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小児歯科学基礎実習における 教育内容の大学問共有化に関する検討

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小児歯科学基礎実習における 教育内容の大学問共有化に関する検討
小児歯科学雑誌
4
7
(1
):
3
3
4
0 2
0
0
9 3
3
小児歯科学基礎実習における
教育内容の大学問共有化に関する検討
(
2
) 教育ワークショップの成果について
友
, 川 '
夫
1
.剖
6 )中
宣
口
敏
依
1
.日1υ川l)
之
1
.
守;ι2
川島谷
克康憲淳
土
成
上
朗,1上 8))
西村田木
福
孝 2)
香固有鈴
木
康茂俊
原本野本屋
i
f
j
J
:
盛 1,4)
郎 1,7)
司,l
上引
9 )新
誠
康 l則
司 1引
3 )林
文
子3)
,
幸8)
要旨:全ての歯学教育機関において,買が高く均質な小児歯科医療を実践できる歯科医師を養成することを
8・1
9年度日本小児歯科学会教育問題検討委員会により,教育ワークショップが開催さ
目的として,平成 1
9歯科大学・大学歯学音防、ら 4
2名の小児歯科学の教育に関わる
れた。ワークショップは 2日間の日程で, 2
教員が参加した。課題として,ラパーダム装着,保護者へのブラッシング指導,フッ化物歯面塗布,予防填
塞および佼合誘導を取り上げた。その結果,以下の有意義な成果を認めた。
1.各大学の基礎実習の教育内容に関する有益な情報が得られた。
2
. 課題とした実習項目について,全ての大学で共通の一般目標と到達目標を設定することができた。
3
. 課題とした実習項目について,全ての大学で共通して教育すべき標準的な実習内容を明らかにすること
ができた。
Keywords:小児歯科学,基礎実習,ワークショップ, FD,歯学教育
緒
教育の内容の改革や充実が急務として認識されている。
コ
E
近年,歯科医学あるいは歯科医療で様々な改革が推進
され,小児歯科学領域においても,歯学教育モデル・コ
このような背景を基盤として,日本小児歯科学会におい
ても,小児歯科学として教育すべき内容の整理と明確化
を行う必要性が生じている。
ア・カリキュラムや専門医制度など,教育から医療に至
本学会教育検討委員会は,小児歯科学基礎実習に関し
るまでの制度の設置や内容の改定が行われている。ま
9年 に 全 国 29大 学 を 対 象 と し た ア ン ケ ー ト 調
て,平成 1
た,質の高い歯科医師養成のために,大学における歯学
査を行い,大学により実習の時期,期間,内容,項目な
広島大学病院小児歯科
(主任:行酉克之教t
l
l
広島市市区立 1
2
3
l 日本小児歯科学会平成 1
8・1
9年度教育問包検討委日会
2 広島大学病院小児t'U
(科長:二位西克之教授)
"広島大学大学院医長i
来三;::2:合研究科顎口住辺市医科学長再出
小児歯科学研究室
(主任:存凶克之敦長)
.'日本歯科大学町民病院小児・信正的科
(科長:苅お;下行.l'Z11:l
ミ神奈川内科大学成長交 j
主的科学誌庄小児的科学分:r
f
(主任:木 J
,
.
