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東京財団交流会: 今この を活かす力をつける

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東京財団交流会: 今この を活かす力をつける
東京財団交流会:
今 この○○ を活 かす力 をつける
市 場 開 拓 :ヒトをひきつけるWILLとSKILL
2006 年 6 月 29 日 開 催
パネリスト●オフィス町 内 会 事 務 局 代 表 半 谷 栄 寿 氏
●ヤフー㈱ 地 域 サービス事 業 部 菅 文 彦 氏
●Think the Earth プロジェクト
原田麻里子氏
●インディアナ大 学 フィランソロピーセンター 大 西 たまき氏
モデレーター●CAC―社 会 起 業 家 研 究 ネットワーク 服 部 篤 子 氏
司 会 ●東 京 財 団 内 田 晴 子
司会
服部
本 日 は暑 い中 お越 しいただき、ありがとうござ
ご紹 介 いただきました服 部 です。本 日 は
います。東 京 財 団 は今 年 から新 しい 企 画 を打 ち立 て
WILL と SKILL というテーマ、つまり、非 常 に篤 い志 と、
て行 きたいと思 っており、まさに今 日 は その第 1弾 で、
それから冷 静 な手 段 を持 った人 たちに集 まって頂 き
次 世 代 を担 う若 い方 々と社 会 のリソースを結 びつけて
ました。
いく場 を提 供 していきたいと思 っております。
そして皆 さま からも非 常 に 熱 い 質 問 をたくさん頂 戴
第 1回 目 の本 日 は、社 会 的 責 任 活 動 に関 心 の高
しています。そういった期 待 とこちらからのメッセージを
い方 々、事 業 型 NPO などのソーシャル・アントレプレナ
うまくつなげることができればと思 っています。大 役 を
ーに関 心 の深 い方 、CSR ご担 当 の方 、これからどうい
仰 せつかり光 栄 に思 います。
うふうに事 業 を起 こしていけばいいかお考 えをお持 ち
まず、このタイトルこそ人 を惹 きつけるものではないか
の方 などを対 象 にセミナーを企 画 しました。
と 思 いますが 、 本 日 の 講 師 の 皆 さん は、 2つ の 軸 をお
今 日 は第 1回 目 にふさわしい講 師 陣 の方 々をお迎
持 ちで、プロフィールを見 て頂 ければわかると思 います
えすることができました。アントレプレナーシップを持 ち、
が、1つはビジネスとか、企 業 とか、エコノミーとか、そう
WILL と SKILL を兼 ねそなえ、社 会 的 問 題 解 決 に取 り
いった軸 です。そしてもう1つがソーシャルとか、エコロ
組 み、未 来 を切 り開 いている方 々です。
ジーとか、社 会 貢 献 、そういった軸 です。
株 式 会 社 ヤフーでネット募 金 を立 ち上 げられた菅 文
両 方 の軸 をうまく掛 け合 わせてバランスをとる、そう
彦 さん。『世 界 を変 えるお金 の使 い方 』などで大 変 ア
い う 方 法 を 採 り 、 さ ら に そ れが 業 務 に も 、 ご 自 分 自 身
ーティスティックでセンスフルな事 業 を展 開 されており
の生 活 にも反 映 され、そういった WILL がある方 たちで
ます、Think the Earth プロジェクトの原 田 麻 里 子 さん。
あると理 解 しています。
15 年 前 、環 境 NPO オフィス町 内 会 を立 ち上 げられ、
さら に 「 市 場 改 革 」 と い う 言 葉 。 こ れは 営 利 の 世 界
そ の 後 も い く つも の 新 し い 事 業 に 果 敢 に 挑 戦 し て い る
では自 然 に使 われている言 葉 ですが、半 谷 さんのサ
東 電 の部 長 さんでいらっしゃるという半 谷 栄 寿 さん。
イトに、「ボランティア活 動 から始 まった白 色 度 70、こ
最 後 に、東 京 財 団 の短 期 委 託 研 究 を行 って頂 きま
れ、 白 い 紙 じ ゃ なく て、 70 度 の 白 さ でい いん じゃ な い
した、アメリカの資 金 調 達 事 例 などに大 変 詳 しい大 西
かというエキサイティングな内 容 、その白 色 度 70 は社
たまきさんです。本 日 はアメリカからいらして頂 きまし
会 的 な仕 組 み と して の 評 価 を 得 た わ けで す 」 と い う 文
た。
章 が出 てきました。これが市 場 開 拓 なんだと理 解 しま
本 日 は、CAC 社 会 起 業 家 研 究 ネットワークの服 部
した。
篤 子 代 表 に会 のコーディネーションをして頂 きます。ど
今 日 はそれぞれの立 場 から人 を惹 きつける WILL と
うぞよろしくお願 いします。
SKILL についてお話 を頂 きたいと思 います。よろしくお
願 いします。
-1-
原田
Think the Earth プロジェクトの原 田 と申 しま
元 々 大 学 の と き から 、 「 社 会 に 還 元 で き る 仕 事 っ て
す。Think the Earth プロジェクトは 2001 年 2月 に立
何 だろう」と考 えていて、もちろん企 業 に勤 めて、その
ち上 げたまだ新 しい NPO ですが、主 に社 会 と NPO、社
企 業 の 中 で 世 の 中 の 人 のために 何 か するということ も
会 と企 業 、企 業 と NPO をつなぐお仕 事 をさせて頂 いて
あったと思 いますが、たまたま学 生 のときに訪 れた小
います。
笠 原 、父 島 、母 島 の美 しさに感 動 して、こういうきれい
な と こ ろを 守 り た い な と 思 っ て 、 なん と な く 環 境 に 関 わ
今 日 は「WILL と SKILL」というテーマを頂 いたので、
る仕 事 がしたいなと思 ったのです。
私 がどういう思 いでこの活 動 をやっているかについてお
でもその当 時 はそんな就 職 先 はなかなか見 つけら
話 しさせて頂 けたらなと思 っております。
れなかったので、リサイクルってなんとなく環 境 かなと
今 日 来 られた方 は、多 くの方 がファンドレイズの仕 方
思 って、そこに勤 めたというのが経 緯 です。
や、どうやって人 の共 感 を得 たらいいんだろうと悩 んで
いらっしゃると思 うのですが、私 は正 直 、どうやってファ
ンドレイズをするかというお話 はできません。それは大
そこから始 まったネットワークで、たとえばリサイクル
西 さんにおかませするとして、ここでは私 たちのマスに
や、フリーマ ーケット をやっている市 民 団 体 に勤 め た り、
広 げるアプローチについてお話 しします。
大 学 の先 輩 が国 会 議 員 になったので議 員 の秘 書 を
やりながら、その中 で環 境 政 策 を手 伝 ったり、そういっ
た数 え切 れないほどの市 民 団 体 や NPO 関 係 の仕 事
(PPT の)タイトルに「当 たり前 がむずかしい」とありま
をしてまいりました。
すが、以 前 、NHK の番 組 で洋 菓 子 のパティシエの特
集 がありました。その方 はフランスで長 く修 行 をされ今
その中 で一 番 気 になっていたのは何 か、やればやる
で は 日 本 で 有 名 に な っ て います が 、 そ の 方 に 、「 仕 事
ほど行 き詰 まったのは何 かというと、今 日 この場 にいる
をする上 で何 が一 番 大 事 か」ということを聞 いたときに、
NPO の方 も感 じていらっしゃるのではないかと思 います
「当 たり前 のことを当 たり前 にやるということが、実 は一
が、「広 がらない」、「なかなか理 解 してもらえない」とい
番 むずかしいんだ」と答 えていました。
うことです。
みんなに感 動 してもらえるお菓 子 を作 るのに一 番
大 事 なことはそれだと仰 っていたのを聞 いて、NPO の
新 しい形 というのはどんなものなんだろうというのを
世 界 で も 同 じだ な と と て も 深 く う なず い た 記 憶 が あ りま
模 索 してみたりもしたのですが、やはり自 分 だけでは手
す。そんな気 持 ちを元 にこのタイトルをつけました。
に余 るなというところがあったのです。そんなときに話 を
頂 いて、ここはおもしろそうだと思 って参 加 したのが
Think the Earth です。
実 は10数 年 前 にパネリストのお一 人 である半 谷 さ
前 段 が長 くなりましたが、Think the Earth プロジェク
んにお会 いしているんです(笑 )。私 は大 学 を卒 業 して
トについて簡 単 にご説 明 させて頂 きます。
一 番 最 初 に 勤 め たのが、 リサイクル業 界 の 資 源 新 報
