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事業の実施方法
ペルー共和国(ペルー)サンマルティン州アルトマヨ地区のアルトマヨ保護区(18 万 ha)と周辺
エリア
(32 万 ha)を対象に、森林の減少及び劣化に由来する排出の削減(REDD+)活動を通じた
排出削減
量の計測・報告・検証(MRV)手法と、二国間枠組を活用した削減量の日本への移転メカニズムを調査致し
ました。(以下「本事業」)
本事業においては日本(三菱商事㈱、国際航業㈱、コンサベーション・インターナショナル(CI)日本)・米国
(CI 本部)・豪州(ブーズ・アンド・カンパニー、豪州三菱商事)・ペルー(ペルー三菱商事、ペルー国立農業大
学、CI ペルー)各国の産・学・官・NGO 連携で専門家を集めたチームを組成し、技術面、事業面、地域ステイ
クホルダーとの関係等の政策構築面について検討し、REDD+案件を活用した二国間枠組の実現に向けた
課題の抽出を行いました。
本事業では、我が国宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打上げた陸域観測衛星「だいち(ALOS)」に搭載し
た全天候型レーダー(PALSAR)を活用しました。 具体的には①PALSAR 画像と他の衛星画像を組合せて
現状を把握し、②過去に取得した画像と新たに撮影する画像にフィールド調査の結果を反映させて、土地
被覆経年変化を観測し、③炭素蓄積量を面的に推定しました。さらに森林保全活動による排出削減量の仮
説を設定し、より客観的な検証手法を確立すべく提案を行いました。本事業の成果を高める為に、今年度に
実施した調査に基づく一時的な成果の検証を来年度も継続して実施することで、将来にわたり広く参照され
る様な結果が得られると考えます。
1
本プロジェクト関連地図
ペルー共和国は南米の北西部、太平洋側に
位置する、面積約129万平方キロメートル(日本
の約3.4倍)、人口約28百万人(08年)の国で、
日本との文化交流も盛んです。日本からの移民
が多く、現在推定で約9万人の日系移民が居り、
これはブラジル、アメリカに次いで世界で三番目
の規模になります。(外務省発表データより)
Altomayo
San Martin
Peru
黄色い枠で囲まれたサンマルティン州
の北部、緑で囲まれた部分が本事業
対象地域であるアルトマヨ地区
2
実施体制
実施者: 三菱商事株式会社
エネルギー、金属、機械、化学品、生活物資等
多種多様な商品の国内・輸出・輸入および
外国取引を行うほか、情報、金融、物流
その他各種サービスの提供、国内外における
事業投資など、広範な分野で多角的に
業務を展開する総合商社
国際航業株式会社
統括責任者: 赤松 幸夫
パイロット地域におけるカーボンインベントリ作成
土地利用観測と経年変化分析・モニタリング方法論
実施責任者: 渡邉 優子
排出権事業ユニット
宇宙航空第二ユニット
土地利用観測データ取得計画・データ取得管理
二国間枠組検討・ファイナンス
プロジェクト実施計画取纏め・調査契約予算管理
コンサベーション・インターナショナル
統括責任者: 山下 加夏
森林資源管理・REDD+推進状況調査(含法制度調査)
監督省庁、ステイクホルダーとの折衝/調整
現地プロット調査・参照レベル分析
コベネフィット分析・経済インパクト分析
ブーズ・アンド・カンパニー
統括責任者:ロブ・ファウラー
ペルー三菱商事会社(現地調査取纏め)
豪州三菱商事会社(豪州状況比較調査)
二国間・多国間枠組モデル分析・制度バリア分析
削減量移転・資金移転・保険・インベントリ管理
報告・検証方法論・ベースライン策定方法論検証
3
PART Ⅰ
ペルーにおける森林管理と REDD+実施状況について
Ⅰ-1 -
頭字語及び略語
ACCA
AIDER
ARA
AMPA
ANC
BSD
CI
CIMA
COFOPRI
COP
DRC
DRIS
ECOMUNAL
FCPF
FAO
FIP
FTA
GEO
GHG
IC
ICRAF
ILO
INEI
INRENA
KFW
MINAM
MINAG
MINEM
MRV
NAMA
NAP
PROCLIM
PROINVERSION
REALU
REDD
REDD+
R-PP
SINANPE
TNC
UNFCCC
WWF
Asociación para la Conservación de la Cuenca Amazónica
Asociación para la Investigación y el Desarrollo Integral
Regional Environmental Authority
Amazónicos por la Amazonia
Andean Nation Community
Bosques, Sociedad y Desarrollo
Conservation International
Centro de Conservación, Investigación y Manejo de Áreas Naturales
Agency for Formalization of Informal Property
Conference of the Parties
Democratic Republic of Congo
Desarrollo Rural Sostenible
Ecoturismo Comunitario en América Latina
Forest Carbon Partnership Facility
Food and Agriculture Organization
Forest Investment Program
Free Trade Agreement
Group on Earth Observations
Greenhouse Gas
Intercooperation
International Agroforestry Center
International Labour Organization
National Institute of Statistics and Informatics of Peru
National Institute for Natural Resources
German Development Bank
Environmental Ministry
Ministry of Agriculture
Ministry of Energy and Mines
Measuring, Reporting and Verification
Nationally Appropriate Mitigation Actions
National Protected Area
Program for Strengthening National Capacity to manage the Impact
of Climate Change and Air Pollution
Agency for Promotion of Private Investment
Reducing Emissions from all Land Uses
Reducing Emissions for Deforestation and Degradation
Reducing Emissions for Deforestation and Degradation Plus
Readiness Preparation Proposal
System of Natural Protected Areas for the State
The Nature Conservancy
United Nations Framework Convention on Climate Change
World Wildlife Fund
Ⅰ-2 -
目次
項目
一章
エグゼクティブサマリー
ページ
4
1
1)
2)
3)
4)
ペルーの森林資源管理
ペルーにおける森林保全及び持続可能な森林経営の概要
i)
法律及びその施行
ii)
先住民
iii)
国家レベルでの保全構想
iv)
地域レベルでの構想
バイオマスと炭素蓄積量–土地被覆分類図作成の現状
ベースライン設定の現状
森林の減少・劣化の歴史的要因
6
6
7
21
23
26
27
27
28
2
1)
2)
3)
4)
5)
ペルーにおけるナショナル REDD+ストラテジー
ペルー政府政策における REDD+での優先事項
国家ナショナル REDD+戦略
REDD 準備プロセスの現状 とステイクホルダーの関与
ペルーにおけるボランタリ REDD+活動の状況
NGO の関与 – NGO のイニシアチブとその活動
34
34
34
35
40
41
3
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
10)
ペルーにおける REDD+導入の課題
省庁間の権限重複と優先順位の対立
ペルー政府の主権に関する懸念と国の発展優先分野の不一致
ナショナルとサブナショナル REDD+スキームの連携における課題
キャパシティビルディングの必要性
既存協定との関係
不明瞭な土地保有
法定義が与える負のインセンティブ
不明瞭な排出権授与
脆弱なガバナンスと法執行力
森林インベントリデータの欠如
42
42
43
43
43
44
44
44
45
45
45
Ⅰ-3 -
エグゼクティブサマリー
ペルー共和国(以下、「ペルー」)経済は、ラテンアメリカの中でも最も安定的且つ急速な成長を遂げてき
た(2002 年から 2006 年迄は年 4%、2007 年から 2008 年にかけては 9%の成長と予想1)。これは、90 年
代における貿易促進と各種事業の民営化による市場志向型の経済改革の成果とみられる。近年の景
気拡大は、建設業、鉱山業、民間投資、輸出業及び国内需要の高まりによりもたらされている。
然乍、ペルーのマクロ経済が発展を遂げる現実とは裏腹に、貧困や格差は未だ大きな問題として同国
内に根深く残っている。発展する経済と、一般市民の生活水準とのギャップはペルー国内でも地方に行
くほど散見され、特に同国の広大な森林エリアであるアマゾン地域で顕著である。2009 年迄の INEI 統
計によれば、地方在住の国民の 59.8%が貧困層で、38.4%がその中でも極貧層と位置づけられている 2。
都市部での極貧率は 2.8%程度の増加である一方、地方部での同比率は 27.8%に達している 3。更に、ア
ンデス地域とアマゾン地域での貧困率は夫々23.8%と 16.9%の増加となっているが、他方で沿岸地域で
の貧困率は 1.8%の減少が見られる4。
アマゾン地域の地方部は、もっとも強度の貧困層 (59.4%) と極貧層 (41.4%) と、いずれもペルー国内地
域比における第 2 位の割合を占めている5。同国での貧困率は 2008 年から 2009 年 にかけて 0.5%の増
加となっているが、アマゾン地域でのこの数値は 40.9%から 46.0%へと 5.1%もの増加が見られる6。
従い、貧困率の高いペルーの熱帯雨林に焦点をあてる REDD は貧困の根本的原因を注視して実施す
ることが必要であり、又前述の数値も念頭に置いて実施することが必要である。
しかしペルーの森林資源の保全に関しては、森林保護を促進する環境政策と、森林における生産活動
(農業政策、交通インフラや鉱山業等)を促進する政策に相違が見られる点は、REDD 実施において課
題の一つとして挙げられる。例えば、先住民や川沿いのコミュニティといった森林に生活を依存する
人々の優先事項や需要を理解し、公平な利益分配の仕組みを作り上げるためには、彼らの効果的な参
加を促す政策や法律を確立する必要がある。一方で、森林における持続不可能な活動を促す生産セク
ター(農業政策、交通インフラや鉱山業など)の政策や法律も存在しており、両政策の相違点は、森林セ
クターにおける持続可能な経営や保全活動を促進する上でゆがんだ動機(perverse incentive)となって
いる。これらの根本的な問題への取組み無くしては、特定のエリアを意図したいかなる政策や法律も策
定し得ないのである。
ペルー国内にて REDD の主たる対象となるであろう広大な森林エリアにおける持続可能な活動を促進
するためには、政策の面での作業が山積みである。従い、ペルーの開発国策に、持続可能な森林経営
や保全といった REDD+の政策が包含される事の必要性は、最も大きな課題の一つである。
-森林資源と森林経営ペルーは、アマゾン盆地で第二位、世界でも第四位(ブラジル、コンゴ、インドネシアに続く7)の熱帯林の
面積を有し、国土面積の約 53%(面積にしておよそ 7 千万ヘクタール)を森林が占める。同エリアは生物
多様性が高く、豊かな自然資源や環境サービスが存在している8。
ペルーは過去 15 年に亘り森林保全と持続可能な開発を両立させる法制度の開発などに積極的に取り
組んできた。まだ国内で全面的な活動の実施には至っていないのが現実ではあるが、試験的な取組み
や局地的な活動が増加する傾向にある。
歴史的に見て、ペルーの森林減少は低いレートで推移している。直近の公式データは 2000 年からのも
ので、1990 年から 2000 年迄の森林減少は年間平均 15 万ヘクタールである 9。但し、このデータマップ
は、農業省で作成されたものである事は、重要な事実として認識すべきである。
*1
*2
*3
*4
*5
*6
*7
*8
*9
FAO 2001, “Evaluación de los Recursos Forestales Mundiales 2000 – Informe Principal”
出展: (INEI) http://www.inei.gob.pe/biblioineipub/bancopub/Est/Lib0071/ascon.htm
出展: (INEI) http://www1.inei.gob.pe/perucifrasHTM/inf-soc/cuadro.asp?cod=8331&name=pob21&ext=gif
出展: (INEI) http://www1.inei.gob.pe/perucifrasHTM/inf-soc/cuadro.asp?cod=9941&name=pob29&ext=gif
出展: (INEI) http://www.inei.gob.pe/biblioineipub/bancopub/Est/Lib0071/ascon.htm
出展: http://www.diariolaprimeraperu.com/online/noticia.php?IDnoticia=62612. In reference to INEI documents.
FAO 2001, “Evaluación de los Recursos Forestales Mundiales 2000 – Informe Principal”
Peruvian´s R-PP document. Page 08
Ibidem
Ⅰ-4 -
土地利用の変化は、ペルーにおける温室効果ガス排出の筆頭要因である。これは森林から他用途、主
として農業への土地利用の変化を後押しする政策や法律に起因する 10。その為土地利用の変化を促
進している政策内容を分析し、森林の生態系にとって効果的且つ効率的な森林保全と経営のツールを
促進する事が重要である 11。
ペルーの自然遺産の保全と持続可能な利用 12を促進する為、環境省は 2011 年 1 月 14 日 13 に『国家
森林遺産マップ(National Forest Patrimony Map)』を発行した。これは 2009 年迄の森林に係る情報を
纏めたものであり、ペルーの森林を真上から撮影し、森林と森林資源の分布を捉えた Landsat の衛星
画像を用いて作成されたものである。このマップに用いられたのは衛星画像だけではあるが、本マップ
が作成された事自体が、国家環境政策によって確立されるガイドライン策定に向けた重要なワンステッ
プと言える。ここで言うガイドラインとは、持続的且つ統合的な森林経営、森林減少や森林資源劣化を
防ぐ活動、森林被覆の保全と増大、生物多様性及び環境サービスといったものである。
上述の報告書は環境省からのものだが、環境省だけでなく、農業省も併せて、国家森林機関を通じて
国内の森林資源の必要情報を保有し、ペルー政府内省庁間の調整を改善する必要性がある。
ペルー政府、中でも環境省は 2008 年に設立された若い組織であるが、温暖化緩和に果たす熱帯林の
役割を重要視し、国家森林保全プログラムを打ち出しこの実現に向け精力的に動いている。このプログ
ラムにおいては森林破壊を助長させない持続可能な経済活動を促進するツールとして REDD+メカニズ
ムの活用に前向きであり、今後環境サービスの経済的評価や保全活動への市場資金の活用といった
経済・金融のメカニズムを如何に組み入れていくのかが課題となる。国際情勢を横目でみつつ、ペルー
独自のプログラムを醸造していくこととなるが、歴史的に NGO の活動が政策立案、実施に有機的に繋
がっている国でありこれらの機関と協調した取組が望まれる。
現在世界銀行による FCPF を活用して REDD 準備プロセスの計画を行っているが、これは初期構想で
ありこの実現に向けて既に具体的な取組を実施できるタイミングにある。ペルーは気候変動基金
(Climate Investment Fund)の森林投資プログラム(Forest Investment Program)のパイロット国にも選
定されており、2011 年は米州開発銀行の主導で投資戦略の策定が開始される。
わが国の支援や資金供与はこれらの政府レベルでのイニシアチブ実施と即して行われる必要があり、
官民連携のもとでペルー政府はじめ現地政府やプロジェクト実施主体の能力強化が継続して行われる
ことが不可欠である。特に REDD+プロジェクトにおいてはそのカーボンクレジットの経済的価値を見返り
に投機的な資金が向かう分野でもあるが、これはより慎重に行うべきである。特に投資リターンを優先さ
せるあまり先住民による REDD プロセスの参画と関与が蔑ろにされる事態があってはならず、情報共有
についてはそのプロセスを含め明確に規定した上で、ステイクホルダーのコンセンサスを得る必要があ
る。REDD+は継続的であってこそその温暖化阻止効果が認識されるものであり、短期的な経済インセ
ンティブを与えるだけのもの、例えば補償金の支払いを持って開発を阻止するだけではその効果は不
確実である。先住民や現地コミュニティによる持続可能な社会経済活動と有機的に繋がる保全活動に
より始めて、継続性が担保されるものであり、民間企業を含むわが国の支援もこの点に十分留意する
必要がある。
*10 Ibid .
*11 Ibid.
*13 出展: MINAM: http://www.minam.gob.pe/index.php?option=com_content&view=article&id=1099:ministerio-delambiente-elabora-mapa-del-patrimonio-forestal-nacional&catid=1:noticias&Itemid=21
*12 2011 年 1 月 14 日
Ⅰ-5 -
1.ペルーの森林資源管理
1) ペルーにおける森林保全及び持続可能な森林経営の概要
ペルーは自然資源の経営と保全に係る一般的な法的枠組みを確立する法律を制定した。自然資源
の定義は、自然資源の持続可能な利用に係る基本法 14 に記されている。この中では、自然資源は、
人間の必要性を満たす為に人の手によって利用する事が可能な、個々の自然構成要素からなってお
り、その構成要素はそれぞれに市場価値があると明記されている。存在が認識されている自然資源
には、水や農地、森林、そして保護地といったものが含まれている。再生可能自然資源 (森林を含む)
に係る原則を定める法的枠組みは同国における最上位の法令であるペルー国憲法 15 に直接組み込
まれ、更に自然資源の持続可能な利用に係る基本法 (法律第 26821 号) と一般環境法 (法律第
28611 号) にても包含された。国家レベルでは、自然保護区域法 (法律第 26834 号 – 1997 年) 並び
に、森林及び野生生物法 (法律第 27308 号 – 2000 年) が、ペルーにおける持続可能な森林経営と保
全の具体的な法的枠組みを制定している。
憲法第 66 条によれば、自然資源は国家遺産と定義されており、従ってペルー政府が主権を有してい
る。また、第 67 条では政府は自然資源の持続可能な利用を促進すべきである旨が明文化され、第
69 条はアマゾン地域における持続可能な利用促進の重要性を強調している。憲法はまた、州政府以
外による自然資源の利用乃至は開発に際しては、基本法にて規約を制定する様定めている。
一般環境法では、ペルーにおける環境マネージメントに係る法的枠組みへ規制基準を供し、持続可
能な自然資源の利用を制限している。特に、第 92 条では、森林資源の持続可能な利用と天然林の
保全を各州に促進させる意図が確立されている。
この法律は全ての自然資源はコンセッション、許可そしてライセンスといった権利形態を通じてのみ認
可され、この枠組みにおいて所有権は認可され得ない。
然乍、ペルー国憲法は農耕用若しくは牧草用の土地に関しては、他の自然資源とは著しい差異を確
立している。これらの土地は、憲法では所有権を認めうる事が制定されている。この差異がもたらす
結果については、本報告書にて後述する。
以下に本セクションにて解説する法律の法的枠組みの実例を図示する。
憲法
自然資源の持続可能
な利用に係る基本法
i)
森林及び野生生物法
法律及びその施行
一般環境法
自然保護区域法
*15 本法律の目的は、経済的成長、自然資源と環境の保全と、人類の発展の間でのダイナミックなバランスを促進する
事である。
*14 ペルー国憲法第 66 条: Renewable and non-renewable natural resources are Nation´s Patrimony. The State is
sovereign in its use. Specifications for its use and the granting of rights to individuals must be developed by an organic
law.
Article 67°: The government establishes the environmental national policy and promotes the sustainable use for
natural resources. Article 68° the government must promote the conservation of biological diversity and natural
protected areas.
Article 69° the government promotes sustainable development of the Amazon region with an adequate legal framework.
Ⅰ-6 -
i) 法律及びその施行
a. 自然保護区域法 (法律第 26834 号)
本法律は、憲法第 68 条に従い、自然区域の経営と保全を規制する 16。
本法律では、保護区域と、生物多様性とその他文化的、景観的、科学的利用の観点から
見た価値を保存すると共に、国家の持続可能な開発へ寄与する事を目的に、国土内に
て指定された陸域及び海域である事を定めている。
また、本法律は、これらの区域を公有財産とし持続可能な経営と保全の権利を付与する
事を許容すると定義している。
しかし自然保護区域 (National Protected Area; NPA)内において所有権は一切付与され
ない 17。NPA が確立される以前に付与された所有権は公認、担保されているものの同区
域内でなされる活動は NPA の方針に従わなければならない。
NPA には様々なレベルで管理機関を設定している。国レベルでの区域経営は SINANPE
(The System of Natural Protected Areas for the State) が担当しており、地域保全区域
と民間保全区域は SINANPE を補完する区域として定義されている。
SINANPE 管轄地域は直接的利用及び間接的利用地域による利用条件による分類、又
法的条件、目的別等幅広い分類の方法がある。

間接的利用区域
自然資源の開発、またいかなる自然環境の改変も禁じられている。許容される
活動は、特定の指定区域のみでの非操作的な科学研究、レクリエーション、観光
といったものに限られる。このカテゴリーに置いては以下の様なエリアが存在す
る。

国立公園: 国家の主たるエコロジカルユニットを構成する区域におい
て設置されたものである。景観的あるいは文化的な特徴のみならず、
単体若しくは複数のエコシステム、動植物相、遷移上かつ進化上のプ
ロセスにおける生態系の健全性を保護する事に目的がある。ペルー
では、下表の通り 12 の国立公園が設立されている。
*16 ペルー国憲法第 68 条: “The government has the obligation to promote conservation of biological diversity and
protected natural areas”.
*17 NPA 設置以前の所有権は公認、担保されるが、これらは NPA 方針の枠組みになければならない。
Ⅰ-7 -
国立公園
Cutervo
Tingo María
Manu
Huascarán
Cerros Amotape
Río Abiseo
Yanachaga – Chemillén
Bahuaja – Sonene
根拠法
Law N° 26860
Law N° 15574
D.S. N° 045-2002AG
D.S. N° 622.75-AG
D.S. 046-2006-AG
D.S. N° 064-83-AG
D.S. N° 068-86-AG
D.S. N° 048-2000AG
設立日
06年8月3日
65年5月14日
02年7月11日
75年7月1日
06年7月7日
83年8月11日
86年8月29日
00年8月4日
Cordillera Azul
D.S. 031-2001-AG
01年5月21日
Otishi
D.S. 021-2003-AG
D.S. N° 040-2004AG
D.S. N° 023-2007AG
03年5月30日
Alto Purús
Ichigkat-Muja –
Cordillera del Cóndor
•
国立自然保護区
Huayllay
Calipuy
Lagunas de Mejía
Ampay
Manglares de Tumbes
Megantoni
Pampa Hermosa
Tabaconas – Namballe
Cordillera de Colán
歴史保護区
Chacamarca
Pampa de Ayacucho
Machu Picchu
Bosque de Pómac
D.S.
D.S.
D.S.
D.S.
AG
07年8月9日
Amazonas
面積 (ha)
8,214.23
4,777.00
1,716,295.22
340,000.00
151,561.27
274,520.00
122,000.00
1,091,416.00
1,353,190.85
305,973.05
2,510,694.41
88,477.00
国立自然保護区: 科学的、景観的な関心及び国家重要財の自然形成
のみならず、動植物相の種乃至は群集の生息環境を保護する事を目
的として設置された。ペルーでは、下表の通り 9 の国立自然保護区が
指定されている。
根拠法
D.S. N° 0750-74-AG
D.S. N° 004-81-AA
D.S. N° 015-84-AG
D.S. N° 042-87-AG
D.S. N° 018-88-AG
D.S. N° 030-2004AG
D.S. N° 005-2009MINAM
D.S. N° 017-2009MINAM
D.S. N° 021-2009MINAM
•
04年11月18日
所在地
Cajamarca
Huánuco
Cusco and Madre de
Dios
Ancash
Tumbes and Piura
San Martin
Pasco
Madre de Dios and
Puno
San Martín, Loreto,
Ucayali and Huánuco
Junín and Cusco
Ucayali and Madre de
Dios
設立日
74年8月7日
81年1月8日
84年2月24日
87年7月23日
88年3月2日
所在地
Pasco
La Libertad
Arequipa
Apurimac
Tumbes
面積 (ha)
6,815.00
4,500.00
690.60
3,635.50
2,972.00
04年8月17日
Cusco
215,868.96
09年3月26日
Junín
11,543.74
09年9月3日
Cajamarca
32,124.87
09年12月9日
Amazonas
39,215.80
歴史保護区: 本カテゴリーは、国家として重要度の高い区域のエコシ
ステムを保護するものである。本区域内では、重要な遺跡や考古学的
遺産の標本が存在している。
根拠法
N° 0750-74-AG
N° 119-80-AA
N° 001-81-AA
N° 034-2001-
設立日
74年8月7日
80年8月14日
81年1月8日
01年6月1日
Ⅰ-8 -
所在地
Junín
Ayacucho
Cusco
Lambayeque
面積 (ha)
2,500.00
300.00
32,592.00
5,887.38

直接的利用区域
この区域で認められている活動は、従前より行われていた地元民による自然
資源の利用乃至は採取を含んでおり、当該区域のマスタープラン 18 に定義さ
れている。その他の利用、活動は当該区域の方針の枠組みに則っていなけれ
ばならない。これに該当するエリアには以下のようなものがある。
・ 国立保護区: 生物多様性の保全並びに動植物相、水、土地の持続可
能な利用の為に指定された区域である。商用目的での自然資源の開
発はマスタープランにて定められている方針の下で許容される。
国立保護区
Pampa Galeras Bárbara
D´Achille
Junín
Paracas
Lachay
Ttiticaca
Salinas y Aguada
Blanca
Calipuy
Pacaya-Samiria
Tambopata
Allaphuayo Mishana
Tumbes
Matsés
System of Islands,
Islets and Guano Points
Pucacuro
根拠法
D.S. N° 017-93PCM
D.S. N° 0750-74-AG
D.S. N° 1281-75-AG
D.S. N° 310-77-AG
D.S. N° 185-78-AA
74年8月7日
75年9月25日
77年6月21日
78年10月31日
D.S. N° 070-79-AA
79年8月9日
D.S. N° 004-81-AA
D.S. N° 016-82-AG
D.S. N° 007-2007AG
D.S. N° 048-2000AG
D.S. N° 002-2004AG
D.S. N° 046-2006AG
D.S. N° 014-2009MINAM
D.S. N° 024-2009MINAM
81年1月8日
D.S. N° 015-2010MINAM
•
設立日
93年4月6日
所在地
Ayacucho
Junín and Pasco
Ica
Lima
Puno
Arequipa y
Moquegua
La Libertad
面積 (ha)
6,500.00
53,000.00
335,000.00
5,070.00
36,180.00
366,936.00
64,000.00
82年2月4日
07年1月25日
Loreto
00年9月10日
Madre de Dios
04年1月15日
Loreto
58,069.90
Tumbes
19,266.72
06年7月7日
09年8月26日
09年12月31日
10年10月23日
Loreto
Ancash, Lima, Ica,
Arequipa and
Moquegua
Loreto
2,080,000.00
274,690.00
3,719,347.96
140,833.47
637,953.83
野生生物保護区: この区域の目的は特定の種の繁殖地等生息地の
保持を保証し、当該種の特殊なニーズを満たすことで、その様な種の
個体数を維持する事である。
*18自然保護区域法の第 20 条によれば、マスタープランは、NPA の最重要計画書である。これは一般参加型のプロセス
を経て作成されなければならず、5 年後との見直しが必須で、a) 対象区域の経営に係るゾーニング、方略、政策、b) 必要
となる組織、方針そして具体的な計画と、経営プログラム、c) 対象区域並びにそのバッファーゾーンに係る協力、調整、
参入の為の枠組み、といったものを最低限包含していなければならない。
Ⅰ-9 -
野生動物保護区
Laquipampa
Pantanos de Villa
根拠法
D.S. N° 045-2006AG
D.S. N° 055-2006AG
•
景観保護区
Nor Yauyos – Cochas
Subcuenca del
Cotahuasi
設立日
06年7月7日
所在地
Lambayeque
06年8月31日
Lima
面積 (ha)
8,328.64
263.27
景観保護区: 地理的環境が、人間と自然の調和の取れた関係を映し
出しているが故に保護されている。
根拠法
D.S. 033-2001-AG
設立日
01年5月1日
所在地
Lima and Junín
D.S. 027-2005-AG
05年5月23日
Arequipa
面積 (ha)
221,268.48
490,550.00
共同保護区: 現地のコミュニティにとって利益をもたらす様、動植物相
の保全を目的とした区域である。対象区域において許容される経済活
動はそのマスタープランにて定義されており、受益者自身の手によっ
てなされる。
根拠法
設立日
所在地
面積 (ha)
R.S. N° 193-88-AG88年4月28日
Pasco
34 744,70
DGFF
Huánuco, Pasco and
D.S. 037-2001-AG
01年6月22日
616 413,41
Ucayali
D.S. N° 031-200202年5月9日
Madre de Dios
402 335,62
AG
D.S. N° 021-200303年5月30日
Junín and Cusco
184 468,38
AG
D.S. N° 021-200303年6月30日
Cusco and Junín
218 905,63
AG
D.S. N° 040-2004Ucayali and Madre
04年11月18日
202 033,21
AG
de Dios
D.S. N° 023-200707年8月9日
Amazonas
94 967,68
AG
D.S. N° 021-200909年12月9日
Amazonas
23 597,76
MINAM
•
共同保護区
Yanesha
El Sira
Amarakaeri
Asháninka
Machiguenga
Purús
Tuntanain
Chayu Nain
•
保護林: 高地の河川流域、川岸、その他の水流の保護の保証を助長
する等、一般的には脆弱な土地を侵食から防ぐ事が目的である。自然
資源の利用及びその他の活動の開拓は、当該活動がこの区域の植
生を脅かさないと判断される場合に限って許容される。
Ⅰ-10 -
保護林
Aledaño a la Bocatoma
del Canal Nuevo
Imperial
根拠法
R.S. N° 0007-80AA/DGFF
R.S. N° 0434-82AG/DGFF
R.S. N° 0042-85AG/DGFF
R.S. N° 0101-87AG/DGFF
R.S. N° 0222-87AG/DGFF
R.S. N° 0293-87AG/DGFF
Puquio Santa Rosa
Pui Pui
San Matías – San
Carlos
Pagaibamba
Alto Mayo

