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データセンターのケーブル配線問題

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データセンターのケーブル配線問題
データセンターのケーブル配線問題:
ポイントツーポイント(Point to Point)配線と
ストラクチャードケーブリング
歴史は繰り返すという古い諺は、まったくそのとおりである。歴史から学ばなければ、同じことを繰り返す
羽目になる。現在、多くのデータセンターが歴史的なポイントツーポイント配線慣行の犠牲となっている。
「ポイントツーポイント」スイッチからサーバー、サーバーからストレージ、サーバーから他のサーバーな
どを直接接続するには様々な理由で問題があり、コストがかかる。最善のデータセンターエコシステムでは
規格ベースのストラクチャードケーブリングシステムによって既存および将来の機器に利用できるオプショ
ンを最大限に広げる機能性と拡張性を提供する。現在、機器マウントオプションとして、トップオブラッ
ク(ToR)とエンドオブロー(EoR)を利用できるが、これらのオプションはケーブリングシステムに取っ
て代わるものではなく、そのシステムを補足するものである。ToR機器配置とEoR機器配置はいずれもネッ
トワークやストレージポートをサーバーに接続するために、ポイントツーポイントケーブルとファイバージ
ャンパー線、それに2芯同軸カッパーアッセンブリまたはツイストペアパッチコードのどれかに大きく依存
している。
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1
POINT TO POINT
データセンターは常に周期的に発展している。初期の
これらの規格は必要に迫られて考案された。どちらの
ティングサービスはメインフレーム(仮想化)環境に
ターの寿命期間中の成長に対応できるように設置すべ
データセンター(コンピュータ室)では、コンピュー
よって提供されており、エンドユーザーのダム端末
データセンター規格にも、ケーブル配線はデータセン
きだ、という文言が盛り込まれている。1本または数本
は、2芯同軸を利用する同軸ケーブルまたはバスケーブ
の配線のための移動や追加、変更は、マルチチャンネ
ンテルベースのサーバープラットフォームを導入する
線する場合に比べてコストがかかる。大規模プロジェ
ルにポイントツーポイントで接続されていた。PCとイ
と、新しい接続が必要になった。利用可能なケーブル
配線の選択肢は、これまでに数世代を経てきた。すな
わち同軸(シックネット、シンネット)カテゴリー3、
4、 5、 5e、 6で あ る 。
ル敷設プロジェクトの一環として同じチャンネルを配
クトの場合エンドユーザーはプロジェクト価格設定、
スケールメリット、1チャンネル当たりの賃金率低下か
らベネフィットを実現する。一本のチャンネル配線に
人員を派遣するとコスト
現在、データセンターに
がかかるため、シングル
推奨される10ギガビッ
チャンネルは一般的にコ
ト対応カッパーケーブル
スト高となる。絶え間な
の選択肢は、カテゴリー
い移動や追加、変更に伴
6A、 7お よ び 7A、 光
ってダウンタイムのリス
ファイバーでは、マルチ
クも高まる。経路やスペ
モード機器用OM3、ロ
ースは前もって適切に計
ングレンジ機器用シング
画しサイズを決定するこ
ルモードである。
とができるが、頻繁にチ
一部のデータセンターで
ャンネルが追加されれ
は、二重床パネル下や天
ば、いっぱいになりすぎ
井経路に現在もこのよう
て手に負えなくなるおそ
なシステムが見られ、そ
れがある。
の多くはもともとポイン
ケーブル経路に問題のあ
トツーポイントだった。
るデータセンターは、概
しかし現在では、どこか
して計画が不十分であ
らどこへつながっている
る。成長と新しいチャン
のか分からなくなってし
まい廃棄ケーブルの撤去
ネルの追加は、経路に関
係なく必要に迫られて発
が難しくなるばかりである。この問題をさらに悪化さ
生する。経路がデータセンターの寿命期間中の成長や
ルが貼ってあったとしてもそのラベリングが意味をな
いになりすぎると気流に問題が生じ、場合によっては
せたのは識別子の不備だった。ケーブルの両端にラベ
さない可能性がある。
例えば、あるケーブルに「ユニックスロー、キャビネ
ット1」というラベルが貼ってあるとしよう。数年後に
ユニックスローが入れ替えられれば、新任スタッフは
ユニックスローがどこにあったか分からないだろう。
データセンターにはストラクチャ–ドケーブリングシス
テムの規格が二つある。TIA942-AとISO24764であり、
最大容量に対応していないことがある。経路がいっぱ
重量負荷が原因でケーブル自体が変形してしまいチャ
ンネルの伝送特性に悪影響を与えかねない。この状態
は特に長い間にスパゲッティ状に絡み合ってしまった
ポイントツーポイントシステムに当てはまる。同様に
新しい高性能システムの設置に伴ってケーブル撤去を
実施していないデータセンターも、経路の混乱に悩ま
されている。
