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外国人の選挙権をめぐる憲法上の論点について: ドイツ

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外国人の選挙権をめぐる憲法上の論点について: ドイツ
Kobe University Repository : Kernel
Title
外国人の選挙権をめぐる憲法上の論点について : ドイツ
における学説,判例の検討を中心として(Zur
Verfassungsrechtlichen Streitpunkten uber
Auslanderwahlrecht : Betrachtung uber Literatur und
Rechtsprechung in der Bundesrepublik Deutschland)
Author(s)
宮地, 基
Citation
神戸法学年報 / Kobe annals of law and politics,7:239279
Issue date
1991
Resource Type
Departmental Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
publisher
DOI
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81005126
Create Date: 2017-03-30
外国人の選挙権をめく。る憲法上の論点について
ドイツにおける学説、判例旬検討を中心として
宮 地 基
日
次
はじめに
1
ドイツに怠ける外国人の概念と園籍法
1
1
1 外国人の概念
(幻菌締法の原則
2 阿唱句背景
1
1
1 外国人の定住
(
2
] ECレベルでの地方自治体選挙権の蒋入
3 外圃人選挙権をめぐる法的議論
1
1
1 違憲説の怠拠
1
2
1 合憲説の酋拠
4
.1
9
1
初年 1
0月3c日の速邦憲法裁判所判決
(
1
) γ ュレスヴィヒ
ホルンュタイシ州の市町村議会。郡議会選挙法
をめぐる判決
)
,
( ハ〆プルク区議会選挙法をめぐる判決
5 外国人の選挙権をめぐる憲法上の諸論点
1
1
) 臣民主権原理と外国人の選挙権
(
'
) 国政選挙と地方自治体選挙
むすぴにかえて
神芦法学年報第 7号('鈎"
国
はじめに
日本に在住する外酉人に対しても
地方自治体における選挙権を付与するこ
とを容認し、あるいはより積極的に、地方自治体の住民である外面人を選挙
から排除することは静されないとする識酋が、近年学界においてしばしば登
場している。さらに、日本国憲法¢国民壬梅玉義における「国民』を日本国籍
吹保持者と同一視することに疑問を投げカけることによって
園政レベルにお
ける選挙権を認める可能性を示唆する見解も現れている。しかしながらこれ
までの競輪は
外国人に
定の参政権を露めることに関する憲法上の問題点を
具体的に論ずるというよりも
むしろ政策的な提言
ないし従来の理孟に対す
る疑問の提起にとどまっているものが多いように恩わ札る。
また最近になって、永住権を有する外国人が、""年の参織院践員選挙にお
いて投票でき合かったことを違憲と主張して損害賠償を請求した裁判につい
て、大阪地方裁判所は、「公務員の選定罷免権は、よって立つ園民主権原理6
こ
照らし、その権利の性質上 B本臣民のみをその対象としていることは明ら治で
あるから
右の権利¢保障は外回人には及ばないものと解する」と述べて
原
告の請求を簡単に棄却した。酉民主権原理が少な〈とも国政選挙から外国
人を排除するものであるこ左は
ほとんど自明のこ左左考えら札ているようで
ある。しかしながら、国民主権原理と外国人の選挙宇佐との関係は、それほど簡
日}長尾一敏「外国人の人格トー→塞挙権を司þ ,~,として」芦都信喜編別冊法学敬室'憲
法の基本陛趨1.11
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頁荻野芳夫'釜本的入植の研究』
''"頁以下広務静香 r
定住外園人の選挙権J 法時'"巻1号 2頁
。
('i柳英弘「自治体ドおける外面人の選挙権」都市開""'巻 1号"買以下"買e
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法種「憲法, .国際人権.- .
外E人の参政権」を中心心
」園際人権 1
号"買以下 問『憲法学教室 H, (
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1
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7頁以下 "
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3頁。また、大沼傑昭「在日
朝鮮人の法的地位に関する一考察 (0 完'"法学協会維鷺:
9
7
巻 4号455
買臥下は、法
鯵によって外園人に園政レベルの選挙繍を包める可能性を示唆している。'"買注鯛。
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9
'
間決(判傾集未婚儀)。なおこの判決について 補郁法穂『外
国人の自由」ジ孟リスト"'"号""頁以ト参照。
外匝人の遡挙権をめぐる憲法よの酪点について
単なものではない。この問題は、「固家主権論
'"
圃民主権論、固反代表論、基
本権の享有主体論、選挙格の本質論、民主的正当性論地方自治体の本質論
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憲法改正の限界訟などが錯綜しあっておりム憲法解釈上きわめて重大な論点
を含んでいる。
ヨ ロッパでは定の要キのも左で外国人にも地方自治体レ代ルの選
実際
"
'外国人の選争権がすでに政治的な実行の段階
挙穫を認める例が増えており
に入っているため、この問題に閲する憲法解釈上の論点についても、さかんな
議論カ吋すわれている。と旬わけドイツにおいては 外国人の地方自治体選挙権
の噂入に積修的な政党と、これに消極的な政党とが政治的にも対立しており
近年これに積極的な社会民主党 (SPD) が与党左なっている二つの制で
現実
に外国人の地方自治体レベルの選挙権を導入するための州法の改正治付子われ
定。これに対して
る努力は
これらの州法の改正が軒目の基本法に違反すると主張す
連邦憲法裁判所に対してこれらの州法を無効とすることを求める訴
えを提起した。また学界においても上記のようなさまざまな酋点にわたって、
かなりの議論が彦関されてきた。連邦憲法裁判所は
19関年 10月に、外国人に
対して地方自治体選挙権を訟めたこつの州法をともに違憲無効正する判決を下
{畠}
しており、この問題をめぐる憲法上の論争には
応の決着がつけられた形に
(;)長尾 前掲出" ;外園人の入梅J 1
1
9
頁@
(創成匝憲彦 森山高根イサ川元貸料;,直納に在住する舛国人に対する選挙権及ぴ敏
進挙織の付与の例」レヲァレンス 348, 84頁、岡沢憲芙「地球選挙権《向けて
在
住外国人への選挙権¢利与〈スウヱーヂシ )J UP1
鈎
同'スウェ デ J 現代政治」
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頁以下。
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昔、このうちンニ&レスヴィヒ ホルンユタイン州に閲する綱決に三ル‘て、枝豆段
階で高困箆「外国人の建挙権一ードイツ連邦憲浩裁判所違憲4
腕掛川の酋理」怯時鎚巻
1号旬買に穫したが、詳細な検討を加えることはできなかった。
神戸法学年報第 7号 (
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1
)
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なっている。しかしながら、これによって問題が最終的に解決されたわけでは
なく、少なくとも"諮問¢国籍者に対しては地方自治体の選挙権を認めるこ
とに穆極的な各政党の政策から見ても、また"の政治的統合の 環として
すべての加盟国カ咽互に他の加盟諸国の国民に対して地方自治体の選挙権を認
めることを目指したヨーロッパ南覧会の決議、およぴ EC宅建員会の勧告からして
州
も、外国人の政治参加の拡大切傾向がただちに逆転するとは考え難〈、場合
によっては釜本法の改正によって、外国人の地方自治体選挙権導入の進が開か
れる可能性も否定できない。
また
これまでのドイツにおける憲法解釈上の論争および今回の逮邦憲法
裁判所の判決は、ドイツ基本法ど日本園憲法の異同をふまえた上で
日本にお
ける外回人の選挙権に関する憲法解釈上の論議の深化にとって、極めて多くの
示唆を与えるもの E思われる。そこで本舗では、これまでのドイツにおける論
争点および連邦憲法裁判所の判決の内容を検討し、その上で目本国憲法巧解釈
識にとって重要ないくつかの間題点を整理することとする。そのため』こ U、ま
ず前提としてドイツにおける「外匝人』の概念と、国籍法の原則とを確認して
おかねばならない。
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;広護請吾「西ドイツの外固人と外圃人政策 :
号 l頁、"頁以下参照e
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外周人の選挙轍をめくる憲法上の論査について
1
1
1 外国人の慨念
日訓
ドイツにおける外閏人の概念およぴその原則的な法か持也位は、「外国人波」
によって定めらめている。これによるとドイツにおいて「外国人」とは、「基
1
時四にいろドイツ人でい草」と定義される。そして基本法山条
軸
1項は、 rこの基本法にいうドイツ人とは、法律に別段の規定がない限り、ド
イツの国籍を有する者、または、ドイツ民族に属するヲ問者または難民として
もしくはその配偶者または卑属として
1937年 12月3
1日現在のドイツ国の領域
に受け入れられていた者をいつ J と定めている。
基本法は、トイツ連邦共和国の国民、ないし国籍という表現をあえて避け
rドイツの人民 (
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).J、『ドイツの国籍」、「ドイツ人」という
表現を用いている。これは言うまでもなく、基本法制定の時点ではドイツ連邦
共和国は第二次大戦後米
英仏が占領した地域すなわち旧西ドイツの領域
だけについて成立したが、ドイツおよびドイツ人は旧東ドイツの領域も含めて
。
ω
本来一体のものだとの理念に基づくものである。両ドイツの統一条約に基づ
〈憲法改正以前の基本法前文は、この基本法が 1
8
酉ドイツ岨域のドイツ人民に
よって『過渡期のあいだ、国家的生活に新秩序を与えるために」制定されたも
のとして
その過渡的な性格を明らかにし、さらに「基本法の制定に協力する
ことを拒絶された かのドイツ人」という表現で西ドイツに含まれなかった地
域に住むドイヅ人 6
こも言及し
これらの人々をも含めた「金ドイツ人民は、自
由な自己決定により、ドイツの統 および自闘を完成することを引き続き要務
されている
,t定めていた。このため、「ドイツの国籍」を定める国籍法につ
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塞本法制定以前からすべてのドイツ人について適焔されていた 1913
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の国籍法が、重要な改
wを経ながらも、現存もなお効力を有している。従っ
て遇税的見J
解によれば、東ドイツ(ドイツ民主共和国
DDR) の国民も、少
なくともこの国籍法の漫定によってドイ γ固絡を取得しうる限りでは、すでに
ドイツ統一の前から原則としてドイツの国籍を有するもの左して取り扱わ札
。
ω
「外幽人』とはみなされていな苅った。
さらに
よに挙げた基本法H6条 1項にいう「ドイツ民族に属する引揚者も
しくは難民として
あるいはその配偶者もしくは卑属として
1
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1
1
7
1
現在のドイツ国の領域に受け入れられていた者」に該当する者は
固籍を持たなくても法偉上「ドイツ人」として取り扱われ
