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石炭政策を巡る最近の動向 - 石炭エネルギーセンター

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石炭政策を巡る最近の動向 - 石炭エネルギーセンター
一般財団法人石炭エネルギーセンター
平成25年度事業報告会
「石炭政策を巡る最近の動向」
平成26年1月30日
資源エネルギー庁
長官官房総合政策課
企画官(石炭政策担当)
島倉 克尚
目 次
1.石炭を巡る現状について
2.石炭の安定供給に向けた新たな取り組み
3.我が国の優れたCCTの海外展開
4.世界的な石炭火力支援抑制の動き
5.エネルギー基本計画(案)の策定
世界のエネルギー資源に占める石炭の役割
○ 石炭は、世界のエネルギー需要の1/4程度を占めており、2035年に向け約1.2倍、発電電力量の
40%以上を占めており、2035年に向け約1.3倍の見通し。
○ 中国、インド等の新興国による石炭需要の急激な拡大により、世界的に石炭資源獲得競争は激化
[世界のエネルギー需要見通し ]
(Mtoe)
[世界の発電電力量見通し]
(TWh)
40,000
20000
18000
再生可能エネルギー
等
水力
35,000
16000
原子力
30,000
14000
再生可能エネルギー等
水力
原子力
天然ガス
石油
石炭
25,000
12000
10000
20,000
8000
15,000
6000
10,000
4000
2000
25%
約1.2倍
29%
5,000
0
33%
約1.3倍
41%
0
2000
2005
2010
2015
2020
2025
2030
2035
出典:IEA, “World Energy Outlook 2013”
2000
10%
20%
中国
日本
OECDヨーロッパ
ドイツ
英国
フランス
世界計
50%
43%
22%
23%
17%
25%
16%
4%
30%
29%
石炭
出典:
40%
60%
68%
インド
米国
30%
石油
22%
36%
45%
33%
33%
32%
15%
32%
天然ガス
原子力
水力
70%
80%
90%
2010
2015
2020
2025
2030
2035
出典:IEA, “World Energy Outlook 2013”
[主要国の一次エネルギー構成比(2011年)]
0%
2005
[主要国の発電電力量構成比(2011年)]
100%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
中国
16% 4%1%2%9%
79%
2% 0% 2%15% 2%
インド
7%1%1%
25%
68%
1% 10% 3% 12% 5%
米国
26%
10% 1% 5%
43%
1%
24%
19%
7% 5%
日本
22%
6%2%3%
27%
15%
36%
10% 8% 5%
24%
13% 2% 9% OECDヨーロッパ
25%
2%
22%
25%
14%
11%
ドイツ
22%
9% 0% 11%
45%
1% 14%
18% 3% 19%
英国
37%
10%0%4%
30%
1%
40%
19% 2% 8%
フランス 3%
46%
2%6%
1%5%
79%
8% 4%
世界計
41%
5%
22%
12%
16% 5%
21%
5%2% 11%
再生可能エネルギー等
IEA, "Energy Balances of OECD/non-OECD Countries (2013)
石炭
石油
天然ガス
原子力
水力
再生可能エネルギー等
出典: IEA, "Energy Balances of OECD/non-OECD Countries (2013)
3
石炭の埋蔵量、消費量及び貿易量
○我が国の石炭輸入量(2012年)は、約1億8,515万トン。
[2011年:約1億7,524万トン]
○石炭の埋蔵量 世界トップ5
1 米国
2 ロシア
3 中国
全体の75%
4 豪州
5 インド
※2012年石炭輸入の内訳:一般炭:約1億766万トン、原料炭:約7,148万トン、
無煙炭:約601万トン
○豪州(62%)とインドネシア(20%)に石炭輸入の約8割を依存。
○中国に次いで世界2番目の輸入国。国内消費の99%を輸入。
(国内生産量は、約130万トン(2012年)で、国内消費量の約
1%)
○近年、世界的に電力用一般炭の需要が増加。
○世界の貿易量は約13億トン(日本はその14%を輸入)
-貿易量は石炭生産全体の約16%(石炭は基本的に地産地消資源)
石炭埋蔵量
褐炭含む
南アフリカ
302億トン
3%
カザフスタン
336億トン
4%
その他
