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大田川ダムの地盤問題メモ

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大田川ダムの地盤問題メモ
大田川ダムの地盤問題メモ
国土問題研究会
太田川ダム調査団
1 ダムサイト右岸側法面の変状
2 ダムサイト左岸側法面の変状
地質背景
1)ダム地点の地質は古第三系の三倉層群である。
2)中部地方地質誌によると三倉層群は四万十層群の構成メンバーで、塊状泥岩と砂岩・頁岩
互層に由来する海底地すべり堆積物が交互に繰り返し堆積する地域と塊状泥岩とよく成層
した砂岩・泥岩互層部からなる地域があるとされている。当地の地質状況から判断すると
前者の地域に相当していると思われる(地質図(1:25000 図副)によるとM2( 砂岩頁
岩乱雑層)にあたる)。
3)三倉層群は付加体堆積物である。
4)三倉層群中の泥岩中にはしばしば地すべりが発達する。特に西側の光明断層沿いと東の笹
山構造線近傍には地すべり指定地が集中している。(地質と調査)
5)ダムサイトの地質図によると、下位から砂岩優勢砂岩頁岩互層(As)、スランプ頁岩(SL)
頁岩(Sh)、砂岩、が分布するとされている。(ダムサイト地質断面図)
(註)付加体:海洋プレート上にできた海底火山岩、珊瑚礁など、成因、性質の違う様々な構
造物が、大陸プレートの下に潜り込むとき、プレート境界でこそ儀取られ、乱雑に堆積し、多
くの断層を含む地質構造が出来上がる。
(註)スランプ構造:海底に一時的につもった堆積物が凝固しきらないうちに一団となって海
底地滑りを起こして出来た乱雑な地層構造
註)スランプ頁岩:平行に堆積したはずの頁岩層が、地滑等の作用で複雑に褶曲しているもの
(タマネギのような構造ができることもある)。
ダム本体工事
工事費:87.5億円
設計変更額は?
1 右岸の法面の崩壊について
1)右岸法面に法面形成時、あいつで小崩壊がおきた。
① 平成15年8月に右岸基礎掘削中に発生した法面崩壊について
Fi1断層標高318~325mにかけての崩壊
3箇所で崩壊
(平成15年度 (第15-K1000-1)2級河川大田川河川総合開発にともなう大田川ダム掘削法面地質観察委託
平成16年3月 建設技研)
②平成10月20日報告の崩壊
F1断層 (幅3m、粘土化帯(1.5~②m)+断層角礫帯(0.8~②m))の標高3 11~307m
で断層面からすべる。
ほかにF9“、Fa断層で崩壊おそれ
F1断層は走向N10E~N50E 低角度、傾斜は変化する 方向は法面と交差、
F9断層付近の標高318~311mで崩壊、破砕帯幅数cmから10cm、
破砕帯 F-A断層
F1断層はその規模は大きい。しかも走向傾斜ともに地域内で変化しており、この断層分布が
明らかにされていない?
F9“は1条の断層でなく複数の断層(標高288~277m)
(平成16年度 (第16-K1000-1):2級河川大田川河川総合開発にともなう大田川ダム掘削法面地質観
察委託:平成17年3月 建設技研)
2)これらは法面中に出現した断層(F1,F9,FAなど)に起因した主に流れ盤崩壊のよ
うである。(流れ盤:地層の界面の傾きが地表斜面と同方向の場合)
3)これら崩壊はみかけ上小規模であることから、それにみあう対策がとられたようである。
4)ダムサイト右岸・砂岩の地質スケッチ図をみると、これら基礎岩盤はにはきわめて多くの
かつ複雑な亀裂・節理系が発達している。地表で観察される主要断層も10数個はあるよう
である(F1から9、FAなど)。これら断層は断層幅が大きいもの、明瞭な断層粘土・
断層角礫を有するものがある。また、その走向の変化も著しく、傾斜も急角度から低角度
まで多様である。断層が継ぎ連続せず隣の断層に転移しているのも見られる。
5)現在ある資料からは、これら断層・節理系の複雑さについて記載された
ものはない?
6)主要な断層がFI、FAなどはダム本体の直下を通過しているように示されているが、こ
の断層についてのどのような対策が採られたか気にかかる。
7)ダムサイト地質図では、頁岩層、砂岩層、スランプ砂岩層が積み重なるように表現されて
いるが、全体がスランプ構造で重なっているのではないか?
岩級区分図もきわめて複雑な分布を示し、規則性が見られないように思われれるが、この
ことの(全体がスランプ構造)の反映ではないのか?
左岸側の法面変状について
8)007.1.23 Y.Mデータに示されるように、すべり変位方向から法面は大きく4つくらいの
ブロックに区分できる。このブロックは斜面内部に分布する断層・節理・亀裂系を反映し
てすべり方向が規定されたと考えられる。
9)各ブロックの深さ(地中変位)については、2007.3.19 Y.Mデータに示されるように、
ボーリング深度20mまではRQDの小さい値が連続するので、ブロックの深さはより以深
の可能性もある。また、20m以深にはスランプ頁岩の分布する可能性も考えられるという
指摘についても同感である。
(RQD値:1mのボーリングコアの中で、地質が連続している長さが10cm以上の部分の累計
値。ずたずたで、10cm以上の部分が全くなければRQD=0)
10) このことは、この斜面変状対策については安易な方法ではすまされない恐れがあり、
より深部への地質調査が必要である。
今後の検討すべき課題
11)ダム岩盤の透水性について
ルジオンマップ図を入手が必要。
12)ダム骨材について
付加体とは?
海洋プレートの沈みこみにともない、海洋プレート上の堆積物は剥ぎ取られていきます。陸側
プレートと 海洋プレートがかみ合い、プレート境界型地震が発生するような場所では、遠洋性
堆積物や海洋地殻の一部までも剥ぎ取られます。これらの岩石は陸側プレートの下側に底付け
されます。こうして海洋プレートから陸側プレートに付け加わって、大陸プレート側の一部に
なったものを「付加体といいます。
太田川ダムサイトの属している三倉層群四万十帯は典型的な付加体です。激しい褶曲運動や断
層運動を受けているため,全体に破砕されていたり不連続面が発達していて、土木工事などの
人工改変により 予想外の応力が発生することが多い.断層だらけ,罅だらけの地層です。
(ちなみに、静岡県土木部の つくった Q&A にはこのような問題点はなにひとつ記載されてい
ません)
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