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ICTによる 日本再生への 7つの提言

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ICTによる 日本再生への 7つの提言
Vol.25 2010 年 4 月号
情報化社会の視座
特集 ● Cutting EDGE
ICTによる
日本再生への
7つの提言
●テクノロジー
スマートフォン市場拡大の原動力となる
Windows phone
●企業市民活動
自治体と協働で進める ICT 活用プログラム
●セキュリティレポート
中高生向けの
情報セキュリティ対策啓発活動を実施
● HOT EDGE
クラウド時代を牽引する
「Windows®Azure™」
P4-11
特集● Cutting EDGE
ICT による日本再生への 7つの提言
教育におけるICT利活用の推進 / 医療・介護・健康分
野におけるICT利活用の推進 / ICT利活用による環
境対策 / 国民視点の電子政府推進/中小企業における
ICT利活用推進と地方活性化 / 国際基準や国際慣行と
の調和 / プライバシー・セキュリティ対策
CON TE N TS
P12-13
P14-15
P16-17
● New
vol.25
Technology
スマートフォン市場拡大の原動力となる
Windows phone
● Realizing
Potential
ITが地域活性化を促進させる
自治体と協働で進めるICT活用プログラム
● SECURITY
REPORT
情報セキュリティ月間に合わせ
中高生向けの
情報セキュリティ対策啓発活動を実施
P18-19
● HOT
EDGE
クラウド時代を牽引する「Windows®Azure™」
「3スクリーン+クラウド」が切り拓く未来
マイクロソフトの最新 I CT 政策関連情報ポータル
Information for ICT Policy and Opinion Leaders
http://www.microsoft.com/japan/mspolicypositions/
2
「クラウドにおける信頼性構築」
産業界と政府が
迅速にとるべき行動
ブルッキングス研究所 政策フォーラム「ビジネスと社会のためのクラウドコンピューティング」
マイクロソフト法務本部 ゼネラルカウンセル ブラッド・スミスのスピーチより
世の中は、安全かつオープンなクラウド
ICT業界自身がプライバシーやセキュリ
れらの課題についての新たな対話が求め
を求めています。つまり、情報泥棒やハッ
ティなどの問題の取り扱いに関する新たな
られています。技術者、法律の専門家、
カーの暗躍を制し、世界中の人々が情報
方針を打ち出す必要があります。米国の
業界の代表、市民団体などを巻き込んだ
を扱えるクラウドでなければなりません。
場合クラウドに適応した新たな基準に対応
広範な議論が必要です。マイクロソフトは
今年1月にPenn Schoen & Berland
する法律の近代化を米議会に求める必要
これからもこの課題に取り組みます。
(PSB)が実施した調査によると、76%の
があります。特に、プライバシー、セキュリ
米国人が、クラウドコンピューティングとい
ティ、国家主権のあり方の3つの課題につ
う用語を聞いたこともない、あるいは名前
いて重点的に対応していかなればなりませ
しか 知らないと答えています。しかし、
ん。米連邦議会は、1980年代に電子通
84%がウェブメールサービスを利 用し、
信プライバシー法(ECPA)を制定しまし
57%がソーシャルメディアサ
イトで情報を保存・共有す
プライバシー、
るなど、既に多くの米国人
セキュリティ、
はクラウド技術のサービスを
利用しています。
マイクロソフトは世界規模
でクラウドを提供するため、
国家主権の
あり方が課題
たが、その後のインターネット
マイクロソフト コーポレーション(米国本社)
シニアバイスプレジデント兼
ゼネラルカウンセル
ブラッド・スミス
の普及により、この法律は古
めかしいものとなっています。
セキュリティについてはコン
ピュータ詐欺及び不正使用取
締法(CFAA)がありますが、
現行法では、データセンター
これまでに数十億ドルの投資を行ってまい
へのハッキングに対する罰金額は、事実
りました。これには、10年以上にわたり世
上単独のPCに対するハッキングの犯罪者
界中で利用されてきたクラウドベースの電
と同じです。罰則を強化すべきです。
子メールやコラボレーション製品などの消
また、クラウドコンピューティングのグロー
費者向けサービス、世界36か国150万人
バルな背景の中では、国家主権に影響す
が既に利用している新ビジネス・オンライン
る新たな課題が浮上してきました。米国と
・サービスが含まれます。
他国の政府との間で、データアクセスとそ
また、2010年2月にはWindows®Azu
の周辺の法的課題の衝突回避に向けた新
re™アプリケーションプラットフォームを本格
たな手続きについて、2国間協定と多国間
稼働しました。信頼性、
相互運用性、
セキュ
協定の両方に向けた協議が必要です。
リティで、どこにも引けをとらないサービス提
未来に目を向ければ、プライバシー、セ
