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廃油石鹸の研究
廃油石鹸の研究 岐阜市立長良中学校 1 研究の動機 2年 木下 恵 結果と考察 学校の「総合的な学習の時間」でリサイクルをテ 予想通り、廃油石鹸は細かければ細かいほど、よ ーマに廃油石鹸を作った。こんなに油が入っている く溶けることがわかった。溶けるときにはシュリー のに汚れを落とせるなんてできるのだろうかと思い、 レン現象がおこり、すべてが溶けるかと思ったらと 普段私たちが使う手を洗う石鹸や洗濯の洗剤と同じ け切れなかった。しばらくして、底に油のようなも なのか汚れの落ち方を調べることにした。 のが残っていた。そこで、新たな疑問として ① とけた石鹸の汚れの落ち方はどうなっているか 2 研究の内容 (1)廃油石鹸を作ろう ①準備するもの ② 底にたまったものは汚れを落とすことができるか が生まれた。 その疑問についてさらに調べることにした。 廃油(300ml) 水(90ml)苛性ソーダ(45g) ペットボトル 牛乳パック ②作り方 ペットボトルに水を 90ml入れる。 (2)細かく砕いた石鹸の水溶液と固形石鹸の水溶 液では汚れの落とし方に違いがあるのか 苛性ソーダ 45g を3回に分けて入れる。 仮説 廃油 300mlを入れる。 細かく砕いた石鹸の水溶液の方が、石鹸の成分が しっかりと蓋をしめたら、40 分間ずっと振り続ける。 よくとけているので汚れがたくさん落ちると思う。 牛乳パックや、紙コップに流し込む。 乾くまで、約 1 ヶ月置く。 固まったら、出来上がり。 結果と考察 (2)廃油石鹸はどうすると水によく溶けるのか 仮説 石鹸を細かくすると水に触れる面積が多くなるか ら、石鹸を細かく砕くとよく水に溶けると思う。そ こで、固形のままの石鹸と細かく砕いた石鹸を同量 用意し、溶ける速さを調べることにした。 やはり予想通り、 細かく砕いて粉末にした石鹸が、 一番汚れが落ちた。固形石鹸の水溶液もほぼ同じよ うに汚れが落ちたのは意外だった。 廃油石鹸の水溶液は pH11 以上で強いアルカリを 示し、 醤油の汚れを落とすはたらきがあることから、 普段使っている合成洗剤と汚れの落ち具合を調べる ことにした。 (3)廃油石鹸と合成洗剤では、汚れの違いがあ るのか 仮説 合成洗剤のほうが汚れはたくさん落ちると思う。 それは合成洗剤は酵素などが入っており、より汚 れを落とすように研究してつくられたものだからだ (4)アルカリ性の石鹸液を中性にするにはどれく と思う。汚れの落ち具合を実験してみた。また、水 らいの水がいるのだろうか だけでどれだけ汚れが落ちるのか比較してみた。 pH11 以上の強いアルカリ性を示す石鹸液を、少 しでも環境に優しい中性にするにはどれくらい薄め ればよいのか疑問に思って調べることにした。 私の家で使っている合成洗剤の成分 界面活性剤(25%)水軟化剤、アルカリ剤、工程 仮説 10 倍くらいで水に薄めればよいだろう。それは下 剤、分散剤、蛍光増白剤、酵素 結果 水処理するときには大量の水がいることを聞いたこ とがあるので、石鹸液を実際に水に薄めてみて pH 試験紙で測定した。 結果 入れた水 の総量 0 100 200 300 400 → 1800 1900 2000 2100 1 2 3 4 5 → 19 11 10 9 9 9 → (ml) 薄めた量 (倍) pH 21 22 ア ル ア ル 中性 中性 カリ 20 カリ 考察 予想以上に水が必要だということがわかった。た った 100ml の石鹸液を中性に戻すのに、なんと 20 倍もの 2000ml の水が必要であった。 考察 3 研究のまとめ 汚れの落ち方については、水で洗ったときよりも この研究を通して、廃油石鹸は聞いたことがある 石鹸や洗剤で洗ったほうがよく落ちていた。 しかし、 が実際に作ってみていろいろなことがわかった。石 口紅などの汚れの落ちないものもあった。カレーの 鹸を細かく砕いて水に溶かすとよく汚れが落ちるこ 汚れについては、合成洗剤は汚れはとれて黄色のし とや、その効果は合成洗剤とはほとんど変わらない みが残ったが、廃油石鹸は汚れが落ちきれず、黄色 こと、油をそのまま捨てるといかに環境を悪化させ のしみもしっかり残った。 るのかがわかった。 また汚れだけでなく、手触りについてもその違い をまとめてみた。 かもしれないが、靴や上靴を洗うときや雑巾を洗っ 合成洗剤 廃油石鹸 汚れの落ち具 染みが残るも 染みが残るも 合 色移りはしな 色移りはなか ペンは× 洗ったすぐ◎ 洗ったすぐ△ ○ 4 審査評 学校で廃油を利用した石鹸づくりの活動を通して した研究に取り組めている。設定した課題に対して 仮設を立て、実験できている。環境と洗剤との関わ りに目を向けていくことを期待している。 と○ と○ (指導者 長良中学校理科部) 感じた驚きや疑問や動機となっており、いきいきと しばらくする しばらくする 手触り た。 ちる。○ か っ た ○ 水 性 った。○ 匂い たりするときには、ぜひ廃油石鹸を使いたいと思っ のもあるが、落 のもあるが、落 ちる。○ 色移り 毎日の洗濯にいつも使うことには少し無理がある △