768億トン
9%
ウクライナ
339億トン
4%
ドイツ
407億トン
5%
インド
606億トン
7%
豪州
764億トン
9%
全体の70%
世界の石炭輸入量(2012
年)褐炭含む
日本の石炭輸入先(2012年)
韓国
米国
2,373億ト
ン
28%
可採埋蔵量
8,609億トン
(2010年)
中国
1,145億ト
ン
13%
石炭消費量(2012年)
褐炭含む
○石炭の消費量 世界トップ3
1 中国 36.7億t
2 米国
8.2億t
3 インド 7.5億t
ロシア
1,570億ト
ン
18%
出典:BP統計2013
豪州 1.3億t, 2%
1.4億t, 2%
ポーランド
1.4億t, 2%
日本
1.8億t, 2%
その他
13.1億t, 17%
石炭消費量
76億9690万トン
(2012年見込み)
南アフリカ
1.9億t, 2%
ドイツ
2.4億t, 3%
インド
ロシア 7.5億t, 10%
2.5億t, 3%
米国
8.2億t, 10%
中国
36.7億t, 47%
フランス
16百万t,
1%
その他
294百万t
23%
スペイン
22百万t,
2%
ロシア
31百万t,
2%
石炭輸入量
12億7603万トン
(2012年見込み)
台湾
韓国
英国
65百万t 126百万t
45百万t,
5%
10%
4%
ドイツ
45百万t,
4%
出典:IEA Coal Information2013
中国,
289百万t
23%
インド
160百万t
12%
日本
184百万t
14%
米国 中国 その他
6百万t 3百万t 2百万t
2%
カナダ 3%
1%
10百万t
5%
ロシア
12百万t
7%
石炭輸入量
1億8515万トン
(2012年)
インドネシア
36百万t
20%
出典:財務省
豪州
115百万t
62%
貿易統計
4
石炭の可採埋蔵量分布(国別・品位別)
ロシア(1,570億t)7%
ヨーロッパ(108億t)
中国(1,145億t)
19
%
34%
62%
53%
13%
16%
17
%
64
%
31%
カナダ(66億t)
13%
54%
30%
米国(2,373億t)
46%
41%
7%
インド(606億t)
45%
11%
53%
2%
93%
89%
20%
その他アフリカ(15億t)
6%
その他アジア(476億t)
27%
コロンビア(67億t)
94%
53%
インドネシア(55億t)
その他南米(58億t)
49%
100%
南アフリカ(302億t)
48%
3%
0% 9%
褐炭
(22.7%)
オーストラリア(764億t)
亜瀝青炭
91%
瀝青炭
+無煙炭
(47.0%)
(30.3%)
出典:WEC, “Survey of Energy Resources 2010”
5
震災後の電源構成の変化
○震災後、各原子力発電所が順次定期検査に入り長期停止しているため、国内発電量
に占める原子力の比率は大幅に低下。(大飯3,4号基は2012年7月に再稼働。)
○火力発電比率は約9割まで上昇。特にLNG火力が5割近くを占めている。これは石
油ショック前よりも比率としては高い水準
電気事業者(一般・卸)の電源構成推移(発電電力量比率)
100%
90%
12%
17%
32%
80%
32%
80%
8%
13%
60%
9%
12%
70%
5%
79%
73%
89%
16%
3%
11%
13%
86%
1%
11%
2%
10%
2%
9%
12% 87%
13%
46%
46%
29%
30%
33%
2013.7
2013.8
2013.9
88%
60%
55%
50%
40%
2%
9%
3%
21%
43%
48%
49%
24%
2013.4
8% 88%
48%
32%
30%
22%
20%
10%
0%
2%
5%
12%
1973
1993
石炭
23%
23%
25%
2010
2011
2012
LNG
石油
水力
原子力
火力発電比率
出所:電力調査統計及び事業者からのヒアリングにより作成
6
石炭の安定供給に向けた新たな取り組み
石炭資源の確保について
○製鉄用原料(原料炭)として鉄鋼業にとって必須。また、エネルギー供給の1/4を占める石
炭火力発電の燃料(一般炭)として安定供給が不可欠。
○①中国・インド等の新興国需要の増大、②豪州(輸入炭の60%)の自然災害等による供給不
安が発生、豪州、インドネシア以外の安定的な供給元の確保が重要。モザンビーク(原料炭)
は当面の最重要国。石炭の輸送に必須の大規模鉄道・港湾インフラと合わせた開発支援が不可
欠。
2012年石炭輸入量内訳
中国
アメリカ
カナダ 3% 2%
5%
ロシア
7%
インドネシア
20%
石炭輸入量
1億8,515万トン
○ロシア
オーストラリ
ア
62%
中国の輸出入の推移