供に注力しています。さらにHP、Accent
キュリティ、国家主権の3つ課題に対応す
ure、Vodafoneをはじめ7,000社以上の
る新たな段階が、クラウドコンピューティン
企業との強力なパートナー ・エコシステムに
グの伸展に決定的な役割を果たすことで
よってこれを支えています。
しょう。クラウドコンピューティングが進化を
一方で、クラウドが成功するためには、
続け、私たちがそれを後押しする中、こ
3
Cutting EDGE 〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉
ICTによる日本再生への
7つの提言
日本経済の再生に向け、政府では新たな成長戦略の策定が進められています。経済の活力を取
り戻すには、既存産業の生産性と競争力を向上させるとともに、新たな産業を創出し、市場を国
外に広げるイノベーションが欠かせません。ICTは、人々の潜在能力を引き出し、人と情報を結
び付けるイノベーションのエンジンです。マイクロソフトは、ICT業界の一翼を担う企業として、こ
れまで世界各国のイノベーション創出に貢献してきました。本特集は、マイクロソフトが蓄積して
きた各国での事例やノウハウをベースに、日本経済の再生を支援するためにまとめた提言集です。
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©VGL/amanaimagesRF/amanaimages
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教育における ICT 利活用の推進
提言 1
日本は、ほとんどの学校が高速ブロー
テキストや宿題、連絡事項をいつでもダ
ドバンドに接続されているものの、教室
ウンロードして利用できる環境が求めら
でのICT利活用が進んでいません。「パ
れます。こうした環境を実現するには、
ソコン室」ではなく、すべての教室・施
政府と産業界の連携はもちろん、教員
設において生徒・学生が自由に最新の
向けのICT教育プログラムの実施、教
安 全なICTを活用して勉強できる環境
育カリキュラムの刷新、学校へのICT導
が必要です。これからは、教科書や文
入サポート要員の配置など、さまざまな
房具 の 代 わりにタブレットPCを用い、
改革を進めなくてはなりません。
<重点項目>
1. すべての教室に高速インターネットに接続できる
無線 LAN を整備
2. 安心・安全な ICT 環境を実現できる設備の継続的
リニューアル
3. タブレットタイプの1人 1 台の PC、およびデジタル教材の配布
4. 教員の ICT 利活用教育プログラム推進
5. 教育現場への ICT 導入サポート要員の配置
Photo by AFLO
COLUMN
ICT を活用し、子供たちの知的好奇心や
創造的能力を引き出す教育を。
2010年2月4日、慶応義塾大学SFC研究所主催の「ネットビジネスイノベーション政策フォーラム」
が開催されました。同フォーラムには、文部科学省の鈴木寛副大臣、総務省の内藤正光副大臣
をはじめ先進的なIT企業や有識者の方々が出席し、ICTによる新産業創出や経済発展の可能性に
ついて議論を交わしました。ここでは同フォーラムに登壇したマイクロソフト代表執行役副社長で
ある堂山昌司によるスピーチを要約して掲載します。
日 本 の 教 育 に お けるICT利 活 用 は
て電子化され、教室に黒板もなく、生徒
OECD諸国の中でもいまだ遅れています。
は全員学校支給のPCを使いワイヤレス
その原因として「学校のネットワーク整備
ネットワークで電子教科書や宿題、課題
と活用の遅れ」
「子供たちへのPC普及率
図書にアクセスしています。また、
学習ポー
の遅れ」
「ICTを活用した教育コンテンツ
タルを通じ、興味分野の研究者や他校の
整備の遅れ」の3点が挙げられます。先
先生、上級生、専門知識を持つ地域の人々
進諸国では電子教科書などにより、学科
とのコラボレーションをも実現し、1人1
の枠にとらわれず、子供の好奇心や創造
人の能力を存分に引き出しつつ創造的な
的能力を最大限に引き出すとともに、習
教育手法を実践しています。
熟度に合わせてカスタマイズされたコンテ
ICTを活用し、子供1人1人の成長に即
ンツによるきめ細やかな学習方法が進め
したコンテンツを整備することは日本の
られています。
成長性・競争力維持のための喫緊の課題
具体的な事例として、マイクロソフトが
であり、マイクロソフトは世界各国での成
米国ペンシルヴァニア州で進めている
功事例に基づくノウハウや技術を積極的
「School of the Future」という取り組み
に日本政府に協力していきたいと考えて
を紹介します。同州では、教科書はすべ
います。
マイクロソフト 代表執行役 副社長
コンシューマー&オンライン事業部担当
堂山 昌司
5
Cutting EDGE 〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉
提言 2
医療・介護・健康分野における
ICT利活用の推進
「医療崩壊」とまで言われる医療分野
の課題を解決するには、医療コストを増加
させることなく効率化・健全化を実現する
ICTの利活用が欠かせません。ICT利活
