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Report - 全日本地域研究交流協会

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Report - 全日本地域研究交流協会
Workshop for Innovation of local SMEs establishing global operation 世界をめざす地域企業研究会
2014年9月
Sep. 2014
公益財団法人 全日本地域研究交流協会
JAREC Japan Association for the advancement of Research cooperation
独立行政法人 科学技術振興機構
JST Japan Science and Technology Agency
1
「第21回地域を活かす科学技術政策研修会」平成26年1月29日、於 神戸
講演「独国バイエルン州政府のクラスター政策」のアンケート結果
バイエルン州政府 駐日代表 Christian Geltinger氏
他
非常に良かった
大学
良かった
あまり良くなかった
財団・3セク
公設試
自治体
0%
20%
40%
60%
80%
100%
研修会参加者(約140名)のうち、アンケート回答者(67名)
2
「第21回地域を活かす科学技術政策研修会」平成26年1月29日、於 神戸
研修会参加者(約140名)のうち、アンケート回答者(67名)
「今後実施してもらいたい研修」アンケート調査
・独国バーデン・ヴェルテン州のシュタインバイスの取組
・独国バイエルン州における企業へのファンドを出す仕組
・オランダの科学技術を活用した農業・輸出の取組
・オランダの革新的植物工場
・仏国グルノーブルの自立的に発展している地域クラスター
・仏国のコスメティック産業
・米国の医薬等研究開発に係るベンチャー育成(ファンド環境)
・米国のライフサイエンス分野の先進的取組事例
・米国の先端技術の集積について
・東南アジアの食・環境で求められる技術等について
・インドのソフトウエア産業の進展
・中東のソフトウエア産業の進展
□日本と諸外国の比較が有益
3
【世界をめざす地域企業研究会の狙い】
○
農業・環境・製造業分野等の中小企業のイノベーション施策とその着実な
実行プロセスを先進諸外国学ぶ
□ 強い企業を更に強くする仕掛け
○
地域が発展する為の産業・科学技術振興施策などの各種地域イノベー
ション政策を企画実施してきているが、欧州の先進事例に学び、ヒント
を得る
□ 既存産業へのICTの徹底取り込みによる当該分野の進展
□ Globalマーケティング
□ ・・・・・・・・・
○
地域においては、中小企業の支援が重要な柱であり、欧州先進国では
中小企業をどの様に「GNT:Global ニッチ トップ」に成長支援を行っ
ているか、その政策を学ぶ
○
造詣の深い専門家の講演とその分析を通して、政策立案、制度設計、実行、
成果・反映プロセス(要因分析とフィードバック:PDCA)を学ぶ
モデレータ:永野博先生
原陽一郎先生
(政策大学院大学 講師)政策面で
(長岡大学元学長)
戦略面で
4
世界をめざす地域企業研究会
Workshop for Innovation of local SMEs establishing global operation Objectives:
To learn the advanced regional science and technology promotion program for
small and medium enterprises (SMEs) in Europe
Members:
Person who have involved in the promotion of regional science and technology
development in Japan, such as local governments, foundations, universities, SMEs
and so on. (about 30 persons)
Program:
□First (Sep.9th) at JST (Science and Technology Agency)
・Innovation (Cluster) program in the local government of Germany,
(NRW: Land Nordrhein-Westfalen)
□2’nd (Oct.20th) at JST
・Support program for SMEs by SteinBeis Foundation in Germany
□3’rd (Dec.17th) at Embassy of the Kingdom of the Netherlands
・Innovation program based on science and technologies for agriculture
in the Netherlands
□4’th (Feb.3rd.) at Nihon Club (Yuuraku-cho)
・Innovation program for advancement of precision machine in Switzerland
□5’th (Mar.2nd) at JST
・Innovation of Japanese SMEs (Global Niche Top)
5
1’st specific Workshop on Regional Innovation
□ Focusing on Innovation (Cluster) program in the local government of Germany,
Date:
Place:
Program:
14:00-14:10
14:10-14:30
14:30-15:30
(NRW: Land Nordrhein-Westfalen)
September, 9th (Tue.)
at 5-banncho ANEX office of Japan Science and Technology Agency (JST)
Greeting by president of JAREC Kazuki Okimura
Guidance for Workshop
“Innovation activities in NRW state, Germany” by president Mr.Georg K. Lӧer
1.The usual definition of clusters for regional development, in case there is such one.
2. Examples of such undertakings
3. How were and are they (ex.clusters) developed? Quite naturally or rather artificially? Specific reasons?
4. What kind of factors play key roles as the basis of regional competiveness?
5. Are evaluations carried to check the progress and final results of supporting activities?
6.How do big enterprises and small‐ and medium‐sized companies join the cluster? What motivates small companies to join?