(百万t)
200
150
我が国の石炭資源確保上の重要地域
その他
1%
・中期的な安定供給国として期待。
埋蔵量も豊富(世界2位)
・鉄道、港湾
○アメリカ・カナダ
・シェールガス革命の影響により
石炭の供給国として再評価。埋
蔵量は世界1位。
○モンゴル
・良質な原料炭あり。ロシア、中国
とのせめぎ合い。
・鉄道、発電所
輸入量
輸出量
100
50
0
'00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11* (年)
($/t)
長期契約価格推移
400
原料炭
300
一般炭
200
100
0
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 (年度)
○モザンビーク
・新日鉄が権益獲得。良質な原料炭
の開発支援。
・港湾、鉄道
○インドネシア
・世界最大の石炭輸出国。我が国
の第2位の供給国であり、引き
続き重要な位置づけ。
○コロンビア
・パナマ運河拡張後を見据え、新
たな供給国として評価。
○オーストラリア
・我が国の最大供給国であり、引
き続き極めて重要。
8
資源調達環境の基盤強化 に向けた取組み(モザンビーク)(平成26年1月)
 安倍総理大臣は、日本の総理として初めてモザンビークを訪問し首脳会談を開催。
○モザンビークにおける天然ガス及び石炭分野の開発の成功が、同国の経済社会発展プロセスにとって
重要であると同時に,日本のエネルギー安定確保上重要であるという点で一致。
○ゲブーザ大統領は、法的環境の整備を含む開発に向けたプロセスを加速させるとの表明。安倍総理
からは、日本企業が参画する天然ガス、石炭の大型プロジェクトの円滑な進捗は、両国の成長にとって
重要。これらの目的のために必要な人材育成やビジネス環境整備に関する「日モザンビーク天然ガス・
石炭発展イニシアティブ」を実施していくことを表明。
※上記イニシアティブの下で「モザンビーク石炭産業発展5ヶ年
プランの着実な実施」に言及
・石炭開発の専門家育成(人材育成)の拡充
【2012年度から5ヶ年で合計約115名】
・石炭賦在地域の埋蔵量を確認するための地質調査の実施
・産炭地域における石炭関連産業育成についてのプランの策定
ゲブーザ大統領との会談
 JOGMECは、鉱物資源省地質総局及び地質鉱業研究所と覚書を締結。
○JOGMECは、今後、同国の新たな石炭ポテンシャル地域の発掘
と石炭資源量の評価を目的とした共同調査を実施。
JOGMECが産炭国政府機関と覚書を締結して行う
共同調査は、石炭部門では初めての案件。
石炭ポテンシャルが期待される州の位置(モザンビーク)
9
我が国の石炭火力の発電効率と更なる高効率化
今後、我が国の強みを生かした石炭ガス化複合発電(IGCC)や石炭ガス化燃料電池複合発電
(IGFC)、先進超々臨界圧火力発電(A-USC)など更なる石炭火力発電の効率向上に向けた
技術開発が重要。
<石炭火力発電の効率向上>
出典:「低炭素社会づくり行動計画」、「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」から作成 10
石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業(大崎クールジェン)
事業の内容
○ 高効率かつCO2分離・回収が容易な酸素吹石炭ガス
化技術(酸素吹IGCC)を確立する。また、将来の酸
素吹ガス化により得られる水素による燃料電池と組み
合わせたトリプルコンバインドの発電技術を見越した
実証を行う。
① 技術的特徴
○ 発電端効率55%(←現状USC 41%)
○ ガス化し易い亜瀝青炭利用(低品位炭利用)
○ 酸素吹によるCO2分離・回収の容易性(CO2削
減)
○ 酸素吹による水素利用(燃料電池)
事業イメージ
可燃性ガス H2 CO
等
<第1段
階>
石炭ガス化複合発電(IGCC)
蒸気
タービ
ン
空
気
H2
ガス
タービ
ン
燃焼器
空気
圧縮
機
空気分
離装置
発電
機
酸
CO
素 ガス化 H
2
炉
<第3段階
>
廃熱回収ボイラ
H
H2
CO2輸送・
貯留へ
2
燃料電池組込み
CO H2
② 実施者:大崎クールジェン(電源開発、中国電力)
シフト反応器
CO2回収技術
CO2回収分離
③期間:H24~H33年度
(総額300億円、事業費総額900億円)※第1段階のみ
今後のスケジュール
年度
第1段階
酸素吹IGCC
実証
第2段階
CO2分離・回
収型IGCC実証
第3段階
CO2分離・
回収型IGFC
実証
適用技術評価
概念設計
<第2段階
>
完成予想図
24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 29年度 30年度 31年度 32年度 33年度
