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市民参加による切り捨て間伐材の利活用モデルづくり
【平成 26 年度「環境 NPO 助成」活動報告】 活動テーマ 市民参加による切り捨て間伐材の利活用モデルづくり 特定非営利活動法人 日本森林ボランティア協会 理事長 滝口敏行 (担当 理事 小橋宏充) http://www.npomori.jp <助成活動の目的> かつて日本の暮らしのなかでは国産の木材が、建物や家具など住まいの分野で大切に使 われていた。近年になって利便性の高い輸入材や化成品にとって代わられたことで、日本 の林業や小規模な製材業は衰退著しい。間伐材は搬出や製材など製品化にあたって、様々 な専門性やコストが必要となる。国産材価格が低迷したままの今日では、その多くは山中 に「切り捨て」にされてしまう。現在では製材業は集約型産業となり、加工に手間のかか る国産の間伐材が建材や家具材などとして消費される機会は少なくなった。 一方で都市近郊において里山林や人工林で除間伐などの森林整備作業をする「森林ボラ ンティア」は近年相応数となった。彼らは経験年数を積むとチェーンソーなどの動力機械 を使うようになる。森林ボランティアでも「ポータブルウィンチ」を使った比較的簡易な 丸太の移動や「移動製材機」を使っての丸太から半製品への加工は可能である。但し現状 ここまでの工程が行える森林ボランティア団体は、全国でも数少ない。 国産材の利用が活発になり森林整備が進むことは、中山間地振興や生物多様性の向上な ど様々な効果がある。市民ボランティアが主体となっての川上(間伐作業)と川下(丸太 や板材の利用)が連携し、森林の恵みとしての間伐材の、今日的な利活用の可能性を探り 検証することが、本活動の目的である。 <実施内容> 1)ポータブルウィンチによる間伐材の移動作業 本助成により購入したポータブルウィンチを使って、間伐材の搬出作業を実施した。山 中の斜面地で間伐した木材はこのウィンチを使っておよそ 80 メートルの距離を移動させる ことが出来る。 2)間伐材の製材 間伐材を製材し新たなユーザーを探るケーススタディのために、当協会で間伐整備した 兵庫県丹波市立進修小学校の学校林の材木を譲り受け、松原木材㈱(大阪府泉佐野市)で 製材を行った。 進修小学校では、毎年 3 年生が学校林を遠足で訪れている。間伐整備後は児童による広 葉樹の植林が実施されている。今般製材した木材を使ってベンチを作成、寄贈した。 3)他団体との連携による間伐材利用の普及啓発・試行 NPO 法人木育フォーラム(大阪市住之江区)と連携して、デパート(阿倍野ハルカス縁 活プログラム)や DIY 工具専門店(DIY FACTORY OSAKA)の催事に出展し、間伐材利 用の理解促進を図った。 NPO 法人 FC 岸和田(大阪府岸和田市)と連携して、中学生に間伐(川上)から製材・ 木工(川下)まで体験の機会を提供した。木工ではミニまな板とクラブで使うテーブルを 作成した。 (大阪府泉佐野市 間伐:意賀美神社・製材 木工:松原木材) 4)DIY リフォームでの活用 現状では国産材の用途の多くは住宅関連である。DIY リフォーム(大阪市住之江区 施主 20 代男性・団体職員)での床材張替を行った。 5)雪害木の活用 国産材が切り出されるまでの数十年の育林の間には、雪害や風害で曲がり製品価値がつ かなくなるリスクもある。NPO 法人 Co.to.hana(大阪市住之江区)が運営する北加賀屋み んなのうえんの菜園整備に雪害木を移送し、土留めに活用した。 <感想・今後の課題> 国産材価格が低迷するなかで、木材関係者は技術やこだわりを維持した製品づくりを努 力されていた。市民活ボランティアでこの分野に取り組んでも、金銭面に大きな余地はな いだろう。また国産材を一般に流通する製品に加工するにあたっての歩留まりの低さは、 今回の活動で改めて実感した。川上側にいる森林ボランティアとしては、今後は歩留まり にも意識を向けて、川下側で反りや割れを理解したうえで間伐材を利活用いただけるユー ザーとつながる機会を積極的につくっていきたいと考えている。