狩猟保留地
El Angolo

所在地
面積 (ha)
80年5月19日
Lima
18.11
82年9月2日
La Libertad
72.50
85年1月31日
Junín
60,000.00
87年3月20日
Pasco
145,818.00
87年6月19日
Cajamarca
2,078.38
87年7月23日
San Martin
182,000.00
狩猟保留地: 規制下でのスポーツハンティングの実施を通じて野生動
物の狩猟を許容する区域である。
根拠法
R.S. N° 0264-75-AG
R.S. N° 00462-77AG
Sunchubamba
設立日
設立日
75年7月1日
77年4月22日
所在地
Piura
Cajamarca and La
Libertad
面積 (ha)
65,000.00
59,735.00
リザーブド・エリア
これらの区域は一時的に処遇を保留されている。これらの区域の状態はいず
れも自然保護区域と考えられるべきもので、前述のカテゴリーのいずれかへ位
置づけられるべきであるが、広さ、カテゴリーその他種々の要素を適切に決め
る為に未だ追加の検討を必要としている。但し、保留状態ではあるが、
SINANPE の一部として捉えられている。ペルーには 11 箇所のリザーブド・エリ
アが存在している。
Ⅰ-11 -
リザーブド・エリア
Chancaybaños
Güeppí
Santiago-Comaina
Cordillera de Huayhuash
Sierra del Divisor
Humedales de Puerto
Viejo
San Fernando
Udima
Río Nieva
Lomas de Ancón
Bosque de Zárate
根拠法
D.S. N° 001-96-AG
D.S. N° 003-97-AG
D.S. N° 029-2000AG
D.S. N° 023-2007AG
R.M. N° 1173-2002AG
R.M. N° 283-2006AG
R.M. N° 064-2008AG
R.M. N° 147-2009MINAM
R.M. N° 011-2010MINAM
R.M. N° 187-2010MINAM
R.M. N° 189-2010MINAM
R.M. N° 195-2010MINAM
設立日
96年2月14日
97年4月3日
所在地
Cajamarca
Loreto
00年7月6日
07年8月9日
Amazonas and
Loreto
02年12月20日
Ancash, Huánuco
and Lima
面積 (ha)
2,628.00
625,971.00
398,449.44
67,589.76
06年4月5日
Loreto and Ucayali
1,478,311.39
08年1月29日
Lima
09年7月21日
Ica
10年2月1日
Cajamarca and
Lambayeque
30,503.45
10年10月1日
Amazonas
36,348.30
10年10月6日
Lima
10,962.14
10年10月13日
Lima
545.75
275.81
154,716.37

バッファー・ゾーン
自然保護区域法第 25 条によれば、バッファー・ゾーンとは SINANPE において
自然保護区域に隣接する区域をさしている。バッファー・ゾーンは、自然保護区
域の保全を確実にする為に特別な取り扱いが必要とされる。このバッファー・ゾ
ーンにおいて実行される活動は自然保護区域の健全性に一切のダメージを与
えてはならないとされる。同ゾーンの設定によりエコツーリズム、野生動物の個
体数と生息地の管理と再生、森林農業システムの研究開発といった活動が促
進される。このバッファー・ゾーンを管理する機関は地方森林庁であり、森林・
野生生物局を通じて国の森林庁の管轄下にある。更に、土地が農業用と考え
られる場合は、この区域下で所有権が付与される。但し、この場合は、自然保
護区域隣接地の保全を確保する活動を構築しなければならない。

自然保護区域の経営契約
契約と言う法的手段によって、州は自然保護区域の経営を非営利の民間団体
へ、最大 20 年間委託する。対象区域の経営に係るアサインは、区域そのもの
とそのマスタープランを考慮しながら 4 つの様式を通じて実行される。
・ 自然保護区域の総合経営契約: 契約を請負う者は、マスタープランにお
いて制定された事項に従い、自然保護区域の全被覆における全ての技
術面及び経営面での運用と活動を開発する。
・ 自然保護区域の部分的経営契約: 契約を請負う者は、前もって識別され
た区域内の特定の部分に関して、全てまたは一部の技術面及び経営面
での運用と活動を開発する。
・ 部分的運用経営契約: 契約を請負う者は、対象区域のマスタープラン下
で、前もって識別された技術面及び経営面での、全ての自然保護区域
Ⅰ-12 -
における一定の運用と活動の責任を負う。
・ 自然保護区域の一部における部分的運用経営契約: 契約を請負う者は、
マスタープランに記述された、特定の経営活動に責任を負う。但し、対象
となる区域は、自然保護区域全体のうちの特定区域である。
自然保護区域に係る法律はまた、個人若しくは企業へエコツーリズム活動とい
った持続可能な活動を実施する権利を付与する可能性をはらんでおり、また権
利のなかでもとりわけ、非木材製品の持続可能な経営の権利を、区域の設立
目的を考慮しながら、保護区域内若しくは近傍域に居住する現地のコミュニテ
ィへ付与する可能性を含蓄している。

地域保全区域
Cordillera Escalera
Humedales de
Ventanilla
Albúfera de Medio
Mundo
Comunal Tamshiyacu
Tahuayo
Vilacota Maure
Imiria
Choquequirao
Bosque de Puya
Raimondi – Titankayocc
Ampiyacu Apayacu
SINANPE への補完的区域
地域保全区域: この区域は直接的利用対象と考えられ、生態上の重要性はそ
こまでの適格性がなくても SINAPNE の一部と看做される区域である。但し、こ
れらは SINANPE に対しての補完的区域であり、地方の保全に係る関心に応
えるものである。これらは、地域政府によって確立される。
根拠法
D.S. N° 045-2005-AG
設立日
05年12月22日
所在地
San Martin
面積 (ha)
149,870.00
D.S. N° 074-2006-AG
06年12月19日
Lima
275.45
D.S. N° 006-2007-AG
07年1月24日
Lima
687.71
D.S. N° 010-2009-MINAM
09年5月15日
Loreto
420,080.25
D.S. N° 015-2009-MINAM
D.S. N° 006-2010-MINAM
D.S. N° 022-2010-MINAM
09年8月27日
10年6月15日
10年12月23日
Tacna
Ucayali
Cusco
124,313.18
135,737.52
103,814.39
D.S. N° 023-2010-MINAM
10年12月23日
Ayacucho
D.S. N° 024-2010-MINAM
10年12月23日
Loreto
6,272.39
434,129.54
出展: Environmental Ministry – Natural Protected Areas National Service

民間保全区域: 特有の環境的、生物学的、景観的特性を有し、保全や生物多
様性において SINANPE へ寄与する、民間が所有する土地である。これらは環
境省によって処理される手続きによって特定される。
Ⅰ-13 -
民間保全区域
Chaparrí
Bosque Natural El
Cañoncillo
Pacllón
Huayllapa
Sagrada Familia
Huiquilla
San Antonio
Abra Málaga
Jirishanca
Abra Patricia – Alto
Nieva
Bosque Nublado
Huamanmarca –
Ochuro – Tumpullo
Abra Málaga
Thastayoc – Royal
Cinclodes
Hatun Queuña –
Quishuarani Ccollana
Llamac
Uchimiri
Sele Tecse – Lares
Ayllu
Mantanay
Choquechaca
Tambo Ilusión
Tilacancha
Habana Rural Inn
Refugio K´erenda
Homet
Bahuaja
Tutusima
Bosque Seco
Amotape
Selva Botánica
Herman Dantas
根拠法
R.M. N° 1324-2001AG
R.M. N° 0804-2004AG
R.M. N° 908-2005-AG
R.M. N° 909-2005-AG
R.M. N° 1437-2006AG
R.M. N° 1458-2006AG
R.M. N° 227-2007-AG
R.M. N° 228-2007-AG
R.M. N° 346-2007-AG
設立日
01年12月19日
所在地
Lambayeque y
Cajamarca
04年9月16日
La libertad
05年12月13日
05年12月13日
Ancash
Lima
06年11月23日
Pasco
06年11月30日
Amazonas
07年3月9日
07年3月9日
07年4月24日
Amazonas
Cusco
Huánuco
R.M. N° 621-2007-AG
07年10月16日
Amazonas
R.M. N° 032-2008-AG
R.M. N° 0501-2007AG
08年1月15日
Cusco
08年6月17日
Arequipa
R.M. N° 004-2009-AG
09年1月16日
Cusco
R.M. N° 005-2009-AG
09年1月16日
Cusco
R.M. N° 006-2009-AG
R.M. N° 007-2009-AG
09年1月16日
09年1月16日
Ancash
Arequipa
R.M. N° 072-2010-AG
10年5月6日
Cusco
R.M. N° 073-2010-AG
R.M. N° 074-2010-AG
R.M. N° 075-2010-AG
R.M. N° 118-2010-AG
R.M. N° 156-2010-AG
10年5月6日
10年5月6日
10年5月6日
10年7月6日
10年9月6日
Cusco
Cusco
San Martín
Amazonas
Madre de Dios
R.M. N° 157-2010-AG
10年9月6日
Madre de Dios
R.M. N° 158-2010-AG
R.M. N° 159-2010-AG
10年9月6日
10年9月6日
Madre de Dios
Madre de Dios
R.M. N° 242-2010-AG
10年12月1日
Tumbes
R.M. N° 264-2010-AG
R.M. N° 266-2010-AG
10年12月29日
10年12月29日
Loreto
Loreto
面積 (ha)
34,412.00
1,310.90
12,896.56
21,106.57
75.80
1,140.54
357.39
1,053.00
12,172.91
1,415.74
3,353.88
15,669.00
70.64
234.88
6,037.85
10,253.00
974.22
365.57
2,076.54
14.29
6,800.48
27.79
35.40
5.57
5.43
123.30
170.46
49.07
出展: Environmental Ministry – Natural Protected Areas National Service
ローカル保全区域の制定もまた、保護区域の規制に含まれる。然乍、法律におい
てこれらの区域を規制する特定の章が 2007 年に無効化されている。この決定は、
この特定の法令が自然資源国家機関(INRENA)の責任はローカル保全区域の登
録に限られるのか、あるいは SINANPE の補完的区域の検討も含むべきなのか、
明確に検討してなかったという中央政府の認識による。また、多くのローカル保全
Ⅰ-14 -
地域が経済的な生産活動に対する投資障壁を築く企てとして関連省庁からみなさ
れていたことも、この変更の背景である。こういった事情を受け、保護区域の規制
の修正により SINANPE の枠組みから問題の規制を取消すことを推進した。現在で
は、ローカル保全区域の承認と管理に関する立法上の提案は、国の議会に上げら
れる。これは、新規のローカル保全区域は地方政府の下では一切創出されない事
を意味する。このような変更は自然保護区域法の適用エリアが限定的となってしま
う可能性がある。
但し、この変更は、地方自治体が自身の監督行政区域を管理出来ない、あるいは
自由な保全の手段を採る事が出来ない、と言った事を意味する訳ではない。実際
過去 10 年間、保護区域の確立に係る多様の試みがなされ、今日迄に、ペルー国
土の 15%以上が保護区域のカテゴリー下に入っている。
b.
森林及び野生生物法
森林及び野生生物法の目的は、国家の社会的、経済的、環境的関心と調和して森林
利用と森林環境サービスの段階的な評価を一体的に実施しながら、森林資源の持続
可能な利用と保全の監視し、規制しそして監督する事である。
この法律は、原生林、生産及び保全目的の植林地、そして陸域・水域に関わらず国土
内に生育する植物である野生の要素を森林資源と定義している 19。
森林やその他生育地に保存されている森林資源は、国家の森林遺産と捉えられ、農
業やその他、植生、持続可能な利用または保全へ影響を与えうる目的で利用する事は
できない。
しかしながらペルーでは、農作物の栽培及び定住が既成事実となっている土地に対し、
所有権を付与する事ができる為、上述した森林及び野生生物法と土地利用変化による
農地拡大を包含している農業政策には概念上相違がある。これらの土地は、もともと
森林地だったものが農地へ利用変更され、焼畑や伐採により農作物の確立がなされて
来たケースが多い事が既知である。これはペルーにおける温室効果ガス排出の最大
の要因が土地利用の変化であることとつながる。
森林・野生生物局は農業省の管轄下にあり、目下ペルーが取り組んでいる地方分権化
の枠組の中で、地域政府と共に本法律の施行を担う公的機関である。このように森林
資源の持続可能な利用の促進及び保全と、農地の拡大の促進が、同一の省の管轄下
に置かれると言う事は、上記のような相違点をもたらす。
この状況下、違法伐採などのその他散在する問題を考慮し、ペルーは、米国との FTA
(自由貿易協定) 20 の環境チャプターにおける森林経営を詳述した附属書において、森
林資源および野生資源を飛躍的に促進させ、維持する為、必要な法律改定と機関整
備を約束し、またその様な改変を万全に取り進める事としている。これが、昨年の間、
新規の森林法の制定に向けたプロセスが進められていた理由である。本法案では、ペ
ルーの米国政府との全約束事項を包含しようとしている。本法案は市民社会参加形式
でドラフトされ、現在 ILO 第 169 号の条件下で先住民との協議プロセスに入っている。
*19 従い、これらの枠組みは、森林法並びに自然資源の持続可能な利用に係る基本法に基づくのである。
*20 2006 年 4 月 12 日署名、2007 年 7 月 2 日批准
Ⅰ-15 -
以下において、国家の森林区域の様々な異なったカテゴリー等、現在の森林及び野生
生物法が確立するいくつかの手段について記載する。
 生産森林: 木材やその他の森林サービスの、恒久的で持続可能な確立をなしえ
る特殊な性質を持った区域。
 永続的な生産林: 木材の生産又はその他森林資源開発に利用可能な原生林を
持った区域。現在、約 19 百万 ha の永続的な生産林が国内に分布している。こ
れらの森林は、森林法の下で認識されている唯一のカテゴリーである事は注目
すべき事である。
所在地
Ayacucho
Cusco
Huánuco
Loreto
Madre de Dios
Puno
San Martin
Ucayali
Loreto Ucayali: Biabo Cordillera Azul
合計
区域面積 (ha)
146,298
171,644
622,439
10,281,685
1,935,162
24,998
1,122,131
3,539,996
899,422
18,743,775
出展: MINAG, 2008
 産用保全林: 木材の生産、その他森林資源の開発に利用可能な原生林であり、
将来コンセッションを認可すべく州が保護している森林である。
 将来利用森林: 木材及びその他の森林資源の永続的な生産に向けたプロセスを
進めている森林区域である。これらは以下に分けられる。
 森林植林: 森林として利用可能な土地において、樹木と潅木被覆を回復させた区
域である。
 二次林: 自然現象や人的活動による原生林の減少によって形成された外来種が
優占する森林区域である。
 森林再生区域: 植生や樹木被覆が無く、商用価値の少ない森林地で、森林事業
の生産復旧の為に新規植林及び再植林を必要とする。
 保護地森林:その特有の性質が故に、この土地の目的は土壌保護、水分バラン
スの維持、河川流域管理の為の河畔林保持により、生物多様性と環境保全する
事である。この区域では、エコツーリズム、絶滅危惧の動植物生の再生、非木材
製品の利用(間接利用)といった活動が促進される。
 自然保護区域:生物多様性及びその他環境的、文化的、景観的そして科学的な
面での配慮に紐付く価値の重要性を背景に、自然保護区域法に基づいて制定さ
れた区域である。
 ネイティブコミュニティ森林:“cesion en uso”と呼ばれる、法的枠組みの下で先住民コ
ミュニティに利用権が譲渡された領域内にある区域である。
Ⅰ-16 -
 ローカル森林:森林資源の持続可能な利用が、地元民や定住民に認可された森
林である。
c. 利用規約
前述の通り、憲法では州以外の第三者による自然資源の利用と開発に係る規約が、
基本法の中で検討されるべきだと定めている 21。これはまた、法的基準に基づいてコン
セッションにより保有者へ法的な権利を付与することを制定している。
従って、自然資源の持続可能な利用に係る基本法は、(各自然資源を対象とした) 個別
の法律の取り決めを考慮しつつ、自然資源の持続可能な利用に対する権利を個人に
付与する事を確立しているのである。それ故、森林及び野生動物法では、森林資源に
ついて付与される、3 種の権利を識別している。
 木材森林コンセッション
このコンセッションは、2 つのプロセスを経て認可される。
 競売によるコンセッション: 競売プロセスを通じて、州は、1 万~4 万
ha のユニットで、生産林あたり 12 万 ha を上限とし、認可する事が
出来る。このコンセッションは 40 年間に亘って認可する事が出来る
(更新可能)。このプロセス自体は、未だ実施された事がなく、それ故、
このプロセスの下で認可された森林は存在しない。
 入札によるコンセッション: 入札プロセスでは、5 千~1 万 ha のユニ
ットを、生産林あたり 5 万 ha を上限として 40 年間 (更新可能) にて
認可する事が出来る。本プロセスは、個々の、或いは企業またはそ
の他のビジネス協定にて編成された起業家の関与を促進させる事
を狙いとしており、州が木材コンセッションを認可したことのある唯一
のプロセスである。
契約年\対象
2002
2003
2004
TOTAL
木材森林コンセッション
Madre de Dios
Ucayali
San Martin
55
97
30
79
34
85
176
34
Huanuco
Loreto
48
48
294
294
出展: Ministry of Agriculture – Forestry and Wildlife General Direction
 非木材森林コンセッション
 その他林産品に係るコンセッション: 葉、花、果物、種子、幹、茎、根
そして天然ゴム、樹脂等といった木材以外の林産品の、永続的生産林
及び森林地の保護の範疇おける、利用権の付与を意味する。
*21 憲法第 106 条には以下文言がある: “by organic laws are regulated the structure and functions of certain entities
of the government established in the Constitution, as well as those aspects established in the Constitution. The
projects of organic laws require for its approval or modification the votes of more than the half of legal numbers of the
Congress”.
Ⅰ-17 -
所在地
Loreto
Madre de Dios
San Martín
TOTAL
非木材森林コンセッション
ブラジルナッツ
パラゴムノキ
983
983
野生生物管理
1
23
23
1
2
出 典 : Ministry of Agriculture – Forestry and Wildlife General Direction. “Perú
Forestal en Números - 2009”. Annex 2.
 エコツーリズムに係るコンセッション: このコンセッションにより、契約
で規定された条件と制限に従って、一つの資源として景観を享受する
権利を、州は供与するのである。本コンセッションは、1 万 ha を上限と
し、永続的な生産林乃至は保護地の森林に分類されない森林におい
て、40 年間を上限 (更新可能) に与えられるものである。
所在地
Ancash
Cusco
Ica
Junín
Loreto
Madre de Dios
Tumbes
Ucayali
TOTAL
エコツーリズコンセッション
コンセッション数
対象領域面積 (ha)
1
104,06
1
2,000.00
1
1,438.36
2
3,462.86
3
10,168.69
18
37,122.88
2
101.94
1
5,375.31
29
59,774.10
出 展 : Ministry of Agriculture – Forestry and Wildlife General Direction. “Perú
Forestal en Números - 2009”. Annex 2.
 保全に係るコンセッション: このコンセッションは、最大 40 年間 (更新
可能) に亘って保護地の森林における生物多様性プロジェクトの開発
の為に付与されるものである。このコンセッションの区域は、国家森林
局によって承認される技術的調査に基づき、河川流域管理の基準、包
含される森林エコシステムの種類、及び生物多様性管理に係る要求を
考慮して定義される。
保全コンセッション
コンセッション数
1
1
1
4
7
1
2
1
1
19
所在地
Cusco
Ica
Junín
Loreto
Madre de Dios
Piura
San Martin
Tumbes
Ucayali
TOTAL
対象領域面積 (ha)
6,975.99
513.31
1,776.54
303,437.58
164,567.99
7,889.80
150,894.49
7,445.93
12,559.91
656,101.54
出 展 : Ministry of Agriculture – Forestry and Wildlife General Direction. “Perú
Forestal en Números - 2009”. Annex 2.
Ⅰ-18 -
 許可と権限付与: いずれも、地域森林局が国家森林局のガイドライ
ンに沿って特定の自然資源利用の権利を付与する行政行為である。

許可: 以下の権利を付与する。
a.
b.
c.
d.
私有地の森林
二次林
森林植林
ローカル森林
 権限付与: 以下の利用に係る権利を付与する。
a.
b.
c.
d.
海岸の乾燥林
繁殖の目的、保全やマーケティング、又は文化的な目的
の為の、苗畑における樹木種の確立
野生動物飼育センター、動物園、救助センター、フォレスト
ケアセンターの経営と利用
科学と文化の為の植物相及び野生動物資源の採取を目
的とした土地利用変更
Ⅰ-19 -
表:2009 年になされた許可と権限付与
ネイティブコミュニティ
地方コミュニティ
への許可
への許可
Numb Surfa Volu Numb Surfa Volu
er
ce
me
er
ce
me
許可
所在地
Amazonas
Ancash
Apurimac
Arequipa
Ayacucho
Cajamarc
a
Cusco
Huancave
lica
Huánuco
Ica
Junín
Numb
er
Surfa
ce
6
34
303
Volu
me
6,482
13
250
38,08
3
32
309
1
27
202
126
27,63
1
40
1,672
1
10
19,60
2
423
11
4,238
La
Libertad
Lambayeq
ue
Lima
Loreto
326
4
121
4
4,153
Madre de
Dios
Moquegua
Pasco
Piura
Puno
San
Martin
Tacna
Tumbes
Ucayali
291
11
11,05
3
0,4
549
54,38
8
98,88
0
185
31
1
739
13
9,922
3,890
31
13
263
2
429
4,059
4
2,423
1,370
18,24
7
351,1
95
41
16,56
8
合計
権限付与
Numb
er
Surfa
ce
Volu
me
212
5,182
73,77
7
39,78
7
101,6
33
8,384
69,99
5
86,83
8
18
3,602
3
5,504
5
801
30,41
6
41,55
8
4
2,108
19,75
1
2
143
690
5,547
29,16
8
176,6
84
52
2,838
170,2
45
4
200
18
6,320
234
5,182
80,29
7
出展: Ministry of Agriculture – Forestry and Wildlife General Direction. “Perú Forestal en Números - 2009”.
 再植林コンセッション
この法的枠組みは、森林及び野生生物法 (法律第 27308 号) にて定義さ
れる。本枠組みでは、自然資源国家機関 (スペイン語の頭字語で
INRENA) は、森林地利用及び森林再生において 4 万ヘクタール迄の区域
における再植林及び新規植林のコンセッション権を 40 年間 (更新可能) の
Ⅰ-20 -
期間に亘って付与する役割を担うことが制定された。本枠組みの下で、
Madre de Dios の様な区域にて様々な権利が付与された。
然乍、 再植林及びアグロフォレストリーへの民間投資促進法 (法律第
28852 号 22) が施行されて、新たな法的枠組みが、一般環境法 (法律第
28611 号 23) の下で設計された。本法律は、再植林及びアグロフォレストリ
ーコンセッションは、森林被覆のない森林区及び休閑地において 1 万 ha
迄の区域に対して付与する事を定めている。また、本法律は、民間投資促
進機構 (スペイン語の頭字語で PROINVERSION) が、地域政府と共にこれ
らのコンセッション付与に係る入札プロセスを担う事も、定めている。
本法律の制定以来、ペルーにおける植林及び再植林の効果的な促進はコ
ンセッション権ではなく私有地の認可によって可能となるという構想の下で、
これらの区域における所有権の付与を目的に、本法律の修正を試みるプ
ロジェクトがいくつかあった。然し、前のセクションにて明示した様に、森林
被覆の有無に関わらず森林地は自然資源と看做され、上述の構想を実行
不可能なものにしている。
更に、ペルーにおける植林または再植林を促進する為、森林減少区域の
特定に係る情報 24 が必要である。これに関連して、2011 年 1 月に環境省
が国家森林遺産マップ を、ペルーアマゾンにおける森林減少区域を特定
する最初の重要なステップとして発行したことは認識すべきである。
本セクションで述べた様に、ペルーの森林に係る法律は、第三者による森
林区域への投資への非常に魅力的なインセンティブを確立している。然乍、
農業省を通じて付与される権利の多くは、違法行為 (伐採、採鉱等) 防止
への政府支援欠如、民間投資家の対象区域の実態 (生産性要素等) に係
る知識不足、効率的な生産活動を確立する為のリソース不足等、様々な
理由を背景に、効果的に実践されてきたとは言い難い。残念な事に、森林
に係る (特に木材コンセッションに関する) 権利保有者の多くは、違法行為
(経営計画の熟慮を一切怠った木材搾取、現場での実証なくしての経営計
画作成等) に走る事が判明している。
更に、森林に係る権利保有者が契約を順守する為に有する様々な義務は、
それらの活動を違法伐採と比較した時に経済的採算性があるものに出来
ておらず、それ故法律に則った活動の市場機会は殆どなかった。
特定の権利保有者が、REDD スキームの確立に、効果的で持続可能な森
林経営を実行する経済的インセンティブそして機会を見出すのは、こういっ
た理由である。
ii) 先住民
25
ペルーでは、国内の法律は先住民を、ネイティブコミュニティと農民コミュニティの 2 つの主なカ
テゴリーに分けている。これらのカテゴリーは、主としてそのロケーションが差異になる。ネイティ
*24 所在地、面積、付与された権利等を特定する
*23 2005 年 10 月 13 日付
*24所在地、面積、付与された権利等を特定する
*25 本情報は以下に基づく: Information based on: CAPELLA, José Luis and Sandoval, Milagros. “REDD in Peru: Legal
considerations for its legal implementation”. Lima, 2010 Pages: 79-81.
Ⅰ-21 -
ブコミュニティは熱帯雨林 26 にその存在が見られる一方、農民コミュニティは高地 27 に位置す
る。但し、特定の熱帯雨林区域では農民に分類されるコミュニティを見ることが出来、且つ彼ら
の土地はネイティブコミュニティの土地としての扱いを受けており、前述の区分は全てのケース
に適用されるわけではない。こういった状況ではあるが、冒頭に述べた様に、いずれのカテゴリ
ーも、ILO 第 169 号の下で、先住民として看做されている。
特に、ネイティブコミュニティの場合における土着の土地の取り扱いに関しては、 “the Agency
for Formalization of Informal Property” (スペイン語の頭字語で COFOPRI) に基づき、1,260 の
ネイティブコミュニティが 1975 年以来法的に認識されてきた。ネイティブコミュニティの認識は、
コミュニティ員が居住する区域における法的権利の取得に向けた最初の一歩である。
上述の 1,260 のコミュニティは、約 10,782,211 ha の区域を占める。然乍、本セクションで後述す
るが、これらの土地の全てが所有権を付与されてはいない28。
また、COFOPRI の公開情報によれば、ペルーアマゾンでは 237 の認識済のコミュニティが所有
権を保留されている土地を有している。但し、この公式の数字には、認識プロセスの過程にある
コミュニティや、土地拡大を要望しているコミュニティは含まれていない。
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
合計
出展:
所在地
AMAZONAS
AYACUCHO
CAJAMARCA
CUSCO
HUANUCO
JUNIN
LORETO
MADRE DE
DIOS
PASCO
SAN MARTIN
UCAYALI
COFOPRI,
登録済の
ネイティブコミュニティ
コミュニティ数
世帯数
176
9,817
2
21
2
281
62
4,550
16
402
176
6,187
642
17,756
所有権付与済の
ネイティブコミュニティ
コミュニティ数
総面積 (ha)
170
1,422,951.3077
0
0
2
117,936.8200
58
854,738.7265
8
76,033.5826
158
697,193.7562
491
4,474,260.6635
所有権保留
のコミュニテ
ィ
6
2
0
4
8
18
151
26
719
23
376,931.0135
3
118
30
247
1,497
3,615
961
8,204
52,513
98
29
223
1,260
439,791.9105
221,730.8188
2,105,643.2410
10´787,211.8403
20
1
24
237
2008.
ペルー国法では、土地の利用適性に従ってコミュニティの土地利用を規制している。これにより、
森林及び野生生物保護法の場合同様、憲法及び自然資源の持続可能な利用に係る基本法の
枠組みの下で、ネイティブコミュニティの利益となる権利の付与が実行される。
森林地の利用権はネイティブコミュニティへ、「cesión en uso」と呼ばれる権利を通じて付与され
る。「cesión en uso」は、コミュニティへ所有権を供するものではなく、類似の権利 (所有権と比し
て相当制限的ではあるが) をコンセッションとして付与する。つまり、これらの森林地は国家森林
遺産 29 と考えられる為、私有地として認可される事はないのである。他方、憲法第 88 条 30 に
*26 ネイティブコミュニティ及び熱帯雨林農業開発法 (法律第 22175 号)
*27 農民コミュニティに係る一般法 (法律第 24656 号)
*28 出展:
http://www.minem.gob.pe/minem/archivos/exposiconcofopridemarcaci%C3%83%C2%B3n%20de%20comunidades%20nativa
s%202.pdf
*29 関連ペルー法律: ペルー国憲法、自然資源の持続可能な利用に係る基本法、森林及び野生動物法
*30 ペルー国憲法第 88 条によれば、農業及び家畜に適性のある土地は州によって私有地として認可される。これは、
ペルーの法律体系において、こういった取扱いを受ける自然資源を作り出す唯一の例外である。
Ⅰ-22 -
よれば、農地利用は私有地にて認可され、コミュニティ領域下の農地はその様な土地として、こ
うして認可されるのである。従い、共有地は、概して、2 つの異なったタイプの規制下におかれる
のである。
下表の通り、ネイティブコミュニティへ認可された共有地の殆どが、農地利用に相当する (私有
地へ認可されている)。然乍、共有地は生活の単位であり、その主たる目的の一つとして社会活
動の開発を有している事は理解しなければならない。
所有権付与済
のネイティブコ
ミュニティ
1,260
出典:
COFOPRI,
所有権付与済
の区域
CESIÓN EN
USO
6´386,788.2340
3´179,436.4888
国有財産(国
道、河川敷
等)
177,782.0777
用途未定地
219,882.0320
合計
10´503,888.8325
2008.
また、共有地を登録する為には、コミュニティは農地利用の権利を有していなければならず、そ
して森林地利用に係る署名された「cesión en uso」合意書を保有している必要がある。然乍、コ
ミュニティが土地を所持し、上述の署名済合意書を持っていたとしても、時として、様々な理由で
その土地の公共登録が決着しない場合がある。
ILO 第 169 号にて定められている様に、これらの土地は共有領土の一部と考えられ、従って各
コミュニティの管理下にある。コミュニティが自身の土地内に存在する自然資源の利用を希望す
る際、即ち当該利用から経済的な利益を得る場合は、国の法律がこれら利益にアクセスするた
めのプロセスを特定するべきであるが、まだ法整備が完全ではなく、緊急の課題である。例え
ば、森林地利用における自然資源の持続可能な経営の為、ネイティブコミュニティは、担当の森
林局 31 へ許可申請しなければならない。
農民コミュニティの場合は、この情報は COFOPRI によって提供される。
把握されている
農民コミュニティ
6,066
所有権付与済の
農民コミュニティ
5,039
所有権保留の
農民コミュニティ
1,027
区域 (ha)
23´153,744.0110
出展: COFOPRI 2008
6,066 の把握済の農民コミュニティの内、90 のコミュニティはペルーアマゾンのもので、45 は所
有権を保有している。ペルーアマゾンでは、ペルーの法律によって熱帯雨林の農民コミュニティ
として認識される、アンデス山脈の文化で生きる川沿いのコミュニティも散見される事は特筆す
べき事である。この場合、森林地利用は「cesión en uso」合意によって認可され、従ってこの特
別な場合においては、法的な条件はネイティブコミュニティと等価である。
最後に、現在の法的枠組みは、「cesión en uso」合意下の環境サービスに係る農民若しくはネ
イティブの権利に関する詳述が一切ない事を理解しなければならない。従って、先住民を REDD
の議論への包含を促進する為には、法律において、これらのコミュニティの土地及びこれらの
土地が提供する環境サービスに係るコミュニティの権利を保障する条項の作成を優先付ける必
要がある。
iii) 国家レベルでの保全構想
2008 年、ペルーは「気候変動の抑制に向けたペルーイニシアティブ: 森林及び環境サービスの
保全」を、ポーランドのポズナンで開催された COP (締約国会議: Conference of the Parties) 14
*31 現在は地域政府
Ⅰ-23 -
の場にて、UNFCCC (気 候変動に関する国際連合枠組条約: United Nations Framework
Convention on Climate Change) の枠組みの下、打ち出した。
この構想は、ペルーの熱帯林を、保護区域の森林、先住民の土地の森林、コンセッション (木材
及び非木材) が認可された森林等といった様々なカテゴリーに至って保全する事を提案してい
る。
2010 年 6 月 、 ペ ル ー は 、 同 国 と し て の NAMA ( 国 ご と の 適 切 な 削 減 活 動 : Nationally
Appropriate Mitigation Actions) を、コペンハーゲン合意の枠組みの下、UNCCC の事務局へ提
出し、2021 年迄に原生林のネット減少率をゼロにする事を約束している。
この枠組みの下、ペルーでの保全プログラムは、この目標を実現する為の中核要素であり、ペ
ルーに見られる生物多様性の重要性や、先住民などのこれらの生態系に依存する人々の生活
手段を保護する事の重要性を考慮して、優先事項と認識されている。
2010 年に環境省が気候変動緩和の為の国家森林保全プログラム 32 を打ち出したのはこうした
背景によるものである。この国家プログラムの主たる目標は、気候変動の緩和及び持続可能な
開発への寄与として、5,400 万 ha の熱帯林を保全する事である。本プログラムは、森林のより
大きな価値は、木材生産のみならず、食料、薬品や働き口といった他の製品やサービスの提供、
そして気候変動効果の緩和としての重要性などに根ざしている事を示している。
この枠組みにおいて、REDD+のメカニズムは、本プログラムの下でペルー政府が優先付けてい
る 5,400 万 ha の森林の保全を伴う野心的な目標実現への貢献が見込まれる。
本国家プログラムは、その枠組みに包含される 5,400 万 ha の森林において策定中もしくは作
成中の過程にある構想を調整する、プラットフォームとしての役割を果たすことになる。
*32 2010 年 7 月 15 日付政命令 N° 008-2010-MINAM により創出された。
Ⅰ-24 -
Ⅰ-25 -
本プログラムの運用マニュアル
いる。