酸素吹IGCC詳細設計・建設
煙突
ガス精
製設備
石炭ガス化
設備
既設排水
処理設備
実証試験
CO2分離・回収
詳細設計・建設
技術調査
概念設計
実証
試験
CO2回収一体型
IGCC/IGFC
詳細設計・建設
CO2輸
送
貯留試験
実
証
試
CO2分離
回収設備
新設排水
処理設備
空気分
離設備
複合発
電設備
験
実施場所:広島県豊田郡大崎上島町
11
酸素燃焼国際共同実証事業(カライド酸素燃焼プロジェクト)
(参考)実証サイト
CO2貯留サイト(検討中)
CO2貯留量:最大2万t程度
輸送:タンクローリー
CO2貯留サイト
調査エリア
CO2圧縮・液化設備
豪州
酸素製造設備
発電所サイト
ブリスベン
豪州QLD州(ブリスベン周辺) 発電所サイト
名称: CS Energy 社 カライドA発電所 4号機
出力:30MWe(3万kW)
30MWe
蒸気:136t/h, 460℃, 4.1MPa
建設:1966-68
※30MWe発電所(1基)からのCO2発生量:
年間約15万t-CO2(実運用ベース)
石炭:カライド炭(瀝青炭)
(瀝青炭)
CO2回収:最大70t/d
70t/d(発生量の約
(発生量の約11%)
11%)
12
CCTの目指す方向
中長期的課題: 低炭素化 → 更なる高効率化
CCS
バイオマス利用
低品位炭の利用(産炭国、日本)
喫緊の課題: 石炭の新規銘柄導入、調達法の工夫で
発電コストをどこまで下げられるか
13
我が国の優れたCCTの海外展開
発電における各燃料毎のCO2発生量の比較
○熱量当たりのCO2発生量は、概ね石炭:石油:LNG=5:4:3 程度
○海外の石炭火力発電所から排出されるCO2発生量に比べると、既存の設備においても少な
いが、LNG火力の2倍のCO2が発生。
○石炭は単位当たりのCO2発生量が、他の化石燃料に比べて多いことから、クリーンな利用
が求められる。
発電燃料におけるkWh当たりのCO2発生量
熱量当たりのCO2発生量
(g-C/1000kcal)
(g-CO2/kWh)
120
1400
100
1200
80
1000
20
967
907
889
958
863.8
809.7
800
60
40
1195
695.1
600
5 : 4 : 3
476.1
375.1
400
200
0
石 炭
LNG
石 油
石 炭
石 油
0
LNG
出典:「気候変動に関する国際連合枠組条約」に基づく日本国政府報告書
インド
中国
米国
ドイツ
世界
海外における石炭火力か
らのCO2排出量
石炭火力
(日本平均)
USC
IGCC
IGFC
石油火力
(日本平均)
LNG火力 LNG火力
(複合平均)
(汽力)
国内石炭火力からのCO2排出
量
出典:電力中央研究所(2009)、各研究事業の開発目標をもとに推計
海外については、CO2 Emissions from Fuel Combustion 2012
15
我が国石炭火力の技術的優位性
我が国の石炭火力は、高効率技術(超臨界圧・超々臨界圧)と運転・管理ノウハウに
より、世界最高水準の発電効率を達成し、運転開始後も長期にわたり維持。
【各国石炭火力発電平均効率の推移】
【適切なプラント運用管理の重要性】
熱効率 (%, LHV)
熱効率 (%, HHV)
45%
設計熱効率
日本
石炭火力 (Site A) 日本
40%
韓国
インドネシア
35%
設計熱効率
中国
30%
豪州
熱効率の低下
インド
25%
石炭火力 (Site B) 途上国
ドイツ
米国
20%
0
10
20
30
40
運転開始からの経過年数
出典: Energy balances of OECD/Non-OECD countries-2012
出典:電事連
出典:「IEA World Energy Outlook 2011」、「Ecofys
International Comparison of Fossil Power Efficiency and CO2
Intensity 2012」から作成
16
石炭火力の国際展開(技術移転による低炭素化の推進)
○日本で運転中の最新式の石炭火力発電の効率を米、中、印の石炭火力発電に適用
すると、CO2削減効果は、約15億トン(試算)
○今後も世界で石炭火力発電の需要が増加する見通しの中、相手国の産業構造に合
わせた高効率石炭火力技術の技術移転や、石炭火力の運営管理技術(O&M)も
セットにしたシステム輸出により、わが国の高効率石炭火力の海外展開を進める
ともに技術競争力の維持を図る。
出典:「IEA World Energy Outlook 2011」、「Ecofys International Comparison of Fossil Power Efficiency and CO2 Intensity 2012」から作成
