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GNSS最新動向 (ICGにおける議論の紹介)

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GNSS最新動向 (ICGにおける議論の紹介)
準天頂衛星プロジェクトと
海外のとりまく状況
第5回 衛星測位と地理空間情報フォーラム
2009.5.14
@新経団連会館
JAXA QZSS プロジェクトマネージャ.
寺田 弘慈
講演内容
 準天頂衛星システムの概要
 準天頂測位衛星初号機の概要
 測位ミッション塔載機器の概要
 地上システムの概要
 開発計画と技術実証計画
 各国の測位衛星システムの状況
 国連の委員会(ICG)における議論
 アジア太平洋地域における協力
1
準天頂衛星システムの概要
第2段階では、3機の衛星を、軌道面の異なる傾斜軌道に配置し、
日本上空で、いつでも最低1機の準天頂衛星が高い仰角で観測可能。
第1段階では、1機の衛星により、技術実証・利用実証を行う。
準天頂衛星の軌道上配置
2
準天頂測位衛星初号機の概要
項目
諸
元
外観形状
箱型(左図)
質量
約4トン(ドライ質量約1.8トン)
発生電力
約5kW
姿勢
三軸安定
測位アンテナを地心方向指向
測位用信号等
測位信号:GPS互換信号+独自信号
時刻比較:Ku帯
寿命
10年(バッテリ、太陽電池、推薬:12年)
軌道
準天頂軌道
(軌道傾斜角:約45度、離心率:約0.1、周期:
23時間56分、軌道長半径:約42,000km)
打上げロケット H-IIAロケット
3
測位ミッション搭載機器の概要
搬送波
測位信号
時刻比較信号
JAXA機器
NICT機器
レーザリフレクタ
時刻比較装置
フライトモデル
Rb
原子
時計
時刻
制御
ユニット
測位システム搭載系フライトモデル
シンセ
サイザ
←周波数制御
位相誤差→
TTCサブシステム
テレコマ
航法MSG
搭載
制御
計算機
変調器
航法MSG,
PRNコード
L1-SAIF
ANT
増幅器
合波器
アップロードデータ
時刻
比較
装置
L-ANT
高周波部
Kuアンテナ
4
地上システムの概要
◆
●
■
◆
国内中央エリア
国内北部エリア
■
●
◆
国内南西エリア
◆
西部遠方
エリア
◆
◆
国内南東エリア
◆
◆
西部近傍
エリア
東部近傍
エリア
東部遠方
エリア
◆
南部エリア
● マスターコントロール実験局(つくば)
■ 時刻制御実験局(小金井、沖縄)
◆ モニタ実験局(小金井、沖縄、サロベツ、父島、ハワイ、グアム、キャンベラ、バンガロール、バンコック)
準天頂衛星追跡管制局(沖縄)
● 準天頂衛星追跡管制局(沖縄)
5
技術実証計画
【GPS補完】
準天頂軌道を利用して衛星の幾何学的配置を改善することによる、都市部や山間部における
測位可能エリア・時間の増大、GPS近代化相当の測位信号を送信することによる、測位精度の
向上に関する実験を行う。
文部科学省
((独)宇宙航空研究開発機構 (JAXA))
- 衛星バス・システム等開発とりまとめ - 高精度測位実験システム開発とりまとめ-
総務省
((独)情報通信研究機構(NICT))
- 時刻管理系の開発及び軌道上実験 -
【GPS補強】
測位補強情報の送信による高精度化等に関する実験を行う。
国土交通省
L1-SAIF信号利用
((独)電子航法研究所(ENRI))
-GPS補強技術(サブメータ級)の開発・実証-
LEX信号利用
(国土地理院(GSI))
- GPS補強技術(センチメータ級)の開発・実証-
【次世代測位基盤技術修得】
実験用信号による衛星測位実験や擬似時計技術の研究開発及び軌道上実験を行う。
文部科学省((独)宇宙航空研究開発機構(JAXA))
- 実験用信号による衛星測位基盤技術実験 -
経済産業省((独)産業技術総合研究所(AIST))
- 測位用擬似時計技術の開発・実証 -
6
開発計画
平成19年度
(2007年度)
平成20年度
(2008年度)
▲基本設計完了
基本設計
詳細設計
平成21年度
(2009年度)
▲詳細設計完了
フライトモデルの製作・試験等
平成22年度
(2010年度)
平成23年度
(2011年度)
▲初号機打上
初期機能
技術実証・利用実証
確認運用
<準天頂衛星初号機の開発スケジュール>
7
IS-QZSS(ユーザインタフェース仕様書)の改訂
•ユーザインタフェース仕様書の1.0版を2008年
6月17日付で制定し、公開
•1.1版ドラフトを2009年2月27日に公開
http://qzss.jaxa.jp/is-qzss/