7. Regional innovation has the feature of not only technological innovation, but social innovation, hasn’t it? Is there also the concept of social innovation used in MIWF?
15:40-16:10
16:20-17:30
“Innovation activities in Hyogo prefecture” by Dr.Shigetomo Matsui
Discussion on the difference of cluster policy and strategies
between Germany and Japan
Moderator Mr. Hiroshi Nagano
(Former professor of National Graduate Institute for Policy Studies)
Mr. Yoichiro Hara (Former president of Nagaoka University)
17:30Information exchange (2000yen/person)
6
地域イノベーションの加速の為の科学技術振興拠点(COE)の形成
マクロ政策
@JAREC
技術開発型中堅・中小企業
■税収の増加
企業の技術開発加速
■クラスタリング(自律的集積条件)
企業のコア技術
技術
評価
■産業の高度化・学園都市構想
地域産業発展のマクロ・ミクロ政策の融合
■地域産業のポテンシャル
■企業の競争力強化・高度化ニーズ
■産学連携によるR&D加速
自治体
国の支援活用
■地域の技術開発型企業の発展
エンジニアリング
アライアンス
国による産学連携共同研究開発プロジェクト
■プロジェクトのロードマッピングによる進化の見える化
■サブテーマと研究内容・その成果(止まっている理由)
■他地域の類似プロジェクトとの差別化と補完の可能性
■地域住民の雇用創出・住環境向上
■地域の知名度向上
マーケティング
民間の投資・融資の牽引
ミクロ政策
ニーズからの
アプローチ強化
*2年で責任者交代
本物のシーズ
インテグレーション
産学連携の意義とメリット再認識
■研究者のプロファイル(独創性と協調性を兼ね備える)
■大学周辺の研究・住環境の整備
■産学連携によるR&Dの加速支援
⇒大きなイノベーション
■公設試と大学の役割の相互補完
■地域の発展に向けた社会科学の
知恵の活用
■研究成果からの競争力のある技術の抽出
■差別化技術を保有する研究者のプロファイル(科研費・JST基礎研究・COE)
■大学への相談窓口機能と相談人材のプロファイル
大学・研究機関
知財本部整備・戦略事業による大学のプロジェクト・マネジメント
■共同研究による研究費の確保(企業から、公的助成制度の活用)
■大学の実学の知名度の向上
■産業界との補完関係構築
■Global競争におけるわが国の大学の知名度向上(海外からの留学生)
課題:【社会ニーズに基づく開発課題の設定が肝要】
□我が国の地域クラスターは、大学研究成果を活用する狙いで、地域の大学と地域企業を中心とした、「研究
開発」や「ネットワークの形成」の促進を図ってきたが、大きなイノベーションへと進展が著しい事例が少ない
□独国のクラスター施策との違いは何か? 大きく進展する為の要因とは何か? 誰が推進者か?
□社会ニーズや企業ニーズにマッチングする「技術開発」を推進する仕組みを強化する必要がある
□中小企業と大企業が相互補完して、当該分野でGlobal Topを狙う独国のクラスター施策とは如何なるものか
7
技術マネジメント
『市場・事業の駆動力抽出』
@JAREC
研究成果を技術移転・事業化するために市場と事業の魅力度から事業の可能性評
価を行い、事業化するための優先順位をつけるための手法
市場の魅力度x事業の適社度 ⇒ ロードマップへ落し込み
市場駆動力
事業駆動力
市場の魅力
事業の適社度
有望事業機会の選択
(注)○の大きさは
市場規模を示す
B1
B2
特長ある製品
高い
高い
新製品の定量化分析
■未来市場予測
■技術予測
■競合力
低い
■社内資源分析
■強み弱み分析
■経営評価基準
課題:【実用化に向けた最強のチームとなるアライアンス構築が重要】
□強みのある新製品を指向するにあたって、市場の魅力と自社の事業の適社度を加味する必要がある
□開発すべき新製品の優先順位の付け方が重要
□市場に魅力が無いもの
⇒新製品として開発すべきでない
自社に事業駆動力のない部分 ⇒M&A、アライアンスで対処
□この様な状況をクラスターネットワーク構築とは、上記の判断をする為のネットワーク?
8
Discussion items focused on cluster mechanism and policy
課題認識(クラスター政策は地域イノベーションとしてどれほど寄与するのか)
1.The usual definition of clusters for regional development, in case there is such one.
地域を発展させる為の手段としての「クラスター政策」とは何か?
2. Examples of such undertakings
実際の事例はどの様なものか?
3. How were and are they (ex.clusters) developed? Quite naturally or rather artificially?
Specific reasons?
クラスタリング(クラスターの発展)とは、本来自然発生的なものか、また、制度
設計して、その通りになるものか? その理由は?
