凍生 ワカメ
早 採り 1月生 葉
ねらい:岩手県沿岸で1~2月に採取される早採りワカメの冷凍技
術を開発し,岩手産ワカメの消費および生産量の拡大 に資する。製
造方法:ろ過(滅菌)海水に水酸化カルシウムを0.1%溶解させ,全
長1mの早採り生ワカメを10~15分間浸漬(浸漬液:ワカメ=5:1)し,
真空包装後に-25℃で凍結した。成果の特徴:①これまで困難とさ
れてきた解凍後の軟化や変色等 の問題点を解決した。②冷凍保管
1年後でもボイル後の食感,色,風味は良好であった。③湯通し塩
蔵ワカメやそれを原料とするカットワカメと比べて風味と食感が良い。
成果の活用面:岩手および宮城県の数社で商品化され,数百トン
規模の生産が行われており,ほとん どが業務用として大手コンビニ
のサラダ等に利用されている(製法はセンターHP で公開中)。遠方
の消費者の方々でも採れたてのワカメを食することが出来ます。
mg/可食部100g
冷凍生ワカメの開発
600
イ ソロ イシ ン
ア スパラ ギン酸
図 ワカメの部 位・ 製品 別の遊 離アミノ 酸組成
当所での試作開発品
サケを用いた加工品開発例
高鮮度・高品質のための加工・流通技術の開発
湯通し塩蔵ワカメ加工基準の策定
6 .6
吉 里 吉里
6 .4
崎 浜 (越 喜 来 )
pHメーター
pH
6 .2
6 .0
5 .8
5 .6
5 .4
ミキサー
5 .2
4
4
月下旬
3
月中旬
3
月上旬
3
月下旬
2
月中旬
2
月上旬
2
月下旬
1
月中旬
1
月上旬
1
月下旬
月中旬
月上旬
4
攪拌 機
平 成 5年 ( 19 94年 ) の 冷水 接 岸 時 にお け る生 ワ カメの p Hの 変 動
写真:pH 測定に必要なもの
6. 8
6. 6
吉里吉里
6. 4
田老
( 例)
pHの
の測定手
測定手順
順(例)
① 生ワカメ
10 gを容器にとる。
① 生ワカメ 10
を容器にとる。
6. 2
pH
6. 0
5. 8
を 90
。(計
計100
② 水を
② 水
90ml
ml(
( g)加える
g)加 える。(
100g
g)
5. 6
5. 4
③ ミキサ
ーで約30
間攪拌。
。
③ ミ キサーで約
30秒
秒間攪拌
5. 2
4
月下 旬
4
月中 旬
4
月上 旬
3
月下 旬
3
月中 旬
3
月上 旬
2
月下 旬
2
月中 旬
2
月上 旬
1
月下 旬
月中 旬
1
月上 旬
1
にとり,
,pH計
④ ビーカー
④ ビーカーにとり
計で測
で測定
定
平 成 16 年 (通 常 の 水 温) に おけ る生 ワ カメの p Hの 変動
サンマ等の多獲魚は、鮮度が低下しやすく、刺身に加工する場合、
漁獲から加工・流通過程に至るまで厳しい管理が必要であり、とり
わけ加工処理は効率的に行わなければなりません。平成2,3年度
に、当所、水産加工業者、流通業者と連携し、サンマ刺身フィレーを
生産地の鮮度を保ったまま首都圏等大消費地まで流通させようと
取り組みを行いました。その結果、実際に右記の工程で製品製造、
流通させるモデルを構築しまし た。特に、機械処理により効率的な
大量加工が可能なこと、脱水シート包装や急速凍結の効果により
肉食の赤みが増し、解凍後の硬 さが生鮮 フィレーの硬 さと遜色ない
状態まで保持できることなどがわかり、実用化できる判断されました。
また、この技術開発 を契機に刺身フィレーが商品化 されたともに、
脱水シートが水産加工業者等に普及しました。
高鮮度管理による流通技術開発
流通現場では、水産物を発泡スチロール製の箱に整列し、氷詰 め
して流通する場合が多いですが、低温管理はもとより、輸送時間に
応じた氷量、氷水の塩分濃度や、魚体の圧迫に関連する、魚の整
列方法、魚体と接触する氷の形状、入れる尾数などの荷作りの状
態で輸送後の状態が大きく違う場合も多く、輸送方法を考慮した
