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1 すべての青少年が自立・成長していくための環境づくり

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1 すべての青少年が自立・成長していくための環境づくり
1
すべての青少年が自立・成長していくための環境づくり
未来を担う青少年が、社会の一員としての自覚を持ち、将来自立した人間として成長してい
くためには、子どもの頃から、自分自身で考え、創造することのできる資質や能力、豊かな人
間性、文化を大切にする心、夢の実現に向かってたくましく生きていくための心身などを備え
た「生きる力」を培っていく必要がある。些細なことでつまづいてしまうこともあれば、一つ
のきっかけや体験で大きく成長することもあるのが青少年である。
そのために、子どもたちの心を揺さぶるような自然体験、スポーツ・文化活動、様々な人と
の交流の機会を充実させるなど、豊かな人間性を育み、主体的な姿勢を身につけ、すべての青
少年が自立・成長していくための環境づくりを進めていく必要がある。
(1) こころ豊かにたくましく生きる力の創造
《課題と方針》
社会全体を取り巻く環境の変化は子どもたちの成長にも様々な影響を与える。幼児期か
ら高等学校までの期間は、社会的に自立していくための基盤となる力を形成する重要な時
期である。
これからの変化の激しい社会のなかで、将来にわたって子どもたちが夢をもち、自ら学
び考え、目標に向かってたくましく生きていくことができるよう、「確かな学力」「豊かな
心」
「健康・体力」という基本的な資質を確実に身につけ、生きるための基盤を形成してい
く。
また、国際都市・神戸を担う人材育成の観点から、国や文化の違いを超えて活動し、多
様な人々と協力・共生していくことのできる豊かな国際性を育んでいく。
《施策展開》
①
たくましい身体づくり
子どもの体力の低下が叫ばれて久しい。体力の低下は、体力数値の低下を意味するだ
けでなく、生活習慣や心のあり方まで影響を与えるものである。
神戸の子どもたちが、健康で豊かな生活を通して、充実した生活を送ることを願い、
「体力の向上、生活習慣の改善、食育の推進、保健教育の推進、家庭・地域との連携」
を5つの柱とした「こうべっ子
健康・体力向上プラン」に基づき、健康・体力の増進
と基本的な生活習慣の向上、食育の推進を図っていく。
運動やスポーツに親しむ機会や場の減少が、子どもたちの体力低下に影響を与えてい
ると考えられるため、子どもたちに興味や関心を持って運動やスポーツに取り組むよう
な機会や場の提供に努めることで体力の向上を図るとともに、全国体力・運動能力、運
- 15 -
動習慣等調査の結果をもとに現状把握に努め、生活習慣の改善に取り組んでいく。
また、社会経済構造が大きく変化する中で、食生活やこれを取り巻く環境も変化して
きているが、子どもたちが健全な食生活を実践することは、健康・体力アップに資する
とともに、健康で豊かな人間性を育む基礎となるものである。特に、思春期においては、
進学・就職・異性のことなどいろいろ悩むことが多く、ストレスも増え、肥満や痩身な
どの問題も出てくる。このため、学校での授業をはじめ、家庭、地域とも連携しながら
食育を推進していくとともに、子どもたちが自分の健康状態に関心を持ち、健康上の課
題を自分で考え、解決できるような資質や能力を育んでいくための保健教育を推進する。
【主な事業】
●神戸総合型地域スポーツクラブ(教育委員会)
学校を身近な生涯スポーツの拠点とし、地域コミュニティの活性化や子どもの健全
育成を図るため、地域スポーツクラブの育成を行う。
●児童の体力向上事業(教育委員会)
児童の体力向上を視野に入れた活動を促進し、小学生陸上競技記録大会や、小学校
において「こうべっ子チャレンジ!新体力テスト」を実施するなど、体を動かすこと
の楽しさや心地よさを児童に気づかせ、運動好きな子どもを育てる。
●神戸市少年団活動(教育委員会)
市内の児童生徒を対象に、スポーツや野外活動を通して、豊かな心とすこやかな体
を育むことを目的として実施する。
●部活動の振興(教育委員会)
小学校・中学校・高等学校・特別支援学校における部活動の振興を図るとともに、
安全な部活動の支援を行う。
●学校保健事業と健康診断の実施(教育委員会)
学校保健安全法に基づき、学校保健指導並びに児童生徒の健康診断の実施及び日本
スポーツ振興センターへの加入等により、児童生徒の健康及び安全の保持増進を図る。
②
豊かな心づくり
子どもたち一人ひとりを大切にするという視点のもと、
「道徳教育、体験活動や自主的
な活動、人権教育、読書活動、家庭・地域との連携」を5つの柱とした「こうべっ子 豊
かな心育成プラン」に基づき、
「心の教育」を推進していく。
道徳の時間を要に、学校の教育活動全体を通じて道徳教育を推進し、規範意識や忍耐
力、情報モラル、公共心、マナーの向上などを目指すとともに、自尊感情を育むための
人権教育を推進していく。
また、幼稚園・小学校・中学校・高等学校を通じて体験活動や自主的活動を推進する
- 16 -
とともに、読書活動を充実させることにより、豊かな感性や自然を大切にする心、命を
大切にする心、助け合いの心、勤労観や公共心等の豊かな心を育んでいく。
さらに、家庭、地域、学校園の連携により、あいさつ・手伝い運動を中心に、児童生
徒の好ましい習慣づくりを推進する。
【主な事業】
●「スマイルハートあいさつ運動」の展開(市民参画推進局)
各地域や学校で行われているあいさつ運動を広げ、地域全体で子どもたちを守り育
てる機運を高め、青少年の健全育成に取り組む。
●子どもの手伝いを推進する市民運動(神戸っ子手伝い隊プロジェクト)の推進
(市民参画推進局)
家庭や地域における子どもたちの「手伝い」を励行することにより、家族や地位の
大人とのふれあいの中で子どものコミュニケーション能力や自尊感情を育み、将来の
社会的自立への足がかりとする。
●子どもたちへのメッセージ運動(保健福祉局)
震災の教訓を次世代へ継承することにより、生命の尊さ、ともに生きることの素晴