後者は2010年4月にEdition1.0が発表された。
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コアスイッチ
コアへ(ファイバー)
POINT TO POINT
トップオブキャビネットスイッチ
ポイントツーポイント サーバー
図1:トップオブラック
–ポイントツーポイント
コネクション
銅 線
ファイバー
ラック1
ラック2 – 3
(1枚のブレードが1ラックをサポート)
図1、ラック1はケーブリングシステ
ムでないスイッチポートとサーバー
間のToRパッチングシナリオ。ラッ
ク2とラック3接続は、やはりケーブ
リングシステムなしのポイントツー
ポイント・サーバーとスイッチ接続
これらのシステムの提案者は、ケー
ブル配線の減少でコストを埋め合わ
せられると売り込んでいるが、詳し
く調べてみれば、そのような節約に
は効果がないかもしれない。
らず、稼働中の環境で敷設しなけれ
ばならないため、労務費がかさんで
ダウンタイムの可能性が高まるから
である。経路を追加する場合、天井
経路システムの追加に対応するため
に消火システムや照明を移動させる
必要が生じることがある。適切な気
流の妨げず新しい経路を設定できる
ように、床下空間を広げたり、キャ
ビネットを移動させたりしなければ
ならないかもしれない。
セントラル型KVMスイッチを使って
いる場合、初期のチャンネルは少な
くても、スター型配線システムを何
らかの方法で共存させる必要がある
だろう。新しい機器はチャンネルの
最小長/最大長が異なり、新規のチャ
ンネルが必要になることがある。機
器の進歩に伴って、将来の装置選択
をサポートするためにデータセンタ
ーに再びケーブリングシステムを追
加する必要が生じ、節約の効果が完
全に打ち消されてしまうかもしれな
い。
さらに調べてみると、ToRとポイン
トツーポイントには、概説した制限
以外にもデメリットがある。前述の
ラック1→ラック3シナリオまたはラ
ック2→ラック3シナリオのいずれも
、スイッチポートは特定キャビネッ
ト内のサーバー専用である。これは
ポート超過につながるおそれがある
。ラック/キャビネット1は、ラック
全体で26のサーバー接続しか必要な
いと仮定しよう。48ポートスイッチ
(ToRスイッチング)または48ポー
トブレード(ポイントツーポイント
サーバー-スイッチ接続)をこのキ
ャビネット専用とすると22 ポート
の超過追加ポートを購入し、その未
使用ポートの維持コストを支払うこ
とになる。
ケーブリングシステムを追加するに
は、より多くのコストがかかる。と
いうのも、経路やスペース、チャン
ネルはそのような追加を想定してお
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48ポートをすべて使用している場合
はもっと大きな問題が発生する。た
とえ1台でも新しいサーバーを追加す
るには、48ポートスイッチをもう1台
購入しなければならない。この場
合、新しいサーバーのネットワーク
接続が二つと仮定すれば46ポートの
超過がキャビネットに追加される。
この余分なポートは、たとえ休止状
態でも電力を消費する。二つの電源
がキャビネットに追加される。追加
のスイッチとポートにはメンテナン
ス費用と保証費用も伴う。
これらのToR技術の多くには、ケー
ブル長に制限がある。最大長は2~
15メートルで、ケーブリングシステ
ムよりコストがかかる。チャンネル
長が短いと、機器の設置場所が短い
ケーブル範囲内に制限される。ケー
ブリングシステムなら10GBASE-Tは
最大100メートルのカテゴリー6A、
7および7Aケーブルでサポートされ
データセンター内で機器配置のオプ
ションを広げることができる。
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POINT TO POINT
エニーツーオール(any-to-all)ストラクチャードケーブリングシステム
エニーツーオールの基礎となるコンセプトは至ってシンプルである。カッパー・ファイバーパネルは、中央パッチン
グエリアに設置されたパネルに対となるパッチパネルを各キャビネットに設置する。ファイバーはすべて、その同じ
中央パッチングエリアにある1セクションのキャビネット/ラックに配線される。これによって、あらゆる機器を設置
でき、カッパーパッチコードかファイバージャンパー線で他の機器に接続できる。パーマネントリンクの変更は必要
としない。経路とスペースについては、適切にケーブル配線を収納するために事前に計画する。この方法では予め必
要とするケーブル配線が増えるかもしれないが、データセンターの運用期間にわたって大きな優位点がある。これら
のチャンネルは電力を必要とせずアクティブな機器を追加する場合と違って繰返し発生する維持コストが必要なくな
る。適切に計画すれば、ケーブリングシステムは少なくとも10年は運用可能で、2世代か3世代にわたってアクティ
ブな機器をサポートする。ポイントツーポイントシステムに必要な追加機器は、ケーブリングシステムを交換するよ
り速く何度も交換やアップグレードが必要になる。機器交換コスト(継続的な維持コストを含まない)によって、ポ