33
には、とりわけ、本プログラムの以下目的詳細が記載されて
森林保全の対象区域の特定及びマッピング
貧困層の所得創出を目的とした、森林に基づく持続可能な生産シス
テム開発の促進
地域政府及び地方自治体、並びに地方コミュニティやネイティブコミュ
ニティの構成員の、森林保全に係る能力強化
この構想は、農業への過度な依存、急激な人口増加、貧困、気候変動への抵抗力の限定性を
克服する革新的手段を創出しなければならないのである。
iv) 地域レベルでの構想
ペルーは共和国としての黎明期から、非常に中央集権的な国である。ペルーの首都であるリマ
は、全ての意思決定プロセスを集中させ、多くの場合、地政学的にペルーを構成する 24 の州
に居住する人々の介入なしに意思決定がなされていた。
立法機関及び行政機関はいずれもリマに集中しており、立法機関の組織には地域の代表者が
居たにも関わらず、都市部から遠地に居住する人々が政治的な議論に介入する機会はこれと
言ってなかった。これは特にアマゾン地域に位置する州で顕著である。開発政策の策定におい
て貧困層のニーズや開発機会を考慮されてこなかった事を考えると、都市部からの遠地域にお
いて、多くの場合貧困の度合いが上昇し続けてきたのにはこうした背景があるのである。ほとん
どの場合、熱帯林地域で実施された開発モデルは、先住民や現地のコミュニティを考慮する事
なく、彼らが住む区域を無人領域と位置づけたのである。こうした所謂「バージン ランド」への居
住を促進する為、先祖代々からの住民を考慮せず、多くの場合熱帯雨林そのものにとって有害
な開発形態を彼らにもたらし、移住が促進されたのである。
これら過去の政策を覆す為、ペルー政府は地方分権化のプロセスを実施している。このプロセ
スを通じて中央政府の様々な部門の権限が、地域あるいは州の政府へ委譲されてきている。こ
の枠組みの下で、権限によっては完全に委譲がなされ、ある権限は中央政府と地域政府の間
で共有され、またその他は中央政府で引き続き留保された。
森林分野での具体的な事例としては、地域政府は、前述の木材コンセッションや保全コンセッシ
ョン等、管轄の森林資源に係る権利を認可する権限を有している。更に地域政府は、土地利用、
土地の許容能力及びその地域における開発ニーズ等を考慮して、その地域のゾーニングを策
定する権利と義務を有している。自然保護区域に係る権限に関しては、本報告書の別のセクシ
ョンにて述べている様に、地域政府はその地域の保全構想を提案する権利を有する。
地域政府基本法34に基づき、国家戦略の枠組みの下で策定された地域の政策に従い、地域政
府がその機能を開発することは特筆すべき事である。この権能を考慮し、環境的なニーズと課
題へ正確に対処する最も正しい方法を見極める為に、多くの地域政府は現在、自身の組織構
造を見直している。一つの興味深い例がサン・マルティン州である。サン・マルティン政府は、提
案がなされている地方環境局 (スペイン語の頭字語で ARA) を有し、環境的な課題への取組み
を強化するため、ARA の下で、環境関係の権限を有する既存の全ての地域局統合しようとして
いる。別の興味深い構想としては、地域政府組織の下に先住民オフィスを設立する、というもの
であり、これもサン・マルティン州政府におけるものである。このオフィスは、その目的の一つとし
て、サン・マルティン地域における意思決定への全面的参加を含む、先住民の権利を確保する
*33 2010 年 9 月 13 日付省決議 N° 167-2010-MINAM によって承認された。
*34法律第 27867 号
Ⅰ-26 -
ことになる。
保護区域の法律に関する章で述べたように、地域政府は、管轄区域における保全区域を確立
し、地域の保全ニーズの優先順位を決めることが出来る。
環境サービスの場合、上述の法律は、天然林または自然保護区域が存在する地域において環
境サービスを売り込む為に、地域の政府が計画を立て、プログラムを創出及び実行する機能を
持つ事を制定している。この機能は、策定中の国家政策を考慮し、地域または現地の保護区域
や、森林法の下で認可される様々なタイプのコンセッションといった、地域政府が直営する区域
2) バイオマスと炭素蓄積量–土地被覆分類図作成の現状
環境省は、ローカル及びインターナショナルパートナーと様々な共同案件・技術協力を行っている。詳細
は以下の通り:
 MINAM(環境省)-CARNEGIE Agreement:
機関間研究協力と技術の実用化を通して、ペルーの土地利用や森林地域状況に関連する
調査を GIS・リモートセンシングを活用して実施。同協力は、2000 年・2005 年・2009 年の
LANDSAT5 衛星データを用いペルーアマゾンの森林の減少及び変化に関する土地被覆分
類図作成も含む。
 Group on Earth Observations (GEO) Cooperation:
環境省は GEO の支援を得て森林及び炭素蓄積量モニタリングシステムを構築。同システ
ムは UNFCCC での MRV に関する交渉上重要な要素となる。7 つの地区が選定され、内 4
つは保護地域に属する。
 Cooperation with Andean Nation Community (CAN):
サブナショナルレベルでの土地被覆の変化の調査及びそれがエコシステムレベルでの生
物多様性に与える影響についての調査実施
農業省(MINAG)は FAO と協力し、国レベルでの森林インベントリの作成・実施を優先課題としているが
同インベントリが炭素蓄積量を含むかどうかは今のところ不明である。
3) ベースライン設定の現状
ペルーの森林減少及び劣化に関する情報は、(1) アップデートが限定的、(2) 現地調査による検証がさ
れていない、(3) 森林に関する専門能力を有する公的機関に検証されていないといった問題を有する。
リモートセンシングを使用して作成された 2000 年以前の森林減少の地図はあるが、今後地上データで
検証された森林減少及び劣化に関する情報の管理がペルーにおいて最も緊急性の高いニーズのひと
つである。
Gordon and Betty Moore Foundation より環境省に与えられた無償資金の主要目的は REDD プラス戦
略の開発及びナショナルプラットフォームの構築である。同案件は以下の 3 つの項目が含まれ、今後の
ベースライン設定を推し進めるものである:(1)空間地理情報とリモートセンシングツールの適用の方法
に関する基準(MRV)、(2)制度・法律の調整メカニズム、(3)パイロットプロジェクトの実施。上記に加え
て、ドイツ復興金融公庫(KfW)はナショナル REDD の実施、リージョナルの参照シナリオ制定の手続きと
手順の設計、REDD の国別登録簿の制定、国レベルでの REDD のファイナンスメカニズムの作成を支
援する為に 630 万ユーロのプログラムを準備している。
環境省の優先事項に掲げられている上記のナショナルイニシアチブに加えて、サン・マルティン地域とマ
ドレデディオス地域におけるベースライン設定を含むリージョナル REDD プラスイニシアチブも特筆すべ
き点であり、後に詳細を記載する。
Ⅰ-27 -
4) 森林の減少・劣化の歴史的要因
ペルーでは森林の減少要因は地域によって異なる。アマゾン地域において挙げられる要因は、中小農
業・大型農業・人工林による森林伐採及び焼畑、コカ等の違法栽培・滑走路や道路等のインフラ建設・
違法金鉱採掘(マドレデディオス)の為の森林開拓、人口増加に起因する土地資源の需要がある。
上記のような活動は、森林自体から生み出される経済的便益は限られるとみなし、結果的に森林伐採・
劣化を引き起こすとしても、経済的便益を生み出す産業を認める必要があるという開発政策によって支
えられている。このような国の開発政策が起因して森林伐採・劣化が引き起こされていると考えられる。
National Reforestation Plan 及び IRENA(Forest Information Center of the National Institute of Natural
Resources)によって作成された 2000 年の Forest Map(準備中のデータ)によると、7,388, 002 ha が伐
採され、その内 3,720,200 ha は非居住区域、3,667,802 ha は居住区域となっている。
又 2000 年に PROCLIM(Program for Strengthening National Capacity to manage the Impact of
Climate Change and Air Pollution)がリモートセンシングを使用して作成した Map of Peruvian Amazon
Deforestation によると、アマゾン川流域に元来拡がっていた熱帯雨林は 77,535,348 ha におよび、ペル
ー全土地面積の 60.3%に当たるとしている。
Ⅰ-28 -
図:Peruvian Amazon Deforestation Map(2000 年)
出典: PROCLIM Project
Ⅰ-29 -
PROCLIM は、2000 年までの熱帯雨林における累積森林減少量は 7,172,953 ha に相当し、1990 年から
2000 年の年間の森林減少率は 150,000 ha/年になると推定している。下記表は 2000 年までに累積し
た地域別の森林減少面積及び割合を示している。
2000 年までの地域別森林減少面積(累積)
地域名
全体の森林減少率に占める割
合
(%)
森林減少面積(ha.)
San Martín
Amazonas
Loreto
Junín
Ucayali
Huanuco
Cusco
Cajamarca
Pasco
Madre de Dios
Puno
Ayacucho
Huancavelica
Piura
La Libertad
合計
1,327,736.15
1,001,540.11
945,642.15
734,303.77
627,096.73
600,654.46
537,632.37
520,061.64
302,020.89
203,891.86
146,041.32
135,373.07
51,990.69
31,737.07
7,231.69
7,172,953.97
18.51
13.96
13.18
10.24
8.74
8.37
7.50
7.25
4.21
2.84
2.04
1.89
0.72
0.44
0.10
100.00
出典: PROCLIM データより作成
上述した点に加えて、PROCLIM は、森林伐採後の土地利用を下表のようにまとめ、森林が消失した大
部分の土地は、農業開拓地の拡大によるものと結論づけた。
表:土地利用による森林減少
土地利用
農地
放牧地
二次林
二次林/農地
裸地
合計
森林減少面積 (ha.)
690.514,54
1.179.982,14
2.067.765,17
3.168.727,48
65.564,64
7.172.553,97
出典: INRENA, PROCLIM-CONAM Project
2000 年以降ペルーにおける公式な森林減少率は発表されておらず、直近の森林減少の推定が緊急課
題となっている。非公式推定であるが、INRENA の調査において 2009 年までのペルーアマゾンにおけ
る森林減少面積は 8.5 百万ヘクタールに相当するとしている。
UNFCCC の第二次国別報告書内で報告された“Causes and mitigation measures in critical areas of
deforestation in the Peruvian Amazon and the emission of Greenhouse Gases”において、ペルーアマゾ
Ⅰ-30 -
ン及び優先地域35での森林減少の要因は、アンデス地域からの移住者や小規模地主の放牧及び農業
による焼畑であると分析している。同報告では以下の点も森林減少の要因としている:
 農業開拓地拡大の為森林地域への移住を推奨した 1940 年から 1970 年の国策。
 熱帯林へのアクセスを可能とした新しい道路建設。
 人口増加。National Institute of Statistics and Informatics の統計によると熱帯林に居住す
る人口は 1981 年の 177 万 2 千人から 2007 年には 401 万 1 千人に増加し、その中でもロ
レト・サンマルティンが最も人口が多いエリアである。
 貧困は、森林減少の要因と関係の強い重要な指標である36。
ICRAF(International Agroforestry Center)が“Reducing emissions from all land uses” (REALU for its
Spanish acronym) Project Report Phase 137においてペルーアマゾンにおける森林減少の直接的要因
の分析を行ったものを下記の通り紹介する:
表:ペルーアマゾンにおける森林減少及び森林劣化の直接的要因
注:()内は下記出典元を参照
中央アマゾン
森林減少及び森林劣 北アマゾン
南アマゾン
化の直接的要因
(ロレト・サンマルティン) (マドレデディオス・アブ (ウカヤリ)
リマック・エネ川流域)
インフラ開発
道路の開通 (6), 石油探査経路の開通(15)
農業の拡大
将来の北部における大
ブラジル-太平洋の大洋
プカルパ-リマ間をつなぐ
洋間高速道路 (北部)
間高速道路:IIRSA (3,4)
“Federico Basadre” 高速道路
(4) 及び Iquitos-Nauta
と“Marginal de la Selva” 道路
道路 (14)
(1)
穀物栽培の為の焼畑・伐採 (7 and 8 cited in 6)
ロレトにおける休閑期
大規模農園の推進(4)
焼畑による一年生作物の生産
間の短期化(9)
(2,6,11)
サン・マルティンにおけ
1990 年代の二次林における放
るパーム油等大型穀
牧(1)
物栽培の推進(4.5)
2000 年以降行われている河岸
での農業 (1)
伐採
19 世紀半ばロレトにお
増加している新規市場
移住者が定住する為の林道
ける天然ゴムの開拓
*35 “Causes and mitigation measures in critical areas of deforestation in the Peruvian Amazon and the emission of
Greenhouse Gases” においての 3 つの優先地域は 1)サン・マルティン地域のマヨ川流域、2) マドレデディオス地域のイナ
バリ川河口、タンボパ川中域、マドレデディオス地域の“Mazuko”-“Puerto Maldonado”-“Iberia”-“Iñapari” (Madre de
Dios region) 3) クスコ地域“La Convención”地区のウルバンバ川上流。
*36農山村地域の貧困層は、生態系サービスへの依存が強く、森林を含む自然資源に頼った生活をしているため、森林
減少と強く関係していると一般的に言われている。
*37 Velarde SJ, Ugarte-Guerra J, Rügnitz Tito M, Capella JL, Sandoval M, Hyman G, Castro A, Marín JA y Barona E.
2010. Reducing emissions from all land uses. REALU Peru Project Report Phase 1. ICRAF Working Paper No. 110. ASB
– World Agroforestry Centre (ICRAF). Lima, Perú.
Ⅰ-31 -
(9)及び沼沢林における
参入(4)
(1)
水銀等有毒鉱物の川で
該当なし
石炭生産 (12)
金鉱採掘
該当なし
の使用(4)
エネルギープロジェクト
2/3 のアマゾンにおいて民間企業に供与された 48 の石油及び天然ガスの権益 (15)
水力発電プロジェクト石
油・天然ガスの開拓・探
査 (4.15)、今後建設され
る Inambari ダム(10)、
その他
ワヤガ上流におけるコ
VRAE におけるコカの葉
Aguaytía 上流におけるコカの
カの葉栽培 (4,13)
栽培 (10)
葉栽培 (1985 年-95 年) (1)
火災制御の欠如(1)
出典: (1) Ugarte, J., 2009; (2) White y otros, 2005a; (3) Greenox, 2009; (4) Pautrat y otros, 2009; (5) Capella y Sandoval,
2010; (6) MINAM, 2009; (7) MINAG, 2002; (8) Dourojeanni, 1987; (9) Coomes y otros, 2000; (10) Dourojeanni y otros,
2010; (11) White y otros, 2005a y b; (12) Arce-Nazario, 2007; (13) Young, 1996; (14) Maki y otros, 2001; (15) Finer y
otros, 2008.
表:ペルーアマゾンンにおける森林減少の根本的要因
森林減少の根本的要因
北アマゾン
(ロレト・サンマルティ
ン)
南アマゾン
(マドレデディオス・アブ
リマック・エネ川流域)
中央アマゾン
(ウカヤリ)
人口増加
アンデスの移住者(4)
アンデスの移住者(4)
アンデスの移住者 (4) 及び労
働力の可用性 (2)
人口増加。National Institute of Statistics and Informatics (INEI)の統計によると熱
帯林に居住する人口は 1981 年の 177 万 2 千人から 2007 年には 401 万 1 千人
に増加し、その中でもロレト・サンマルティンが最も人口が多いエリアである(6)
経済的要因
IIRSA を通じた世界
IIRSA を通じた世界市場
市場へのアクセス (4)
へのアクセス (4)
農業ローン (7,11)
農業ローン (8,11)
休閑期間の短期化
は、貧困や森林への
アクセスの低さと関連
(9)
Ⅰ-32 -
農業ローン (2)
アマゾンの農村地域における貧困は 1985 年の 68%から 2000 年には 69%へ増
加したことから、森林をベースとして短期間で収入を得ることができる経済活動の
必要性が生まれた(6).
新たな地域の開発(6)
該当なし
該当なし
技術的要因
該当なし
制度的・政治的要因
国レベルにおいて、短中長期の国としての透明性の高い発展計画及び隣国の政
治的経済的関心の分析の欠如(10) 及び制度的調整の欠如
1940 年-1970 年:
中山間地域の林業目的の定
農業拡大の為の熱帯林への移住奨励の国策(6).
住 “Alexander von Humboldt”
(1983 年) (1)
土地財産の形式化・促進に関する政策 (4).
リージョナルレベルでの土地経営に関する政策
農業活動を行う地主によるラ
ンドタイトル・形式化(1) (4)
の欠如 (4).
エネルギー・交通セクターでの大型プロジェクトに
関する戦略的環境アセスメントの欠如(4).
バイオ燃料に関する国策 (4).
文化的要因
1945 年からのアマゾンの生態
系の管理ノウハウをほとんど
有さないアンデス移住者(1)
貧困に関連する地元生産者の短期的観測(6)
出典: (1) Ugarte-Guerra, 2009; (2) White and others, 2005a; (3) Greenox, 2009; (4) Pautrat and others, 2009; (5)
Capella and Sandoval, 2010; (6) MINAM, 2009; (7) Coomes, O. 1996; (8) Naughton Treves, 2003; (9) Coomes and others,
2000; (10) Dourojeanni and others, 2009; (11) Arce-Nazario, 2007; (12) Alvarez y Naughton-Treves, 2003.
Ⅰ-33 -
2. ペルーにおけるナショナル REDD+戦略
1) REDD+に対する政策の位置づけ
ペルーは、ラテンアメリカで第 2 位 (トップはブラジル) 、全世界で第 4 位 (ブラジル、コンゴ民主共和
国、インドネシアに次ぐ) の熱帯林保有国である。ペルーでは多様な文化性を背景に、生物多様性も
豊かなエコシステムサービスが約 70 百万ヘクタールを超える森林に宿っている38。
アマゾン流域の他国と比して、ペルーの森林減少率は極めて低いものだが近年では森林現象の脅威
が差し迫っている。その要因のひとつは加速度的に進む経済成長であり、これは自然資源の開発に
依るところも大きい。 (ここ 2~3 年の経済成長率は年間平均 5%)
かかる状況下でペルーにとっての主な課題は如何に保全を行いながら富を形成していくかということ
であり、REDD+の様な新しい持続可能な経済メカニズムもひとつの選択肢となる。
ペルー環境省の解釈によると、REDD+は積極的な森林保全を促すひとつの資金供与スキームであり
(payment scheme)、現地のコミュニティが直接参加して持続可能な森林経営を行う活動に対して適
用されるものである。
つまり、地域経済活性化と生活に不可欠な自然の機能保護を両立させることによる経済的価値の創
出を REDD+は可能にするメカニズムだと認識されている 39。
ペルーは、1993 年 5 月 24 日に国連の気候変動枠組条約(United Natioins’ Convention for Climate
Change = UNFCCC)40を批准した。以降、この条約を批准した他の 194 カ国が集まる様々な国際会議
等に積極的に参加してきた。
この枠組条約交渉においてペルーは早くから温暖化緩和に果たす熱帯林の役割の重要性を強調し
てきた。COP11 において REDD のコンセプトが提案されて以来、ペルーもまた交渉において REDD
(その後 REDD+) への支持を続けている。
環境省は、外務省や経財省とも協力し、国際交渉においてこの議論を主導すべく活動してきており、
国内でも関連政策の設立に向けた準備が進んでいる。この過程においてどの程度の範囲で関係者
や関係機関を意思決定プロセスに加えるかを決めることは困難な課題であり、中でも先住民部族や
現地コミュニティの参画をどの様に実現するかなど、広く協議を経た上での計画が不可欠となる。
2) 国家 REDD+戦略
2000 年のペルーにおける国全体の温室効果ガスインベントリ(Greenhouse Gas =GHG インベントリ)
では、温室効果ガス排出の主要因は土地利用変化による (総排出量の 47%) ものとの推定されている。
この事実と、ペルーにおける森林の広大さとその特徴(豊かな生物多様性と多数の先住民やローカル
コミュニティが宿る)を鑑みると、ペルーにおける REDD+活動の促進は経済的にも社会的にも重要な
意味を持つものである。
このひとつの足がかりとして、REDD の準備(Readiness)推進に必要な計画立案とその実行に要する
資金を確保すべく世界銀行の森林炭素パートナーシップ基金 (Forest Carbon Partnership Facility:
FCPF) へ参加すべく、2008 年 6 月に環境省の主導により Readiness Plan Idea Note (R-PIN) を策
定・提出している。その後この草案を実施計画に発展させ、2010 年 4 月と9月に Readiness Plan
Proposal(R-PP) のドラフトを完成させ、種々修正等を加え最終的に 2011 年の 3 月 7 日に本申請を
*38 REDD+. “Cuando cuidas un bosque, también ganas tú” – MINAM. Part. 1.
*39 REDD+. “Cuando cuidas un bosque, también ganas tú” – MINAM. Part. 2.
*40本条約は、1992 年 5 月 9 日、国連で採択された。
Ⅰ-34 -
提出していた。幾度もの校正作業を経たことからも推測できるが、様々な官民ステークホルダーと協
議を重ねて作成されたプログラム提案である。
この様なペルー政府における REDD 活動の活発化に際して、国内外のステークホルダーが、ペルー
の準備プロセスに大きな関心を払う様になり、下表に示す様な基金が準備されるようになった。これま
でに約 6,2 百万米ドルが準備(Readiness)と計画実行の用途に分けて供与されることになっている。
ただ、これらの基金は政府向けに与えられたものであり、実際の REDD プロジェクトの調査や実施を
行う私立機関や学術機関には適用されないのが実態である。
ドナー/基金
Forest Carbon
Partnership Facility
Forest Investment
Program – FIP
KFW
Gordon & Betty
Moore Foundation
目的
Support the REDD
Readiness Process
Design of national plan on
Climate Change Adaptation,
national and regional
processes for land use
planning, support on
legislation prioritized.
Development of an
investment plan that
considers a financial
mechanism for REDD+
Support national REDD
implementation,
construction of conceptual
and methodological
frameworks – protocols and
methodologies to design
regional reference
scenarios – design and
implementation of REDD
national registry, design of
financial mechanism for
REDD at national level.
総額
送金
US$ 3.6 million
未
US$ 50 million
未
Euros 6.3 million
未
MRV
US$ 2 Million
合計
US$ 61.9 Million
完了
前のセクションで詳述した「気候変動緩和の為の国家森林保全プログラム」は、ここで REDD+メカニズム
を有益なツールと位置づけている。当該プログラムは如何に森林破壊を助長させない持続可能な経済
活動を促進するかを課題としており、この中で、環境サービスに対する対価の支払いや市場資金の活
用といった経済・金融のメカニズムを如何に組み入れていくのか指針を出していくものと期待されている。
当面の間、当該プログラムの活動は、環境省より拠出される資金によって実施されることになるが、将
来的には国際協力等その他の独自の財源を確保する必要がある41。
3) REDD 準備プロセスの現状 とステイクホルダーの関与
第三者が見られる限りでは世銀 FCPF の活用を念頭に策定されたプログラム提案に準備プロセスの概
*41 出典: Ministerial Resolution N° 167-2010-MINAM. National Forest Conservation Program for Climate Change
Mitigation Operation Manual. Page 17
Ⅰ-35 -
要が描かれているが、これは実際の REDD 活動実現に向けた最初の一歩でしかない。今後さらに多く
のステイクホルダーと協調し計画を取り進めていくものであるが、2009 年から法整備も進められている。
2009 年以来、環境サービスの定義や利用に関する総則を纏めた環境サービス法案(Environmental
Service Law)が起案され、起草中であり、2011 年 1 月に最終案が提出され、各地域委員会や、議会の
「生態及び環境に関する委員会」で審議されている。
一方で、国家気候変動委員会は再編され、これまで公的機関が中心だったものが、再編され、民間の
ステークホルダー及び市民社会の代表者も参加者に含まれる様になった。FCPF の R-PP の中ではこ
の委員会は、多様な観点からの評価を行い REDD 活動計画を策定していく場として位置づけられてい
る。
この様な政府での動きに加え民間では 2008 年から国家 REDD 円卓会議を開催し、NGO や企業といっ
た民間セクターと学術機関や政府機関を一同に迎え入れて主要な課題に関する議論を行うほか、能力
開発ワークショップなども行い、REDD に関する技術的、法的、経済的な問題などの情報共有や知識向
上に貢献している。この構想は州レベルでも模倣され、ピウラ、サン・マルティン、フニン、マードレ・デ・
ディオス等で REDD 円卓会議が設立されている。
REDD 準備プロセスにおいては、ステイクホルダーの参画型の計画立案、意思決定が実施の為には不
可欠となるが、それぞれが果たす役割は様々である。ペルーにおけるこの関係について
INTERCOOPERATION (スイスの NPO 42)の調査結果を参考までに以下に示す。
*42 SWISS FOUNDATION FOR DEVELOPMENT and International Cooperation – Intercooperation. “REDD+ EN PERÚ.
Análisis de actores con énfasis en el sector privado”. January, 2011. Page 15.
Ⅰ-36 -
名称
Asesorande
s
Bosques
Amazónicos
(BAM)
活動者
のタイプ
Private
for –
profit
Private
for
profitother
compani
es
Conservatio
n
Internationa
l (CI)
Private
nonprofit
CIMA
Cordillera
Azul
Private
nonprofit
Derecho,
Ambiente y
Recursos
Naturales
(DAR)
Private
nonprofit
Ministry of
Economics
and Finance
(MEF)
Public
準備プロセスにおける主なステークホルダーの役割と機能
協議・参加
情報提供
基金の促進・取得・経営
・コミュニケーションプロセス
R-PP の策定及び実施
No
No
Yes
Participation on
REDD+ roundtable and
in group work of
REDD+ of CNCC. Give
support based on its
work done on Madre de
Dios region.
Yes
Provide technical
support to MINAM and
to REDD+ roundtable
of San Martin –
regional government
(sub-national scale).
Prioritized aspects:
Capacity building,
technical supports,
finance of prioritize
activities, conventions,
research, land planning.
Yes
Active participation on
REDD roundtable and
in CNCC
Yes
Coordination of Peru
REDD group since
2007
Yes
Working on the
development of the
governance needed
including allocating
funds and organizing all
state related activities.
It has 2 principal
statements: 1) The
Yes
Yes
Yes
Yes
No
Ⅰ-37 -
No
Work with chestnut
and reforestation
stakeholders in Madre
de Dios region.
Participation on events
related and make
public its results of its
base line in regional
roundtable meetings.
(Regional scale) Give
support to San Martin
region. Develop
initiatives of
information and
empowerment of native
and peasant
communities. Support
the creation of a
climate change
direction on San Martin
regional government.
Support national
projects of
participation and
communication. Works
with communities and
groups around it’s
REDD project (Parque
Nacional Cordillera
Azul).
Coordination of Peru
REDD group since
2007. Elaboration and
distribution of EnREDD
bulletin.
Yes
No
森林変遷マップ、
CO2 貯留インベント
リの準備 /
Dinamica (ソフトウェ
ア) を用いての森林
減少モデル / プロ
ジェクトの経営計画
No
Yes
民間資金との橋渡し /
追加資金の継続的追及
Yes
((地域規模) Disney とア
ルト・マヨ区域に関して合
意あり / SPDA (ペルー
環境法協会)、AIDER、
Virgen de la Medalla
Milagrosa、ECOAN (アン
デス生態系協会) との保
全合意といった森林減少
の軽減の為の代替手段
の追及に係る SERNANP
との協業
国際協力でのプロジェク
トの設計への資金提供
/ REDD フローへの信託
基金投入の試み
Yes
OSIRIS (効果検証
ツール) の様なツー
ル開発 / REDD 及
び気候変動にかか
るトレイナー育成
Yes
Cordillera Azul にお
ける国家及び地域
規模の REDD プロ
ジェクトの情報提供
Yes
No
広報の主たるトピッ
ク: 先住民の取りこ
みと権利
No
Yes
MEF のツールがど
の程度気候変動に
有益かを検討 /
MEF における気候
変動に関する財務
ガバナンスの検討
/ 他国の得た教訓
のベンチマークと参
Yes
MRV
Yes
MRV 実施の為の技術的
能力あり / 初の認証と
なる再植林プロジェクト
「Campo Verde」 (ウカヤ
リ州) の認証の取得間近
Yes
(サン・マルティン州) 現
地のステークホルダーと
共にモデル試作中 / サ
ン・マルティン円卓会議
を支援する森林減少の
ベースライン
Yes
REDD の為のモニタリン
グシステムは、対象区域
保全のモニタリング等に
統合された
No
公正な参加と、プロジェ
クトの見定め及び特定
No
考事例の研究 / 公
共投資が気候変動
対策に有効に活用
されたかの評価
articulation of research
for promotion of
business and
instruments for
Readiness, 2)
Instruments, base line
and entitled to channel
funds.
Ministry of
Agriculture
Minister
(MINAG)
Ministry of
Environmen
t (Climate
change
Direction)
Ministry of
Environmen
tal
(desertificat
ion area)
Ministry of
Environmen
t (National
Forest
Conservatio
n Program
for
Mitigation
Public
Public
Public
Public
Yes
Subjects: land planning,
governance and
entitled. Focus on legal
stage and promote
Forestry Law process
of actualization. Active
participation on the
Environmental
Services Law
elaboration/consultatio
n process
Yes
Leads the R-PP
process and the
Peruvian delegation in
international
conventions and
meetings on climate
change and REDD.
Facilitates the access
and participation of
other governmental
actors and civil
society.
No
Yes
Yes
Its participation rounds
the mainstreaming
REDD agenda.
No
Yes
Participate in
consultation process,
give comments and
opinions to the R-PP.
Yes
Ⅰ-38 -
Promote
decentralization
process and
enforcement of
capacities. Forestry
competences have
been transferred in
San Martin, Loreto,
Ucayali and Madre de
Dios region but still
capacity building is
needed.
Coordinate process
related to REDD
roundtable and
National Climate
Change Convention.
There are people in
charge of diffusion and
transfer of skills to
other Ministries and
Regional Governments.
Have designed
information workshops
about R-PP
elaboration process.
Give information for
the participation of
native communities.
Yes
土地利用、私有地、
土地保有者のマッ
プ / 土地台帳、森
林インベントリ、CO2
貯蓄量を含む多用
途の森林インベント
リ / 森林管理及び
森林情報システム
の開発
Yes
Yes
法律及び森林に係る政
策への重点的取組み
No
Yes
他の基金へのアクセス
及びペルーにおける
REDD+の実施の為の資
金提供機会の管理 (e.g.
多国間及び国際協力)
Yes
Yes
PDD (Project
Design Document)、
フィージビリティ解
析、ベースラインに
関する情報支援
(商業化プロセスの
フィージビリティ調
査に必要な情報作
成が目的)
No
No
(R-PP はプログラ
ム創出前に開始さ
れていた)
Yes
No
プログラムの目的は森
林保全 / REDD とは別
の資金メカニズムを開発
No
ペルーでの MRV を主導
of Climate
Change)
Environmen
tal Minister
(Economical
valorization
direction)
WWF Peru
Public
Private
nonprofit
Yes
Yes
Helps the R-PP
process through
economic valorization
of impacts, opportunity
costs of carbon to
enter REDD, cost
calculation of
mitigation and the
search for other
financial mechanisms.
Have promoted the
creation of REDD
roundtable. Its
cooperation develops
in 3 levels: 1) National:
MINAM and MRE, 2)
International: Help
Peru in international
negotiations and 3)
Sub-regional: based on
the Nested approach
strategy, specifically
the readiness process
on Madre de Dios
region.
No
Yes
Ⅰ-39 -
(DAR) A diagnosis of
capacitating needs of
the sector. (SPDA and
OET-AAT) Have
organized a workshop
for capacity building
oriented to 5 Amazon
region leaders.
Yes
国家のモニターシス
テム及び排出量の
計算 / REDD の為
の情報と経済分析
Yes
(マードレ・デ・ディオ
ス州) カーネギー工
科大学と協業したプ
ロジェクトの情報
Yes
金融メカニズムの保護 /
国際協力ドナー及び多
国間の銀行の資金保証
あり
Yes
MRV スキームを定義す
る Amazon Fund につい
ての提案書に係るマード
レ・デ・ディオス州政府へ
の支援
No
Yes
マードレ・デ・ディオス州
での MRV システムの開
発支援 (NORAD (ノルウ
ェー開発協力局) の資金
提供)
ここで地域レベルで先進的な REDD 円卓会議が行われている 2 つ州、サン・マルティン州とマードレ・
デ・ディオス州の構想について紹介する。
i)
サン・マルティンの地域 REDD 円卓会議の目的は、地域森林減少モデルを作成する際
の技術的、政治的、法的、財務的、社会的側面の評価にかかるコンセンサスを確立す
るメカニズム作る事である。この地域森林減少モデルは森林活用・管理計画の実施や
保全システムの策定において非常に重要な基礎情報となる。この円卓会議において
様々なステークホルダーが、サン・マルティン州政府の主導で団結しており、具体的に
は、リージョナルベースライン及び森林減少シナリオの策定が協同で行われている。
ii) マードレ・デ・ディオス州においては、州内での森林減少プロセスの再検証を行い、森
林減少モニタリングシステムの構築際して国内で共通して活用できる方法論の開発を
進めている。
iii) 両方の州において REDD+準備プロセスはその初期計画構想段階から様々なステーク
ホルダーの利益を鑑み、また彼らをよく関与させて構築されている。これは各地域政府
によって主導される準国家レベルでの取組みの基盤となるものあり、又ペルー政府や
他国政府により提案されている REDD のネステッドアプローチの開発に向けてペルー
政府から認識されているものである。
4) ペルーにおけるボランタリ REDD+活動の状況
ペルーにおける REDD+プロジェクトの開発はその目的が多様であり、技術的あるいは法的な支援を供
することに焦点を当てているものもあれば、国家の REDD 準備プロセスの一部となる事を目的としてい
るものもある。
環境省は特定のボランタリ REDD+プロジェクトを、国の REDD 準備プロセスの基礎として位置づけてい
る。最新号の「REDD+: Cuando Cuidas un Bosque también ganas tu」 (ペルー国内の森林に関する刊行
物) によると、以下に示す通り 16 のプロジェクトを潜在的な REDD+プロジェクトとして指定している。
1
潜在的 REDD+プロジェクト
Asociación para la Conservación de la
Cuenca Amazónica - ACCA
2
Asociación para la Investigación y el
Desarrollo Integral – AIDER
3
Asociación para la Investigación y el
Desarrollo Integral – AIDER
4
Asociación para la Investigación y el
Desarrollo Integral – AIDER
プロジェクトの目的/区域
Design of carbon, social and biodiversity baseline.
Partial implementation of the administration contract
granted by the National Protected Areas Service –
SERNANP in “Tambopata” National Reserve and
“Bahuaja Sonene” National Park – in the region Madre
de Dios. Biological monitoring components, research,
and REDD+ as a sustainability mechanism for the
contract.
Avoided deforestation for sustainable forest
management in native communities with FSC.
Avoided deforestation for sustainable forest
management in timber concessions with FSC.
5
Amazónicos por la Amazonía - AMPA
REDD+ Project in the conservation concession “Alto
Huayabamba – Jalca and Yungas ecosystem”.
6
ASESORANDES
Sustainable communal management of the forest and
Ⅰ-40 -
7
Bosques, Sociedad y Desarrollo - BSD
8
Conservation International - CI
Centro de Conservación, Investigación y
Manejo de Áreas Naturales -CIMA
9
10
Desarrollo Rural Sostenible - DRIS
11
Ecoturismo Comunitario en Ámerica
Latina - ECOMUNAL
12
IC-WWF PPO
13
Mancomunidad de Yacus
14
The Nature Conservancy - TNC
15
16
its resources in the region (Madre de Dios).
Design of baseline in 120 sample plots – carbon
captures (San Martin).
Alto Mayo REDD+ Conservation Initiative.
“Cordillera Azul” National Park – PNCAZ
Sustainable human territorial development program
and integral avoided deforestation in “Manu”
Biosphere Reserve Buffer Zone (DEI-MANU for its
Spanish acronym) and “Pilcopata Quincemil” Forest
Corridor (Madre de Dios and Cusco).
Feasibility assesment of implementing REDD+ projects
on “Bosque de Pomac” Historical Sanctuary – SHBP
(Lambeyeque).
Communal forestry for REDD+ in cloud forests and
yungas in Cusco and Apurimac.
Creation of the private conservation area
(Multicomunal - Mancomunitaria) of Andean and cloud
forests of “Dos Tambillos - Uchubamba” (Junin).
Climate action project “Selva Central”.
Baseline of potential supply of REDD+ in the Andean
World Wildlife Fund - WWF
Amazon.
World Agroforestry Center - ICRAF
Reducing emissions from all land uses “REALU”
出典: MINAM: REDD+ Cuando cuidas un bosque, también ganas tu”
Prepared by: CI Peru.
5) NGO の関与 – NGO のイニシアチブとその活動
ペルーにおける REDD メカニズムの構築に関するイニシアチブを常にリードしてきたのはペルー国内外
の NGO である。実際に現在推進されている準備プロセスの多くは NGO によって推進されている。政府
間交渉といった国際的な舞台から現地コミュニティ及びステイクホルダーとの調整など、幅広い分野で
有機的な役割を果たしている。特にペルー国内政策の検討においては国内外の NGO が協力しガバナ
ンスメカニズムの提言を行うなど重要施策に与える影響も大きい。
過去 3 年間を見ると、新規 REDD+プロジェクト (準国家及びローカルレベル) の数は年々増加しており、
これらの活動は主としてマードレ・デ・ディオス州、サン・マルティン州、クスコ州及びアマゾンの中央区域
で実施されている。
今回の調査は民間企業である三菱商事が、国際的な NGO であるコンサベーション・インターナショナル
が既に手がけるプロジェクトへの側面協力を実施したものであるが、長年に亘る NGO の活動は現地研
究機関との連携も良く取れており、現地政府の信頼も厚く今後も継続して行われる必要がある。一方、
州レベルから国レベルへイニシアチブを徐々に拡大していくことが気候変動対策においては重要であり、
経済・技術両方での支援が必要となる。
Ⅰ-41 -
3.
ペルーにおける REDD+ 導入の課題
ペルーは森林破壊の原因や動機を明確にし、確固とした関係機関や規制の枠組みを 設けており、又世
界銀行の REDD+ Readiness Process(森林炭素パートナーシップ機構 、FCPF)にも参加する等 REDD+
の導入に関して積極的に動いている。
しかし REDD+のコンセプトが明確化していない点、ステーキホルダーの多様化により、REDD+を効果的
かつ公 平に実施するには多くの課題をはらんでいる。二国間協定を実施するに当たり、同課題の詳細
を理解する必要がある。
Box - Peru REDD+ Stakeholder Map – ’’A Complex Landscape’’
Information
Promotion/Design /
Implementation
(including registry)
Funds
Supervision/
Monitoring
REDD+ Non-Governmental Institutions
REDD+ Public Institutions
Conservation NGOs
Indigenous Peoples’
Organizations
Forestry Sector
Ministry of Foreign
Affairs
Ministry of Economy &
Finance
Ministry of Energy &
Mines
Research Centres
Ombudsman
Regional Agricultural
Office
BOSOVICH
MADERERA
Chamber of
Commerce
ADEX
CONAP
Indigenous
Federations
AIDESEP
WWF
CIMA
TNC
Conservation
International
Multi-stakeholders
Roundtables
Non REDD+ Stakeholders
Built Environment
Ministry (COFOPRI)
National Environment Fund FONAM
Ministry of
Culture
Indigenous Affairs
Department INDEPA
Fund for the Americas FONDAM
MINAM
Environment regulator
OEFA
Forest Development Promotion Fund
FONDEBOSQUE
Prime Minister
Office PCM
Supervision Office
of Wood Forest
Concessions OSINFOR
Peruvian Trust Fund for National Parks and
Protected Areas PROFONANPE
Ministry of
Defense
Peruvian Geography
Institute
Meteorological Services
SENAMHI
Peruvian Amazon
research Institute IIAP
Peruvian Geophysical
Institute
MINAM
Regional
Governments
GORE’S
Department of Water
ANA
MINAG
Department of Forestry
DGFFS
Park protection agency
SERNANP
MINAM
National Climate Change Committee
National REDD
Roundtable
District Attorney
Regional
Roundtables
National Police
Energy & Mining
Regulator
(OSINERGEMIN)
1) 省庁間の権限重複と優先順位の対立
ペルーにおける REDD+設計と導入のための基盤構築は森林管理を管轄している環境省(MINAM)と農
業省(MINAG)が請け負っている。 MINAM は、国家気候変動委員会(CNCC)を統括し、国家気候変動
戦略の準備、調整を担当している。MINAM は環境サービス提供のための報酬を確立し REDD+の準備
プロセスを主導する一方、 MINAG は農業開発を促進し、天然林の恒久的な生産に向けて森林の調整
を担当している。このように省庁間で森林における利害の対立がおこっており、REDD+スキームを導入
するには、 REDD+を統合する 全経済部門、各省庁(MINAG、MINAM をはじめ住宅省、エネルギー鉱業
省、経済産業省など)と連携していくことが重要である。
Ⅰ-42 -
2) ペルー政府の主権に関する懸念と国の発展優先分野の不一致
ペルーの社会構造は既得権、汚職、違法採鉱及びコカの葉栽培をしている政治的影響力のも
つ中流階級が混在するという特徴を持つ。そのような社会で REDD+スキームを実施するに
は森林関連のステーキホルダーの積極的な参加を奨励し、森林保護を経済成長及び貧困緩和
と平行して行う形を取ることが必要である。
3) ナショナルとサブナショナル REDD+スキームの連携における課題
ペリー・パラグアイ・メキシコ・アルゼンチン・ホン
ジュラス・チリ・パナマは 'nested REDD+'アプロー
チの概念を支持することを表明している。同アプ
ローチはサブナショナルレベルでの REDD+活動
を徐々にナショナルレベルの活動に組み込み、
キャパシティビルディングを行い、ガバナンスを改
善、又炭素排出量のアカウンティングはナショナ
ルレベルで行うもののクレディティングはサブナ
ショナルでの活動をベースとして行うものである。
従ってレフェレンスレベル(過去の排出量又はプ
ロジェクトベースライン)や排出削減のアカウンテ
ィングシステムの設定等を通してプロジェクト間の
調和を必要とする。
Box – Nested REDD+ Approach
The term ‘nested REDD+’ has emerged to
describe the policy framework allowing
emissions reductions generated from spatially
defined REDD+ project activities to be
reconciled with reductions in deforestation or
degradation within a much larger jurisdiction
such as a state or other sub-national level.
While nested REDD+ is being designed to
address the limitations of project-based
REDD+, spatially explicit projects and project
areas still exist under the nested REDD+
framework. The distinction is that, under
nested REDD+, the quantification of emissions
reductions from projects must be reconciled
with emissions that are accounted for across a
larger region, referred to as the Jurisdiction.
現在ペルーでは 35 43のパイロット REDD+プロジ
ェクトが実施されており、プロジェクト間の調整が
必要となる。マドレデディオス、サン・マルティンで
行われているレフェレンスシナリオ設定の為のデモンストレーションプロジェクトの分析は今後全体の調
和を取る方法論設定に有用なベースとなると言える。
24 の地方政府が存在するペルーにおいて森林減少を改善する為には、地方及び中央政府での協力体
制の構築が必要不可欠である。その為、ナショナルとサブナショナルレベル間で調整の取れた制度枠
組みの構築が REDD+遂行上必要となってくる。
4) キャパシティビルディングの必要性
REDD+を実施する上で技術、法律、制度枠組み及び政府間、地元コミュニティ間等のあらゆる面でのキ
ャパシティビルディングが必要となる。詳細は以下の通り:
43

