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痛みの閾値を上げるケア

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痛みの閾値を上げるケア
2011/1/13
第7講
看護ケア
看護ケアⅠ
Ⅰ
(疼痛・便秘・呼吸困難)
(疼痛 便秘 吸 難)
あさひかわ緩和ケア講座 2010
旭川医科大学病院
緩和ケア診療部 緩和ケア認定看護師
笹田 豊枝
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
全人的苦痛(Total pain
全人的苦痛(
Total pain)
)
Dame Cicely Saunders
身体的な苦痛
痛み
他の身体症状
日常生活の支障
痛みの閾値を上げるケア
精神的な苦痛
不安・怒り
いらだち
うつ状態
社会的な苦痛
全人的苦痛
経済的な問題
仕事上の問題
家庭内の問題
スピリチュアルな苦痛
生きる意味への問い
死への恐怖
自責の念
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
痛みの評価のkey component
痛みの閾値とは?
1. どこが?(部位)
2. どんなふうに?(性質)
3 どのくらい?(強さ)
3.
4. 何が困る?(痛みの影響)
5. 何が痛みを修飾している?
6. 痛みの治療の副作用は?
あさひかわ緩和ケア講座 2010
痛みの感じやすさをいう
痛みを感じる最小の刺激レベル(程度)
痛みを感じる最小の刺激レ
ル(程度)
痛みの閾値が下がる
→ 痛みを
痛みの閾値が上がる
→ 痛みを
あさひかわ緩和ケア講座 2010
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痛みを修飾する因子
痛みの感じ方を増強する因子
(痛みの閾値を下げる因子)
痛みの閾値を上げるケア
*疼痛マネジメントに役立つ重要な
不眠、疲労、不安、悲しみ、怒り、抑うつ、倦
怠感、孤独感、過去の痛みの体験、社会的
地位の喪失、痛みの原因が不明
ケアである
痛みの閾値を上げるケア
痛
値
げ
患者を支えるコミュニケーション
マッサージ
ポジショニング(体位調整)
罨法(温罨法、冷罨法)
痛みの感じ方を軽減する因子
(痛みの閾値を上げる因子)
十分な睡眠、不安の解消、他症状の緩和、
理解、ふれあい、創造的活動、過去の痛み
からの回復体験、痛みの原因が明白
8
文献3より引用一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
痛みの閾値を上げるケア
1、日常性の維持
一人の人間として尊重する
『人として遇すること』
できる限り普段と同じような生活ができるよう
にする
痛みの閾値を上げるケア
2、側にいること(presence)
DoingからBeingへ
意識的・意図的に患者の側にいることの
意識的・意図的に
意義は大きい
【例】散歩をして大好きなコーヒーを飲む
馴染みの写真や置物を持ってきても良い
文献2より引用一部改変
文献2より引用一部改変
9
10
あさひかわ緩和ケア講座 2010
痛みの閾値を上げるケア
ケアリング
患者の側にいること(presence)
*分かちあい
*観察
*傾聴
*なぐさめ
*付き添うこと
*コミュニケーョン
*共感
*カウンセリング
*触れること
*希望
*教育
*元気づけること
*支え
11
あさひかわ緩和ケア講座 2010
文献2より引用一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2010
3、気分転換(注意転換法)
一種の感覚遮断の手段
聴覚 視覚 触覚など 痛覚 外 意識を集
聴覚、視覚、触覚など、痛覚以外に意識を集
中させることにより痛みの感覚から自己を遮
断する方法
テレビを観る、読書、会話、散歩、リハビリ、
ユーモア、笑い等
文献2より引用一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2010
2
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痛みの閾値を上げるケア
痛みの閾値を上げるケア
5、音楽療法
4、リラクセーション
深呼吸法
漸進的筋肉置換法
平和で穏やかな過去のことを想起する
イメージ法など
音楽は、情動と感情を司る大脳辺縁系に
影響し、精神生理学的反応を生じさせる
その場の雰囲気を変える
患者の気分転換になる
痛みのために心を閉ざしている時の一種の
風穴としての作用がある
文献2より引用一部改変
文献2より引用一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2010
痛みの閾値を上げるケア
あさひかわ緩和ケア講座 2010
患者を支えるコミュニケーション
援助者になるためには
6、アロマテラピー療法
芳香成分を含む精油を吸入・入浴・マッサージ
張
などによって体内に吸収→不安や緊張を緩和
エビデンスレベルはB(行うよう勧められる)
-日本緩和医療学会:がん補完代替医療ガイドライン第1版-
実施前には必ず、患者の希望の有無を確認