イントツーポイントシステムでケーブル配線が減ることから得られる節約の効果が打ち消されてしまう。
図2:ラック/機器キャビネット列 — セントラルパッチエリア
エニーツーオールケーブリングシステム 例
青ライン = 銅 線
赤ライン = 光ファイバー
プライマリー
スイッチ
セカンダリー
スイッチ
ブレードサーバー
キャビネット
コントロールパッチングエリア
プライマリー
スイッチ
エニーツーオールパッチング
プライマリー
スイッチから
サーバーから
セントラルディストリビューション
エニーツーオール
赤ライン(ファイバー接続)はすべて、セントラルパッチングエリアの1カ所に接続される。これによってファイバー
接続が必要な機器を他のどのファイバー機器ポートにでも接続することができる。例えば、あるキャビネットに当初は
SANのファイバー接続を必要とするスイッチがあるが、後日ファイバースイッチ接続に変更する必要が生じた場合、二
つのポートを接続するために必要な作業は、セントラルパッチングエリアのファイバージャンパーの変更だけである。
カッパーについても同じことが当てはまるが、一部のデータセンターは機能によって、あるいはカッパーの長さや経路
の要件に基づいて、カッパー接続をより小さいゾーンにまとめている。ファイバーと同様にカッパーポートもセントラ
ルパッチングエリアからゾーン内にある他のどのカッパーポートにでも接続できる。
ケーブル配線規格は、2~3世代のアクティブな電子機器をサポートするために作成されている。「エニーツーオール」
構成は、チャンネルのパーマネントリンクを高性能のファイバー・カッパーケーブルを使って配線したら、ほとんど変
更の必要がないことを保証する。その結果、チャンネルがすでに存在しているので請負業者がMAC作業のために現場を
訪問する回数が減る。新しいケーブル配線チャンネルを導入する必要がなく、パッチコードで簡単に接続できるため、
機器の配備時間が短縮される。所定の経路やスペースは、設置するケーブル配線に適したサイズにすることができるた
め、冷却気流に影響を与えたり、いっぱいになりすぎたりすることはない。規格が成長に対応するケーブル配線の設置
を推奨していることを念頭に置いて、当初の接続性ニーズをサポートするだけでなく、予想される将来の接続性成長
ニーズも考慮に入れておく必要がある。
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高性能カッパー・ファイバーケーブル配線
インフラでは、数世代の機器が同じチャン
ネルを利用できるのでケーブルの再利用を
最大限に活用できる。すべてのスイッチポ
ートを利用できるためスイッチと電源の数
が減る。これらすべてがデータセンターの
グリーン要因に貢献する。
セクション1のポイントツーポイントToRシ
ナリオと対比させて電源とスイッチポート
の影響についてさらに説明すれば、「エニ
ーツーオール」シナリオでは、通常はシン
グルキャビネット(ToR)の48ポートを要
求に応じて、パッチングエリア経由で数台
のキャビネットに分割できるようになる。
専 用 の LANセ グ メ ン ト が 必 要 な 場 合 は 、
VLANかアドレスセグメンテーションを利用
して、他のセグメントから見えないように
することができる。
図3:ポイントツーポイントコネクション
POINT TO POINT
セントラルパッチングのスイッチポートは
それらを必要としないキャビネットの専用
ポートとはならない。したがって、パッチ
ングエリアではポートを他のどのポートに
でも接続できるため、アクティブなポート
を十分活用することができる。パッチパネ
ルには(規格に従って)チャンネルの相手
側の場所のラベルが貼られるため、管理や
ドキュメンテーションが改善される。パッ
チコードやジャンパー線を管理しやすく、
キャビネットがすっきりし、見 た 目 も 良
い。
対照的にポイントツーポイント配線では、
ラベリングはケーブルアッセンブリの端に
貼付されるラベルだけである。
トップオブラックビュー
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS
* *
* *
* *
* *
* *
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
* * * *
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
* *
* *
* *
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
* *
CENTRAL
CORE
CABINET
FIBER 2 PORTS
TO EACH
SWITCH
(40 PORTS
TOTAL)
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
48 PORT
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
SWITCH