ドイツの
r外国人」とはみ
なされ会い。これは、本来は第二次大戦にとも会ってかつてのドイツの領土、
占領地域から追放された者、あるいは戦後の分割占領の時期にソ連占領地域か
ら逃亡した者をドイツ人として取り扱つための過渡的規定であったが、その後
に東側から逃亡してきたドイツ民族についても、引き続きこの規定が適用され
てきた。
(
2
1 園纏法の原則
ドイツの固籍法は
目本の国籍法と同様に
出生による回絡の取得について
いわゆる血統主義 Goss
a勾取帥ぉ)を原則としている。すなわち、'"喝年に改
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正された固籍法 4条 1項は、『以下の者は出生によって凶籍を取得する。 1
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骨イユ条約によって画定されたl
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"'改正仏前には、母視だけが下イツ人である摘出子は、「さもないと無国籍になって
しまう場合」に限ってドイツ岡槍を取得するもの左されていた o Lかし 連邦憲法裁
判所は 1
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性平等」立教法学'"号 ",,.以下
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外巨人の選挙俸をめ〈アる憲法上の齢点について
両親のうち少なくとも
2
4
方がドイツ人である摘出子。 2 母親がドイツ人であ
る非嫡出子J と定めている。したがって、外聞から移住した外国人の子孫は、
帰化によってドイツの国婚を取得するか、両親の方がドイツ人である場合で
ないかぎりは
何世代にもわたって外圃人であり続けることになる。鋸際、現
在旧西ドイツ地域に住む外国人の三分の二以上が、ドイツ生まれの二世以後の
世代となっている。
しかも従来の西ドイツの帰化政策は、外国人の帰化に対して極めて厳しい態
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c母国の法律
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度をとってきたことで知られている。国籍法の規定によれば、
またはドイツの法律に照らして無制限の行為能力を省し
の同意を得ているこ左
いたこと
もしくは法定代理人
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) 生活をおくって
②性行上界行めない (unb
@定住している喝所に自分の住宅または宿舎をみつ付ていること
④その場所で自己およぴその親族を扶養することができるこ正、という要件を
満たす者は、裁量によって帰化を認めるこ H 吋きるとされている。しかし、
側
この毅量の基準を定める行政規定である帰化準則は、さらにこれに加えて①
ドイツへの帰依{Hi問 endu
胡およびドイツの国家秩序の知識、②ドイツ語
¢会話およぴ読み書きに習熟していること
則として
③長期にわたる順応、すなわち原
w年以上ドイツに滞在していること、@非のうちどころのない
(
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ei)生活態度、を要求している。帰化の申請がなされた場合、帰
化官庁がこれらの要件の存否を審査することになるが、この審査にあたって本
人の近隣住民や職場を訪問してその生活態度についての調査を行 9 ため、ごれ
削
が外国人の帰化を妨げる無言の圧力となってきた左官われている p この結果、
同"^'叫StAGただし ドイツ人の配偶者および舜鏑尚子には簡単な要件による帰化
が認められている o'
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なお、 1990年には外酉人法が全面改正され
この中で 16才以上23才未満の若
年の外国人、 15
年以上の長身滞在者およぴその配偶者未波年の子供に対して、
凶
緩和きれた要件によって原則として帰化を認めることが定められた。この法
律は 1991年 l月から施行されているが、これによって外国人の帰化が増加する
かどっか校目されている。
ι 問題の背景
{
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I 外国人の定住
ドイツにおける外聞人の地方自治体選挙梅導入の背景』こは
まず第
に、ド
イツ圏内に現に多数句外国人が住んでおり、しかもその大多数治会すでに長期に
わたってドイツに滞在し、地域の行政に密接な利害関噸を有するにいたってい
凶
るという事実がある。このため、画家との関係 6
こおいては母国への帰属意識
を保っていても、自分たちの身近な生活に直接髭響する地域の行敢に対しては
地方議会の選挙悔の行使による発言権を要求する声が強いのでおる。
旧西ドイツ地総ご住む外国人の多くは 戦後酋ドイツの労働力の不足を補う
ため、近隊三諸国から募集されてやってきた労働者、およびその家族、子孫であ
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た。この年、旧西ドイツ池袋で説労していた外匡人労働者は約 8万人であった
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.年には外国人労働者の数は約"万人と 4備に急増して
が、わずか 5年後の '
いる。 1
9
6
C年代にはいると、労働カの小足はさらに深刻になり、ドイツ連邦政
府は
スベイ〆、ギリンア、トルコ、モロッコ J
といった地中海沿岸諸屈との閣
9
5
8年にはヨーーロッパ
に相次いで労働者募集協定を締結した。さらにこの荷、 1
経 済 共 同 体 包E
C) が設立されている。 EEC設 立 条 約 ( ロ ー マ 条 約 ) は 域
但船
内の労働者の自由移動を実現すべきことを定めており
の移動は、段階的自由牝のための過程期間を経て
加盟諸国聞の労働者
1"0
年までには大幅に自由
9
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6年には
化された。この結果、西ドイツ地竣内に住む外菌人労働者の歎は 1
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釦万人を越え、金労働者の6
.3%に迭した。その後、 1
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2年には景気後退に伴っ
て 時的に外国人労働者人口が減沙したが、翌年には経済の回復とともに外周
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年には約2
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万人、全労働者の 1
1.9%1
となり、
人労働者数も再び精力目に転[:, 1
外閏人労働者導入のピ
クに達した。しかし
この年に第次石油危機が西ド
イツを襲い、経済の状態は急速に悪ヒした。このため連邦政府は
EC地成外
捌
からの労働者の募集を中止し、同時にドイツ人および EC諸国の園信者を優先
酌に雇用するこを によって、その他¢地織からの外国人労働者の帰国を促進す
る政策をとった。この結果、外国人の就労人口は 1
9
7
6年には約 2
0
0
万人にまで
減少し
その後
19"年に経済不況¢影響により失業者が増えたために一時的
に減少したほカ斗丸山 8
0年代を通じでほぼ2
1
0
万人 24C万人の水準を保ってい
る。もっともこの間
金就労者人口は徐々に増え続けているから、ドイツ人を
含めた全就労者に占める外聞人の割合は逆に滅り続け
1
9
8
8年末の絞謝によれ
附欧州共同体を設立する条約(以下、 E島C設立多治という)'"条一"粂
間 前 述 の kうに、"機怖の労働者め移動はすでに自血化されでいるから
からの労働者の流入を関内法によ。て起制することはできない。
EC諸圏
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神戸法学年報第 7号(19
9
1
)
凶
ばその割合は全体の 7
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6話となヮている。
1
9
叫年末の統計によれば、旧西ドイツ地域には 484
万5
9
0
0人の外国人が居住
し この数は全人口の 7.8%を占めている。このうち約 60%は滞在期聞が十年
金趨える長期樺在者であり、ドイツ園内で生まれたいわゆる二世以後の世代の
,
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割合 1
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1
:
19
8
8年の時点ですでに 67.5%に途している。しかも注 Hすべきことに、
これまで旧西ドイツ地械における外国人人口の増加率は外周人労働者の槽加
率をほとんど常に上回ってきた。これは、外箇人労働者が圏外から流入する以
上に、その家族が呼ぴ寄せられ、あるいは囲内で新たに生まれたことを意味し
ている。このこ左は、ドイツに住む外園人のうち実際に就労している者の占め
る割合の変化にもはっきり現れている。 1
9
7
0
年の時点では 金外困人人口に占
める就労者の制合は叩%を越えていた。すなわち、この当時はまだ外国人の多
く治人ドイツ圏内に扶養家族を持たず単身で『出稼ぎJ に来ていたことを示
9
3
8
年には
している。左ころが 1
この割合は 51
.4%にまで減少し
ドイツ人を
側
も含めた全人口に占める就労者の割合 48.4%にかなり接近してきている。こ
のことは、外国人がすでにドイツ人と阿様に家族を伴って園内に定住してお旬、
もはや単なる「出稼ぎ労働者」ではなく、ドイツ人の『共同生活者』となって
いることを意味している。
(
,
)
巨Cレペルでの地方自治体選挙権の導入
ドイツにおける外国人の地方自治体選挙権導入のもう
つの背景左して、
Ecの域内ですべての加盟国が、相互主義の原則に基づいて囲内に滞在する他
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外国人の選挙権をめ~る憲法上の宿命点j ついて
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の加盟諸国の園民に対して地方議会の選挙権および被選挙権を付与することを
山
目指した動きが挙げられる。
ECでは
1974年にパりで行われた首脳会談においてヨ』ロッパの政治的協
力を促進する方針カ守了ち出されて以来
そのつの手段として、各加盟国がそ
の圏内に滞在する他の加盟諸国 η国民に対して地方議会の選挙権を付与すると
とが検討きれてきた。加盟諸国の国民によって直接選挙された議員で構成され
年 6月 8 8の決穣以来、何度も外巨人の地方議会選
るヨーロッパ議会は、 1983
白銀}
挙権の導入を支持する態度を表明し、 EC委員会に対して、加盟諸国に外国人
の地方自民会選挙権の導入を義務づける『命令(Ric
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)J の草案を
作成するよう要求し続けてきた。これを受けて EC委員会は 19
邸 年1
0
月 7目
、
悶"
「地方自治体選挙における共同体加照諸国の市民の選挙権に関する報告書」
を提出し、この中で、 EC加盟諸国の国民に対してその滞伝聞の地方続会選挙
の選挙権を認める方針を表明し、さらにそのために各固めとるべき園内法上の
措置の内容を定めた命令の起草作業を進めることを明らかにした。この結果左
して
19凶年 6月 2
2目に EC委員会において「滞在国6
宅地方自治体選挙におけ
人叫
る加盟諸国の国籍者の選挙権に関する理事会命令のための提案」治決定され、
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問 EC委員会は、加盟諸圃政府の合意によって佳命される各国 1ないし 2名の委員か
ら構成されるが、委員は出身固の政府泊ら完全に独立して EC全体の利益のために行