社 という小 さな業 界 紙 でした。
本 当 に小 さな業 界 紙 だったのですが、入 社 したて
広 がらない、なかなか伝 わらないという思 いを、NPO
のとき、「リサイクル」というカテゴリーが、それまでと違
側 にいてずっと思 っていた私 が、なぜ Think the Earth
う「環 境 」という側 面 で生 まれた頃 でした。それまでぼ
に共 感 したのかというのと、「Think the Earth プロジェ
ろ布 のリサイクルとか、鉄 くずとか、古 紙 とか、そういう
クト」というのは、ひとことで言 うと、「日 常 生 活 の中 に
話 題 しかなかったところを、牛 乳 パックの回 収 をイトー
地 球 や社 会 のことを考 えるきっかけ作 り」をしていこう
ヨーカドーさんが始 めたといった新 しい情 報 が次 々に
というものです。
たとえば、いまワールドカップが開 催 されていますが、
入 ってきました。
91 年 、92 年 頃 だったと思 いますが、そのときにちょ
サッカーが好 きな方 は、朝 から晩 までワールドカップの
うど 半 谷 さん がオフ ィ ス町 内 会 を 立 ち 上 げら れ、 私 が
こ と を 考 え て い る と 思 い ま す 。 そ れに 合 わ せ て 自 分 の
取 材 をさせて頂 いて、小 さな記 事 にさせて頂 いたりし
行 動 がついてくるものです。
当 たり前 に日 常 の中 で思 っているように、ワールドカ
ました。
-2-
ップが気 になるのと同 じぐらい地 球 のことを考 える、自
うのはなかなか一 朝 一 夕 には身 につかずに、それで
分 の庭 のように地 球 のことを考 えられるような、そんな
皆 さん悩 んでいるのだと思 います。
そして三 つ目 が、私 たち一 人 ひとりの意 識 に関 する
き っか け 作 り が で き たら い い な と いう こ と で、 Think the
ことです。環 境 や戦 争 のこと、ものを食 べられなくて困
Earth を立 ち上 げました。
っている子 がいるとか、今 の日 本 で大 きいのは、やはり
子 供 が子 供 を殺 したりとか、子 供 が親 を殺 したりという、
Think the Earth のもう1つの大 きな柱 として、「エコ
そう い う 社 会 的 な 重 い 課 題 をた く さ ん 抱 えて いる 中 で 、
ロジーとエコノミーの共 存 」ということを掲 げました。
自 分 のこととしてどれぐらい捉 えられるだろうか。
企 業 というのは元 々悪 いことをするためにあるので
はなく、社 会 のためになること、世 の中 の人 が喜 ぶこと
さきほどのサ ッカーの話 の ように、 自 分 の身 近 な関
をするためのもので、それは NPO でも同 じだと思 うんで
心 には、1日 中 頭 を使 えても、他 のことまでなかなか
す。社 会 のためにきちんと活 動 するということは、自 分
考 えられないものです。
たとえ考 えたとしても、それに対 して自 分 ができるこ
たちで自 立 できた方 がいいという点 で、エコロジーとエ
と は 限 ら れて い る の で 、 突 き 詰 め て 考 え る と 一 歩 も 進
コノミーの共 存 というのを考 えています。
めなくなってしまうので、そこでなんらかの形 で意 識 を
シャットダウンしているのだと思 います。
もう1つ、エコロジーとエコノミーの共 存 の中 のポイン
その無 関 心 とあきらめ感 を少 しでもなくしていけたら
トとしては、企 業 と NPO の活 動 双 方 がポジティブに一
いいなという気 持 ちで活 動 してまいりました。
緒 に回 っていくようになればいいなということです。
そのために私 たちは、企 業 がお金 を出 し、それを私
たちが、たとえばイラクの子 供 に届 けるということではな
非 営 利 組 織 と い う の は 、 と か く 内 輪 受 け に なっ て し
く、企 業 と一 緒 に事 業 を立 ち上 げて進 めていくというよ
まい、外 に広 げるという意 識 に向 かないという点 は、た
うなことを少 しずつやっています。
ぶん皆 さんもわかると思 います。
日 々の仕 事 の忙 しさにかまけてしまったり、お金 が
企 業 と NPO を結 ぶ、NPO と世 の中 を結 ぶというイメ
ージ、つまり、世 の中 の人 、企 業 、団 体 、個 人 と NGO、
ないからできないと思 ってしまったりというあきらめもあ
NPO のちょうどその間 に立 ってコーディネートをするとい
ると思 いますが、そこをなんとか企 業 の力 とアイデアで
うのが私 たちの大 きな仕 事 です。
一 緒 に通 り抜 けられないかと、考 え続 けています。
Think the Earth として大 事 にしているのは、わかりや
Think the Earth プロジェクトが活 動 を始 めた背 景 に
すい言 葉 遣 いであったり、手 にとってもらえるデザイン
は3つありました。
であったり、バランス感 覚 というものです。
一 つ 目 は 企 業 の 社 会 的 責 任 に 関 すること。日 本 で
企 業 の社 会 責 任 、社 会 的 責 任 投 資 、こういう言 葉 が
極 端 な意 見 は、別 の意 見 の人 の耳 を閉 じてしまう
出 てき始 めたのが 90 年 代 の終 わりから 2000 年 の頭
ので、なるべく、「色 々な意 見 がある中 で、あなたはど
ぐらいだと思 います。そのときに日 本 の企 業 は、企 業
う考 えますか」という提 示 をしています。
の社 会 的 価 値 をいかに出 していくかということに取 り組
また、私 たちの組 織 の強 みは色 々な畑 出 身 の方 が
み始 めたのです。
それまでというのはいいことをしていても黙 っていた
集 まっているという点 です。私 は NPO 出 身 ですが、他
方 が い い とか 、 いい こ とを し ても 宣 伝 の た めに や って い
のスタッフは、たとえば広 告 代 理 店 や企 業 の広 報 や
るんじゃないかと言 われたりしていたのです。もちろん
スーパーマーケットで棚 卸 しをやっていた人 間 などが
先 進 的 な企 業 はもっと先 にやっていたと思 いますが。
います。
二 つ目 は、NPO に対 する社 会 的 認 知 と運 営 の 現
色 々な人 間 が関 わってやっていることで、様 々な視
実 。ご存 知 のとおり NPO 法 が 98 年 に成 立 してから毎
点 ・感 覚 も入 れながらやっているということは大 きな強
年 、倍 々の勢 いで NPO 法 人 の数 が増 えていったので
みだと思 っています。
すが、お金 を回 す仕 組 みやマネジメントの仕 組 みとい
-3-
こうした活 動 の基 本 にあるのが、最 初 にお話 しした
そもそもなぜヤフーが社 会 貢 献 なのかというと、おそ
「当 たり前 がむずかしい」ということです。仕 事 をこなす
らく社 会 貢 献 で思 い浮 かべる企 業 はというアンケート
ことを 考 える と、 一 番 大 事 なことを 置 き去 りに して 、 何
をとると、トヨタ自 動 車 さんやイオンさんとか、そういった
のためにやっているのか見 失 ってしまうことがあります。
そうそうたる名 前 が挙 がります。
たとえ ば 来 月 セミナーを や るとし て、 そ のため にこ れ
物 は試 しで、外 部 リサーチ会 社 の協 力 を得 、「社
とこれが必 要 で…と考 えていると、何 のためにセミナー
会 貢 献 していると思 う企 業 を答 えてください」というア
をやるかわからなくなってしまう。
ンケートをとってみたところ、なんと 2,700 人 ぐらいの中
で 、 ヤ フー と 答 え た 人 は 5 人 ぐ ら い しか い なか っ た ん で
私 たちは、何 を伝 えたいのか、何 をやりたいのかを
す(笑 )。現 状 をみれば、仕 方 がないと思 っています。
常 に 意 識 す るため にも、 いわ ゆる 流 行 を 追 う ので は な
なぜ仕 方 がないかというと、やはり企 業 としての年 数
くて、作 る、見 つけるということを大 事 にしています。
もまだ 10 年 で、非 常 に若 い。社 員 も若 いし、あまり社
それを繰 り返 すこと、当 たり前 の繰 り返 しが、非 営
会 貢 献 という意 識 を持 つことがなかった。
利 活 動 や社 会 貢 献 活 動 を、特 別 な人 たちがやって
いる特 別 なことだと思 われずに、当 たり前 のことだと思
しかし世 間 的 にも CSR といったトレンドが台 頭 してき
ってもらえることにつながり、最 終 的 に市 場 の拡 大 、い
たこ とも あ り 、 ここ 1、 2 年 で 一 気 に 社 会 貢 献 的 な取 り