4. What kind of factors play key roles as the basis of regional competiveness?
地域の競争力の源泉としてどの様な要因が必要か?
5. Are evaluations carried to check the progress and final results of supporting activities?
クラスターの進展や成果のチェックには、どの様な評価が必要か?
6.How do big enterprises and small- and medium-sized companies join the cluster?
What motivates small companies to join?
クラスター制度においては、中小企業と大企業の補完連携が良いのか?
中小企業が参加するモチベーションは何か?
7. Regional innovation has the feature of not only technological innovation, but social
innovation, hasn’t it? Is there also the concept of social innovation used in MIWF?
地域のイノベーションは、技術面ばかりではなく、社会システムの変革もある。
独のNRW州の、「社会システムのイノベーション」のコンセプトは?
9
ドイツノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州のイノベーション施策
(株)NRW
Japan(経済振興公社の日本法人)代表取締役社長:ゲオルグ・K.・ロエル氏
【事業内容】
【NRW州への日本企業の誘致】
○リクセル
(住宅設備メーカー、藤森社長)
○サイバーダイン 2010~ 等
1. 日本企業へのコンサルティング
○駐在員事務所設立、現地法人設立、
○生産拠点設立、研究開発事業、欧州統括会社の設立
○研究分野での提携(該当企業やR&D機関の紹介)
○ジョイントベンチャー、M&A(一般的情報)
2. 情報提供
デュッセルドルフ本部NRW.INVESTを通じ、現地機関や企業紹介
○NRW州経済エネルギー省、NRW州各省庁、関連諸機関
○市・地域、大学、研究・調査機関、企業・公的機関
3. セミナーの開催
○年に数回、セミナーを開催(立地拠点の総合紹介、分野別)
4. NRW Japan K.K. Fireplace Talk の開催
「NRW Japan K.K. Fireplace Talk (炉端会議)」は隔月開催の
インフォーマルな研究会・意見交換の場。行政、大学、企業等様々な
背景を持つ人々が出会うプラットホーム。
【最近の動向】
○ドイツは中小企業が多い。日本の経産省も成功の秘訣に関心を示している。
○近年は中国進出が顕著。日本の5倍
○デンソーがアーヘン(Aachen)近郊にエンジニアリングセンター設立、アーヘン工科大学から100名を超える人材を確保
○NRW全体で550社の日本企業が進出(8~9位)
○72の総合大学、工科大があり、68万人の学生
○もともと炭鉱の町だったが60年代から産業転換を図る
(例)Gebr. Eickhoff社:石炭運搬用の車のホイール製造から転換
→鉱山掘削機械(米国などへ輸出)
10
→風車用ギア(2001~):現在風車ビジネスが売上の6割
ドイツのイノベーション施策としての「クラスター政策」とは
【イノベーションによる地域振興の理由】
○革新的なソリューションを求めている
○構造改革の迅速化を図る
【ドイツのクラスター政策】
○連邦政府と州政府の役割分担
・州政府が 奨励 補助金
・連邦政府も奨励 補助金
・EU国際機関も関与
○クラスターでは、メインテーマを決める
・例:新素材、軽量化、再生可能エネルギー、ロジスティック、医療、ロボテック
○どういう企業が成長するかを察知し、リードカンパニーを発掘する
○ノウハウ移転によるイノベーション 各地域に起業家がいて地域の企業と一緒に推進
【イノベーション促進策】
○日本は経済振興策として補助金行政に傾斜しているようだが、EUは補助金を禁止している。
(de minimis 「少額助成」は例外。目的のある助成金はあり)
○イノベーション戦略(2013.11.19)
【NRW州におけるクラスタープログラム】
○2007年に発足、16のクラスターがある(自動車、バイオ、ケミカルなど)
○クラスター事務局が統括運営(Exzellenz NRW)
○リーディング産業を注視(8つの経済領域:リーディング市場)
○クラスターの定義:一般的にはM.Porter教授の定義(1988)があるが、
NRWでは、ネットワーキングを最重要視。
11
【クラスターの役割と運営】