,
動すべきものとされているロ欧州共向体の共湿の理事会およぴ共通の委員会を設置す
。
るための条網'"前年)日条 1項- 3項""設立条約'"条 1項 2墳
。
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最詩的な決定維を有する
EC理事会に提出きれた。
この提案によれば対象となる地方選挙は
一般的な行政権限を有する最下
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級の地方自治体において住民の直接普通選挙によって選出きれる機関の選
挙とされ
この議会の任期とされている期間継続して合法的に滞在している他
の加盟諸困¢国民は、その申請によって選挙権を与えられる。もっとも加盟国
は、その圏内法によってもっと短い滞在期間で選挙権を罷めてもかまわない。
ただし、外国人が自分の母国と滞在国の地方議会で二重に投票する事態を避け
るため、申請に際しては母周の地方選挙の選挙人名簿に搭草食されていないこと
を示す領事館発行の証明書を提出することが袈求されている。すなわちこの制
度は他の&:加盟諸固に海在する
EC市民に滞在箇の地方選挙に参加する権
利を付与することを H的としたものであって
登録されることはな〈、本人が希望し
欝在園の選挙人名簿に自動的に
またその国籍園の圏内法上可能であれ
ば、あえて滞在園の選挙に参加せず、ひきつづき母国の地方選挙において投票
することもできる 6 きらに、対象となる機会の任期の二倍にあたる期間ひきつ
づいて滞在している外国人は、その議会広被選挙権を与えられる。ただし、地
問
方自治体の首長がその議会の議員の中から選出される制度をとっている場合
には例国人の地方議会議員はその還挙には参加するが、力盟固はそ広被選出
資格を与えないことができる。これは
の自治体において同家の利益代表として
固によっては地方自治体の首長が、そ
定の権限を符使する場合があるから
倒 EC理事会は 各加盟国政附が代表者として派遣する各"白の大臣によって構成さ
れる。欧川共同体の央通の理事会および共通の委員会を位置するための条約作鮒民年)
z 粂 EEC 設立条約,~条 o E
EC股立条偽によれ."条約中に明文の授権規定がない
ECの目的を達成するために必要な行動について以委員会の提案に基
場合でも E
づき、理事会が金会一数で適切な繕置をとること功会できる. EEC 霞立条約~"条.
。切従,て、もし日本の場合であれば、市町村およぴ東京都幹別区,機会だけカ今す象と
1
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な旬 都道府県議会選挙は含まれないoV乱 deLobko別に巴 (A.乱 3
同 ドイツの市町村長 (B~rgerme蹴,,)は市町村議会で選挙される。
外国人の選挙叫掘をめぐる愈怯上の諸点について
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である。また、地方議会の穆員が国家の融会の構成員を選出寸る場合、外国
人の地方議会議員にその選出
被選出資格を与えないことができる。すなわち
外厨人の地方機会議員が仔使する梅限は、純粋に地方自治体の問題に関するも
のに限られ国家の機能とは注意深く切り離されているのである。
この提案が最終的に採択きれるためには
加盟各国の政府代表からなる EC
理事会で全会致で決定が下されることが必要であり、金加盟国の支持が得ち
れるかどうかはまだ予断を併さない。しかしすでに EC加盟国のうちデシマ
ク、オラング、アイルランドの三闘はこの動きを先取りし、 EC加盟国の園民
のみならずすべての外国人に対して地方談会の選挙権を留めている。このよう
な動きに刺殺され、ドイツでも特に社会F主党
を中心に
(
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)が与党となっている州
外国人の地方議会選挙権を導入する政策が進められてきた。これに
撃激されて学界においても
と 0わけ外国人の地芳援会選挙権の導入が逢邦の
基本法上許されるか否かをめぐって活発な議論が行われてきたのである p
3
外国人選挙権をめぐる法的誠諭
外国人に地方議会の選挙権を認める関電に関して
ドイツではかなり以前か
ら学界において織論が続けられてきた。'"初年にベルリンで符われた第 53団ド
間
イツ法学会ではこの問題が重要なテーマの
っとして取り上げられ外国人
法部会では各州の立法省に対して「法改正、必長とあれば憲法改正によって
長〈ドイツ連邦共和固に定住している外国人に、地方自治体句代表機関への選
挙権を与えること」を勧告し、同時に連邦の議会に対しては「連邦憲法の改正
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によって、憲法上の疑問点をとりのぞくとと」を勧告する決議が採択された。
しかしながり
この決議の文言からもわかるように、これは現行憲法のもとで
通常の法律(州の法律)の改正によって舛園人の地方議会選挙権を導入すると
とカできると考える人々と、憲法の改正が必要だと解する人々との妥協の産物
である。しカもこの決議は、 1
6
6対 1
5
2棄権 5というぎりぎりの多数で採択され
たものであり
さらに同じ学会の地方自治法部会では
逆に外国人選挙権の導
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例
入を支持しない旨の渉~i,jt6~70対31 の多数で採択されている。このように外国
人の地方自治体選挙権をめくっては学界でも見解がするとく対立しており
現存のところ
結論的に州の法律の改正によ勺てこれを進入することは速邦の
"
別
基本訟に違反すると解する見解が多数を占めているように思われる。
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1 違憲説の論拠
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到の法律による外国人の地方自治体選挙t
をの導入が茎本法に違反すると考え
州!
る論者は、その恨拠左して基本法 2粂 2項およじセ B
条 1項の規定を挙げる。
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0条 2項は、 rすべての国家権力は人民 (Volk) に由来する。固家権
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ている。 般にはこの言葉は文脈により、多くの人々 種族 下僧階級統台者に対
する草昧で被治者 ある国家の国民選挙権をもっ能動布民民族といった意味で用
いられる。 B
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箇別抗'"といっている場合には『国民はという言葉を用いることにする。
外国人の適量挙権をめ〈る憲法上の稔点について
力は
人民によって還挙および投票により
2
5
3
ならぴに立法、執行棒、およぴ
司伎の個別の諸媛閣を通じて行使される」と定めている。したがって、選挙権
の行使は人民による直接的な周家権力の行使であるから
ここで言ろ人民
(
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k
) がドイツの国籍者の金体を意味するものとすれば、国家機関の選挙
に関するかぎりドイツの国絡を持たない外国人は憲法上これに参加する余地は
ない。さらに 基本法2
8条 1項は『州における憲法的吟師は、この基本法の意
味における共和制的 民主的および社会的な法治国家の諸原則に合致してい会
ければならない。州郡 (
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)およぴ市町村 (
G
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)において、人民 (Vωk)
は普通直接自由平等、およぴ秘密の選挙に基づいてつくられる代多機
関を有していなければならないJ と定める。この条文の第一文によると、州に
おける憲法上の統治機構は、基本法に定められた連邦のそれと窓会に 致する
必要はないが、その重要な諸原則については共還していなければならない(こ
れを「等質性原理 (H
岨 o
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p四 i
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)J という)。そして基本法2 条にいう、
すぺての園家権力が人民に幽来するという原則は、完走本法の定める民主酬の
もっとも基本的な要素であるから、この原則は州の統合榛矯 6
こも適用される。
したがって州における周家機関の選挙にも
外国人が参加することは禁じられ
ることになる。さらに食事二文では、郡、市町村という地方自治体についても、
住民代表機関の選挙権の主体として人民 (
V
o
l
k
) という言葉が用いられている。
このためここでもこの言葉が、その地方自治体に住むドイツの国籍者の全体を
指すものとすれば、地方自治体における住民代表機関の選挙についても、外国
人に選挙権を罷めることは
この基本抵の規定に違反することに会る。
基本法はい〈つカの場所で「人民 (
V
o
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k
)
J あるいは「ドイツの人民 (dM
0.;0恥 c
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eV
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k
)J という概念を用いている。基本法が周いているこれらの概念
が必ずしも同
のものではないこ kは学説において広く認められている。た
とえばU.Karpenは、基本法が「人民」という冨棄を周いている場合について、
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神戸法学年報第 7号(四"j
ヤ
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町
次の三つの意味を区別している。②憲法制定権力の主体としての、制度化さ
れていない前愈僚的な人民。基本法の前文が『
ドイツの人民は
こ¢基
本法を制定した」と述ぺ、あるいは釜本法の辰終規定、一四六条が、「この基
本法は
ドイツの人民が自由会決断で議決した憲法が施行される日に効力
を失う J と定めている場合の「ドイツの人民」がごれである。②選挙などの憲
法上の制度を通じて実際に国家権力を行使する
国家法上組織された人民。上
に述べた基本語2
C条 2項にいう選挙によって国家権力を行使する「入札はこ
れである。信満国家的な、住民という意味での人氏。条文のなかに明文で舎か
れているわけではないが、表現の自由、集会の自由といった前国家的な起源を
もっ基本権の主体がこれにあたる。したがって、ここで問題になるのは②の意
味、基本法2
0条にいう「人民 (
V
o
l
k
)
J の内容をどのように解釈するかという
ことである。
違憲説の論者は 選挙権をはじめとする能動的市誌の権利が近代的な立憲
主義原理の成立以来
賀して国籍に結び付けられてきたことを強調して、基本
法
2
<
J
粂 2項にいろ「人民 {
V
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)
Jがドイツ人だけを意味すると主張している。
たとえばK.S
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nは、「世界のほとんどすべての誇固と同様に、ドイツ連邦共
和国においても選挙権はドイツ人だけに認められている。外国人依、選挙権も
被選挙権も有しない。ニのこ左は、州議会および地方自治体の議会についても
あてはまる。このような選挙権の限定は 一貫したドイツの園法上のお統であ
る。選挙権は
人民の能動甫民への煽属性に由来するものである。このような
能動市民に帰属するのは、園鎗のような人的な縫続的関係によって互いに結ぴ
つけられた人々だけである。単なる国家,領土内での滞在は、かかる継続的関
.."