:茂氏数以)
ゐ朝日大 ~.;::t~j~'i= 芯小児以i 科学誌 I
主
(主任:岡村民夫敦;三)
n
?日本大学歯学部小児歯科学教室
(主任:白川哲夫教授)
g~ 知学院大学歯学部小児歯科学議出
(主任:土屋友幸教授)
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部統合医療
¥
1
[
1
1
ミ科学部門社会環境 i
q
r生学講座小児口腔健康科学分野
(主任:三留雅人教授)
1
0 東京歯科大学小児的科学講座
(主任:新谷誠 I
J
H
t
t
三)
I
I !.i[北大学大学院歯学研究科口腔保健発育学講座
小児発 j
主的科学分野
(主任:福本敏教授)
(
2
0
0
8年 1
2月1
8日受付)
(
2
0
0
9i
f
-2月 4日受理)
9
34 毎原康孝ほか:ワークショップの成果
ど様々な点で相違がみられたことを報告した l。
そこで,全国 29の歯科大学あるいは大学歯学部のど
を自由に閲覧し,必要に応じて校写もできるようにし
た。さらに参考資料として,
I
ワークショップとは j, I
教
の教育機関においても買が高く均質な小児歯科学実習を
平成 1
7年度共用試験 OSCE トライアル学生
育目標 j, I
実施するために,本学会教育問題検討委員会主催で,教
7年度日本小児歯科学会教育
配布資料j および「平成 1
育ワークショップを開催した。開催にあたり,以下の 3
問題検討委員会第二回教育問題ワークショップにおける
つの項目を目的とした。
研修目標」に関する資料を配布した。
1
. 29歯科大学・大学歯学部の小児歯科学基礎実習の
2
. ワークショップのスケジュール(去1)
教育内容に関する情報を得る。
1
) 1日目
2. 実習内容について,全ての大学で共通の一般目標,
a) グループ討議 (
S
m
a
l
l Group O
i
s
c
u
s
s
i
o
n,以下 SGO
到達目標を持つ。
と略)
3
. 実習方法については各大学の裁量に委ね,全ての大
学で共通して教育すべき事項について検討し確認する。
ワークショップを行うにあたり,事前に各大学の基礎
l時間の時間制限のもと,各グループで基礎実習の教
育内容についてのアンケート調査結果に閲する討議を行
い,各テーマについて教育上最適であると判断された内
実習教育担当者を対象として,アンケートによる教育内
容をまとめた。
容に関する実態調査を行った。ワークショップでは, 2
P
l
e
n
a
r
ys
e
s
s
i
o
n,以下 PLS と略)
b) 全体討議 (
日間の日程で,アンケートの結果を踏まえた上で,最終
5分間の時間制限のもと,各グループの代表が事前の
プロダクトとしてモデルとなる実習帳を完成させた。ま
アンケート調査の結果をまとめたものを発表した。その
た,ワークショップを通じて,基礎実習において教育す
後,内容に関して参加者全員により質疑応答を行った o
べき内容についての確認および、検討を行った。
c) グループ作業 (SGO)
ワークショップの概要および遂行方法
1.ワークショップの概要
1時間 30分にわたり,プロダクト(今回の場合は実
習帳)作成のための作業を行った。
d) 総合情報交換会 (PLS)
9年 9月 1
5日と 1
6日の二
ワークショップは,平成 1
1日目の最後に,テーマに関する内容や作業の状況な
日間にわたり,広島大学内の施設で行われた。ワーク
どについて, 30分間参加者全員による情報交換を行っ
ショッフ。の運営は広島大学小児歯科学研究室が行った。
た
。
29歯科大学・大学歯学部から小児歯科学基礎実習の担
2) 2日日
当者 l名ずつ合計 29名,タスクフォースとして,本学
a) グループ作業 (SGO)
1名が参加し
会教育問題検討委員会委員を中心とした 1
た
。
前日に引き続き,グループ作業を 2時 間 に わ た り 行
い,実習帳の原案を作り上げた。
I
ラパーダム装着 j, I
保護者へのブラッシ
フッ化物歯面塗布 j, I
予防填塞 j,および
ング指導 j, I
テーマは,
表 1 ワークショップ日程
「岐合誘導」の 5項目である。限られた時間で最大の成
事 項
果をあげるため, 5つのテーマについて各々の大学でど
のように教育しているか事前にアンケート調査を行っ
た
。
ワークショップの内容は,事前のアンケート調査の結
果から,各テーマについて教育すべき内容を吟味した上
