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行動論政治学成立史 - 香川大学 法学部・法学研究科
政治システム論 22年度 第一章 行動論政治学成立史 第一章 参考書 中谷義和『アメリカ政治学序説』(2005年) セイデルマン『アメリカ政治学の形成』(1987年) 山川雄己『アメリカ政治学研究』(1977年 ) 森脇俊雅『現代政治学』(2006年) 第一節 第一項 第二項 第三項 第四項 2010/4/8 1 アメリカの場合 成立への経緯 行動論政治学とはなにか トルーマンの政治過程論 ミシガン学派の投票行動論 第二節 政治学方法論-政治老年学の場合を 手がかりに(省略の予定) 第一項 第二項 第三項 第四項 第五項 第六項 問題現象の認識 問題現象の発展 先行研究の把握 データの収集と分析 仮説 追試 政治システム論 1 第一項 成立への経緯 第二次世界大戦→科学技術= 人文・社会科学諸分野の研究 者も戦争遂行に協力し,参加 人文・社会科学分野の研究者たちは 強い危機感=団結して政府関係機関 に働きかけ・・・人文・社会科学分野 の意義や研究助成の必要性を説い 行動論政治学の展開 た 行動論政治学は NSFは1950年に正式に設立 ①学際的統一運動 (政治学は独立した研究助成の学問 ②研究助成をめざす運動 分野として扱われず)・・・ ❒基礎概念 ①論理実証主義=プラグマティ ❒公共政策の論争的問題 ズムとの結合 ❒科学的客観性に乏しい ②国立科学財団(National ☝ Science Foundation:NSF)構 想 (『アメリカ政治学研究』) 政治学者自身の自己批判例・・・ 2010/4/8 3 ◇真の科学的研究としての実績を示す 努力=政治学の科学化をめざす運動 ◇社会科学研究評議会(SSRC) §「政治行動委員会」委員長:デ ヴィッド・トルーマン §「比較政治委員会」(委員長: ゲイブリエル・アーモンド) ◇NSFにおいては1966年度に至り,独 立した研究助成の分野として認可 2010/4/8 4 2 第二項 行動論政治学とはなにか イーストンの説明=行動論について セイデルマン(省略⇒) の厳密な定義や確固たる研究方向 行動論は統治の現象を観察された, は必ずしも確立されているわけでは そして観察されうる人々の行動という ないが,・・・ 見地から説明しようする研究方法 (1)規則性 (2)立証性 行動論は「形式理論」によって方向付 けられた体系的な研究志向 (3)技術 (4)数量化 行動論は経験主義的方法に主要な 力点を据える研究 (5)価値 (6)体系化 行動論は経験主義的な説明と道徳的 な評価との間の明確な区別 (7)純粋科学 (8)統合 2010/4/8 5 第三項 トルーマンの政治過程論 人間は集団生活のなかで見出される 人間の集団を単位として政治は検討 担互作用 社会集団 共 有 態 度 利 益 ◇彼の背景 アメリカ的多元社会 産業革命による工業化の推進は分業の発達を生みだす 労働組合⇒集団がそれぞれの利益の増進をめざして活 動⇒対立・競争・衝突 §批判=セオドア・ローウィ(利益団体自由主義と呼び, それは特定の利益団体の特権化を招き,.多くの市民の 権利が侵害される状況をもたらし,民主主義の衰退を招 いている)=依法的民主主義 2010/4/8 6 3 第二項 ミシガン学派の投票行動論 ❏1940年代の投票行動研究 ◙世論調査のデータ・・・ギャラップ社=親戚の女性が選挙に立候補・・・ 選挙予測の依頼が殺到 ◙コロンビア大学応用社会調査研究所・・・有権者の所属するする社会集 団の影響力 ❏1952年と1956年アメリカ大統領選挙の投票行動のデータ⇒政党帰 属意識の重要性(『アメリカの投票者』) (1)有権者のほとんどが政党に対する帰属意識 (2)社会化によって形成 (3) ほぼ一生を通じてその政党に対する帰属意識 (4)少数の人が帰属意識を変える ⇓ 2010/4/8 7 ①政党帰属意識が弱いあるいは欠如 ②家庭もしくは自己の最初の帰属⇔成人してからの準拠集団 のそれ ③大規模な政治的・経済的・社会的・変革 (5) 政党への心理的近さ・・・感情の強さ (6)帰属の程度が強ければ強いほど・・・ Exp.