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研究トピックス
静岡県畜産技術研究所 静岡県中小家畜研究センター 研 究 ト ピ ッ ク ス 平成 28 年 6 月 研究トピックス目次 今までに得られた研究成果、現在進行中の途中成果をトピックスでご紹介します。 その他にも、様々な研究を実施しています。新しい成果はタイムリーにお知らせしていきます。 ページ 担当 区分 2 本所 完了 メスを産ませる性選別精液の効率利用 3 本所 完了 娘牛の乳頭を感染性イボから守る 4 本所 完了 ドライエイジング牛肉の秘密解明! 5 本所 中間 マネジメントシステム導入は儲かる酪農経営につながるか? 6 本所 中間 原因の見極めで乳房炎は安く治る! 7 本所 中間 あと 10 年、長く牛を飼うために必要なこと 8 本所 中間 畑の土を失わない良い方法はある? 9 中小 完了 おいしい「フジキンカ」を安定生産 10 中小 完了 おいしい小軍鶏(コシャモ)を安定的にお届けするために 11 中小 完了 医療産業への貢献をめざす MMP の長期安定化 12 中小 中間 豚肉のおいしさを”見える化”します 13 中小 中間 県産銘柄豚肉生産を支える資源の維持 14 中小 中間 アナモックスは排水処理に革命をおこす? ◎ タイトル 詳細は、各担当科、または本所 広報担当:柴田 0544-52-0146 にお問い合せ下さい。 -1- 広報担当:片山、中小 0537-35-2291 メスを産ませる性選別精液の効率利用 研究課題名 性選別精液を用いた体内胚生産法の確立 (研究期間:平成 25 年度~27 年度) 〔研究のねらい〕 ・ メス牛だけ生産可能とする市販の乳牛用性選別精液は受精率が低く、それから生産す る受精卵の正常率も低い。 ・ その原因となっている低精子活力の改善技術や低受精率を補完する授精手法を開発す る。 〔研究の成果〕 ・ 他 の 動 物 種 で 精 子 活 力 向 上 効 果 が あ る "リ ラ キ シ ン (ペ プ チ ド ホ ル モ ン )"を 性 選 別 精 液 に添加すると濃度比例的に活力向上した。 ・ リラキシン添加の性選別精液では、受胎率・正常受精卵率のいずれも向上した。 ・ 受精しやすい子宮深部精液注入器は、従来型子宮浅部注入器よりも精子活力に影響す る温度変化が大きいことが分かった。 ・ そこで、保温方法を考案し、子宮深部注入+リラキシン添加の併用で高受精率・高正 常卵率を達成した。 ・ 保温型子宮深部注入法は、生産現場応用されている。 ↓牛腰部縦断面・黄が子宮 ステップ式(浅部注入、従来法) カテーテル式(深部注入) リラキシン添加による正常卵率向上効果 (酪農科 TEL : 0544-52-0146 注入器の外観と子宮内精液注入位置 e-mail : [email protected]) -2- 娘牛の乳頭を感染性イボから守る 研究課題名 放牧牛における牛乳頭腫総合的防除システムの検討 (研究期間:平成 25 年度~27 年度) 〔研究のねらい〕 ・放牧牛は、吸血昆虫によって感染するウイルス性イボの被害を受けやすい。 ・乳頭に多量のイボができると搾乳に影響するため、効果的な予防法・治療法が必要。 ・ただし、各処置のたびの放牧牛捕獲は大変なため、省力的手法開発が必須。 〔研究の成果〕 ・当所開発の遺伝子型別法で、難治性の BPV(牛パピローマウイルス)の県内浸潤を初確認。 ・当所考案の吸血昆虫忌避剤混合流動パラフィンの乳房塗布で発症が低減した。 ・ 当所開発新規治療液(木酢酸・酢酸・ヨード剤混合液)の塗布は、従来法よりも有効。 (使用に当たっては獣医師の指示を受けて下さい。また、搾乳中の牛への使用は避けて下 さい。) ・治癒は、感染細胞の角化による脱落促進が要因と確認。 ・開発技術は、県内放牧場で採用されている。 