...

(1) 社 会

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

(1) 社 会
Ⅶ
研究実践
1
各教科の実践内容
(1) 社
~
会
生活に関わる知識や技能の習得とその意義の理解から「学びの必然性」へとつなげる
ア
~
授業改善の構想
①
学習意欲を喚起させるための「学びの必然性」の指導を工夫する。
②
キャリア教育の4つの能力領域と本時の関連性、及びその指導と工夫の仕方を工夫する。
イ
手だて
①
導入段階で「もしもニュースが無かったら?」という視覚資料を提示し、関心・意欲をよ
り高めさせ、ニュースの必要性を理解させる。また、展開の段階では「ニュース報道のあ
り方とその必要性」についてかつての日本と比較し、理解を深めさせる。
②
「キャリア教育」の4能力領域の中では、特に「情報活用能力」の「情報収集・探索能力」を
意識して授業を組み立てる。具体的には「情報公開制度」、「プライバシーの権利」につ
いてビデオを用いて理解を深めさせる。
ウ
成果と課題
<成
①
果>
導入部分のビデオによる意欲の喚起は効
果があった。
②
指導案に「キャリア教育」の4観点を意識
しながら指導することができた。一方で、
「キャリア教育」を授業のどの場面と関連さ
せるか、を今後さらに吟味する必要がある
ことがわかった。
<課
①
知識や技能その習得の意義を語る授業者
題>
展開場面の検証する段階の資料がビデオに偏り、問いに対してビデオが答えを出してし
まっていた。その繰り返しで生徒の「考え」を遮断していた。ビデオ活用の工夫がほしい。
②
学習意欲を持たせるには、もっと生徒の身近な問題や地域レベルまで掘り下げること。
「キャリア教育」の視点からいけば、学習課題は「あなたが新聞記者だったらこの記事は載
せるべきか否か」と課題で考えさせたら良かったのではないか。
- 13 -
エ 授業実践例
単元名「私たちの暮らしと民主政治」(第3学年)
段
学習内容
学習活動
階
実施日:平成19年6月11日
○指導上の留意点 ・資料
☆評価の観点
※
ウォーミングアップ
※ 都道府県の確認をする。
○ 答え合わせは各自。時間はかけない。
1
前時までの想起
○ 発問で前時までの想起をさせる。
導
1 平等権、自由権、社会権、基本的人
権を守るための権利などを学習して
きたことを確認する。
入 2 マスコミの種類の確認
2
8 3 学習課題の設定
分
4
課題に関する予想の発表
展
マスコミにはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インター ○ 本時に必要な既習事項の確認をさせ
ネットなどあることを確認する。また、各自「知る権利」が る。
認められていることを確認する。
○ 学習課題を提示し、本時の方向付けを
3 学習課題を知る。
させる。
4 課題について予想を発表する。
○ 課題について、できるだけ多くの予想を
ア ニュースを知ることができる
させる。その際、理由も聞き取りたい。
イ 政府や役所の行っていることは知ることができる
ウ 自分以外の人の手紙を見ることはできない
開
エ タレントの住所や電話番号は知ることができない
5
予想に対する検証
(1) ニュースの必要性の確認
5 予想について検証する。
(1) ニュースが無かったら「知る権利」が阻害 ・VTR1
されることを理解する。
(2) 戦前、戦中の日本の様子の確認
(2) 戦局は有利であることしか知らされなか ○ 資料から当時の報道のあり方を理解さ
ったことなどを理解する。
(3) ニュースを報じる場合の注意点
の確認
(4)「情報公開」についての確認
せる。
・プリント資料
(3) ニュースは公正かつ公平に報道されるこ
とを理解する。
(4) 政府や地方公共団体が行なっている「情報公開制 ・VTR2
度」に関心を持つことが必要であることを理解する。