17
世界の石炭火力導入見通し
○ 石炭火力発電の世界市場は、2012から2035年まで、累計約145兆円。
○特にアジアでは、約89兆円であり、アジアでの石炭火力の需要が拡大する見込
み。
ロシア
6.7兆円
(52GW→42GW)
欧州
13.1兆円
(311GW→188GW)
東欧
6.2兆円
(57GW→42GW)
北米
18.6兆円
(360GW→272GW)
中国
30.7兆円
(671GW→1,122GW)
中東
0.1兆円
(0GW→1GW)
アフリカ
10.3兆円
(41GW→79GW)
インド
31.2兆円
(101GW→341GW)
※ IEA World Energy Outlook 2012
アジア太平洋州
(中印除く)
27.1兆円
(159GW→300GW)
南米
0.9兆円
(4GW→9GW)
2010年実績
1ドル=90円で計算。
2035年見通し
新増設、リプレイスを含む。
(単位:GW)
上段:地域、中段:2012年から2035年までの投資額
下段:2010年から2035年への設備容量
18
各国の電源開発計画に基づく石炭火力発電の導入見通し
中国以外においても、インドをはじめとするアジア地域及び東欧地域で、今後約270GWの発電設備容量の増加
が見込まれている。
なお、ポーランドをはじめとする東欧地域では、発電設備容量はほぼ横ばいであるが、老朽化した石炭火力発電
所のリプレース需要が見込まれる。
ボリュームゾーン
出典:インド;CEA “National Electricity Plan”
インドネシア;RUPTL 10-9
単位:MW
韓国;Ministry of knowledge economy “The 5th Basic plan for long-term electricity supply and demand”
ベトナム;INSTITUTE of ENERGY “VIETNAM POWER sector power master plan”
マレーシア;APEC/EGCFE 馬 プレゼン資料 “Coal Policy in Malaysia”
台湾;台湾電力公司“Briefing on Taiwan’s Power System”
タイ;PDP2010 ウクライナ:2030年までのウクライナのエネルギー戦略
ブルガリア;Euro-electric “Power Statistics & Trends 2011”
ポーランド;Ministry of economy “Energy Policy of Poland until 2030”
19
アジア地域に対する石炭火力発電の普及に向けた取組
○日・ASEAN友好協力に関するビジョン・ステートメント実施計画【日ASEAN特別首脳会議(2013年12月)】
・人材育成事業、ERIAの調査研究及びスマート・コミュニティの促進等を通じて、省エネ基準及び認証基盤の構築を
進め、適用可能な場合には、高効率石炭火力発電や再生可能エネルギーを含むエネルギーの効率化を促進するこ
とで、エネルギー分野における協力を強化する。
○日・ベトナム首脳会談(平成25年12月
○日印共同声明(平成26年1月 於:インド)
~日インド戦略的グローバル・パートナーシップの強化~
・両首脳は温室効果ガス排出の削減のためには、非常に
効率性の高い石炭火力発電技術を活用することが重要
であるとの認識を共有。
・高効率で環境に優しい石炭火力発電所の建設における
協力の拡大や発電所の更新や近代化におけるCCTに関
する協力の進展を歓迎。
・両首脳は、インド国営火力発電公社(NTPC)と国際協
力銀行(JBIC)のカルナータカ州クドギ超臨界圧石炭火
力発電所建設プロジェクトの借款契約の署名を歓迎。
於:日本)
・安倍総理から交通やエネルギー分野におけるインフラ整備は持
続的成長への基盤となることを指摘。また、原発、ロンタイン空
港、エコシティ、石炭火力発電所、日越友好チョーライ病院、気候
変動に関する二国間クレジット制度への協力を進める旨発言。
・ズン首相は、これまでの日本からのインフラ案件を中心とする援
助に謝意を表明。
○日・マレーシア首脳会談(平成25年12月
於:日本)
・安倍総理から、石炭火力発電所等のインフラ整備の分野で日本の技
術と知見を活用してほしいと述べ、特に高速鉄道事業については日本
の新幹線の高い技術と安全性を説明して採用への期待を表明した。
・ナジブ首相からは、日本の技術力を認識しているとの趣旨の発言があ
るとともに、日本企業の入札参加への期待が示された。
○日・インドネシア首脳会談(平成25年12月 於:日本)
・両首脳は、インフラ整備の着実な実施につき一致。