係をともなうものではない」と述ぺている。さらに地方自治体の選挙権につ
いても、地方自治体は間接的な周家行政6
号機関であって、その権カは連邦およ
位
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n,(
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t参照.
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外国人の選挙権をめ〈る憲法上のIi.~について
ぴ州の織力の場合と同様にドイツ人だけに到来するものでなければならないと
する。すなわち、地方自治体における人民とはその地方自治体に圏有の市民で
はなく、園家の成買のうちその自治体の境界によって区分された
ない。国家権力は単
郁分にすぎ
のものであって、地方自治体の仔使する権力はその自治
体仁園有の起源を持つものではなく、園家から付与ないし委任きれたものだと
酬
いうのである。
(
2
) 合意説の酋楓
これに対し、少なく左も地方自治体レベルでは外国人選挙権を導入すること
州 側
が連邦憲法上可能であると考える論者は、い〈つかの観点から違憲説を批判
している。
外国人の地方自治体選挙権を合憲であると考える強拠は
大きく二つの点に
分類すること治宝できる。すなわちその一つはすべて¢国家権力の源泉であ旬、
選挙を遇じて箇家権力を行使する「人民 (Volk)J がドイツの国籍を有するも
のに隈られるとする主張自体を疑うものである。との見解によれば、外国人の
選挙権は必ずしも地方自治体レベルに隈られず、州議会および連邦誠会の選挙
側
権を与えることも必ずしも基本法に違反するものではない左いうことになる。
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治体の選挙権が明文でドイツ人に限定されている。 A
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.したがってこれらの州では 地方自治体レベルで外国人選挙権を
導入するためには州憲法の改正が必要となる。
側最近の合憲誕の主な論者としてB.-O.B町 叫 A郎 防l
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… , , 岡 山 w
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もろ一つは、連邦議会およ rn~ 議会の選挙権は基本浄よドイツ人に限定されて
いることを認めながら、地方自治体選挙を通じて地方自治体の権力の源泉とな
何
か
る「人民 (Volk)J は必ずしもドイツ人に限られない左いう主張である。
.-0.Bηd,は、外国人選挙権をめくる議論が提起
第ーの主張として例え 118
している根本的な問題は、「我々の民主制が我々の住民のかなりの部分を民主
倒
的な参加カら長期にわたって排除しうるのか」ということである左指摘して
いる。すなわち
国家の支配に服従する者がその国家の支配め正当性を承訟す
則
るという民主制の基本的な原理と、住民のうちかな句の部分が民主的な権利
を全〈留められていないという実態との聞に
明らかな矛盾が生じていると言
うのである。きらに、違憲院の論者がしばしば指摘する、州およぴ市町村の還
挙権を明文で rライヒ
{
思
ドイツ人』に限定していたワイマ
ル憲接の規定に
ついて、「この規定の意味は}そもそも当時機員歯されていなかった外国人の選
挙権を禁ずることにあるのではなく、まさにその逆に、選挙権を園籍から切り
離すことにあった」と指摘している。すなわち当時の固籍法の原則によれば
全ドイツ国家の国籍よめも各州(ラ〆ト)の聞絡が優先されており
には州の住民のかなりの都分がその州の国籍を持たず
帝政時代
したがって選挙権も認
められていなかったことを改め、その国籍(州籍)に関わらずす寸てのドイツ
人にその居住する州での選挙権を認めることにこの条文の狙いがあったのであ
る。したがって、進憲説の多くの論者が自明視している人民主権
(Volk
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tll.t)と国籍と選挙権との結びつきは、必ずしも切り離せない
側このような主張をする論者として,,,町 (Anm.2l
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の大都市では外国人住民の割合が全体のM近くにも遥
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外国人勿選挙権をめぐる憲法トの省点について
~,
ものではないのだと主張している。そして基本法 2
0
条 2項にいろ「人民」の概
念について
c<すべての国家権力は人民に到来する」左いう 2
0条 2項 1)(の規
定は、なによりもまず民主制 η原理およひ喋民主的な支配体制との決別を伝統
的な形で確認したものであって、選挙人名簿でもなければ r
人民』という名の
独裁者を任命したものでもない。ここにおける r
人民』を制度化されていない
憲法制定権力叫宣い手と解するなら、かかる憲法制定権力は、いずれにせよ固
繕のような技術的な法制度に芳純されうるものではなし画。これに対し、選挙お
よU唱票において人民カ切手使する権力(創条 2項 2文)は 制度化された権力
である。誰がこれに参加しうるかは 憲法の限界内において法律がこれを定め
るのであ旬、したがってこオUこ関連して誰が人民('能動市民,)に属するかは、
定の範囲内において通常の立法者の任意に委ねられている。
によって定義する場合でも
人民を国籍
例えば生地主義を採用して外聞人の将来の世代を
生ま"ながらのドイツ人にすることによって人民の範囲を拡大することは立法
者の自由である@
このような人民の構成の可塑性からみると
立法者が
帰じによってではなし政治的な権利を付与することによって能動市民の範圏
を広げることを考える可能性すら否定する厳格性は
むしろ奇妙なこ左に恩わ
櫛)
れる』と主張している。
また
このほかに H
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泊"は、基本法上明文でドイツ人に限定された基
本権(集会結社の自由 Art
. 8.9、居住移転職業の自由 A凡 1
1,
1
2
)であっ
ても、法律によってこれらの白幽を一定限度で外国人に付与することが妨げら
れないこと止対比して、仮に基本法にいう『人民 (
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k
)
J がドイツ人に限ら
れるとしても、それによって直ちに法律で外国人に選挙権を付与することが禁
じられるわけではない、と主張する。すなわち、基本法は、少くともドイツ人
には選挙権が保障されねばならないといっ「最低要求」を定めているのであっ
倒
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で、それ以上に、外国人¢住民にも選挙権を抵張することは立法考の自由だと
闘
いうのである。
第二の主張すなわち連邦および州レベルでは選挙権がドイツ人に限定され
ることを前提としながら、地方自治体については外国人も含めた住民全体が選
挙権を行使することができると主張する論者として例えば D.Breerは 次
のように説いている。彼は通説の主張するように.地方自治体が固有の主権を
有するものではなく
も喝
間接的な園家行政の単位であることを認める。したがっ
て地方自治体の行使する国家権力は連邦および州の機闘が行使するそれと同
様に
ドイツの固鏡者からなる人民によって正当性を認められなければならな
い。しかしこのようなドイツ国民全体による正当性の承認は、ドイツ国民の一
部分でしかない自治体住民の選挙によって得られるものではない。ドイツ園民
全体による正当性の承認は、その他の閥復的な国家の行政機関の場合左同様に、
ドイツ国民全体によって選出された国家の議会を通じて、すなわち議会の法律
によって地方自治体が設立き札これに権限が委任されることによって、いわ
剛
ば r
上から」得られるものである。
しかし基本法はこれに加えて、地方自治体がそこに住む人民の置接選挙に
よっていわば『下から」その正当性を承認されるぺきことをも要求している。
この第二の正当性承躍は、地方自給体がその構成員が意思形成に参加する権
利を有する公法上の団体であることに由来する。構成員の参加によって意思形
成が行われる公法上の薗憎が国家の法律によって園家権力の行使を委任されて
いるために、地方自治体の場合にはこのような二重の正当性の承留が必要にな
るのである。したがって
fよから』の正当性の源泉である国家の人民
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0条
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2項)と、『下から J の正当性の源泉である地方自治体の構成員たる人民 (
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外園入の霊挙権をめぐる憲法上の音量点について
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条 1項 2文)とは必ずしも同ーのものである必要はなく、 r
下から』の正当性
の承認に外国人治効目わったカらといって、国家の人民全体による『上から J の
附制
正当性の承言!;dt婦なわれ右わけではない。
このように
少なくとも地方自治体レベルにおいて外国人の選挙権を承臨す
る考え方は、学界においてはいまだ少数説にとどまっている。しかしながら、
政治的な主張としては、すでにドイツ社会民主党 (SPD) および緑の党が地方
自治体レペルでの外国人選挙権の導入を強く主張している。さらに自由民主党
(FDP) およびキ
J
'スト教民主党 (C凹)の一部にも、"諸国金体が相互に
他の加盟国句国民に地方議会の選挙権を認めることに合意することを前提とし
て 将来的には EC加盟園の国民に限り地方選挙権の導入を容認する意見があ
る。この結果、ドイツでは学界の人勢に先行して現実に州の法律によって外
国人の地方選挙権が事入きれることになった。
4. 19
剖 年10月3
1日の連邦憲法裁判所判決
こうした中で 1
9
8
8
年から 1
9
8
5年にかけて
地方自治体レベルでの外国人選挙
権の導入に積極的なドイツ社会民主党 (SPD)が与党となっている二つの州で
現実に外園人の選挙権を包める州法の改正治勾守われた。これを愈法違反である
として強〈反発したキリスト教民主
力は
社会同盟 (CDU/CS日)を中心とする努
この問題を連邦愈法裁判所に持ち込み、これらの川法を無効とする判映
を求めた。連邦憲法裁判所の執決は、このこつの川の事件について、 1
9
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C年 1
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月3
1日に同時に言い渡された。
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ンユレスヴィヒーホルンュタイ J 州の市町判続会・都議会選挙法をめ
ぐる判決
シュレスヴイピ
ホルンュタイ
J 州において、州内の市町村鱗会および君臨議