らしさといった人権尊重の理念の普及を図る。
●命の感動体験学習(保健福祉局・教育委員会)
主に小学高学年の児童に乳幼児と触れ合う機会を提供し、命の大切さなどを実感し
てもらう。
●トライやる・ウィーク推進事業(教育委員会)
中学2年生全員が、農林水産体験活動等を地域と連携しながら体験することで、豊
かな感性や創造性などの育成を図る。
●本とのふれあい推進(教育委員会)
読書の楽しみが体感できる環境づくりを工夫し、子どもたちの読書への関心を高め
る取り組みを推進する。
●小学生と芸術のふれあい事業(教育委員会)
一流の専門家による生の音楽芸術にふれる機会を設けることにより、子どもたちに
音楽等の楽しさ、美しさを味あわせるとともに、豊かな感性と創造力を育む一助とす
る。
●地域子ども文化塾(教育委員会)
地域の財産である歴史や伝統文化に触れることにより、子どもたちの地域への愛着
を育てるとともに、伝統文化の継承を図る。
- 17 -
③
確かな学力の定着
子どもたちの学力と意欲の向上策として、平成 18 年度から「授業の改善」
「教えるプ
ロの育成」「新しい教材の開発」「家庭学習支援・地域力の活用」からなる「分かる授業
推進プラン」を全小中学校で推進してきた。現状では、神戸市や全国の学力調査の結果
から、神戸の子どもたちの学力や意欲は全体として概ね定着しているものと判断される。
今後は、つまずきを防ぐための指導方法の工夫等、一人ひとりの学力定着を確実に図
っていくためのきめ細かな取り組みとともに、新学習指導要領でも重視されている「知
識や技能を活用して課題を解決するための思考力、判断力等」の育成が重要な課題と捉
え、引き続き「分かる授業推進プラン」を推進していく。また、家庭での学習習慣の定
着とそのための学校等からの適切な支援も行う。
【主な事業】
●分かる授業の推進(教育委員会)
分かる授業プロジェクト会議の開催するとともに、全小中学校で、それぞれの創意
工夫を生かした「分かる授業」の取り組みの強化を行い、基礎学力の定着を図る。
●総合的な学習の時間(神戸っ子とびっきりタイム)(教育委員会)
体験的な学習などの多様な取り組みによって、児童生徒の課題を発見する力、解決
する力、調べる力、まとめる力、発表する力等の向上を図る。
●基礎学力定着教材開発(教育委員会)
民間事業者のノウハウを活用しながら、読解力向上のための副教材を開発する。
●学力定着度調査(教育委員会)
学力の定着を客観的に確認し、以後の学力定着及び向上のための取り組みに生かす
「学力定着度調査」を実施する。
●ゲストティーチャー・市民専門講師制度(教育委員会)
地域の人材を招き、専門的な知識・技能や生活の知恵などを子どもたちに教えてい
ただくことにより、子どもたちの学習意欲を高める。
④
体験活動の促進(重点施策)
日常生活で自然とふれあう機会やホンモノと出会う機会が減少しているが、
「自然体験
を経験した機会が多いほど感動した体験がある」という関係が見られることから、自然
体験のみならず、青少年が心豊かに健やかに成長するうえで必要とされる、社会体験や
ボランティア活動を推進するとともに、スポーツや芸術、伝統文化に触れる機会を提供
する。
- 18 -
表4
自然体験の頻度と感動体験の有無
感動体験の有無
小5
ある
自
然
体
験
数
中2
ない
無回答
ある
ない
無回答
0個
17.1%
80.3%
2.6%
25.5%
73.2%
1.3%
1∼3個
25.4%
72.9%
1.7%
28.3%
69.8%
1.9%
4∼6個
31.4%
64.3%
4.3%
36.0%
62.5%
1.4%
7∼10個
39.9%
54.8%
5.3%
35.3%
64.7%
-
出典:平成 21 年度
神戸市における青少年・保護者の意識と行動調査(神戸市市民参画推進局青少年課)
また、国際化社会に対応できる青少年を育成するため、異なる文化や言語にふれ、違
いを認め、多文化共生についての理解を深めることを目的に、国際交流の取り組みを進
めていく。
このようなさまざまな体験活動や他者との交流、ホンモノに接する経験ができるよう、
ふれあい体験を進めていく。
【主な事業】
●自然体験プログラムの充実(市民参画推進局・教育委員会)
洞川教育キャンプ場を活用し、青少年の健全育成を目的とした自然体験プログラム
をNPOと連携して企画実施する。また、自然の家や神出自然教育園等を活用するこ
とで、小中学校における自然体験を充実する。
●環境体験事業の実施(教育委員会)
直接自然に触れる体験を通して、生命の大切さや不思議を実感し、自然を大切にす
る心情を育てる環境体験学習を全校で実施する。
●のびのびパスポート(教育委員会)
市内及び連携市町の小中学生に対し「のびのびパスポート」を発行し、教育関連施
設を無料開放する。
●スポーツイベントの開催・誘致(教育委員会)
神戸マラソンなど市民参加型のスポーツイベントを開催するとともに、国際級・全
国級のスポーツイベントの誘致を行う。
●青少年の国際交流事業の実施(市民参画推進局・教育委員会)
国際的視野と感覚を養うとともに、市民交流を深めるため、姉妹都市等の青年との
交流を行う。また、異文化交流を行うため、市内小学校の高学年児童と外国人学校児
童との交流キャンプを実施する。
●こうべ地球っ子プログラムの実施(教育委員会)
地域在住の外国人市民や留学生等との交流を通じて、異なる文化や生活習慣への理
解を深める。
- 19 -
努力目標値
指標項目
現状値
85.5%
69.1%
85.0%
63.6%
52.8%
27.7%
努力目標値
学校の体育の授業以外で運動・スポーツを
週1日以上している割合
(小 5 男)
(小 5 女)
(中 2 男)
(中 2 女)
(17 歳男)
(17 歳女)
(小 5 男)
(小 5 女)
(中 2 男)
(中 2 女)
(17 歳男)
(17 歳女)
90.0%
75.0%
90.0%
70.0%
60.0%
35.0%
朝食をほとんど食べない割合
( 小 5)
4.2%
( 中 2)
7.3%
( 17 歳 ) 13.1%
( 小 5 ) 3.0%以下
( 中 2 ) 5.0%以下
( 17 歳 ) 10.0%以下
野外活動をしたことが1年間にまったく
