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≪首都圏等≫ 夫の職場

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≪首都圏等≫ 夫の職場
HIF マンスリーレポート Vol.17
地方創生の推進に向けた逆単身赴任に対する支援について
~子育て世代の移住の促進と、市外から資金を稼ぎ市内で循環させる地域活性化の仕組み~
ひろさき未来戦略研究センター
計画マネジメント担当
1.はじめに
平成 27 年 9 月 29 日に弘前市まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定したが、その中で
は、基本目標の1つとして「弘前への新しいひとの流れと定住の推進」を掲げ、当市や津
軽地方にゆかりのある人に対する効果的な移住対策に取り組み、平成 31 年度までに社会移
動による転出超過を現状の 476 人(平成 26 年度実績)から 40 人までに圧縮することを目
標としている。
これを実現するためには、積極的な移住対策を展開する必要があるが、持続可能な地域
経営のためには、特に将来を担う子育て世代の移住を推進する必要がある。
しかし、子育て世代の場合であれば、
「仕事」が移住を決断する上での大きな阻害要因と
なっていると考えられるため、当市での雇用機会の創出に加えて、多様な働き方に対する
支援の強化が課題となる。
このことから、
「いつか弘前に戻って生活したい」、
「弘前で子育てをしたい」と考える子
育て世代に対し、移住の希望を叶えるため、夫の仕事をそのままに(夫は首都圏等で仕事
を続けながら)
、他の家族が先行して当市に移住するライフスタイル(=逆単身赴任)を推
進することを検討した。
2.支援対象
首都圏を含む市外から当市へ移住をする場合に、生計を維持するために夫が市外に残
り、妻と子どもが夫に先行して当市に居住する世帯
3.想定される支援内容
家賃補助、帰省時の交通費補助など、逆単身赴任を実現するために必要な経費の一部を
一定期間補助する など。
≪支援イメージ≫
移住
希望者
支援
≪弘前市≫
家族(妻・子ど
も)の生活拠点
家族が当市へ移住
(逆単身赴任)
生活費の仕送り
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≪首都圏等≫
夫の職場
4.先進地での取組み事例
現在、地方版総合戦略を策定中のある都市(人口約 5 万人)では、近隣に人口約 40 万人
の県庁所在地等があるため、高校や大学の卒業後に市外へ就職し転居する者が多く、さら
に地元に住みながら市外へ就職したとしても、主に 30 代で結婚や子育て等を契機に職場の
近くへ転居する者が多い傾向にあり、生産年齢人口の流出が課題となっている。
こうした中、この都市では地方版総合戦略に掲載する施策として、主に 20 代~40 代の
IJ ターンを増やすことを目的に、この都市に住居を構えながら他の地域へ通勤する移住者
に対して支援を行うことを検討しており、具体的な支援策は今後詰めることとしているが、
通勤や住居等への支援が想定されている。
この都市では、当然にして地元の就業機会を増加させる施策も戦略に位置付けることと
しているが、厳しい経済情勢と働く場が集積している県庁所在地等に近い地理的条件のも
と、このように移住者に対して市外で働くことを受け入れつつ、生活拠点をこの都市に置
き定住する者を増やすことで人口減少対策と地域経済の維持にチャレンジしようとしてい
る。
5.まとめ
こうした取組みは、地方創生の中で、新たな移住対策の1つとして着目されているため、
その成果を含めた先進事例は現段階ではほとんどない状態であるが、この取組みの効果と
しては、子育て世代の移住促進が期待されることから、総合戦略に掲げた社会移動による
転出超過の圧縮に繋がるものと考える。
さらに、結果として、市外から資金を稼ぎ、市内でその資金を循環させることとなるた
め、地域経済の活性化も期待できるのではないだろうか。
しかし、移住施策を検討する際には、暮らしやすさの向上も併せて考える必要があり、
特に当市にゆかりのない移住者に対しては、移住者を含めた地域交流会の開催等、移住者
を受け入れ地域全体で支援する機運の醸成や、子育て支援に関する情報提供を積極的に行
うなど、当市での暮らしやすさを向上させるための取組みにも注力する必要がある。
また、市内にもたらす経済効果と市の支援との費用対効果を分析した上で具体的な支援
内容を検討する必要があるほか、移住者のみの支援となることから、現在、当市に居住し、
夫が市外で単身赴任をしている世帯への支援なども今後の検討課題となる。
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