で,最終プロダクトとして実習帳を作り上げるというも
開校式,進行・事務説明
ワークショップ の意義と目的についての説明
他己紹介 (
P
L
S
)
グループ討議 (SGO) (アンケートを元に
P
L
S
) 5分 X5グループ
日 全体討議 (
日 グループ作業 (SGO) (プロダクト作成の
ρ
ι
T
ための準備)
のであった。ワークショップを開始するにあたり,まず
総合情報交換会 (KS~
参加者をテーマの数に合わせて 5つのグループに分け,
それぞれのグループに司会進行役としてタスクフォース
を l名ずつ配属した。各大学のオリジナルの実習帳から
5つのテーマに相当する部分を抜粋して複写したもの,
実習帳を作成するための丈房具と用紙を配布した。ま
た,ワークショップ期間中は,参加者が各大学の実習帳
生
グループ作業 (SGO) (プロダクト作成
時間
1
5分
2
0分
5
0分
5
5分
2
5分
1時間 3
0分
~分
2時間
2 全体発表・討議 8分 X5グループ (40分 時 間
日 グループ討議 (SGO) (ブラッシユアップ
5
0分
μ
最終プロダクト提出・総合討議 (
P
L
S
)
PLS: P
1
e
n
a
r
ys
e
s
s
i
o
n
SGO: S
m
a
l
lG
r
o
u
pO
i
s
c
u
s
s
i
o
n
3
0分
1
) 2009 3
5
小児歯科学雑誌 47(
のアンケート調査の結果から,各グループで内容を討議
b) 全体発表・討議
各グループ 8分間の制限時間で実習帳の原案について
発表した後,参加者全員により内容に関する討議を行っ
し,ガイドラインとなる教育内容をまとめた。
表 2にラパーダム装着の教育内容を示す。
対象歯は第一大臼歯および乳臼歯で,患歯の結繋を行
た
。
c)グループ討議 (SGD)
い,複数の歯を治療する場合はー歯ずつ穴をあけるよう
全体発表・討議の内容を踏まえ, 5
0分の制限時間の
にし,ラパーダムクランプを患歯につけた後にフレーム
もとに各グループで内容のプラッシュアップを行い,実
を装着するように教育することが示された。また,クラ
習帳を完成させた。
ンプの試適や誤暁防止のための工夫,ラパーダム装着時
d) 最終プロダクト提出・総合討議 (
P
L
S
)
の注意点(安全性など)も教育すべき項目として位置づ
各グループで完成させた実習帳の発表および参加者全
員による討議を行なった。その後最終プロダクトを提出
けられた。
表 3に保護者のプラッシング教育の教育内容を示す。
対象とする年齢は 3歳と 6歳,保護者へ指導するのは
した。
仕上げ磨き,実習の形式はロールプレーイング技法によ
結 果
るとした。また,道具の選択基準と歯磨剤の使用を教育
1.小児歯科基礎実習のガイドライン
すべき項目として位置づけた。
各テーマについての基礎実習の指導内容に関する事前
表 4にフッ化物歯面塗布の教育内容を示す。
表 2 ラパーダム装着の標準的な指導内容
、
教育項目
標準
ラパーダム装着の目的
要
対象歯(複数回答)
第一大臼歯,第一乳臼歯,第二乳臼歯
シートの種類
大学による
クランプの種類
翼付大臼歯
複数の歯を治療する場合の穴のあけ方
単独で開ける
クランプの試適
要
クランプの誤照防止のための工夫
要
フレームの患歯への装着方法
クランプ装着後,フレームを装着
患歯の結索
要
ラパーダム装着時の注意点(安全性など)
要
表 3 保護者へのプラッシング指導の標準的な指導内容
教育項目
標準
保護者へのプラッシング指導の目的
要
対象としている小児の年齢
nc期
教えているのは仕上げ磨きか
仕上げ磨き
教えている仕上げ磨きの方法
スクラピング法,その他
道具の選択基準
要
歯磨剤の使用
要
ロールプレーイング技法で行うか
要
模型
要
36 毎原康孝ほか:ワークショップの成果
l
1函塗イ'jiの際準的な指導内存
表 4 フッ化物 i
教
r
n
日
n
:
t~iVニ
ファ化物的国塗布の目的
安
フッ化物の迫用量
要
フッ化物の毒性
要
実習で行っているフッ化物歯面塗布の方法
綿 球i
去,歯ブラシ i
去
,
使用しているフッ化物の種類
フッ化物ゲル
フッ化物の局所応用
要
トレー法
表 5 予防填塞の標準的な指導内容
教育項目
標準
予防填塞の目的
要
対象的
第一大自由(上,下,左,右)
ラバーダム装着
要
機械的清掃
要
化学的清掃
不要
使用している材料および色
レジン系・(赤または白)