技術面:ベースライン、シナリオ、MRV の設計と通じたモニタリングシステム(計量装置、サテラ
イトイメージ、炭素蓄積量の評価等)の構築。

制度面:制度枠組み設計のガイダンス及びスタッフ教育。
Source: Peru R-PP, Jan 2011, Annex 2b: Options for REDD+ Strategy
Ⅰ-43 -

ファイナンスとアカウンティング:排出権市場、資金調達の手段、アカウンティング、クレディティ
ングメカニズムへの理解。

法法律面:REDD+に関する国際協定状況の認識。
5) 既存協定との関係
2006 年に米国とペルーは U.S.-Peru Trade Promotion Agreement (PTPA)を締結した。同協定は両国間
での農業貿易の促進及びペルー市場における米国企業へ均等な機会を保証することを目的としている。
PTPA 協定の The Forest Management Exhibit to Chapter XVIII はペルーの森林管理を強化する特定
の活動について明記している。同協定箇所は森林資源管理における政府高官の腐敗防止、森林コンセ
ッション管理の改善、制度のキャパシティビルディングの実施準備を謳っており、森林セクター既存の制
度規制の強化の必要性をペルー政府に要求するものである。このような管理強化は REDD+スキーム
実施において必要な要素ではあるが、同協定がどのような機能を果たすかは現状定かではない。
6) 不明瞭な土地保有
ペルーでは複数の省庁機関が土地管理を行っている。MINAG 下の SUNARP は公的所有の土地の所
有権及び土地所有権の法的認識を監督・記録管理をしている一方同じく MINAG 下の National Institute
of Natural Resources (INRENA)は国内の森林コンセッションを含む森林地所有の現状に関する情報管
理を管轄しており両機関間での土地保有管理を明確する必要性がある。又 Ministry of Culture 下の
National Institute for the Development of Andean, Amazonian and African-Peruvian Peoples (INDEPA)
及び MINAG 下の Directory of Native Communities (‘Proyecto Especial de Titulación de Tierras’ –
PETT)は森林における地元住民の権利を保護し地元コミュニティ及び居住者の土地の所有権の記録管
理を行っている。
7) 法定義が与える負のインセンティブ
ペルー憲法において天然資源は国家資産の一部として定義されるが、森林資源の場合所有権は政府
が維持するものの、コンセッションや開発許認可を通じて民間企業又は個人にその使用権を供与するこ
とができると記している。憲法においては天然資源は国有財産と定義しているものの、土地利用の変化
に関して以下のような例外が存在している為、政府が厳しい環境政策・規制を導入しないというねじれ
たインセンティブが起こってしまっている(”perverse incentive”)。
認識されたコミュニティ領域において農民や地元コミュニティが同領域内の天然資源の持続的可能な利
用について優先権を持つ。ペルー憲法は、農民に対しては森林地を分割・販売を許可する権利を認め
ているが地元コミュニティに対してはコミュニティ領域内の農業地の法的所有のみを認めている。しかし
森林被覆地や森林減少地と森林劣化地‘が明確に区別されていない為、同定義を適用が複雑化してし
まう可能性がある。又ペルー法は森林減少が起こった土地の所有権を供与することも認めている。
‘Mejoras’ (‘Improvements’)と呼ばれるシステムを通じて焼畑された部分の森林地に 2 年以上居住し
た者は森林を個人で伐採して整えるという条件の下、当該森林地全ての所有が認められる。このような
土地利用の変化において定義されている内容と憲法で定義されている内容に相違がみられることより
ねじれたインセンティブが働いてしまう構造となってしまっている。
Ⅰ-44 -
8) 不明瞭な排出権授与
様々なステーキホルダーがアーリーREDD+スキームに従事しており、森林資源を保有する権利を有して
いるステーキホルダー(コンセッション、農民、地元コミュニティ等)や同資源の管理に対し何らかの責務
を供与されたステーキホルダー(保護自然地域経営協定)がおり、両ステーキホルダーは環境サービス
に対する権利を取得できると想定している。しかしどのステーキホルダーグループが環境サービスに対
する利益の受益者なのかは明確に定義されていない。環境サービスに関する権益を監督している
Natural Resources Supervision Agency (OSINFOR)は今後発生する REDD+スキームからの受益者がど
のように配分されるか明確にする必要がある。
9) 脆弱なガバナンスと法執行力
途上国は腐敗や不法行為問題に取り組まなければならない状況が多く、ペルーも例外ではない。
International Tropical Timber Organisation によるとペルーにおいてここ数年違法伐採が増加しており、
1/3 以上の森林コンセッションが規則違反の対象として調査を受けている 44。従い、森林減少を食い止
め投資の法的安全性を提供する為に、ペルー政府は森林ガバナンスや法執行力を改善する必要があ
る。
10) 森林インベントリデータの欠如
ペルーは国有林インベントリを保有していない。インベントリデータは森林減少をモニターし MRV を計画
する上で基本ツールとなる為このようなデータの欠如は森林ガバナンスだけではなく、REDD+戦略を構
築していく上でも大きな障害となる。
上述した懸念事項はペルー政府も認識しており、Peru’s National REDD+ Readiness Preparation
Proposal Monitoring Plan (Appendix 4 参照)において改善必要事項として言及されている。しかし
REDD+の二国間協定がペルー政府による是正措置が取られる前に施行される場合は、上記懸念事項
を協定内で明記することが必要である。
44
Source: One third of Peru's forest concessions under investigation, Oct 2010,
http://news.mongabay.com/2010/1004-peru_concessions.html
Ⅰ-45 -
PART Ⅱ
二国間・多国間協定下のREDDプラスプロジェクトの
クレディティングメカニズムに関する考察
Ⅱ- 1 -
目次
項目
ページ
4
4
6
6
8
1
1)
REDD+ 二国間協定
概要および REDD+に係る既存の二国間協定
i)
既存の REDD+二国間協定の特徴
ii)
現在までの REDD+二国間協定の成果
iii)
二国間協定の実施において REDD+が直面する課題
2)
REDD+二国間協定を設計する上での主要な課題
i)
既存又は今後締結される可能性のある二国間協定との関係構築
ii)
日本の二国間協定の期間及びその他国際協定との相互作用
iii)
二国間協定下における報告及び認証
iv)
被援助国による排出量削減の認識と既存メカニズムの相互作用
13
13
13
13
14
3)
REDD+における日本・ペルー二国間協定の原則
i)
確実性の提供
ii)
タイムリーな実施
iii)
信頼性の強化
iv)
公平性と平等の確保
v)
長期的発展の為の適合性
15
15
16
17
17
18
参照資料
Snapshot of international bilateral cooperation on REDD+
Booz & Company’s list of key issues to consider when devising a bilateral
agreement on climate change
19
20
1
2
Ⅱ- 2 -
AIDER
AFOLU
CAR
CCB
CDM
CI
CIFOR
CNCC
COFA
COP
CRT
DNA
FCPF
FRIS
GHG
GRIF
GTREDD
IFN
INCAS
INDEPA
INRENA
KFCP
LCM
MINAM
MINAG
MRV
MRVS
NGO
OCBR
OEFA
OSINFOR
PETT
PPD
PTPA
REA
REDD
RL
R-PIN
R-PP
SERNANP
SFCP
SNINGEI
SUNARP
UNFCCC
VCR
VER
[頭字語及び略語]
Association for Investigation and Integral Development
Agriculture, Forestry and other Land Use
Climate Action Reserve
Climate, Community and Biodiversity
Clean Development Mechanism
Conservation International
Center for International Forestry Research
National Climate Change Commission
Amazon Fund Steering Committee
Conference Of the Parties
Climate Reserve Tonnes
Designated National Authority
Forest Carbon Partnership Facility
Forest Resources Information System
Greenhouse Gases
Guyana REDD+ Investment Fund
REDD+ Technical Group
National Forest Inventory
Indonesia’s National Carbon Accounting System
National Institute for the Development of Andean, Amazonian and
African-Peruvian Peoples
National Institute of Natural Resources
Kalimantan Forest Carbon Partnership
Land-use Change Model
Ministry of the Environment
Ministry of Agriculture
Monitoring, Reporting and Evaluation
Monitoring, Reporting and Evaluation System
Non Governmental Organisation
Coordination Agency for Forests and REDD+
Environmental Assessment and Oversight Agency
Natural Resources Supervision Agency
Directory of Native Communities
Project Design Documents
U.S.-Peru Trade Promotion Agreement
Regional Environment Authority
Reduction of Emissions from Deforestation and forest Degradation
Reference Level
Readiness Plan Idea Note
Readiness Preparation Proposal
National Service of Natural Protected Areas
Sumatra Forest Carbon Partnership
National Greenhouse Gases Inventory System
National Superintendent of Public Registries of Peru
United Nations Framework Convention on Climate Change
Verified Carbon Standard
Verified Emissions Reduction
Ⅱ- 3 -
1.
REDD+ 二国間協定
1) 概要および REDD+に係る既存の二国間協定
REDD+に関する二国間協定とは、森林の破壊や劣化からの二酸化炭素排出の削減を目的とし
た二国間の共同宣言と定義できる。各国の国家体系により、国家(ナショナル)間合意だけでなく、
準国家(サブナショナル)間でも調印することができる。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の交渉がなかなか進展を見せない中、二国間協議の動きは
過去 3 年でキャパシティビルディング、パイロットプログラムの展開等、持続可能な森林管理に向
けて進捗を見せている(参考資料 1)。
オーストラリアとノルウェーは、同分野において先駆者といえ、途上国とのパートナーシップを通
して森林保護を進め、国際舞台における存在感と指導力を高めている。英国、デンマーク、フィン
ランド、ドイツ、スウェーデンも小規模ながら同様のパートナーシップに続いて参加している。日本
も近年、参加の意思を表明する等先進国からの REDD+に対する関心は高まっている。1 現在確
認できる限りの主な二国間協定について次頁の Box1 に取り纏めた。
インドネシア、ガイアナ、メキシコ、ブラジル、パプアニューギニア、コンゴ民主共和国、タンザニア
等の発展途上国側も積極的に REDD+を支持している。ガイアナはノルウェーとパートナーシップ
を締結しており、開発計画において森林管理を持続可能な発展形態へ移行させる為の予算を確
保したと発表している。インドネシアは 5 カ国
2
以上とパートナーシップを締結している。
1
出典:日本は低炭素事業を開始するため二国間協定を活用、2010 年 8 月、
http://moyanagijapan.thoseinmedia.com/2010/08/08/japa
n-leverages-bilateral-agreements-to-initiate-low-carbon-businesses /
その他の出典:環境省は気候変動緩和対策のために二国間メカニズムを開始、プレゼンテーション、2011 年 2 月、
http://www.env.go.jp/en/earth/ets/mkt_mech/bilateral_moej110223.pdf
2
参考資料 1 を参照。
Ⅱ- 4 -
Box 1
Key Existing REDD+ Bilateral Agreements
Parties
Timeframe
Intended Purpose
Areas of Cooperation
Funding Pledged
NorwayGuyana
From 2009
onwards
Foster partnership between Guyana and Norway with a focus on:
1- Establishment of a regular, systematic policy and political dialogue to facilitate
a constructive exchange of views on global climate change and relevant
environmental issues such as biodiversity
2- Collaboration, knowledge building, and sharing of lessons learned within the
field of sustainable, low-carbon development, with REDD+ as the key component
of this.
3- Collaboration on REDD+, including establishing a framework for financial
support from Norway into a Guyana REDD+ Investment Fund
Up to US$250
million between
2010 and 2015
1- Policy dialogue on international Climate Change policy with a focus on REDD+
2- Support for the development and implementation of Indonesia’s REDD+
strategy
3- The Government of Norway will also provide other support of a political,
technical or administrative nature as appropriate when so requested by the
Government of Indonesia
US$1 billion
pledged over the
course of the next
7-8 years1