ない割合
( 小 5 ) 37.5%
( 中 2 ) 63.5%
( 17 歳 ) 85.6%
( 小 5 ) 30.0%
( 中 2 ) 55.0%
( 17 歳 ) 80.0%
学校で外国人の授業を受けて、外国語や外
国の文化に興味を持った割合
( 小 5 ) 54.6%
( 中 2 ) 46.5%
( 17 歳 ) 57.2%
( 小 5 ) 60.0%
( 中 2 ) 60.0%
( 17 歳 ) 60.0%
(2) 青少年の自主的活動の支援
《課題と方針》
青少年が夢を語り、挑戦することを諦めない「たくましい心」を育むためには、青少年
の持つ豊かな創造力や行動力といった健全なエネルギーを安全で安心して発揮することが
できる場や機会を提供する必要がある。自らの夢ややりたいことを見つけ、実現していく
ためのきっかけとなるような、そんな多くの場が求められている。
また、大人による一方的なサービスの提供では、青少年に満足感や達成感は生まれず、
自立した社会人に成長するための経験を得ることは少ない。豊かな時代に生まれ育ち、挫
折感を味わうことが少ない今日の青少年にとって、自らが考え、つまずきながらでもやり
遂げる経験こそが大切であり、それを多くの大人が温かく見守りサポートしていく必要が
ある。
そのために、地域・学校・行政などが連携して、青少年が活躍できる様々な場と機会を
提供していくことがこれまで以上に求められている。
《施策展開》
①
青少年の居場所づくりの推進(重点施策)
青少年が家庭や学校の他に地域での自主的な活動を通じて、自分の夢ややりたいこと
に挑戦するとともに、仲間づくりや異世代との交流を安心して行うことのできる「中高
生の活動拠点」を、各区に 1 か所整備する。それぞれの活動拠点には、利用者が気軽に
コミュニケーションをとることができるフリースペースを設けているが、バンドやダン
ス活動など青少年の多種多様なニーズにこたえるため、併設された施設や近隣の施設な
ども活用しながら、青少年の自主的な活動を支援していく。
また、乳幼児や高齢者等との異世代交流など、地域や施設の特性を生かしたソフト事
業を展開していくことで、中高生にとって魅力ある居場所を提供していく。地域で青少
年の育成に携わる人材の交流の場とするとともに、地域の祭りなどのイベントを通して、
- 20 -
中高生が地域コミュニティに参加する取り組みを充実していく。青少年の仲間づくりや
異世代との交流拠点として地域・学校・行政など様々な年代の人が運営に携わる地域に
根ざした中高生の活動拠点をめざす。
さらに、青少年が住んでいる地域に愛着を感じることのできるよう、地域の特性を生
かした魅力のある居場所づくりの取り組みを行っている地域団体の事業に対し助成を行
う。その中で、地域の方々とともに青少年自らがイベントの企画運営などに参画したり、
青少年と異世代との交流など、これまで以上に青少年の地域行事や活動への参加を促進
していく。
加えて、地域にある児童館などの施設を活用して、継続的・定期的に青少年が誰でも
利用しやすい地域による青少年の居場所づくりへの支援をさらに進める。
【主な事業】
●中高生の活動拠点整備・運営(市民参画推進局)
中高生を中心とする青少年が自由に立ち寄り、サークル活動や異世代間の交流が行
えるような居場所を各区に整備し、NPO等との連携により運営を行う。
●地域による青少年の居場所づくり事業(市民参画推進局)
地域の青少年育成団体等による中高生を中心とする青少年を対象とした居場所づく
り事業に対して助成する。
●神戸っ子のびのびひろば事業(放課後子ども教室推進事業)(教育委員会)
小学校の放課後に地域の方々の参画を得て、安全・安心な活動場所づくりを進め、子
どもたちが心豊かで健やかに育まれる環境づくりを推進する。
②
青少年の感動の場づくり
ユースプラザやユースステーションなどの施設では、多くの青少年がバンドやダンス、
演劇をはじめとした自主的な活動に熱心に取り組んでおり、日頃の活動の成果を発表す
る場として、利用者である青少年自らの企画・運営によるイベントも実施されている。
夏まつりなどの地域行事の場でも、企画・運営の段階から青少年が参画している地域も
多く見られるようになった。青少年がさまざまな活動の場に積極的に参画し、やりがい
や達成感を味わうことで、自尊感情を育むことにつながるこれらの取り組みをNPOや
地域団体等との連携により進めていくとともに、活躍している青少年の姿を広く発信し
ていくことで、その裾野を広げていく。
また、成長途上の青少年にとって、周囲の大人のサポートは不可欠であり、青少年の
発表や参画の場を提供しているNPOや地域団体等に対して、人材養成の機会を提供す
るなどの支援を行っていく。
さらに、社会性や豊かな心を育んでいくために、学校でのさまざまな体験学習や地域
との関わりをきっかけに、地域でのボランティア活動に気軽に参加しやすい仕組みを整
- 21 -
えていく。文化活動やスポーツ活動で顕著な功績のあった青少年を表彰するほか、社会
活動の分野での顕著な取り組みに対して表彰するなど、ボランティア意識の高まりを促
し、青少年自身が社会の一員であることを自覚するとともに、身近なところで社会に貢
献するための機会を提供していく。
【主な事業】
●中高生の活動拠点整備・運営(市民参画推進局)※再掲 1-(2)-①
中高生を中心とする青少年が自由に立ち寄り、サークル活動や異世代間の交流が行
えるような居場所を各区に整備し、NPO等との連携により運営を行う。
●地域による青少年の居場所づくり事業(市民参画推進局)※再掲 1-(2)-①
地域の青少年育成団体等による中高生を中心とする青少年を対象とした居場所づく
り事業に対して助成する。
●こうべユース賞(市民参画推進局)
文化・スポーツ・社会活動の各分野で顕著な功績のあった青少年を表彰する。
●神戸市スポーツ表彰(教育委員会)
神戸市のスポーツ振興に著しく寄与した者及び優秀な成績を収めた者を表彰する。
●よいおこないをした児童生徒の表彰(教育委員会)
強い意志で自己を磨き、他の範となったり、住みよい環境づくりや人のために尽く
したりするなど、よいおこないをした児童生徒を表彰することにより、自信と勇気を