用を推進するには、国際標準に準拠した
共通コード体系の整備や、国家規模の医
療健康情報データベースの構築とその利
活用に向けたルールづくりが必要です。医
療健康情報は、医療機関が相互利用でき
るだけではなく、患者個人が管理できるし
くみを設け、さらに個人情報を匿名化した
上で民間企業による2次利用可能な環境を
整備することがイノベーション創出につな
がり、結果的に医療の効率化、医療費削
減、介護サービスの充実、予防医療の実
現を可能にします。
<重点項目>
1. 医療国際標準への準拠
2. 医療健康情報データベースの構築と
新たなルールづくり
3. 医療健康情報の2次利用による新たな
医療・介護・健康サービスの創出
4. 患者個人による医療健康情報の管理
5. 医療研修におけるICTトレーニングの実施
6
©MINORU KIDA/ailead/amanaimages
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提言 3
ICT 利活用による環境対策
ICTは「省エネ」と「環境イノベーショ
ンの推進」という両面から環境対策に貢
献します。
「省エネ」
では、
高度なエネルギー
マネジメントや仮想化技術などによって
ICT機器およびデータセンターのエネル
<重点項目>
ギー消費を削減することができます。
「環
1.グリーンデータセンターの推進
境イノベーションの推進」という意味では、
2. CO2 の見える化による意識改革
CO2 の見える化による意識改革、スマート
グリッドによるエネルギー利用の最適化、
3.スマートグリッドによるエネルギー利用最適化
ITS(高度道路交通システム)による交通
4. ITSによる交通流円滑化
流円滑化、ユニファイドコミュニケーショ
5.テレワーク推進によるCO2 排出削減
ン活用によるテレワーク推進など、さまざ
まなソリューションを実現できます。
Photo:ロイター/アフロ
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Cutting EDGE 〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉
提言 4
国民視点の電子政府推進
日本の電子政府利活用は世界で第51位
(※)と低迷しています。低迷の原因は、
各省庁が相互運用性の低いカスタムメイド
のシステムを導入したことが挙げられます。
問題の解決には、省庁の垣根を越えてす
<重点項目>
べての行政サービスを連携させ、国民視
点に立った電子政府・電子自治体を再構
築することが必要です。政府は「国民ID」
の導入による解決策を目指していますが、
1. 政府機関バックオフィスシステムの統合・整理
2. 省庁を超えた国民情報の連携とサービス責任体制構築
その実現には膨大なコストと時間を要しま
3. BPR、SOAによるシステム連携の実現
す。しかし英国政府の事例のように「国民
4. シングルサインオンでの行政サービス利用
ID」を導入しなくても、BPRやSOAなど
の手法・技術を応用すれば、低コストかつ
5. 霞が関クラウド / 自治体クラウドの導入
短期間でシステム連携を図り、国民視点
の行政サービスを実現することが可能で
す。
(※世界経済フォーラムの調査)
国民視点の改革で成功した英国の
「Directgov(ダイレクトガブ)
」
英国政府は2000 年に「UK online」を
オープンしましたが利用率は低迷を続け
ました。2004 年、英国政府は改革に着
手し、それまでの省庁ごとに関連機関の
リンク先をまとめただけのポータルに代
え、マイクロソフトの技術を活用した国民
視点のサイトDirectgovを開設しました。
Directgovでは、いわばユーザー目線
のインターフェイスを介して、国民は省庁
の壁を意識せず、国税・地方税情報に移
行できるなど、簡単なしくみに変え、また、
1度登録すればすべての情報にアクセスで
きるようになりました。さまざまな利用
シーンに即したフローを国民視点で見直
した結果、Directgov の利用率は飛躍的
に伸び、現在約 1,400万人(英国民の4
人に1人)
にまで登録者数が増えています。
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http://www.direct.gov.uk/
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Photo by AFLO
提言 5
中小企業における
ICT 利活用推進と
地方活性化
日本企業のICT投資は、大企業では増
大していますが中小企業では横ばいです。
小規模企業の約3割はPCの導入さえまま
<重点項目>
1. 中小企業の技術やノウハウを ICT でつなぐ
2. ICT を活用した新たな産業・サービスの創出
3. 地域の強みをデジタル化して国際的に発信
4. クラウドコンピューティングと自社保有 ICT の最適利用
5. 中小企業における電子商取引の推進
なりません。ICTの利活用は、中小企業
の優れた技術やノウハウをつなぎ合わせる
ことを可能にし、新産業や新サービスの
創造、さらには地域活性化を実現します。