6 「プライバシーの権利」が認められていることの確認が
6
「プライバシーの権利」につ
いての確認
説明できる。
現在、個人情報を保護する動きが高まっているこ
とを理解する。
33
分
・VTR3
○ 「知る権利」も認められているが、「プライバシーの
権利」も守られることが将来において大切であることを理
解させる。キャリア教育の
「情報活用能力」
終 7 「知る権利」と「プライバシーの権 7 「知る権利」と「プライバシーの権利」についての
利」
自分の考えをまとめる。
☆
2つの権利は、バランスをとるこ
とが必要であることが理解できる。
【知識・理解】
結
9 8 次時の学習についての確認
分
8 近年できた「新しい権利」と呼ばれるものについてさ
らに学習していくことを理解する。
- 14 -
○
「知る権利」の他にも「新しく得られ
た権利があることを予告する。
(2) 数
~
ア
学
やる気の喚起と「学習内容」の「実生活」への活用
~
授業改善の構想
①
「おもしろそうだ」「やってみようかな」と思わせる導入により、生徒の意欲(やる気)を
喚起する。
②
生徒が自分の意見や考えを進んで発表し、「うれしい」「たのしい」と感じさせ関心・意欲
を高める。
③
「学習内容」2元1次方程式が「実生活」玉入れゲームの推測に活用できることに気づか
せる。
イ
手だて
①
「玉入れゲーム」の勝負を実際に行いながら興味を持たせ、本時の課題を与えることにより、
「おもしろそうな問題だ」「やってやるぞ」という意欲を喚起することをねらった。
②
意欲を持って課題解決に取り組んで導き出した答えや考え・意見を発表し、その答えが当
っていた、自分の考え・意見がみんなに分かってもらえたことが「うれしい」「たのしい」
と感じられ関心・意欲を高めることをねらった。
③
玉入れゲームから、玉の個数の関係を2元1次方程式でたてられることに気づかせ、実生
活の事象を数学的に考えて簡単に方程式に表せることをねらった。
ウ
成果と課題
<成
①
果>
導入の「玉入れゲーム」から学習課題への導入が面白く、生徒も「やってみよう」という
気持ちになって、課題解決に取り組ませることができた。
②
導入段階で問題解決への意欲を高めることができたため、普段は意見など発表しない生徒
も「発表してみよう」と自ら進んで挙手し意見を発表する姿が見られた。
③
日常の事象として玉の個数を使って方程式を簡単に作ることができ、抵抗感を感じさせず
に2元1次方程式の考えを身に付けさせられた。
<課
①
題>
もっと日常や職業に関係する教材を導入し、この授業が将来につながっていくと生徒に気
づかせたい。
②
一問一答ではなく、生徒の発言後に他の生徒にも同じ問いで発言させたり、返事をさせる
ことで初めの発言を全員のものにすることで、発言した以上の「うれしさ」「たのしさを」
感じさせる工夫が必要である。
③
もっと実生活に関連した題材を使って気づかせる工夫が必要である。
- 15 -
エ
授業実践例
単元名「第2章 連立方程式 第1章 連立方程式」(第2学年)
過程
学習内容
学習活動
1.玉入れゲー
実施日:平成20年6月3日
形態
・実際に玉入れをおこなう。
指導上の留意点
一斉 ・白球が入ると2点(近くから)
、
ム
赤球が入ると3点(遠くから)
導
としてゲームをおこなう。
入
・壷の中にある、白玉と赤球を見
ながら、玉の個数や得点を提示
し学習課題へと導く。(T1と
15
2.課題確認
分
3.学習課題
・課題を確認する。
T2の掛け合い)
つぼの中の白球と赤球の個数を求めてみよう。
4.白球=x
・未知数をxと置くことを思い出す。
赤球=yと
・もう1つの未知数を工夫する。
展
置き換えさせ
開
る。
えることを思い出させる。
手だて②- A 「学習内容」が「実生活」で活用できることを考えさせる
5.xとyを使った ・個数から x+y=9
式を考える。 ・得点から
個 人 ・条件、玉の個数と得点が分かっ
2x+3y=24