○将来的テーマ設定するプロモーターやモデレーターが重要、推進Managerの役割が重要
○環境づくり、持続可能な組織づくり
○州政府は対外的にサポート
○クラスター政策のポイント ⇒ 強いところをより強化していく
○州政府には16のクラスターにはマネジメントオフィスがあり、企業経験者などが勤務
○それぞれのクラスターは1つのモデルに従っているわけではない。仕事がしやすいところ
もあればコンタクトのない場合もあり。
例:ケミカルは化学産業の業界団体のみ(クローズド)で構成。
○クロスイノベーション(クラスター間の相互作用)が起きている。
【クラスターの事例】
○医療技術クラスター(2011年に発足した最新のクラスター)
○事務局は法人格を持たない。産学の戦略的ネットワーキングを行う。
○就業者確保を図っている。 (医療技術クラスターの関係)
州政府の省庁
クラスター
クラスター事務局
作業部会
○食品クラスター
→ 業界団体に近い性格を持つ
○ケミカルクラスター → HPもない。化学産業の協会としての機能
○ルールテクノロジーセンター
→ 大学からのスタートアップ、スピンオフ、若い人の 活動サポート
【クラスター政策の動き】
○政権によって産業政策が変わる。
・2005~10年は連立政権(右寄り)で市場原理、テクノロジー重視
・2010年以降は社民党、緑の党が政権をとり、ソーシャルイノベーションを重視へ
12
【ファンディング】
○公的側面をサポート
①Horizon2020 (EUの研究基本計画)の助成
日本も入ることができる。プロフェッショナルなパートナーが必要
②Zim
中小企業支援プログラム(政府予算)。日本企業も応募可能。NEDOと協力
③ファンディングコンペ
【サイバーダインの事例】
○2010-11にNRW州に誘致。ボーフム(Bochum)にある労災病院と協力し、ロボット
スーツをセラピーセンターで使用。ボトムアップの展開といえる。
○NEDOも3億円拠出し、60人の臨床試験をサポート。
○インベスターが来て事業を始めることは精神的、学問的にノックオン効果が高い。
○ステイクホルダーをまとめることが大事。
○サイバーダインの上場にボーフムも貢献し、サクセスストーリーとなった。新たに何が
ドッキングできるかが課題。
○ドイツに誘致する過程で得たことを活用し、さらなるサクセスストーリーにつなげたい。
【アーヘン工科大学】
○ITA(研究所)の他に、産学協力のための組織(3T)がある。
○資金調達は大学の研究者の役割。
【ドイツ側のプレゼンに対する質疑】
Q1.政権によって政策が変わるということだが、州政府と連邦政府の関係は?
A1.関係があることはある。元々ドイツは連邦制で、教育や大学は州の管轄事業なので、連邦政府に
は口出ししてほしくない。政府も戦争の経験もふまえて教育には関与しないことになっている。
しかし州がすべての資金を出すことも難しいので、変えていこうという動きはある。
(補足)
・連邦政府が卓越した大学に、研究を支援する「エクセレンスイニシアチブ」というプログラムがある。
・また連邦政府は先端的な活動を行う地域を支援する「先端クラスター競争プログラム」を進めている。
NRWではクラスター「インテリジェント・テクニカル・システム オストヴェストファーレンリッペ (Intelligent Technical Systems OstWestfalenLippe)」が先端クラスターとして選定された。
13
兵庫県における科学技術振興と地域産業イノベーション施策の実行
兵庫県立工業技術センター
顧問
松井繁朋氏
兵庫県地域結集型共同研究プログラム
兵庫県地域結集型共同研究事業の特徴
産業界ニーズが極めて高い課題
◎ 6社で事業スタート、最終的に24社が参画
◎ 13社が新製品の開発を行い、4社が発売開始
⇒ 新製品の開発を促進
コア研究室による精密評価技術開発
◎ 高精度位置決め状態分析技術の開発
◎ マイクロビーム光電子分光技術の開発
⇒ 革新的な材料開発、プロセス設計への貢献
自治体による地域COE拠点の整備
三者の相乗効果
兵庫県地域結集型共同研究プログラムの進展
◎ 基盤整備(新ビームライン、 放射光ナノテク研究所)
◎ 産業利用支援サービスの総合窓口の設置
⇒ 事業終了後も産業界を強力にバックアップ
地域のGNT(Global Niche Top) 企業の育成に思う
• 地域の科学技術基盤の強化構築
• 大学、公的、民間の研究所の充足強化
• 長期にわたる人材育成基盤の構築
• 地域産業の特色、歴史を背景に強みを生かすこと
• 農工連携など異分野との融合
• 他地域との積極的な連携
• 産学連携の強化と効率化
• 地域、企業、学のトップの情熱と執念
• 開発資金の獲得
• 人は会して計ること
14
などが必要である。
【日本側のプレゼンに対する質疑】
Q1. Spring8のお金はどこから出ているのか?