また、衛星データやGISの活用、地域の
文化財・史料のデジタル化、観光情報お
よび地元企業情報の国際的な発信などに
より、地域経済の活性化が可能です。中
小企業は、ICTに関する予算や技術者の
確保が難しいとされていますが、クラウド
コンピューティングや自社保有ICTリソー
スをうまく運用することで問題を解決する
ことが可能です。
6,000
資本金別「 1 社あたりの」IT投資額の推移
(単位:百万円)
5,000
4,000
3,000
大企業は増加傾向
2,000
〜1億円
1〜5億円
5〜10億円
1
0〜100億円
100億円〜
全体
中小企業は
ほぼ横ばい
1,000
0
2000年
2001年
2002年 2003年 2004年
出典:経済産業省
「情報処理実態調査」
(平成18年9月)
9
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提言 6
国際基準や国際慣行との調和
インターネットは人と情報をつなぐ世界
規模の技術であり、いまやグローバル経
済の基盤です。そのグローバルな基盤を
最大限に活用して、経済を成長させるには
独自のルール・慣習に拘泥せず国際基準
<重点項目>
や国際慣行との調和を優先することが必
要です。これまで日本の企業は、日本発
1. 透明なプロセスでの標準化策定
の技術をいち早く標準化することで競争
2. 標準化団体や国外企業との連携
優位を築く戦略を展開してきました。しか
し、現代ではこのような戦略は「ガラパゴ
ス化」を招くばかりで、成長の芽を摘みか
3. 拙速な標準化が成長の芽を摘みかねない
4. 複数の標準が市場に共存することも可能
ねません。日本は、これまで以上に門戸
を開き、民間標準化団体や国外企業とも
連携を図りながら、透明性と公平性の確
保された国際的な標準化プロセスに参画
することが必要です。
Photo by AFLO
10
Cutting EDGE
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提言 7
プライバシー・セキュリティ対策
サイバー犯罪やウイルスなどに対するセ
<重点項目>
キュリティ対策を重視する一方で、プライ
バシー情報への対策が今後はますます重
1. 官民共同による総合的かつ継続的な情報
要になるでしょう。インターネット上のサー
セキュリティ対策
ビス普及に伴い個人の行動記録や行動履
2. プライバシー情報無断利用の禁止
歴を含む情報が、本人の知らない間に悪
3. クラウド環境下におけるプライバシー情報活用の
用・2次利用される問題が懸念されていま
ための国際ガイドライン
す。プライバシー情報の2次利用は、利便
4. 「ネットいじめ」「名誉棄損」「有害情報」対策
性の高いサービス創出やビジネス発展に有
5. イノベーションを阻害せず、健全なネット利用
効ですが、無断利用は人権問題に抵触し
促進に向けた官民連携
ます。この問題を解決するには、データの
匿名化や個人の特定が可能な情報をサー
バー内から物理的に切り離すプロセスの
導入、さらには個人の承諾を得た上で利
用を促進するための国際的ガイドラインの
策定が必要です。
Photo by AFLO
検挙件数の推移
(件)
8,000
7,000
ネットワーク利用犯罪
コンピュータ・電磁的記録対象犯罪
不正アクセス禁止法違反
6,000
2,000
1,000
0
6,690
6,321
3,961
195
113
2,811
129
73
703
H17
H18
277
1,740
H19
H20
2,000
1,500
247
1,442
3,000
2,500
3,918
3,593
4,334
4,000
4,334
3,161
4,500
3,593
3,500
4,425
4,000
3,000
5,000
5,473
5,000
ネットワーク利用犯罪の内訳
(件)
2,534
H21
出典:警察庁「平成21年中のサイバー犯罪の検挙状況等について」(平成22年3月4日)
847
2,811
630
18
261
494
1,408
3,918
1,108
47
122
443
395
659
1,597
781
1,084
943
367
431
0
349
647
944
742
1,512
1,508
(1,327)
(1,229)
(1,140)
(522)
H18
H19
H20
H21
1,280
1,000
500
3,961
(1,252)
H17
その他
出会い系サイト規制法違反
わいせつ物及び児童ポルノ
児童買春及び条例違反
詐欺
うちオークション利用
11
New Technology
スマートフォン市場拡大の
原動力となるWindows phone
モバイル市場拡大のけん引役として、多機能電話「スマートフォン」が注目さ
れています。そのプラットフォームとなるWindows Mobile®は高い汎用性を
備え、社内システムとの連携による業務の効率化やワークスタイルの変革に
取り組む企業も少なくありません。そして、わが国の端末メーカーは独自のノ
ウハウを活かした製品開発により、海外市場の開拓に乗り出すなど、国内で
培った高い技術力を武器に国際競争力を高められる可能性が広がっています。
Windows phone
12
モバイルユーザーの支持を集め