14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS 14 SERVERS
* *
* *
* *
* *
* *
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
* * * *
* *
* *
* *
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
28 USED
20 SPARE
*
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
48 PORT
48 PORT
PATCH
PATCH
PANEL TO PANEL TO
CENTRAL CENTRAL
PATCHING PATCHING
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
48 PORT
48 PORT
PATCH
PATCH
PANEL TO PANEL TO
CENTRAL CENTRAL
PATCHING PATCHING
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
POWER SUPPLY
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
CENTRAL
PATCHING
AREA
TWO EACH
CHASSIS
SWITCHES
WITH 6-48
PORT
BLADES
* *
* *
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
48 PORT
48 PORT
PATCH
PATCH
PANEL TO PANEL TO
CENTRAL CENTRAL
PATCHING PATCHING
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
48 PORT
48 PORT
PATCH
PATCH
PANEL TO PANEL TO
CENTRAL CENTRAL
PATCHING PATCHING
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
576 PORTS TOTAL
16 UNUSED PORTS
48 PORT
PATCH
PANEL TO
CENTRAL
PATCHING
*
POWER SUPPLY
FIXED CHANNEL
PATCH CORD/JUMPER
例: 20台のサーバーキャビネットがありそれぞれのキャビネットが14台のサーバーを収納し二つのネ
ットワーク接続(合計560ポート)を必要とするデータセンターでは、ポート比較は次のようになる。
注:この表は、プライマリーネットワークとセカンダリーネットワークのVLANと冗長電源を仮定している。
冗長スイッチを使用すると数が倍になる。
スイッチ数
ポイントツーポイント
(ToR)
20 (1ラックに48ポート
スイッチを1台)
28接続/1ラック
エニーツーオール
(Any-to-All)
シャーシ2台
各々に48ポートモジュール
を6枚挿入
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電源数
(冗長化)
ポート数
未使用ポート数
40
960
400
4
576
16
5
POINT TO POINT
追加所要電力
キャビネット内の機器サービスを大きく制限する要因は電力である。現在アメリカでは、キャビネットに供給される平均
電力はおよそ6kWで、18~20kWのキャビネットに移行する傾向が見られる。スイッチポートが完全利用に達すれば、
キャビネットに供給される電力では、新しいサーバーや追加スイッチの負荷に対応できないかもしれない。キャビネット
に新たな電力が必要になる可能性がある。採用前に必要な電力の全体像を調べておくべきである。施設の観点から、二つ
のデバイスに十分な追加電力(冗長構成で四つの電源)を提供するのは不可能かもしれない。アップタイム・インスティ
テュートによると、あるクライアントは新しいブレードサーバーに2200万ドルの投資を認めたが、結局、サーバーの稼
働に必要な電力と冷却能力のアップグレードに5400万ドルかかり、投資額は7600万ドルになった2。
テキサス・インスツルメンツのボブ・ママノの「Improving Power Supply Efficiency, The Global Perspective」によ
ると、「現在、世界中で100億以上の電源が使われており、アメリカだけで31億を超えている」。これらの電源の平均
効率を10%高めただけで、損失電力を年間300億kWh削減し、年間約30億ドルを節約できる。これは新しい発電所4~6
基分の建設コストに相当する3。ToRモデルではアップグレードによりスイッチとサーバーの電源が増えると、導入に伴
う交換コストが増えるため効率的なアップグレードが難しくなる。エニーツーオールシナリオ(中央スイッチング・中央
パッチング)では必要な電源が少ないためアップグレードのコストが減る。