実施に当たっては、専門家の指導のもとで行う
のが望ましい
文献3より引用一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2010
看護師とがん患者のコミュニケーション
のための留意点
励まし、説教、説得、説明は無効なことが多
いと知っておくこと
不安、抑うつ、という抽象的な情緒に共感し
ようと思わないこと
患者の日常生活、人生を知ること
言語化を丁寧にすること
会話が言葉のキャッチボールになっている
かどうかを、心がけること
両価感情の概念を知っておくこと
2010 JPOS研修セミナー資料より引用一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2010
1、安心(守秘)
2、軽蔑されない
3、いつも援助者になってくれる
4、わかってもらえる
文献3より引用一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2010
附録:両価感情(アンビバレンス)
両価感情とは、重要他者に向けられる、相
反する感情
患者は医師に対して信頼と同時に不信を
抱いていることが多いことを知っておくこと
が重要
信頼している医師であるほど、裏切られる
ことを恐れて本音が言えなくなることは珍し
くない
2010JPOS研修セミナーより引用一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2010
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附録:医療者(医師)に対する両価
感情への対処
両価感情が正常で普遍的なものであることをチー
ム全体が認識しておく
医療者への両価感情(ことに陰性感情)を聴く
患者と医師の関係性確立への助言を行う
→先生はきちんと説明してくれましたか?
→先生に言いたいことがきちんと言えましたか?
マッサージ
マッサージとは、軟部組織に対して、手指
でさする、揉む、圧迫するなどの刺激を与
えること
医療者への批判的発言に対して、迎合しない。患
者の身になってただ聴くことが重要
同様に、防衛的にならないこと。説教は逆効果
チームアプローチが必要になる
2010JPOS研修セミナーより
引用一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2010
マッサージ
あさひかわ緩和ケア講座 2010
マッサージ
マッサージのエビデンス
痛みの閾値の上昇、関節可動域の改善、筋肉の緊
張緩和、血行やリンパドレナージの改善、リラクセー
ション効果がある
・Gatlin
Gatlin CG
CG et al:When
et al:When medication is not enough:nonpharma
medication is not enough:nonpharma‐
cologic management of pain,Clin J Oncol Nurs 2007
・Casslileth BR et al:Massage therapy for symptom control:Outcome study at a major canser center.J Pain Symptom Manage 2004
複数の無作為試験で(RCT)では、10~50分間のマッ
サージにより、直後の痛みのスコアが有意に下がっ
たという報告がある
あさひかわ緩和ケア講座 2010
ポジショニング(体位調整)
体位調整は、褥瘡予防だけではなく、安
楽の保持、循環や知覚・筋肉・認知を刺
激する
あさひかわ緩和ケア講座 2010
マッサージによるリスクは少ないが、リンパ節
切除を行った患者、リンパ節転移のある患者、
下肢に血栓症や塞栓症のある患者では、患
側へのマッサージは行うべきではない
側へのマッサ
ジは行うべきではない
骨転移、出血傾向のある患者では強い圧迫
や叩打は避ける
マッサージを通して患者とのスキンシップやコ
ミュニケーションを図ることができる
あさひかわ緩和ケア講座 2010
ポジショニング(体位調整):コツ
痛みが悪化する動作がわかっていれば、その
前にレスキューを適宜使用する
個々の患者が好む体位を把握する
クッション、枕、バスタオル、スポンジなどを用
クッ
、枕、
タ
、
な を用
いる
体動で痛みが悪化する場合、複数のスタッフで
愛護的に身体を動かす
患者に痛みのある部位を把握していること、そ
れに配慮しながら行うことを事前に伝えてから
実施する(恐怖感の低減)
あさひかわ緩和ケア講座 2010
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罨法:温罨法
罨法:冷罨法
• ホットパックや蒸しタオル、温熱毛布などで温
めて症状を緩和する方法
温罨法(加温)
・皮膚の血行改善、血管拡張
・組織の酸素・栄養供給促進
痛み
筋緊張
• 冷罨法は、コールドパックやアイス枕で冷や
すことで症状を緩和する方法
酵素活動
の破壊
破壊
冷罨法(冷却)
炎症
炎症物質産生
代謝・酸素消費・腫脹・
発痛物質・乳酸の減少
発熱
発赤
腫脹
脹
血管拡張、
透過性亢進
関節拘縮
・筋肉の弾力性増加
・関節拘縮軽減
痛みの減弱
(?)