わゆる 非 営 利 市 場 拡 大 とい う とこ ろに つなが るの で は
組 みが本 格 化 しています。
ないかと考 えています。
具 体 的 には、最 近 だと、環 境 省 主 催 の「チームマイ
服 部 ファンドレイジングの話 はできないと仰 ってまし
ナス6%」という地 球 温 暖 化 のキャンペーン。それをヤ
たが、最 後 のフレーズはまさにファンドレイジングのヒン
フーでも特 集 ページを立 ち上 げてキャンペーンを行 い、
ト、宝 庫 のようなお話 でした。
1人 でも多 くの方 に知 って頂 こうという広 報 宣 伝 面 で
の協 力 をしています。
Think the Earth さんと山 本 先 生 がお作 りになった
『 世 界 を 変 え る お 金 の 使 い 方 』 ( ダ イ ヤ モ ンド 社 ) は 非
ま た 、 HIV ・ エ イ ズ の 「 レ ッ ド リ ボ ン キ ャ ン ペ ー ン 」 や 、
常 に タイト ル も 良 く、 本 日 会 場 で も 売 って います が 、こ
乳 ガン の 検 診 を 受 け ま し ょ う と い う 「 ピ ン ク リ ボ ン キ ャ ン
れからはお金 の貯 め方 ではなく使 い方 なんだというメッ
ペーン」など、季 節 に応 じてそうした特 集 を、2か月 間
セージがタイトルになっています。
前 後 のスパンでやっています。
では、続 いて菅 さん、お願 いします。
そのほか、「ヤフー基 金 」という組 織 も設 立 され、財
菅 ヤフー株 式 会 社 の菅 と申 します。よろしくお願 いし
団 とまではいきませんが、ヤフーらしい活 動 をしたいと
ます。ヤフーの HP 画 面 を見 ながら何 をやっているのか
いうことで、インターネットのセキュリティとか、障 害 を持
を先 にご紹 介 してから、自 己 紹 介 させて頂 きます。
つ 方 のパソコ ン使 用 とか 、 インターネット がらみの活 動
をされている NPO への助 成 を最 近 始 めました。
世 間 的 にはまだ知 られていないですが、これから少
ヤフージャパンのホームページで、ほとんどの人 は気
しずつ広 報 をしていきたいと思 っています。
づかないんですが、トップページの一 番 下 に「社 会 的
な取 り組 み」とあります。
ここをクリックして頂 くと、ヤフーの行 っている社 会 貢
サイト 上 、「ヤ フージャパンのサービスを 通 じ た社 会
献 がインデックス的 に網 羅 されていて、日 々更 新 され
貢 献 」 の 左 側 、 「 社 会 貢 献 サ ー ビ ス」 は 、 特 集 と は 違
ています。
って、いわゆるヤフーの既 存 のサービスの中 で何 か社
これ全 部 を自 分 が1人 でやっているわけではありま
会 貢 献 らしいことをやっていこうというもので、基 本 的
せん。そ の 中 で 、Yahoo ボラ ンティア というサ ー ビ スと
には、広 告 は 一 切 取 らず に非 営 利 ベ ースで運 営 して
か、災 害 情 報 とか、あとはインターネット募 金 とか、
います。
そ の 中 で 、 「 Yahoo! ボ ラ ン テ ィ ア 」 は 簡 単 に 言 う と 、
NPO 活 動 に 非 常 に 近 い 立 ち 位 置 で 仕 事 をさ せて 頂
ボランティアのマッチングを行 うサービスです。ボランテ
いています。
-4-
ィアしたい人 と、ボランティアを求 めている団 体 の出 会
どと言 われた時 期 ですが、オンラインショッピングモー
いというのはむずかしいと思 うんです。そこをインターネ
ルの募 金 版 ができればおもしろいと思 いついたんで
ットの 検 索 機 能 を 使 って 行 う 試 みで すが、まだ見 つけ
す。
や す い よ う に は な か な か な っ て い ま せ ん 。 ボラ ン テ ィア
アメリカのサイトなどを見 ると、「ドネーション・オンライ
募 集 の掲 載 件 数 がまだ限 られており、検 索 してもニー
ン 」 な どイ ン タ ー ネ ッ ト 寄 付 とか 、 募 金 を 行 う の が う ま く
ズとニーズが合 わないという事 例 がまだ多 いのが現 状
いっていることを知 り、日 本 でも同 様 のものがあるかな
です。これからどんどん改 良 を重 ねていきます。
と思 って探 してみたら、当 時 なかった。それで、やって
しまえと思 って、「ぼきんやドットコム」というネーミングを
つけて始 めました。
また「インターネット募 金 」では、最 近 だと、先 月 のジ
最 初 は 10 団 体 ほどの参 加 だけでしたが、メディア
ャワ島 の地 震 被 災 地 救 援 に対 して約 500 万 円 が集
で紹 介 されて、最 終 的 には 100 団 体 ぐらいまで増 え
まり、日 本 赤 十 字 社 に寄 付 しました。
て、インターネット募 金 のモデルができました。
仕 組 みは、壁 紙 という商 品 をネット上 で購 入 頂 いて、
その売 り上 げの 100%を寄 付 するというものです。
しかし、農 業 や植 林 とか、非 常 にリアルな世 界 での
将 来 的 には、ネットバンクとか電 子 マネーとか、
活 動 の他 方 、インターネット募 金 をそのまま続 けていく
色 々な決 済 スキームも導 入 したいと思 っています。
のはむずかしい側 面 がありました。
「Yahoo!災 害 情 報 」は 2005 年 9月 に立 ち上 げた
そうこうするうちに、ヤフーでインターネットならでは
ばかりです。色 々な災 害 情 報 を発 信 して防 災 に備 え
の社 会 貢 献 として、募 金 をやりたいという話 が立 ち上
てもらうことが目 的 のサービスです。
がり、インターネット募 金 のノウハウを活 かせないかとい
うことで、去 年 の8月 に転 職 しました。
また、日 本 国 内 で地 震 が起 きると、ヤフージャパン
のサイト上 に速 報 が掲 載 されます。これは好 評 をいた
服部
だいています。
ここまで、色 々なキャンペーンやプロジェクトを
展 開 していく Think the Earth さん。そしてインターネッ
「チャリティーオークション」では、芸 能 人 やスポーツ
トを利 用 するという形 で展 開 しているヤフーの菅 さんの
選 手 のサイン付 きの何 かを出 品 して頂 いて、落 札 した
お話 を伺 いました。
金 額 をすべて NPO に寄 付 する活 動 も行 っています。
では次 は、半 谷 さん、お願 いします。
チャリティーオークションは非 常 に人 気 が高 いです。
半 谷 本 日 は2つの資 料 を用 意 しました。「環 境 NPO
新 しい社 会 貢 献 サービス、とくに募 金 、ボランティア、
オフィス町 内 会 」と新 聞 のコピーです。15 年 前 から継
災 害 サイト、もっとこういう仕 組 みを使 った方 がいいと
続 している活 動 に、最 近 新 しい活 動 が入 り、『朝 日 新
か、特 集 やインタービューなどのいわゆる企 画 ・編 集
聞 』と『岩 手 日 報 』に取 り上 げられました。
をさせてもらっています。
今 日 参 加 されている皆 さんの「参 加 の動 機 」や「質
僕 は 1996∼2004 年 まで、財 団 法 人 オイスカとい
問 の内 容 」を拝 見 しました。「社 会 起 業 家 」、「ファンド
う NGO に所 属 していました。
レイジング」という言 葉 がたくさん出 てきます。そして
農 学 部 出 身 で森 林 関 係 の仕 事 に関 心 があり、海
「WILL」と「SKILL」という言 葉 。
外 での植 林 プロジェクトなどに携 わりたくてオイスカに
この4つがたくさん出 てきますので、皆 さんの問 題 意
入 ったのです。最 初 の1年 は念 願 かなってフィリピンの
識 はそこに集 約 されると思 います。
ミンダナオというところへ植 林 プロジェクトのアシスタント
一 方 で、皆 さんは社 会 起 業 家 としてこうありたいと
で行 きました。
いうご自 分 の WILL はもうお持 ちのはずなので、私 がど
んな WILL でオフィス町 内 会 を立 ち上 げたのかという
そんな中 、ちょうど 2000 年 に、日 本 でも IT 革 命 な
話 は、時 間 があれば後 ほどご質 問 に答 える形 にして、
-5-
特 に 私 の 場 合 は 利 益 を 求 め る 経 済 性 で は なく て 、
SKILL とファンドレイジングのところに特 化 してお話 しし
継 続 するための経 済 性 というものに最 初 からこだ わっ
たいと思 います。
ています。
私 たち 企 業 がオフィスか ら古 紙 を 出 すと、それを ゴ