A1. 文科省が金を出し、理化学研究所が所有、兵庫県が土地を提供。県には山があり地震に強いこと
で立地条件が良かった。
Discussion
【質問項目の確認とドイツ側への再確認】
課題1.地域発展のためのクラスターの定義
→クラスターは、「革新的なソリューションを求めていること」「構造改革の迅速化を図れること」
で、地域イノベーションの有効な手段として認識。
【クラスターの役割と運営】
○将来的テーマ設定のプロモーターやモデレーターが重要、また、推進Managerの役割が重要
○環境づくり、持続可能な組織づくり
○州政府は対外的にサポート
○クラスター政策のポイント ⇒ 強いところをより強化していく
○州政府には16のクラスターにはマネジメントオフィスがあり、企業経験者などが勤務
○それぞれのクラスターは1つのモデルに従っているわけではない。仕事がしやすいところ
もあればコンタクトのない場合もあり。
例:ケミカルは化学産業の業界団体のみ(クローズド)で構成。
○クロスイノベーション(クラスター間の相互作用)が起きている。
課題2.クラスターの事例
→地域毎の特長ある発展を目指し「地域毎のクラスターテーマ」が設定され、その目標に向かった
対応を実施。
【NRW州におけるクラスタープログラム】
○2007年に発足、16のクラスターがある(自動車、バイオ、ケミカルなど)
○クラスター事務局が統括運営(Exzellenz NRW)
○リーディング産業を注視(8つの経済領域:リーディング市場)
○クラスターの定義:一般的にはM.Porter教授の定義(1988)があるが、
15
NRWでは、ネットワーキングを最も重要。
課題3.クラスターはどう発展したか。自然派生か作為的か。
→今回のドイツ側のプレゼンと討議を聞く限り、地域発展に対し、地域の革新的なソリューションを
求め、構造改革を迅速に進める為の「施策設計」の方策がクラスター(作為的)
→一方、米国シリコンバレー、英国ケンブリッジクラスターは、自然発生的としている。
課題4.地域の競争力の基盤としてどういう要因が鍵になるか。
【競争力の基盤について】(Löer氏)
○1つは教育と大学(研究機関)
NRWでは60年代から、斜陽化してきた従来の産業(重化学工業、鉄鋼業、石炭産業)からの転
換を図り、新たな雇用を生んでいる。新しい大学も設立し、次の段階への教育を進めた。
○もう1つは州政府がどういう政策をとれるかということ。
・バイエルンの例では、元来、農業が盛んな地域であったが、新規で大学を設立した。また公的
事業の民営化によって得られた資金を新たな事業に投資。
・ルール地方では、地下資源を活用する為に形成された都市を、いかに現在の必要性に対応でき
る都市にすることを課題とし、政策を展開している。
「ルールイニシアチブ」に60企業が参加。
「Innovation City Ruhrコンペティション」に地方自治体の多くが参加:1つのモデルをつく
る取組(政策目標のモデル:CO2削減目標など)
○新しい技術やイノベーション+住民の協力が大事。
ビジネススキームを多面的に考えること。
○北九州や川崎も、昔の産業構造イメージから脱却して新しいイメージをつくろうとしているので
はないか。それは、地方自治体の役割か、企業の役割か?
○NRWでは、欧州文化都市として選出された都市もあり、文化事業も盛んである。
○どこに重点を置くかが重要。日本はハコモノや機械を入れる事で、そこから未来を期待しているの
はやや問題ではないか。社会イノベーションや文化に力を入れるのは、無駄なこともあるだろうが
結局は税金なのだから将来の良い道を探ることが必要。
16
課題5.支援の進展や結果の評価
→
評価は、クラスター推進機関(州政府、実施機関)の判断が必要
となり、今回は触れない
課題6.クラスターに参加する大企業、中小企業はどう関係するか。特に中小企業参加のモチベーション
は何か。
課題7.政権が変わり、社会イノベーション関連が増えたとのことだが、その概念はあるか。
【世界をめざす地域企業について】 (Lӧer氏)
○日本の中小企業は技術を持っているが、それだけではだめで、いかに世界の中で太刀打ち出来る
ものに育てられるか。
○ハード支援というより、ソフトファクターとヒューマンスキルの支援が重要。
○どうビジネスモデルをつくり、海外ともネットワークを使っていくかを考えること。それがな
いと技術が利用されない。ハコをつくるのではなく、持続可能な連携体制をつくるべき。
○海外進出へのサポートが課題になる。
【クラスターの日独比較について】(松井先生)
○クラスターは、地域の自主性を生かし自然体でつくったほうが良いのではないか。
○行政が基本方針を決めるが、地域の首長が真剣に考える。県民も含めて考えてもらう。そのために
受け皿となる組織づくりが必要。
○兵庫県でも「創造的科学技術立県」を掲げ勉強してきた。「放射光」は1つのトリガーとなり、県
の努力が後の成果につながった。
○播磨の場合、環境的にも協力体制を整えた(研究員の家族のために、幼稚園、学校、団地も建設)
〈補足〉
○川崎重工では放射光施設利用にあたり、専門家を1人配置している。中小企業では雇えないかもしれ
ない。県は専門の研究員を8人雇用。組織との融合を図りうまくいった。
17
【日独の比較に関する質疑】
Q1.ドイツの政府がとり得る政策手段は何か。EUのイノベーションガイドラインには補助金の