ていることに気づかせる。
6.表から解を求 ・できた式を表で表す。
める。
個 人 ・全員に声を出させて表を完成さ
・連立方程式の解を求める。
せる。
・問2を問1に習って解く。
入 った つぼ
8.たしかめ1
白 球 と 赤 球が
7.問2
一 斉 ・分からない値を文字xに置き換
・たしかめ1を解く。
個 人 ・机間指導をおこない、理解度を
確認する。
・つまずいている生徒に援助をお
こなう。
個人
(T1・T2)
・問2が終わった生徒から
チャレ ンジ問題として解かせ
る。
・問2終了後ヒントとして、
30
鶴の図(足2本)と亀の図(足
分
4本)を提示、
終
結
9.本時のまと
め
・他の問題に活用できることを考え
る。
yに置き換えて考えると式を立
5
分
一斉 ・未知数が2つある問題では、x、
てやすいことに気づかせる。
10.次時の予告
・次時の学習内容を知る。
- 16 -
(3) 国
~
ア
語
「実生活」に結びついた「学習内容」、「わかった」「できた」が実感できる
~
授業改善の構想
①
実生活と結びついた学習内容に取り組むことで、「自らの将来を考える生徒」の具現化を
目指す。
②
具体的な到達目標を示すことで、学習の達成度を自他評価させ、「わかった」「できた」を
感じさせ、次時の学習意欲へとつなげる。
イ
手だて
①
「自らの将来を考える生徒」を育成するために、次のような実生活に沿ったお題を設け、
各班で学習シートを用いた演習(ロールプレイング)を行う。なお学習シートはGアップシ
ートを応用したものを作成した。さまざまな場面を想定し、班内で話す対象と伝える内容を
変えている。支援の必要な生徒に対しては補助プリントを用意し配布する。
・小学3年生の学級委員長に「ラジオ体操のお知らせ」を行う
・地区の町内会長に「ラジオ体操のお知らせ」を行う
・教頭先生から依頼され、地域の人に「新入生説明会の案内」を行う
・小学6年生の学級委員長に「新入生説明会の案内」を行う
・校長先生に「緊急を要するお知らせ(土砂崩れ)」を行う
・小学3年生に「緊急を要するお知らせ(土砂崩れ)」を行う
②
「わかりやすい説明の5条件」を具体的に示し、条件に留意しながら話す活動を行うこと
で言語活動の基礎・基本の定着を促すようにしてきた。学習達成度について相互評価や自己
評価をすることで、「できるようになった」という思いを持たせるとともに、次時の学習意
欲の喚起に努めてきた。
ウ
成果と課題
<成
①
果>
班全員が違うお題のため、班内で発表するとき比べられ
たらどうしようという不安がなく、自身の工夫点を生かそ
うとしながら発表することができた。また、聞き手の真剣
に聞こうとする姿勢が見受けられた。
②
目標の達成のために、教科書を開いたり、辞書を引いた
り生徒の姿が多数見られた。また、「やれる・できる」ため
のガイドがあったため学習意欲の喚起につながった。
<課
①
題>
実生活と少しかけ離れた事例の引用もあったので、「いろいろな職業」を引用してロール
プレイングしたほうがもっと主題に迫ることができたように感じる。
②
「話す」がテーマであったので、「発表」→「評価・アドバイス・改善」→「再度発表」
→「前よりできた・やれた」というように相互評価をもっと生かした授業に努めるべきだっ
た。また、相互評価の際には一人一人の良かった点を考えさせると良かった。
- 17 -
エ
授業実践例
教材名「相手を意識して伝えよう わかりやすく話す」
(第3学年)
過程
学習内容
学習の活動
※学習形態
・ウォーミングアップ ・早口言葉を言う。※ペア
導
実施日:平成20年6月12日
○指導上の留意点 評価方法
○滑舌よく話せるよう発声をさ
・教師のロールプレイングを聞き、相手に せる。
入 1 課題の提示と把握 合わせてどのように話せばいいのかを考え ○同じ説明を、別の2人の対象
る。
10
に対して話す。
・課題の把握
分
学習課題:相手に適切に情報を伝えよう!