ミにしてしまっていました。先 ほど原 田 さんが 1991 年
オフィス町 内 会 の発 想 はこういうものです。
と お っ し ゃ い ま し た が 、 当 時 家 庭 で は ゴ ミを 分 別 し てリ
まず会 員 企 業 の経 済 性 ですが、会 員 企 業 には、
サイクルするのがす でに当 たり前 に なっていま し たが、
キロ当 たり 16 円 という回 収 経 費 を負 担 してもらってい
企 業 の 中 で は 使 い 捨 て の 紙 を ゴ ミ に し て しま う の が 当
ます。
オフィス町 内 会 は特 色 があるとすれば、15 年 前 、
たり前 でした 。分 別 ボック スはまったくなくゴミ箱 し かな
日 本 で初 めて古 紙 を出 す側 が回 収 経 費 を払 うという
かった時 代 です。わずか 15 年 前 のことです。
仕 組 みを始 めたという点 です。
そのとき私 は、1つの企 業 ではなく共 同 してやった方
ご家 庭 でゴミを出 したときには、トイレットペーパーな
がうまくいくのではないかという WILL を持 って、1991
どに交 換 すると思 いますが、オフィス町 内 会 は逆 です。
年 に「オフィス町 内 会 」を設 立 しました。
これが当 時 としては初 めての仕 組 みでした。
現 在 では 、1,112 社 の 会 員 企 業 、 回 収 会 社 の パ
ートナーは 40 社 に上 ります。昨 年 1年 間 の古 紙 回 収
ただし 、 1 キロ の 古 紙 をオ フィ スが 出 し ますと、 東 京
量 は 7,433 トンで、7,000 トンというのは、だいたい関
都 の標 準 の負 担 金 は 28 円 です。要 するにゴミにすれ
東 地 域 の 1,000 分 の1に当 たります。
ば 28 円 の負 担 金 を企 業 は負 担 します。
たとえば日 本 財 団 、東 京 財 団 もそれを負 担 してい
ます。テナントとしてビルに入 っている方 は、テナントと
共 同 の回 収 定 期 便 を運 行 しますが、40 社 の回 収
しての共 益 費 の中 にそのコストが入 っています。
会 社 が 1,112 社 の間 を回 るのですが、たとえば1週 間
で 2 ト ント ラ ッ ク を い っ ぱ い に す る 古 紙 を 出 す 会 社 が あ
1キロの古 紙 をゴミにして 28 円 負 担 するのか、共
る一 方 で、1カ月 で 50 キロの小 規 模 な企 業 もありま
同 で回 収 して 15 円 で済 むのかという話 です。40%の
す。
コ スト ダ ウ ン で す か ら 、 止 め る 企 業 は あ り ま せん 。 継 続
するための経 済 性 に最 初 からこだわっています。
2,000 キロ積 めるトラックで、50 キロの古 紙 を集 め
に来 てくださいと言 われても、経 済 的 に合 いません。そ
次 に、私 たちは誰 に対 して負 担 しているかというと、
こで、田 舎 にあるような町 内 会 をオフィス街 に創 ろうと
回 収 会 社 に対 して負 担 しています。回 収 会 社 は問 屋
思 い立 ったのです。
に古 紙 を売 る売 上 はありますが、これでは車 の償 却
たとえば東 電 のオフィスに来 たついでに、数 百 メート
代 や人 件 費 はなかなか出 ません。
ル先 のビルに入 っているオフィスの 50 キロの古 紙 を回
そこでオフィス町 内 会 はキロ 10 円 の固 定 費 をパー
収 していく。そうすれば回 収 の輪 が広 がります。
トナーである回 収 会 社 にお支 払 いしています。
オフィス町 内 会 は 西 新 橋 に事 務 局 を設 けていて、
これによってわれわれのパートナーである回 収 会 社
社 会 的 意 欲 の あ る 女 性 ス タ ッ フ 2 人 が 、 こ の 1,112
が経 済 的 に回 収 の担 い手 であり得 るのです。
社 の会 員 企 業 と 40 社 の回 収 会 社 の調 整 を毎 日 運
営 して、15 年 になります。
古 紙 回 収 業 に 、 魅 力 あ る 事 業 に なっ て 頂 き た い と
思 います。パートナーとしての経 済 性 をどのように担 保
オフィス町 内 会 は 任 意 団 体 な のですが、15 年 前
することができるのか、そういう意 味 で、ゴミにするより
は NPO 法 もなく銀 行 に口 座 を開 くのも大 変 でした。
も割 安 なキロ 16 円 を会 員 企 業 に負 担 してもらって、
いまや法 人 格 を取 らなくても色 々活 動 できるので、
そのうちのキロ 10 円 を回 収 会 社 にお支 払 いし、残 りの
あえて任 意 団 体 のままでいます。
キロ6円 を事 務 局 経 費 や新 しい活 動 に充 てていま
一 方 で 、 経 済 性 に は こだ わっ てい ます 。 な ぜか とい
す。
うと、どんなにいいことでも、経 済 的 に確 立 できないと
継 続 できません。
-6-
勿 論 、使 っている紙 のすべてではありませんが一 部
最 後 に、「森 の町 内 会 」という現 在 取 り組 んでいる
であっても、少 しずつたくさんの企 業 に使 って頂 ければ、
新 しい活 動 についてお話 します。
森 の間 伐 経 費 は出 るのです。
こういう新 しい活 動 も、先 ほどの事 務 局 経 費 の中 か
ら出 しています。そういう意 味 では、オフィス町 内 会 の
ファンドレイジ ングは、 会 員 企 業 の 会 費 で賄 っており 、
服部
決 して東 電 のオフィス町 内 会 ではありません。
ティブで会 員 会 社 を次 々に増 やしていくというもので、
オフィス町 内 会 のお話 は、経 済 的 なインセン
新 しい挑 戦 の方 は非 常 に時 代 を反 映 したものです。
現 在 日 本 の森 は、15 年 前 の古 紙 回 収 業 界 に似
ています。林 業 は、昭 和 30 年 代 を境 にして国 産 材 が
日 本 の 先 駆 的 な 話 が た く さん 出 て ま い り ま し た が 、
使 われておらず、非 常 に衰 退 が心 配 されています。
ご存 じのように、大 西 さんはファンドレイジングの実 績
林 業 が衰 退 すると木 材 が売 れず、木 材 が売 れな
があり、またその研 究 にも詳 しいということです。今 日
いと山 の手 入 れがうまく行 かない。
は日 米 のお話 をして頂 きます。
端 的 に言 うと、木 材 をしっかりと育 てるための間 伐
が な さ れず 、 間 伐 が さ れ な い と 木 材 と し て 立 派 に なら
大 西 私 が思 うに、ファンドレイジング、つまり、手 法 や
ないだけでなく、CO 2 の吸 収 量 も下 がります。
アイデアによって色 々なつながりができるということ。ず
洪 水 になると地 面 が弱 くて、崖 崩 れなども起 きやす
っ とつ な が っ て 気 が つ い た ら お 金 が 入 っ て い る と いう こ
くなると言 われています。
とがけっこう多 いです。
オフィス町 内 会 は、15 年 ぶりに新 しい志 を持 ちまし
本 日 皆 さんのお話 をお伺 いしていて、かなり興 奮 す
た。これは私 にとってはチャレンジです。
るキーワードがいっぱい出 てきました。
現 在 、岩 手 県 岩 泉 町 の町 長 さんと意 気 投 合 し、コ
最 初 の Think the Earth の原 田 さんのお話 の中 で、
スト構 造 をこう考 えています。
「無 関 心 をなくす」という言 葉 。「関 心 をいかにもっても
間 伐 は実 際 の費 用 の他 に輸 送 経 費 がかかります
らうか」ということが、実 はファンドレイジングで寄 付 者 を
が、間 伐 した木 材 を売 却 した代 金 と、国 からの補 助
引 き込 むのに最 も大 切 なことだと言 えます。資 金 のた
金 では賄 えません。
めだけでなく、その目 的 である社 会 問 題 の解 決 のため
そこで賄 えない部 分 を、われわれが負 担 します。ゴ
にも、いろいろな人 に「 関 心 をもっても らう」ことが根 本
ミにするよりも安 い形 で経 済 性 を回 しているオフィス町
にあると思 います。
内 会 とは逆 の発 想 です。
ですから無 関 心 をなくすというのはすごく簡 単 で、と
どうやって補 填 するかというと、この間 伐 材 を入 れ
てもありきたりな表 現 のような感 じですが、実 は非 常 に
た紙 をいま作 っています。この紙 代 に約 10%載 せた、
大 きいと思 います。
要 するに私 の言 葉 でいうと、「森 へのお年 玉 」を森 の
健 全 化 のために協 力 してもらうのです。
ルワンダ内 戦 に関 して、最 初 アメリカは無 関 心 を決