拡大するスマートフォン市場
トフォンのプラットフォームとしてWindows
国民にほぼ1台の割合で携帯電話が普
投 入。 日 本 で は2005年 にWindows
及している今日、モバイル市場の持続的
Mobile搭載のWindows phoneが発売さ
な成長を図るためには、新たな製品・サー
れたのを皮切りに、各端末メーカーが相次
ビスの創出が望まれています。その原動力
いで製品化に乗り出し、市場を広げてきま
として期待されるのが、多機能電話「 ス
した。
マートフォン」です。
近年、国内外の端末メーカーから多種
汎用性の高いプラットフォームで
モバイル関連事業者の連携を促進
多様な製品が提供され、消費者の選択肢
スマートフォンは、企業や個人ユーザー
が広がると共に、日本のスマートフォン市
の利便性を向上させるだけでなく、モバイ
場が拡大しています。わが国の2009年度
ル通信のビジネスモデルを変革する可能性
スマートフォン出荷台数は前年比41%増の
を秘めています。これまで日本の携帯電
188万台と推定(※)
。今後、高速モバイ
話事業は、通信事業者が策定した機能、
ル通信の進展や、オープン環境でのアプ
仕様に基づいて端末メーカーが製品化を
リケーション、サービスの増大などを背景
行う、いわば垂直統合型のビジネスモデ
に、2012年度の出荷台数は329万台の規
ルでした。
模に拡大すると見込まれています。
一方、Windows phoneは端末メーカー
こうした中、マイクロソフトでは、スマー
やアプリケーション開発ベンダーが連携し
Mobileをいち早く世界のモバイル市場に
※出典:モバイルコンピューティング推進コンソーシアム「スマートフォン市場の中期予測」
Windows phone
幅広いビジネスシーンで
Windows phone は業務効率
化に役立っています。
ながら付加価値の高い製品・サービスを創
活用されています。例えば、外出先から
出する水平分業型のビジネスモデルといえ
会社に届いたメールやスケジュールを
ます。世界的な普及拡大が期待されるス
チェックする、移動中の空いた時間を利
マートフォン市場において、日本のメーカー
用して報告書を作成、送信するなど、業
が国際競争力を高めていくためにも、汎用
務の効率化に役立てる企業は少なくあり
的なプラットフォームが求められています。
ません。
こうした期待に応えるべく、マイクロソフ
ある大手運送会社では、セールスドライ
トではスマートフォンのプラットフォーム
バーが携行する業務端末や携帯電話、決
「Windows Mobile 6.5」を提供し、日本
済端末などに代えて、バーコードスキャ
の端末メーカーやアプリケーションベンダー
ナー付きWindows phoneを導入する計画
の事業をサポートしてきました。国内市場
です。バックエンドの業務システムとの連
で培った先進的な技術力を背景に海外市
携など、用途に応じたシステム開発が柔軟
場向けのスマートフォンを開発、提供し、
に行えることも、Windows Mobile 6.5
競争力を高める日本の端末メーカーもあり
が多くの企業に採用される理由です。
ます。
情報通信関連産業の国際競争力強化や
ワークスタイルを変える
スマートフォン
ICT利活用による企業の生産性向上がま
Windows phoneは、業務効率やワー
るスマートフォンの可能性は大きいといえ
クスタイルを変革するツールとして盛んに
そうです。
すます重要になる今日、ビジネスを変革す
スマートフォンの次世代プラット
フォーム「Windows Phone 7」
マイクロソフトは、スマートフォン向けプ
ラットフォームのイノベーションに注力し
ています。2010 年 2 月に発表された次世
代プラットフォーム「Windows Phone 7
シリーズ」は、ユーザーインタフェイスを
刷新。「People」
「Pictures」
「Office」な
ど 6 つの 「ハブ」 がメニュー画面に用意
され、サービスやアプリケーションを連
携する機 能を搭載しています。例えば
「 O f f i c e」は、
Word、Excel®
など Office 製
品 の ハブとな
り、 モ バ イル
通 信を介して
社 内 のドキュ
メントの編集、
更 新も容易に
なる など、 ス
マートフォンは
進化を遂げて
います。
13
ITが地域活性化を促進させる
自治体と協働で進めるICT活用プログラム
マイクロソフトは、かねて地域活性化を目指す自治体と協働で、
地域の課題に合わせたICTの活用プログラムを提供してきました。
地域にICTリーダーを育成し、人々の可能性を最大限に引き出すことで、
豊かで暮らしやすい持続可能な地域づくりを実現することが目的です。
2010年度最初の協働自治体として、千葉県の森田健作知事と
代表執行役社長の樋口泰行が覚書を締結しました。
佐賀県ではシニアネットの会員数が 1.5 倍に。ICT の担い手としてシニアが活躍。
マイクロソフトの
企業市民活動
「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を、最大限に引き出すための支援をする」
マイクロソフトはこの実現をミッションとし、企業市民活動を推進しています。