•第4回ユーザミーティングを2009年3月27日に
実施し、1.1版を近日中に制定予定
8
海外の我が国をとりまく状況
 各国の測位衛星システムの状況
 国連の委員会(ICG)における議論
 アジア太平洋地域における協力
9
各国の測位衛星システムの状況
1.GPS(米国、運用中)
(Global Positioning System)
(1) 計画・運用主体
: 米国国防総省及び運輸省 (執行委員会:The National Space-Based Positioning,
Navigation, and Timing (PNT) Executive Committee )
(2) システム構成
: 6軌道面×各4機の計24機の衛星で構成 ( 2009年5月現在、31機運用中)
(3) サービス内容
: 全世界で、測位精度10mのオープンサービス
(4) 現状と今後の予定: 2000年以降、民生用信号の精度低下機能の使用をとりやめ。
現在、高精度化等を順次推進中。GPSⅢ型から精度低下機能を搭載しないことを決定。
※出典:公表資料等による。
10
2.GLONASS(ロシア、運用中)
(1)
(2)
(3)
(4)
計画・運用主体 :
システム構成
:
サービス内容
:
現状と今後の予定:
(Global Navigation Satellite System)
ロシア連邦宇宙局(Roscosmos)、ロシア国防省
3軌道面×各8機の計24機の衛星で構成
全世界で、平均測位精度12.05m、最大測位誤差68.09m
1996年にプロトタイプ衛星24機配備。2009年5月現在、19機運用中
であり、2010年までに24機への再配備を予定。
 Orbit constellation:
 24 satellites, 3 planes by 8
satellites
 Orbit shift by 120  along the
equator
 Orbit parameters
 orbit – circular
 height 19100 km
 inclination 64.8
 revolution 11h15min
※出典:公表資料等による。
11
3.Galileo(欧州、実験中)
(1) 計画・運用主体
: EU(監督機関: European GNSS Supervisory Authority (GSA)) 、ESA、(民間企業)
(2) システム構成
: 3軌道面×各10機の計30機の衛星で構成
(3) サービス内容
: 全世界で、測位精度15m(水平) - 35m (垂直)のオープンサービス 等
(4) 現状と今後の予定: 2005年12月に1機目、2008年4月に2機目の実験機を打上げ。現在では2013年までに
運用開始 予定(当初は2008年)。2007年11月、当初は民間が負担予定であった24億
ユーロを含め、34億ユーロの配備事業費全てをEU予算から負担する旨決定(設計段
階からの総見積りは33億ユーロから50億ユーロに)。2008年9月、衛星・設備調達にお
ける最終候補企業として11社を選定。
※出典:公表資料等による。
12
4.北斗 ナビゲーションシステム(中国、一部試験運用中)
(Compass Navigation Satellite System )
(1)
(2)
(3)
(4)
計画・運用主体 :
システム構成
:
サービス内容
:
現状と今後の予定 :
関連機関:CSN(China Satellite Navigation Project Center)
静止衛星5機、中高度軌道衛星30機
中国及び周辺地域(将来的には全世界)で、測位精度10mのオープンサービス等
2000年10月の初号機以降、6機の打上げに成功。2009~2010年の2年間に、計10機
程度の打上げを予定。2010年頃までにアジア太平洋地域のカバー、2015年頃まで
に全世界のカバーを予定。
※出典:公表資料等による。
13
5.IRNSS(インド、開発中) (Indian Regional Navigation Satellite System)
(1)
(2)
(3)
(4)
計画・運用主体 :
システム構成
:
サービス内容
:
現状と今後の予定:
関連機関:ISRO(Indian Space Research Organization)
静止衛星3機、地球同期軌道衛星4機
インド及びその周辺サービスエリアで、精度20m以下の測位サービス
最初の衛星を2009年、次の3機を2010年に打上げ、全体システムを2011年に整備予定。
14
国連の委員会(ICG)における議論
ICGとは?