The implementation of Guyana’s Low Carbon Development Strategy (LCDS)
Building capacity in Guyana to improve overall REDD+ and LCDS efforts
Provide the world with a working example of how partnerships between
developed and developing countries can save the world’s tropical forests
Norway-I
ndonesia
2010-2016
+
Contribute to significant reductions in GHG emissions from deforestation, forest
degradation and peatland conversion

Reduce emissions caused by the conversion of natural forests and peatlands to
other uses
Reforestation activities are not included
NorwayBrazil
2009-2015
Establishment of a comprehensive political dialogue on CC, biodiversity and
sustainable development
Establishment of close cooperation on:



The reduction of GHG emissions from deforestation and forest degradation
The development, application and transfer of clean technology
Sustainable development

1- Systematic political dialogue regarding Climate Change, related environmental
issues and sustainable development
2- Contributions of Norway to the Amazon Fund
3- Cooperation regarding monitoring, reporting, assessment and verification of
GHG emissions
4- Cooperation to stimulate the development and implementation of CDM project
activities , and to facilitate the procurement by Norway or private Norwegian
companies of CERs from CDM project activities in Brazil
Up to US$1 billion
for the period
2009-2015
NorwayMexico
Start May
2010
Further develop and document the Mexican REDD+ experiences and expertise,
with a view to deploy them in other developing countries
Showcase how to advance REDD+ activities bilaterally
1- Political dialogue to facilitate constructive exchange of views regarding:
2- Cooperation in specific areas of relevance to the implementation of strategies
and policies to:
3- Promote the dissemination of the Mexican experiences in REDD+
4- Contribute to the deliberations on a REDD+ mechanism as part of the post-2012
global climate regime
5- Explore the potential for cooperation on REDD+-related matters between
academic and research institutions in each country
Up to NOK90
million (apr.
US$15 million)
over 3 years
Australia
-Indonesi
a
Start Sep
2007
Establish a framework for long-term cooperation on REDD+
1- Policy development and capacity building to support participation in
international negotiations and future carbon markets
2- Technical support for Indonesia to develop its national forest carbon
accounting and monitoring system
3- Further development of demonstration activities
AU$60 million over
4 years to the
KFCP
AU$30 million to
the SFCP

To provide programmes and activities
deforestation and forest degradation


To improve livelihoods for forest-dependent
to reduce GHG emissions from
communities
To promote biodiversity conservation
Provide the building blocks for a workable and effective global REDD+
mechanism
Australia
-PNG
Start Mar
2008
Ensure that a future international agreement on CC incorporates efforts to
REDD+
Ensure that future international carbon markets provide incentives for REDD+
and that PNG and Australia can fully participate
1- Policy dialogue
2- Forest carbon monitoring and measurement
3- Participation in global carbon markets (Development of a roadmap for Access
to
International carbon Markets)
Ⅱ- 5 -
AU$10 million
bilateral package
to support
Indonesia's forest
and climate policy
development
Up to AU$3
million
i) 既存の REDD+二国間協定の特徴
各国における既存の REDD+の二国間協定には、共通点は存在するものの各国が独自の条文
を設けていたりと、あまり標準化されていないのが現状である。協定の標準化が望まれる一方、
個々の国や地域が直面する固有の状況について考慮した内容を確実に盛り込むことも求めら
れている。
共通点は下記の通りである:
法的形式:いずれの協定も法的拘束力を持たない。インドネシア・ノルウェー間の協定

は今後法的拘束力のあるものへと強化されると予想される。

柔軟性:いずれの協定も、双方の合意によって協定内容を改定し(国際 REDD+会議に
おける内容や状況の変化により)又早期に終了することができる。

期間:条項には終了時期が設けられ、延期の可能性も残されている。
相違点は下記の通りである:

保護領域の面積:ガイアナでは森林全体の保護を規定する一方で、ブラジルやインド
ネシアでは一部地域に限定している。

活動範囲:カーボンアカウンティングシステムの開発、ガバナンスの強化、MRV プロセ
ス、パイロット案件の実施、排出権市場の発展、キャパシティビルディングといった協議
も含まれる。ノルウェー・ブラジル間の協定で は、今度創設される可能性があるブラジ
ルの CDM 市場へのノルウェーの参入を保証することや、ノルウェーのクリーン技術の
移転が条項に含まれている。

資金体系:大部分の協定は、実行単位で予算を出す体制である。一部の助成金は、初
期段階で支払われる。ブラジル、コンゴ民主共和国では独自の資金を創出しているが、
多くは多国間機関に委託している。

ガバナンスと保護:いくつかの協定では、実施にあたり効果的なガバナンスを提供する
ための各機関の調整について詳しく規定している。また MRV の原則に沿って環境と社
会の保 護を条項に含むものもある。
森林破壊抑制のインセンティブ:ガイアナでは、生態系サービスへの支払い制度(PES)
を採用、インドネシアでは 2 年間の森林伐採猶予期間 を導入している。

ii) 現在までの REDD+二国間協定の成果
現在までの REDD+二国間協定の実施は課題点も残っているものの REDD+活動の国際意識
が高まったことや、国際気候変動枠組みの再定義につながる役割を果たしていると言える。 森
林を保有する途上国では REDD+ Readiness において下記のような進展が見られる:
a.
制度的枠組みの構築
 インドネシアでは仮協定期間の REDD+戦略開発を見据えて 2010 年 9 月に REDD+タ
スクフォースを立ち上げた。
 オーストラリア・インドネシアフォレストカーボンパートナーシップにおいてインドネシア
で運営委員会が発足され、ロードマップの実施を監督している。
b.
REDD+のファイナンスメカニズム
Ⅱ- 6 -
 ブラジルは、全国的な気候変動基金を立ち上げた。
 世界銀行の管理のもとで、ガイアナはガイアナ REDD+投資基金(GRIF)を立ち上げ
た。
ブラジル・ガイアナの両基金は、当初二国間基金として開始された。ノルウェー政府が
初のドナー国であり、今後複数国間基金になると想定されている。現在までは、補助金
やパートナーシップの初期段階の資金を調達するために活用されている。
c.
MRV
MRV 委員会の設立
 ガイアナは、ナショナル MRV システムに関するステアリングボディと専門委員会を設
立した。
 インドネシアはノルウェーとの合意の一部として MRV 機関設立を予定している。
 ブラジルとノルウェーはアマゾン基金投資規律と社会環境保護を優先することで合意
した。専門委員会はブラジル環境省に森林伐採からの炭素排出量を正式に証明す
るよう任命した。
Reporting (報告)に関する進展

ガイアナは、低炭素開発戦略のウェブサイトを立ちあげ、ステーキホルダー間
で情報の共有を可能にした。2010 年には REDD+ Enablers(年次と仮協定期
間)と GRIF 信託報告書を発表した。

ブラジルでは、アマゾン基金を管理する BNDE が、2009 年までに締結されてい
るプロジェクトリストを発表した。アマゾン基金運営委員会(COFA)は、資源活
用のためのガイダンスや規律を確立し、2010 年アマゾン基金年次報告書を発
表した。
全ての二国間協定には、外部監査による検証が含まれている

2010 年 10 月に Rainforest Alliance は、ガイアナの REDD 進捗状況を評価する
よう任命された。

ノルウェー・インドネシア協定には年度審査を行う独立審査グループの参加も
含まれている。
二国間協定における MRV プロセスの進展は REDD+スキームの透明性をあげるものと
なり、REDD+のスケールはプロジェクトレベルからサブナショナルへ、そしてナショナル
レベルへ拡大の動きをみせている。プロジェクトレベルで適用された方法論は、 NAMA
の REDD+イニシアチブに適用することができる。
d.
包括的な参加型プロセス
インドネシアとガイアナはステーキホルダー間のコンサルテーションを行いながら進行する
一方、ブラジルのアマゾン基金は先住民の承認を受けた上でのガイドラインに沿うとしてい
る。
e.
南北の連携
Ⅱ- 7 -
REDD+の二国間協定は、現在進行中の REDD+に関する政策対話にとどまらず国際交渉、
専門技術などにおいても連携をみせている。
ノルウェーとインドネシア両国は COP15 で新しいファンディングメカニズムを提案し、インド
ネシアとオーストラリア両国は UNFCCC に共同提案を行っている。又インドネシアは、2009
年の共同提案の参考資料としてカリマンタン森林プロジェクト分析書を提出している。

ブラジルとノルウェーの合意は、レーダー衛星に関する専門知識の共有を含ん
でいる。

オーストラリアとインドネシアのパートナーシップは、オーストラリアのカーボン
アカウンティングをインドネシアのナショナルカーボンアカウンティングシステム
に反映することを含み、林業、農業の分野からの二酸化炭素排出も収集する
完全なカーボンアカウンティングモデルを目指すものである。
f.
ローカルキャパシティビルディング

ガイアナ、ブラジル、インドネシアは新設された機関を中心として技術的制度的
キャパシティビルディングの改善を図っている。

ガイアナはナショナル暫定ガイドラインを設定した。

ブラジル、ガイアナは、暫定排出権価格を1トン当たり5ドルと制定した。
g.
デモンストレーションプロジェクト
オーストラリアは、インドネシアのカリマンタン森林地域・スマトラにおいてデモンストレーショ
ンプロジェクトを展開しており、ノルウェーはカリマンタン森林区域においてパイロットプロジ
ェクトを展開している。
iii) 二国間協定の実施において REDD+が直面する課題
REDD+の二国間協定の実施における4つの重要課題を以下に挙げる:
a.
二国間のコミュニケーションの欠如
現在の二国間協定における規定は、各協定間の解釈を基本としている為、他国の二国間
協定との関係、国内政策や基準、メカニズム等の定義設定に差異が見られる。 インドネシ
ア政府はノルウェーやオーストラリア等とパートナーシップを締結し森林保護に努めながら
も、自国のパーム油産業を拡大する計画を発表する等、矛盾が生じてしまい、下記のような
協定のルースな規定が露呈してしまったということが一例として挙げられる。

ノルウェーとの間で合意された森林伐採の一時的停止条項は、協定実施日よ
りも前に受諾された森林伐採行為には該当しない為、短期的収益を狙った森
林伐採が加速する可能性がある。

インドネシアの法律上の森林の定義が不明瞭な為、法的処置を回避できてし
まうような違法伐採や採掘が引き起こされる可能性がある。
Ⅱ- 8 -

b.
インドネシア政府はパーム油農園を森林として再定義するという提案したが、
これによりパーム油農園建設の為に伐採された森林地帯で、原生林保護の費
用申請ができてしまう等、REDD+資金が乱用される可能性がある3。
早期 REDD+イニシアチブにおける騒動
早期 REDD+イニシアチブにおいて下記のような騒動が見られた:
c.

2009 年パプアニューギニアでは、政策や法案が策定される前に排出権の発行
および数百万ドル規模の排出権市場の設置が気候変動庁より発表されたと報
道された。

ノルウェーとの REDD+契約交渉時、コペンハーゲンで開催された国連気候変
動交渉で交渉にあたったインドネシア交渉団の上層部が収賄で逮捕・起訴さ
れた。

オーストラリアのカーボンフォレストパートナーシップの締結は、オーストラリア
政府が国内の低炭素化を促すよりも増加する二酸化炭素の排出量を相殺す
るため安価に二国間クレジットを購入しようとしていると一部批判された。
実施の遅延
ノルウェーとインドネシアの二国間協定のファイナンスにおいて、インドネシアが国内銀行
の利用を主張する一方、ノルウェーは国際機関の利用を要求し主張が食い違っていたが最
終的に UNDP を活用することで暫定的な解決に至った。 しかし最終決定は先延ばしとなっ
ている。ガイアナーノルウェー間のパートナーシップの支払いに関して遅延が問題となって
いる(下記 Box 2 参照)。
d.
クレジット発行に関する不確実性
最初の REDD+クレジットは、Verified Carbon Standard (VCS)によって発行されたアフリカの
プロジェクトからであり、二国間協定の一部ではない。
REDD+は現況フィージビリティスタディレベルでしかなく、投資家たちは REDD+が完全実施
に至らないリスクを包含しなければならない。又 REDD+のクレジット化は論議の耐えない
課題であり、ブラジルはアマゾン基金への全ての 貢献は無償であるべきで、REDD+の市
場メカニズム化には長い間反対を表明してきているが、ここ数ヶ月クレジット化に向けての
交渉に臨む姿勢を見せている。
3 インドネシアは森林、ポイントカーボンとして油ヤシの木を再分類する、2010 年 2 月、
http://www.southpolecarbon.com/_downloads/100216_REDD_pointcarbon.com_SPpbb.pdf
Ⅱ- 9 -
Box 2 - Progress Assessment for Existing REDD+ Bilateral Agreements
Parties
Performance Indicators
Norway-Guyana
2009-2010

Preparation of an outline of Guyana’s REDD+
Governance Plan

Commencement of work to develop a MRV
System

Establishment of a Project Management Office
and an Office of Climate Change

Activation of the Multi-Stakeholder Process;

Ensuring that an annual verification by neutral
experts that the REDD+ enabling activities are
completed

Ensuring that an annual assessment by neutral
experts of the maximum amount due to Guyana
according to the REDD+ Governance Plan;

Establishment of a system for Independent
Forest Monitoring (IFM)

Engaging with the Extractive Industries

Transparency Initiative (EITI) and European
Union Forest Law Enforcement, Governance and
Trade body (FLEGT)

Establishment of Guyana’s REDD+ Investment
Fund (GRIF)
Post 2010
Contributions to Capacity Building will decrease
over time, resulting in a larger emphasis on
financing implementation of activities under
LCDS

Ⅱ- 10 -
Progress to Date
2009/2010: Guyana met all REDD+ targets

End 2009: Preparation of an outline of Guyana’s
REDD+ governance development plan

Oct 2010: Establishment of the Guyana REDD+
Investment Fund (GRIF)

Mar/Oct 2010: Guyana completed two Annual
Progress Reports on REDD+ Enabling Indicators

Rainforest Alliance Program contracted to carry out
the independent verification

Nov 2010: Release for public comment of ‘Guyana
REDD+ Monitoring Reporting and Verification
System (MRVS), Interim Measures Report 2010’,
by Poyry Management Consulting Ltd

The 2009 deforestation rate of 0.06% is more than
50% below the allowable level on which payment is
set to be computed

Oct 2010: First payment of US$30 million was
disbursed (six months late) but is still to be
released to Guyana
Box 2 (Cont’d) - Progress Assessment for Existing REDD+ Bilateral Agreements
Parties
Performance Indicators
Progress to Date
Norway-Indonesia
Phase 1 - May 2010-Dec 2010:

Creation of a REDD+ Task Force to prepare
for the establishment of a National REDD+
Agency

Groundwork for implementation of a two-year
moratorium on forest and peatland concessions

Initial design for an independent MRV
institution

Establishment of a temporary funding
instrument

Completion of a version of the National REDD+
Strategy through a multi-stakeholder process

Selection of the first pilot province

Appointment of the necessary focal points, as
well as establishment of a Joint Consultation
Group

Identification of an Independent Review Group

Design of a communications campaign to make
REDD+ activities transparent, inclusive and
credible
Phase 2 - Jan 2011-Dec 2013: Transformation to
make Indonesia ready for Phase 3

End 2011: REDD+ Agency fully operational

2011: MRV institution established

From 2013: Establishment and full
operationalisation of a countrywide MRV
system

End 2011: Design and implementation of an
MRV system in the pilot province

End 2011: Establishment of the core elements
of the permanent financial mechanism

Other national level capability building,
information collection and database
development, policy development and
implementation, legal reform and law
enforcement

More pilot projects to potentially be added
Phase 3 - From 2014 onwards: Contributions for
verified emission reduction

Indonesia receives annual contributions for
independently verified national emission
reductions relative to a national reference level

Norway channels financial contributions
through the permanent financial mechanism
Jun–Aug 2010: Consultation and multi-stakeholders
process regarding the Letter of Intent and its
implications to related right-holders and
stakeholders in three working groups
Sep 2010: Release of Draft National REDD+ Strategy
for comments (Oct 2010)
Sep 2010: Establishment of a REDD+ Task Force

Chaired by the Head of the President’s Delivery
Unit on Development Monitoring and Oversight
(UKP4)

Has oversight over the preparation of the national
REDD+ strategy

Will define the scope of the REDD+ Agency
through a multi-stakeholder process

Is responsible for the funding instrument for
REDD+ activities
Sep 2010: Delayed upgrade of the Letter of Intent into a
legally binding document
Oct 2010: Agreement on the Terms of Reference for a
Joint Consultation Group (JCG)

Will be responsible for oversight and setting
direction for the Indonesian-Norwegian partnership

Will align expectations and develop agreements
between Indonesia and Norway in implementing
all deliverables related to the Letter of Intent
Oct 2010: Agreement on an interim financing
mechanism
Aug 2010: Norway agreed to transfer an initial $30
million to Indonesia under its $1 billion REDD+, however
payment was delayed by the late set up of the interim
financial mechanism

Norway wanted to pay the money to an
international institution, such as the World Bank or
the UN-REDD+ programme, while Indonesia
wanted the money to be managed by local banks
Oct 2010: The Indonesian Government put off Norway’s
fund disbursement because Jakarta had not completed
necessary preparatory steps stipulated in the deal

Norway and Indonesia will use the United Nations
Development Programme (UNDP) for the
channeling of first US$30 million for the
preparation phase

The REDD+ Task Force will direct the use of funds
and authorize all disbursement requests while
UNDP will provide financial controls and
international environmental, social, governance
and fiduciary safeguards
Dec 2010: Selection of Central Kalimantan province
on Borneo island as the first REDD+ Pilot Province
Jan 2011: Delayed implementation of the
Moratorium on forest clearing (planned for Jan 2011)

The Indonesian government may be
back-tracking, possibly because of intense
lobbying by industrial interests

Indonesia’s President is to decide which one of
at least two draft decrees he should sign

Decree to be signed before the moratorium
becomes legally-binding
No update to date on:
The status of the MRV framework
The appointment of focal points
The design of the communications campaign
Jun 2009: Funding support of K6 million (US$2.3
million)



Australia-PNG
The initial package of assistance under the
PNG-Australia Forest Carbon Partnership aims
to:

Build the capacity of GoPNG institutions to
Ⅱ- 11 -

An initial A$300,000 (US$239, 000) has been
allocated for short-term advisory services for six
Box 2 (Cont’d) - Progress Assessment for Existing REDD+ Bilateral Agreements
Parties
Norway-Brazil
Australia-Indonesia
Performance Indicators
No performance indicators specific to the
agreement were published

The Amazon Fund’s investment criteria and
BNDES’s social and environmental safeguards
prevail
Phase 1: 2008-End 2012
Indonesia’s REDD+ policies and systems
designed and implementation commenced

Indonesia’s FRIS and INCAS designed and
implementation commenced

KFCP designed and implementation underway

A second demonstration activity identified and
the design for the activity is well advanced
Phase 2: Late 2009–2012

Indonesia’s REDD+ policies and systems
tested and refined

Indonesia’s NCAS established and forest
carbon monitoring and reporting underway

Indonesia market ready
Phase 3: 2010-2012

Early participation by Indonesia in voluntary
(pre-compliance) carbon markets for REDD+

Agreement in UNFCCC to establish post-2012
international carbon markets for REDD+

Necessary policy, technical and financial
underpinnings in place for Indonesia to access
post-2012 REDD+ compliance markets for
REDD+ under the UNFCCC.

Possible identification of opportunities to
cooperate in improving Indonesia’s access to
carbon finance for emission reductions in
non-forest sectors
Phase 4: Jul Dec 2012

Ⅱ- 12 -
Progress to Date
Payments to date:
2009: NOK700 million donation (approximately
US$ 107 million) for application
2010: NOK750 million (approximately US$ 134 million)
allocated
2011: Expected amount up to NOK750 million
2009: BNDES published for the first time a list of
projects contracted. They now publish details of
project applications received and being processed
2010: The steering committee signed-off on the
Amazon Fund’s first annual report (2009), indicating
that the government, state and civil society
participants are satisfied with the audit and that the
Fund’s allocations have been in line with
government policy and the Fund’s guidelines
To date, the Amazon Fund has not met its ambition
to target over half of funding towards innovation,
but has tended to fund traditional command and
control measures
It has also not found a way to get its funds to
grassroots organizations such as associations of
rubber tappers, smallholders and indigenous
people
The Fund started out by using the same application
forms, funding procedures and employee
competency sets for the Amazon Fund as BNDES
does for its commercial, industrial and
infrastructure loans

The application criteria are narrow and don’t deal
with the drivers of deforestation. In particular don’t
deal with the agriculture sector

BNDES staff lack specific competency in
assessing environmental projects and sustainable
development issues – such as gender equity and
the rights of indigenous people

The federal government has not formally
recognized the pilot project yet. Only
“self-labored” REDD+ projects

Brazil is still creating a national strategy for
REDD+
Sep 2007: First REDD+ demonstration activity
project under the partnership in Central Kalimantan
forests (till 2012)

Trials an innovative market-based approach to
financing and implementing REDD+ measures
Dec 2008: Indonesia-Australia joint submission to
the UNFCCC on reducing emissions from
deforestation and forest degradation in developing
countries (REDD+)

Showcases some initial lessons from the KFCP
projects in Annex
Aug 2009: Indonesia-Australia joint submission to
the UNFCCC on MRV for REDD+
Mar 2010: Second REDD+ demonstration activity
project under the Indonesia-Australia Sumatra
Forest Carbon Partnership

Wll focus on addressing the main drivers of
deforestation and forest degradation
Oct 2010: Inclusive multi-stakeholder consultation
process on Indonesia’s first draft National REDD+
Strategy
2) REDD+二国間協定を設計する上での主要な課題
Booz & Company は気候変動に関する二国間協定を策定する上で必要な項目を 16 点挙げている(Box
3 参照、詳細は参照資料 2)。内、ペルーにおいては 7 点が適応され、下記の通り 4 項目に記すことがで
きる:
i)
既存又は今後締結される可能性のある二
国間協定との関係構築
気候変動における二国間協定は、以下のような
二国間又は多国間協定でカバーされているそ
の分野に影響を及ぼす可能性がある為、外交
官及び法律専門家によって共存できるよう、条
項内容を調整する必要がある:

WTO、地域間自由貿易協定、二国間貿
易協定等の貿易協定

先進技術や特定の物質移管に関する安
全協定及び地域協定

援助及び発展援助

所得・補助金・税額控除を考慮した課税
協定.
ii) 日本の二国間協定の期間及びその他国際
協定との相互作用
今後の国際気候変動交渉の動向に二国間協
定は柔軟に対応していく必要がある。 二国間
協定の期間設定は以下の点を考慮する必要が
ある:

勤務形態や制度間のつながり

インフラ建設や先進技術装置稼動法に
関するトレーニング等特殊活動が要する
期間

ペルーの政権循環
上記に加え、協定期間の延長及び終結させる
点も考慮する必要がある。
iii) 二国間協定下における報告及び認証
Box 3- Key Issues for the formulation of
Bilateral Climate Change Agreements
1. Relationship with other bilateral
arrangements between the two countries
2. Legal form of the bilateral agreement
3. Duration and other timing aspects
4. Interaction of the bilateral agreement with
other international arrangements or deals
covering climate change
5. Reporting arrangements
6. Requirements for co-benefits or specific
constraints on activities in the recipient
country
7. Independent verification of funding and
actions under the agreement
8. Coverage of activities within the
“recipient” country
9. Recognition of emissions reductions by the
donor country with respect to international
commitments, pledges or quantified targets
10. Interaction with existing mechanisms and
initiatives such as the CDM and voluntary
carbon markets
11. Recognition of emissions reductions by the
recipient country within national inventories
and reports
12. Recourse or mediation processes if the
agreement is not adhered to by either
country
13. Termination payments or other
compensation if the recipient country
“transfers” the emissions reductions to
entities that are not the donor country
14. Active involvement of people appointed by
the donor country and by the recipient
country
15. Direct supply of low emissions equipment,
inputs, devices and capabilities
16. Sector specific issues in the recipient
country, such as those for REDD+, or
nuclear, or CCS, or agriculture
二国間協定の下での REDD+案件に関する進捗
状況の報告方法は、資金・技術を提供するドナー国だけでなくアクションマイルストーンを設定し
ている被援助国の要請も反映する必要がある。定性的及び定量的に排出削減を査定すること
が必要となり、認証者としては地元専門家、認証機関、地元規制当局、地方機関や国際監査役
等を要する。承認方法の適正レベル及び承認過程の独立性の保証を考慮する必要がある。
iv) 被援助国による排出量削減の認識と既存メカニズムの相互作用
Ⅱ- 13 -
Clean Development Mechanism (CDM) を始めとする遵守市場や VCS を始めとするボランタリー
市場には複数のクレディティングメカニズムが存在しており、二国間協定にはおいてどのような
クレディティング方法を取るのか、又プロジェクトデザイン、報告内容、承認及び取引過程にお
いてどのように対応していくのか考慮する必要がある。二国間協定の目的はプロジェクトベース
で活動を行いつつもリージョナル、サブナショナル、ナショナルレベルで REDD+の活動成果を発
揮することである。又、二国間協定での排出量削減を効率的に認識する為に、既存のクレディ
ティングメカニズムをベースとして発展させたメカニズムが必要となってくる。
Ⅱ- 14 -
3) REDD+における日本・ペルー二国間協定の原則
REDD+プログラムにおける活動は、長期に渡る土地管理を意味する為、伝統的に続いてきた土地管理
慣行を変更する煩雑さを伴い、二国間協定においてはこの点を考慮する必要がある。日本政府とペル
ー政府との二国間協定での REDD+活動を 定義する上での原則は下記の通り挙げられる:
i)
確実性の提供
ii)
タイムリーな実施
iii)
信頼性の強化
iv)
公平性と平等の確保
v)
長期的発展の為の適合性
i)
確実性の提供
ステーキホルダー、特に国際投資家とドナーに長期的な二国間協定の有効性を保証すること
が必要である:

二国間協定は、他の二国間/多国間協定の下で責務と矛盾しないことを保証

広範囲な開発目標の約束された一貫性

森林保護のための森林利害関係者の動員

強力な法的手段の利用

明確に制度化された構造と法的強制措置の確立.
詳細は以下の通りとなる:
a.
他の二国間協定との互換性の保証
関連するすべての二国間あるいは多国間協定を考慮し、新しく締結される二国間協定が以
前の公約と矛盾しないことを保証する必要がある。
ペルーが REDD+に関し複数の相手国を有するならば、一地域に一協定というように重複を
避け、プロジェクトバウンドリーを明確に定義しなければならない。
b.
国家開発目標との整合性
REDD+ の二国間協定と経済成長を主幹としている国家成長戦略において一定の調整を
要し、省庁間(MINAM、MINAG、運輸省、鉱山やエネルギー等の省)間の利害対立を緩和
することが必要である。調整役としては森林管理及び REDD+を取り纏める総務庁(OCBR)
が想定される。同機関は MINAM の管轄下にあり、ペルーの閣僚評議会(PMC)に直接報告
を行う。MINAM、MINAG、財務省、資源エネルギー省、エネルギー鉱業省、外務省と地方政
府の省の代表が取締役となっている。技術事項は REDD+の技術グループ(GTREDD)が担
当する。
c.
森林ステーキホルダーによる森林保護
行政、民間セクター、特許権所有者、先住民や農民コミュニティ等、様々な森林ステーキホ
ルダーが連携し、REDD+を実施・設計することが必要である。日本・ペルー間の二国間協定
Ⅱ- 15 -
において強力な既得権者である鉱業・林業部門へ、如何に経済的インセンティブを提供で
きるかが重要な鍵となる。
d.
法体系
日本とペルーの、森林減少および森林劣化に関する取り組みを強固にする為に法的形式
に則った二国間協定を構築することが重要である。
e.
制度的枠組み
制度的枠組みを設けることは、 森林保護を介して排出削減を達成をしようとしているペル
ーの長期的な確約を証明することにつながり、法的拘束力を持つ制度枠組みは確実性を
高め、違法行為や汚職のリスクを軽減するものとなる。
ii) タイムリーな実施
資金投入、現地での様々な活動の開始が遅れている点が課題として挙げられるが、下記の点
を考慮しより広範囲で REDD+プログラムを実施し、それに必要な管理体制を確立することが必
要である:
a.
ロードマップの開発

ロードマップには明確な指標や実施基準、各指標の期限を含める

定期的な見直し

意見の相違への対処手順、遅延を最小限にするため等の交渉条件の確立
Coordination Agency for Forests and REDD+(OCBR)の権限を拡大又はロードマップ実施と
パートナーシップの監督を担う機関の設置しタイムリーな実施に対応していくことができる。
b.
キャパシティギャップ
キャパシティギャップは REDD+を実施、測定、検証するために必要なものと既存のものとの
ギャップと定義することができる。REDD Roundtables、政府の研修プログラムを通して地元
の人々のスキルの強化に貢献し、ステークホルダー間の知識の共有を図りギャップを埋め
ていくことが重要である。
c.
効率的かつ信頼性の高い資金調達
資金調達は、これまでの REDD+ 活動において潜在的なボトルネックであり、日本とペルー
は効率的な資金メカニズムに合意する必要がある。多国間機関の監督下で執り行うことは
一つのオプションであるが下記のような課題点も含む:

従来の資金支払いプロセスを継承するため遅くなる可能性が高い

現存のリソースの負担を追加する可能性がある

投資家の信頼を高める事が重要である
iii) 信頼性の強化
Ⅱ- 16 -
協定の信頼性は、環境保全を含んだ排出削減において成果を生み出せるということにかかって
おり、効果的な排出削減に失敗すると、投資家からの信頼は損なわれ、将来の資金調達に影
響を与える可能性がある:
a.
環境保全の確保

リージョナルベースラインに関する情報へのアクセスを保証し(特にサンマルテ
ィンおよびマードレ・デ・ディオス)、参照レベルの作成と将来的シナリオの検討
の余地を与える。

すでに VCS その他機関によってなされた作業を平準化し、炭素蓄積管理を行
う等カーボンアカウンティングへの適切なアプローチの選択をする。

「森林」の明確な法的定義を提供し、「伐採ゾーン」と「劣化ゾーン」を区別す
る。

異なるプロジェクト領域の重複を回避するカーボンアカウンティングと炭素蓄積
量検証システムを有効化する。

国際的に認められた MRV システムを設定する。
b.
透明性の向上

報告書に求められる内容を具体的に定義

報告書発行を求められる時期を設定

定期的かつ独立した信頼性ある検証プロセス

オンライン情報アーカイブの作成
iv) 公正と平等性の確保
a.
土地所有の明確化
ペルーでは、土地取得のための手続きが確立されておらず、所有権を得るための手続きは
複雑である。土地所有の明確性の欠如は、REDD+の実施を遅らせるだけでなく、地域農村
部や先住民共同体の権利を脅かすものとなる。計画を進めるには以下の点が必要である:
 包括的な土地所有許可の認定
 土地権利にかかわる諸問題の解決
b.
REDD+の経費配分に関する公正な仕組みの確立
REDD+実施により被援助国に配分される経済利益予測については、実例がほとんどない
為、日本・ペルー間には以下の分析が求められる:
c.

様々な生態系サービスに関する諸権利の明確化

REDD+スキームを確立した結果得られる利益を公平に分配する仕組み
ソーシャルセーフガード
ソーシャルセーフガードとは、早期計画段階で人々に不当な損害を与えることを軽減する為、
意思決定プロセスに組み込んだものであり、最低基準やベストプラクティスガイドラインとい
Ⅱ- 17 -
った形に体系化されている。日本・ペルーの REDD+二国間パートナーシップにおいても包
含される必要がある。
v) 長期的発展の為の適合性
a.
各活動をプロジェクトレベルからリージョナルレベル・ナショナルレベルに移行させるた
めの現場関係者同士の調整
プロジェクトレベルからリージョナルレベル、最終的にはナショナルレベルに円滑に拡大す
るための強い調整力が要求される。ベースライン、 カーボンアカウンティングシステム、
MRV の手順は、プロジェクトやリージョナルレベルで統一する必要がある。
またペルーの生態系やプロジェクト環境の多様性が難題をもたらす可能性もある為柔軟な
体制を維持していくことが重要である。
b.
国際的な気候変動枠組みとの調和と調整
二国間協定には、開始、進行、拡大、および終了時期の明記が必要である。 これは、国連
気候変動枠組条約(UNFCCC)およびその他国際交渉の進捗状況を加味し、定期的な見直
しを要する(可能であれば三年毎)。
初期の REDD+構想では、日本とペルーは、REDD+の枠組みにおける国際交渉の動向を追
うことが重要であり、パートナーシップ協定には以下の事項を盛り込む必要がある。

国際的に承認された基準と方法論の利用

報告要件の調整(時期と質の両面で)既存の報告書との整合(例:UNFCCC 国
立通信など)