http://www.microsoft.com/japan/citizenship/
鳥取県でのシニア リーダー講座実施。
高知県での、NPO 有志リーダーによる
NPO 向け IT 活用講座がスタート。
14
景気の長期低迷が続く中、地域経済
産業振興につながるITベンチャー企業な
の活性化が大きな課題となっています。
ど、地域ICTリーダーを育成することで
2009年12月に総務省から発表された「原
す。自治体とマイクロソフトは、協働でプ
口ビジョン」の中には、
「暮らしを守る雇
ログラムを企画立案、双方のリソースやノ
用の創出」の一環で、
「ICTふるさとリー
ウハウを持ち寄り、イベントやトレーニン
ダーの育成」が掲げられ、2015年まで
グを集中的に実施、1年間でリーダーの
に全自治体で約1万人を育成するビジョン
育成を目指します。
が示されています。また、
“地域発”の新
昨 年 度の 実 績を見て いきましょう。
しいビジネスや産業を生み出す動きの中
NPOの情報力アップや地域産業の活性
でも、IT分野への注目が高まっています。
化などを課題とした高知県では、地元
マイクロソフトでは、2009年から新た
NPO有志によるITリーダー組織が結成
に「地域活性化協働プログラム」を立ち
され独自の講座がスタートした他、ITベ
上げ、2009年度は高知県、佐賀県、徳
ンチャーの人材採用や業務提携の加速化
島県、鳥取県の4県とプログラムを推進
などの成果が上がっています。高齢者の
してきました。
ICTスキル向上などを目指した佐賀県で
ITを活用して地域の可能性を引き出す
は、500人のシニア初心者がICTセミナー
ために最も大切なこと。それは、地域で
を受講し、協業したシニアネットの会員
ITを学び利活用できる人材、および地域
が1.5倍に増加、初心者が学べる場所と
Realizing Potential
千葉県森田知事とマイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行が覚書を締結
地域活性化のための6つのプログラム
1.ITベンチャー支援プログラム
2.NPO基盤強化プログラム
3.高齢者向けICT活用推進プログラム
4.障碍者向け支援プログラム
してシニアネットが県から継続的に仕事と
5.セキュリティ啓発プログラム
して講座実施を受託するようになってい
6.教育分野人材育成プログラム
ます。また、鳥取県では、講習に参加し
た初心者シニアが自らPC講座を開講する
までになりました。徳島県では、シニア
と障碍者向けのITを活用したショート
田知事は「ITを使えるようになるとさまざ
きるようになったり、できなかった表現を
ムービーコンテストが実現。地域ならでは
まな可能性が広がると考え、今回のプロ
実現したりすることもできます。ソフトウェ
のムービーで地元をアピールする作品が
グラムに取り組むことにしました。世界的
ア、ITにより、人間の力をいかに引き出
集まりました。
に活動の場を広げているマイクロソフト社
すことができるか。いろいろな意味で地
マイクロソフトは今後も、シニア、障碍
との協働実施ですが、マイクロソフト社
域の活性化は可能だと考えています。今
者、NPO、IT産業における人材育成に
の好意を無駄にしないよう、県としてしっ
回、千葉県との協働プログラムにあたっ
積極的で地域の課題についてITを活用
かり取り組んでいきたいと思います」と決
ては、森田知事の熱い思い、特にシニア
して解決することに意欲的な自治体との
意を語っています。
層の社会参画への熱いビジョンに貢献す
連携を行っていきます。2010年度は3つ
一方、代表執行役社長の樋口泰行は
るためにも、社をあげて取り組んでいき
の自治体との覚書締結を予定しており、2
「マイクロソフトは、IT分野、特にソフト
月には第 1 弾として千葉県との連携が発
ウェア分野で成長をさせていただきまし
千葉県では、3月からそれぞれのプロ
表されました。
た。
“ 社会的弱者”と言われる方でも、
グラムで初回の講座などキックオフイベン
プログラム開始にあたり、千葉県の森
ITによって以前にできなかったことがで
トが始まっています。
たいと考えています」と述べました。
15
セキュリティ レポート
SECURITY REPORT
情報セキュリティ月間に合わせ
中高生向けの情報セキュリティ対策啓発活動を実施
政府は、今年から情報セキュリティに関する普及啓発強化のため、新たに2月
を「情報セキュリティ月間」とすることとしました。マイクロソフトはこれまで
も独自にセキュリティ啓発活動を続けてきましたが、今年は政府の方針を受
けて、PCを使い始める中高生を対象に、ITの楽しさ、便利さとともにセキュリ
ティの重要性を伝える新しい啓発活動を実施しました。
政府は、国民が情報セキュリティについ
度情報通信社会を構築することにつなが
致しています。今年の情報セキュリティ月
ての意識を高めていくため、情報提供の
ります」などとする談話も発表されました。
間では、以前からの取り組みに加えて、
強化などに努めることを目的として、毎年
マイクロソフトでは以前から、すべての
株式会社TBSテレビ、ヤフー株式会社と
2月を「情報セキュリティ月間」と定めまし
人が安全に利用できる“信頼できるコン
ともに、中高生向けのセキュリティ啓発活