2
「わかりやすく説 ・
「お題シート」の配布
明」する方法を考える
○班ごとに①~④の話す対象・
伝える内容を変えたお題を渡
す。
研究テーマに迫るための手だて①実生活と結びついた事例の引用
展
・
「わかりやすい説明の条件」を確認し、自 ○各自の目指す姿を具体的に想
分の目指す姿(達成点)をイメージする。 起させる。
開 3 発表練習
(
「お題シートへの記入」
)
○支援の必要な生徒にはお助け
・原稿を書く。
カードを渡す。
4 グループ内発表と ・話す練習をする。※ 個人
交流
・グループ内で順番に発表する※グループ ○発表を聞く際の視点を与え
・発表者・・・誰を対象に話しているのか る。
を告げ、
「わかりやすい説明」の条件に留意 関…相手を意識して相手の状況
しながら発表する。
に合わせて話そうと工夫してい
・聞き手・・・1対象に対してどのような る。
(観察・評価シート)
工夫をしながら話をしているのか。2どの 話…目的や場面に応じた適切
ような情報を伝えようとしているのか、を な語句の選択や効果的な使い
聞き取る。
方をしている。
(観察・学習シ
・評価できる点をアドバイスしあう。
ート)
研究テーマに迫るための手だて②「できた」と一人一人が感じ取れる場の設定
35
・代表発表
言…相手にはっきりと聞き取れ
をする。※
る速さ・間の取り方・強弱を工
全体
夫して話している。(観察・評
分
価シート)
終 5 本時のまとめ
○将来の具体的な場面で役立つことを再認 ○課題の必然性について考えさ
結 6 自己評価
識する。
(人間形成能力)※一斉
5
・友達の発表やアドバイスをもとに自分の ○評価シートへ記入させる
分
話し方を振り返る。
(振り返り)※個人
- 18 -
せる。
(4) 理
~
科
「学習内容」が「実生活」に活用されている実例を見つけさせる
授業を離れて実際に活用させる場面を設定する
ア
~
授業改善の構想
①
演示実験と一人一人の教材で各自が身の回りの不思議な現象
を実感し、疑問や学習意欲を喚起し課題解決への意欲を高める。
②
課題を出すことで、学習したことを授業の中だけでなく生活
の中に活かそうとする意欲を喚起する。
イ
手だて
①
演示実験をスクリーンで見せながら行い、全員で身近に起こ
る不思議な現象について確認し、疑問を喚起することをねらっ
た。また、牛乳パックという身近なもので教材を作り、自分の
光の屈折を確認する自作教材
手で何度も実験を行うことより、課題への興味・関
心を高めることをねらった。
②
自分が授業の中で学んだことを自分の生活の中に
「宿題」という形で持ち帰ることにより、習得した
ことを活用する場を設定した。これにより学習内容
を自分のものとして考え、「やってみよう」という
気持ちを喚起することをねらった。
ウ
成果と課題
<成
①
果>
生徒は演示実験を見たり牛乳パックの教材を用
いて実験することにより、身近な現象について疑
問を感じていた。そしてその後の課題を解決する
ための実験にも意欲的に取り組ませることができ
た。
②
授業を終えた段階でアンケートから、8割以上
の生徒が「やってみようかな」と感じていた。宿
題を終えた感想は、難しさや充実感を感じた感想
が多かった。学んだことをその場で終わらせずに
もう一度自分で考えをまとめようと生徒は取り組
んだ。
<課
①
題>
演示実験と一人一人の牛乳パックの教材とのつ
なげ方、実験と課題とのつながりをさらに明確に
させることにより、さらに確実に驚きや疑問を持たせることが必要である。また、少し複雑
な説明が必要だったため、イメージがつかみにくかったと考えられ、わかりやすい教材の工
夫も必要である。
②
「やってみようかな」という意欲を導くには、授業の中で「できた」「わかった」という
実感が必要だ。しかしアンケートではとてもよく分かったと答えた生徒は半分に満たなかっ
た。意欲をさらに引き出すために、とらえるべき事柄を理解させ、他者に伝えられる何かを
確実につかませたい。
- 19 -
エ 授業実践例
単元名「1 身のまわりの現象
過程
第1章 光の世界」(第1学年)
学習内容
導入
1 前時の確認と
10分
課題設定
実施日:平成20年7月11日
学習の活動
指導上の留意点
・自己評価カードの要点の確かめで、前時までの学習を振
り返る。
手だて②- A 実生活に基づいて学習している内容が応用されている事例の引用
・演示実験を見て身の回りのものの見え方と光の進み方に ・実験をスクリーンに映し、全員が光
ついて考える。
の現象について疑問を持てるようにす
・前時に作成した教材を用いて一人一人が実験を行う
赤い点から出た光はどんな道筋を通って目に届くのだろうか?