乳頭に発生し た乳頭腫 イボがひどいと搾乳に問題発生! (酪農科 TEL : 0544-52-0146 つかまえた放牧牛の乳頭に 数回塗布すれば治癒! e-mail : [email protected] ) -3- ドライエイジング牛肉の秘密解明 ! 研究課題名 ドライエイジングによる牛肉熟成技術に関する研究 (研究期間:平成 25 年度~27 年度) 〔研究のねらい〕 ・独特な風味で近年急速に市場が拡大する熟成牛肉だが、不明点が多い伝統的生産手法の ため、生産振興のためには技術解析が必要。 ・熟成効果を低下させずに、製造過程の熟成ロスを軽減する技術開発が必要。 〔研究の成果〕 ・ドライエイジング(=通気熟成)では、熟成期間が長いと熟成効果向上と同時に水分低下と 表面劣化による損失増大が起きる。 ・一般的な 42 日熟成よりも 35 日が経済的である。 ・ 35 日通気熟成後に 7 日間密封熟成すると、42 日通気熟成と同等の熟成効果がありなが ら熟成ロスは 1 割減少。 ・交雑種牛バラ肉は、乳用・交雑牛もも肉のような熟成効果は得られない。 ・ドライエイジング関連の学術データ少ないため、多くの専門誌で当所のデータが使われ ている。 65% a a-b:p<0.05 熟成ロス 60% b 55% 50% 対照区 併用区 ドライエイジング牛肉表面の微生物集落 真空パック併用による熟成ロス低減 (肉牛科 TEL : 0544-52-0146 e-mail : [email protected] ) -4- マネジメントシステム導入は 儲かる酪農経営につながるか? 研究課題名 ISO22000 マネジメントシステムを応用した酪農場における生産性低下要 因の分析と改善手法の確立 (研究期間:平成 26 年度~28 年度) 〔研究のねらい〕 ・ 酪農の生産性低下は、乳房炎や消化器疾患等の生産病の影響が大きい。 ・ ISO22000 システムの考え方を応用した総合マネジメントシステム(以下、MS)導入によ る改善効果を検証する。 〔研究の中間成果〕 ・ 経営資源 4 要素から生産病を分析し、目標設定して改善する MS 手法と経営者の経験 則による従来法を目標達成率で比較。 ・ 多様原因の生産病=乳房炎は、MS 手法の適用全例で目標を達成。費用便益効果(50 頭 規模換算)も約 52 万円向上。一方、従来法は約 6 万円の減益。 ・ 消化器疾患は従来法でも目標達成されることもあったが、複雑原因では未達。 ・ 今後、調査事例を増やし、生産現場で活用可能なマニュアルを作成する。 乳房炎に対する ISO マネジメント効果の比較 表1 乳房炎対策 目標達成率 生産性向上効果 費用便益効果 (平均) (平均) 対策手法 例数 マネジメント手法 3 100%(3/3) 780,667円 522,633円 従来手法 2 0%(0/2) 210,000円 -62,500円 隅々まで管理が行届いた MS 導入牧場 (酪農科 TEL : 0544-52-0146 E-mail : [email protected] ) -5- 原因の見極めで乳房炎は安く治る ! 研究課題名 原因菌に応じた最適な乳房炎治療法の検討 (研究期間:平成 26 年度~28 年度) 〔研究のねらい〕 ・ 酪農経営上、乳房炎は薬剤費の他、治療期間中の生乳廃棄が必要なため損失が大きい。 ・ 生産現場では、治療中の搾乳中止と短期間の薬剤投与を組み合わせた短期・安価な治療 成功例があるが、メカニズムが不明。 ・ そこで、治癒の原理とその治療法が適する病態・症状を明らかにする。 〔研究の中間成果〕 ・ 環境性ブドウ球菌等の低病原性菌による乳房炎は、1 回投薬+3 日搾乳休止法でも、従 来の 3 日連続投薬+毎日搾乳法と同等の治療効果だった。 ・ 前者は、薬剤コストが 1/3 に加え、休薬期間(薬剤の生乳中残留消失)が短いため、1 頭 当り約 5,000 円の損失が防止できた。 ・ 従来は、乳房内の原因菌を排出するために搾乳していたが、薬剤濃度維持と自己治癒 反応を促すには、治療期間中の搾乳中止が有益と考えられた。 ・ レンサ球菌等の強病原性細菌による乳房炎では治療効果が安定しないため、薬剤を変 更して反応を観察する。 投薬 搾乳休止+休薬期間 生乳廃棄@2,500×3=7,500 円 1回投与 生乳廃棄期間 投薬 3回投与 (従来法) 投薬 投薬 休薬期間 生乳廃棄期間 0 3 生乳廃棄@2,500×5=12,500 円 生乳廃棄期間(=経済損失)の短縮 ↓ 5000円の損失防止 乳房炎の治療→抗生物質を乳頭に注 薬代 1/3 生乳出荷損失 5,000 円の軽減! 入する。(製品に混入しないよう染料 が入っている。) (酪農科 TEL : 0544-52-0146 E-mail : [email protected] ) -6- 5日 あと 10 年、長く牛を飼うために必要なこと 研究課題名 酪農生産現場における作業省力化手法の検討 (研究期間:平成 26 年度~28 年度) 〔研究のねらい〕 ・ 後期高齢者の労働力に頼らざるを得ない中で、”楽”に、酪農を続けるための課題を明確 化する。 ・ 利用可能で安価な、軽労化向け器具・機材の酪農作業への適用性を調べ、実用性を評価 す。 〔研究の中間成果〕 ・ 人体工学的評価から、中腰姿勢作業、特に搾乳作業の早急改善の必要性が分かった。 ・ 計算では腰部負担 25%減は、マイナス 10~15 才の肉体負担軽減に相当した。 ・ 腰部負担を 25%軽減する介護用装具(SSL-スマートスーツライト)を高齢酪農作業者に 試用してもらったところ、 「疲労感軽減」 「作業中安心感」等のプラス評価と「暑い」 「締 付けが強い」等のマイナス評価が得られた。 ・ 毎日の長時間作業で(介護用)SSL は、各部が破損した。 ・ 今年度は「暑さ」「締付け感」の少ない装具を用いた比較試験を実施の予定。 中腰作業は許容負担度 100 を超える (飼料環境科 TEL : 0544-52-0146 試用した介護用腰部負担軽減装具 E-mail : [email protected] ) -7- 畑の土を失わない良い方法はある? 研究課題名 朝霧地域の草地における土壌流亡防止法の確立 (研究期間:平成 26 年度~28 年度) 〔研究のねらい〕 ・ 傾斜+浅表土の西富士飼料畑は、雨で貴重な作土が流れる上に環境汚染の原因にもな る。 ・ そこで、環境保全型農業の EU で採用される緩衝帯を当地向けにアレンジして有効性を 確認する。 〔研究の中間成果〕 ・ 地表を密におおう短い牧草や長い葉の牧草は土壌流出が少なかった。 ・ 穿孔や作溝により狭い緩衝帯幅でも土壌流出効果が確保できるか試したところ、逆効 果だった。 ・ 管理が容易、景観に優れる、長く持つ、鹿に食べられない、地表作物の中からレッド トップ、ヒメイワダレソウ、シバザクラ、センチピードグラス、リュウノヒゲで、国 道に面した農家圃場に実証的な緩衝帯を形成した・ ・ 4 月までの観察では、レッドトップが最も有望である。 (飼料環境科 TEL : 0544-52-0146 E-mail : [email protected] ) -8- おいしい「フジキンカ」を安定生産 研究課題名 フジキンカ長期維持手法の確立 (研究期間:平成 24 年度~26 年度) 〔研究のねらい〕 ・ 「フジキンカ」は、肉質の良い「金華豚」と高産肉性のフジロック(デュロック種) を元に平成 19 年度に開発した豚である。 ・ 現在、県内 9 農家(4 グループ)で生産されているが、血縁濃厚化による近交退化の可 能性がある。 ・ 他系統のデュロック種を用いた場合の肉質への影響を調査した。 ・ 生産現場からは、産子数・離乳頭数増加の要望も強いため、母豚の管理方法を研究す る。 〔研究の成果〕 ・ 県外導入の 3 系統のデュロックの血を入れることで、次世代フジキンカの原原種豚世 代の近交係数を 0%にできた。 ・ 新たな系統のデュロック種でも、「フジキンカ」の肉質の特長は維持できた。 ・ 金華豚由来の肉のやわらかさに関する遺伝子領域を持つ豚は、現フジキンカ同様に肉 がやわらかくなることが確認された。 ・ 背脂肪厚が 2.0cm を越える母豚候補豚は発情が不順で、低受胎率だが育成期の飼料給 与制御で背脂肪蓄積が抑制可能。 ・ この成果を取り入れた飼育マニュアルは、既に飼育農家で活用されている。 ちがいのわかる肉質から、引き合いの多い 「フジキンカ」 (養豚養鶏科 TEL : 0537-35-2291 成果は、わかりやすいマニュアルにして配布。 E-mail : [email protected] ) -9- おいしい小軍鶏(コシャモ)を安定的にお届けするために 研究課題名 新銘柄地鶏「フジ小軍鶏」の消費拡大を目指した効率的な生産技術の開発 (研究期間:平成 24 年度~26 年度) 〔研究のねらい〕 ・センター開発の「小型」で「高品質な肉質」の"フジ小軍鶏”の市場・消費拡大に応えるた めの品質向上・安定化のための技術を開発する。 ・ “食べ頃”の流通をするために最適な冷凍貯蔵する必要があるが、品質が低下する一般的 な空冷法にかわる冷凍・解凍技術が必要である。 ・自然交配が難しいフジ小軍鶏には、効率的な人工授精法を確立する必要がある。 〔研究の成果〕 ・新鮮なと体は、アルコールブライン(AB)法で冷凍し、調理前に冷蔵庫で解凍すること でドリップロスが少なく、非冷凍フレッシュ鶏肉と同等肉質を保てた。 ・人工授精回数とふ化率等の関係から、人工授精回数は、現行の 1/2 でも影響がなかった。 ・大量生産を前提とした種卵生産には、週 1 回の人工授精、希釈液(Lake 液)の 3 倍希釈精 液で生産体制の強化を行うことができた。 ・これらの技術は、県内「フジ小軍鶏」生産者・販売流通業者に利用されている。 ←解凍・貯蔵時に発生する汁 (%) ドリップロス 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 AB区 対照区 少人数家族で丸焼きを楽しめる -30℃の凍結溶液中で急速冷凍するリキッドフリー 「フジ小軍鶏」 ジング法(AB 区)は品質低下が少ない (養豚養鶏科 TEL : 0537-35-2291 e-mail :[email protected] ) - 10 - 医療産業への貢献をめざす MMP の長期安定化 研究課題名 「医療用マイクロミニピッグ形質の永続的な維持技術と病態モデル形質固定 定化技術の確立」 (研究期間:平成 26~28 年度) 〔研究のねらい〕 ・ 実験動物は従来のイヌ・サルにかわりブタにシフトしつつある。 ・ 県内企業が生産する実験用ミニブタ「マイクロミニピッグ® (以下 MMP)」は、新しい 実験動物として医学や薬学研究分野で評価が高まっている。 ・ MMP が、今後長期にわたり実験動物産業に貢献するためには、近交退化などの血縁管 理への対処と形態や病態モデル形質安定化の必要がある。 ・ そこで、その課題解決に有効な体細胞クローン技術の効率化と遺伝子解析技術を活用 した交配を実施した。 ・ 〔研究の中間成果〕 ・ 体細胞クローン技術の基本となるレシピエント卵子の長期胚発生能力安定化は、48 時 間の保存培養により、無保存卵子と同等の胚発生能力が得られた。 ・ 近交退化を超えたブタを作出する目的で白色系統と有色系統の 2 系統について作出を 試み、近交係数 52.7%(第 4 世代)の作出に成功した。 50% Control 48hr 40% 30% 20% 10% 0% Control 48hr 近交系 MMP 上- 白色系第 3 世代♂ 下-有色系第 2 世代♂ いずれも 6 ヶ月齢 (養豚養鶏科 TEL : 0537-35-2291 44 48 52 56 17.0% 30.1% 29.4% 28.0% 32.6% 27.3% 32.3% 29.7% 48 時 間 保 存 培 養 し て 得 ら れ た 体 外 成 熟 卵 子 の活性化処理時間と胚盤胞形成率 E-mail : [email protected] ) - 11 - 豚肉のおいしさを”見える化”します 研究課題名 県内銘柄豚の肉質特長の見える化技術の検討 (研究期間:平成 27 年度~29 年度) 〔研究のねらい〕 ・ 県内養豚農家の 3 分の 1 が銘柄豚肉生産をしており、今後の競争激化が予想される。 ・ おいしい銘柄豚肉作りをするためには、各銘柄豚肉の特性の科学的評価とそれをもた らす生産管理上の要因を生産者に提供する必要がある。 ・ おいしい豚肉評価には、従来のやわらかさや旨味に加え、「豚脂のおいしさ」を加味し た評価も検討する必要がある。 ・ これらの結果は、豚肉のおいしさマップ等に取り入れて、消費者にとって分かりやす い表示(=見える化)提案にも活用する。 〔研究の中間成果〕 ・平成 28 年 1 月までに 5 種 25 検体の県内銘柄豚または飼料等に特徴を持たせて飼養し た肉豚の肉質調査(機器分析)を実施し、センターで飼養した一般豚(WLD)または フジキンカ)の肉質調査結果と比較することで、各銘柄豚の特徴を明らかにした。 ・ 上記の結果を用いて主成分分析を行ったところ、グループ毎に近しい位置にプロット されることが明らかとなり、各銘柄豚の特徴を比較できる可能性が示唆された。 ・ 今後、検体数を増やして消費者・生産者双方に有益なおいしさ評価の確立を目指す。 県内の銘柄豚肉 (養豚・養鶏科 TEL : 0537-35-2291 銘柄豚の特徴の見える化イメージ e-mail : [email protected] ) - 12 - 県産銘柄豚肉生産を支える資源の維持 研究課題名 SPF 大ヨークシャー種系統豚の血縁と繁殖性の維持 (研究期間:平成 27 年度~31 年度) 〔研究のねらい〕 ・ 高品質で良くそろった銘柄肉豚の生産には、”エリート家系”の種豚=系統造成豚が 必要。 ・ 県内で生産される豚肉の約 15%を占める静岡型銘柄豚「ふじのくに」(WLD 三元豚) の品質を維持するためには、近交退化(血縁が濃すぎて異常が発生する)が発生させ ないよう系統造成豚の血縁を維持することが不可欠。 〔研究の中間成果〕 ・ 平成 21 年完成の SPF 大ヨークシャー種系統豚「フジヨーク 2」の血縁を、センターで保 有する維持群内で交配し、平均血縁係数 18.3%、平均近交係数 3.7%(15%以下が良 い)となった。 ・ 平成 26 年度までに雄 9 頭、雌 121 頭が一般農家へ販売された。 ・ 今後も「フジヨーク 2」が静岡型銘柄豚の生産に寄与していく。 (養豚養鶏科 TEL : 0537-35-2291 E-mail : [email protected] ) - 13 - アナモックスは排水処理に革命をおこす? 研究課題名 センター養豚排水処理施設曝気槽におけるアナモックス汚泥の発生状況調査 (研究期間:平成 27 年度~29 年度) 〔研究のねらい〕 ・ 窒素含量が高い畜産排水は、今後適用見込みの排水一律基準をクリアする低コスト窒 素除去技術の開発が緊急課題になっている。 ・ アナモックス菌による窒素除去法は、現行の硝化脱窒法より低コストだが、アナモッ クス菌は培養条件が難しいことに加え増殖速度も遅い等、実用化のための課題がある。 ・ センターの養豚排水処理施設に発生したアナモックス菌は、高増殖速度が見込まれる ため、その曝気槽でのアナモックス菌塊の生育状況を調査した。 〔研究の中間成果〕 ・ コンクリートブロックを曝気槽の液面下に浸けて、表面に集積する赤色アナモックス の菌塊を経時的に観察したところ、4 ヶ月目にブロック表面に赤かっ色汚泥と径 1mm 前後の菌塊、6 ヶ月目には、赤みが増した直径 2-3mm 菌塊が観察された。 ・ 当センターの曝気槽は、標準的な曝気槽と比較して溶存酸素濃度が低く、アナモック ス菌の増殖に不可欠なアンモニアと亜硝酸又は硝酸が存在することがわかった。 6 ヶ月で、右のような赤い菌塊が形成された (資源循環科 TEL : 0537-35-2291 E-mail : [email protected] ) - 14 -