ことが書いていないが。
A1. (Lӧer氏)
○EUのめざすのは自由・平等な競争を円滑に促すことであり、不当な補助金は出さないことが原理
である。ただし地域によってその原理が適用できるところ、出来ないところがある。失業率の問
題などから、補助金を使う場合もある。
○例として、リーマンショック後の廃車手当(奨励金)。
○ドイツでは、印象としては、補助金ではなく、教育資金である。
○日本ほどではないが、ドイツの行政の取り組みの中で補助金はたくさんある。政党では既得権益
をなくそうという議論があるが、なくしていくのは容易ではない。
○再生可能エネルギーでは、政府の補助金というより電気料金で消費者が払っている形である。
○「イノベーションをもってイノベーションを興す」
○カリフォルニアの排ガス規制の例
○日本の中小企業は、企業なのに、政府が何を考えているかを気にかけ過ぎている(どこに何がぶ
らさがっているか)。企業風土にもよるが。ビジネスしようという中小企業がそういうマインド
を持つのは健全ではない。
自分達の保有している技術に補助金が廻る様に持っていくのは危険な面もある。
18
Q2.サイバーダインの事例について。ドイツで立ち上げ、ネットワークで進めているのはすばらしい
と思う。NRWの拠点でロボットスーツによる治療を労災保険扱いにしたのは、意図的に行った
ことなのか?
A2. (Lӧer氏)
○最初はいくつかの地域を考えた。ボーフムは地元にバイオメディカルセンターがあり、労災病院
があった。健康保険の場合、人数が多いため難しい?そのため最初から労災保険に適用すること
とした。院長が最新の技術に前向きだった。
○協力を呼び掛けたい人にはきっかけを見つけて会いに行き、一緒に話をしたり見ることが大事。
山海先生はマーケティングがうますぎる。
Q3.ドイツのクラスター政策は参考にしたい。どうやってサステナブルなエコシステムをつくってい
ったのか。日本では成熟していない。補助金インセンティブではないインセンティブを地域にど
う与えていくか、ここ数年の悩みの種である。
A3. (Lӧer氏)
○クラスターの最初の発想の時は、州政府がサポートするものだった。マネージャーを採用したり
イベントを開催するなど。クラスター内で、省庁に向かった仕事をする人もいた。
○しかしいずれは民間のものになることが望ましい。例えば化学産業クラスターでは政府の金はな
く、HPもない。業界団体がその役割を果たしている。
○ナノテクノロジー分野の企業ネットワーク組織(IVAM:イーファム)があり、400社が参加。
クロスイノベーションを促進するため、啓蒙活動などを実施。主に企業の人が動かしている。
Q4.ドイツのクラスターでは、プロジェクトよりもクラスターマネジメントに州政府の金が出ている
のか。
A4. (Lӧer氏)
○基本的にはそうである。州政府は政策の中で外に見せられるものをつくりたいと思っている。
○クラスターマネジメントでは任期がある(6~7年の契約など)。
○どういうクラスターマネージャーを置くかが肝心。天下りではなく、企業の第一線でやってきて
業界がわかっている人が効果的である。
19
Q5.ドイツは中小企業への政策として、強くて世界に通用する企業を重点的に支援するというようだ
が、弱い企業はつぶれてもよいということか?日本ではつぶさないようにするが。
A5. (Lӧer氏)
基本は競争社会である。生き残るには競争である。4~500人従業員のいる会社は、同族会社が従業
員に責任を持っていることが多い。
Q6.県内にはアドテックプラズマテクノロジーという会社があり、NRW州のマックスプランク研究所との
共同研究も行っており、ドイツの病院でも臨床試験を行っている。これは広い意味でクラスターだと
思っている。地域間のネットワークに興味がある。
A6.(Lӧer氏)
プラズマ分野では、日独の連携の可能性がある。名古屋大学なども。
Q7.クラスターではネットワークが大切だという話があった。ドイツの政策として、この地域はこのクラス
ターで発展させるというネットワークをどのように考えているのか。
A7. (Lӧer氏)
連邦レベルのクラスターと州レベルのクラスターがある。州の中に、また、地域のクラスターがあり
そこでは一番中身のある(現場の)話をしている。
アーヘンにAKMイノベーションマネジメント社がある。この組織は、大学の教授が協会をつくって、
株主になり有限会社をつくったもので、具体的にプロジェクトを進めている。インキュベーターも中
に入り、マネージャーも自ら研究を行っている。
20
ドイツNRW州の「クラスター政策」とは(まとめ)
○地域自治体の従来の産業構造から革新的な構造変革(革新的なソリューション)をめざす。州政府が
中心となって、その州内の自治体、及び連邦政府が連携して進めている地域Innovation施策
・ 16の地域毎に自由度の高いクラスター(自動車、バイオ、ケミカルなど)を創設 (2007年発足)
・地域発展のビジネスモデルとしてネットワーキング中心の活動であり、連邦・州政府が
ここに資金の補助を行っている。
・ハード支援というよりもソフトファクターとヒューマンスキルを支援している。
・その活動は、クラスターManager が責任をもって推進している。
・成果に責任を持つ仕掛けは? 金の切れ目が縁の切れ目でない制度設計はどの様にして構築?