た。期間中、内閣官房情報セキュリティセ
ピューティング”環境を目指し、
「自社の
動を企画、実施しました。
ンター
(NISC)を中心に、
官民が連携して、
製品、サービスにおける技術面での取り
マイクロソフトではこれまで、子供向け
全国で1,000件を超える関連行事を開催。
組み」
「
、政府機関、
業界とのパートナーシッ
の啓発活動に加え、子供を教える立場の
実施にあたっては、平野博文官房長官か
プ」
、
「セキュリティ教育、啓発活動」の3
親を対象とした活動に力を入れてきました
ら
「国民の皆様1人1人が情報セキュリティ
つの領域で、包括的な取り組みを進めて
が、マイクロソフトセキュリティ戦略エクゼ
対策に取り組むことが、安全で便利な高
きました。今回の政府の方針とも完全に一
クティブマーケティングスペシャリスト瀬川
PICTURE
BOOK
子供と、子供の教育をする大人向けのセ
キュリティ対策を絵本にして配布していま
す。Web からダウンロードも可能。
16
ヤフー、TBS との共同キャンペーン「C.I.A. サイバー・インテリジェント・
エンジェルズ」。中高生に人気のモデルを起用し、Yahoo! JAPAN の特
集ページでは、高いアクセス数を獲得するなど、注目を集めています。
正博は、
「それだけでは足りない」と今回
て い ま す が、 マイク ロ ソ フトで は、
の企画の背景について説明します。
「サイ
Internet Explorer®8やWindows®7な
バー犯罪の被害者となる層を考えると、
ど、セキュリティを強化した製品を発表、
PCを使い始める年代の中高生、特に女子
だれでも安全に使えるように努力していま
生徒がネット上で危険な目に遭うことが多
す。
いのです。また、親のPCをセキュリティ
瀬川はまた、
「子供、中高生への情報セ
知識のない子供が使用した結果、重要な
キュリティ意識をさらに向上させるために
企業情報がインターネットに流出したとい
は、民間企業、行政、教育現場とのより
うような事件も発生しています。この世代
広範な協力が必要です」と話しています。
へのインターネットリテラシー教育に力を
「個人情報を教えてはいけないとか、悪
入れるべきだと考えます」
。
口を書き込まないようになど、子供たちが
ターゲットとなる中高生と同世代の人気
自分を守るためのモラルやスキルについて
モデルが出演するwebドラマをTBSが制
は、親はもちろん、学校でも教えるべきだ
作、国内最大のポータルサイトである
と考えますが、教える側の知識不足やわ
Yahoo!JAPANで配信したところ、反響
かりやすい教材が十分ではないことも理
も大きく、効果の拡大も期待されています。
由のようです。民間企業には非常に良いコ
一方、マイクロソフトでは、セキュリティ
ンテンツが豊富に用意されているのです
ホールの少ない製品を提供するとともに、
が、学校で使用されることが少ないので
利用者への啓発や、政府、業界との連携
す」
。内閣官房情報セキュリティセンターが
などによって安全性を高めてきました。セ
2005年に発足し、官民連携の基盤が整っ
キュリティに対する知識が十分でない人が
た今、この分野での政府からの支援も期
PCを使用する際には、ウイルス対策、フィ
待されています。
マイクロソフト 代表執行役 副社長
コンシューマー&オンライン事業部担当
堂山 昌司
ルタリングソフトの使用などが有効とされ
17
HOT
EDGE
クラウド時代を牽引する「Windows®Azure™」
「3スクリーン+クラウド」が切り拓く未来
~ Windows Azure 本格稼働によりクラウドの可能性が広がった~
ITリソースを所有するのではなく、必要に
です。2010年2月には世界21か国でサービ
2月23日、24日の両日に東京で開催された
応じて必要な分だけを利用するクラウドコン
スを開始、日本でも本格展開が始まりました。
ソフトウェア開発者向けのカンファレンス、
ピューティング。その革新的な考え方は、広
Windows Azureの特徴の1つに、従来
く一般に浸透しつつあります。
の 環 境との 継 続 性 が 挙 げられます。
れました。
マイクロソフトのクラウド戦略とは、
サービス
WindowsベースのIT環境の延長線上に
カンファレンスではすでにWindows
をだれでもいつでも活用できる環境を提供す
あるため、
ユーザーはこれまでと同じような感
Azureを導入している5社の実例が紹介さ
ること。
どんな端末からでもアクセス可能な環
覚でWindows Azureを使うことができ、技
れました。その中の1社が、動画のWeb配
境を、「3スクリーン+クラウド」と呼んでいま
術者も違和感なくクラウドの開発環境になじ
信サービスを提供しているグーモです。同社
す。つまり、パソコンと携帯電話、テレビとい
むことができます。企業にとっては、既存の
CTOの松岡清一氏は「動画番組へのアク
う3つのスクリーンから、クラウドというハブを
IT資産を有効に活用できるというメリットもあ
セスが多くなるのはうれしいのですが、その
通じてネットワークにつながり、あらゆるサー
るのです。
一方でシステムへの負荷の増大が悩みでし
ビスを受けることができる。そんなコンピュー
た」と打ち明けます。その負荷をいかに軽
