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2005年8月号掲載企業 ㈲藍や 創 業 2001年 6 月 を利用後に返却しに行くのは、お 資 本 金 300万円 従業者数 開業時 6 人→現在13人 事業内容 貸衣装店 所 在 地 福岡県福岡市中央区渡辺通 2-9-20 天神ロゼア 2 階 代表取締役 加藤 純 3回 第 電話番号 092 (739) 8722 U R L http://www.aiya-fukuoka.com 追随者との競争 総合研究所 主席研究員 村上 義昭 以外には広告を打っていない。広 おっ くう 客にとって億劫なはずだと考えて 告に費用をかける代わりに、知恵 思い付いたアイデアだ。ゆかたを を絞って次々に新しいサービスを レンタルするときに、お客に専用 企画したり、新機軸を打ち出した の返却袋を一緒に渡す。利用後、 りしているのだ。その結果、同社 お客は返却袋にゆかたを入れて は追随者に対して差別化を図って コンビニの店頭で返却すると、着 いる。たとえ同社の取り組みが模 払いで同社に配送されるという 倣されたとしても、そのころには 仕組みだ。ヤマト運輸にとっても、 同社の取り組みは、さらに一歩先 ある程度数がまとまるので、メリッ を進んだものになっている。 トがある。 卒業式用の衣装についても新し 創業直後に企業が直面する最初 装は高額なレンタル在庫を抱えな の問題は、顧客の開拓が思うよう ければならない。また、成人式の に進まないことである。新規性が 振袖は高額なうえに年に一度しか 強い事業の場合はなおさらだ。や レンタルできない。いずれも、資 同社の経営が軌道に乗り始める がて顧客開拓に成功し、事業とし 金の乏しい新規開業企業には勝ち と、やがて追随者が登場するよう て成り立つようになると新たな問 目がなかった。そこで、単価が安 になった。とくにここ 3 ∼ 4 年は、 題が生じる。同業者などに模倣さ く、成人式よりは需要が分散して れ、競争が激しくなることだ。 新たな試み 太宰府天満宮で行われた花嫁行列 い工夫を凝らしている。店員に気 毎年新しいサービスを 兼ねすることなく、手軽にたくさん 2008年、同社は神社での結婚式 ていた花嫁行列を調べ、企画を立 の衣装を比較してお気に入りの を手配する新事業を開始した。手 案した。そして、太宰府の新しい 衣装を選びたいというお客のニー 配する神社は、太宰府天満宮など、 観光名物になるはずだとアピール ズに応えた工夫である。 主として県内の神社である。婚礼 して、太宰府天満宮や太宰府観光 ホームページ(HP)上にすべて 衣装のレンタルに加え、挙式や披 協会などの関係者から了解を取り 低価格を売り物にしてゆかたを の衣装の写真を掲載し、写真をク 露宴、写真撮影などをセットにし 付けた。 いる卒業式用の衣装に着目したの レンタルする業者が増えていると リックすると、大きな画像ととも たプランもある。 ㈲藍やは成長初期に訪れる、追 だ。また、ゆかたは安価でレンタ いう。これらの追随者に対抗する に予約状況が分かるカレンダーが さらに、太宰府天満宮で結婚式 地元のテレビや新聞などに取り上 随者との競争という問題をいかに ルには向いていないといわれてい ために、加藤社長は毎年何か新し 表示されるという仕組みだ。同社 を挙げるカップル向けに、「花嫁 げられたこともあり、次第に申し して克服し、成長の扉を開こうと たが、若い女性の間でブームになっ いサービスを付加することを自ら の店舗に足を運ばなくても、多く 行列プラン」を企画した。これは、 込みが増えてきた。いまのところ 2008年秋に始めた花嫁行列は、 ちょう ちん しているのだろうか。 ていることに目を付けて扱うこと の衣装を見比べることができる。 長持ち唄が流れるなか、 提 灯 を は月に 1 回のペースだが、これを 例えば、2006年には、ゆかたを そして気に入った衣装が見つかれ 持った父親を先頭に、花婿・花嫁 週に 1 回にするのが目標だ。 このようにレンタル商品に特徴 レンタルした人に下駄をプレゼン ば、予約状況を確認し、HPから が両親や親族とともにゆっくりと 「いつつぶれてもおかしくない を打ち出したものの、創業当初は トした。従来は下駄もレンタルし 仮予約も行えるようにした。正式 約200メートルの参道を練り歩く、 ほど小さな企業だから、同業の大 ㈲藍やは福岡市で貸衣装店を営 売上不振に苦しんだ。このため、 ていたが、下駄は消耗しやすいう の予約ではなく仮予約としている 挙式前のお披露目である。途中で 手と同じことをしていては成り立 む企業である。加藤社長が創業時 顧客を開拓するためにさまざまな えに素足に履くものなので、レン のは、実際に試着してみないと似 お酒などを振る舞い、参道の参拝 たない。だからこそお客のニーズ に検討したのは、いかにして事業 取り組みを試行した。 タルにはなじみにくい。ならば新 合うかどうか分からないという不 客からもお祝いの言葉をかけられ を探り、それにどのような工夫で 品をプレゼントすればよいと考え 安を解消するためだ。 る。結婚する二人には一生の思い 応えていくのかを考えなければな 同業者が力を入れていない分野で 創業 に特徴を打ち出すかだった。婚礼 にした。 やがて、短大、大学の近くに立 に課した。 やき ぎり 需要の低迷などによって業界内の 地する美容院で卒業式用の衣装の たのだ。丈夫で軽い焼桐の下駄を 婚礼衣装や成人式の振袖を中心 出になる。同社は婚礼衣装をレン らない」。そう語る加藤社長の頭 競争が激しかったからだ。熟考の 展示会を開催する取り組みが功を 中国の工場に発注したので、費用 にレンタルする一般の貸衣装店 タルするだけでは与えられない満 のなかには、次の一手が準備され 末に、卒業式用の衣装とゆかたを 奏して、次第に顧客を獲得できる を抑えることができた。 は、豪華なパンフレットやカタロ 足感や感動を提供しているのだ。 ているに違いない。 主力商品としてレンタルすること ようになった。ゆかたをレンタル また2007年からは、ヤマト運輸 グを作ったり、ダイレクトメール この企画は加藤社長が 5 年近く 景気が悪い、競争が激しいと嘆 にした。同業者があまり力を入れ したお客が、卒業式用の衣装も同 と提携して、レンタル後のゆかた を送ったりと、広告に大きな費用 温めていたものである。民俗学の くだけでは問題は解決しない。知 ていなかった分野だ。 社からレンタルするという流れも をコンビニエンスストアで返却で をかけている。それに対して同社 資料をひもといたり、お年寄りの 恵を絞り、試行錯誤することが重 生まれてきた。 きるようにした。レンタルした物 は、加藤社長自らが制作するHP 話を聞いたりして、かつて行われ 要だ。そこから成長は始まる。 同業者が主力としていた婚礼衣 26 日本政策金融公庫 調査月報 September 2009 No.012 日本政策金融公庫 調査月報 September 2009 No.012 27