与えるとともに、よいおこないを広く紹介し、児童生徒の健全な育成を図る。
努力目標値
指標項目
現状値
努力目標値
子どもの地域行事・活動への参加率
( 小 5 ) 83.6%
( 中 2 ) 65.9%
( 17 歳 ) 47.8%
( 小 5 ) 90.0%
( 中 2 ) 70.0%
( 17 歳 ) 50.0%
子どものボランティア活動への参加率
( 小 5 ) 34.2%
( 中 2 ) 32.1%
( 17 歳 ) 50.8%
( 小 5 ) 40.0%
( 中 2 ) 40.0%
( 17 歳 ) 55.0%
(3) 青少年・若者の自立支援の推進
《課題と方針》
フリーターなど就労状態の不安定な若者や、ニートと呼ばれる就業意欲の低い若者にあ
っては、その問題状況の長期化の傾向が見られる。このことは、親への依存の長期化と自
立の遅れや自身の将来に対してビジョンをもてないという点で若者にとっての大きな課題
である。また、これからの社会を支え、引っ張っていく担い手が自立に不安を抱えている
という点では社会にとっても大きな課題である。
その背景には、過去数年来の景気低迷などにより、新卒者の就職率の低下や、派遣社員
- 22 -
や契約社員などの非正規社員が増加するなど、企業側の雇用吸収力の低下が指摘される。
一方で、若者の離職率は高く、勤労観・職業観の未熟さや、基本的なマナーやコミュニ
ケーション能力など、社会人としての基本的な資質、能力の低下が指摘される。
「働く」ということは、若者がこれから社会に出て自立していくうえで非常に重要な事
である。そのため、関係行政機関や企業、民間団体等と連携し、若者の就業支援体制を整
備・充実するとともに、職業体験等をはじめとするキャリア教育を推進し、社会的・職業
的自立に向け必要な基盤となる能力や態度の育成を図る。
《施策展開》
①
若者の就業支援(重点施策)
キャリアカウンセリングや臨床心理士等による心理カウンセリングを中心に、NPO
が若者の就業支援を目的として実施している「こうべ若者サポートステーション事業」
への支援を引き続き行っていく。
また、社会との接点を持ち自信を取り戻し、働くことの意義を認識してもらえるよう、
社会体験や就労体験ができる事業を、各種団体や企業の協力のもと拡大し、若者の社会
的自立、就業への支援を行う。
さらに、若者がおかれている就業環境を踏まえ、雇用の数や場の確保について、雇用
者の理解が得られるよう経営者団体などの産業界へ働きかけていく。
【主な事業】
●青少年会館のユースサポート機能の強化(市民参画推進局)
若者の就業支援を目的として実施している「こうべ若者サポートステーション事業」
を通じて、
「ニート」など、社会に適応しにくい若者をサポートし、社会的に自立でき
るよう支援する。
●インターンシップの推進(教育委員会)
職場体験・インターンシップを全日制高校7校と定時制高校1校で行い、職業意識
の形成を図る。
●神戸ものづくり職人大学(産業振興局)
地場産業界と共同で、神戸の歴史の中で培われてきた「ものづくり」の優れた技術・
技能を後世に伝え、後継者を育成する。
●神戸ワーク・ネットワーク(産業振興局)
経済界・労働界・教育界、NPOや関係行政機関など、神戸の各界で構成する協議
会を設立し、
「神戸で働く」をテーマに連携・協力して就業支援施策を進め、神戸市域
の就業環境の向上をめざす。
- 23 -
②
キャリア教育の推進
青少年の自立に向けての意欲を育てるには、早い段階から、社会の仕組みを学ぶこと
や、職業体験等を通じて生きる力を身につけるなど、キャリア形成のための教育や取組
を進めていくことが大事である。
青少年が様々な体験活動を通じ、社会の中で働くということを実感することにより勤
労観や職業観を養うとともに、職業的自立に必要な能力を身に付け、経済的に自立して
いくことの重要性を身につけるため、各学齢期に応じたキャリア教育や職業教育を進め
ていく。
【主な事業】
●「大人・親の働く姿を見せる運動」
(教育委員会)
大人・親の働く姿を見せることによって、子どもたちの勤労観・職業観を養ってい
く。また、自社の従業員の子弟などを職場に招き、親など身近な大人の働く姿を見せ
る「子ども参観日」などの取り組みを企業・事業者に対して呼びかけていく。
●「その道の達人」に学ぶ講座(教育委員会)
夏休みなどに、音楽・美術・スポーツ・科学技術など、多様な分野のプロなどに出
会う体験講座を実施する。
●トライやる・ウィーク推進事業(教育委員会)※再掲 1-(1)-②
中学2年生全員が、農林水産体験活動等を地域と連携しながら体験することで、豊
かな感性や創造性などの育成を図る。
●小中高の発達の段階に応じたキャリア教育の推進(教育委員会)
発達の段階に応じたカリキュラムの開発など、特色あるキャリア教育を推進する。
●神戸あじさい人材育成事業(教育委員会)
高校、地元産業界などとの協働により、高校生に地元企業の魅力を知ってもらうこ
とで、地域産業を担い、神戸の活性化に寄与する人材を育成する。
③
課題を抱えた青少年・若者の自立支援(重点施策)
ニートやひきこもりをはじめとした、就労や社会とのつながりを築くことに課題を抱
える若者は、学校におけるいじめや不登校、中途退学、発達障害などのため人間関係を
うまく築けなかった経験、経済的困窮、あるいはうつ病などの精神疾患など、就業の面
だけではなく、精神的な面や学業の面など困難を抱えるに至った経緯は様々である。し
たがって、若者一人ひとりの状態や状況に応じた、きめ細かな支援が必要である。
そのため、
「こうべ若者サポートステーション事業」において、キャリアカウンセリン
グ、臨床心理士等による心理カウンセリング、訪問相談事業のほか、若者本人だけでな
くその保護者を対象にしたセミナーの実施など多方面からの支援を行う。
- 24 -
また、若者の自立支援に取り組んでいるNPOや民間団体、精神保健機関や生活保護
機関、教育機関等で構成する「こうべ若者自立支援ネットワーク会議」を通じて、各関
係機関が相互に連携を図り、次代を担う若者が、社会的自立にむけて明るい希望を抱く
ことができるよう、若者に対する自立支援体制を充実していく。