地域住民は地方政党組織(マシーン)の日常活動によく家 族連れで参加 ❏政党支持が変わる場合 ◙1930年代の大恐慌とニューディール改革 北部の労働者はもともとの共和党支持を変えて民主党支持=南部の保 守的な農民層☚「ニューディール連合」(大恐慌とニューディール改革を 契機に政党支持態度の大規模な変動が起こった) 2010/4/8 8 4 ミシガン学派の影響 政治的社会化研究-例 メリアムのシガゴに おける市民教育 個人がいかにして特定の政党との 一体感をもつようになるのか,どの ようにしてある政治的価値観をもつ ようになるのかの実証的研究 ミシガン学派への批判 1970年代ころより政党の役割や影響力が低下 §何故⇦予備選挙の普及 §テレビを利用した選挙運動の普及 §選挙民の間の政党支持態度の低下 「政治不信が1958年と72年の間に顕著に 増加した⇦ウォーターゲート事件政党支持態度に 代わって台頭してきたのが,侯補者個人への注目 2010/4/8 9 第八節 政治学方法論-政治老年学の場合を手 がかりに ❒世代論から政治老 年学と,再び世代を 統一して老年・世代 論を構築するまでの 歩み ❒問題現象の認識,問題現 象の発展,先行研究の把握, データの収集と分析,仮説, 追試 第一項 問題現象の認識 2001年から02年まで ⑧「サーベイデータにみる世代別争点意識:2001年参 院選の分析」『香川法学』22(3/4) ⑨「団塊』の世代の争点関心とそのあとに続く世代:明 るい選挙推進協会のデータから」『香川法学』21(2), 2010/4/8 10 5 第二項 問題現象の発展 団塊世代を研究☞第 一に日本の一番の大 『現代のエスプリ』 きな年齢階層として時 代を代表してきた 人々の世代的存在理 由,第二に中高年に 達したその人々が老 ⑦神江,伸介「政治老 い始めるのでおいて 年学の方向性」『現代 ゆく場合の過去との のエスプリ』 同一性・違いを明らか (430),85~ にする必要,第三に 94,2003/5(ISSN0 団塊世代の結末は私 4352165)(至文堂 自身の結末でありそ 〔編〕/至文堂), の老い始めから老い 終わりのストーリーを 描くことは私自身のた 政治的世代論と政治老 め 年学との違い 2010/4/8 世代論 から政 治老年 学への 転換 11 第一に,研究に幅に関係しており,団塊の世代僅かに3年前 をカバーするだけだが,政治老年学は65歳以上の全ての人 をカバーする 第二に,政治的影響を受ける源が,退職前の 人々に較べ,それぞれ違う。 第三に,種々の面で傾向が落ち目となる。政治態度でもこれ が観察されるのか。 第四に,政治老年学ではこのことがライフサイクルの面でい える 第五に,現代国家の福祉活動が最も集中して現れる 2010/4/8 12 6 第三項 先行研究の把握 ❒外国の文献 ☞http://www.aarp. org/research/agelin e/ ❒国内の 研究 第四項 データの収集と分析 Ⅰ 二次データの 収集と分析 Ⅱ 自分のデータ を収集し分析 Ⅰ 明推協の衆議院・参 院選のデータ 変数 ①投票と棄権 ③投票選択の経緯 ④選挙啓発への参 加と接触 2010/4/8 13 ③「福祉と政治不満とニューシニア」『季刊社会保障研究』 41(1),45~56,2005/Sum.(ISSN03873064)(国立社会 保障・人口問題研究所編/国立社会保障・人口問題研究所) ⑩『政治老年学序説』(2005年) ④「高松市の新しい政治階層としてのニューシニア」『香川法 学』24(2),98-70,20040920, ⑤「少子高齢社会における高齢者の党派行動:明推協のプー ルデータ等より」『香川法学』24(1), ⑥「少子高齢社会における高齢者の参加行動:明推協のプール データより」『香川法学』23(1/2), Ⅱ 自分データを収集し分析をしたものが,三木町の調査で ある。 ①神江,伸介; 堤,英敬「高齢社会有権者の社会参加と政治参 加--香川県三木町2005年の場合」『香川法学』25(3・4), ②神江,伸介; 堤,英敬「地域社会におけるエイジング基本調査 コードブック(制度領域調査)」『香川法学』25(3・4), 2010/4/8 14 7 第五項 仮説 ①参加:一般の政治意識と同じ死ぬまで作用する変数と, あるところで作用が有効でなくなる=不活発化変数がある, ②超高齢型政治意識が存在する ③高齢期には党派・満足感が問題となる ④職業は,…長い間その人に影響を与えるようにかわった。 ⑤戦争期に絡んだ世代の影響が存在… 第六項 追試 ①再編成の時間的なスパンは30年ごとに訪れるというアメリ カの研究者(Beck)の学説との再会があったこと, ②戦後派はその意味で団塊の世代を含む30年間に広がり, 以前の戦中派,以後の戦無派と日本は三つの世代に分けられ る, ③そこで終戦時に20-29歳のものと,戦後に生まれたものと の政治態度の一致を見たこと,その世代的な固定性は,一定 の枠内でライフサイクルの影響を受けることを見出した 2010/4/8 15 8