め込 んでいました。あれは虐 殺 ではないと。だから何 も
今 は、企 業 として価 値 のある活 動 には寄 付 をしよう
しなくていいとクリントン政 権 は判 断 したのですが、結
という時 代 です。だから私 は、いまだったらこの活 動 に
局 それがとても大 きな問 題 になり、今 でもクリントン政
賛 同 する企 業 もあると思 ったのです。
権 の汚 点 として指 摘 される。
たしかに 10%のコストアップは大 きいですが、それは
実 は無 関 心 というのは、人 をあれだけ殺 してしまうぐ
その企 業 や組 織 の環 境 活 動 として位 置 づけて頂 けれ
らい恐 ろしいことにつながる、だから無 関 心 の問 題 とい
ばいいんです。
うのは非 常 に大 きいと思 います。逆 に言 うと無 関 心 で
すでに東 京 電 力 、第 一 製 薬 、パレスホテル、モスフ
いられ な い 人 や 団 体 がつ ながるこ とで 、 社 会 を 変 える
ードサービス、アサヒビール、東 芝 の6社 がこのお年 玉
ような動 きにもつなげられる。
付 きの紙 を使 っています。
-7-
今 日 は、技 術 的 な話 ではなく、私 がなぜここにいて、
だから、原 田 さんは、まさに「つながり」のお話 をされ
こういうことをしているか簡 単 にお話 します。
たと思 うんです。すごく立 派 に企 画 書 を作 っても、人 と
人 とのつ なが りが見 つけら れないと き 相 手 は 絶 対 に お
履 歴 書 にもありますが、ここ9年 くらいアメリカにいま
金 を出 さない。人 とどうつながっていくか、そのルートを
す 。 元 々 カ ー ネ ギー ホー ル の 企 業 相 手 の フ ァン ド レ イ
開 拓 することが大 切 だと思 います。
ジ ン グを 担 当 し 、 そ の 次 に 公 共 テ レ ビ 局 に 入 り 、 現 在
よ っ て 、 いま の 時 代 、 な る べ く 多 く の 人 と つ な が って
は大 学 を拠 点 に、ファンドレイジングの比 較 調 査 、新
いくことが重 要 です。でも日 本 人 の場 合 は、私 もそうで
しくマーケットを作 る仕 組 みや寄 付 商 品 の調 査 、さら
すが、アメリカ人 と違 って1対 1で交 渉 するというのは
にフィランソロ ピー教 育 、つ まり社 会 貢 献 する側 にと っ
苦 手 な 方 が 多 い と 思 うの で、やはりイ ンターネット上 で
て、いかに社 会 貢 献 活 動 に関 する壁 を低 くし、関 心 を
コネクトすることは非 常 に有 効 性 がある。そこに、菅 さ
もってもらえるかというプロジェクトをしています。
んがされている、ヤフーの意 味 が大 きくあるわけです。
そもそもファンドレイジングに関 心 をもった原 点 は、
音 楽 高 校 時 代 に遡 ります。
半 谷 さんのお言 葉 の中 で私 が一 番 共 感 したのは、
クラシック音 楽 はかなり特 殊 な世 界 で、義 理 チケッ
「15 年 継 続 されて初 めてこれ(森 の町 内 会 )ができる
ようになった」というものです。誰 もしなかった時 代 から、
トというのがあります。ピアノの先 生 は自 分 がコンサート
価 値 を見 いだし、信 じてこれだけ長 く継 続 する、その
をするとき、生 徒 に1枚 4∼5000 円 のチケットを3枚 と
勇 気 がすごいことだと思 います。
か5枚 ずつ渡 すのです。
これは買 えという無 言 の強 制 です。職 権 乱 用 とも
15 年 前 だと絶 対 企 業 がお金 を出 さなかったことに、
いまは出 すという価 値 を見 いだされた。いわゆるファン
取 れる、弱 い人 にお金 を出 させる仕 組 みが個 人 的 に
ドレイジングの根 本 だと思 うのですが、価 値 が見 いだせ
すごくいやでした。必 ず親 が負 担 しなくてはいけなくな
なかったら、どんなにすばらしくてどんなに有 名 人 が来
るのです。そこで私 は何 をしたかというとダフ屋 です。チ
てもお金 は出 さない。だから、価 値 をどう見 せるかが
ケット販 売 窓 口 の横 で、全 部 チケットを売 りました。
それが あ って 、 音 楽 家 に なるの はお 金 がいるんだ と
大 切 だと思 うんです。
再 認 識 しました。実 際 、大 学 や大 学 院 のときに、お金
あと、日 本 には寄 付 文 化 がないし、税 制 がないから
がなくて挫 折 する人 を 多 く 見 てきました。中 にはすごく
ダメだという意 見 がよくあります。それが理 由 ではない
志 と才 能 があってもご両 親 がいないとか、いろいろな
とは言 えないのですが、私 からすると、そうした社 会 制
家 庭 の事 情 があり、援 助 がなく、割 の良 い水 商 売 をし
度 を理 由 にして、継 続 せず諦 めてしまうのはすごく残
て続 けようとしたものの、逆 にのどを痛 めて歌 えないと
念 だと思 います。
いう声 楽 家 の友 人 もいました。きれいな舞 台 の裏 には、
私 の経 験 からしても、1回 目 はダメでも、その後 お
孤 独 な練 習 と不 安 定 な生 活 による多 くの至 難 があり
礼 状 とか書 く。「今 回 は残 念 でしたが、今 後 全 力 を尽
ます。もちろんほとんどの個 人 音 楽 家 の練 習 時 間 は
く し ま す の で よ ろし く お 願 い し ま す 。 ど う も あ り が と う ご ざ
無 給 、舞 台 で演 奏 する時 だけが有 給 の仕 事 になる。
いました。」
こうい うこ とを 続 けて い くと 、1 年 、 2 年 経 つと 、 意 外
なんとかできないかという思 いと、その頃 「メセナ」が
に向 こうは心 を開 いて、後 で寄 付 をくれた財 団 や個 人
出 て き た と き で 、 で も 、 マ ネ ジ メ ント を 学 ぶ ん だ っ た ら 、
の方 もいらっしゃいます。
企 業 に入 るといいと思 い、自 動 車 会 社 に勤 務 しました
が、その後 、音 楽 に戻 って、コンサートホールで企 画
だから 15 年 待 たれて、今 度 新 しいプロジェクトを始
のお仕 事 をお手 伝 いしてました。
めるというのには、共 感 をもらいました。
バ ブ ルが 崩 壊 し て コ ンサ ート の 数 が 少 なく なり 、 メ セ
本 日 は資 料 を配 布 しましたが、このお話 をするつも
ナの担 当 の方 が、「いまはお金 がないからコンサート数
りはありません。皆 さんの質 問 の中 に、初 歩 的 な技 術
を減 らし、音 楽 家 も海 外 から呼 べない」と言 うのです。
的 なことがあったので、この資 料 を参 考 にして下 さい。
「どこかから資 金 を持 ってきたらどうですか、チケット
-8-
が売 れてないけど、マーケティングしてきちっとチケット
大西
販 売 を 管 理 して、 いわ ゆる 販 促 を した らどう ですか」 と
ラムを開 発 するものです。アメリカのラーニング・トゥー・
言 ったら、「メセナではお金 は語 らないんだ」と。
ギ ブ 、 ユ ー ス ・ ア ズ ・ リ ソ ー スィ ズ / ユ ナ イ テ ッ ド ・ ウ ェ イ 、
芸 術 支 援 にお金 は関 係 ないというけれど、お金 が
子 供 向 けに フィ ランソロピー に関 するカリ キュ
ユース・フィランソロピー・イニシアチブ・オブ・インディア
なくて挫 折 するのを見 てきた私 にはすごく抵 抗 がありま
ナ等 が我 々のパートナー団 体 です。
した。
ラ ーニ ング・ ト ゥー ・ ギブ は 、 学 校 の 必 修 授 業 で フ ィ
ラ ンソ ロ ピ ー を 教 え る と い う も の で す 。 彼 ら の カ リ キ ュ ラ
そこで、マーケティング、ファンドレイズを学 ぶのなら
ムはウェブサイトで無 料 で見 る事 も出 来 ますし、今 、日
アメリカ、その中 でも、最 も競 争 の激 しいニューヨーク
米 の先 生 達 の間 で、新 しいカリキュラムを作 っている
をあえて選 んで渡 米 しました。
ところです。
ただファンドレイジング分 野 では、特 にニューヨーク
フィランソロピーの教 え方 として、たとえば、音 楽 の
の場 合 、大 手 の芸 術 団 体 にいるのはユダヤ人 や白
授 業 の中 で、インディアンは互 助 援 助 社 会 で生 きて
人 が主 。特 にアメリカで育 った事 がなく言 葉 の壁 もあ
いる人 たちなので、インディアンの楽 器 を演 奏 しながら、
る私 の場 合 、クラスメート等 他 のアメリカ人 候 補 の中
インディアンの社 会 ・文 化 を学 ぶ。
でどうするかいつも考 えていました。例 えば、カーネギ