・民間企業の第一線で働いてきた方がManagerとして5~6年間牽引
・特定技術分野・企業への補助金というより“繋がり”への投資
・Harvard大 M.Porter教授の「国の産業優位を構築するクラスター*」とは異なるもの
*M.Porter教授の「クラスターとは、ある特定の
分野における、相互に結びついた企業群と
関連する諸機関からなる地理的に近接した
グループであり、これらの企業群と諸機関は、
共通性と補完性によって結ばれている。
出典:M.Porter「競争戦略論Ⅱ」73頁
カリフォルニアのワインクラスター
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2’nd specific Workshop on Regional Innovation (Tentative)
□ Focusing on innovation program for the small and medium enterprises (SMEs) based
on science and technologies in Germany
Date:
Place:
Program:
14:00-14:10
14:10-14:30
14:30-15:30
Oct.20th (Mon)
at 4-banncho Headquarter office of JST
Greeting
Guidance for Workshop
“Innovation activities at the Steinbeis Foundation”
by President Mr. Yukio Kobori
・Outline of the Steinbeis Foundation
・Innovation activities for the SMEs in the world
・Innovation activities in Japan
15:40-16:10
“Innovation activities in Osaka” by Dr. Hitoshi Morita
16:20-17:30
Discussion on the difference of the SMEs innovation activates
between Germany and Japan
Moderator Mr. Hiroshi Nagano
(Former professor of National Graduate Institute for Policy Studies)
Mr. Yoichiro Hara (Former president of Nagaoka University)
17:30
Information exchange
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Discussion items focused on SMEs’s innovation performance
課題認識(Stein Beisの支援モデルは地域イノベーションとしてどれほど寄与するのか)
(1)Activities of Stein Beis Foundation
○誰に、何を(どの様な価値を提供)その為どの様な活動を(歴史的な背景を含め)
○現在は、どの様な活動内容で、中小企業を支援(全体の概要、大学まで設立)
○Stein Beis財団の活動範囲(Global展開:独、欧州、米国、日本、中国等、地域別に)
○組織の人数、プロジェクトの数の推移、売上規模(中国でのプロジェクトが増えているのか?)
○Max Planck研究所(基礎) 、フラウンフォファー研究所(応用研究)、シュタイン・バイス財団
(中小企業支援)における活動の相互補完する関係性があるのか?
○政府の金銭面での支援はない。公的資金”ゼロ”の自律機関
(2)中小企業?の抱える課題とStein Beis財団 の事業モデルの変遷(歴史的、地理的)
○中小企業がStein Beis財団に頼っている事(企業ニーズ)のマーケティングをどの様に実施
(トラブルシューティング、製品開発、ビジネスモデル構築、事業化、マーケティング、設備レンタル、他)
○企業のリピータビリティ率は?
○Stein Beis財団の企業支援ビジネスモデルは? 欧米、アジア、日本では異なるか?
○中小企業の技術・事業革新のPlatformとして機能する為のマネジメントデータのマイニングはどの様に?
○大学の知恵を中小企業が活用するモデルを構築してきたが、なぜ、自身が大学を設立?
(3)独での地域発展では、各地域で分野別の特長あるクラスターの仕掛けが重要視されてきた。州によっ
てSteinbeis財団の強いところと、そうでないところがあるのか。
(4)Stein Beis財団は、独・欧州の地域のクラスター事業(制度)には参画(関与)していないのか?
(5)Stein Beis Japan における海外(欧米等)とGlobal展開を繋ぐ仕組みは、どの様なニーズか多い?
(6)単一技術の開発というより「システム統合化」の様な複合的な取組によるイノベーションへの対応を
どの様に支援していくのか?
(7)企業ばかりではなく、自治体等の社会システムのイノベーションへの取組を支援する様な事もあるのか?
(8)ソフト的なサービスを(貨幣)価値に換算するマインドが日欧米では違いが感じられるか?