多くのデータセンターで、サーバー電源数を減らして機器の作業能率(kW/処理バイトまたは内蔵電力当たりのIT生産性
(IT-PEW))を高めるために仮想化が実施されている。仮想化によってサーバー数とサーバー用の「フロアスペース」
も減少する。これにより、部屋を冷却するための電力負荷も減少する。電源数が増えれば(ToR)、仮想化による節約の
効果が打ち消されるおそれがある。さらに、サーバーが廃棄されるにつれて必要なスイッチポートの数が減少する。ToR
構成では、これによって過剰なポート数が増える可能性がある。エニーツーオールシナリオでは、ダークファイバーやカ
ッパーケーブルが存在するが、これらはパッシブであり、電力を必要とせず、反復的な維持/保証コストがかからず、将
来他の機器のために再利用することができる。
電源効率は一つのファクターにすぎない。スイッチ-サーバー接続全体を適切に調べるには、処理負荷の割合、さまざま
な負荷のもとでの電源効率、必要な冷却、通信全体に必要な電圧を、データセンター全体の電力や効率の計算にあたって
考慮に入れなければならない。アップタイム・インスティテュートによると、3年間にサーバーに電力を供給して冷却す
る費用は、サーバーハードウェア価格の1.5倍に等しい。2009年から2012年までの3年間の予測によると、この乗数は
最良の場合でさえほぼ3倍になり、最悪の場合には22倍になる4。
あらゆるポート、ネットワーク、ストレージ、マネジメントなどが、サーバーの全体的な所要電力の一因となる。2006
年12月20日に制定された公法109-431に基づく米政府データセンターエネルギー研究によると、データセンター消費電
力の約50%が電力と冷却、29%がサーバー、そしてわずか5%がネットワーク機器に使われている。残りはストレージ
(非常に可変的な要因)、照明、その他のシステムに分けられる。ネットワーク構築の点から見れば、ポート消費や消費
電力はアーキテクチャ(すなわちSFP+、10GBASE-T、ファイバー)によって大いに異なる。メーカーの報告による電
力統計の多くは、スイッチ消費全体を示しているのではなく、一つのポートの消費に基づく電力にすぎず、スイッチの残
りの部分や、チャンネルの相手側にある高電力サーバーネットワークインタフェースカードを除外しており、特定のアー
キテクチャが魅力的に聞こえるように報告している。例えば、あるスイッチの消費電力が1ワット未満と報告されていて
も必要なサーバーNICは15~24ワットになることがある。
トリー・グループのケビン・トリーによると5、「電力調査を検討しており、RFP文書に電力効率を盛り込んでいる企業
は回答書で異なる条件で比較し分析するのに難儀している。というのも、様々な方法で数字が報告されていることがあ
り、共通RFPプロジェクト(www.commonrfp.com)に至る標準的な試験方法がないからである」。トリー・グループ
での試験によると、いくつかのスイッチは処理をASICチップから高電力で機能するCPUに代替えさせるためスイッチン
グ機能によって電力負荷が変わることがある。(ToR構成で使用されるような)エッジスイッチは、CPUでより多くの命
令を処理し、適切な試験を行わなければ分からない出力スパイクを発生させることがある。共通RFPの目標は、さまざま
なアーキテクチャやメーカーを審査・比較するための試験方法をエンドユーザーに提供することである。
6
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エンドツーエンド電力と様々な電力効率マトリクスは、主にトリーとアップタイム・インスティテュートに
よって提供されている。ベンダーの消費電力調査は、技術を実装するために必要な全体像を示していないこと
がある。両グループはデバイスの消費電力だけでなく冷却に伴う消費電力にも取り組んでいる。
POINT TO POINT
スイッチポート消費電力はほとんどの場合、チャンネルの相手側、サーバーNICよりはるかに少ない。図1に
示すように、ラック内部またはラック近辺の短いポイントツーポイント接続について一部のベンダー主導でネ
ットワーク構築が変化している。この変化の大きな原因は、10GbEカッパー接続のニーズに対しケーブリン
グシステムを利用する大量生産の低電力10GBASE-T接続がないことである。当初の10GBASE-Tチップの所
要電力は、スイッチやサーバーの所要電力にかかわらず1ポート当たり10~17Wだった。10GBASE-T用に
製造されるシリコンの所要電力がバージョンアップのたびに大幅に低下しているため消費電力の環境は急速に
変化している。カッパー10GbE通信にポイントツーポイントを使用していたとすればエニーツーオールケー
ブリングシステムとの共存によって省電力仕様10GBASE-T新技術を利用し機器を設置してパッチコードで接
続するだけで10GBASE-Tを実装することができる。
図3
フロアパネル下面付近
とキャビネット中間高
の温度比較
(illustrations provided by FloVENT)
冷却問題
冷却要件は重要な問題である。データセンターの機器配置選択がよくないと、有用性が50%低下4することが