・安倍総理からは、エネルギー分野や金融分野でも協力を継続した
い高効率石炭火力発電事業につき引き続き協力していく、旨発言。
・ユドヨノ大統領から歓迎の意が示され、協力を強化することで一致。
20
石炭火力発電の国際展開に係る最近の動向(ポーランド)
本年1月、松島経済産業副大臣は、ポーランドを訪問し、我が国の
高効率石炭火力発電所の導入に向け、トップセールスを展開。
 ピエホチンスキ副首相兼経済大臣との会談
・石炭の効率的な利用を進めることが重要であり、我が国とポーラン
ドが、石炭の生産、利用へ向け協力モデルを作り、第三国にも展開
を図ることで一致。
ピエホチンスキ副首相兼経済省大臣との会談
 ガウリク固有財産省副大臣と会談。
・30 年以上前の旧社会主義時代の石炭火力発電所の更新が急務
となっており、我が国の高効率石炭火力発電技術の活用が必要で
ある旨一致。
・同副大臣に対し、我が国のプラントメーカー、商社、電力会社が
ポーランドの電力会社の調達に高い関心を持っていることを伝え支
援を要請。
ガウリク国有財産省副大臣との会談
日立製作所が受注した同国初となる超々臨界圧(USC)石炭火力発
電所が建設されるコジェニッツェ発電所を訪れ、同社とポーランド
側パートナー企業のエネア社の幹部から進捗状況を聴取。
コジェニッツェ石炭火力発電所視察
21
世界的な石炭火力支援抑制の動き
米国:気候変動行動計画(The President’s Climate Action Plan)の影響
1.オバマ大統領気候変動行動計画
平成25年6月25日、オバマ大統領は、第2期政権で重要政策と位置付ける気候変動政策
について演説を行うとともに、大統領気候変動行動計画( The President’s Climate Action
Plan)」(以下オバマアクションプラン)を公表。オバマアクションプランは、
①国内の排出削減、②国内おける気候変動影響への準備、③国際的なリーダーシップ
の3つの柱で構成される。
③国際的なリーダーシップ中に、
海外の石炭火力新設に対する米国政府の公的金融支援の終了
ただし、
(a)経済的な代替手段がない最貧国における最高効率の石炭火力技術、もしくは
(b)二酸化炭素分離・回収・貯留(CCS)技術を導入する場合は除く
を謳っており、
「他国や多国間開発銀行に対し、早急に同様の措置を取ることを求める」としている。
2.オバマアクションプランの影響
・平成25年7月、世銀グループ及び欧州投資開発銀行(EIB)が、さらに12月、欧州復興
開発銀行(EBRD)が石炭火力新設への融資をより制限する評価基準を公表
・平成25年9月には、北欧5か国※、11月には英国が追随。
※北欧5か国はデンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン
23
オバマ・アクションプランに対するヨーロッパ各国等の反応
 リスボン条約により、強制力を持つ形で開発
協力に関する加盟国の行為を制限する指示
はできない。
 EU域外の新設火力発電プロジェクトは、EU域
内と同様の排出源単位基準を設定しており、
石炭火力にとっては厳しい。この基準がさらに
厳しくなる可能性もある。
〈北欧五か国(デンマーク、フィンラ
ンド、アイスランド、ノルウェー、ス
ウェーデン)〉
 オバマ・アクション・プランに
同調の動き
〈エドワード・デイビー・エネルギー・気候変動担当大臣のプ
レスリリース 2013/11/20〉
 オバマ・アクション・プランを支持。
 「希な状況(rare circumstances)」を除き、他国への石
炭火力発電設備への金融支援措置を行わない。
〈オランド大統領の「開発・国際連帯会議」閉幕式での講演
2013/03/01 〉
 フランス開発庁(AFD)による石炭火力発電所の対する金
融支援の終了を表明。
 AFDを通じて3年間にわたり南の国々で持続可能なエネ
ルギー分野に50~60億ユーロを投資。
24
石炭火力発電を取り巻く環境規制について
石炭火力発電を取り巻く環境規制の変遷
昭和30年代
昭和40年代
昭和60年以降
●光化学スモッグ被害(S45)
●イタイイタイ病(S30)
国内・外の
主な動き
昭和50年代
●環境庁発足(S46)
●水俣病(S31)
●四日市ぜんそく(S36)
●第2次石油ショック(S53)
●第1次石油ショック(S48)
●ワシントン条約、ラムサール条約発効(S50)
●水質保全法制定(S33) ●大気汚染防止法制定(S43)
●ばい煙規制法制定(S37)
環境行政
●地球温暖化防止行動
計画決定(H2)
●NOx排出基準設定(S48)
●ばいじん排出規制(S44)
●NOx排出基準強化(S50)
●SOx環境基準設定 ●SOx総量規制導入(S49)
(S44)
●排煙脱硫装置導入開始(S50)