さらに、意志ある若者が経済的理由により教育を受ける機会を断念し、貧困が世代を
超えて継承されることがないよう支援していく必要がある。
【主な事業】
●「こうべ若者自立支援ネットワーク会議」の充実(市民参画推進局)
若者の自立支援に取り組んでいるNPOや民間団体、精神保健機関や生活保護機関、
教育機関等で構成しており、各団体における取り組みについての情報交換をはじめ、
団体相互の連携を密にし、若者の自立支援に取り組んでいく。
●青少年会館のユースサポート機能の強化(市民参画推進局)※再掲 1-(3)-①
若者の就業支援を目的として実施している「こうべ若者サポートステーション事業」
を通じて、
「ニート」など、社会に適応しにくい若者をサポートし、社会的に自立でき
るよう支援する。
●スクールカウンセラー(教育委員会)
中学校・高等学校及び小学校の重点校にスクールカウンセラー(臨床心理士などの
専門家)を配置する。
●適応指導教室(くすのき教室)(教育委員会)
不登校生の適応指導教室である「くすのき教室」に通級する児童生徒の学校生活へ
の復帰を支援する。
●すこやかフレンド(教育委員会)
適応指導教室(くすのき教室)に、児童生徒と年齢が近く、不登校の解消に理解と
情熱を有する大学生等を相談員として配置し、学習補助や会話など児童生徒とのふれ
あいを通して心を開き、通級や学校復帰への支援を行う。
●レッツチャレンジ学校復帰支援事業(教育委員会)
家から出て学習できない不登校児童生徒に対し、自宅のパソコンを利用して家庭で
学習できる環境を整備する。また、訪問指導(面接指導)を行うことで、信頼関係を
築き学校復帰を図る。
●ひきこもり地域支援センター「ラポール」(保健福祉局)
ひきこもりの方の自立を支援するため、①ひきこもりに特化した相談業務、②地域
の関係機関のネットワーク化、③ひきこもり支援に必要な情報提供を行う。
- 25 -
努力目標値
指標項目
将来、やりたい(就きたい)仕事がある割
合
2
現状値
(小 5 男)
(小 5 女)
(中 2 男)
(中 2 女)
(17 歳男)
(17 歳女)
79.7%
62.8%
71.4%
83.7%
65.6%
78.9%
努力目標値
(小 5 男)
(小 5 女)
(中 2 男)
(中 2 女)
(17 歳男)
(17 歳女)
85.0%
70.0%
75.0%
85.0%
75.0%
85.0%
すべての青少年が安心して過ごすことのできる環境づくり
成長途上の段階にある青少年をたくましく心豊かに育んでいくうえで、周辺の生活環境が青
少年に与える影響は非常に大きいものがある。そのために、青少年の健やかな成長を阻む有害
環境を浄化し、安全に安心して過ごせる環境づくりを確保することが重要である。
その一方で、情報化の急速な進展などにより、大人の関与の範疇を超えたところで青少年が
犯罪やトラブルに巻き込まれるケースが増加しており、青少年自らが、正しい理解と自身の身
を守る強い意志を育んでいくことが従来に増して求められている。
さらに、社会環境や家庭環境の影響で、様々なストレスを抱える青少年が増加しており、青
少年が気軽に相談できる体制を充実させていくことが重要な課題である。
(1) 青少年の安全の確保
《課題と方針》
子どもを標的にしたわいせつ行為や暴力、連れ去りなどが続発しており、子どもが安全
に安心して過ごせる地域環境づくりが重要な課題となっている。そのためには、地域と学
校、そして警察などの関係機関が協働・連携して地域防犯に取り組み、社会全体で子ども
たちを見守る必要がある。
携帯電話やパソコンなどが急速に普及し、青少年にとって身近な情報ツールとして日常
生活に必要不可欠な道具となっているが、いわゆる「学校裏サイト」やインターネット上
の掲示板などを通じて他人を誹謗・中傷するなど、青少年が加害者となる事例や、個人情
報の流出など、新たな問題が発生している。また、インターネット上に氾濫する有害サイ
トなどが関係し、青少年が事件や事故、犯罪などに巻き込まれ被害者となる事件が依然と
して多発していることから、メディアを通じて得られる情報の善悪を青少年自身が判断で
きる力を身につける必要がある。
全国の刑法犯少年の検挙人員や不良行為少年の補導人員は減少傾向にあるが、中学生に
よる大麻事件など非行の低年齢化が見られる。インターネットや携帯電話の普及により、
青少年でも大麻等の薬物の入手が容易になったと言われており、薬物が想像以上に青少年
の身近に迫ってきていることを認識し、社会全体で青少年の薬物乱用防止対策を考え取り
組んでいかなければならない。
- 26 -
また、学校においては指導不服従などの問題行動が起きている。また、問題行動の低年
齢化が進んでいることから、家庭や学校において規範意識や自己肯定感を身に付ける機会
を増やしていくとともに、地域ぐるみでの非行防止に取り組んでいく。
さらに、未成年者の性感染症感染や人工妊娠中絶のほか、喫煙や飲酒など、思春期特有
の課題への対応も必要である。
《施策展開》
①
見守り活動の推進(重点施策)
子どもたちの安全と安心を守るための具体的な取り組みとして、こども110番「青
少年を守る店・守る家」や「青少年を守る車」の運動を支援し拡大を図り、地域におけ
る子どもたちの安全体制の整備を推進していく。さらに、
「青少年を守る店・守る家」の
協力を得て、兵庫県警の「ひょうご防犯ネット」からの不審者情報などを学校の通学路
などに掲示し、黄色い旗を掲げることで地域の子どもたちに注意喚起を行う「地域みは
り番(イエローフラッグ)制度」を全市に展開していくことで、こども110番の取り
組みを拡充していく。
また、あいさつをきっかけに地域コミュニティの活性化を図るとともに、安全・安心
なまちづくりに繋げる取り組みとして「スマイルハートあいさつ運動」が全市展開され
ており、全小学校で設立されている「子ども見守り活動隊」の登下校の見守り活動や各
地域における自主的な防犯活動など、様々な活動同士の連携を図りながら、子どもたち
が安心して過ごせる地域環境づくりを推進する。
さらに学校や地域における防犯教室や安全に関する啓発活動を推進することで、子ど
もたちの危険予知能力や危機回避能力を身に付けられるような取組を進め、自分の身は