痛みの減弱
(?)
痛み
文献3より引用一部改変
文献3より引用一部改変
あさひかわ緩和ケア講座 2010
痛みの閾値を上げるケアの症例
あさひかわ緩和ケア講座 2010
全人的苦痛(Total pain
全人的苦痛(
Total pain)
)
Dame Cicely Saunders
身体的な苦痛
痛み
他の身体症状
日常生活の支障
A氏 老年女性
がん、骨転移(腰椎1、2、3)
病名・予後告知あり
Ⅹ+4年 再発
抗がん治療が奏功せず中止
フェンタ二ルパッチを16.8mgに増量するが
痛みが増強し緩和ケアチームに紹介がある
精神的な苦痛
不安・怒り
いらだち
うつ状態
社会的な苦痛
全人的苦痛
スピリチュアルな苦痛
生きる意味への問い
死への恐怖
自責の念
あさひかわ緩和ケア講座 2010
身体的な苦痛
経済的な問題
仕事上の問題
家庭内の問題
あさひかわ緩和ケア講座 2010
社会的な苦痛
骨転移による体動時痛が主である
安静に臥床していれば持続痛はない
寝返りは痛い
5分と座っていられない
モルヒネの持続皮下注射(PCA)にオピオイドローテーション
体動前のレスキューの指導
緩和的放射線治療
神経ブロック
コルセット
歩行器使用、車いすへの移動などリハビリ
ベッドへの移動動作の前にベッドの高さを調節
あさひかわ緩和ケア講座 2010
フェンタニルパッチは高額
年金で暮らしている
同居している夫は軽度の認知症
モルヒネ(安価)へのローテーション
MSWの紹介(限度額適用申請、高額療養費
の紹介、家族間の意向調整、療養調整)
キーとなる娘さんへのケア
あさひかわ緩和ケア講座 2010
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精神的な苦痛
スピリチュアルな苦痛
夜間になると眠れない
抑うつ状態
夜間せん妄
生きていても家族に迷惑をかける
役に立てないなら早く死にたい
家には帰りたいが・・・・動けないなら無理
手芸が趣味であったため、病院でもできることを話
し、道具を家族にもってきてもらう→袋や帽子を作
成
アロマテラピーを好む。娘さんとともに精油を混ぜ
たオイルで下肢のマッサージをする
睡眠のリズムを整えるロゼレムTM(メラトニンアゴニ
スト)が処方され、与薬
時に、 DoingよりもBeing を意図的に行う
ライフレビューに耳を傾けた
医師、看護師ともに、A氏の『退院して家で
過ごしたいが家族に迷惑をかけるのは辛
い』という心の揺れに寄り添った
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
その後の経過
A氏は、歩行器を使ってトイレへ歩けるように
なったら家へ帰りたいと医師、看護師に希望
を話すようにな た
を話すようになった
退院に向けて準備→レンタルの電動ベッドや
訪問看護など導入
退院→自宅療養→緩和ケア病床入院→永眠
あさひかわ緩和ケア講座 2010
便秘のケア
あさひかわ緩和ケア講座 2010
便秘
がん患者の便秘
便秘とは、一般的に排便回数や量の減少
(3~4日以上排便がないなど)とされてい
るが明確な定義はない
がん患者の多くにみられる
進行がん患者の約50%、末期がん患者の
75%にみられる
排便習慣は個人差が大きいため、これま
での習慣に比べて回数減少、苦痛を伴う
場合便秘とみなす
便秘は、食欲不振、悪心・嘔吐、腹痛、不
眠など、他の症状を伴うことがあり、生活
の質を低下させる要因のひとつ
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
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がん患者の便秘
便秘の観察とアセスメント
腸閉塞との鑑別
補正が可能な高カルシウム血症、低カリウム
血症 甲状腺機能低下症 糖尿病の影響を
血症、甲状腺機能低下症、糖尿病の影響を
