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クリエイティブ への目覚め

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クリエイティブ への目覚め
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クリエイティブ
への目覚め
ダイレクトマーケティング・グラフィティ
中澤 功 氏
(株)テレマーケティングジャパン
国際ダイレクトマーケティング研究所 顧問
1962年になってリーダーズダイジ
「例の編集部配属の話はどうなって
筆者が転属することになったの
ェスト社は、第1集のレコードアル
いるのですか!」と部長に直訴した。
は、雑誌・書籍・レコードと3つあっ
バム、ヘビークラシック全集(世界
しかし部長もさる者、
「お前は編集
た事業部の中の「レコード部」のプ
名曲集/前号P.51)に続き、第2集の
よりも“プロモーション”
(今で言
ロモーション・グループで、すでに10
ライトクラシック全集(家庭名曲集)
えばマーケティング)の仕事に向い
年選手の先輩が2人いた。経験と社
を発売。これも売れに売れていた。
ている」とか何とか説得され、ここ
内事情に通じていることが必要なメ
そしてまた、顧客からの苦情への対
で、筆者の今に至る進路が決まって
ーリング・プランと手配はもっぱら
応と返品の処理に追われる筆者の毎
しまったのである。
この2人の先輩が受け持ち、筆者は
教わりながら、ダイレクトメールの
日も続いていた。入社して早1年が
その時代、ダイレクトマーケティ
過ぎ(というか、まだ1年しか経っ
ング企業の業務は、
「プロモーショ
ていないのに、と言うべきか)
、こ
ン」と「フルフィルメント」の2つ
まず指示されたことは、本社(米
のままでは自分の目指したところと
の機能に大別されていたが、受注後
国リーダーズダイジェスト社)から
は違う道に行ってしまうのではと、
のすべての業務を取り扱うフルフィ
送られてきたダイレクトメール・パ
思い立ったら止まらなくなって、
ルメントのほうが組織としては圧倒
ッケージの「レター」と「ブローシ
的に大きく、筆者が最初に配属され
ャー(商品やサービスを説明してい
た“アジャストメント”も、その中
るパンフレット類)
」のコピーを翻
の1セクションだった。それに対し
訳することだった。そのころは、本
てプロモーションのほうは、ダイレ
社で作った素材のコピーの部分をそ
クトメールの制作とターゲット・リ
っくり日本語に置き換えて印刷した
スト(と言っても当時は自社顧客だ
ものを使っていたのである。
けだが)の手配をし、それを計画書
制作を担当することになった。
翻訳をし始めてみると、どうも日
(メーリング・プランと称していた)
本語として違和感を感ずる部分が出
にまとめて発行する、今で言えば
てくる。やたらと使われる“あなた”
“プランニング”と“クリエイティ
という代名詞を省略したり、逆に、
ブ”の役割を担う、スタッフ2∼3人
文と文との間に“接続詞”を補わな
という小所帯だったが、何やら興味
いと、サマにならないのだ。それで
の持てる仕事のように思え、部長の
勝手に原文を添削して、やっと日本
言に従うことにした。
語らしくなったと思い上司に提出し
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線と直結していたリーダーズダイジ
ワシの机の上の整理しよか」と声を
文は、ちゃんと理由があってそうな
ェスト社の「広告部」
(雑誌広告の
掛けてくれるたびに、用済みの業界
っているので、これを使うことによ
掲載を受ける部門)には、そうそう
専門誌や文書を払い下げてもらうの
って一定の効果が上がることが証明
たる人材が揃っていたのが幸いだっ
だ。その中には、昔のタブロイド版
されているのだから、それを変更す
た。
の「電通報」や、リーダーズダイジ
る場合には、そうしたほうが良いと
リーダーズダイジェスト社は、ち
ェスト社出身でこの道の大先輩であ
いうことを客観的に証明する必要が
ょうど筆者の入社の年に日本法人に
る故・深山一郎氏が発刊されていた
あるというのだ。そう、つまり、
なったのだが、それまでの日本支社
「ダイレクトメールの理論と実際」
時代に長く支配人を続けてこられ、
などもあって、大事に大事に保管し、
わが国広告業界のパイオニアのひと
何度も何度も読み返した。
“テストをせずに主観で条件を変更
するな”ということである。
この件で、
「ウム、これはなかな
りにも数えられていた、故・殖栗文
業界紙のほかには、
「Air Memo」と
か奥が深そうだぞ」と感ずるところ
夫氏には特にいろいろと教えていた
称されていたリーダーズダイジェス
があり、もともとモノ書き志望だっ
だいた。中でも、同氏からいただい
ト社の各国オフィス間の連絡文書
たこともあって、コピーライティン
た「ものいう広告――ペイするコピ
が、ビジネスレターの生きたお手本
グの世界にのめり込んでいった。た
ー作法」
(原題「Making Ads Pay」
、ジ
として、とても参考になった。ここ
だ、勉強したくとも方法がわからな
ョン・ケープルズ著・殖栗文夫訳)
で使われていた用語や話法は、いわ
かったので、新聞や雑誌の気になっ
は、その後長く、筆者の座右の書と
ゆる“英文手紙の書き方”の本など
た広告をスクラップしたり、うるさ
なった。
では絶対にお目にかかれない、現場
がられながらも、社内のプロたちか
勉強材料の乏しい中でも、時に宝
のビジネス・イングリッシュで、そ
ら教えを受けたりしていた。その当
物が手に入る楽しみがあった。それ
の後の筆者の国際コミュニケーショ
時の広告代理店には、今のような専
は、月1回、部長の机の上を整理す
ンにどれほど役立ったかわからな
門家はおろか専門部署も存在しなか
る機会だった。関西出身の、おもろ
い。
ったが、米国の広告ビジネスの第一
い太っ腹な人で、
「ホナ、中澤クン、
ダイレクトマーケティング・トリビア<3>
「ジョン・ケープルズ」
1990年に逝去、ダイレクトマーケティングのコピーライティングにおける神様的存在
で、広告テストに科学的手法を導入したことでも知られる。数々の伝説的名コピーと、
「ペイするコピー作法」「効果のわ
かる広告法」などの名著を残した。
米国ダイレクトマーケティング協
会の「エコー賞」と並ぶ、全米ダ
イレクトマーケティング・クリエ
イティブ協会のアワード「ジョン・
ケープルズ賞」にその名が顕彰さ
れている。エコー賞が広告主とエ
ージェンシーに与えられるのに対
し、ケープルズ賞はクリエイター
個人に与えられる。
ジョン・ケープルズ著・殖栗文夫訳「も
のいう広告―ペイするコピー作法」の日
本語版。筆者がコピーライターへの道を
歩み始めたころ、この本の訳者の殖栗氏
から直接いただいた
後年(1995年)くしくも、筆者が「ケープ
ルズ賞」の選考委員となり、ニューヨーク
での選考会に出席した。写真はその時の記
念額
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たら、大目玉を食らった。本社の原
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