展開
30分
る。
2 本時の課題の予想を ・3つの選択肢を見て予想を立てる
立てる
3 実験の確認
・なぜそう考えたのかを発表する
・実験内容を確認する。
・いくつかの考え方があることを全員
で確認する。
・赤い点に到達する光の道筋を探すた
めの実験であることを理解できるよ
うに図を示してイメージを持たせ
る。
【技】光の進み方について実験を行い、実験結果をまとめることができる。
4 実験
・班毎に実験を行い、半円形レンズを用いて光の屈折の規 ・期間巡視を行い、適切に実験し記録
則を調べる。
5 結果と考察
できるよう支援する。
・結果を確認する。
・班で1つずつ結果を黒板に示し、光
・実験結果から、パッ
の進み方を確認する。
クの中の赤い玉が見
・実験結果から赤い点が見えた時の光
えた時の光の道筋を
6 まとめ
の道筋を考察する。
考える。
・光の屈折について確認する
手だて②- B 授業を離れて実際に活用させる場面を設定する
・本時のまとめをする。
ま と
【思】光の屈折による物体の見え方を光の進み方と関連付けて説明できる。
め
10分
7 本時のまとめ
・宿題について説明を聞き、実験の説明文を考える。
・本時に用いた教材を家に持ち帰り、
家の人にやってみせる宿題を出す。
8 自己評価カードの記 ・りとますカードを記入する。
入
・自己評価カードを記入する。
<学習後の「りとますカード(自己評価カード)」の感想>
- 20 -
・よく書けている生徒に発表させる。
2
本校で進めた「キャリア教育」
(5)
本校で進める「キャリア教育」
本校の学校教育目標「一人一人の可能性を開発して、広い視野に立って判断し社会に貢献でき
る健康で誠実な人間の育成」の具現化を図るべく、昨年度はキャリア教育の主な取組として以下
の5点を柱として行った。
ア
家庭や地域の理解と協力を得ながら、「地域で働く事の喜び」を味わわせること
イ
学校のキャリア教育等の教育活動に対して家庭や地域の理解と協力を得るため「地域振興協議会
や学校同窓会などと連携した広報活動の強化」を図ること
ウ
キャリア教育を推進する中で、「正しい勤労観や職業観の育成」を図ること
エ
教科指導を通して現在学んでいることと「職業に就くために必要な資格との関連」に気づかせること
オ
円滑な人間関係構築の基礎となる「しっかりとした挨拶」を身につけさせること
ア
家庭や地域の理解と協力を得ながら、「地域で働く事の喜び」を味わわせること
①
地域の協力を得ながらの「職場体験」で地域の産業を知る
侍浜地区の地域産業を知るために、地元侍浜地区の協力
を得ながら「職場体験」を実施した。職場体験は2,3年
生80名で実施した。主に農業、林業、漁業などの一次産
業が混在する地域の特色を生かし、農業は搾乳体験や椎茸
の箱詰め体験、林業は間伐体験、漁業は網興し体験などを
実施した。また、近隣の事業所に依頼し、木工作業を通し
て、実際に体育館通路に敷くスノコを作成するなど、自分
木工作業する生徒
たちの日常生活に役立つ活動も行った。
②
地域で行うボランティア活動「まごころサンタの大作戦」
地域の一員としての自覚を高め、学校、生徒が地域とのつながりを強める事を目的として地
域の高齢者のお宅に訪問して年末の大掃除(降雪時には雪かき)を手伝う取組を行った。
また、この活動については、事前に侍浜地区の各町内会長さんに伝え、趣旨を理解してもら
うとともに場合によっては当日の活動の支援を受けることとした。
結果として、この「まごころサンタの大作戦」は地域の方々に大好評で新聞にも取り上げら
れ、周りから評価された生徒たちは喜びとともに、今後の活動への意欲をさらに高めることと
なった。
- 21 -
地域の方々の感想
イ
学校のキャリア教育等の教育活動に対して家庭や地域の理解と協力を得るための「地域振興協
議会や学校同窓会などと連携した広報活動の強化」を図ること
本校のある侍浜地区の地域振興協議会では、月1回振興協議会広報「海鳴(はまおど)」
を発行しており、その広報に積極的に学校活動の記事を提供し掲載してもらうことで、地域
への広報活動の強化を図った。
また、今年度は本校創立60周年の年とも重な
ったため、本校同窓会の支援を受け、生徒の行事
への取組の様子や、生徒会執行部からのメッセー
ジ、そして本校60周年のあゆみを収録したDV
Dを作成し、地域の希望者への配布を行った。
