Comments
Description
Transcript
1. 講義の学習内容: 国際経済学で何を学べるか?
1. 講義の学習内容: 国際経済学で何を学べるか? □到達目標(1) 1.国内経済と国際経済の違いを人に説明することができる。 2.近代経済学の分析手法と国際経済学の位置づけを人に 説明できる。 3.この講義のおおよその内容を人に説明できる。 1.講義の学習内容 1-1.国際経済学の内容 目的:国境を越えたさまざまな経済活動(貿易・資金 移動・人の移動・多国籍企業などの動き)に関する経 済問題を分析すること。 1.講義の学習内容 1-1.国際経済学の内容 Adam Smith: “この分業は,…人間の本性のなかにある一定の性向,つま りある物を他の物と取引し…,交換するという性向の,緩 慢ではあるが必然的な帰結なのである。 …それは,すべての人間に共通するものであり、他のどんな 動物にもみられないものである。” ☞ 国際経済学の対象は,主権国家間の経済関係から生 まれる特有の事象によって引き起こされる問題。 前期のキーワード:貿易利益,貿易パターン,認められる貿 易水準(所得分配上,政治上の問題) 貿易の利益(日本ではTPPの議論) クルーグマン “国際経済学全体を通じて理解すべき最も重要な唯一の点 は,貿易の利益が存在するということ,つまり,各国が相互に 財・サービスを売れば,この取引は殆ど必ずお互いに利益に なる” *(TPP)自国の経済を国際市場に開放すると自国産業が競争 に勝てないと考えるため開放すべきではない ⇔ 技術に優れ,労働者が高い賃金を得ている国の人々は, 低賃金の低開発国との貿易によって,自分たちの生活水準 が引き下げられるのを恐れることが多い。 ☞ リカードやへクシャー=オリーンはこれを真っ向から否定。 “国全体としては,国際貿易から必ず利益を受ける”しかし,“国 際貿易は国内の特定の集団に損害をもたらす可能性は十分 にある” 貿易パターン 何が国際取引の方向を決めているか? 主要な決定要因 1.貿易参加国の技術水準(リカード) 2.資源賦存量(ヘクシャー=オリーン) 認められる貿易水準 国際経済学に一貫している唯一の使命: “保護主義政策の影響を分析すること,結果は,ほとんど が保護主義を批判し,より自由な国際貿易のメリットを示 すこととなる。” 保護主義 1929年世界恐慌後 世界各国は、他国の輸出機会を抑え,自国の保護へ 出所:通商白書2009 1.講義の学習内容 1-2.国際経済学の位置付け (近代)経済学 マクロ経済学 ミクロ経済学 ・家計・企業・政府の ・GDPの決定 行動 ・政府支出のGDPへの影響 ・失業率、インフレ率の ・市場(完全競争・ 決定 不完全競争)の働き ・経済成長の決定 応用経済学 公共経済学、国際経済学、 国際金融論、金融論、財政学、 ゲーム理論、医療経済学 など 1.講義の学習内容 1-1.国際経済学の内容 目的:国境を越えたさまざまな経済活動(貿易・投資・資 金移動・人の移動・多国籍企業などの動き)に関する経済 問題を分析すること。 ・(ミクロ経済学的視点)貿易パターンの決定、国際的な 資源配分、関税・規制および割り当て等の貿易政策の影響 → 消費者、企業、政府の行動に焦点 ・(マクロ経済学的視点)国際的関連の中での国民所得の 決定とその変動・成長問題、インフレや景気の国際的波及 問題、金融・財政政策の国際的波及と政策協調問題 → GDPや経済成長率に焦点 ・(双方からの視点)環境破壊問題、枯渇性資源問題、 国際間の所得不平等問題など 1.講義の学習内容 1-3.経済学における分析の方法 1.(データの)観察の実行 ・現実データを見て、そのパターンを観察する。 いまし 2.仮説の構築 現実データを説明する予測モデルを構築する (規範的分析)。 3.仮説の結果とデータの整合性の検証 モデルが現実データを説明しているかを検証す る(実証的分析)。 