除外することが必要→医師にフィードバック
触れる
視る
聴く
薬物療法が主体になることが多いが、その効
果を高めるためにも非薬物療法を並行して行
う
あさひかわ緩和ケア講座 2010
便秘の観察とアセスメント
排便回数、排便量、便の性状、排ガスの有無
腹部の状態(腸蠕動、腹部膨満、便の触知)
排便時の不快感、痛み、残便感の有無
腹部X線やCT
食事
食事摂取量とその内容、水分摂取量
下剤の使用状況
排便に影響する薬剤の使用状況
排泄時の状況
活動状況(ベッド外活動があるか、麻痺の有無など)
排便に対する患者の考え、思い、精神状態
あさひかわ緩和ケア講座 2010
便秘の看護介入のポイント
下剤の内服方法の説明
食事内容や摂取方法の工夫
水分摂取
排便習慣
腸蠕動促進への援助
腹圧を高めるような工夫
適度な運動
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
便秘の看護介入のポイント
オピオイド内服時の便秘
オピオイドによる便秘の機序
オピオイド
下剤の内服方法の説明
食事内容や摂取方法の工夫
水分摂取
排便習慣
腸蠕動促進への援助
腹圧を高めるような工夫
適度な運動
大腸蠕動
運動の抑制
水分が吸収
されて便が
硬くなる
さらに蠕動
運動が低下
する
肛門括約筋
の緊張
耐性がつかない・・・便秘の戦略が必要
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
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便秘の看護介入のポイント
下剤調節のポイント
便の硬さ
の調節
下剤の種類
(製品名)
主な効果
ポイント
浸透圧性下剤
・ラクツロース®
・マグミット®
など
便を軟らかく
する
硬い時は増やす、緩い
時は減らす、ということ
を指導し患者自身が
調節できるようにする
腸蠕動を亢
進させる
一日の排便量、排便
間隔によって調節する
普通~軟便が*2~3
日に1回はでることを
目標に調節する(*患
者自身と具体的に話し
合う)
腸の運動 刺激性下剤
の調節
・プルゼニド®
・アローゼン®
・ラキソベロン®
など
下剤の内服方法の説明
食事内容や摂取方法の工夫
水分摂取
排便習慣
腸蠕動促進への援助
腹圧を高めるような工夫
適度な運動
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
腸蠕動促進への援助
温罨法
マッサージ:「の」の字
つぼの刺激:便秘点、大腸愈など
第4、第5腰
椎棘突起
の間の外
側2横指の
ところが
大腸愈
臍より1横指
左、そこから
3横指下が
便秘点
呼吸困難のケア
文献9より引用・改変
あさひかわ緩和ケア講座 2010
呼吸困難の訴えをきく
呼吸困難の定義
なぜ「きく」ことが大切か
呼吸困難の定義
「呼吸時の不快な感覚」という主観的な症状
呼吸不全の定義
「酸素分圧(PaO2)≦60Torr」という客観的な病態
呼吸
困難
あさひかわ緩和ケア講座 2010
呼吸
不全
1、呼吸困難は主観的な症状→本人にしかわからない
2、症状の他者評価は自己評価とは異なる
3、「息苦しい」という表現だけが呼吸困難ではない
3、
息苦しい」という表現だけが呼吸困難ではない
例:息が吸えない、息が吐ききれない
空気が薄い、空気が足りない、胸が重い
切ない、身のおきどころがない
患者の訴えをきくこと(言語的・非言語的)が
マネジメントの第一歩
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
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呼吸困難のマネジメントの
アルゴリズム
呼吸困難の非薬物療法
呼吸困難の訴え
NO
NO
治療可能
な原因?