それから、国 語 の授 業 でフィランソロピーの単 語 を
ーホールで働 くときも、日 本 企 業 がドナーリストの3割
学 ば せ る 。 そ うする と 、 通 常 の 授 業 の 中 で 、 フィ ラ ンソ
ぐらい載 っているので、名 前 をハイライトして、「アメリカ
ロピーや市 民 社 会 を教 える事 ができるのです。
人 は、アメリカ企 業 は開 拓 できるけど、もっといい日 本
企 業 があるから、それは私 が開 拓 する」とプレゼンして、
ユース・アズ・リソースィズ/ユナイテッド・ウェイは、
ポ ジ シ ョ ンを 獲 得 し ま し た 。 結 局 対 象 は ほ と ん ど ア メ リ
子 供 達 の 主 導 による 助 成 理 事 会 で 、地 域 の 子 供 達
カ寄 付 者 だったのですけど。こういうアプローチは、ファ
によるコミュニティ・プロジェクト立 ち上 げを支 援 します。
ンドレイジングにも効 果 がありました。
高 校 生 以 下 が対 象 で、幼 稚 園 児 でも、自 分 たちでプ
ロジェクトを作 って、助 成 をもらいました。申 請 書 も子
ただ、お金 をもらうだけだと消 化 不 良 に陥 るんです。
供 が実 際 に書 いて、助 成 金 をもらってきて、プロジェク
特 にテレビ局 の大 手 寄 付 者 相 手 の仕 事 では、パーテ
トを立 ち上 げて完 結 させています。
ィばかりで「社 会 のために何 をしているのか」という事 が
その仕 組 み が非 常 にお もしろいのです。いままで子
見 えなくなってしまいました。特 に9・11 テロ後 、会 社
供 は支 援 される側 だったけれども、今 度 は支 援 する、
オフィスに偶 然 NY 市 緊 急 対 策 本 部 が来 て、そのボ
プロジェクトを立 ち上 げて実 行 する側 に行 ける。そのパ
ランティアで日 本 人 犠 牲 者 のためのグループを作 って
ラダイムの逆 転 やお金 の流 れがおもしろい。
NY 在 住 日 本 人 たちと活 動 したり、相 次 いで家 族 も亡
くしたりもしたので、ずっとアメリカを向 いて仕 事 をしてき
ユー ス・ フィ ランソ ロピー ・ イニシ ア チブ ・オブ ・イ ンデ
たけれど、もっと日 本 に 対 して何 かできないか、とも強
ィアナは、インディアナベースですが、おもしろいのでけ
く思 うようになりました。
っこう全 国 的 に有 名 で、賞 ももらっています。
ずっとファンドレイジングしていると、寄 付 をする人 が
彼 らは、様 々な団 体 を結 んで、そのパートナーシッ
どういうふうに感 じるかがまず一 番 重 要 だと痛 感 しま
プ で、 地 元 密 着 で 子 供 向 け の フィ ラ ンソ ロピ ー・ プ ロジ
すので、いま のよう なフ ィ ランソロピー 教 育 のプロジェク
ェクトを立 ち上 げています。
トに関 心 をもちました。
非 常 におもしろいのは、2日 間 のキャンプで行 うユ
反 対 側 に企 業 側 がどのようにしたら人 がお金 出 す
ースのための社 会 貢 献 プロジェクトです。
かということも調 査 しています。
服 部 ファンドレイジングは「価 値 を見 いだす」、「価 値
服部
あるところにお金 が来 るようにする」というお話 でした。
ユ ー ス・ フ ィ ラ ン ソ ロ ピ ー ・ プ ロ ジ ェ ク ト と い う の
は。
-9-
今 日 のスピーカーの人 たちは、企 業 と連 携 している
服部
では、半 谷 さんにお願 いします。
半谷
オフィス町 内 会 の場 合 、16 年 ほど前 に始 め
というか、たとえば Think the Earth さんは、会 員 企 業
がたくさんいますよね。
たときは東 京 電 力 の半 谷 ですというふうに各 企 業 を
原 田 それほど多 くないです。
回 り、東 京 電 力 の社 会 的 信 用 力 を使 わせてもらいま
した。
服部
私 と 東 京 電 力 の 間 のギブ・アンド・ テ イクをど う 考 え
そうですか。私 にはたくさんあるように見 えた
たか。
んですが。社 会 貢 献 に企 業 が賛 同 してくれているとい
経 済 性 にこだわったのは、いい活 動 でも、経 済 的 で
うお話 がありました。
ないと長 続 き しないのはもちろん、企 業 の中 で 何 か新
ヤフーも、始 めたきっかけはネガティブな事 件 では
し いこ とを や ろ う とする と き にコ スト アッ プ にな ら な いこ と
ありましたが、今 でも継 続 している。
だと、意 外 とすんなりとできることがあります。
半 谷 さんのオフィス町 内 会 も、東 電 の中 にあって
東 京 電 力 にコミットしてもらうためには、東 電 に寄 付
緩 やかな支 援 を受 けているけれども任 意 団 体 で活 動
をお願 いするとか、東 電 の持 ち出 しにならないようにす
している。
なおかつ、他 にも森 の町 内 会 など、いろんな活 動 を
るという原 点 がありました。だから私 の場 合 は、東 電 が
されているというポジショニングが非 常 に不 思 議 だと思
フィランソロピーと感 じるかどうかという前 に、コストの迷
いました。
惑 をかけないようにしました。
私 と東 京 電 力 のギブ・アンド・テイクというのはそうい
私 から 言 わ せて 頂 け れば、 そう い う 方 こそ 社 会 起
うところから始 まりました。
業 家 と呼 ばせて頂 きたいと思 います。
申 込 み時 にいただいた質 問 の中 にも、企 業 の支 援 、
では、当 時 、東 京 電 力 がこの活 動 を社 会 的 な活
動 として最 初 から理 解 したかというと、決 して理 解 のな
企 業 との連 携 について多 くありました。
い会 社 ではないのですが、曲 折 はありました。
お 手 元 の レ ジ ュ メ に 、 「 昨 今 の 企 業 の フ ィ ラ ンソ ロ ピ
ーの捉 え方 は『広 報 戦 略 =ビジネス戦 略 』としてフィラ
あ る 取 締 役 とか 、 あ る 役 職 の 方 が こ れは おも し ろ い
ンソロピーを利 用 するのか、またそういった企 業 は成
んじゃ ないか と 感 じて く れたのが 当 時 の 会 社 と の 関 係
果 をどのようにはかっているのか、または成 果 は数 字
でした。
や目 に見 えにくいものという考 えでその長 期 的 な 効 果
やはり1年 、2年 、3年 と活 動 が深 まるに従 って、こ
を信 じて投 資 する感 覚 なのか」というご質 問 がありま
の活 動 を東 電 の社 会 貢 献 活 動 として認 識 してくれる
すが、これはどなたのご質 問 でしょうか。
ようになりました。
しかも、その認 識 のあり方 が非 常 にしゃれたもので、
質問者
最 近 少 し景 気 が上 がっているといわれる
いまだに感 謝 しているんですが、当 時 の独 占 時 代 の
中 、お金 にシビアな企 業 がフィランソロピーを考 えると
東 京 電 力 の社 内 規 範 でこの活 動 を律 したら活 動 の
き、社 長 の人 格 の延 長 線 上 でいい企 業 だと思 ってく
主 体 性 がなくなってしまうだろうから、社 会 通 念 上 許
れたら、長 期 的 に効 果 があるだろうと期 待 してやって
さ れる 範 囲 だ っ た ら 社 会 的 な 常 識 で 律 し て く れ と い う
頂 く部 分 が多 いのか、それとも先 ほどの CSR やブラン
ものでした。
「だから東 京 電 力 は緩 や かにサポートする」というこ
ディングを戦 略 の中 で数 値 化 して計 って提 案 して いく
とになったんです。
ことが多 いのか。
ま た、こ うい う 社 長 に はこう いう プ レゼ ン テー ショ ンを
緩 やかにサポートして、社 会 的 に認 められる。社 会
して、無 理 矢 理 こういうふうに数 値 化 したら意 外 と効
的 な規 範 で 動 い て 社 会 的 に 認 め ら れる ほうが 、 東 京
果 があ った と か、具 体 的 な提 案 の 仕 方 、 成 功 事 例 、
電 力 がそういう活 動 を支 援 しているという社 会 的 な評
失 敗 事 例 などを伺 いたい。
価 が生 まれるのです。
オフィス町 内 会 と東 京 電 力 のギブ・アンド・テイクは、
-10-
このようにバランスしたわけです。
常 に 参 考 に なったと 思 い ます。今 や日 本 の 企 業 は 意
外 と 幅 が 広 く なっています。企 業 側 の 人 からいまの や
大西
りとりの中 で何 かご意 見 ありますか?
私 が皆 さんにお聞 きしたいのは、企 業 がフィ
ランソロピーを自 分 たちの経 営 に活 用 することはいけ
質問者
ないと思 いますか?