「仕立て(荷づくり)」の技術が重要とされています。また活魚輸送で
は。流通温度や水産物が接触する媒体等の流通技術により、輸送
中活きた状態を維持することがポイントとなってきます。
ホヤ、ホタテについては酸素封入 による輸送試験等を行った結果
いずれも1週間の保存が可能でした。この結果をとりまとめ、品質
管理マニュアルを刊行しています。
平成19年度からはサンマの高鮮度加工技術の開発に取組んでい
ます
生ウニ等高鮮度保持加工技術開発
生ウニは美味しい水産物の一つです が、日持ちがしないために、漁
獲された近隣地域での消費 がそのほとん どを占めます。この生ウニ
の日持ちを向上させることが出来れば、首都圏等の大消費地 に出
荷することが出来、ウニの消費拡大に繋がるものと考えられます。 生ウニの日持ちが短いのは、低温細菌と言 われる腐敗菌の増殖に
よるものと考えられています。私たちは、この低温細菌を低濃度 の
酢酸(食酢)を用いて殺菌すことが出来ることを確認しまし た。また、
同時に大腸菌群も殺菌されたことから、食中毒 の発生防止にも役
立つと考えられます。なお、酢酸 の濃度は極めて低いため、食酢の
臭いや味はウニに移行していませんでした。今後は、 これによってど
の程度日持ちがよくなるのか確認していく予定です。
海水氷保管
皮なしフィレー
(機械処理)
脱水シート包装、
冷蔵庫保管
冷却アルコール溶液投入
(急速凍結)
真空包装
凍結貯蔵
肉の赤みと硬さの比 較
赤みの程度(a/b)
サンマ刺身フィレーの高鮮度流通技術開発
3
3 00
2
2 00
1
100
硬さ(g重)
ねらい:緑色の鮮やかなワカメ製品(塩蔵品および冷凍生ワカメ)を
製造する。褐変:湯通し塩蔵ワカメの色調の褐変は,原藻のpHが
低くなる(酸性の度合いが強くなる)ことにより生じる。pHの低下に
よりワカメ中の緑色色素(クロロフィル)は分解 され,褐色色素(フェ
オフィチンやフェオホルバイド)に変化します。ワカメの生長とともに
徐々に低下し,漁期後半になるとpHは5.8以下になる場合もある。
異常冷水が発生した年では,pHの低下が著しく3月の漁期前半で
もpHが5.8以下になる場合があり注意が必要。対策:ワカメの収穫
期の決定はpH測定により決定する必要がある。普及状況:岩手県
内の加工業者や漁協にはpHメーターの普及が進んでおり,製品の
品質向上に貢献している。
6 .8
0
生鮮
通常 凍結品
開 発品
赤み の程度 硬 さ系列1
肉色赤み(a/b)
ホヤ・ホタテの流通保存試験の概要
ホヤ
25L発泡容器
5L
容器
海水量
ホタテ
25L発泡容器
5L
サンプル量
約1.5kg
保存海水条件
止水
保存水温(気温)5℃
約2.5kg
止水
5℃
酸素供給有無
封入した純酸素 封入した純酸素
保存期間
1週間
1週間
酢酸添加による保存試験結果
酢酸濃 度
0.01%
0.05%
0.1%
検査項目
大腸菌群数( cfu/g)
(減少率%)
最初
5.0E+02
低温細菌数(cfu/g)
(減少率%)
浸漬15分
30分
60 分
(99 .6)
0
(100)
10
(99 . 8)
4.9E+03
4 .5E+03
(22 .3)
1.1E+03
(77 .6)
4.4E+03
(10.2 )
大腸菌群数( cfu/g)
(減少率%)
5.0E+02
30
(99 .4)
0
(100)
0
(100)
低温細菌数(cfu/g)
(減少率%)
4.9E+03
2 .1E+03
( 57.1)
5.0E+02
( 89.8)
7.0E+02
4.0E+02
3 .2E+02
( 20.0)
1.6E+02
( 60.0)
低温細菌数(cfu/g)
(減少率%)
20
(85. 7)
70
(82. 5)
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