作成したDVDは、全地区で行われた地区懇談
会の場や、2月に行われた新入生説明会において
上映し、保護者
や地域の方々か
らは「学校の様
子がよくわか
る。」と大変好評
であった。
DVDを活用しての地区懇談会
- 22 -
本校記事が掲載された振興協議会広報
ウ
キャリア教育を推進する中で、「正しい勤労観や職業観の育成」を図ること
①
今の自分をみつめ、将来への見通しをもたせるための「キャリアガイダンス」の実施
9月、自分の適性を知りながら、大切にしたい自分の
夢を考え、将来の職業への見通しをもたせる動機付けと
して、全校生徒を対象としてガイダンスを行った。ガイ
ダンスでは、事前にとったアンケート(将来役に立つと
思う教科、勉強をする理由、将来なりたい職業など)
の集計結果を紹介しながら、社会で働くことの必要性や、
そのために身につけるべき事、その道筋などについて具
説明を受ける全校生徒
体的な職業を例に説明を行った。また、書店に置かれている様々な職種の採用試験問題集
も紹介しながら、その中に出題されている問題のほとんどが中学校で学習する内容である
ことなど、現在の学習内容との関連を意識させる工夫も行った。
看護師
国家試験
大学(看護系)
看護学校
都道府県試験
高
校
准看護学校
中
学
採用試験問題例
キャリアガイダンスで紹介したスライドの一部とキャリアガイダンス後の生徒の感想
②
地域で活躍する職業人を招いての講演会「侍中キャリアアップトーク」の実施
働く人々が自分の仕事についてどのように考え、どのように取り組んでいるかを知るこ
とにより、職業や勤労に対する理解を深め、自分の将来について考える機会とするために
実施した。サブタイトルを「パネルディスカッションで働く人々に学ぼう!職業人さんい
らっしゃ~い」としたこの講演会は、パネルディスカッション形式とし、テーマ毎に一人
- 23 -
一人に話していただくだけでなく、それぞれの職業ならではの特技をパフォーマンスとし
てステージ上で披露してもらうことによ
り、その職業の特徴をより理解しやすくな
るよう工夫を凝らした。この講演会の実施
にあたっては、保護者だけでなく、地域の
方々にも地区振興協議会広報などを通して
広く参加を呼びかけ、学校での取組に共に
参加していただくよう配慮した。
結果として、この「侍中キャリアアップ
トーク」を通して生徒はコミュニケーショ
ンとしての挨拶の大切さを学とともに、今
キャリアアップトークの様子
後の自分の生活・学習への意欲を高める良い機会となった。
大根のかつらむきを披露
「キャリアアップトーク」後の生徒の感想
- 24 -
エ
教科指導を通して現在学んでいることと「職業に就くために必
要な資格との関連」に気づかせること
①
資格取得模擬試験の実施
全校生徒対象のキャリアガイダンス実施後、希望する
職業に就くためには資格の取得や採用試験・国家試験な
どにパスしなければならないことを説明し、実際の資格
試験や採用試験対策として販売されている参考書や問題
集を紹介し、実際の問題例を提示し教科学習の必然性に
ついて説明を行った。
その後、ある会社に就職すると仮定して実際に中学生
版として本校教員が問題集から選択し作成した採用試験
問題に挑戦する中で、学習の必然性を実感させる取組を
実施された採用試験問題の一部
行った。
採用試験問題は制限時間20分、問題数20問(1問
5点)で70点で合格(採用)とし、年間2回(2学期
と3学期)実施した。合格率は10%程度であった。
また、難しい資格取得模擬試験だけでなく、中学1年
生段階で身につけておかなければならない教科の基礎・
基本事項を習得する取組も並行して行い校内学習検定
フォローアップ取組の様子
(チャレンジアップテスト)として年間2回(第1回目は6月に国語・英語、第2回目は
12月に数学)実施した。この校内学習検定(チャレンジアップテスト)はやりっ放しで
はなく、事後に学年教師全員が放課後付き添い全員が合格するまで手を取り教える「フォ
ローアップ取組」を付加して実施した。
②
キャリア教育の4能力領域(人間関係形成能力、情報活用能力、将来設計能力、意思決
定能力)を各教科の指導場面で育成する試み
本校におけるキャリア教育のとらえは「『キャリア教育=職場体験』ではなく、キャリア
教育の領域(4能力)と各教科を関連付け、社会で通用する力を育成すること」と考えた。