日 本 だけでなくアメリカでも、企 業 は CSR、社 会 貢
大 きくないんですが企 業 経 営 をしていまし
て、2年 ぐらい前 から売 上 の1%を海 外 で婦 人 の支 援
献 をするべきだといわれます。その前 提 に、いわゆるコ
をする団 体 に寄 付 しています。
ーポレート・シチズンシップという概 念 があって、企 業 は
ただ単 に社 会 貢 献 をしたいから寄 付 しているのでは
まずコミュニティーの、社 会 の市 民 になって、社 会 貢
なく、利 益 を求 めて寄 付 しています。
献 をすべきだという理 念 がある。
やはり売 上 の1%というのは大 きいです。それをする
そ の 対 極 に は 、 企 業 が 株 主 の お 金 で 、 フ ィ ラ ンソ ロ
ことによって企 業 としてどういう利 益 を求 めているかと
ピーをするというのはけしからんという考 えがあるのです。
いうと、優 秀 な人 材 を集 めるということです。
企 業 の場 合 、基 本 的 に経 営 利 益 追 求 ということをど
国 内 企 業 の製 品 情 報 をネット専 業 で海 外 向 けに
うして も 避 け られま せん 。 特 にアメリカ はものす ごくはっ
マーケティングする仕 事 なので、外 国 人 や日 本 人 でも
きりしています。
留 学 していた人 間 が多 く、社 会 的 な意 識 が強 くかつ
スキルの高 い人 間 が集 まってきています。
カーネギーは企 業 スポンサーシップだったので、そ
しかも大 企 業 並 みの給 与 水 準 は無 理 なので、あま
の立 場 からすると、私 たちが企 業 から寄 付 を頂 いて、
り高 くない給 与 水 準 でも働 きがいを持 って働 いてくれ
その名 前 をどこか載 せるというのは、私 たちも企 業 の
るというような会 社 の利 益 を求 めて、そういうことをや
ブランドを使 っているわけです。
っているのです。
企 業 が利 益 を忘 れて単 に社 会 貢 献 だけをしなくて
先 ほどのお話 でもありましたが、向 こうのほうから寄
はいけないという発 想 はフェアでない。
付 してくださいって来 られても、寄 付 されて当 然 だと思
だからといって、利 用 して いいと思 っているわけでは
って来 られると、たぶん企 業 はいやだと思 うんです。そ
なく、そこは境 界 線 を引 きながらだと思 います。
んなことに寄 付 したくないと言 うと思 うんです。
たとえば企 業 がお金 をこれだけ出 したら、私 たちは
そうではなくて、自 主 的 に判 断 して寄 付 したり、活
これだけするけど、これ以 上 はもう線 を超 えられないと
動 が端 から見 ていいなと思 って寄 付 したりしたいと思
いうポリシーを最 初 からきちんと決 めておくのです。
います。そういうところが基 準 になると思 います。
そうしないと企 業 に 利 用 されてしまうケースも出
てくる。企 業 の大 きな目 的 の一 つは利 益 ですが、同
服部
時 にアメリカの NPO も同 様 の苦 労 や経 験 をしています。
いうも のがあ って、 本 業 と 関 係 し ながら 寄 付 をし てい く 、
「寄 付 をいっぱい出 せないけど、テレビには出 してくれ」
フィランソロピー活 動 をしていくというところが最 近 増 え
という要 求 とか。だから、ブロックをかけるようなポリシ
ているようですので、スポンサーのような感 じですね。
ーは必 ず持 つことが重 要 です。
そしてそれがいい人 材 を集 めるというお話 を頂 きまし
でも 企 業 と の 協 働 で 、 NPO が ビ ジビ リ ティ を 増 やす
企 業 の側 から見 てみると、自 分 たちの基 準 と
た。
事 や経 営 リソースを学 ぶこともできる。だから、同 時 に、
では菅 さん、ヤフーはどうですか。成 果 を見 ている
両 者 が win-win になるようなことを考 えるのは、決 して
のか、あるいは寄 付 サイトがどういうふうに影 響 してい
間 違 い だ と 思 い ま せん 。 そ れを 利 用 と 言 うか 、 活 用 と
るかなど、分 析 していますか。
言 うか、そこの違 いだと思 います。
菅 おかげさまでヤフージャパンは、現 在 たくさんの方
私 たちもファンドレイズするとき、企 業 のイメージを活
用 させていただくと考 えればいいと思 います。
にご覧 頂 い ています。今 日 見 て頂 いたお客 様 に 明 日
も見 て頂 くためには、広 告 宣 伝 など手 法 はすでに十
服部
分 にあります。その部 分 では、フィランソロピーの出 番
企 業 と の 関 係 に 関 して 半 谷 さ んの お 話 が 非
-11-
デルは比 較 研 究 を出 しやすく、実 績 と歴 史 があるため
はないと思 います。
です。
ただし、5年 後 、10 年 後 もヤフージャパンを見 続 け
結 果 と して 、 何 が 見 えて きたか と いう と、まず フ ァンド
て頂 くためにはどうしたらいいか、と考 えたときに、フィラ
レイジングというコンセプトについて、日 本 は非 常 にネガ
ンソロピーの出 番 があると思 います。
ティブなイメージがあるということです。
非 常 に 息 の 長 い 地 道 な フ ィラ ンソ ロピ ーをマー ケテ
ィングの視 点 で捉 えることによって、5年 後 、10 年 後
つまり街 頭 募 金 とか、戸 別 訪 問 とか、いわゆる頭 を
も見 続 けてくださるお客 様 が定 着 する、あるいはもっと
下 げて寄 付 をお願 いするというのがファンドレイジング
拡 大 していくのではないかと思 います。
だという発 想 が強 くあると思 います。
こうした話 を社 内 で進 めた場 合 、必 ずでてくるのが
アメリカの場 合 、イベントも助 成 金 申 請 を書 くのもフ
「では、何 を もってフィランソロピーの成 果 を 計 るのか」
ァンドレイジングだし、菅 さんたちがやっていらっしゃる
という点 です。
ネット募 金 も、Think the Earth さんがやってらっしゃる
ような広 報 活 動 も、サイトを作 るのもお礼 を言 うのも全
そこでお客 様 へのアンケートやリサーチなどの指 標
部 ファンドレイジングです。
を使 うことがあります。実 際 のところ、アンケート等 で
「ヤフージャパンは 社 会 貢 献 熱 心 だ 」と回 答 される層
コンセプト自 体 が違 うというと、反 発 があるので、な
ほ ど 、 「 今 後 も ヤ フ ー ジ ャ パ ンを 使 い 続 け た い 」 と 思 わ
んとか理 解 して頂 きやる気 を出 していただくことが私 の
れる程 度 が高 い傾 向 があります。
課 題 です。広 報 もファンドレイジングだというところを押
していきたいと思 っています。
例 えばこうしたデータなども参 考 にしつつ、社 内 で
社 会 貢 献 の意 義 の浸 透 をはかっています。
2つ目 は、ファンドレイジングの活 動 内 容 の中 で一
服部
番 大 きかったものが、日 本 の NPO、NGO の中 には、寄
事 前 に用 意 していた質 問 と違 うことをもっと
付 を頂 いた後 にお礼 状 を出 さないということです。
聞 いてみたい、もっと説 明 を捕 捉 してほしいということ
領 収 書 だけでなく、お礼 の手 紙 も出 しているのは半
がある方 は挙 手 をお願 いします。
数 以 下 でした。アメリカの場 合 は、お礼 の手 紙 は絶 対
質問者
にやるべき事 となっています。断 られてもすぐお礼 を出
大 西 さんに質 問 ですが、今 日 頂 いた資 料
します。
に最 新 の研 究 のことが書 かれているんですが、その内
容 について、どのようなことがわかったのか。日 本 の
フィランソロピーというのは単 純 な人 間 の感 情 に基
NGO、NPO のファンドレイジング手 法 のご提 案 について
づくものなので、お礼 言 われたら一 所 懸 命 やる。社 会
お聞 かせ下 さい。
におけるその意 義 と成 果 が見 えれば、人 は支 援 する
理 由 を見 いだす事 ができる。
大西
一 番 最 後 のプレゼン資 料 ですね。このプレゼ
アメリカで当 たり前 のことが、日 本 ではそうでない。そ
ンは、実 は1年 以 上 前 に、東 京 財 団 の報 告 会 で使 っ
こ が 大 きな 違 いだと 思 い ま した。 私 自 身 も 寄 付 を す る
たものです。
とき、お礼 をしないところは継 続 して支 援 をしません。
質問者
具 体 的 にどのような研 究 で、研 究 結 果 か
あと社 会 貢 献 を社 会 のトレンドやムーブメントにする
らどのようなことがわかったのか。最 後 に日 本 の NGO
必 要 があると思 っています。つまり一 つひとつの団 体
の資 金 調 達 手 法 について研 究 から導 き出 された提
が一 所 懸 命 やっても、社 会 としてファンドレイジングと
案 を教 えて頂 きたいのですが。
いう活 動 があまり認 知 されていなくて、頭 を下 げる募
金 活 動 だというのがあると、ファンドレイジングの担 当
大西
この研 究 は、日 本 の NPO、NGO のファンドレ
者 は本 当 に大 変 だと思 う。企 業 や財 団 、市 民 等 、支
イジングの実 態 調 査 をしたものです。その実 態 調 査 を
援 する側 の人 たちがファンドレイザーの仕 事 の役 割 が
するときにアメリカの NPO、NGO の活 動 をモデル化 して、
いか に 市 民 社 会 に 重 要 かを 理 解 し て もらえ る よう に、
それを元 に比 較 調 査 をしました。
ファンドレイザーとしての職 業 、キャリアを社 会 に築 い
ていく事 が大 切 です。
実 態 調 査 の方 法 も色 々あるんですが、アメリカのモ
-12-
ーと違 ってお金 を稼 げば終 わりだと私 たちは言 ってい
アメリカはそれが非 常 にうまくて、『日 経 ウーマン』の
ました。
ような雑 誌 メディアが「ファンドレーザーというのはホット