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【企業のGlobalな競争環境での優位性支援策】
(1)Activities of 大阪産技研
○組織と各業務の比率、件数、エフォツ
○業界別の支援状況(時代の変遷)
○主な業務は
・企業のトラブルシューティング
(緊急且つ重要な技術課題)
・中堅技術開発型企業の開発支援
・Top企業の技術開発支援
・企業の事業化への支援?
○大阪内と大阪外の企業ニーズへの対応
○技術相談を有料にしたら?
○イノベーション(既存事業→変革)への支援
(2)公設試から見て大学との連携はどの様な時
○高度な技術への対応
○自身の技術ポテンシャルのアップへの対応
・大学→公設試への対話(実用化)
・公設試→大学への対話(高度化)
○どの様な補完連携が重要
(3)学際的な取組などへの関心
(4)システム統合化への取組への関心
(5)技術以外での事業化への支援ニーズ
(6)地域イノベーションへの寄与・促進への関心
(7)企業のGlobal展開への寄与・関心
(8)Global Niche Top企業への支援
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【地域の産業革新に向けた公設試の立ち位置
は、どうあるべきか】←地方創生と絡めて
○企業規模との関係で、企業のお客
様の ニーズは何が多いか
○期待されている事
○全国的に見ると、公設試も規模が
小さいが、それで十分か。
○大学、財団等との補完連携の模索
○顧客の満足度は?
○クレームは短期決戦?
○中長期的な支援?
○トラブル知見の集約と地域イノベーション
の底上げ共有化戦略
○多いクレーム事例と当該分野の
専門家の育成
○革新技術の実用化
○システム統合化
○事業化(技術の強み、マーケティング)
○Globalな展開状況の把握
○プロジェクト型開発の構築とその推進
○大企業と中小企業の補完連携
○アライアンス支援 等
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3’rd specific Workshop on Regional Innovation (Tentative)
□ Focusing on innovation program based on science and technologies especially in the
field of agriculture in the Netherlands
Date:
Place:
Program:
14:00-14:10
14:10-14:30
14:30-15:30
Dec.17th (Wed)
at the Embassy of the Kingdom of the Netherlands
Greeting
Guidance for Workshop
“Innovation activities in the Netherlands”
・Outline of the Netherlands (Geography, Culture, Industries)
・National Policy for agriculture innovation
(History, Strategic approach, Statistic data, etc)
・Public Private Partnership Innovation
15:40-16:10
“Innovation activities in Hokkaido”
16:20-17:30
Discussion on the difference of agricultural innovation activities
between the Netherlands and Japan
Moderator Mr. Hiroshi Nagano
(Former professor of National Graduate Institute for Policy Studies)
Mr. Yoichiro Hara (Former president of Nagaoka University)
17:30
Information exchange
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4’th specific Workshop on Regional Innovation (Tentative)
□ Focusing on strategies of global operation for the SMES in Switzerland
Date:
Place:
Program:
14:00-14:10
14:10-14:30
14:30-15:30
Feb.3rd (Tue)
at the Meeting room of the Japan Club in Hibiya
Greeting
Guidance for Workshop
“Innovation activities for the SMEs in Switzerland”
by professor Manabu Eto (Hitotsubashi Univ.)
・Outline of Switzerland (Geography, Culture, Universities, Industries)
・National Policy for the innovation activities in Switzerland
(History, Strategic approach, Statistic data, etc)
・Global Blanding strategies
15:40-16:10
“Innovation activities of Glass frame industries in Sabae”
16:10-16:40
“Innovation activities of Ibaraki /Tukuba district”
16:50-17:30
Discussion on the difference of innovation activities
between Switzerland and Japan
Moderator Mr. Hiroshi Nagano
(Former professor of National Graduate Institute for Policy Studies)
Mr. Yoichiro Hara (Former president of Nagaoka University)
17:30
Information exchange
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5’th specific Workshop on Regional Innovation (Tentative)
□ Focusing on Innovation of local SMEs establishing global operation Date:
Place:
Program:
14:00-14:10
14:10-14:30
14:30-15:30
March.2nd (Tue)
at 5-banncho ANEX office of JST
Greeting
Guidance of Workshop
“Global Niche Top SMEs in Japan ”
by Director Mr.Yuji Hosoya (METI)
・Results of Investigation work of Global Niche Top SMEs in Japan)
15:40-16:10
“Establishing global operation of Honda Pump Co. Ltd”
16:10-16:40
“Establishing global operation of Huens Co. Ltd ”
16:50-17:30
Discussion on Innovation of local SMEs establishing global operation
Moderator Mr. Hiroshi Nagano
(Former professor of National Graduate Institute for Policy Studies)
Mr. Yoichiro Hara (Former president of Nagaoka University)
17:30
Information exchange
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