MRV プロセスの一貫性
Ⅱ- 18 -
参考資料 1: Snapshot of international bilateral cooperation on REDD+4
REDD+
Countries
Austra
lia
Denma
rk
Finlan
d
Donor Countries
Germa
Japan
ny
Norwa
y
Swede
n
Argentina
Azerbaijan
Bolivia
Brazil
Burkina Faso
Cambodia
Cameroon
Central African Rep
Chad
Chile
China
Colombia
Congo (DRC)
Congo
*
Costa Rica
Ecuador
El Salvador
Equatorial Guinea
Ethiopia
Gabon
Ghana
Guatemala
Guyana
Honduras
India
Indonesia
*
Kenya
Lao PDR
Liberia
Madagascar
Malaysia
Malawi
Mexico
*
Morocco
Mozambique
Myanmar
Nepal
Nicaragua
Nigeria
Panama
Papua New Guinea
Paraguay
Peru
Philippines
Senegal
Suriname
Tanzania
Thailand
Tunisia
Uganda
Vanuatu
Venezuela
Vietnam
Zambia
Legend:
4
Existing REDD+ Bilateral Cooperation
Key REDD+ Bilateral Agreements
* Not featured in source document
出典: Synthesis Report: REDD+ Financing and Activities Survey, Intergovernmental Taskforce,
Ⅱ- 19 -
May 2010
UK
参考資料 2:
Booz & Company
Key issues to consider when devising a bilateral agreement on climate change
December 2010
Key Issues for Climate Change
Bilateral Arrangements
Discussion Document
This document is confidential and is intended solely for
the use and information of the client to whom it is addressed.
Many countries are exploring the potential and practicalities of
creating bilateral agreements within a broader global framework
 Within the broader UNFCCC processes, a number of advanced economies and developing
economies are seeing the value of having specific arrangements between two specific countries
– This creates a useful dynamic for cooperation at a more detailed level
– Specific actions and achievements are key to building trust in the broader negotiations
 The practical steps and considerations for bilateral agreements are “front of mind” for a collection
of countries, including Japan, the USA, Australia, Norway, UK and all of the recipient countries
– These agreements are intended be enduring arrangements, so representatives from both
countries need to take a structured and considered approach to agreeing on the details
– Flexibility is key to accommodate each country’s particular situation, but it is also important to
have a degree of consistency across all bilateral agreements addressing climate change
 This document outlines 16 key issues which should be considered when developing the detail of
bilateral agreements addressing climate change
– The issues are listed in the next two pages (in no particular order) and then each issue is
explained in more detail, with a single page for each of the 16 key issues
– There are more issues than these 16, so this list will certainly expand and evolve over time
 Structured consideration of these issues will support the creation of enduring and effective
bilateral agreements which provide win-win pathways for low carbon transformation
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Ⅱ- 20 -
0
There are many issues to consider when formulating a bilateral
arrangement to address the challenges of climate change
Key Issues (1 - 8)
1
 Relationship with other bilateral arrangements between the two countries
2
 Legal form of the bilateral agreement
3
 Duration and other timing aspects
4
 Interaction of the bilateral agreement with other international arrangements or deals covering climate change
5
 Reporting arrangements
6
 Requirements for co-benefits or specific constraints on activities in the recipient country
7
 Independent verification of funding and actions under the agreement
8
 Coverage of activities within the “recipient” country
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There are many issues to consider when formulating a bilateral
arrangement to address the challenges of climate change (cont.)
Key Issues (9-16)
9
 Recognition of emissions reductions by the donor country with respect to international commitments, pledges
or quantified targets
10
 Interaction with existing mechanisms and initiatives such as the CDM and voluntary carbon markets
11
 Recognition of emissions reductions by the recipient country within national inventories and reports
12
 Recourse or mediation processes if the agreement is not adhered to by either country
13
 Termination payments or other compensation if the recipient country “transfers” the emissions reductions to
entities who are not the donor country
14
 Active involvement of people appointed by the donor country and by the recipient country
15
 Direct supply of low emissions equipment, inputs, devices and capabilities
16
 Sector specific issues in the recipient country, such as those for REDD+, or nuclear, or CCS, or agriculture…
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Ⅱ- 21 -
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KEY ISSUE 1
Relationship with other bilateral arrangements which exist already or emerge
in the future
 A bilateral agreement on climate change will have an impact on sectors and activities
which are already covered by other bilateral arrangements
– Trade agreements including WTO, regional free trade and bilateral trade agreements
– Security agreements or regional pacts, including those which cover transfer of
advanced technologies or specified materials
– Aid or other development assistance
– Taxation agreements involving cross-recognition of income, subsidies and tax credits
 These arrangements may exist already or emerge in the future
– Many bilateral, plurilateral and regional agreements are already in place
– A successful bilateral agreement on climate change is likely to encourage closer
cooperation between the governments and for further arrangements to emerge
 Careful analysis by diplomatic and legal experts is encouraged
– All relevant arrangements should be acknowledged and addressed
– Provision should be made for interaction with future bilateral arrangements
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KEY ISSUE 2
Legal form of the agreement
 A bilateral arrangement covering climate change action could take a variety of legal
forms, including:
– Treaty or Agreement
– Memorandum of Understanding (MoU)
– Formal pact between sovereign states
– Contract between legal entities (eg, Government Departments or Ministries)
 Different legal forms also have implications for how the agreement is created, sustained
and terminated. A bilateral agreement could be:
– an agreement signed by the respective national leaders or diplomatic representatives
– a formal treaty endorsed by legislatures in each country, as per each country’s
domestic requirements for adoption of international treaties
 Agreements could be between sub-national entities rather than national, for example:
– Governors of states or provinces
– State or provincial legislatures
– Cities or regional communities
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Ⅱ- 22 -
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KEY ISSUE 3
Duration of the bilateral agreement
 A bilateral agreement on climate change needs to include statements on timing, such as:
– The date which it commences
– Staging of the agreement, perhaps allowing for expansion over time
– Expected length of time for the agreement to be in place
– End date, or other triggers for termination of the agreement
 Reviews of the agreement could be scheduled (for example, every three years)
– This provides a predictable process to examine how the agreement might need to
change over time, perhaps when there is a new global framework for climate
– Reviews could also include the consideration of extending the duration of the
agreement or identifying how the agreement might end
 Deciding on the duration of an agreement should include consideration of:
– Time required to establish working arrangements or institutional connections
– Duration of specific activities covered by the agreement, such as infrastructure
planning and construction, or training for the operation of advanced equipment
– Political cycles within each country
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KEY ISSUE 4
Interaction of the bilateral agreement with other international arrangements
or deals covering climate change
 International negotiations are continuing to move forward under the UN Framework
Convention on Climate Change
– A framework for action beyond 2012 is being developed so that all countries can
contribute, and many have already pledged specific actions and/or targets
 International discussions on climate change are also taking place in the Major
Economies Forum, the G20, and a variety of other groups (eg, APEC, OPEC, ASEAN)
– These discussions could result in plurilateral agreements or deals on climate change
– Cooperation within these groups is a key focus at the moment due to the relatively
slow pace of the consensus-based negotiations under the UNFCCC
 Some countries are establishing a number of bilateral deals with different donor
countries (for example, Indonesia has various bilateral deals with Australia, UK,
Germany, the Netherlands, Japan, Norway, New Zealand and the United States)
– This creates the potential for overlaps in terms of the activities which are included in
each of the bilateral deals and how the activities are recognised
– Boundaries are needed to assist with identifying the activities, sectors or geographic
regions (and emission reductions outcomes) covered by each of the bilateral deals
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Ⅱ- 23 -
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KEY ISSUE 5
Reporting arrangements
 A bilateral agreement on climate change will need to outline the expectations of both
countries regarding reporting, including reporting arrangements for:
– Support provided by the donor country (financial, technical, human capacity, etc)
– Action and outcomes in the recipient country (action milestones or emission reductions)
– Collaborations and cooperative activities (training, technology adaption, research, etc)
 The reporting requirements in the bilateral agreement need to be sufficiently detailed so
that stakeholders and officials on both sides can be confident that the reports provided
by both countries can meet their expectations
– The format of reports and the required contents should be clearly spelled out
– This is likely to include specifying technical aspects of carbon accounting, or reference
to accepted standards for sector-level, regional and national reporting
– Uncertainty and materiality levels may have to be specified for certain activities
 The timing of reporting requirements in the bilateral agreement should be aligned with
the reporting processes already in place within the organisations or governments
– This allows more efficient production and checking of data and the inputs to reports
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KEY ISSUE 6
Requirements for co-benefits or specific constraints on activities in the
recipient country
 Activities to reduce carbon emissions and to transform to a low carbon pathway can have
a significant impact on existing livelihoods and local environments
– These impacts can be positive or negative, depending on the nature of the activity and
how it is initiated and managed
– The core objective of bilateral agreements on climate change is to impact on climaterelated issues, but the subsequent impacts must be considered
 Requirements for co-benefits can be included in bilateral agreements
– This could take the form of a general requirement that sustainable development is
considered in the design of activities
– It could also be a requirement more targeted at a particular issue which should be
considered, for example biodiversity standards in land management activities
 Constraints on activities can be imposed either within the agreement or as a precondition
for the agreement to go ahead. These could include:
– no-harm requirements for disposal of industrial waste; human rights considerations in
acquiring space for large dams; requirements for use of donor country contractors or
equipment providers in activities or support; corruption in funding and benefits
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KEY ISSUE 7
Independent verification of funding and actions under the agreement
 There are a number of different forms of “independent verification” which could be used
within a bilateral agreement on climate change
– Verification can be undertaken by a variety of different entities, including local experts,
certification bodies, local regulators, regional organisations, or international auditors
– The appropriate level of verification and the approach to verifier independence is highly
dependant on the activities being undertaken and the context of the verified information
– The style of verification used so far in the CDM is not a useful approach for verification
within bilateral agreements on climate change (however the methodologies in the CDM
can assist with quantifying the emissions outcomes of activities under the agreement)
 Actions under the agreement may be subject to some form of independent verification
– This could include verification of progress reports or other qualitative information
– The primary focus would be to verify the data and calculations used for quantifying
emissions reductions or increases in carbon stocks within the recipient country
 The funding and other support provided by the donor country may be subject to some
form of independent verification, particularly if the bilateral agreement includes
collaborative activities or other direct support measures which are on a critical path
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KEY ISSUE 8
Coverage of activities within the recipient country
 A bilateral agreement on climate change is likely to specify how it will operate and which
areas of the recipient country are intended to be impacted
– An agreement could cover a wide range of climate-relevant activities in the recipient
country or it could be very specific about its intended coverage
 Broad statements on sectoral coverage can be complemented with more specific
intentions to accelerate the low carbon transformation in particular ways. For example:
– Emissions reductions in the energy sector with a focus on deployment of advanced
power generating equipment and training of technical staff
– Reductions in land clearing with a focus on enhancements for urban planning
processes, introduction of land titles systems, creation of forest management jobs
 Geographic boundaries can also be used to define what is covered by a bilateral
agreement on climate change. For example:
– All activities within a particular city, state or province
– Specific activities across a selection of states or provinces
 Coverage is a key issue when the recipient country has a number of bilateral agreements
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Ⅱ- 25 -
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KEY ISSUE 9
Recognition of emissions reductions by the donor country with respect to
international commitments, pledges or quantified targets
 Many countries are making clear commitments to reduce their carbon emissions over the
coming years and decades
– Absolute targets for national emissions (Mt of CO2-e emitted per year) is a key
component of the Kyoto Protocol and its first commitment period which ends in 2012
– Countries are making commitments to emissions levels in 2020 and 2050 with the
assumption that beyond 2012 there will be flexibility around the “attribution” of
emissions and emissions reductions to assist with meeting these commitments
 A bilateral agreement on climate change must describe how the donor country is
intending to “attribute” the anticipated emissions reductions in the recipient country
– Depending on the detail supporting any national target or commitment, it is likely that a
donor country will want to include the realised emissions reductions under the bilateral
agreement as part of their efforts and outcomes
– This could include attribution for activities as well as direct “claim” on the resulting
emissions reductions in the recipient country
 Recognition of emissions reductions could be in the form of unitized crediting (such as in
a registry of transferable credits) or via a “bulk claim” of emission reductions outcomes
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KEY ISSUE 10
Interaction with existing mechanisms and initiatives such as the CDM and
voluntary carbon markets
 The Clean Development Mechanism is an existing and expanding collection of activities
where the emission reduction outcomes from those activities are reported, verified by
international auditors, and unitized into a registry system by the UNFCCC
– Legal ownership of the emissions reductions and the issued credits can be a complex
part of project design, documentation, approvals and auditing procedures
 Activities supported by the voluntary carbon markets (VCM) also result in unitized credits
in a registry system, but the status of these can not be tied back to government
approvals or commitments under the UNFCCC
 A bilateral agreement on climate change will need to consider what approach should be
taken for activities which are registered as CDM or VCM projects in the recipient country
– The coverage of a bilateral agreement could explicitly exclude registered CDM or VCM
activities from the sectors or geographies it is targeting, or it could mandate the
transfer of CDM or VCM contracts to the donor country for inclusion in the agreement
 The CDM and VCM both contain frameworks for tracking of activities to reduce
emissions and are a useful starting point when defining technical standards for
quantification of emissions reductions within a bilateral agreement on climate change
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Ⅱ- 26 -
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KEY ISSUE 11
Recognition of emissions reductions by the recipient country within national
inventories and reports
 Each country under the UNFCCC must make efforts to track its national emissions,
share its inventory with the global community, and compile reports every few year for
submission to the UNFCCC
– Expert review teams assist with understanding the status of the national
communications and the potential to improve their accuracy and completeness
 The recipient country under a bilateral agreement on climate change will need to identify
how the resulting emissions reductions will be considered in the compilation and
reporting of its national inventory
– The emissions reductions “claimed” by the donor country could be included in the
recipient country’s national inventory and then identified in the reports as being
included in the donor country’s claims around its commitments or emissions targets
 If the recipient country has made pledges or commitments to take action or reduce
emissions intensity, then there may be some overlap between the coverage of the
bilateral agreement and the scope of those pledges or commitments
– A bilateral agreement will need to address the treatment of actual emissions in the
national inventory and the inclusion of emissions reductions already (or expected to be)
recognised and claimed by the donor country
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KEY ISSUE 12
Recourse or mediation processes if the agreement is not adhered to by either
country
 Any form of agreement or contract usually includes a process for dealing with one or the
other of the entities not sticking to what they agreed
– This often occurs out of necessity rather than spite, but it is important for both sides of
an agreement to understand what happens if things go wrong
 A bilateral agreement on climate change could include provisions for situations where
one or the other country are not doing what they agreed to do, but are still committed to
continuing with the bilateral agreement
– Provisions or triggers for review or variation to the agreement could be included
 If the bilateral agreement is not adhered to by either country then recourse or mediation
processes could be necessary
– The need to consider this issue is amplified by the nature of many climate change
activities and the large amount of upfront funding which is required to initiate and
implement the activities or to deploy the advanced technologies
 Political changes within either country could also have an impact on a country’s
willingness to adhere to a bilateral agreement on climate change
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KEY ISSUE 13
Termination payments or other compensation if the recipient country
“transfers” the emissions reductions to entities who are not the donor country
 A bilateral agreement on climate change is likely to involve the recognition, quantification
and “claim” of the emissions reductions which result from the agreement
– Various approaches to recognition and “claim” are possible, including unitization in a
registry system or via a “bulk claim” of emissions reduction outcomes
 The bottom-up nature of bilateral agreements means that a recipient country could allow
the donor country to “claim” emissions reductions, and then also allow a different country
or company to also recognize and “claim” the same emissions reductions
– While it may be possible to detect these instances, there is still the problem of more
than one entity “claiming” the same emissions reductions
 A bilateral agreement on climate change could include provisions for termination
payments or other compensation in an attempt to manage this risk
 It could also be possible for a bilateral agreement on climate change to include
provisions for re-bidding of the emissions reductions which result from the agreement
– For example there could be a 2020 re-bid of a country’s bilateral arrangements to allow
other potential donor countries to participate in the recipient country’s activities
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KEY ISSUE 14
Active involvement of people appointed by the donor country and by the
recipient country
 The transformation to low carbon development requires the deployment of enormous
amounts of extra human effort across a wide variety of activities
 Activities under a bilateral agreement on climate change are likely to involve new skills,
new management approaches, new technologies, new equipment and new funding
– All of these involve a series of people and organisations being activated to contribute
 A bilateral agreement could include detail on how the additional human resources are to
be identified, activated, trained, managed and deployed to pursue the desired activities
– People involved could include government officials, representatives or appointed
individuals from either the donor country or the recipient country, local embassy staff,
technical service providers, development specialists, trainers, systems builders, etc
– The potential roles involved in the design, build-up and roll-out of the low emissions
activities include program management responsibilities, administration and support of
the agreement, risk management in expenditure of government funds, contract
management, data compilation and reporting, financial management, training, etc
 A key challenge in development of the details of a bilateral agreement is understanding
the practical and human implications of the agreement’s objectives and activities
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KEY ISSUE 15
Direct supply of low emissions equipment, inputs, devices and capabilities
 Many countries see climate change as an opportunity for them to enhance their exports
of advanced technologies, management systems and cleaner products
– This is often a key objective of bilateral agreements on climate change, even if it is
not an explicitly stated aspect of the deal
– Countries realise that the more donor country entities are involved in the activities,
the greater the proportion of funding which stays within the donor country’s economy
 A bilateral agreement on climate change could specify that certain equipment, inputs,
devices or capabilities are required to be used in the activities. This could include:
– Nuclear power station inputs and construction contracts
– LNG facility inputs and construction contracts
– Supply of high efficiency electrical appliances
– Secondment of engineers and technicians or use of specific training courses
 Provision of funding under the bilateral agreement could also be made conditional on a
certain amount of technology or services from the donor country being used
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KEY ISSUE 16
Sector specific issues in the recipient country, such as those for REDD+, or
nuclear, or CCS, or agriculture…
 Within a bilateral agreement there
is likely to be a focus on certain
sectors or geographies or climate
solutions
 Many sectors have quite specific
issues which need to be
considered and addressed
 There are particular complexities
with activities involving:
– Changes in land management
(such as REDD+ and agriculture)
– Use of advanced technologies
which involve serious waste
(such as nuclear and CCS)
Booz & Company
December 2010
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Key Issues for REDD in Peru
 Ability to formulate a credible and reliable
carbon ‘baseline’ in a specific area
 Ability to monitor deforestation, degradation
and land use change
 Ability to monetise the carbon outcomes
across time
 Ability to protect forest areas that may have
economic potential
 Ability to involve (isolated) indigenous
persons in productive negotiations and
sustainable development
Prepared for METI
Ⅱ- 29 -
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PART Ⅲ
パイロットプロジェクトによる基礎調査(Alto Mayoプロジェクト概要)
Ⅲ- 1
目次
1
2
1)
2)
3)
4)
5)
項目
本時業の実現に向けた各種基礎調査並びにモニタリングシステムの提案
過去・現在の土地被覆分類調査の流れ
i)
利用可能な衛星データの整理・検討
ii)
衛星データの利用計画
iii)
土地被覆分類図の改良・作成
巻末資料
A
土地被覆分類図
B
森林変化抽出図
報告と記録保管の方法
報告の基準とプロトコル
モニタリング手法と透明性
検証のための品質管理、品質保証及び計画
アルトマヨにおける REDD+の参照レベルの確立と合意
i)
データ統合
ii)
ベースラインと参照レベルの設定における一貫性
iii)
ダブルカウントの問題
iv)
リーケージのリスク
ペルーのレベル 3 アプローチに向けた MRV 枠組み提案
Ⅲ- 2
ページ
3
4
4
8
11
22
37
41
41
43
44
45
46
46
47
47
48
1. 本事業の実現に向けた各種基礎調査並びにモニタリングシステムの提案
第 3 部は本事業における核心部であり、インベントリ炭素蓄積量の推定からモニタリング手法の
検討までの一連の基礎調査を行った。これらの基礎調査は本事業の成功に不可欠な要素を含み、
また我が国の優れたデータ解析ノウハウや CDM 事業の事業化ノウハウが生かされる。
本章では、光学およびレーダ衛星データを使用した土地被覆分類図の改良、作成についてまとめ
た。2007 年土地被覆分類図の雲部をレーダ衛星データで補完すること、モニタリングシステムに
重要なベンチマーク図として使用する高精度な 2010 年土地被覆分類図を作成することをそれぞ
れの目的とした。
<総
括>
本業務では、光学およびレーダ衛星データを使用し、土地被覆分類図の改良、作成を行った。
2010 年土地被覆分類図について、高頻度の観測により取得した良好な RapidEye データを使用し、
雲部による解析不適箇所を軽減した。また空間分解能が高いため、より詳細な分類を可能にした。
また ALOS PALSAR データは、LANDSAT および RapidEye の光学衛星データに含まれた雲部に
よる解析不適箇所の補完に使用した。DEM を使用し、標高データを基に森林、二次林、草地、農
地・裸地をより詳細に分類した。アセンディング、ディセンディング両軌道上で観測した ALOS
PALSAR データを使用することで、山間部に特有なレーダシャドウやレイオーバ、フォアショートニ
ングの影部による解析不適箇所を軽減した。また ALOS PALSAR データを基に作成した土地被覆
分類図を、定性的に、また定量的に検証した。土地被覆分類図は巻末資料 A にまとめた。
また、森林変化箇所の抽出に使用する JERS-1 および ALOS PALSAR データを 2007 年土地被
覆分類結果と比較し、レーザ衛星データの妥当性を検証した。中期的、季節的森林変化の抽出
には、PALSAR データを使用し、森林変化箇所を抽出した。また PALSAR データをカラー合成し変
化箇所を抽出し、空間分解能の高い RapidEye データと比較し、その妥当性を検証した。オブジェ
クトベース分類方法を利用してノイズデータを減少させた。現地調査や航空写真の撮影を実施し、
対象地域内にある森林の現況を確認した。これらデータや情報は、土地被覆分類の教師データ、
土地被覆分類結果の参照用データとして使用した。LANDSAT を基に作成した 2007 年土地被覆
分類図と RapidEye および PALSAR データを基に作成した 2010 年土地被覆分類図を比較し、2007
年から 2010 年の森林変化を調査した。
III - 3
過去・現在の土地被覆分類調査の流れ
インベントリ炭素量調査に必要な過去・現在の土地被覆分類調査を図 3-3 のフローチャートに
沿って行った。まず始めに、利用可能な光学およびレーダ衛星データの整理・検討を行い、実
際に使用する衛星データを選定した。次に、選定した衛星データ、その他関連情報の最適な融
合方法を検討し、衛星データ利用計画を立てた。最後に、同利用計画を基に、選定した衛星デ
ータからベンチマークとなる土地被覆分類図を作成した。
入手・利用可能な衛星
衛星データの利用計画
土地被覆分類図の作成
データの整理・検討
光学衛星、レーダ衛星
光学衛星、レーダ衛星、
高頻度観測衛星、現地調査の
ベストミックス
IPCC 2006
グッドプラクティスガイドライン
図 3-3: 土地被覆変化抽出のための作業フロー
i) 利用可能な衛星データの整理・検討
本業務では、複数年の光学およびレーダ衛星データのアーカイブを整理・検討した。光学衛
星データは、地上で反射した太陽光線を受動的に観測する光学衛星により取得する。視覚
情報が豊富なため、地物判読等に強い。しかし、光学衛星データの質は観測時の天候(雲部
の有無)に左右されることが多い。そのため、光学衛星データだけでなく、雲の影響を受けず
観測できるレーダ衛星データのアーカイブも整理・検討した。本業務の対象地は熱帯林地域
のため雲部が多く、良好な光学衛星データが殆ど無い。レーダ衛星は、自らレーダを射出し、
地上で反射したレーダを観測する能動的観測衛星であり、また射出するレーダが雲を透過す
る性質を持つことから、全天候型観測が可能である。そのため、レーダ衛星データは、本業
務において重要である。
a)
光学衛星データ
本業務では、既存の光学およびレーダ衛星データについて事前検討を行った。各画像の
雲量を 20%以下に限定し、LANDSAT ETM+ (2008-2010)、SPOT 1-4 (1998-2008)および
