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ボルド一地方に寒波の襲撃

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ボルド一地方に寒波の襲撃
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ボルド一地方に寒波の襲撃
村松成二
土曜から日曜にかけて 4C 月02 ・12 日)、凍てつく寒波がフランス全土を襲い、気温は突
如氷点下になり夜間には -4 C から -7 C にまで達した。寒波による遅霜は多くの地方の葡
萄畑(以下:畑、とする)において、芽を凍らせ、葉を枯らし、大きな被害をもたらし
た。この急激な冬の戻りは今年の収穫に重大な影響をもたらすだろう。このことは,フラ
ンスからのワインを大量に輸入しているわが国にとっても気になる事態である.そこで,
フランスの地方紙 SUD-OUEST
04/23/
及び,全国紙 LE FIGARO
04/26/
に報じ
られた寒波による被害状況を抜粋し以下に紹介する.
0
0
【Bordeaux
】:ボルドー
ボルド一地方は最も大きな被害を受けており、この寒波は南萄栽培者(以下栽培者、
とする)にとって、残念ながら"歴史的な年"として記憶に残るであろう。一時期の温暖
な天候の後に襲ってきた全く冬のような寒さのために、難を逃れた地区は稀であった。特
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種とソーヴィニヨン・プラン CSauvigno
にすでに良く発芽していたメルロ )
種の被害は深刻である。今回の遅霜は通常の湿地の畑を襲うものとは異なり、い
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たるところを痛めつけたのである。昔を知る者はこの被害状況を5491 年の例と比較するで
あろう。この年は、 5 月の初めに雪が降り気温は -5 0 C まで下がり、収穫量は減少したが
ワインの質は例外的にすばらしいものとなった。栽培者は今後数週間温暖な日々が長続き
するような天候の回復によって、葡萄の木(以下:葡萄とする)が再発芽することを期待
しているが、収穫量の大幅な減少は避けられないであろう。ジロンド県(県庁所在地:ボ
ルドー)では全体で昨年の収穫量06 万1k に対し今年はその半分の03 万1k にまで減少する
と予想され、これを瓶に直すと約4億本分の減産を覚悟しなければならないだろう。
最も深刻な被害を受けた地区はソーテルヌ (
)
senrtuaS
、グラーブ C
Graves)
、リブ
ルヌ C
Libourne)
であり、約 90% の畑が痛めつけられた。リブルヌ地区のサンテミリオ
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の有名な畑やポムロール CPomeroD
ではその被害は 10% にまで
達している。
(
)
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ソーテルヌ
無傷であるのはシャトーディケム Chateu
d'Yquem)
の畑の上部の一部分だけで、
アペラシオン地域の 95% の畑が被害にかかわっておりいくつかの区画では損害は 10% に
達している。この地域の収穫量は元々少量であるため、このような年は一層厳しく感じ
る。今年の収穫量が昨年の 10-20%
しか示すことが出来ないこともあり得る。
(
(
sevarG
、Pesac)
nagoeL)
グラーブ、ペサック・レオニャン
グラーブ地区では森の近くにある畑だけが難を逃れることができたが、その他の畑では
被害は 10% に達し、特に生長が進んでいたメルロ種は一番被害が大きく、今年の収穫量
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は少量になるであろう。
ベサック・レオニャン地区でも寒さは容赦なく畑を襲い、気温は -7.5 C を記録した。
メルロ種は凍傷にあい、カベルネソーヴィニョン種 (Cabernet-Sauvignon)
の膨らみ
かけた芽は黒く焦げついたようになっている。この地区での発芽は通常よりも早い年より
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もさらに一週間近く早かったため、このことが悲劇的な結果をもたらした。
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アントル・ドゥー・メール
葡萄はよく芽ぶいていただけに -5--7 C の寒さによってソーヴィニョン・プラン種と
Semilon)
種はいずれも焼きついたようになっている。
セミヨン (
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リブ jレ
ヌ (SaintEmilon
,PomeroD
サンテミリオンでは、通常ならば春の遅霜からは逃れるはずの一番高台にある区画でさ
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0-10%
の割合でメルロ種は焼きついている。ここ数年、非常に良好な状態が続い
た後だけにしっぺ返しのように思えてならない。今年は一時期の天候が良すぎてすでに発