●磯子火力建設に伴う公害
●電力各社が環境行動
防止協定締結(S39)
計画を策定(H4)
●国内初SC(松島火力)(S56)
●既設火力NOx対策
改造工事開始(S47)
●排煙脱硝装置導入開始(S58)
国内初USC(松浦火力)(H7) ●
電力業界
の動き
出典:サステナビリティレポート2012(J-POWER)、電気事業講座第14巻 電気事業と環境
我が国石炭火力発電所の環境性能( 例:J-POWER磯子火力発電所)
磯子火力新1号機
(2002年COD)
磯子火力新2号機
(2009年COD)
旧磯子火力
(1967年COD)
<参考>大気汚
染防止法規制値
出力
600MW
600MW
265MW × 2
-
SOx
<20ppm
<10ppm
<60ppm
-
NOx
<20ppm
<13ppm
<159ppm
200~250ppm
ばいじん
<10mg/m3N
<5mg/m3N
<50mg/m3N
50mg/m3N
効率
43%
43%
38%
-
注1:効率は発電端、HHVベース
注2:大気汚染防止法規制値は
「石炭燃焼ボイラー20万
m3N以上、特別」を引用
出典:ANNUAL REPORT 2009(JPOWER)
25
エネルギー基本計画(案)の策定
エネルギー政策の変遷
経済・社会活動に不可欠なエネルギー資源に恵まれていない我が国においては、時々の内外の経
済・エネルギー情勢の変化に対応し、 「安定供給(energy security)」、「経済(economic
efficiency)」、「環境適合性(environment)」の確保のため、エネルギー政策の見直しを実
施。
1970年代
【①石油危機への対応(1970年~80年代)】
安定供給
1980年代
1973年 第一次オイルショック
1979年 第二次オイルショック
【②規制制度改革の推進(1990年代~)】
1990年代
安定供給
+
経済性
【③地球温暖化問題への対応(1990年代~)】
安定供給
+
経済性
+
環境
1997年 京都議定書採択
2005年 京都議定書発効
2000年代
【④資源確保の強化(2000年代)】
安定供給
+
経済性
+
環境
資源確保の強化
【⑤現行のエネルギー基本計画】
2002年エネルギー政策基本法成立
2003年エネルギー基本計画策定(2007年、2010年に改定、現在、新たに策定中)
27
エネルギー基本計画(案)の骨子
はじめに
・東京電力福島第一原子力発電所事故を真摯に反省し、福島の再生に全力を挙げることが、
エネルギー政策を再構築することの出発点
1.我が国のエネルギー需給構造が抱える課題
(1)我が国が抱える構造的課題
(2)東京電力福島第一原子力発電所事故及びその前後から顕在化してきた課題
2.エネルギー政策の新たな視点
(1)エネルギー政策の原則と改革の視点
「安定供給(エネルギー安全保障)」、「コスト低減(効率性)」、「環境負荷低減」
及び「安全性」(3E+S)を確認。「国際的視点」と「経済成長」を加味。
(2)各エネルギー源の位置づけ
□石炭
・安定性・経済性に優れたベース電源であり、環境負荷を低減しつつ(高効率
火力発電技術の利用等)活用していくエネルギー源。
28
エネルギー基本計画(案)の骨子
3.新たなエネルギー需給構造の実現に向けた具体的な取組
(1)原子力政策の基本方針と政策の方向性
(2)生産(調達)/流通段階:資源確保の抜本強化・国内エネルギー供給網の強靱化
(3)生産(調達)/流通段階:需要家の選択肢を拡大し、市場の垣根を外していく供給
構造改革等の推進
(4)消費段階:需要家の選択肢を通じた、効率的な供給構造を生み出すスマートで
柔軟な消費活動の実現
(5)市場の統合を通じた総合エネルギー企業等の創出による経済成長への貢献
(6)流通/消費段階:安定供給と地球温暖化対策に貢献するこ次エネルギー構造へ
の変革:電気のさらなる有効活用と“水素社会"の実現
(7)総合的なエネルギー国際戦略の展開
(8)短中長期それぞれの目標を達成するための戦略的技術開発の推進
(9)国民各層とのコミュニケーションとエネルギーに関する理解の深化
29
エネルギー基本計画(案)における石炭の位置づけ
石炭の位置づけ
温室効果ガスの排出量が大きいという問題があるが、地政学的リスクが化石
燃料の中で最も低く、熱量当たりの単価も化石燃料の中で最も安いことから、
優れたベース電源の燃料として重要性が再評価されており、環境負荷を低減
(高効率火力発電技術の利用等)しつつ活用していくエネルギー源である。
【第2章第2節1.(3)】
政策の方向性
老朽火力発電所のリプレースや新増設による利用可能な最新技術の導入を
促進することに加え、発電効率を大きく向上することで発電量当たりの温室効