1.講義の学習内容 1-4.講義の達成目標 (1)国際経済取引の推移をデータから確認し、日本における 国際取引の重要性を説明できる(規範的分析のため知識 の習得)。 (2)国際経済取引の理論的な分析ツールを手に入れ,自分 で国際経済取引の現状を理論的に説明できるようにな る。 (規範的分析) 【紹介するモデル】: リカード・モデル,へクシャー=オリーン・モデル, 部分均衡モデル 補.講義の受け方 A.ノートの取り方: 1.資料は後に示すURL上からダウンロードすること。 (ノート左側に貼り,右側は自分のメモ用にする。) 2.講義のスライドは“基本的に”配布資料と同じだが, (1)直感的説明のために見せるだけのものと(2)書いてもら うために何も示していないもの,の2種類がある。 B.授業の復習の仕方: (必ずしなければならないこと) ・講義で学んだことを,一度,帰りの電車または講義の休 憩時間に誰かに対して自分で全く同じように話してみるこ と。 (出来れば・・・)より簡単な言葉で言い換えてみる。 補.講義の受け方 C.資料のダウンロード: 資料は、各自“やむを得ない事情を除き自宅で”ダウン ロードして持参すること (情報処理センターを使うと,紙がなくなったり,それ 以外の目的で使いたい人が使えなくなります)。 ダウンロード先: (1)Googleで “TGU international economics” 検索するか (2)直接アドレスを打ち込む http://www.geocities.jp/tsu_shinozaki/ 2.日本と国際経済の関係: 日本は世界と何を取引しているか? □ 到達目標(2) 日本の近年の輸出入総額・主要品目を解説できる。 2.国内経済と国際経済 統計資料による日本の貿易 モノの流れ(貿易) 【問題意識】: “日本は、① どれだけの額を,② どこの国と, ③ 何(の財)を, 取引しているのか?“ 表1. 日本の輸出入額(①の答え) → 表2,表3. 日本の貿易相手国(②の答え) → 表2,表3. 日本の主要輸出入品の推移(③の答え) → 近年の貿易額 日本貿易額の推移(兆) 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 輸出 輸入 表2.品目別輸出額の推移 ⇒ 製造に技術が必要な財を中国へ,輸送機器 (出所:財務省貿易統計) はアメリカへ輸出 表3.品目別輸入額の推移 ⇒ 製造に技術が必要ではないものや,日本で製 造が難しい財を中東&中国から輸入 (出所:財務省貿易統計) 2.国内経済と国際経済 統計資料による日本の貿易 モノの流れ(貿易) 【問題意識】: “日本は、① どれだけの額を,② どこの国と, ③ 何(の財)を, 取引しているのか?“ 表1. 日本の輸出入額(①の答え) → 輸出65兆円,輸入68兆円 表2,表3. 日本の貿易相手国(②の答え) → 輸出:“アメリカ”と“中国”,輸入:“中東”と“中国” 表2,表3. 日本の主要輸出入品の推移(③の答え) → 輸出:“機械機器”,輸入:“原料”と“食料” 参考図書の紹介 □参考図書 【データ編】 (1)通商白書 経済産業省 (2)財務省貿易統計(ホームページ) 【理論(規範的分析)編】 (1)大川昌幸(2005) “コア・テキスト “国際経済学” 新世社 (2)多和田眞・近藤健児(2007) “国際経済学の基礎「100項目」” 創成社 (3)石川城太,菊地徹,椋寛 “国際経済学をつかむ”有斐閣 (4)クルーグマン,オブストフェルト “国際経済学 理論と政策” ピアソン メールでの質問方法 e-mail: [email protected] へメー ルをる。 *名前、学年、学籍番号は必須。 【注意】 1.宛先と差出人の名前は最低限書くこと。携帯メー ルのような書き方に対しては書き直しをしてもらう。 2.講義に対する文句は,悪意がなければ歓迎。 3.テスト前のメールは禁止。