その育成のためには各教科の指導場面で教師がいかに4能力を意識して指導するかにある
と考え、その実際の指導の在り方を校内研究会を通して検討した。校内研究会は3回(社
会、国語、数学)実施し、授業の中で4能力をどのように位置づけ指導の改善を図ればよ
いかについて話し合いを深めた。
オ
円滑な人間関係構築の基礎となる「しっかりとした挨拶」を身につけさせること
本校では挨拶は人間関係構築の基礎となるだけで
なく、社会に出て行くための最も大切な基本として
とらえ、全職員あげて日常生活を通してしっかりと
した挨拶を身につけさせる取組を行った。その取組
の一つとして、職員室の出入りの挨拶があげられる。
特にも社会人の方々から挨拶の大切さを直接聞いた
「キャリアアップトーク」実施後には、学級指導を
通してさらに「しっかりとした挨拶」の充実が図られるようになった。
- 25 -
3
研究結果の分析と考察
研究全体の妥当性と生徒の意識変容を図る資料として本校の生徒を対象に生活・学習に関するア
ンケート調査を実施した。調査は平成19年度に6月と2月の2回実施し、平成20年度にも4月と
7月に実施してきている。変容の妥当性をみるために1学期の同時期のものを比較した。
(1)
学習意識調査から
4月実施
4月の学習意識調査
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
1.学校での勉強が好きである。
2.学校での勉強は大切だと思う。
3.学校の授業で学習したことは将来社会にでた時役に立つと思う。
4.学校の授業はよくわかる。
5.授業でわからない時は進んで質問し、解決するよう努力している。
6.授業では落ち着いた態度で先生の話や友達の発表を聞いている。
7.授業では自分から進んで発表したり、活動したりしている。
8,授業で指示されたことを素早く実行し、それを最後まで取り組む。
9.今の成績で満足せず、より向上しようと目標をもって学習に取り組んでいる。
10.毎日欠かさず家庭学習に取り組んでいる。
11.家庭学習を計画的に進め、目的をもって取り組んでいる。
4:よくあてはまる
3:ややあてはまる
2.あまりあてはまらない
1.全くあてはまらない
7月実施
7月の学習意識調査
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
1.学校での勉強が好きである。
2.学校での勉強は大切だと思う。
3.学校の授業で学習したことは将来社会にでた時役に立つと思う。
4.学校の授業はよくわかる。
5.授業でわからない時は進んで質問し、解決するよう努力している。
6.授業では落ち着いた態度で先生の話や友達の発表を聞いている。
7.授業では自分から進んで発表したり、活動したりしている。
8,授業で指示されたことを素早く実行し、それを最後まで取り組む。
9.今の成績で満足せず、より向上しようと目標をもって学習に取り組んでいる。
10.毎日欠かさず家庭学習に取り組んでいる。
11.家庭学習を計画的に進め、目的をもって取り組んでいる。
4:よくあてはまる
3:ややあてはまる
2.あまりあてはまらない
1.全くあてはまらない
上記のアンケート結果から特に注目したい項目は1の「学校での勉強が好きである」と回答した
生徒が5割を超え、大幅に増加したことである。このことは項目4の「授業がよくわかる」に加え、
項目5の「授業でわからない時は進んで質問する」や項目7の「授業では自分から進んで発表した
り活動したりしている」の回答が増加していることにも関係して生徒の授業に対する意欲が高まっ
てきたと思われる。課題としては項目10と11の家庭学習への取り組みが不十分であり、授業に
対する意欲と結びついていないという点である。
- 26 -
(2)
生活意識調査から
4月実施
4月の生活意識調査
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
90%
100%
自分の将来について真剣に考えている
1.将来なりたい職業が決まっている
2.授業態度が立派である
3.家庭学習をきちんとやっている
4.大きな声であいさつしている
5.ルールや決まりを守って生活している(規律性)
6.自分の考えや気持ちを上手に相手に伝える
7.言葉使いが正しく、敬語などを使い分けている