低酸素
Yes
モルヒネ
ステロイド
抗不安薬
①環境の整備
②呼吸理学療法
③精神面のケア
Yes
原因治療
呼吸困難の治療を最初の段階から支え
ていくのが非薬物療法
非薬物療法
酸素療法
非薬物療法
(American Society of Clinical Oncology Curriculum algorism 改編)
あさひかわ緩和ケア講座 2010
呼吸困難の非薬物療法:
①環境の整備
環境調整
あさひかわ緩和ケア講座 2010
呼吸困難の非薬物療法
:②呼吸理学療法
酸素の使用
• 低温、
低温 、 気流
気流(( 外気
外気、
、
うちわ、
うちわ
、扇風機
扇風機))
• 酸素療法の使用
法を指導し不快
感に対処
• 酸素をしながら動
ける部屋の整備、
ける部屋の整備
、
• 酸素吸入中は乾
燥するので、
燥するので
、 いつ
でも水分を取れる
ようにする
• ナースコール・
ナースコール
ナ スコ ル・薬を
手元に
姿勢の工夫
• 起座位
適応(全身状態が比較的良好で、予後予測
2~3カ月以上)について検討し、口すぼめ
呼吸や、腹式呼吸を指導する
リラックス効果もある
ただし、呼吸困難が強い場合は、かえって
呼吸困難を助長させることにつながりかね
ないので、無理をしない
• 機能している肺を
上にする
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
リラクセーションとは
呼吸リハビリテーション
呼吸
理学療法
酸素
療法
薬物
療法
人工
呼吸療法
栄養
管理
呼吸補助筋群のマッサージ
頚部、背部のマッサージはお手軽にできかつ
効果がある
呼吸補助筋群の緊張を低下
呼吸パターンを改善
呼吸パタ
ンを改善
胸鎖乳突筋
日常生活援助
呼吸筋訓練
胸郭可動域訓練
呼吸介助法
呼吸法訓練
リラクセーション
排痰法
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僧帽筋
斜角筋
大胸筋
腰方形筋
菱形筋
脊柱起立筋
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リラクセーションの方法
呼吸訓練
楽な体位(ポジショニング)
なぜ起座呼吸で呼吸困難が改善するのか??
①前傾姿勢で上肢を支持すると頚部の吸
気補助筋の吸気運動が有効に働く
②前傾坐位により腹圧が上昇し、横隔膜
の機能が改善する
③臥位に比べ静脈還流が減少し、肺うっ
血が減少する
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呼吸訓練
口すぼめ呼吸が呼吸をらくにするメカニズム
肺胞
普通の呼吸
つぶされる細気管支
よかった~
口すぼめ呼吸
口すぼめによって
細気管支に圧がかかるので、
容易につぶされない
口すぼめ呼吸
口をすぼめて、息をゆっくり呼出することによ
り 細気管支に圧を与え 気道の閉塞を改善
り、細気管支に圧を与え、気道の閉塞を改善
する呼吸法
日常生活における呼吸法
「1.2」で息を吸い「3.4.5.6」で吐く
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呼吸困難の非薬物療法
:③精神面のケア
呼吸困難に伴う不安、恐怖を理解し、
患者
の関心を寄せ、可能な限りそばに付
患者への関心を寄せ、可能な限りそばに付
き添う
頓用の抗不安薬の使用
睡眠の確保
リラックス・気分転換
文献9より引用一部改変
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呼吸困難ケアの
呼吸困難ケア
の症例
C氏男性
X+2年がん、多発肺転移、多発リンパ節転移、
多発肝転移増大
倦怠感と呼吸困難感が増強し入院
労作時息切れがあるが、SPO290%代後半
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
呼吸困難ケアの症例
呼吸困難ケアの症例
:C氏の入院時のケア
薬物療法:①モルヒネの持続注入に変更
②抗不安薬の使用で眠りを確保
非薬物療法:
①うちわであおぐ、部屋の換気、酸素療法、清潔
はストレッチャー入浴実施
②妻や看護師が傍にいることを望み、背部、頸部
の呼吸補助筋のマッサージを実施
③パニックコントロールの口すぼめ呼吸説明
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呼吸困難のケアの
呼吸
困難のケアの症例:
症例:
Take Home Message!