エッチングの方法
エッチング弗jを歯面に塗布し. 20秒後に水洗する
光重合の時間
材料の取扱説明書に準ずる
重合後の処理
要
隣接面シーラント
不要
表 6 佼合誘導の標準的な指導内容
教育項目
標準
佼合誘導の目的
要
装置の選択方法
要
対象時期
I
I
A,I
I
C,1
I
IA
実習で取り上げる保隙装置の種類
クラウンループ,床型保隙装置,リンガルアーチ
スペースリゲイナーの製作
必須ではない
歯列模型分析
要
乳歯列模型分析
要
混合歯列分析
必須ではない
側方歯群長の予測
必須ではない
セファロ分析
必須ではない
小児歯科学雑誌
4
7(
1
) 2009 3
7
教育内容として,フッ化物の適用量,毒性,フッ化物
達目標 (SBOs) を明記した。実習帳の様式は各グルー
歯面塗布の方法,フッ化物の種類,フッ化物の局所応用
プ自由とし,各大学の実習帳から必要な部分を複写しで
を挙げられた。
も良いとした。図 1に最終プロダクトの例(抜粋)を示
表 5t
こ予防填塞の教育内容を示す。
す
。
対象歯は第一大臼歯とし,材料はレジン系を使用する
こと,ラパーダム装着,機械的洗浄,重合後の処理の必
要性を教育内容として挙げた。
1)ラパーダム装着
ラパーダム装着の目的,実習の準備の仕方(必要器
具,クランプの選択,ラパーダムシートへの穿孔)およ
表 6に庇合誘導の教育内容を示す。
び装着の際の基本的態度を記載し,実際の術式を写真で
対象とするのは IIA, IIC, J
l
lA の時期で,装置の選
示した。
択方法,まし歯列の模型分析を教育すべき項目として挙げ
2)保護者へのブラッシング指導
た。また,実習で製作する保隙装置はクラウンループ,
実習の形式はロールプレーイング技法によるとした。
床型保隙装置,リンガルアーチであり,スペースリゲイ
課題として, 3歳 3か月と 7歳 6か月の小児の保護者に
ナーの製作は,ガイドラインには含めないことが示され
対するブラッシング指導を取り上げた。実習材料と器具
は,小児の歯列模型,基本セット,グロープで,配布資
なお,全てのテーマについて実習の目的を理解させる
料は,口腔内写真,プラークチャート,評価用紙,歯ブ
べきであることが示された。
ラシ(乳歯列期,学童期用),デンタルフロスとした。
2
. 最終プロダクト(実習帳)について
指導上のポイントおよびブラッシングとフロッシングの
全ての最終プロダクトの冒頭に一般目標 (GIO) と到
方法については写真入りで示した。
保護者へのブラッシング指導
課題
0 0りょうまくん (3農 3か月)の口腔肉
I保直書へのプラフシング指事
ー般目標 (GIO)
う蝕予防のために.小児の年 1
1
. 歯齢.手指の車動健カなどを考慮した.
小児および保 1
1者へ的適切者プラヲシング指導を行うことができる.
到達目標 (500.) ①指導的開始にあたって、環境を整えることができる.
診査が終了しました。
保 護 者 0 0さん l
こ、仕上げ磨きの方法を
指導して下さい。
②緯々な鉱悼を用いて指事で畢る.
①保護者の理解度を確留しながら指轟できる.
@わかりやすい首置づかいと周畠取りやすい置 し方で民明で曇る.
⑤小児の年般にあった仕上げ直島町方訟を指導できる.
その際に、プラーク付着状況と仕上げ磨き
の意義についても説明して下さい。
⑥プラヲシングの i
o要性を伝えることができる.
(i)車切な歯プラシの軍配法を E轟で曇る.
来患児には、 3 鐘児倹~で"蝕、不正攻古なと.の問題はありませんでした.
(f;i:亘書に主体扱させながら指事できる.
米 保 護 者l
主りょうま〈んの鼠蝕予防のために歯科を受鯵しました.
@指事内容のSWIHを実施できる.
@指導の軒わりに、指事内宮町要約と億毘がで畠る.
※本人の歯みがきは終了しています。
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D-D
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蘭也量:
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車児:~齢 3~ か月白幼児
且
4
、児額榎型
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-基本セ y ト
-グローブ
血皐墨金血.1.&.1.