SPOT 5 (2003、2005、2006、2007、2008)、ALOS/PRISM および AVINIR-2 (2008-2009)
のアーカイブを調査した。その結果、本業務の対象地にて雲量が 20%以下の良好な単一
の光学衛星データのアーカイブが全般的に不足していることが分かった。図 3-4 に、単一
の LANDSAT ETM+データとその雲量および観測日を示す。
III - 4
図 3-4: LANDSAT データ検索結果(2008 年~2010 年)
本業務では、高解像度(5 メートル空間分解能)・高頻度(回帰周期 5 日)の観測が可能な
RapidEye 衛星データも併せて検討した。2010 年 9 月、10 月の複数日に、将来のモニタリン
グシステムでベンチマークとなる土地被覆分類図作成に必要なデータを新規観測した。
b)
レーダ衛星データ
光学衛星データのほかに、全天候型のレーダ衛星データについても事前検討を行った。レ
ーダ衛星データについて調査した結果、ALOS PALSAR 衛星データは本業務の対象地全
域を十分にカバーでき、2007 年以降各年の複数時期のアーカイブが利用可能であった。
土地被覆分類図作成に使用する光学衛星データと同年にあたる 2007 年 6 月、2010 年 5
月のレーダ衛星データが利用可能であることを確認した(図 3-5)。
III - 5
図 3-5: アセンディング軌道上で観測した ALOS PALSAR データ
(2007 年 6 月、2010 年 5 月)
SAR 衛星は、傾斜の付いたセンサを使用し観測する。そのため、山間部等では観測不可
能な影部が発生することがある。レーダシャドウは、センサと対象地との間にある地形の
起伏により情報が抽出できない影の箇所を指す。また、フォアショートニングは、レーダ画
像上の位置は衛星からの距離に比例するため、データ上で衛星側の斜面が短く映し出さ
れる現象を指す。さらに、傾斜のきつい斜面では、データ上で山頂が本来よりもセンサ側
へ倒れこみ、斜面の情報が失われる。これをレイオーバと言う(図 3-6)。このような SAR の
特性により生じた解析不適範囲を最小限に抑えるため、本業務ではアセンディング軌道上
からだけでなく、ディセンディング軌道上から観測したデータの使用も検討した(図 3-7)。
本業務では、アセンディング軌道上での観測データと同年の 2007 年 10 月、2010 年 9、10
月にディセンディング軌道上で観測したレーダ衛星データが利用可能であることを確認し
た。
III - 6
図 3-6: レーダ衛星データに含まれるレイオーバ、フォアショートニング、レーダシャドウ
図 3-7: アセンディング、ディセンディング両軌道上で観測した
レーダ衛星データの利用イメージ
III - 7
ii) 衛星データの利用計画
本業務では、利用可能な光学およびレーダ衛星データを整理し、過去・現在の土地被覆分類
図作成のための衛星データ利用計画を検討した。本業務の対象地は熱帯林地域のため雲
部が多く、雲量の少ない良好な光学衛星データが殆ど無いため、光学衛星データだけでなく、
雲の影響を受けず観測したレーダ衛星データを使用し雲部を補完した(図 3-8)。
図 3-8: 光学およびレーダ衛星データの利用計画概要
2007 年土地被覆分類図では、光学衛星(LANDSAT)の雲部で覆われた解析不適箇所をレー
ダ衛星(ALOS PALSAR)で補完した。またアセンディング、ディセンディング軌道上で観測し
た ALOS PALSAR データを使用してレイオーバやレーダシャドウの影部による解析不適箇所
を軽減した。2010 年土地比較分類図についても同様に、新規観測した光学衛星(RapidEye)
の雲で覆われた解析不適箇所をレーダ衛星(ALOS PALSAR)で補完した。雲量の少ない観
測データを選定することで雲部による解析不適箇所を軽減した。またアセンディング、ディセ
ンディング両軌道上で観測した ALOS PALSAR データを使用し、レイオーバやレーダシャドウ
の影部による解析不適箇所を軽減した。
a)
衛星データをベースとした解析の概要
本業務の衛星データ利用計画は、さまざまな要素から構成される(図 3-9)。まず始めに、
モニタリングシステムの開発には、土地利用の解析および炭素蓄積量の推定が必要であ
る。これら解析および推定にあたり、モニタリングシステムのベンチマークとなる 2010 年土
地被覆分類図の作成、既存の 2007 年土地被覆分類図の改良、森林変化箇所の抽出が
必要となり、光学およびレーダ衛星データの供用が重要となる。その他に、現地調査およ
び解析方法の検討も実施する。
III - 8
図 3-9: 本業務における解析構成要素の包括的スキーム
b)
2010 年土地被覆分類ベンチマーク図の作成スキーム
将来的なモニタリングシステムのベンチマークとして使用する 2010 年土地被覆分類図を作
成する(図 3-10)。高頻度で観測し雲量の少ない良好な RapidEye データを基に、ベンチマ
ークとなる高精度な土地被覆分類図を作成する。航空写真や動画は分類結果を検証する
ための参照データとして使用し、ALOS PALSAR データは、雲部により生じた光学衛星デー
タの解析不適箇所を補完するために使用する。さらに、アセンディング、ディセンディング
軌道上で観測した ALOS PALSAR データを使用することで、レイオーバやレーダシャドウの
影部による解析不適箇所を軽減する。
III - 9
図 3-10: 2010 年高精度ベンチマーク図作成スキーム
c)
2007 年土地被覆分類ベンチマーク図の改良スキーム
レーダ衛星データを使用し雲部を補完することで、2007 年土地被覆分類図を改良する(図
3-11)。2007 年土地被覆分類図は、当時の LANDSAT データを使用し作成した。衛星デー
タの空間分解能が 30mであったため、多くの植生がする混在する熱帯雨林地域では、画
像からの植生の分類は困難である。また同衛星データには多くの雲部が含まれていたた
め、解析不適箇所が分類結果に多く含まれている。光学衛星データの雲部による解析不
適箇所は ALOS PALSAR データで補完する。さらに、アセンディング・ディセンディングの両
軌道上から観測したデータを使用し、レイオーバやレーダシャドウの影部による解析不適
範囲を軽減する。なお同図の 5 時期のレーダ衛星データを使用した 2008 年季節的森林変
化の抽出および第三のスキームの内容については、セクション 3.2.2 にまとめた。
III - 10
図 3-11: 過去の土地被覆分類図改良スキーム
iii) 土地被覆分類図の改良・作成
本業務では、既存の 2007 年土地被覆分類図を改良し、また 2010 年土地被覆分類図を新規
に作成した。土地被覆分類の基準は、これまでペルー国内における炭素量推定などの知見
の蓄積がある CI ペルーの分類基準をベースとした。ここでは、2006 IPCC Guidelines に記載
される分類基準に加え、森林タイプや標高を考慮に入れた分類となっている。また本業務で
は、レーダ衛星データを使用することから、傾斜角度や傾斜方位も考慮した。
一般的に、土地被覆分類手法として、オブジェクトベース分類とピクセルベース分類の二種
類がある(図 3-12)。従来、土地被覆分類はピクセルベース分類が主流であったが、レーダ
衛星データを用いた分類ではノイズが多くなり適さない。また、炭素量推定のためには面積
算出が必須であり、図 3-12 のように明確な土地被覆分類図を作成する必要があるため、本
業務ではオブジェクトベース分類を用いた。
III - 11
図 3-12: 土地被覆分類図(左)、オブジェクトベース分類(中)、ピクセルベース分類(右)
a)
ALOS PALSAR を使用した 2007 年土地被覆分類図の改良
2007 年の LANDSAT データを使用して、CI が土地被覆分類図を作成した。光学衛星であ
る LANDSAT データには雲部が多く含まれていたため(約 40%)、この部分は土地被覆の
分類を行うことができず、大きな課題となっていた。そこで、本調査では、雲部についても
データを取得できる ALOS PALSAR および比較的位置精度の高い DEM(空間分解能 90m)
を使用して、分類を行うことができなかった部分を補完した。
LANDSAT データでは分類できなかった雲部の土地被覆の分類には、ALOS PALSAR デー
タを使用した。ALOS PALSAR データでは、始めにピクセルベース分類で水域を抽出した。
次に、農地や裸地の抽出、森林と草地の区分はピクセルベース分類では、圃場などある
程度のまとまりで扱うことが困難である。そのため、オブジェクトベース分類でセグメンテー
ションしたまとまりで、Forest (森林)、Grassland (草地)、Agriculture/Bare Ground (農
地・裸地)を分類した。
ALOS PALSAR データの他に、DEM も土地被覆の分類に際して参照した。オブジェクトベー
ス分類の結果を基に、ペルー国での分類基準を参考にして、標高 0~1,000m の森林 を
Pre-Mountain forest、1,000~2,500m の森林を Cloud forest、2,500~3,000m の森林を
Dwarf forest とし、また 3,000m 以上の草地を Andean grassland、それ以外を Grassland と
して分類した。
最後に、PALSAR などのレーダ衛星は、斜め方向に発射したレーダの後方散乱を計測す
るので、山間部の傾斜方向も併せて考慮した。またレイオーバおよびレーダシャドウによる
データの解析不適箇所を分類結果から取り除いた。この分類結果を LANDSAT データの
雲部の範囲で切り抜き、光学衛星の分類結果と合成・補完することで、土地被覆分類図を
III - 12
作成した(図 3-14)。
III - 13
図 3-14: LANDSAT を使用し作成した 2007 年土地被覆分類図の
雲部補完前(左)と雲部補完後(右)の比較
本業務では、レイオーバやレーダシャドウの影部による解析不適箇所を、アセンディング、
ディセンディング両軌道上で観測したデータを使用することで、観測センサの傾きによる山
間部特有の解析不適箇所を軽減した。本業務では、両軌道上で観測した ALOS PALSAR
に共通な影部のみを解析不適箇所とし、分類結果より除外した。その結果、光学衛星デー
タに含まれた雲部による解析不適箇所をレーダ衛星データで補完し、さらにレイオーバや
レーダシャドウの影部による解析不適箇所を大いに軽減した(図 3-15、3-16)。同図に示
すとおり、LANDSAT データの雲部による解析不適部箇所は対象範囲全域の 20.4%であっ
たのに対し、両軌道上で観測した ALOS PALSAR データで補完した結果、解析不適箇所を
全体の 0.6%まで軽減した。
III - 14
Clouds in 2007 Classification Map
Ü
Clouds and Shadows
Project Area
0
15
30
Kilometers
Clouds and Shadows: 866.48 square km (20.4%)
Total Project Area: 4254.06 square km
Layovers and Radar Shadows in 2007:
PALSAR Ascending
Ü
Layovers and Radar Shadows
Project Area
0
15
30
Kilometers
Layovers and Radar Shadows: 92.70 square km (2.2%)
Total Project Area: 4254.06 square km
図 3-15: LANDSAT の雲部による解析不適箇所(上) 及び
アセンディング軌道上で観測した ALOS/PALSAR の影部による解析不適箇所(下)
III - 15
Layovers and Radar Shadows in 2007:
PALSAR Descending
Ü
Layovers and Radar Shadows
Project Area
0
15
30
Kilometers
Layovers and Radar Shadows: 151.37 square km (3.6%)
Total Project Area: 4254.06 square km
Layovers and Radar Shadows in 2007:
PALSAR Ascending and Descending
Ü
Layovers and Radar Shadows
Project Area
0
15
30
Kilometers
Layovers and Radar Shadows: 26.72 square km (0.6%)
Total Project Area: 4254.06 square km
図 3-16: ディセンディング軌道上で観測した ALOS PALSAR の影部による解析不適箇所(上)と
両軌道上で観測したデータに共通な影部による解析不適箇所(下)
III - 16
b)
RapidEye および ALOS PALSAR を利用した 2010 年土地被覆分類図の作成
リモートセンシングにおいて、これまでは使用するデータの観測間隔が大きいことが、画像
解析精度を下げる大きな要因となっていた。そこで、5 機体制の観測により高頻度な観測
が可能な光学衛星 RapidEye を本業務の解析に使用した。1 シーズン内での対象地全域の
明瞭な衛星データ取得が可能となり、土地被覆分類図の精度を上げることが可能となった。
このように高精度なベンチマーク図を作成することで、参照レベルの設定や今後のモニタ
リング精度を高めることも可能となる(図 3-17)。
過去
参照レベル設定精度の向上
現在
高精度ベンチマークマップ
将来
モニタリング精度の向上
現況の高精度土地被覆分類図
図 3-17: モニタリングシステムにおける高精度ベンチマーク図の役割
RapidEye および ALOS PALSAR データを使用し、2010 年土地被覆分類図を作成した。で
きるだけ雲の少ない光学衛星データを取得するために、高頻度観測が可能な RapidEye 衛
星を利用したが、当地域においてはそれでもデータに雲部が含まれる結果となった。そこ
で、2007 年土地被覆分類図の改良と同様に、雲部についてもデータを取得できる ALOS
PALSAR および DEM(空間分解能 90m)を使用して、分類を行うことができなかった部分を
補完した。
III - 17
まず始めに、土地被覆の分類には新規観測した RapidEye 衛星を使用した。RapidEye デー
タは、2010 年 9 月、10 月中の複数日に観測された。雲やもやの範囲など、観測当時の気
象条件がそれぞれ異なっていたため、重複した範囲では良好なデータを優先的に使用し
分類を行った。現地調査の結果(巻末資料 B)を参照し、Forest (森林)、Secondary forest
(二次林)、Grassland (草地)、Agriculture/Bare ground (農地・裸地)、Water (水域)、
Cloud (雲部)、Shadow (影部)を分類クラスとしてトレーニングデータを取得し、教師付き
分類を行った。また、森林、草地、農地・裸地については、DEM の標高データを参照し、ペ
ルー国での分類基準を参考にして、標高 0~1,000m の森林 を Pre-Mountain forest、
1,000~2,500m の森林を Cloud forest、2,500~3,000m の森林を Dwarf forest として分類し
た。また、標高 2,500~3,000m の二次林を Dwarf forest、それ以外を二次林として分類した。
同様に、3,000m 以上の草地を Andean grassland、それ以外を草地として分類した。農地・
裸地は、標高 3,000m 以上を農地・裸地、それ以外を草地として分類した。
RapidEye 衛星データに含まれていた雲部については ALOS PALSAR データで補完した。
2007 年土地被覆分類図と同様に、ALOS PALSAR データでは、まず始めにピクセルベース
分類で水域を抽出した。次に、農地や裸地の抽出、森林と草地の区分はピクセルベース
分類では、圃場などある程度のまとまりで扱うことが困難であるため、オブジェクトベース
分 類 で セ グ メ ン テ ー シ ョ ン し た ま と ま り で 、 Forest ( 森 林 ) 、 Grassland ( 草 地 ) 、
Agriculture/Bare Ground (農地・裸地)を分類した。
ALOS PALSAR データの他に、標高データも土地被覆の分類にて参照した。オブジェクトベ
ース分類の結果を基に、標高 0~1,000m の森林 を Pre-Mountain forest、1,000~2,500m
の森林を Cloud forest、2,500~3,000m の森林を Dwarf forest とし、また 3,000m 以上の草
地を Andean grassland、それ以外を Grassland として分類した。
最後に、レーダセンサの特性に基づき、山間部の傾斜方向も併せて考慮した。レイオーバ
およびレーダシャドウによるデータの解析不適箇所を分類結果から取り除いた。この分類
結果を RapidEye データの雲部の範囲で切り抜き、光学衛星の分類結果と合成・補完する
ことで、土地被覆分類図を作成した(図 3-19)。
III - 18
図 3-19: RapidEye を使用し作成した 2010 年土地被覆分類図の
雲部補完前(左)と雲部補完後(右)の比較
c)
PALSAR
に よ る
2010
年 の 土 地 分 類
( 別 ペ ー ジ に 示
す ”2010_Forest_Classification_Map_by_PALSAR_for_assess”) に係る視覚的評価
•
実際の植生分布のパターンにない、非常に細かい単位で分類された孤立したピク
セルが多く見られた。 (参照: 別ページ示す図”2006_Classification_from_Landsat”
及び”2010_Classification_from_PALSAR”)
•
アンデス草原はよく特徴が出ている様に見える。
•
主に低地で、森林が過大に表示されている。
•
急勾配な場所はアクセス不可能なため草地に転換される事は無いが、草地と分類
されており、草原もまた過大に表されている。
•
シェープファイルをラスタファイル (28.5m) に変換し、別ページの図に示す様な統計
的分析を行うことが出来た。2010 年の PALASAR 分類の評価のため、2007 年から
2010 年の森林/非森林変化を推定した。2007 年の森林/非森林地図には、CI が
2006、2007、2008 年の LANDSAT を合成して作成した分類図を使用した。
•
森林層は高度によって決められていたので、全てのタイプの森林をひとくくりに「森
林」とし、農業地及び草原を「非森林」とひとまとめにした。
III - 19
•
3 x 3 のマジョリティフィルタを用いて、レーダ衛星データに特有のスペックルノイズを
極力取り除いた。
•
広い区域が、実際には見られない植生回復した土地として分類された。牧草地と若
い二次林の誤分類によるものの可能性がある。
•
RapidEye を使用した分類結果のほうが、定性的には PALSAR よりも精度が高いと
見られる。
•
RapidEye のデータに、PALSAR を活用し雲部を補完した事で、補完した範囲内で再
び孤立したピクセル(ノイズ)が見られた。
•
PALSAR および RapidEye と PALSAR の両方の結果に基づく 2 つのモデルによる潜
在的変遷のマップは、森林減少の分布パターンからすると、AMPF の西部における
森林減少の高い蓋然性を示している。実際、人口や道路の密度がより高い Alto
Mayo Protected Forest (AMPF) の東部に、森林減少の脅威がある。
考察
第一に、殆どが山地である区域を、RADAR データを用いて、高品質で正確な森林被覆マ
ップを作成する事は、容易ではない事は認識している。山岳地帯において、潜在的な
RADAR アプリケーションの限界を理解する事は、未だ大変興味深い事である。本件開始
時における 2 つ目の懸念は、成熟林と、休閑地 (非常に若い休閑地も)、まばらな木々や
倒木の残骸がある潜在的な農用地や牧草地とを区別する能力である。この懸念は、欧州
委員会共同研究センターといったほかの調査機関のプレゼンテーションから惹起されるも
のである。
製品の組合せで改善されたマップではなく、RADAR マップそのものに焦点を当てて評価し
ている。RADAR の潜在性に係る疑問に焦点をあてる為、こうした評価を行った。
後のセクションで議論するが、本プロジェクトでは、PALSAR データの分類の正確性を評価
した。図 3-24 は、2010 年のディセンディングの PALSAR データにおける分類の正確性の
評価結果を纏めたものである。これは、2007 年の土地被覆分類マップを参考として用い、
森林及び非森林の分類の全体精度は 62.6%である事を示している。同様に、図 3-28 は、
2010 年のアセンディングの PALSAR データにおける全体精度を、システマチックサンプリン
グ法によって評価した結果を纏めたものである。これは、2010 年の RapidEye データを参考
として用い、森林及び非森林の分類の全般的な正確性は 65.2%である事を示している。
粗分解能での最終的なマップを見ると、このマップは調査対象区域における森林被覆の分
III - 20
布を良く描写しているようである。然乍、特定の区域をよく見ると、多くのエラーが散見され
る。このエラーは、RADAR の能力において既知の事で、予想しうるタイプのものである。
•
最初に、北西端部の農地渓谷や、丘陵になった農業区域などの、保護区域近辺
の低地区域である。これらの区域においては、農地か休閑地である多くの区域が
森林として分類されている。これは、2007 年と 2010 年の Landsat の生画像を見る
ことで分かるもので、単に CI (Conservation International)にて作成された分類のみ
よるものではない。
•
保護区域の北方部を始めとして、多くの丘陵の頂上が草原として分類されている。
これらの丘陵の頂上には比較的小さいバイオマスの森林がある模様だが、草原と
は考えにくい。これは、草原クラスのトレーニングデータが木の残骸が散らばる牧
草地で取られた可能性があり、小さめバイオマスの森林と RADAR 反応が似てい
るために分類に混乱を与えたと考えうる。
•
区域によっては、森林のアンデス草原の境界が良く見えるところもあり、有望な要
素である。
これらのエラーは現在の RADAR データの限界を反映しているだけで、改善の余地は無い
とは言い難い。然し、例え真にその様な結論に達するのだとしても、それは決して驚くこと
ではない。繰り返すが、他の研究機関から、似たような限界について聞き及んでいる。一
方、これは改善しうるものではある。Landsat による分類の経験において、例えば、分類の
初期フェーズでは相当量のエラーに常に直面する。その後、多くの繰り返しを重ね、反復
過程で都度、明白なエラーのタイプに応じて教師サイトの追加情報を付加するのである。
重ね重ね、この調査における RADAR 分析の適用は、間違いなく大きな挑戦である事は、
認識していることである。
III - 21
巻末資料 A. 土地被覆分類図
III - 22
III - 23
III - 24
III - 25
III - 26
2007 Classification from Landsat
III - 27
2010 Classification from PALSAR
III - 28
2010 Recoded Classification PALSAR
III - 29
2010 Filtered (3x3) Recoded Classification PALSAR
III - 30
2010 Classification RapidEye
III - 31
2010 Recoded Classification RapidEye
III - 32
2010 Classification RapidEye + PALSAR
III - 33
2010 Recoded Classification RapidEye + PALSAR
III - 34
2007-2010 Land Change (PALSAR)
III - 35
2007-2010 Land Change (RapidEye+PALSAR)
III - 36
巻末資料 B. 森林変化抽出図
2007 PALSAR Forest and Non-forest Map
Alto Mayo, Peru
Ü
Forest
Non-forest
Clouds in 2007 Classification Map
Layovers and Shadows
Unclassified
0
12.5
Polarization: HH
Orbit Direction: Dscending
Observation Date: October, 2007
Projection: WGS-84 UTM Zone 18S
25
Kilometers
III - 37
2010 PALSAR Forest and Non-forest Map
Alto Mayo, Peru
Ü
Forest
Non-forest
Clouds in 2007 Classification Map
Layovers and Shadows
Unclassified
0
12.5
25
Kilometers
Polarization: HH
Orbit Direction: Descending
Observation Date: September and October, 2010
Projection: WGS-84 UTM Zone 18S
III - 38
2007 Landcover Classification Map
Alto Mayo, Peru
2007 PALSAR Forest and Non-forest Map
Alto Mayo, Peru
Ü
Ü
Forest
Non-forest
Forest
Clouds in 2007 Classification Map
Non-forest
Layovers and Shadows
Clouds in 2007 Classification Map
0
10
20
Kilometers
Unclassified
0
10
Projection: WGS-84 UTM Zone 18S
2007 Landcover Classification Map
Alto Mayo, Peru
20
Kilometers
Polarization: HH
Orbit Direction: Ascending
Observation Date: June, 2007
Projection: WGS-84 UTM Zone 18S
2008 PALSAR Forest and Non-forest Map
Alto Mayo, Peru
Ü
Ü
Forest
Non-forest
Forest
Clouds in 2007 Classification Map
Non-forest
Layovers and Shadows
Clouds in 2007 Classification Map
0
10
20
Kilometers
Unclassified
0
Projection: WGS-84 UTM Zone 18S
III - 39
10
20
Kilometers
Polarization: HH
Orbit Direction: Ascending
Observation Date: June, 2008
Projection: WGS-84 UTM Zone 18S
2007 Landcover Classification Map
Alto Mayo, Peru
2009 PALSAR Forest and Non-forest Map
Alto Mayo, Peru
Ü
Ü
Forest
Non-forest
Forest
Clouds in 2007 Classification Map
Non-forest
Layovers and Shadows
Clouds in 2007 Classification Map
0
10
20
Kilometers
Unclassified
0
10
Projection: WGS-84 UTM Zone 18S
2007 Landcover Classification Map
Alto Mayo, Peru
20
Kilometers
Polarization: HH
Orbit Direction: Ascending
Observation Date: June, 2009
Projection: WGS-84 UTM Zone 18S
2010 PALSAR Forest and Non-forest Map
Alto Mayo, Peru
Ü
Ü
Forest
Non-forest
Forest
Clouds in 2007 Classification Map
Non-forest
Layovers and Shadows
Clouds in 2007 Classification Map
0
10
20
Kilometers
Unclassified
0
Projection: WGS-84 UTM Zone 18S
III - 40
10
20
Kilometers
Polarization: HH
Orbit Direction: Ascending
Observation Date: May, 2010
Projection: WGS-84 UTM Zone 18S
2 報告と記録保管の方法
すべての REDD+ 活動は、報告と記録保管の確固たる方法を備えておく必要がある。これらの措置はす
べてのステークホルダーが望む信頼を支え、あらゆる測定、報告、検証(MRV)の体制の基礎を形成す
るものである。
報告と記録保管の方法についての重要な考慮事項は以下の通り。:
ᅳ
報告の基準とプロトコル
ᅳ
モニタリング手法と透明性
ᅳ
検証のための品質管理、品質保証及び計画
これらの考慮事項は以下の 1) から 3) で詳述する。
REDD+活動に関連する炭素会計での、もう一つの重要なコンセプトは"参照レベル"である。これは、
REDD+活動が実施されない場合に発生することが予想される、地域や地域に準ずるエリアからの排出
量のレベルを示すものである。
ひとたび地域または地域に準するエリアの参照レベルが、確立そして承諾されれば、実際に行われて
いる REDD+活動による排出削減量を推定することが可能となる。しかし、ある地域や地域に準ずるエリ
アに特定の参照レベルを確立そして承諾する事に関しては、多くの課題をクリアしなければならない。こ
れらの課題、そしてそれらに対処するペルーの現在の試みは、.4) にて分析していく。
最後に、5) では、ペルーでの REDD+活動における MRV への 3 つのレベルから成るアプローチを促進
するための枠組みを提案する。
1) 報告の基準とプロトコル
現在 3 つの炭素会計に係る枠組みが、ペルーに適合しうると考えられる: i) Climate Action Reserve
(CAR)、ii) Climate, Community and Biodiversity (CCB) Project Design Standard、iii) Voluntary
Carbon Standard (VCS)、の 3 つである。
Climate Action Reserve (CAR) は、California Climate Action Registry (CCAR: カリフォルニア州法の
下で設立された自主的な温室効果ガス登録制度を管理する NGO) の後継となるもので、米国の炭素
市場へ統合性と透明性をもたらすために 2008 年に設立された。この機関は Climate Reserve
Tonnes (CRTs) として知られる炭素クレジットを発行する。これらは主にカリフォルニア州の炭素排
出権取引スキームを対象としている。承認された全てのプロジェクトは、CAR オンラインレジストリ に
登録されている。
Climate Community and Biodiversity Project Design Standard (CCB Standard) は、最良な実施と多
岐にわたる有益なアプローチの統合を促進するために、プロジェクトの開発初期段階に適用するル
ールとガイダンスを提供している。この基準は、信憑性があり堅牢なカーボンオフセットを提供しつつ、
投資家、政策立案者、プロジェクトマネージャー、市民社会オブザーバーが、地域社会と生物多様性
に意義のある便益を生成するような高品質のプロジェクトを識別する上での手助けとなる事を目標と
している。これらは、地上における生物の隔離や緩和プロジェクトに焦点を置き、定量的カーボンオフ
セットの検証やレジストリの提供は行わない。基準の初版- 2005 年 5 月にリリース- は 2008 年 12
月に改訂された。
Ⅲ - 41
Voluntary Carbon Standard (VCS) のプログラムは 2005 年に設立されたものだが、これは、信憑性
があり保守的に推定されたボランタリーオフセットの承認における世界有数の炭素基準である。これ
は全ての炭素クレジットが偽物でなく、測定可能で、付加的で、恒久的で、自主的検証が成されてお
り、固有的で、そして追跡可能である事を保証
する。承認された全てのプロジェクトは VCS オ
コラム 1 - Wild Works のケニアプロジェクトに、世界
初の VCS REDD クレジット+発行
ンラインレジストリに登録され、発行から償却ま
REDD
由来のものとして最初に認証された温室効果
で透明性のある管理チェーンとなっている。
ガスのクレジットは、2011 年 2 月の最初の週に VCS
2008 年 11 月には農業、林業他及びその他の
プログラムの下で発行され、VCS および世界中の森
土地利用(AFOLU)プロジェクトに関するガイド
林伐採減少プロジェクトの重要な節目となった。
クレジットは、ケニア東南部の半乾燥熱帯林である
ラインを発行した。
アルトマヨプロジェクトは、以下の事由に基づき、
VCS を使用する事をとした:
Alto Mayo project has selected to use VCS
based on the following elements:
ƒ
VCS は REDD+向けに最も進んだボランタ
リーカーボンの枠組みであり、2010 年に
承認された四つの方法論と、近い将来に
リリースされるいくつか方法論を持ち合わ
せる。世界で初めて認証された REDD+ク
レジットは、VCS のプログラムの下、2011
年 2 月の第一週に発行された(コラム 1
参照);
Rukinga 保護区域にて Wildlife Works により展開され
た、Kasigau 回廊地帯 REDD プロジェクト- フェーズ I
に発行された 。
Wildlife Works はプロジェクト活動により抑制される温
室効果ガス排出量を計算する新しい方法論を開発
し、VCS のプログラムでの使用が認証された方法論
を持つ事となった。
Kasigau 回廊地帯 REDD プロジェクトはその最初の 6
年間の測定期間で、約 145 万クレジッ ト(1 クレジット
は、大気中から 1 トンの温室効果ガス排出量削減に
相当)を創出した。その 30 年間のプロジェクトの期間
にわたり 600 万トンもの排出量を削減すると推定され
ている。
およそ 30 万トンの排出量に相当する、初回のクレジ
ットの約 20%が、VCS がプールするバッファアカウン
トプに預けられた。120 万近くのクレジットが、ボランタ
リーカーボンユニット(VCUs)として、VCS のレジストリ
システム内のプロジェクトアカウントに発行された。
この画期的な開発は:
- REDD プロジェクトは森林保護のために民間から
の投資を引き込めることを示している。
- 森林伐採を引き起こすコミュニティの経済的インセ
ンティブを変換する事は可能である事を証明した。
- 大規模な森林保護の進路を描写する。
Climate Focus (JI・CDM プロジェクト参加
者及びホスト国の支援を目的とする気候
関連コンサルタント) とのパートナーシップ
を持つ VCS アソシエーションは、ネステッドアプローチによる地域の REDD+のオペレーションを
可能にする堅牢な枠組みを目下開発中である。政策、プログラム、または個々のプロジェクトの
いずれによって生成されたかに関わらず、
コラム 2 – VCS における森林伐採のタイプ
排出削減の会計を統合するための、国や
地域の REDD+イニシアチブの道しるべと
モザイク森林伐採は、人口及びこれに関連する農業
活動やインフラ (道路、街等) が、実際にアクセス可能
なる基準と手順を確立している。この取り
な構成地域内で、景観全体及び森林区域の大部分
組みは REDD+プロジェクトによる地域のベ
に広がる場所である。モザイク森林伐採は通常、森
林開拓のまばらな分散を示し、人口圧力、短い移動
ースラインに用いられる VCS ガイダンスを
耕作のサイクルおよびその他の要因と関連している。
開発し、直接アルトマヨプロジェクトに関連
している。
フロンティア森林伐採は、人間およびそのインフラが、
ƒ
直前の人間の活動と共に、区域に侵入している場所
である。これはしばしば、インフラ開発に紐付いてお
り、法令整備の軟弱性、農業製品の価格、土地所有
権への投機やその他の要因が、農地や牧場の経営
者へ森林を伐採するインセンティブを与える (よりアク
セスを良くする為) 場所で発生する。
計画森林伐採は、以下の様な多岐にわたる活動を包
含する。i) 非森林から森林地域への再定住にかかる
国家プログラム、ii) 森林財産を縮小し、工業規模の
商品生産へ転換するための国家土地計画の構成要
素、iii) 健全に管理されたコミュニティが保有する森林
地を、他の非森林での用途へ転換する計画。その他
の計画的な森林伐採は、自身の土地が法的にゾーニ
ングされた個々の土地所有者またはコミュニティグル
ープによってなされる、森林から穀物生産への転換に
係る決断を包含しうる。
ƒ
最近 VCS は、その幅を拡張し、より支援的
にし、さらに使いやすくする目的で、VCS の
プログラムの強化と共に戦略的な見直しを
開始した。”Verified Carbon Standard”への
名称変更(2011 年 3 月 1 日施行)は自発的
なコンプライアンス市場の収束にさきがけて
着手し、サービス拡張の準備をしていること
を示している。このような商標変更は実行可
能な基準としての VCS の信頼性を強固に
するものである。
ƒ
VCS の方法論へのアプローチは、測定が
Ⅲ - 42
計画通りに実施できない場合に柔軟的な対応を可能にする:プロジェクトの開発者は、承認され
た方法論のデビエーションを導入、またはプロジェクトの記述に方法論の改訂条項を含める事も
できる。アルトマヨにおける森林では雲による可視性の問題がある事を考えると、この柔軟性は
魅力的な機能である。
コラム 3 - アルトマヨプロジェクト
向けに検討中の方法論
REDD 方法論モジュール: この REDD 方法論の枠組み
はモジュールとツールに分けられる。共に使われる場
合、様々 な状況で、森林伐採を抑制する広範囲に亘る
活動をクレジット化するために、健全な炭素会計に係る
ルールを定めた。ここにおける森林伐採には 、計画的
な森林伐採、非計画的な森林伐採及び燃料用木材の採取
による森林劣化が含まれている。この方法論は特に、森
林伐採対策のプロジェクトの介入の大部分をカバーする
事を目的としており、世界中で多数の REDD プロジェ
クトの開発する道を開く潜在性を有する。木材の違法伐
採による森林劣化からの排出を削減する活動のためのい
かなるモジュールも、含まれていない。しかし、将来的
にはそうしたモジュールも含まれる可能性はある。
フロンティア森林伐採からの温室効果ガス排出量の削減
を予測する方法論: Amazonas Sustainable Foundation
によって開発されたこの方法論は、フロンティア森林伐
採からの温室効果ガス(GHG)排出を削減するプロジ
ェクト活動を予測し、かつ測定する。この方法論には、
REDD プロジェクト活動がない場合に伐採されたであろ
う劣化二次林による、炭素蓄積量の増加を推定する方法
が含まれている。ただし、この方法論においては、炭素
蓄積量増加に係る会計はオプション的なものである。
この方法論は目下、(2011 年 2 月)第二次評価の過程
にある。
VCS によると、森林伐採は、計画的か否かによら
ず、モザイクまたはフロンティアと呼ばれる(コラム
2 参照)様々な森林地形態で起こる。様々な方法
論が、程度の差はあれど、これらの異なる森林伐
採のタイプに合致している。
アルトマヨプロジェクトは非計画的な森林伐採を取
り扱っている:この地域は、アンデス地方からの大
量移住者という圧力と、農業経営の確立に苦しん
でいる。
現在のところ、アルトマヨのプロジェクトが森林破壊
のモザイクまたはフロンティアどちらのタイプに該
当するかどうかは不明である。プロジェクト開発者
の間では、非営利組織 Avoided Deforestation
Partners によって設計された 2010 年 12 月
の”REDD+ 方法論モジュール”、または承認を間
近に控えている”フロンティア森林減少由来の温室
効果ガス排出量削減推定の方法論”のいずれか
が適切であると信じられている(コラム 3 参照)。
モジュラー方法論は適応性が高いという利点を持
ち、生態系における高度な多様性とその環境とプ
ロジェクトの特性に REDD+のスキームを適応させ
る必要がある事を考えると、ペルー向けに相応しい。しかし技術的な条件において 2 つの方法論は
非常によく似ているようである。
選定された枠組み(本件の場合は VCS)は、プロジェクトレベルでの測定、報告、検証の要件を推進
する。
2) モニタリング手法と透明性
国家レベルでのモニタリングは現在開発中の 2 つのツールに本質的に依存する:国別温室効果ガス
インベントリシステム(SNINGEI)と国家森林インベントリ(IFN)。
SNINGEI は、活動レベルと二酸化炭素排出量の国全体における分野別の情報を一元管理する。主
に重要なのは土地であり、これはぺルーの主な排出減であるとともにデータの収集と管理が極めて
弱い故である。SNINGEI はベースラインの確立や更新に役立つ。
IFNの目的は、国家レベルでの森林資源の持続可能な管理の基盤を確立することである。これは森
林資源の評価やモニタリングのシステムだけでなく、国家および地方の森林開発計画をサポートする
データベースの基礎となる。
MINAM もまた、管轄の 2 つの機関を通じ、現場のモニタリングの監督を担当する:環境アセスメント
及び監督庁(OEFA: Environmental Assessment and Oversight Agency)と、自然保護地域国家サー
ビス(SERNANP: National Service of Natural Protected Area)
Ⅲ - 43
アルトマヨプロジェクトにおけるレポーティング (報告) は、各レベルが下位レベルの供するものに基づ
いて形成される”カスケード式”にて実施され、プロセスを簡素化する。プロジェクトの提案者はプロジ
ェクト参照レベル(先の段階で地域参照レベルに置き換えられる)に対しての、プロジェクト進捗、方法
論適用、観測された森林伐採の低減、について詳述した作業報告書を生成する。VCS の下でプロジ
ェクトの開始から五年以内に最初のレポートを発行する。
プロジェクトのレポートは、地域のレポートと統合するために、サンマルティン地域の環境局に提出さ
れる。地域政府は、登録済みのプロジェクトやプロジェクト間のリーケージ外の地域における森林伐
採のデータで、この情報を補足する。
それから、ペルー指定国家機関は、すべての地域から情報をペルー国家通信 (ナショナルコミュニケ
ーション) へ集約する。このドキュメントは地域間の漏出評価だけでなく、REDD+スキームの対象とな
らない地域の森林伐採の概要も組み込まれる。
プロジェクトと地域のレポーティングは、取り組み内容の重複を避けるために、将来の R-PP1 におけ
るレポーティング準備へ適合させることを目標とすることが出来た。ペルーは 3 カ月毎に排出削減結
果を報告し、環境面と社会面での影響の年間評価を提供する予定である。
既存の国際協定下では、ペルーには定期的なレポーティングに関する予定表がない。ペルーの唯一
の義務は、金融資源の可用性に基づ調整しつつ、UNFCCC 締結国になってから 3 年以内に第一回
の国家通信を提出することである。ペルーは 2001 年に第一回目の国家通信、2010 年に第二回目を
発表した。
3) 検証のための品質管理、品質保証及び計画
地域レベルに提出される前に、プロジェクトのパフォーマンスレポートは少なくとも内部での品質保証
プロセスを、そして場合によっては外部監査を受けなければならない。VCS プログラムの下で、外部
検証者は以下のことを保証する必要がある:
ƒ
登録されたプロジェクト書類に基づき、プロジェクト活動が実施され、運営されること、そして、
プロジェクトのすべての物理機能(技術、プロジェクト設備、測定や計測の設備)が整っている
こと;
ƒ
指定された測定期間、完全なデータセットが利用できること;
ƒ
実際の測定システムと手順は、測定計画と承認された方法論で記述されたものに従うこと;
ƒ
基準排出、提案されたプロジェクト活動の排出とリーケージは、方法論のドキュメントに記載
された公式や方法に基づき適切に計算されること;
R – PP (Readiness Preparation Proposal) とは、森林を保有する途上国が資金を入手し、自らの REDD 戦略を実行するために、
世界銀行森林炭素パートナーシップ基金(FCPF: Forest Carbon Partnership Facility)に提出した文書である。この文書には、
REDD+の準備を実施するために必要な手順の概要が記載され、明確なロードマップ、予算、スケジュールが含まれている。H
本文書は以前に提出されたR- PIN (Readiness Plan Idea Notes) を詳述する。選定された発展途上国は、R - PP の実施状況を定
期的に報告する必要がある。
1
Readiness Preparation Proposasl (R-PP) are documents submitted by forest developing countries to the World Bank Forest
Carbon Partnership Facility (FCPF) in order obtain funding to implement their REDD+ strategies. They outline steps needed to
achieve REDD+ ‘Readiness’.and include clear roadmaps, budgets, and schedules. They build and elaborate on Readiness Plan
Idea Notes (R-PIN) previously submitted. Selected developing countries are required to report progress in the implementation
of their R-PP regularly.
Ⅲ - 44
ƒ
測定レポートで提供される情報は、他の情報源とクロスチェックされること;
ƒ
排出量の計算で使用されたすべての前提の妥当性が証明されること;
地域レポートは、内部品質保証と外部監査のプロセスを受けることになる。現行方式に従い、国家通
信は国連の専門レビューチームによって審査される。検証における焦点は、まだ REDD+プログラム
に関与していない、プロジェクトと地域の間にある領域についての情報の様である。
4) アルトマヨにおける REDD+の参照レベルの確立と合意
ネステッドアプローチによる REDD+に関する炭素会計原則は、未だ開発段階である。以下のセクショ
ンでは、ネステッドアプローチによる REDD+ の会計枠組みがどのようにペルーで機能しうるかについ
て、既存の文献(特に CIFOR2 とネイチャーコンサーバンシーの提出案 3). に基づいて説明する。ネス
テッドアプローチは、国際的な気候変動政策構造の柱としての REDD+を運用可能にするためのより
広範な国際的な取り組みの一環として 2011 年と 2012 年の間にさらに成長することが予想される。
コラム 4 の図は、REDD+でのネステッドアプローチにおける炭素会計の枠組みを実行するために必
要なステップを示している。
コラム4
参照地域の詳
細表示
▪ 参照地域は、
区域全体をカ
バーする。
▪ 境界は、管轄
区域の(政治
的、法的な)
境界線に従
う。
▪ 境界は、地
勢、森林伐採
のドライバ
ー、漏出力の
原動力、を考
慮。
REDD+ネステッドアプローチにおける炭素会計に係る考慮事項
参照レベルの
設定
排出量削減の
アカウント
▪ 領域やプロジェ
クトは絶対参照
レベルと相対参
照レベルに帰す
る。
▪ プロジェクトの
絶対参照レベル
は最初に決定さ
れ、その後に地
域参照レベルに
遷移していく。
▪ 地域参照レベル
の合計は、国の
参照レベルと合
致する事にな
る。
▪ 排出削減は、す
べてのレベルで
会計処理され
る。
▪ 性能のスケール
は異なるが、相
互に依存してい
る。
▪ 会計の承認フロ
ーは、中央政府
から参照地域と
プロジェクトへ
と、下向きの流
れとなる。
排出量削減の
認識
▪ 排出量削減
は、プロジェ
クト、地域、
州レベルで認
識される。
▪ サブナショナ
ルの排出量は
国の排出量削
減から控除さ
れる必要があ
る。
出展:What is the Right Scale for REDD+? National, Sub-National and Nested Approaches, CIFOR, Dec 2008,
http://www.cifor.cgiar.org/globalREDD /files/REDD _Scales.pdf
3 出展:A Nested Approach to REDD+, The Nature Conservancy and Baker & McKenzie , Sep 2010,
http://www.forestcarbonpartnership.org/fcp/sites/forestcarbonpartnership.org/files/Documents/PDF/Mar2011/Peru%20RPP%20Final%20Clean%20Version%204-%20March%207%2C%202011_0.pdf 注:非公式の翻訳
2
Ⅲ - 45
概念的には、ネステッドアプローチによる REDD+に関する炭素会計 は非常に単純である。しかし、実
際には、会計の枠組みを確立するには、多くの課題に直面し、そのほとんどがデータ統合、方法論の
一貫性、ダブルカウントとリーケージリスク に関連している。 2011 年初頭にリリースされたペルーの
R - PP の第 3 版では、政府が、森林の利害関係者と共に炭素会計の課題に取り組むためにどのよ
うに計画したら良いかについてのいくつかの識見を供している。
i) データ統合
さまざまなソースからのデータ集約、品質チェック、さらにそれを適切に扱うことは、不変的で、非
常に退屈なプロセスである。これは、地域や国レベルの情報を統合する際のさらなる複雑さを意
味する。ネステッドアプローチによる効率的な REDD+枠組みでは、データの分析方法と品質保証
の最低レベルを指定することにより、データの収集と処理を調和させる必要がある。
それぞれ独自のベースラインと方法論を使用している、ペルーでの REDD+プロジェクトをつなぎ
合わせる事の危険性は、地域や国の REDD+円卓会議の設置によって軽減さ れている。これら
の協議グループは、技術的課題と方法論の調和を議論するため、プロジェクト開発者、技術専門
家、NGO、産業界の代表者及び地方公共団体 の職員を呼び集めている。
サンマルティンとマドレデディオスでの地域 REDD+円卓会議は、正式に REDD+の諮問および技
術的推進の機関として認可されている。この円卓会議は、衛星画像の処理、森林伐採の原因と
ドライバ、機会コストの分析、炭素蓄積量のインベントリ、地域レベルでの森林伐採由来の炭素
排出量、そして炭素会計などのテーマに貢献している。これらのフォーラムから出現しうる会計基
準と地域のベースラインの方法論は、全国的に適用される可能性が高い。そして、この”アップグ
レー ドされた”円卓会議モデルは現在、ピウラ、クスコ、アマゾナスなどの地域でも展開されてい
る。
さらにデータと方法を調和させるために、ペルーでは”REDD+プログラム実施のための技術的キ
ャパシティの強化”を実施している。このプロジェクトの目的は、国家および国家に準ずるレベル
での炭素蓄積量および森林のインベントリ、評価、測定のために必要なデータ、方法、技術、ソフ
トウェア、そして人的資源の明確なガイドラインを定義することである。
ii) ベースラインと参照レベルの設定における一貫性
ベースラインを設定するための 2 つの主要な提言が、現在議論されている。双方とも将来の森林
破壊のパターンの変動の予測を目指している一方、主に方法論に両者の違いがある。
最初のオプションは歴史的な森林伐採の参照レベルに基づいており 4、2番目のオプションは歴
史的なデータから始まり、続いて今後の森林破壊の動向を織り込む 5 。 歴史的データを用いた
BAU (Business As Usual) 排出量に基づく参照レベルは、過去に高いレベルの森林破壊を経験し
4
歴史的なベースライン(遡及的実績):森林被覆データの歴史的推定。報酬を伴う保全 - 例:ブラジル、インドネシア
Historical baseline (retrospective): Historical extrapolation of forest cover data: Compensated conservation – Examples: Brazil,
Indonesia
5 推定ベースライン(将来的見込):歴史上森林被覆データと今後のドライバとなる要素に係る開発前提との併合- 例:アマゾ
ニア州、ボリビアにおけるノエルケンプ気候アクションプロジェクト
Projected baseline (prospective): Historical forest cover data and assumption of future driver development combined –
Examples: State of Amazonia, Noel Kempff Climate Action project in Bolivia
Ⅲ - 46
ている地域に適している。一方、森林破壊率が歴史的に低く、プレッシャーが増す地域は、森林
減少の予想レートに基づく参照レベルを用いると、よりよい環境的な結果がでる。
地域のベースラインとして、プロジェクトの個々の参照レベルを切り替えることができるが、似たよ
うな状況と制約(地域のベースラインは適切である可能性が非常に高い)に対処している特定の
地域におけるプロジェクトを前提とすると、これによってと多くの問題が発生することはない。
しかし、地域に対して、国によって定義された参照レベルを採用することを要求することにはいく
つかの公平性の問題をもたらす可能性がある。いくつかの方法論から一つの方法論を選択する
ことと、地域ごとの平均ではなく国内全域の平均を使用することは、地域レベルでの排出削減量
と相当する収入に影響を与える。ペルーの地域間における方法論の調和プロセスは、堅牢性と
公平性、そして柔軟性(すなわち、様々な地域の状況に適応する能力)のニーズのバランスをと
ることが必要になる。
iii) ダブルカウントの問題
REDD+プロジェクトと地域の間で、特に単一の地域で複数のプロジェクト提案者がいる場合、排
出削減のダブルカウントをしてしまう可能性がある。この問題は、プロジェクト参照レベルの合計
が地域の参照レベルに合致する様にし、地域に参照レベルの合計を国家の参照レベルあわせ
ることを、確実にする事によって数学的な方法で対処することができる。ただし、ダブルカウントの
問題を回避する際の最も重要な点は、プロジェクトの提案者や地域の当局間の効果的かつ継続
的な連携を経ることである。
ダブルカウントの問題に関しては、ペルーは地域(地域の参照レベルの合計を国家参照レベル
に合わせて)からその国の参照レベルを”ボトムアップで”決定をする事を計画している。国家気
候変動委員会(CNCC: National Climate Change Commission)は、国家円卓会議と GTREDD に
よって共同提案された国のベースライン検証を担当することになる可能性が極めて高い。また、
参照レベルが、ペルーが投資を行う国と締結する事になる二国間協定で設定された基準を確実
に満たす必要がある。
Iv) リーケージのリスク
プロジェクトレベルでの REDD+結果の会計は、プロジェクトの境界の外への森林減少および森林
劣化の変位を考慮しない可能性を秘めている。プロジェクト間のリーケージは、参照地域内(国
のある所から別の所へと置換することによって排出量削減のクレジットを得ることはできないた
め)でリーケージの大部分が吸収される地域レベルの会計にアップグレードすることで対処する
ことができる。
地域間のリーケージは、非重複で国全体の面積をカバーしている参照地域を確立することによっ
て制御し、相殺することができる。これらの地域は、政治的・法的な境界線(管轄区域)、地形、森
林破壊のドライバーやリーケージの原動力に基づいて線引きする必要があります。同様の特徴
を有するいくつかの地域では、サブナショナでの REDD+戦略を調和させ、国家レベルでの会計
処理を簡素化するために、当該地域を統合する事が可能である。
国家レベルでのリーケージの計上は、国内の森林破壊の変位の計上に役立つが、国家間のリ
ーケージの計上にはならない。
地域間のリーケージの問題は、ペルーがさらに国家 REDD+スキームへの移行を進める際に考
慮する必要がある。現在、ペルーでは未だ国土を参照地域へ分割する方法を決定していない。
境界線は、国内 25 の管轄区域の境界となりがちですが、政府は、類似地域のグループ化を検
討する可能性がある。
Ⅲ - 47
ネステッドアプローチは、国家活動が調整されていない REDD+に対して、目下最も柔軟なアプロー
チであるが、会計面では最も複雑なものになる。会計をいくつかのレベルに分け、最終的に国家レ
ベルで情報を統合する必要がある。ネスティング(別名”ネスティングプロトコル”)の標準化方法論
の確立は、これらの問題を明確し、対処する事に役立つ。
ƒ
許容されるデータソース(例 リモートセンシングデータソース、分野別インベントリ法)、
ƒ
分析データ法、
ƒ
最低限の品質保証、
ƒ
参照レベルを確立すると共に、リーケージを推定し、恒久性を確保するための方法。
プロトコルの標準化を促進することにより、管理と会計の複雑さのレベルを最小限に抑えつつ、ネ
スティングの枠組みの厳密さと信頼性を増すことが可能である。また、利害関係者間の交渉プロセ
スの透明性のための有用な基礎を確立することになる。
5) ペルーのレベル 3 アプローチに向けた MRV 枠組み提案
コラム 5 の図は、MRV がどのようにペルーの REDD+に対しての 3 段階のアプローチを行うことがで
きるかを示している。これはペルーが現在検討している枠組みに似ている。役割と責任は、既存の権
限と能力に基づいて分割している。
今後の作業では、この大きな枠組みの適合性を確認し、手順の詳細やガバナンス構造、運用モデル
と情報の流れを開発する必要がある。
Ⅲ - 48
プロジェクト参加
アルト・メイヨープロジェクトレベル
ƒ プロジェクト 開発者は自発的な炭素会計の枠組
ƒ サン・マルティンREAは、サン・マルティン地域
ƒ CNCCは、GTREDDと国家REDD +円卓会議の支援のも
みを選定(アルトマヨではVCS)
ƒ プロジェクトRLを確立
ƒ PDDを提出
REDD+円卓会議との協議のもと、地域RLを確立
ƒ REAは提案された地域RLに関して政府と調整
ƒ 地域活動に おけるトラッキングの能力の維持
ƒ DNAは、ペルーの将来OCBR、二国間パートナー間で合
監視
報告
意された適正基準に基づいてPDDを検証
ƒ MINAMは、登録されたプロジェクト事業向けに国家のトラ
地利用変化率の減少を測定
– KKCは、衛星及びレーダ画像を提供
– CIは、土地利用変化モデル(LCM)を開発
– AIDERはバイオマスのインベントリを提供し、炭素デ
ータを収集し、パークレンジャーズと共に継続的な
モニタリング活動を行う
‚
地域内の土地利用変化率の減少の測定
ƒ MINAMは衛星画像を通じて、国家レベルでの土地利用の
変化率の減少を測定
– SHINGEIの開発
– IFNの設立
– サン・マルティンREAが衛星とレーダー測定を調整
– パークレンジャーや地域共同体が、現地測定を担当
– 各NGOは、測定における技術、調査面を支援
ƒ MINAMは、測定データのフィールド収集を調整
– OEFA は、保護区域内で SERNANP の支援を受けなが
ら現地の測定を指揮
ƒ 実行結果の報告書をDNAに提出。内容はプロジェクト
ƒ サン・マルティンREAは、プロジェクトの実行報告書をま
ƒ OCBRは、地域のレポートを統合し、REDD+スキーム対象外
レベルまたはサブナショナルレベルのRLに対する観
測された森林減少の削減の詳細。
– プロジェクトレベルのレポートは、R-PP報告書の
準備と適合しうる
とめ、登録されたプロジェクト間の区域での森林減少を
評価
– プロジェクト間リーケージの評価
ƒ REAが地域のパフォーマンスレポートを取りまとめる
ƒ MINAMはペルーのNCSにこの情報を統合
ƒ プロジェクト実績レポートの検証
– 内部での品質保証管理
– 独立監査役(初回はVCSの方法論のバリデータ)
ƒ プロジェクトのパフォーマンスレポートの検証
– 地域のレポートの内部品質保証制御(及び外部
ƒ VERsは排出量の自発的なオフセットを民間投資
家(初回はWalt Disneyと三菱商事)へ発行
– VERsは、排出量削減を満たすために二国間パ
ートナーに対してこれを使用する事を認めつ
つ、コンプライアンスクレジットと代替可能
になりうる
課題
Challenges
の地域での森林減少を評価
- 地域間リーケージの評価
•
監査の可能性)
– 第三者による地域のRLと、プロジェクトRL合計が
の任命
合致しているかの検証
クレジット化
と、国レベルのRLを確立
ッキング機能を開発
ƒ 衛星やレーダー画像を経由して、プロジェクト地域の土
検証
コラム5 - ペルーの3段階アプローチに向けたMRVの枠組み提案
é
サン・マルティン地方レベル
ペルー国家レベル
•
DNA は、地域の実績報告を検証
o 国家 RL に地域 RL の合計が合致している
かの検証
o 恒久性リスクのレビューと、クレジット割合を
バッファへの保存するよう奨励
国連の専門家再調査チームが NC を検証
ƒ この時点ではいかなる地域レベルにおいてもクレジ
ƒ 以下の後、REDD+クレジットレジストリーへクレジ
ット化は想定されない。(不必要な階層は複雑化に
つながる)
ットを付与:
– プロジェクトへのクレジットの付与
– プロジェクトにおける排出量削減を国家の排出量
削減から控除
– バッファーアカウントへ、クレジットを転換
ƒ OCBRはREDD+クレジットレジストリーを管理
ƒ データ統合
ƒ 方法の調和
ƒ 潜在的なリーケージ
ƒ 恒久性とリスクシェアリング
Ⅲ - 49
ƒ 技術的・制度的能力
国際レベル
本調査の対
象外
Fly UP