育が進んでいた葡萄は回復できないだろうと推測される。
ポムロールでは、土曜の32 時にはすでに凍りついており日曜の早朝には -4 0 C に下がっ
た
。 1991 年産のワインは全く存在しないのではなし、かと疑う者さえいる。
シャトー・ペトリュス (Chateau
Petrus)
では石油こんろで畑を温め、さらにヘリコプ
ターを畑の上空に一晩中飛行させて温まった空気を地面の方に押し戻すという手段を用い
たが、畑に一部分はやはり被害をうけた。
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メドック
南北 80km~ こ広がる広大なメドックの畑は比較的格差のある被害報告をしている。ある
畑では寒波に 1
0%
襲われたのに対し、川辺にある他の畑は事実上無傷のままであった。
ジロンド河の近くに位置する平地では川が空気を循環させる役目を果たすという有利な気
候条件の恩恵をうけたため被害は少ない。さらにこの“微細気候"は小区画ごとにその多
様性を披露しており、ある畑では若い葡萄が古いものよりよく耐えたが他のところではそ
の逆であたつりしている。
偉大な畑が多く存在するジロンド河に面するアペラシオン地域がこの災難から生き
残ったのはいささか不公平というか、自然の気まぐれとも言えよう。特にサンテステフ
(SaintEsteph)
、ポイヤック (
)
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からサンジュリアン (
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一
)
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の
と、いわゆる「シャトー街道」を旅する者はこのメ
問、そしてマルゴー (Margaux)
ドック地区が他のジロンド県の畑よりも難を逃れていることがはっきりと分かるであろ
う。しかしこの印象は全くそうであるとは言い切れない。川から遠ざかり内陸部に入った
途端、畑は黒く焦げついたようになっている。ここでもやはり5491 年以来見たことのない
被害であると、昔を知る人は語る。この遅霜の特徴は不意の寒気団が無風状態であったと
きに襲ったという見方をしている。
今回の寒波の攻撃に対し、ボルドーのシャトーでは被害を最小限に食い止めるために
出費を覚悟して畑を温めた。しかし被害のパーセンテージは予想以上で、被害の深刻な
シャトーはシュヴァル・プラン (Cheval
B
lanc :Saint-Emilion
、オープリヨン (Haut
、イケム (Yquem
:Sauterns)
などである。
-Brion
:Graves)
- 119-
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.2 .
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oN2
(
19 1
)
【Sud-Ouest
】:西南地方
ドルドーニュ県ではベルジュラック CBergac)
の畑が 10% 、ベシャルマン CPecharmant)
、モンパズィヤック CMonbazilc)
、モンラヴェル CMontrave
l)、ロゼット
tesoRC
e)、さらにロット・エ・ガロンヌ県のコート・ド・ヴュゼ setoC
de Buzet)
、
コート・ド・デュラス Cotes
de Duras)
などのアペラシオン地域でも 80% の畑が被害
を記録した。
【Cognac
、Armagnac]
コニャック、アルマニャック
今後天候が安定すれば葡萄がどの程度まで回復するか、今はまだわからないので厳密な
被害報告を示すことができないが、コニャック地方では大西洋にある 2つの島の畑以外は
全て霜に覆われ、専門家は収穫は半減するという見方をしている。一方アルマニャックの
畑は 60-80%
がこの霜の被害をうけた。
【Bourgogne
】:ブルゴーニュ
ブルゴーニュ地方は比較的にその被害から逃れたように思われたが月曜 2C 日)の朝に
30 Cの新たな寒波に襲われた。コート・ドール県では丘の低い所にある畑が被害をう
け、有名なクリュ、ボーヌ・ロマネ CVosneRomanee)
でも被害をうけた恐れがあ
る
。
ボージョレ )
sialojueBC
では北風にさらされる斜面で特に被害が大きかったが、
ボージョレ・ヴィラージュとクリュ・ボージョレの地区では比較的被害から逃れることが
と格差が激しい。
できた。その他の地区の被害状況は 15-85%
【C
otes
du Rhone
】:コート・デ、ュ・ローヌ
この地方の谷間にある畑は元来こうした被害をうける危険性がありクローズ・エルミ
タージュ CrozesHemitage)
の損害は 50% 近くに達した。また深刻なのはサンジョゼ
フ CSaint-Joseph)
の平地に植えられている葡萄である。
さらに南の地区ではミストラル(南仏の突風)がプロテクターの役割を果たしたため、
心配されるような被害はみられない。
【Provence
】:プロヴァンス
コートドプロヴァンスにおいても葡萄は厳しい苦難にさらされこの地区としては非常に
稀な霜の害を 75-85%
の畑が経験したことになる。
-021
一
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