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サービス される側から する側へ

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サービス される側から する側へ
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サービス
される側から
する側へ
ダイレクトマーケティング・グラフィティ
中澤 功 氏
(株)テレマーケティングジャパン
国際ダイレクトマーケティング研究所 顧問
この連載で筆者は、当然のことの
そういう理解の中でいま振り返っ
るという。詳しく問い返すと、ダイ
ように初めからダイレクトマーケテ
てみると、1970年代後半から80年代
レクトマーケティングを主要チャネ
ィングという言葉を使ってきた。し
前半にかけては、日本のダイレクト
ルとする米国のメジャーなクレジッ
かしこの呼称は、提唱されたのこそ
マーケティングにとっても、ひとつ
トカード会社を新しくクライアント
1967年と言われているが、ビジネス
のターニングポイントだったような
として迎えた米資系広告代理店のヘ
用語として少なくとも関係業界内で
気がする。郵便料金(封書)が76年
ッドハンティングの話だった。
認知されるようになったのは80年代
に50円、81年には60円へと、わずか
に入ってからのことだ。第5話でも
の間にたて続けに値上がりして、ダ
メディア仲介業以上のものとは思っ
触れたように、DMAも自らを“ダイ
イレクトメールマーケティングの環
ていなかったし、クレジットカード
レクトマーケティング協会”と称す
境がより厳しくなった。そして、そ
とダイレクトマーケティングの関係
るようになったのは83年からのこと
の一方で76年に大和(現ヤマト)運
についても、会員向けに通販を行っ
で、それまではDMMA(Direct Mail
輸、77年には日本通運と西濃運輸に
ているというくらいの認識しかなか
Marketing Association、ダイレクトメー
より、いわゆる“宅配便”のサービ
ったが、なにしろその代理店が、日
ルマーケティング協会)だったので
スが開始されて、ダイレクトマーケ
本では初めてのことなので何をどう
ある。
ティングの主流は単品からカタログ
やったらいいのか皆目わからず、困
販売に移行し、カタログ通販会社が
り果てているという。前例のないこ
続々と誕生、宅配便の取り扱い量が
とにチャレンジするのが嫌いではな
郵便小包のそれを追い抜いた。
く、人が困っているのを黙って見て
前号でも話したように、そのころ
広告代理店についてはそれまで、
いられないという因果な性分から、
の筆者は、収益追求のプレッシャー
それじゃあ何かアドバイスぐらいは
からしばし解放されて、癒やされる
してあげようかと、青山にあるその
と同時に物足りなさも感じる日々を
ヘッドハンターのオフィスへ足を向
過ごしていたが、79年も暮れようと
けた。いま思えばこれが、その後の
するある日、ふだん聞き慣れない声
自分の運命の曲がり角だった。マー
の主からの電話を受けた。流暢な日
ケティングにかかわるサービスを受
本語を話す外国人で、筆者をダイレ
ける立場から逆にする立場へと、住
クトマーケティングのプロと聞き、
む世界を180度転換するきっかけにな
大至急相談に乗ってほしいことがあ
ってしまったのである。
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長と面接する羽目になり、行ってみ
ると、日本人と外国人の営業責任者
が顔をひきつらせて同席していた。
事情を聞くと、ダイレクトマーケテ
ィングによる会員獲得というプロジ
ェクトのローンチ(開始)があと3
カ月に迫っているのに、本社が派遣
ダイレクトマーケティング・トリビア<11>
「リストスワッピング」
“スワッピング”は業界内の俗称で、一般的には“交換”と言う。ひとつのダイレク
トメールマーケティング企業が、同業の別企業との間で、それぞれの顧客を等量で交
換使用し合う、互恵的・相補的な取引関係の取り決めのことで、物理的なバーターで
はない。古くからある業界慣習だが、今日では大前提として、顧客自身のパーミッシ
ョンが必要なことは言うまでもない。両者の対象客層が共通しかつ競合関係にない場
合でないと成立しにくく、そうであったとしても扱い商品などの違いにより顧客のポ
テンシャルに差がある場合などは、必ずしも等量交換ということにはならない。
してきた雇われ米国人コンサルタン
トと日本人スタッフの間で話がまっ
るためのテストマーケティングを企
地域における定期購読者リストであ
たく噛み合わなくて、必要なことが
画し実施することで、そのためには、
る。それを貸してもらう交渉をする
ほとんど何も進んでおらず、このま
ターゲットリストのアレンジとダイ
わけだが、JCBでは初め米国流のエ
までは大変なことになると青息吐息
レクトメール・パッケージの制作
ージェンシーの役割を理解してもら
だったのだ。予想していたような広
を、緊急に進める必要があった。
えず、なぜクライアントが直接来な
告代理店の仕事とは違って、マーケ
本来ならば、新商品のテストには
いのか、その代理としての筆者は一
ティング・エージェンシーとでも言
自社リストを使うべきところだが、
体何者なのかといぶかられるし、タ
うべき立場でクライアントとパート
何しろゼロからの出発だから(正確
イムでも最初は、米国と日本とでは
ナーシップを組み、プロとして全面
に言えば外国銀行として、また日本
話は別だと門前払いのような目にあ
的に任せてもらえる(その代わり当
のカード会社の国際提携先としての
った。結局は目的を達することがで
然重い責任を負う)立場だというの
進出実績はあったが)
、そんなリス
きたのだが、両社とも代償は、アメ
で、これは今までの経験を発揮でき
トがあるわけはなく、アメックス本
ックス会員リストを交換に使わせて
る新しいフィールドではないかと考
社と関係のあった2つの在日企業の
欲しいということだった。俗にいう
え、引き受けることを承諾した。そ
顧客リストを使わせてもらうことに
「リストスワッピング」だが、その
の代理店とはマッキャンエリクソン
なった。ひとつは、海外での利用に
時手元にリストがあるわけではない
(以下マッキャン)
、クライアントは
関してアメックスと提携関係にあっ
ので、相当する数の会員リストが蓄
アメリカンエキスプレス(以下アメ
たJCBカードの国際会員リスト、も
積された段階での、いわゆる“出世
ックス)で、商品はゴールドカード
うひとつは、客層がアメックスのカ
払い”ということにしてもらった。
(高額の入会金と年会費のかかる国
ード会員と一致するタイム誌の日本
際ビジネスマン向けのクレジットカ
①
ード)である。
しかし、それからがカルチャーシ
③
ョックの連続で、クライアントとエ
ージェンシーの間にある言い知れぬ
“差別感”のようなもの、エージェ
②
ンシーの現場での人を人とも思わな
い殺伐とした空気に、これはえらい
ところに来てしまったと臍(ほぞ)
をかんだが後の祭りだった。
今さら文句を言っても仕方がない
と気を取り直してまず取り掛かった
のは、会員獲得のターゲット市場を
見極め、その可能性レベルを確認す
①マッキャン初期の筆者 ②1980年11月シンガ
ポールのマンダリンホテルで行われた「第1回
アジア太平洋ダイレクトマーケティング会議」
のレセプションでアメックスのマーケティン
グ・スタッフと ③同じくパネルディスカッシ
ョンでのパネリストとして
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いつの間にかその広告代理店の社
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