会選挙について一定の外国人にもその選挙報および被選挙権を付与するための
制)
法改正が行われた。 19鈎年 2月21日の市町村都議会選挙法改正法は、次の
ような条須をそれまでの選挙法に付け加えた。
「選挙日において以下の条件を満たす外国の国籍者も、そ句他の要手が存在
する場合には申請によヲて選挙権を有する。
l デンマーク、アイルラ〆ドオランダノルウエー
スウェ
デJ
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スの諸国の園籍者であり、
2 少なくとも 5年開基本法の適用領域内に日常的に滞在し
かっ、
3 滞在許可を有しまたは滞在許可を必要としない者。
滞在期間の確信包に際しては、外国人官庁使把糧している最後の入国日付が幕
礎とされるが外国の国籍者は、そ¢他の方法で滞在期間を証明するこ左がで
きる。」
ここで、第 1号に掲げる 6ケ固が選ばれたのは、これらの諸国がすでに地方
自治体について外国人に選挙権を認めているためであり、「相互主義
(Gegens
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).Jの考え方に基づき、ドイツ人に地方議会選挙絡を認めてい
る園の国民にだけ選挙権を付与することとしたのである。
この改正法に対し、連邦議会のキリスト数民主社会岡盟 (CDU/CSU) 議
員団および同党を与党とするパイエルン州政府が、外国人に市町村都畿会の
選挙権を付与することは
国家権力が人民に由来することを定めた基本法2条
2項および郡市町村において人民の選出する議会の設置を定めた基本法皇8条
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外園人の遜挙権をめ〈る憲接上の論点について
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1項 2文に違反寸るとして、姻象的規範続前の手続きに基づき、連邦憲法裁
判所に審査を申し立てた。
刷
連邦憲法議判所は、 1990$10
月"日の判決においてこの主張を認め、裁判
ホルシ A タイン州法が無効であると宣言
官の全員教で本件ンェレスヴィヒ
制
した。
① 基 本 法2
0条 2項にいう「人民
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),の意晴
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) に由来する」と
進邦憲法裁判所はまず、「すべての臣家権力は人民 (
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)
Jが、ドイツの国籍
する基本法2条 2項について、ここでいう「人民 (
者および基本議上これと河等¢地位を有するドイツ人を意味するものと解して
いる。「この規定自体が、選挙投嘆によって、および立法執行権司法の
V
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) とは稚なのかを定め
個別の諸機関を通じて箇家権力を行使する人民 (
ている。すなわち
それはドイツ連邦共和闘の国民 (
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) でめる。ド
イツ連邦共和酉は
0条の第 1項から 3項において、法治国家的権力分
基本法 2
立の構造をもった民主的地η 社会的な連邦国家左して設立されており、民主的
国家としてのドイツ連邦共和国は
その中でおよびその機関によって行使され
る属家権力の担い手および主体である人的全体なしには考えられない。かかる
人的全体が園民を形成し、そこからすべての国家権カが由来するのである。』
V
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k
) は 基本法
「ドイツ連邦共和固における国家権力の源泉である人民 (
によれば、ドイツの国籍者およぴ基本法'"条 1項に基づきこれと同じ地位を
有する人々から構成される。したがって連邦共和国の酉民への帰属位、原則と
して固絡を通じて得られるものである。匝絡は、
左なり
倒
そして他方ではとくに
方では平等な踏襲務の根拠
民主制における画家権力の正当性の源泉とな
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必ずしも一致して U骨 川
号
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"
神芦法学年報第7
加
る諸権利の筏拠ともなる平等な国家市民の地位を得るための法的な要件であ
陥司
る
。
」
② 基 本 法2
8
条 1項による州
都、およぴ市町村についての「人民 (
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)
J
の葱味
違邦憲法象判所はきらに、「州にお付る憲法的秩序は、こに基本法の意味に
おける共和制酌、民主的およ r
n
生会的な法治函家の諸原則に合致していなけれ
ばならない。州、都およ U市町村においては、人民 (
V
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l
k
) は普通、直接
自由、平等およ E潜密の選挙に象づいてつ〈られる代表機闘を有しなければな
らない』とする基本法2
8
条 1項につき、やはりドイツ人だけによる選挙を規定
したものと解している。『連邦諸州に帰属する画家権力についても、基本法2
0
条 2攻
、 2
8条 1項 1文によれば、これを担うことのできるのは基本法 n6粂 1
項にいうドイツ人である人々だけであるロこの場合には、それぞれの州の領域
内に住むドイツ人からなる地被閣に限定きれた集団、すなわち(州の)人民が、
正当性承認の主体として、ドイツ連邦共和園の園民にかわる立場に立ち、また
は一一一たとえば連邦レベルの立法手続きへの協力および速邦法律の執行の場合
のように
これに協力する立場に立つ。" c
基本法 2
氾条 1項 2文によって郡お
よび市町村について人民 (
V
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) の代表が規定されている点についても、結
省的に何ら違いはない。州、都およ U司町村について「人民 (
V
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概念を
地域的な限定を度外視すれば一一一統一前に用いているこの規定の文
言がすでに、ここでもそれぞれ人民 (
V
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k
) を構成し、その代表を選出する
(的
のがドイツ人だけであることを示しているけ。
歴史的に見ると、ドイツの市町村は近代的な園民国家の成立の前から、臣家
の機構の 部分ではなくむしろ国家権力に対抗して市民の自治を防衛するため
の共同体として存在していた。こののため、",本
0 法以前のドイツの憲法は、伝
働""叫 8
3.37州
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."
.0
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外国人の選挙権をめ〈アる憲法上の碕点に三》いて
2
問
統的に市町村の自治を南家に対する市民の義本権のーっとして位置づけていた
附
{
l849年のフランクフルト憲法 184
条、ワイマ
ル憲法 127条)。ドイツめ市町
村治q見在でもそのような性格を維持しているとすれば市町村の行使する権力
の源泉である「市町村民』は、必ずしも国家の構成貝と
致する必要はないと
も考えられる。連邦憲法裁判所は、このようなドイツの市町村の歴史的な性格
を認めながらも、『しかしながら市町村は、時代の進展の中で、その自治の権
利を維持または強ヒしつつも、しだいに画家の領域の中に取り込まれていった。
ましてや基本法の議会制民主主義においては
地方自治はもはや国家組織に刻
する防衛の態勢にあるわけではない。地方自治は
B条が示しているよ
基本法 2
うに固家の組織の枠内におかれ、国家の構造の中仁統合されている J として、
甫町村の自治行政も
の権力は
現在では国家権力を行使するものであり
したがってそ
V
o
l
k
) すなわちドイツ人に由来する
国家権力の頑泉である人民 (
ものでなければならない左している。
③
州の立法者の裁量の限界
州における統治機構の内容については基本法はお条 1項において「この基
本法の意味における共和制的、民主的および社会的な法治国家の務房昆則に合致
していなければならない
,tするだけで、その詳細については州の立法者に委
ねている。したがって郡およぴ市町村の選挙手続きを定めることも、原則とし
て州の京法者の哉量に属する。し泊し連邦憲法裁判所は、この州の立法者の裁
文の「郡およぴ市町村においては、人民
量は、基本法z8条 1衷 z
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普通、直接、自由、平等および裕密の選挙に基づいてつくられる代表機関を有
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8年のドイツ三月革命の結
果 続 ドイツの憲法を制定するためにプラ〆クフルトに召集された園民機会で係択
された憲法回しかし 岡憲法の圃民主権的 自由主礎的傾向を纏悪するプロイセ J 国
王がドイツ皇帝続位を拒否したためこの筆法は結局施行されずに終わっ f
凶しかし
憲主義をドイツで初めで傑周した憲議として、後のドイツ憲法史に大きな
近イ℃的な立J
影審を与えた。山田履 Tドイツ近代憲法白(l舗の"賞以下。
'
"
神戸法学年報第 7号 (
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9
9
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)
しなければならない」という命令の範関内に限定きれるものと解している。
「したがって選挙権者の範圏のドイツ人への限定は、市町村代表伝選挙の必要
性およぴ急要な選挙伝の諸原則と同様に、州の立法者がこれを変更することは
閣
できないのである。」
⑨結論
結論として連邦憲法裁判所は
「以上すべてのことから判断して、州の立法
者が市町村における人民の代表者の遺挙権を外国人にも認めることは禁じられ
し犬がって 1985年 2月 9 口のンュレスヴイヒ
ており
ホル γ ムタイノ市町
村郡選挙法改正法は、基本法'
8条 1項 2文に違反し無効である」と刊附し
fO
】
しかしながら、外国人の地方自治体選挙権の導入がドイツ連邦共和国の民主
制原理の中核である「すべての園家権力は人民 (Vo!k) に由来する, (基本法
2条 2項)という規定にかカわるもめだとすると、一部で主張されている基本
法釘改正による外国人の地方自治体選挙権導入の試みも、「
第 1条および
第2
0条に定められた諸原則に抵触するようなこの巷本法の変更は許され会い」
とする基本法 79粂 3項の規定によって不可能となる恐れがある。そうなると
Cレベルで進められている相互に他の加盟国の国民に地方議会の選挙権
現在 E
を与えょっとする動きについて、ドイツは憲法上これに参加できなくなる可能
耐
性がある。この点について連邦愈法裁判所は、判決謹由の最後で「このこと