果ガス排出量を抜本的に下げるための技術等の開発をさらに進める。こうし
た高効率化技術等を国内のみならず海外でも導入を推進していくことで、地球
全体で環境負荷の低減と両立した形で利用していく必要がある。
【第2章第2節1.(3)】
30
安定的資源確保のための総合的政策の推進
(1)供給源多角化に向けた新たな資源供給国との関係強化と上流進出の促進
新たな資源供給国の台頭は、我が国の企業が油・ガス田、石炭や金属鉱物等の鉱山の
開発権益を確保するための上流進出・自主開発を行う機会の拡大を意味している。中東
や豪州、インドネシア、ロシアなどにおける上流開発に加え、既に米国、カナダ、モザン
ビーク、ベトナム、カザフスタンでも上流開発に進出する動きが加速しており、日本企業の
上流進出をさらに加速していくため、資源外交の積極的な展開や独立行政法人石油天然
ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によるリスクマネー供給機能の強化等を通じて、官
民が協力して自主開発比率を引き上げていくための取組を進めていく
【第3章第2節1.(1)】
(2)現在の資源調達環境の基盤強化
石油におけるサウジアラビア、UAE、天然ガスにおける豪州、カタール、マレーシア、ロシ
ア、インドネシア、石炭における豪州、インドネシア、金属鉱物におけるチリ、ペルー、豪
州、カナダ、南アフリカなど、我が国に資源を供給している国との関係を、単に資源の取引
をしているだけのものとはせず、多様な経済取引、国民各層における多面的な人的交流を
活発化し、厚みのある総合的な二国間関係として発展させていくための総合的な外交政
策を推進していくことが重要である。(中略)
こうした包括的で安定した二国間関係の構築に向けて、総理大臣を筆頭とする閣僚級に
よる資源外交を積極的に展開し、強い信頼関係に基づいた二国間関係の上で、資源の取
引が安定的に行われる環境を整備していく
【第3章第2節1.(2)】
31
高効率石炭火力発電の有効活用の促進
安定供給性と経済性に優れた石炭火力発電は、温室効果ガスの排出を抑制す
る最新技術を活用することで、環境負荷の低減という課題と両立した形で利用し
ていくことが可能となる。環境アセスメントに要する期間を、リプレースの場合は
従来3年程度かかるところを最短1年強に短縮するとともに、新増設の場合も短
縮化する。
加えて、温室効果ガスの大気中への排出をさらに抑えるため、次世代高効率石
炭火力発電技術(IGCC等)の開発・実用化を推進するとともに、現在取り組んで
いる二酸化炭素分離回収貯留技術(CCS)の研究開発も引き続き継続し、環境
負荷の一層の低減に配慮した石炭の有効活用を進める。
また、世界的には、引き続き石炭の利用が拡大していくことが見込まれることを
踏まえ、海外においても、環境負荷の低減と両立した形で石炭の利用が行われ
るよう、我が国の先端的な高効率石炭火力発電の輸出を促進する。
【第3章第3節5.】
32
総合的なエネルギー国際戦略の展開
・二国間の連携については、資源・エネルギーの確保やエネルギー産業の国際展開を推
し進めるため、石油、天然ガス、石炭、鉱物などの資源国、高効率火力発電、原子力、再
エネ・省エネ技術、スマートコミュニティ等の潜在的な市場となる国との二国間関係を強化
していく。特に、同盟国である米国との関係強化や、韓国、インド、欧州などエネルギー需
給構造において共通課題を有する国との連携強化も深めていく。
【第3章第7節1.】
・著しいエネルギー需要の増加が見込まれるアジアの新興国との協力強化は、アジア地
域、さらには、我が国のエネルギー安全保障の強化、エネルギー産業の潜在的な市場の
開拓を進める上で重要な課題である。
例えば、インドは、IEAのWorld Energy Outlook 2013によると、2020年以降は中国を上回
るペースでエネルギー需要が増加する見通しであり、これに対応するため、(中略)、石炭
のクリーン利用など多くの課題を抱えている。
【第3章第7節1.(2)】
・地球温暖化の本質的解決に向けた我が国のエネルギー関連先端技術導入支援を中心
とした国際貢献具体的に先端エネルギー関連技術の実装化を世界で進めていくため、化
石燃料に引き続き大きく依存しなければならない新興国を中心に、石炭やLNGなどを効
率的に活用できる高効率火力発電への発電設備の転換などを促進するための金融シス
テムを活用した支援策を強化する。例えば、米国、中国、インドにある石炭火力発電所
が、現在の日本で利用可能な最新技術に置き換わるだけで、日本一国分の二酸化炭素
が削減されると試算されている。
【第3章第7節2.】
33
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