自分で守ることのできる能力を身に付けたたくましい子どもの育成を進める。
【主な事業】
●「こども110番青少年を守る店・守る家・守る車」の展開(市民参画推進局)
子どもたちが安心して安全に生活できるよう、地域で協力していただける店舗・民
家の方々、また市や民間事業者の車両に「こども110番」のステッカーを貼り、地
域が一体となって子どもたちの見守りや一時保護などを行う。
さらに、
「地域みはり番(イエローフラッグ)
」制度を広げてゆくことで、取り組み
を強化していく。
●「スマイルハートあいさつ運動」の展開(市民参画推進局)※再掲 1-(1)-②
各地域や学校で行われているあいさつ運動を広げ、地域全体で子どもたちを守り育
てる機運を高め、青少年の健全育成に取り組む。
●防犯ブザーの貸与(教育委員会)
新1年生及び転校生に防犯ブザーを貸与する。
- 27 -
●各学校園での防犯学習の充実(教育委員会)
全小中学校で、児童生徒対象の防犯教室を実施し、登下校時や外出時の注意事項、
不審者への対処法など校外での安全指導の充実に努める。
②
ネット社会・ケータイ社会への対応(重点施策)
大人が携帯電話やパソコンなどの使い方について正しい知識を身につけ、青少年に情
報メディアを有効に活用できるよう啓発していくとともに、氾濫する情報を青少年自身
が主体的・合理的に選択・判断する能力(メディアリテラシー)を身に付けさせる。
そのために、家庭における携帯電話やパソコンへのフィルタリングソフトの導入の啓
発や地域で青少年がメディアリテラシーを身につけるための学習会などの取り組みへの
支援を通して、携帯電話やパソコンを正しく利用できる青少年を育んでいくための環境
を整えていく。
【主な事業】
●青少年情報活用能力育成事業(市民参画推進局)
中高生や保護者・青少年育成者が携帯電話やパソコンによるインターネットの使い
方等についての学習会やワークショップなどの開催を支援する。
●学校園における情報モラル教育の推進(教育委員会)
子どもたちの情報活用能力の向上のため、インターネットの使い方や情報モラルの
啓発等を行う。
③
有害環境の浄化と非行・問題行動の防止
青少年を非行に導くことが憂慮される有害な環境を浄化するために、市民が地域で実
施している危険箇所パトロールや夜間パトロールなどを、警察や学校など関係機関と連
携して支援していく。
また、青少年の健全な成長に重大な害を及ぼす大麻や違法ドラッグ、MDMA(錠剤
型合成麻薬)などの薬物の乱用や性の逸脱行為などの問題行動を防止することは社会の
使命であり、そのために、社会が総がかりとなって啓発活動を進め、青少年の規範意識
の醸成に取り組み、誘惑に負けない強い意思を持った青少年を育んでいく。
【主な事業】
●有害環境浄化対策の推進(市民参画推進局)
青少年を取り巻く有害環境の現状や環境浄化の必要性等について幅広く啓発すると
ともに、青少協をはじめとする地域の方々とともに地域ぐるみの環境浄化運動を積極
的に展開する。
●薬物乱用防止対策の地域啓発(保健福祉局)
青少年の薬物乱用防止のため、キャンペーンによる啓発や、学校や地域における講
習会などを開催するとともに、地域で実施される薬物乱用防止教室やイベントへの職
- 28 -
員の派遣、啓発資材の提供を行う。
●生徒指導の充実(教育委員会)
児童生徒の事故・非行防止に努め、健全育成の充実及び地域の核となる学校づくり
の推進を図る。
●青少年非行化防止対策事業(教育委員会)
市内 15 中学校を重点推進校として青少年の薬物乱用防止対策に取り組む。また、
すべての小中学校を対象に夏季に地区別研修会を実施し、いじめと不登校についての
研修を行う。
④
健康教育の推進
若年での妊娠や中絶が女性の体に与えるリスクは大きい。また、各種メディアを通じ
て性に関する情報を容易に手に入れることができるため、ゆがんだ性知識が植え込まれ
る危険性がある。そのため、それぞれの性を尊重し、相手への思いやリや命の大切さに
ついて適切な判断ができるよう、発達段階に応じた性教育の充実をはかるとともに、思
春期の性の悩みについて青少年自身が気軽に安心して相談できる体制や、保護者が適切
に対応できるように情報提供の充実に努める。
また、心の健康に関する知識、たばこや薬物等に関する知識について、学校における
健康教育の充実と推進を図る。
【主な事業】
●思春期ヘルスケア事業(保健福祉局)
中学生を対象に助産師や医師が学校に出向き、命の尊さや性感染症などについて講
義するなど、思春期世代を対象に正しい知識の普及啓発を図るとともに、健全な自尊
心を育てる。
●思春期ピアカウンセリング(保健福祉局)
高校生を対象に、
「生と性」の自己決定力を養うため、少人数によるカウンセリング
を行う。
●エイズ・性感染症の教育啓発(保健福祉局)
エイズと性感染症予防啓発冊子を配布する。
●学校保健事業と健康診断の実施(教育委員会)※再掲 1-(1)-①
学校保健安全法に基づき、学校保健指導並びに児童生徒の健康診断の実施及び日本
スポーツ振興センターへの加入等により、児童生徒の健康及び安全の保持増進を図る。
- 29 -
努力目標値
指標項目
現状値
57.3%
40.6%
努力目標値
こども 110 番「青少年を守る店・家」を
知っている割合
( 小 5)
( 中 2)
( 小 5 ) 65.0%
( 中 2 ) 45.0%
フィルタリング機能を利用している割合
(小 5 保護者)67.7%
(中 2 保護者)57.3%
(小 5 保護者)75.0%
(中 2 保護者)65.0%
薬物乱用・非行防止教室を実施している割
合
(中学校)100.0%
(中学校) 100.0%
(2) 青少年に関する相談窓口の充実
《課題と方針》
現代社会は、少子化や核家族化、共働き家庭の増加などの家庭環境の変化に加え、情報
化社会の進展など、青少年にとってストレスとなる要因を多く抱えている。加えて、人間
関係をつくるのが難しい環境の中で育っている青少年にとって、メールやインターネット
を通じたコミュニケーションが主体となりつつあることも、その要因のひとつであると考
えられる。家庭での団らんにより悩みを解決していくことがもっとも大切なことではある