から、現在日ごの領域内で検討されている外国人に対する地方選易構の場入が、
基本法乃条 3現によって許き礼る憲法改正広対象となり得ないといっ結論が導
かれるわけではない」と述ぺて
倒
側
BVerfGE幻
多本法の改正による外国人の地方自治体選挙
n問
このような理由を挙げて、基本法主役立による外国人選挙権の導入さえも許きれない
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外国人の選挙権をめぐる憲法上の拾点について
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権の準入め可能性を否定しなかった。
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μ 、ンブルク区揺会選挙法をめぐる $
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*
側
ハンプルクは、
つの都市であると同時に
ドイツ連邦共祖国を構成する
一つの州(ラント)である。このため、ハンブルク州内には基本法2
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条 1項に
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)、市町村 (G,
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) という下位の地方自治体は存在しない。
いう郡 (
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ハンプルク州憲法によれば酉家の活動左市の情動と低分隠されず、ハンブ
ルク議会 (
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) が市議会と州議会との両方の機曜を果たしている。
しかし州憲法は同時に、畿会が法律によって独自に行政ょの下位区分を作るこ
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とを臨めており、これに従って、市内が 7つの区 (
B
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) に分坤ナられている。
区は、通常の地方自治体とは遣って、独立した法人格、権利能力を持たず独
自の課税、条例の制定などの権限を有するものではないか、州政府の委任の範
凶内において、独立してその地域にカかわる行政ょの任務を行うものとされて
聞
いる。ぞれぞれの区には、住民によって直接選出きれる区議会
(
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この区援会によって区の行政の責任者で
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) が選ばれる。
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月
間
ハ〆プルク州は区議会の選挙涜を改正し、国籍にかかわらず
長期にわたヮてドイツに定住している外国人に対し、区議会の還拳濯をみとめ
側正式名称。ま「自由ハンザ都市ハ J プルク J (
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出
ることにした。本件に関連する区酸会選挙法の条文は次のようなものである。
下選挙期目において少な〈とも 8年間基本法の適用地域内に稽在し、かつ本
項第 1号カら第 3号までの要件のいずれかをみたすすぺての外国人も選挙権を
有する。
l
外国人法に基づく滞在許可を有すること
2 ョーロソパ経済共同体加盟諸聞の閏籍者の入国およぴ滞在に関する法律
に基づ〈鴻在許可を有すること
3 故郷を捜失した外国人たる法的地位を有すること」
これに対し、連邦国民会の CDU/C町議員団は、抽象的規範統制の手続き i
こ
よ
り、このハンプルク州法を無効とすることを求めて連邦憲法裁判所に審査を申
し立てた。
連邦憲法裁判所た
この主張を認め
本件ハ〆プルク州法を無効とする判決
m
を下した。
① 基 本 法2
8
条 1項 2文との関係
前述したシュレスヴィヒ
ホルン 1 タイン州の判決では郡およぴ市町村に
おいて『人民 (VoJk).Jが選挙された代表機潤を有すべきことを定めた基本法
2
8
条 1項 2文が重要な基車となった。しかし、ハンブルクには郡およぴ市町村
に栂当する地方自治体が存在せず、区はあくまで州の行政単位にすぎないもの
とされているため
この条項の適用可能性カ弔問題になる。との点について連邦
憲法裁判所は 『本件では基本法m条 1項 2文は関係がない。ハシプルク憲法
4条 1項によれば、ハンプルク機会が基本法2
8条 l項 2文にいう州議会と地方
自治体の人民代表との両方の機能を果たす。ハンプルク憲法 4条 2項に基づい
て設置されている区は、地域団体ではない。このため基本法2
8条 l項 2文が直
接に適用されるこ kはない。また、この規定を準用することも不可能である。
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BVerfGE83ω
外圏人の選挙織をめぐる憲法上の論点について
2
6
i
とりわけ区には権利能力がなく、市町村の自治の特徴である全商的管轄権もも
たないため、これを地方自治体に対比することはできないから、準周はできな
州
いのである J として、この規定の適用を否定した。
@ 基 本 法 " 条 2項
、 2
8条 1項 1文とハンブルク区議会の関係
したがって問題となるのは
V
o
J
k
) に由来すべ
すべての固家権力が人民 (
項、および介の憲法的秩序が基本法の定める民主
きことを定める基本法"条 2
8
条 l項 1文の二つの規定である。
制の原理に合致すべきことを定める基本法2
ドイツにおいては、連邦制原理に基づき、州も
つの菌家左しての地位を有す
る@したがって州当局の行使する権限も基本法二0条二項にいう国家権力であ
V
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J
k
) に幽来しな
り 基本訟の民主制の原理に合致して、その権力は人民 (
吋オ,,<ならないことになる。
しかし、臣家の機闘が国家権力を千刊をする絡合、すべての機闘が人民による
自主按の選挙で選ばれねばならないわけではない。この点について連邦憲法事批判
所は
「箇家および地方自治体の行政の機関および職務担当者は
国家権力を
行使するために、民主的な正当性の承認すなわち国家の市民金体
人民
(
V
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l
k
) ーーに由来する正当性の承複を必要とする。しかしこの正当性の承
躍は
原則として必ずしも人民による直擦の遺拳を通じて達成されねばならな
いわけではない。
通常の場合には、人民からはじま旬、これによって遷出
される代表を経由して、国家句任務を委託された機関および犠務超当者にまで
至る切れ目のない正当性の連鎖によって作られる間接的な正当性の関係で十分
なのである。」と述べている。
また、ドイツでは外国人住民の意見を行政に反映させるため、地方自治体に
外国人問題に関する審強会ないし調整会畿を設置し、これらの機関に外園人を
多加させるなどの試みカ吋?われてきた。このような制度について連邦憲法裁
。
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あるといわれる。
外国人自身もくこのような制度には懐疑的で
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凶
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神戸法が年銀鱗 7
判所は、「単なる輩倒的な活動および純粋に助言的な活動は 原則として民主
的会正当性を必要とする行為の範聞から除外される。したがって審議会または
その他の共同決定権限をもたずに助冒的な任務を行う専門家委員会の言動は、
その限りで人民に由来するものである必要はない」としている。民主的な正当
性を必要左する行為のメルクマ
ルとして連邦憲法裁判所は、その行為が「決
定の性格 (
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d皿 尉c
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)J を有するカ否かという点を挙げている。
「決定の性絡を有するすべての公の行為は、民主的な正当性を必要左する国家
権力切行使であると考えられる。決定は臣家の支配を操作するものであり、し
たがって人民に由来するものでなければならない。このことは、直接外部に影
響を及ぽす決定についても、他の行政担当者によって媒介されねばならない決
定についても、その行政担当者が媒介することを法的に義務づけられている限
りは、同様に妥当する。また、共同決定権限の行使も決定の性格を有するし、
行政担当者がその決定権限を行使するときに他の者の提案に基づくべきことが
法的な条件になっている場合には
側
この提案権限の行使もこれに含まれる。」
そして連邦憲法裁判所は、ハンブルク区援会の権限を詳細に検討して、区機
会の活動も民主的な正当性を必要とする回家権力の符使に該当し、しかも州機
会および州政府を経由する間接的なE 当性も成立しないものと判断した。『区
議会は、他の機関による国家権力の行使に準備的にのみ閣与するような、単な
る審戴会ではない。区行政法は区識会に対して少なからぬ極めて重大な決定権
限を付与しており、かかる決定権限切行使に際して区議会は周家権力を行使す
るのである」。区行政法によれば
定の場合に州政府が区議会の決定に介入
する権限を認めている。しかし連邦憲法裁判所は、『区議会の数多くの任務を
考えれほ州政府がその介入権を行使することによって区機会という行政単位
における活動に及ぼすことのできるコントロールは、区銭会の蛾決活動がもは
側 BVerfGE&3,
60(72f.~
外国人の遍障権をめぐる憲桧上の面白点について
Ug
や独自の意義を有しないと言えるほど持続的なものではない」としている。
③結論
したがって結局ハンプルク区会議は
その権カの正当性を住民による選挙を
通じて直接に獲得しているものと考えざるを得ない。『区会犠の概成員は国家
権力を行吏するのであるから、州の立法者は十分な民主的正当性を確保しなけ
ればならない。区行歌法および外国人選挙権陰によれば、区議会の構成員はか
かる正当性を人民の選挙を通じて直接に獲得する。しかし、基本法の意ヨ昧にお
ける民主制の原理が筒たされるのは選挙が地域的に限定された国民の郁分の
意思だけを反映している場合、すなわちそれぞれわ区に住んでいるドイツ人に
よって行われている場合に限られる。外画人も選挙権を有している選挙は、民
主的な正当性を調途することができない。したがって
区議会の選挙権を外国
人に付与するととは進憲である」
5 外国人の渥単権をめぐる憲法上の請書省点
最後に、これまでのドイツにおける学説と今回の逮邦憲法裁判所判決にあら
われた憲法ょの論点の展開が、日本国憲法の解釈輸にとってい治、なる意義を有
するかを検討してみよう。外国人の選挙権の問題に含まれている線々な論粛の
うち、学説および連邦憲法裁判所判決において最も重大な争点となったのは、