 International Committee on GNSS(グローバル衛星航法システムに関する国際委員会)
 国連宇宙空間平和利用委員会(UN-COPUOS)の下に2006年に設置された衛星測
位システムに関する委員会
 ICG の設置目的
 GNSS サービスのユーザーのためにコンサルティング活動
 共存性確保、相互運用性向上を目的とした、GNSS プロバイダー間の連携強化
 開発途上国に対する技術支援
 GNSS の開発計画および応用に関する将来のユーザー・ニーズの取込み
 国連宇宙空間平和利用委員会に定期的に活動を報告
 参加メンバー
 GNSSプロバイダー(米、欧、露、中、印、日)
 加盟国(伊、マレーシア、ナイジェリア、アラブ首長国連邦)
 関連国際機関(国際度量衡局(BIPM)、国際測量学会(IAG)、国際GNSSサービス
(IGS)ほか
15
各衛星測位システムの送信信号周波数分布
1176.45MHz1207.14MHz
1278.75MHz
1575.42MHz
L1
E6
E5a E5 E5b
1227.60MHz
L5
L1C/A
L1
L2
M-code
L1C
M-code
P-code
GPS
L5
G1
L1
G2
L3
FDMA
GLONASS
FDMA
CDMA signal from GLONASS-K on L1,L3 and L5 (信号仕様は未確定)
L2
L5
LEX (E6)
L1
L1C/A, L1-SAIF
L1C
QZSS
L5
B2
B3
B1
COMPASS
1268.52MHz
IRNSS/GAGAN
GAGAN
IRNSS
IRNSS & COMPASS USE S-band (2483.5 – 2500 MHz) downlinks
GAGAN
16
共存性と相互運用性
ICGで共存性及び相互運用性の原則を検討中
 共存性(Compatibility)
 “Do No Harm” =Mustな要求
 システム間で有害な干渉が起きないこと
 相互運用性(Interoperability)
 “Better Together Than Separate”
 複数システムからの信号を同一受信機で測位演算に利用
 測位利用のアビラビリティと幾何学的配置改善、信頼性、
ロバスト性改善
 受信機のコスト、複雑さを低減することが目標
17
相互運用性のゴール
理想的な相互運用性
異なる測位衛星システム
の信号によって、利用者
にPNTソルーションを提供
-追加コストや複雑でない普通
のレシーバーで受信可能
-パフォーマンスに务化なし
<#3 ICG会合 米国資料より引用>
18
Interchangeability(互換性)
 相互運用性より上位のシステム間の共通化コンセプト
 Stanford大パーキンソン教授が提唱、ロシアも相互運用性と、互換
性の相違を提案
 最終的な目標は、統合衛星測位システム?
 CARS (Cross Augmentation Reference System)
GNSS統合化レベル
GNSS Integration
level
N
•
•
•
III
Fully Integrated System
of GNSS systems
GENERAL AGREEMENT
•
•
•
Interchangeability
COOPERATION
II
Interoperability
I
Compatibility
COORDINATION
REGULATION
0
出典:第3回ICG Stanford大Prof.Parkinsonプレゼンテーション
出典:第3回ICG:ロシアプレゼンテーションより抜粋
19
アジア太平洋地域における協力
• アジア・オセアニア地域は、全ての全球衛星航行シ
ステム(GNSS)、地域システム(RNSS)のサービス
が享受できるユニークな地域
• この利用環境を活用し、アジア・オセアニア諸国の
ニーズを踏まえ、アプリケーションの共同開発、実験
を行うことを検討
• このために、第16回アジア太平洋地域宇宙機関会
議(APRSAF#16)と協調し、同地域におけるワーク
ショップの開催を企画中
20
まとめ
 準天頂測位衛星初号機は、2010年夏期打上げ目標で、
現在製作・試験中
 ユーザインタフェース仕様の改訂 1.1版ドラフトの公開
 衛星測位サービスプロバイダは、世界で6ヶ国(機関)
国連傘下のICGにて「共存性」「相互運用性」を議論
 完全に調和のとれた測位システムをゴールとしてめざ
し、準天頂衛星システムもその一端を担う
21
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