そのうち、気 がついたらアンタイトラストで訴 訟 問 題
な職 業 」だと 10 年 ぐらい前 に取 り上 げたのです。
になって、それから急 に慈 善 活 動 を始 めたのです。
企 業 の人 は「ホットな職 業 の人 が来 たから」と、歓
ロックフェラーもカーネギーもそうだといえます。イメ
迎 (?)して受 け入 れるわけです。
ージが悪 いと、必 ず慈 善 活 動 してイメージを良 くしよう
でも日 本 でファンドレイザーのキャリアを確 立 するの
とするのです。
は、私 一 人 ではできないし、私 一 人 で決 めるべき事 で
もない。逆 に日 本 でファンドレイジングをする皆 さんが、
重 要 な 職 業 として活 動 を広 めてくださる、そしてメ ディ
ビル・ゲイツもそうだろうなと思 っていた。もともとビ
アに 取 り 上 げ てもらう な ど してイ メー ジ を 変 えて い く と い
ル ・ア ンド ・ メ リ ンダ ・ ゲイ ツ 財 団 の 設 立 に は 奥 さん と お
うことが、必 要 になってきます。
父 さん ビル・ゲイツ・シニア の意 向 が強 かった。
最 初 、シニアと奥 さんが慈 善 活 動 をやれと言 った
最 後 は、もっと社 会 的 な仕 組 みを築 いていく事 も
ので、ビル・ゲイツは半 々だったが、彼 も会 社 の経 営
大 切 です。税 制 以 外 に、データベースを管 理 するとか、
からだんだん手 を引 いて慈 善 活 動 に力 を入 れるよう
NPO がサイトを作 るときに手 伝 ってあげるアウトソーシン
になりました。
グとか、ファンドレーザーを集 めてネットワークにすると
そしたらなぜかわからないけれど、バフェットも急 に
か。 み ん な で 大 変 だ け ど 頑 張 ろう と い う 連 帯 感 は 、 今
ゲイ ツ 財 団 に 寄 付 す る よ う に なっ て 、 ど う な っ ち ゃ っ た
のように大 変 な状 況 でがんばっているファンドレイザー
の…と私 は思 っているんです。
なぜゲイツが変 わったかというと、そうやって活 動 に
にとても必 要 なのです。
日 本 のファンドレーザーの担 当 の 方 た ちは、みん な
参 加 していくなかで、アフリカの子 供 たちの状 況 を目 の
1人 で孤 軍 奮 闘 しているんです。お給 料 が安 いと普
当 たりに体 験 して、そこで人 間 として何 かできないかと
通 続 けられませんので、せめてそうしたサポート体 制 を
心 から痛 感 したのだと思 います。だから社 会 貢 献 の意
もって、状 況 を変 えてあげたい。色 々な仕 組 みから変
義 を体 験 する意 味 が大 きい。ビル・ゲイツを見 て人 は
えるということです。
変 わるなと思 いました。
最 初 はお金 は稼 ぐだけ稼 ぐし、私 はマックファンな
質問者
のでマイクロソフトのものはすごく嫌 いなので、とんでもな
ビル・ゲイツが会 社 辞 めて、慈 善 活 動 家
いと思 っていたのです。
になるというのがどういうふうに受 け取 られているのか、
ホワイトバンドが日 本 では 400 万 本 、12 億 円 売 れまし
でも今 、ゲイツは、ダボス会 議 や色 々なところで、社
たが 、 あれ は 世 界 の 運 動 なので 、ア メ リカ で はど う だ っ
会 貢 献 しろと他 の人 たちに呼 びかけるんです。こうやっ
たのか。
て 、 自 分 が 寄 付 す るだ け で な く 、 他 の 人 に も 呼 びかけ
日 本 では寄 付 した人 は、アフリカの現 地 で使 われる
るというのは、アメリカでは社 会 貢 献 度 で最 高 と言 わ
と思 ったのが、アドボカシーに使 われたっていうことです
れ て い る 。 自 分 で 寄 付 す る よ り も 、 他 の 人 に も 呼 びか
ごくがっかりしたという、 批 判 さ れた 面 もあるのです。そ
ける、つまりファンドレイジングにも関 わるというのは、大
こについてアメリカではどうだったのかご存 じであればお
変 ですし、それだけ想 いが強 くないとできない。結 果 と
聞 きしたいと思 います。
してアメリカではビル・ゲイツは、いまはすごく評 価 され
ています。
大西
まずビル・ゲイツ のような 慈 善 活 動 がどうい う
ふうに受 けとめられたかということですが、最 初 は半 信
次 に、ホワイトバンドについて。
半 疑 というか、なんでそんなことするのという感 じがあり
日 本 でのホワイトバンドの事 については、ここで善 し
悪 しを言 う事 は避 けたいと思 います。ただ、アメリカで
ました。
私 が公 共 テレビに勤 めるようになった 1999 年 では、
はホワイトバンドがどうとられているかについて言 います
と、日 本 ほどヒットしていません。
彼 は絶 対 にそういうことをしないと、ゲイツはカーネギ
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それを覆 すというのはかなり問 題 になるので。
実 は、バンド系 によるファンドレイジングは、ホワイトバ
ンドは後 発 で、最 初 はツール・ド・フランスの自 転 車 走
者 のランス・アームストロングがアームストロング財 団 と
質問者
いう癌 撲 滅 の財 団 を作 って、そこで黄 色 のリストバンド
さんに、企 業 側 も変 わっってきたということ以 外 に成
を作 ったのが元 です。
功 する秘 策 があれば教 えていただきたい。
15 年 間 かけて次 の事 業 を展 開 する半 谷
いわゆる「強 く生 きろ」というメッセージが売 れて、バ
ンドが す ご く 売 れた の で す。 理 由 は アー ム ストロ ング自
半谷
身 が癌 サバイバーで、その生 き方 に多 くの人 が共 感 を
経 済 的 な仕 組 みが回 らない。どんないいことでも経 済
もったという事 につきます。もちろん、有 名 人 ですから、
的 で ない と 長 続 き し ない 。 ボラ ンテ ィ ア 運 動 も 経 済 的
ハリウッドやオリンピックでも関 係 者 が黄 色 のリ ストバン
な仕 組 みをつくらないと 社 会 を変 え られないということ
ドを身 につけた。これもトレンドにつながりました。
です。これはオフィス町 内 会 の経 験 則 です。だから市
あれからホワイトバンドの他 、色 々なところでバンドが
紙 の世 界 は、量 を相 手 にしないとなかなか
場 経 済 を刺 激 するボランティア活 動 を、この 15 年 間
作 られていますが、基 本 的 にバンドは安 くできてメッセ
目 指 してきたのです。
ージ性 が強 く、いつも着 用 できる。いつも感 じてつなが
オフィス町 内 会 の経 験 則 では、会 員 企 業 の経 済
っていられるから、バンドはファンドレイジングにすると非
性 、回 収 会 社 の経 済 性 、事 務 局 の経 済 性 に関 して、
常 に効 果 があると思 われています。
必 ず 徹 底 的 に デ ィ スク ロ ー ズす る 。 や は り そ れが 納 得
を得 るための基 本 だと思 うんです。
ただ、お金 がどう使 われたかについては、常 にデリケ
オフィス町 内 会 の設 立 のときには、試 験 的 に、3か
ートな 問 題 な ので、 私 でし たらホ ワイト バンド に 関 し て、
月 間 、700 カ所 の古 紙 を回 収 したのです。
最 初 から「お金 はこう使 います」とよくわかるようにはっ
そうすると、トラックだと何 時 間 運 転 してガソリン代 が
きり公 表 します。
いくらとか、全 部 わかるわけです。従 って、キログラム
というのは、寄 付 というのは、人 の良 心 に基 づくので、
当 たりで古 紙 の回 収 にいくら経 費 がかかるかということ
お金 を出 した人 が、思 ったようにお金 が使 われていな
もわかってくる。徹 底 的 にそういう経 済 的 な面 をディス
いと知 ると、とてもがっかりして、裏 切 られた感 じがする。
クローズして、納 得 を頂 いたんです。
裏 切 りの感 情 を修 復 するのは、特 に NPO の場 合 、大
変 ですし、不 可 能 なこともある。だから、誤 解 を避 ける
服部
ために、最 初 から注 意 することが大 切 になってくる。
の古 紙 をリサイクルするという感 覚 がなかった 15 年 前 、
市 場 にあまりなかった概 念 、たとえばオフィス
オフィス町 内 会 を創 った半 谷 さん。そして菅 さんは、
質問者
ネットで募 金 してみたらどうかと思 ったことを実 際 やっ
大 西 さんに質 問 ですが、先 ほど、企 業 に
てしまった。
対 してポリシーみたいなものを作 ってちゃんとブロックを
要 するにいままでなかったものを思 いついて、実 際
するというお話 がありました。アメリカの NPO とかでは、
に取 り仕 切 っ て実 現 してしまう。そういう着 眼 点 があり、
実 際 に作 って活 用 しているのですか。
さらにどう実 行 すればいいのかという、非 常 に緻 密 な
大西
計 算 や工 夫 があることを、改 めて感 じました。
私 のいたテレビ局 では作 っていますし、そのひ
な形 も開 発 されている。口 頭 ですと NPO はお金 を頂 く
側 の希 望 に合 わせてしまい、交 渉 に負 けてしまうこと
司会
が多 い。お 金 を出 す ほうと、出 されるほうというのは 絶
した。皆 さんはいかがでしたでしょうか。
対 的 な立 場 の違 いがありますから、文 書 で作 って、そ
一 時 も聞 き漏 らすまいと感 じる楽 しい時 間 で
長 時 間 に わ た り あ り が と う ご ざ いま し た 。も う 一 度 講
れ を パ ッ と 見 せる の で す 。 こ れ は 取 引 で す 。 ア メ リ カ は
師 の方 々に拍 手 をお願 いいたします。
訴 訟 社 会 なので、文 書 に書 いてあるものを納 得 したら、
-14-
(了 )
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