「すべての国民権力は人民 (
V
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k
) に由来する」という国民主権原理と、地
方自治体句権力句性絡であった。
(
1
) 国民主績原理と併圃人の選挙権
国民主権原理は
「圏民」への帰属のメルクマ
ルを当2
衆国家の国籍に見出
すことによって、外国人を臣家の意思形成へ¢参加から排除する論拠ときれて
神 戸 権 学 年 報 第 7号(HI91
)
間
ぃ宮のと同時に
この原理カ宮社会の下層階級に対する抑圧を打破し、判る
旬)
階級を国家権力の行使に取町込むこ左を志向していたという思想的起原
よび国民主権原理の成立比来、
お
貧して選挙権者の範囲が紙大されてきたとい
う歴史的経曜を強調することによって、むしろ外国人を積極的に国政へ参加
させるべきことを主張する根拠ともなっている。
国民主権原理と、「住民のうちカなりの割合の部分(外国語の住民)が民主
陥則
的な諸権有利jを金〈認められていないという状懇』左の聞の緊張関係は、酉民
主権の意i
味を「支配者と被支配者
~
性(Identiutl
J
続袷者と被統治者命令者と服従者の同一
と理解する場合にもヮとも頚著に感じられる。国内に長期に
わたって定住している外国人は、当該国家の支配統治
命令に服従せざるを
えない立焔にあるにもかかわらず、いかなる意味でも国家の支配者 統治者。
命令者たる権利を否定されているのが現実だからである。もっとも、ドイツに
おける遁鋭的理解によれば、この「統治者と後続治者との同一也という
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tcr;定式は現代の政治的支配の現実に合致したものではないとして批
判されてい宮。すなわち
国家形態としての民主制は
画家の統治を行うた
めの常設の組織を必要 Eするのであって、被統治者である人民が芭接にすべて
の続治を行うことは現実にはあり得ないというのである。そこで基本法におけ
る民主刷の意味は、主として人民を国家権力の究極的な担い手とする原理 す
なわち国家の組織の正当性の根拠を人民に求める原理として理解されている
(国民主権の正当性的契機)。しかし通説的な見解も、これと並んで、人民が
附
町
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外画人の遺書評J
権をめ,る憲法上の詰点について
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、的な要素であることを寵めてい
国家意思の.成に参加することも民主制の中川L
る。憲法制定権力の行使およぴ直接の人民投票のほかにも
人民はさまざまな
周家機闘を選出することによって、みずから国家権力の行使に影響を与える。
このような、国家権力の行使における人民の参加と自己決定も、民主的な統治
といえるための決定的なメルクマールであるとされている(園田主権の権力的
捌}
契機)。民主制の基本的な要素として、統治の客体である人民の「自己決定』
という契機を認めるかぎ旬、かカる原理と圏内に統治の客体でありながら自己
決定の権利を否定された定住外国人が多数存在するという事実との閣の矛盾は
少しも解消されない。
そこで
国民主権原理を恨拠左して外国人を選挙への参加から緋除しようと
する論者は、民主制原理の採択と、稚が人民に帰属するかの決定基輩すなわち
働
固籍の取得基輩とが歴史的に密殺に錯ぴついていたことを強調する。すなわ
ち、大陸ヨーロッパにおける最初の民主的憲法 k される 1791年のフランス憲法
は、主権が恩民"副 0
) に属するという宣言(第 3篇第 1条)にさきだって、
出生または帰化による「フランス市民』の地位の取得(第 2篇第 2-'条
)
、
およぴ外園への帰化または刑罰等によるその喪失(第 Z篇第 6条)とし、った、
{附
国籍規定の基本的郎分を憲法自体においてかなり詳細に定めていた。もっと
もこの憲法は、園民を抽象的
観念的な「国籍保持者 F 集合体』と規定する、
いわゆる「ナシオン主権」に依拠するものであって、国籍を有するフランス市
民をさらに納税績を基準にして能動的市民と受動的市民とに区分し、前者だけ
側
に選挙権を認めるといっ、制限選挙を採用していた。しかしながら、フラン
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岡山本構三「一七九ー年の憲"'→日完」同志社法学~号'"頁、"号 n頁。
同 .ro,年フラ J ス憲法の制定過程およびその高島本修造については、杉原理唇披'園民主
権侭研究J (
1971) 203買以下多R払これに対して徒会契約に参加する市民全体によ
る主権の行使を志向する いわゆる「テプル主権〕を導入したといわれる 1198年の
プランス憲法では測幻歳以上の男子による普通遊詩喜劇度を採用する tI
ともに
定
の要件を調たす外圃人にも 逮挙権を含むフランス市民の権利の行使折認められてい
1
9
8
9
)2
1
o頁以下。
たこと拡注目に値する a 辻村みよ子'フランヌ掌命の憲法原理J (
m
神戸法学年報第 7号(臼,,'
スの面衝を有することが選挙権の基本的な必要条件であったととは確かであ
る。このようなフランス憲法川影響を受けて、 1
8
1
8
年以降に制定されたドイツ
諸邦の憲法も、国家の市民の符権利治噌色に帰属するかを憲法自体において定め
似
ていた。したがって、現在のポン基本法の定める民主制原理も
このような
歴史酌系譜にそって理解されなければならない。基本格の民主制原理は、「周
鵬
家権力を行使する人民 (
V
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k
) とは誰なのか」を定める規定をそれ自体の中
に含んでいるはずだというのである。
今回の連邦憲法裁執所判決は
このような人民の構成員を定める規定を基本
法1
1
6
条 l項に求めた。 rこの基本法にいうドイツ人とは法律に別段の規定が
ない限,、ドイツの園絡を宥する者
または、ドイツ民族に属する引編者また
は難民として、もし〈はその配偶者または卑屍として、 1
9
3
1年 1
2月3
1日現在の
ドイツ国の領域に受け入れられていた者をいっ。」すなわち基本法 2
0条 2項に
いヲ国家権力の源泉である「人民 (
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)j とは
前文にいう基本法の制定の
主体である「ドイツの人民 (
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条 1項にいう『ドイツ人(Deu
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)Jに等しいというのである。したがっ
て、園内に多数の外国人が定住することによって民主制原裡と人民の範囲を定
める規定左の商に緊張関係が生じているとしても、それは憲法の規定自体に由
来するものであって、そのために外国人に法律によって選挙権を与えることを
許す根拠にはならないことになる。
しかしながら、この論理は日本国憲法の解釈にそのまま応用できるものであ
ろうか。日本国憲法は前文および第条において『主権が固民に存する」こ
とを室冒し、第 1
5条は公務員句選定罷免権が「国民凶有の権利J であることを
定めている。しかしこの『園民」に誰が含まれるかを定める想定は憲法自体の
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外図人の遺書権をめぐる憲法上の蛤点仁ついて
中には含まれていない。むしろ第 10条は、「日本国民たる要件は
'"
法律でこれ
を定めるJ として、主権者たる回民へ c
婦腐の決定をすぺて法律に委ねている。
したがって、囲内に多数の外国人が定住することによって、国家権力の客体で
あるにもかかわらずその行使に参加できない者が存在しているという事実と、
閏民主権原理における自己決定の契機との問の緊張河関係は日本国憲法の場合、
憲法の規定¢内部にはではなく、憲法の規定と法律の規定との聞に生じている
ことになる。もちろん、回本国管詑制定当時において
すでに新たに制定きれ
るぺき国籍法の基本原反『が念頭におかれ、それが昭和25
与の現行国籍法に結実
し、それを受けて公職選挙法治唖挙権者の健闘を国籍の保持者に限定したこと
は疑いない。しかしながら、憲法刊の定める回民主権原理と法律の定める日本臣
民たる要件との聞に現実に矛盾が生じているとすれば、それが憲法の国民主権
原理の方の犠牲において解決されねばならないはずはない。むしろ選挙権の保
持者の範囲を定める法律の規定の方が疑われねばならないことは当然である。
ドイツ基本法の場合のように
この而者¢矛盾が憲法規定¢内部に生じている
場合でも、その矛盾が極端になれば、「憲法の変遷 (v
町 b盟 E
暗 s
waude!)J が
側
生ずることを示唆する昆解すら存在する。憲法の変遷によって明文の憲法規
定の意味が変化することを認める治省か、またそれを認めるための要件につい
側
ては、ドイツの学説においても議論が多く、また現在のドイツにおける外国
人¢定住の状況が憲法の変還を慰めるに足るほどのものであるかは疑わしい。
しかし憲法原理と法律の規定との問に矛盾が生じている岡本国憲法下の状況に
おいては 国民主権の憲法原理の方はいささかも損なわれてはならないと考え
るぺきではなかろうか。少なくとも、日本国憲法の国民主権原理は
この緊張
関係を法律句改正によって解消する方法、すなわち法律の規定によって圏内に
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在住する外国人に選挙維を認めることを妨げるものではない左恩われる。
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) 国政選挙と地方自治体選挙
現在のところドイツにおいては 外国人の選挙権はもっぱら地方自治体レベ
ルの謀躍として論じられている。地方自治体の権力の本質については、「固有
権説』、「伝来説(あるいは"'''説)~、および『伽j限定的保障脱』という三様の説
側
明がなされている。「厨有権説」は、フランス革命英語の「地方権(戸山町
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あるいは自然修理論の影響をうけ、地方自治体広行使す
る権力は自治体こ固有のものであると主張する。ドイツでは特に
19世紀始め
附
の Steinによるプロイセ J 都市法以来 市町村の自治が国家の支配から切り犠
され
1848年のフランクフルト憲法では他方自治が国家に対抗する市町村の基
制
本権として把握されたという歴史的経鳴が、根縫主して挙げられている。こ
れに対して「伝来説」は、上のような歴史的経緯にもかかわらず、近代の立憲
主義的統一因家の成立以後においては、地方自治体は国家の統治機構の中に取
り込まれ内そ句構造の一都になったと主張する。したがって地方自治体の行使
する権力は地方自治体に闘有のものではなく
国家の法律によョて琵められ
た国家治ら伝来する権力であるとする,制度的保障鋭』も、地方自治体の権
カが園家から伝来するものであることは包めるが地方宮治体という制度使保
障が愈法に定められていることによって、国家の法律による地方自治体権力の
制限には限界があり、地方自治という制度の本質的部分を侵害することはでき
岡地方自治の本質については多〈の文献があるがさしあたり山下健次寸嚇武哨
治体憲法J (