ある。冷却要件は電力の関数として表現されることが多いが、機器の不適当な配置は最善の冷却計画に打撃を
与えかねない。ポイントツーポイントシステムは機器配置によって気流を封込めすることがある。
上の図3は、それぞれ床下とキャビネットの半分の高さで測定した温度を示している。電力と冷却にとって最
も有効な場所に機器を設置できれば、追加のPDU電源や場合によってはホットスポット用の補足冷却または
列内冷却を購入する必要がなくなる。ポイントツーポイント構成では、データセンター内のエコシステム決定
の一環としてではなく、追加スイッチ購入を回避するために空きスイッチポートが存在するキャビネットに配
置の選択が制限される可能性がある。この方法はホットスポットを生み出すことがある。ホットスポットは、
その冷却ゾーン内の隣接機器に有害な影響を与えかねない。エニーツーオールケーブリングシステムを利用す
れば、ToRの制限によって機器を配置するのではなく電力と冷却にとって最も有効な場所に機器を設置できる
ようになりホットスポットを減らすことができる。アップタイム・インスティテュートによると、ラックの上
から3分の1の場所に置かれた機器の故障率は下から3分の2にある機器の3倍である。ケーブリングシステム
は、電力を使用しないパッシブ部品(ケーブル配線パネル)が上方に置かれるため、下部に機器を冷却するた
めのスペースができる。データセンターが機器を十分に冷却していない場合、スイッチをToRに設置すると、
フロアパネル下から供給される冷気が上昇するにつれて暖まるため、熱が原因で早く故障する可能性がある。
結論。ポイントツーポイントのトップオブラック接続、またはエンドオブロー接続が有効な場合もあるが、施
設とネットワーク構築の両面から、総機器コスト、ポート利用および長期間の保守・電力コストも視野に入れ
た総合的調査を実施し、最良の総合的決定を下すべきである。
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POINT TO POINT
シーモン社は、データセンターのスタッフが非常にスケーラブルかつフレキシブルで維持しやすいシステムを
開発し、単独で、あるいはToRシステムを併用して各世代の機器をサポートするために、いくつかの製品を開発
している。シーモンのVersaPOD™は、そのようなイノベーションの1つである。
VersaPODTMシステムは、並列キャビネット
間の中央ゼロUパッチングゾーンを利用し、
このスペースによってカッパー・ファイバー
パッチングおよび19インチのラックマウン
トPDUをどのようにでも組み合わせ配置する
ことができる。1台のキャビネットにスイッ
チをマウントする場合、リセスコーナーポス
トによってキャビネット間の空間を利用し、
1台のスイッチでその空間の両サイドにある
サーバーキャビネットをサポートしスイッチ
ポートの利用率を高めることができる。これ
により必要なスイッチの数を減らしエネル
ギーを節約すると同時に、カッパーとファイ
バーの両方について用途の広い高密度のパッ
チングオプションを提供することができる。
シーモン社データセンターデザインアシスタ
ントサービス他、カテゴリ7A、Z-MAX6A シ
ールド・UTP、ファイバープラグ&プレーや
成端済カッパー・ファイバートランクケーブ
ル の情報はwww.siemon.co.jpまたは営業お
よび技術担当にお問合せ下さい。
図4:
VersaPOD™
1
2
DataCenter Dynamics, Data Center Trends US, 2008
Data Center Energy Efficiency and Productivity, Kenneth G. Brill, (www.uptimeinstitute.com)
Power Supply Efficiency, The Global Perspective” by Bob Mammano, Texas Instruments
The Economic Meltdown of Moore’s Law, The Uptime Institute (www.uptimeinstitute.com)
5 www.tolly.com and www.commonRFP.com
6 www.siemon.com/us/versapod and www.siemon.com
3
4
The Americas
Watertown, CT USA
Phone (1) 860 945 4200 US
Phone (1) 888 425 6165 Canada
www.siemon.com
Europe/Middle East/Africa
Surrey, England
Phone (44 ) 0 1932 571771
日本・東京オフィス
品川区東五反田5-23-1
電話 03 5798 5790
Central & South America
Bogota, Colombia
Phone (571) 317 2121
WP_Point_To_Point_ Rev. A 6/09
リファレンス:
Fly UP