がん性リンパ管症
輸液減量(500ml/日以下)、ステロイド使用
口腔乾燥への対処:口腔ケア 保湿
口腔乾燥への対処:口腔ケア、保湿
持続的鎮静:呼吸困難のコントロール困難となり
医療チームで鎮静の適応を検討
本人より眠らせてほしいと希望が
あり、家族の承諾もあったため実施
翌日永眠
z薬物療法以外の疼痛マネジメントに有効な
ケアは、日常的に自然と看護師が行ってい
るものが多い
zエビデンスレベルの高い疼痛緩和技術は
ビデ
ベ
高 疼痛緩和技術は
ほとんどないのが現状
z個々の患者に合わせて心地よいと思うケア
を提供することが痛みの閾値を上げ、緩和
することに役立つため、意識的、意図的に
行う
C氏のがん性リンパ管症で増悪時のケア
あさひかわ緩和ケア講座 2010
Take Home Message!
z 便秘は、がん患者の多くに見られ、生活の質を低
下させる要因の一つである
z 便秘は、排便の有無を観察するのみではなく、便
秘を包括的にアセスメントし、薬物療法と非薬物
秘を包括
ア
、薬物療法 非薬物
療法を並行し、症状を緩和することが重要
z 呼吸困難は、がんの種類や病期を問わず頻度が
高く、また最も緩和困難な症状の一つである
z 呼吸困難は、患者の主観的な症状である。不安
や死の恐怖につながりやすいため訴えをきき、十
分な説明と保証を与えることが重要である
あさひかわ緩和ケア講座 2010
あさひかわ緩和ケア講座 2010
参考文献
1.恒藤 暁・内布敦子(編):系統看護学講座 別巻10 緩和ケア.2008
2.高橋 美賀子(編):がん患者のペインマネジメント.日本看護協会出版会
2007
3. 林 章敏他(編):がん性疼痛ケア完全ガイド.照林社.2010
4.城ヶ端初子(編):やさしい看護理論②ケアとケアリング.MCメディカ出
版.2007
5.平成22年度 日本サイコオンコロジー学会(JPOS) 研修セミナー 看護
師のためのがん患者とのコミュニケーション・スキル・トレーニング・セミナー
師のためのがん患者との
ミ
ケ ション スキル トレ
ング セミナ
6.OPTIM 「緩和ケア普及のための地域プロジェクト」(厚生労働省研究 がん
対策のための戦略研究):http://gankanwa.jp/tools/pro/index2.html
7.小山富美子他(編):今日からできる疼痛ケア.がん看護1・2月増刊号.南江
堂.2010
8.川村三希子他:症状マネジメント~疼痛以外の患者の訴えに看護師ができる
こと~.がん看護3・4月号.南江堂.2010
9.寺澤捷年他:JJNブックス 絵でみる指圧・マッサージ.医学書院.2009
10.並木昭義(監):呼吸理学療法の第一歩.南江堂.2006
11.田中桂子(監修):がん患者の呼吸困難マネジメント.照林社.2004.
あさひかわ緩和ケア講座 2010
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