ティング環境です。そして同時に、自社運用
日本でも続々と登場する
クラウド活用の先進事例
とクラウドを適材適所で組み合わせて利用し
Windows Azureの進化した機能が、
が同社の課題でした。
「Microsoft®TechDays 2010」で紹介さ
減し、高品質の動画を安定的に配信するか
ていくことが、より高い
スケーラビリティ
●アジアデータセンター
●管理・診断 API
●コマンドレット
●ローリングアップデート
●トランザクション対応
Table(Key Value Store)
●ロール数の上限緩和
● BLOB の CDN 対応
ています。
これらの環境を実
現するために開発さ
れたのが、マイクロソ
フトの提供するクラウ
ドプラットフォー ム
「Windows Azure」
18
Windows Azure
SQL Azure
インターオペラビリティ
自由度の向上
● PHP、Java
向け SDK
● Eclipse 対応
●ソリューション
アクセラレーター
● Full Trust モード
● Azure Drive
●ロール間通信
● WorkerRole の
外部エンドポイント
X- E d ito r のクラウドアーキテクチャ
EDINET
Windows Azure
PC
XBRL 辞書
XiRUTE
XBRL 操作
データ
ストア
操作
パッチ
処理系
BLOB
SQL Azure
画面出力
マスタデータ
X-Editor
AppFabric Service Bus
とマイクロソフトは考え
運用・可用性向上
Internet Explorer platform
次々と追 加されてゆく多くの 新 機 能
Internet Explorer
付加価値を生み出す
オンプレミス
データセンター
機密度の高い
開示書類
動かすというしくみを採用。これにより、お客
様の心配も払拭することができます」と青木
氏。また、以前から提供しているASPのア
プリケーションは、「.NET」ベースで開発し
ているため、クラウドへの移行は非常にス
ムーズだったと言います。
以上の2社の他にも、3社のWindows
Azureの導入事例が紹介されました。いず
れもクラウドの可能性にいち早く着目し、新し
いテクノロジーをテコにビジネスの革新にチャ
レンジしている企業と言えるでしょう。
マイクロソフトの提案する「ソフトウェア+
サービス」とは、既存環境を最適化しつつ
サービスによる新たな付加価値を追加する
考え方です。Windows Azureはそのコン
セプトを実現し、新たな可能性を拓くために
進化し続けています。
クラウドコンピューティングの可能性を語るマイクロソフト執行役
デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘
平準化が難しいアクセスへの対応は、巨
大なITリソースを持つクラウドの得意分野。
「すべてをWindows Azureにあずけるこ
とで、より安定的かつスケーラブル、しかも低
コストのシステム運用ができるのではないか
と考えました」と松岡氏は語ります。
エッジ [ 情報化社会の視座 ]
次に、IR関連のコンサルティングや印刷な
Vol. 25
2010 年 4 月発行
どを手掛ける宝印刷。同社の「X-Editor」
は、
「EDINET」を通じて金融庁に提出す
Windows Azureを導入しての先進的な取り組みが
紹介された
る企業の決算情報データの作成を、オンライ
発行:マイクロソフト株式会社
発行責任者:ジム・フォスター
ン 上 で サ ポ ート す るA S P サ ー ビ ス
* Microsoft、Microsoft ロゴ、Windows、Azure、
(Application Service Provider Service)
Excel、Internet Explorer、Windows Mobile は、
です。宝印刷取締役常務執行役員の青木
米国 MicrosoftCorporation および / またはその関
孝次氏は「決算情報開示は四半期に1度し
連会社の商標です。
*その他、記載されている会社名、製品名は、各社
かありません。適切なスケールアウトとスケー
の登録商標または商標です。本誌の内容は、2010
ルダウンにより、コストを削減することが可能
年 3 月現在のものです。
です」と言います。
※本誌の内容は掲載時点での情報を基に記載され
ておりますが、出版後に情報が変更になる場合があ
しかし、
そこにはハードルがありました。機
ります。
密性の高い決算情報は、クラウドではなく自
社のデータセンターに置く必要がありました。
その懸念を解消したのが、ハイブリッドクラウ
ドともいえる手法です。
「機密情報は当社のデータセンターに置き、
アプリケーションだけをWindows Azureで
キーノートセッションでスピーチするマイクロソフト
Windows Azure 担当テクニカルストラテジスト
のスティーブ・マークス
マイクロソフト株式会社
法務・政策企画統括本部 政策企画本部
〒 151-8583
東京都渋谷区代々木2丁目1号 小田急サザンタワー
4828-WI1
19
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