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外国人のM毒自権をめぐる憲法上の論点について
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ない左主張している。ドイツでは判例および通説がこの立場をと
地方自治体における選挙権と固家の圃籍とを切り離す考え方は
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第の『園
有権説」にもっともよくなじむものであることは震うまでもない。すなわち地
方自治体の圏省の権力と
力の説家
治体民
周家権力とは本来別のものであるのだから、圃家権
主体である「国民」と地方自治体固有の権力の源泉
主体である「自
,tが同ーである必然性はない。したがって酉家権カの主体を定める国
民主権原理は圏家の国籍を持たない外国人を地方自給体権力の主体である「自
治体民」に含めることをなんら妨げるものではないということになる。
方
位倒
Breerは、前述のように遇税と同じく地方自治体の権力が国家カら伝乎するこ
と すなわち地方自治体が固家権カを行使するものであるこ左を認めながら、
,~二五の正当性」の論理を用いて
外国人の地方自治体選挙権が固民主権原理
。悶}
と矛盾しないことを論証しようとした。しかし今回の逮邦憲法脚肺判決は、
まず第
四
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に基本准2
氾条 1哀の文言を根拠としてこの考え方をしりぞけた。 r
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における憲法的秩序は、この基本法の意味における共和制的、民土的およびq
士
会的な法治国家の諸原、則に合致していなければならない。州、郡およぴ市町村
においては、人民 (Volk) は 普 通 産 畿 自 由 平 等 お よ び 秘 密 の 還 挙 仁 基
づいてつくられる代表機関を有しなければならない。」この条項の第二文は、州、
郡、市町村の主者について
その選挙権の主体として共通の人民 (Volk) と
いう概念を周いている。このうち州 (Land) は、いかなる意味においても地
方自治体ではなく、園有の主権を有する画家としての性格をもっとされる。独
自の主権を有する多くの国家が、それぞれの主権の一部を中央政府に委ねるこ
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11.前述'"買以下参照。
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神戸法学年報館 7号(19
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とによって連邦 (Bund) が構成きれるのである。し犬がって、州の権限の源
泉である人民と地方自治体の権肢の源泉である人民とが、
つの言葉で表現き
れているとの規定は、地方自治体の選挙権を臣家の国籍の保持者に限定する有
力な論者患となっているのである a
この論理が日本周憲法の解釈論にそのまま適用できないことは明らカであ
3条において地方公共団体の長議員等は「その地方公
る 。 臼 本 国 憲 法 は 第9
共団体の住民が、自緩これを選挙する」と定めてお旬、国家の主権者である『国
剛
民』とははっきり区別しうる文言を用いているからである。もっとも、だか
らといってこの揖定の文言から置ちに地方自治体釘住民である外園人には憲法
上当然に地方自治体の選挙権が保障されているという結論が導治れるわけでは
ない。地方自治体の選挙権の主体である「住民」カ守能を意味するかという問題
は 国家の主権者である「困民』カ守色を意味するかという問題と両様に
日本
国憲法全体の趣旨から適切に解釈されなければならない。しかしながら
画家
の主権者である「国民」とは誰かという問題の解釈の場合には、その文言から
当然まず当該画家の園籍を有する者が宰起きれ
そのような解釈が憲法の園民
主権原理と矛盾しないか否かを検討するという解釈手法が取られるのに対し
て、地方自治体の権力の源泉である「住民」の場合には、逆にその文言から国
籍にかカわらず当言葉地芳自治体に在住するものがまず想起きれ
その申から当
骸国家の園籍を持たない者を排除することが憲法の原理によって正当化される
か否かを検討するという順序がとられなければならない。そして上述のように、
日本国憲法の園民主権原理が「国民」の範囲を限定する規定をそれ自体の中に
含んでいない以上、少なくとも周民主権原理を根拠として「住民」の中から目
住民J の文理解釈から出
附長尾、前掲首脳";外国人の人権」も 日本圃懇話色鉛粂の r
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rの「二重の正当怪〕理論に依拠して 地方議会選挙において「外国人に
発し、 B
選挙権を認めることについては 憲法上特捗の障害は存在しないものと息われる」と
いう結誼に返している a
外国人の選挙権をめぐる憲法上の省点について
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本の菌絡を有しない者を排除する解釈が成立するとは思われない。しかも、憲
法の規定を根拠として『住民」の中から外国人を緋除することが正当化され得
ないとすれば、その繕酋は、日本国憲法は法律によって外国人に地方自治体の
選挙権を認めることを許容している、ということにはとどまらない。日本国憲
法自体が「住民」に地方自治体の選挙権を保障している以上、この保',"は当然
外国籍¢住民にもおよぶという結歯になるはずでおる。したがって、少なく左
も地方自拾体に関するかぎり、外国籍の住民の選挙権は憲法自体によって要求
されているということになろう。
むすびにかえて
ドイツにおける外閏人住民の法的地位の問題は
補うために
ドイツ酉内切労働力不足を
近隣誇置から大量の外国人労働者を募集したという歴史的事実の
U州
通産である。外因人労働者の導入という政策の当杏はともかくとして、戦後
の『奇跡」といわれるドイツの経務復興は多くの外国人労働者の貢献によると
ころが大きいことはまちがいない。このようにしてドイツにやヮて来た外国人
およぴその子孫に対して
ドイツ政府の政策は 常にドイツの社会への外国人
の『統合 (Integra 出血)~を目指すことをスロ
ガ〆にして進められてきたゆ
この「統合」という概念が何を意味するかドついてはかなりの争いがあるが
般には「同じ (A
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).Jという概念に対立するものと考えられている。
すなわち『同化」が滞在国の祉会に埋没して、自分たち本来の生訴条件を放棄
して滞在園のそれを受け入れることを郵味するのに対して、「統合」とは外園
人が自分たちの文化的な独自性を維持し、したがって場合によっては帰国する
可能性をも留保しつつ、ドイツ人と同等6
己資格でドイツの社会生活に参加する
側前述'"頁以下参照
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神戸法学年報第 7号 (
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間
ことを意味するときれ宮ぷ際のドイア政府の政策が、このよう会外国人の「続
令」を果たしてどこまで実現できたかはともかくとして、ドイツにおける現在
の外園人の法的地位は、良くも悪くも過去の外国人労働者導入政策の結果に対
する賓任を
外国人のドイツ社会への『統合」によって果たそうとするドイツ
の苦闘の結果である。
日本における外国人労働者の事入は
いまだその是非が議論されている段階
である。しかしながら、 E本にはドイツの場合とはまったく異なった
ドイツ
のそれよりもはるかに盆大な「歴史的事実の遺産」が存在する。いうまでもな
く、在目朝鮮人
台湾人といヲた旧植民地出身の人々およびその子孫の問題で
明
ある。これらの人々は、治つての日本の植民地主義的侵略の結果として
自
らの意思にかかわりなく一方的に『大日本帝回臣民』とされ、戦後は再ぴ自ら
の意思にかかわりなく r
外国人」とされてしまった。この問、一方では日本政
府の植民地主義的収奪によって祖国の農村経済が被壊されたこ左により、他方
では日本の資本主義経済の発展による労働力需要、および戦時の国家総動員体
州
側め一環としての強制連行によって、これらの人々は日本にやってきた。ま
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:参加すらしないサ
た戦後における日本国籍の制奪は、旧植民地の住民が交 i
〆フランシスコ対目平和条約左、それに茶づく法務府の通達によって行われ
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日本の敗戦によってその支配から解放された祖国の経演は、植民地支配
の後遺症に普しみ
こ引き続く内戦に、台
しかも靭憎半島は南北の分断とそれt
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目朝鮮人の法的地位に関する 考郷""法学崎会雑誌00巻 3 号'266頁、~,頁以下。
外国人抗選準梅をめぐる憲法上の檎点について
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湾は国共内戦の末に中周共産党が大陸全土を支配したことによる閏民党努力の
台湾への大量流入6
こともなう混乱に見舞われたのである。すでに長年にわたっ
て生活の基盤を築いた日本の地をすてて帰国することは、極めて困難な遭択で
あったにちがいなし"いわばこれらの人々の日本への入国および定住は、過去
の日本国家使庁為の直緩句帰結であったのであり、したがって日本箇家はこれ
らの人々の生存に対して責任を負う立場にあると考えられる。
ドイツも、かつてはオーストリアを併合し、その住民を強制的にドイツ国民
とした経験を持っている。しかし!日西ドイツの政府は、ドイツの支配から独立
した地域の出身者の圃繕について、日本に比べてはるかに合理的な方法で処理
四
したため
日本のような深刻な問題は残っていない。したがって、本稿で行っ
たドイツにおける学説判例匂検討は
目本における旧植民地出身者め法的地
位の問題に対して直接に示唆を与えるものではない。しかしながら、憲法の定
める国民主権原躍と、選弁泊の客体でありながら民主的な政治参加から排除され
た多〈の人々が圏内に存在しているという事実左の矛盾は、日本においては旧
植民地出身の在日外国人の存在を考えた場合に最も強く実感される。この人々
に対して統治の客体左して当然の『自己決定」の権利を認めることは、目本が
その歴史的事実の遺産に正面から取り組むことであるに左どまらず、同本の民
主制の健全性を確保するためにも避けて通ることのできない課題だといえるの
ではなかろうか。
鱒
。 19,年 5月'"の第二夢園繕問題規制法は、緒果的に個人の意思表示による圃籍問
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IS.431)大福保昭「在日朝鮮人の法的地位に関する 考察 (31~ 法学
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巻 8号 m 頁、幻S頁以下。
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