が、あわせて青少年の悩みを解決していくさまざまな相談窓口を設けることが必要である。
また、保護者にとっても、核家族化などの影響により、身近なところで子育ての悩みを
相談できる環境が十分ではなく、気軽に相談できる窓口がますます必要とされている。
《施策展開》
相談体制の充実
青少年が気軽に悩みを相談できるように、民間の相談機関とともに相談窓口を提供する。
特に青少年に年齢の近い、気軽に相談できる相手が必要とされていることから、ピアカウ
ンセリングを実施していく。
また、ひきこもりやいじめ、不登校など、青少年の抱えるさまざまな問題について、保
護者が早い段階で気軽に相談できるように、各種相談窓口を提供するとともに、スクール
カウンセラーの活用を図る。さらに、増加傾向にある児童虐待の早期発見・早期対応を図
るため、子ども家庭センターと警察との連携強化を行う。
加えて、ドメスティック・バイオレンス(DV)による被害が増加しているが、これは
配偶者間だけでなく、交際中の若者間でも起きている大きな人権問題であり、青少年を将
来のDV被害者や加害者にさせないために、DVについての理解を深めていく啓発事業を
推進していく。
【主な事業】
●ピアカウンセリング「ティーンズテレフォン」(市民参画推進局)
青少年が気軽に相談できる場として、臨床心理学などを専攻している大学院生の協
力を得て、電話相談を実施する。
- 30 -
●ひきこもり地域支援センター(保健福祉局)※再掲 1-(3)-③
ひきこもりの方の自立を支援するため、①ひきこもりに特化した相談業務、②地域
の関係機関のネットワーク化、③ひきこもり支援に必要な情報提供を行う。
●いじめホットライン(教育委員会)
「いじめ」および「いじめが一因と考えられる自殺等」の早期発見・早期対応を目
的として、昼間のみならず、夜間・休日にも直接的な対応ができるように双方向の通
信(電話)による相談体制を整備する。直接的に教師や学校に相談しにくい場合を想
定して、専門の相談員が対応できる体制を敷いている。
●DV予防啓発事業(市民参画推進局・教育委員会)
高校生を中心とした若者に対する「デート DV」防止プログラムを実施する。
●心のSOSキャッチ学校支援事業(教育委員会)
精神科医等で構成するチームが学校に出向き、教職員を対象として、不適応行動の
ある児童生徒についてのコンサルテーションを行い、教職員の指導に役立てる。
努力目標値
指標項目
悩みの相談相手のいる割合
3
現状値
( 小 5 ) 84.3%
( 中 2 ) 80.1%
( 17 歳 ) 85.1%
努力目標値
( 小 5 ) 90.0%
( 中 2 ) 90.0%
( 17 歳 ) 90.0%
すべての市民で青少年を育む環境づくり
子どもたちは、次代の親となり未来を担っていく、かけがえのない存在であり、子どもの健
やかな成長を支えることは、社会全体の未来への責任である。
地域は、子どもが日々を過ごし成長していく中で、さまざまな他者とのふれあいの場として
重要な役割を担っている。そのため、地域の大人が子どもに関心をもち、見守っていく環境づ
くりが必要とされている。
また、学校は、子どもが多くの時間を過ごす学習の場であるとともに、社会性を育む場とし
ても重要な役割を担っている。地域全体が学校に積極的にかかわっていく環境づくりが必要で
ある。
家庭を取り巻く地域社会、さらに神戸のまち全体が、子どもと子育て家庭をしっかりと支え、
子どもたちが夢と希望をもって健やかに成長していくことができるよう、すべての市民で青少
年を育む環境づくりをすすめる。
- 31 -
(1) 家庭の教育環境の整備
《課題と方針》
子どもが自立した大人となるための第一歩は、まず家庭からはじまる。家庭は、善悪の
判断や他人に対する思いやり、いのちを大切にする気持ち、感謝の心、あいさつなど、人
として生きていくうえで最低限のルールを学ぶ場であるとともに、子どもの人格形成に大
きな影響を与える。
「青少年・保護者の意識と行動調査」の結果からも、保護者からあいさつをきちんとす
るよう言われている頻度が高いほど、あいさつをする割合が高い傾向を示すなど、保護者
の子どもへの関与の状況と子どもの行動には関係が見られる(P7―表1参照)。
また、保護者が地域行事に参加したことがある子どもほど、地域活動への参加状況が高
くなるなど、保護者の行動と子どもの行動にも関係が見られる。
しかしながら、少子化や共稼ぎ家庭の増加などの家族形態の変化により、子どもたちが
家族との関わりの中で基本的な生活習慣や生活能力、社会性を自然に身につけることが難
しくなっている。
子どもに基本的な生活習慣や倫理観を身につけさせるためには、まず大人が自らを振り
返り、子どもの鏡としての行動をとることが大切である。そのうえで、子どもに対して「物
事の善し悪し」や「社会の常識」をきちんと伝え、いかに子どもをしつけていくかを考え、
行動することが求められる。そのためには、日頃から子どもに愛情をもって接し、互いの
コミュニケーションを確立しておくことが必要である。
《施策展開》
家庭の教育環境の整備
子どもにとって初めて接する大人は親であり、親をはじめとした、周囲の大人を見て子
どもは育つということを大人自身が自覚し、家庭における教育の重要性について十分認識
する必要がある。子どもを取り巻く生活環境が大きく変化している中、
「あいさつ」や「お
手伝い」といった子どもと親のコミュニケーションをより多くの市民に広めていく取り組
みが大切であり、これらを通じて、子どもたちに倫理観や規範意識を身につけさせるため
の取り組みを進める。
また、ワークライフバランスの推進など、男性も女性も働きやすい職場作りに向けて、
積極的な取り組みを行っていくとともに、「おやじの会」(父親の会)の情報交換会を開
催するなど情報発信することによって、父親が学校教育や家庭教育に積極的に参加するよ
う、父親の子育て参加の啓発を図る。
さらに、子育てをする中での孤立化を防ぎ、家庭内での問題を抱え込まないようにする
ため、親の悩みや不安を分かち合う機会や、子育て教室の開催や各種サークルの情報提供
など、気軽に相談できる環境整備を行う。
- 32 -