8.目標を持って、いつまでに何をすればよいか考えて生活している(計画力)
9.「やろうよ」などと仲間に働きかけて行動している(働きかける力)
10.指示を待たず、「私がやります」という姿勢で 自主的に行動している
11.「すみません」とあやまちを素直に認め、やり直す努力をしている
12.「ありがとうございます」と感謝の言葉が言える
4:よくあてはまる
3:ややあてはまる
2.あまりあてはまらない
1.全くあてはまらない
7月実施
7月の生活意識調査
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
自分の将来について真剣に考えている
1.将来なりたい職業が決まっている
2.授業態度が立派である
3.家庭学習をきちんとやっている
4.大きな声であいさつしている
5.ルールや決まりを守って生活している(規律性)
6.自分の考えや気持ちを上手に相手に伝える
7.言葉使いが正しく、敬語などを使い分けている
8.目標を持って、いつまでに何をすればよいか考えて生活している(計画力)
9.「やろうよ」などと仲間に働きかけて行動している(働きかける力)
10.指示を待たず、「私がやります」という姿勢で 自主的に行動している
11.「すみません」とあやまちを素直に認め、やり直す努力をしている
12.「ありがとうございます」と感謝の言葉が言える
4:よくあてはまる
3:ややあてはまる
2.あまりあてはまらない
1.全くあてはまらない
わずかではあるが全体的には向上していると思われる。しかしながら項目3の「家庭学習をきち
んとしている」や項目9、10の「仲間への働きかけ」や「自主的に行動する」の面においてはま
だまだ課題が残る。教師側の意図した仕組みが必要であると思われる。
- 27 -
Ⅷ
研究のまとめ
1
研究の成果
(1)
アンケートの結果から見てわかる通り、実践の結果、生徒の意識がプラス方向へ変容し、授
業での学習に対する意欲が向上し、一定の指導の成果が確認された。
(2)
キャリア教育と教科指導のつながりにおいてはいろんなアイディアや実践を積み重ねる中か
らよりよいものを探し出し、工夫・改善していくといった試行錯誤を繰り返しながら取り組ん
できた。生徒の「やる気」を喚起する授業の工夫に加え、
「つながり」と「活用」という二つのキーワードをもと
に手だてを講じたことによって工夫・改善の視点を明ら
かにすることができた。また、キャリア教育に対する意
識も高まり、意図した授業の実践を行うことができた。
(3)
校内研究では研究主題に沿った実践を行うことで、各
教科とキャリア教育とのつながりを授業の中で具体化す
ることで、指導技術の向上を図ることができた。また、
ワークショップ型校内研の一場面
事後の研究会ではワークショップ型の研究会を取り入れ、
活発な意見交流のもと今後の実践における工夫点・改善
点を明確にし、全体の共通理解を図ることができた。
(4)
キャリア教育の実践を通した本研究の推進にあたり、
地域や保護者とのつながりを深めながら課題を共有し、
その解決に共に取り組む環境が整ったことの意義は大き
いと思われる。
2
付箋を用いての意見整理
研究の課題
(1)
学習意欲や意識の変容による成果は得られたものの、さらに生徒が持続性のある意欲をもっ
て学習に主体的に取り組み、確実な習得がなされていくためには、今後も継続的な教育活動と
並行して研究活動も行っていかなければならない。
(2)
学習内容の確実な習得のためには「続ける」「繰り返す」の2つの要素が不可欠であり、こ
れらの要素を盛り込みつつ、今後いかにして習得した知識や技能を授業以外の場面で活用させ
ていくのか、本研究をベースとしてさらに研究を深めていく必要がある。
(3)
研究を通して本校のキャリア教育に対する教師の意識は高まったものの、その理解や認識に
はまだまだ個人差がみられる。教師一人一人が自信をもってキャリア教育に取り組んでいくた
めにはその意義・目標を常に念頭に置きながら特別活動はもとより教科指導を含む全教育活動
を通じてその必要性を常に意識した指導を進めなければならない。
今後、これらの課題に取り組む中で、「なぜ、その学習が必要なのか」を常に考え、一つひ
とつの授業を丁寧に組み立てることを着実に積み重ねていきたいものである。
- 28 -
Fly UP