-よ寝乳信重曹面白P
夫か 5圃頭8!!.隅操車、苦誼
配布責料・口~;可写真.プラークチ.ート,手伝同民富プラン{乳歯予想.学童期仕上げ毘き)
フ=ス.シサ Uオ l
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.忠文)
・下曹乳切Z哩E畠軍耳L 隠匿 E 舌面
・上頓乳臼歯唆古 i
i
.頬面、関撞 i
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-下事乳臼量埋ま古菌、舌E、回E置が量色されている.
:
、正個ζ
[比べ事闘で温嵩が事〈み 5れる.
-ょ!ll¥.8富箆で 1
E ロールプレイ~冨車行
・ビデオ町 pp
モ!(完.Ii::買.手Ci::J進行
00-15分)
-ライターデモ(乳 l
占F
1
.
2
2
.学 長 期 仕 上 IfMき
(
10
分)
-ロールプレイ 7(~-3 人)
(
5分 X2)
-フィードバック完 E
(
4
0
5
1
' 但L. 1::.m
※さらにt
う1
!t包行う
8@③錨減量診
⑨ ⑮ 8 > 8 . .~軽量
(
5
0分)
回 1 ~i 終プロダクトの fíl
⑭温暖ラ轡@
(
t
'
{
t
ト
)
38 毎原 M
t孝ほか:ワークショァプの成果
3)フッ化物歯面塗布
無であったと考えられる。
フッ化物応用の目的,フッ化物の種類,フッ化物の毒
しかしながら,今回のワークショップでは. r~lf民前に
性について示した後,実習の流れとして,忠者へフッ化
アンケート調査を行ったことで各大学の基 E
主主百の教育
物歯面塗布を行うことを説明すること,ポジショニン
内容についての情報が共有できたため,教育内容につい
グ,歯面塗布,防;
E,乾燥,患者および保護者への塗布
て十分に吟味することができた。また,今同のワーク
後の注意点を記載した。実習で取り上げる方法は,綿球
ショップでは,予め資料として「教育目標 j と「平成 1
7
法
,
年 度 共 用 試 験 OSCE トライアル学生配布資料」を配布
トレ一法,イオン導入法,歯ブラシ法である。使用
f
i
E
器材は,基本セット,模型,ロールワッテ,ガーゼ,綿
した。そのため. GIO と SBOsについても校討し,
球
,
終プロダクトに記載することができた。つまり,今回の
トレー,歯面清掃用器具,ストップウォッチ, 2%
リン酸酸性フッ化ナトリウム (APF) ゲル,イオン導入
ワークショップで得られた成果は,教育すべき内容の整
器具一式である。十r
p式については写真で示した。
理と明確化および、各大学で、共通の一位目標と到達目標を
4)予防填塞
持つための基盤になったと思われる。
最初に予防填塞の目的,適応症について記した。次
時間制限があったため,最終プロダクトは,主として
に,ラパーダム一式,実習用模型. t
ii't塞材料一式,光照
手書きやコピーなどの手作業により編集された。しか
射器,など使用する器具と材料を示した。術式は写真で
し,内容は 2
9歯科大学・大学向学部でガイドラインと
示した。
すべき必須事項について入念に吟味された上で完成され
5)庇合誘導
たものである。また,討議の段階で,教育内容に自由度
実習の形式はロールプレーイング技法によるものとし
を持たせることも配慮して作られている。したがって,
た。課題は 3項目あり. 3歳. 4歳 お よ び 9歳の小児に
これらのプロダクトは実習帳のモデルとして十分な価値
ついて,それぞれ保隙の治療方針を保護者に説明し同意
を有すると思われる。
を得ることとした。取り上げた装置はクラウンループ,
以上を総合すると,このようなワークショップを行う
床型保隙装置,リンガルアーチである。用意する資料・
ことは,小児歯科学の学生教育の内容の充実のみなら
材料は,説明事項,問診票,上下顎歯列模型,口腔内診
ず,教員の教育力向上にも貢献するため,今後,他の実
査記録,エックス線写真,模型分析結果,治療計画説明
習項目についても,継続的に行う価値が十分あると結論
・同意書,保隙装置の写真,不快事項の写真である。ま
づけられる。
た,ロールプレーイング技法については進行表および評
結
価シートを記載した。
考
察
=
O
ド
白岡
2
9歯 科 大 学 ・ 大 学 歯 学 部 の ど の 教 育 機 関 に お い て
も,質の高い均質な小児歯科学教育を実現することを目
近年,歯科教育に関して,教員の教育能力向上のた
的として平成 1
8・1
9年度日本小児歯科学会教育問題検
F
a
c
u!