あわせて、ひとり親家庭の児童、要保護児童などの健全な育成のため、養育支援を必要
とする子どもたちの自立を促し、子どもとその家族に対する支援の充実、社会的養護体制
の充実に努める。
【主な事業】
●子どもの手伝いを推進する市民運動(神戸っ子手伝い隊プロジェクト)の推進
(市民参画推進局)※再掲 1-(1)-②
家庭や地域における子どもたちの「手伝い」を励行することにより、家族や地位の
大人とのふれあいの中で子どものコミュニケーション能力や自尊感情を育み、将来の
社会的自立への足がかりとする。
●「スマイルハートあいさつ運動」の展開(市民参画推進局)※再掲 1-(1)-②
各地域や学校で行われているあいさつ運動を広げ、地域全体で子どもたちを育てる
機運を高め、青少年の健全育成に取り組む。
●子育て支援室の充実(保健福祉局)
児童虐待に関する相談や、子育ての悩みや子どもへの対応に困難を感じている保護
者の相談に保健師などの専門相談員が対応する。
●家庭教育支援事業(教育委員会)
家庭教育の充実や子どもの健やかな成長を育む環境を形成するため、啓発冊子「神
戸っ子育て∼もうすぐ1年生」の発行や就学前検診等の機会を利用した講演会、小学
校高学年の保護者を対象にした思春期セミナーなどを実施する。
●キャンペーン「家族が熱い一週間」
(教育委員会)
すべての教育の出発点である家庭教育に焦点をあて、家族の絆を深め、家族を見つ
め直すきっかけづくりとなることを目的に「8月の第1週を中心とした夏休み期間」
と国の「家族の週間」を重点期間にキャンペーンを展開する。
●おやじの会への支援(教育委員会)
「父親が学校教育や家庭教育に積極的に参加しよう」という目的で結成された「お
やじの会」
(父親の会)の情報交換会の開催を支援し、取り組みを広く発信する。
努力目標値
指標項目
現状値
努力目標値
父親と
( 小 5 ) 68.7%
( 中 2 ) 54.3%
( 17 歳 ) 55.6%
( 小 5 ) 75.0%
( 中 2 ) 60.0%
( 17 歳 ) 60.0%
母親と
( 小 5 ) 91.1%
( 中 2 ) 84.6%
( 17 歳 ) 86.4%
( 小 5 ) 95.0%
( 中 2 ) 90.0%
( 17 歳 ) 90.0%
家の人と話をよくする割合
子どもにあいさつをするよう言っている
割合
( 小5保護者 )79.3%
( 中2保護者 )69.8%
- 33 -
( 小5保護者 ) 85.0%
( 中2保護者 )75.0%
指標項目
家で手伝いをしている割合
現状値
( 小 5 ) 91.7%
( 中 2 ) 85.0%
( 17 歳 ) 76.3%
努力目標値
( 小 5 ) 95.0%
( 中 2 ) 90.0%
( 17 歳 ) 80.0%
(2) 家庭・学校・地域の協働・連携の強化
《課題と方針》
家庭・地域・社会の変化として共通して言えることは、「人と人とのつながりの希薄化」
であると考えられ、情報化に伴うコミュニケーションの変化、核家族化の進展など、ライ
フスタイルや価値観の多様化などにより、世代を超えてゆるやかに進行してきている。
青少年を健全に育んでいくためには、市民一人ひとりが青少年に関心を持ち、家庭・学
校・地域がそれぞれの教育的役割を今一度見直し、それぞれが補完しあいながら取り組ん
でいく必要がある。
そのために、家庭だけでなく地域団体や関係機関が学校と子どもたちに関する情報を共
有し、信頼関係を構築し、協働・連携しながら、子どもたちに関する様々な課題や問題に
対処して行くことが必要である。
《施策展開》
協働・連携の強化(重点施策)
地域人材の確保や、児童館などの地域施設や学校施設等を活用することにより、地域全
体で青少年の健全育成に取り組んでいく機運の醸成を図る。
また、市民全体で青少年を健全に育むため、概ね小学校区ごとに組織された青少年育成
協議会支部が中心となって取り組んでいるスマイルハートあいさつ運動や、こども110
番訪問活動など、家庭や地域、学校との連携を深め、こどもの安全確保に取り組んでいく。
さらに、神戸総合型地域スポーツクラブ、神戸っ子のびのびひろば事業(放課後子ども
教室推進事業)などを、保護者をはじめ地域の人々が主体的若しくは協働により実施する
ことで、家庭や地域との連携をより一層深め、ともに青少年のすこやかな成長を見守る環
境づくりに努める。
【主な事業】
●青少年育成地域活動の充実(市民参画推進局)
地区青少年育成協議会及び概ね小学校区単位に設置された青少年育成協議会支部を
中心に、青少年の健全育成を目的とした地域活動を展開する。
●ファミリーサポートセンターの運営(保健福祉局)
子育て中の人が仕事や急な用事などで子どもの世話ができない時に、地域の人が応
援する会員同士の相互援助活動として実施する。
- 34 -
●ゲストティーチャー・市民専門講師制度(教育委員会)※再掲 1-(1)-③
地域の人材を招き、専門的な知識・技能や生活の知恵などを子どもたちに教えてい
ただくことにより、子どもたちの学習意欲を高める。
●ふれあい懇話会(教育委員会)
児童生徒の健全育成を図るため、全中学校区単位で、小学校・中学校・地域関係者
によるふれあい懇話会を運営する。
●すこやかタウン協議会(教育委員会)
大型集客施設を中心とした複数校区にまたがる問題解決を図るため、すこやかタウ
ン協議会を運営する。
●学校支援地域本部事業(教育委員会)
子どもたちへのより良い教育環境の提供、健全育成を目的に、家庭・学校・地域が
連携し、学習、部活動、学校行事等を地域ぐるみで支援する「学校応援団」づくりを
支援する。
●教育・地域連携センター事業(教育委員会)
子どもたちにより良い教育環境を提供するために、教員 OB や学生等の支援員によ
る人材バンクを設け、市内の学校が必要とする支援ニーズに対応できる支援員を紹介
する。
努力目標値
指標項目
学校の授業や学校行事に協力している割
合
現状値
(保護者)
(市民)
- 35 -
18.8%
11.3%
努力目標値
(保護者) 25.0%
( 市 民 ) 15.0%
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