t
yD
evelopment)
め,ワークショップ形式の FD (
討委員会主催による教育ワークショップが開催され,そ
の開催が普及し,大きな成果を上げていることが報告さ
の結果,以下の成果が認められた。
れ て い る 九 今 回 の ワ ー ク シ ョ ッ プ も , 参 加 者 が 5つの
グループに分かれて討議を行い,プロダクトを作成する
体験学習の形式で行われた。限られた時間の中で全ての
プログラムが予定通りスムーズに完了した。短期間では
1.各大学の基礎実習の教育内容についての情報を得る
ことができた。
2. 課題とされた実習内容について,共通の一般目標,
到達目標を設定することができた。
9歯科大学・大学歯学部の実習内容の確認
あったが, 2
3
. 課題とされた実習内容について,全ての大学で共通
から討論を行った上でフ。ロダクトを完成させる過程を経
して教育すべき標準的な実習項目が明らかとなった。
験したことは,参加者の教育能力の向上に大いに貢献し
たと考えられる O
基礎実習については,これまで実習に対する全般的な
ワークショップで得られた成果は,小児歯科学の教育
内容を共有化した上でのモデルプランの提示と教員の教
育力向上であると考えられ,極めて有意義であった。
特徴について述べたもの 3)や実習の評価に関するものに
ついての報告日)がある。これらは基礎実習の詳細な内
今回のワークショップ開催に参加していただいた
容にまで言及しているものではないため,各大学におい
2
9歯科大学・大学歯学部の小児歯科学講座あるいは
て,他大学で実際に指導されている内容を知る機会は皆
教室の基礎実習担当の教員の方々をはじめ,参加され
7
(
1
) 2
0
0
9 3
9
小児歯科学雑誌 4
た先生方には多大なるご協力と f
t丞なご立見を頂き,
f
'し上げま
誠にありがとうございました。心よりお礼 i
す
。
文 献
1) 日 本 小 児 歯 科 学 会 平 成 1
8・1
9年度教育問題検討委員
9歯科大学・ u
l学部における小児歯科学
会ほか:全国 2
教 ff の実 !L~ , 小児 aw:. , 46:5
17-523,2
0
0
8
0
0
5
2)八若保孝:教 Hの教育能力向上,aJ科医学教育白書, 2
p)
年 度 版 (2003-2 5i
, 日本[i
j科 医 学 教 育 q
士会,東
京
, 2
0
0
6,pp,85-91
.
3)奈良陽一郎:卒前臨床恭礎医学教育, U
l科医学教育白
∞
さ
, 2
0
0
5年度版 (2003-2005i
f
)
, 日本歯科医学教育学
2
.
会,東京, 2006,pp,665-67
4)中野崇,小野俊明, (,屋美信子,外山敬久,束公彦,
秋山哲也,長縄友一,村田宜彦,坂井志穂,土屋友幸:
地域乳幼児的科保健管理に関する研究 ー第 3報 乳 幼
児期の健診回数および母親の年齢と鼠蝕擢忠状態の関連
性について一,小児歯誌, 44・665-672,2006,
5)広瀬弥奈,松本大柿,八幡祥子,前山善彦,青山有子,
島袋鋲太郎,千秋宜之,松下標,倉重多栄,福田敦
史,伊藤綾子,野呂大靭,斉藤正人,丹下貴司,五十嵐
山治:地域乳幼児歯科保健管理に関する研究 ー第 3報
乳幼児期の健診回数および母親の年齢と踊蝕擢患状態
4
: 444-452,2006,
の関連性について ,小児歯誌, 4
A PilotStudyforEstablishment
onEducationalGuidelinesofP
r
e
c
l
i
n
i
c
a
lPractice
ofPediatricDentistryamonga
l
lJapaneseDentalSchools
(
2
)Thee
f
f
o
r
tofe
d
u
c
a
t
i
o
n
a
lworkshop
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