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盲児における図形 ・ 空間認知力の育成

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盲児における図形 ・ 空間認知力の育成
盲児 にお ける図形・ 空 間認知力 の育成
日 学校 算数科 にお ける学習指導 の改善――
昭 利
田中
笹 田
=r*
**
て正
Development of Cognitive Abilities of Figure― Space for the Blind
―
Improvement of Learning Program of Arithmetic
in a School for the BInd―
Sh◎ z6SASADA*,ToShie″
は
じ
rANAKA**
め :こ
著者 の 1人 (田 中)が ,盲 教育 5年 目にして,初 めて精神発達遅滞 を伴 った全盲生 Tを 担任 し
た。 Tが 中学部 2年 生 の時であった。小学部入学当初か らみると,人 格形成 ,社 会適応 ,学 習活動
など種 々 の面 において著 しい仲 びが見 られたが,し か しなお,自 立 に向けて多 くの課題 を残 してお
り,そ の一つが,「 空間認知力の向上」 であった。
Tは 小学部 の時 か ら,数 字 の読 みにおいて,点 字 における点の配置が鏡構造 をもつ 3組 の数字
5と
9(i: :こ
と
i: ::), 4と
6(i: :こ
と
0(i: :こ と
ii :こ ), 8と
i: ::)
の区別 が不明確 で,必 ず とい ってよい ほど逆読 みをし,算 数科 の指導 に困難 をきた して い た。 これ
を何 とか克服 させたい と思 い,あ れ これ指導法 を工夫 してみたが,結 局 ,完 全 に修正・ 改善 す る こ
とがで きなかった。 また,掃 除場所 の コの字型 に並 べ られたすの子の拭 き方 も,身 体 の動 きを通 し
て,再 三再四指導 したが ,な かなか定着で きなかった。 この ように,Tに は,学 習 や作業 ,日 常 の
生活行動の中で空 間認知力 の欠如 と思われ る多 くの課題がみ られた。反復練習 だけで は獲得 で きな
いこれ らの課題 に対 し,そ の原 因を究明 し,適 切 な対応や具体的な手だてを講 じること,こ の こと
が全 盲生 Tが 著者 (田 中)に 投 げかけた問題であ り,本 テー マでの研究 の動機 で もあった。
点字 ひ とつをとって も,点 の空 間的配置 の識別 を必要 とするように,環 境 の中 の具体物 はす べ て
形 と大 きさをもち,位 置や方角・ 距離 によって規定 されて存在 してい る。 それゆえに,盲 児 の「 自
立」 を図 る上で,基 礎的な図形・ 空間に対す る認 識 を高め,盲 児 の図形 。空間認知力 を育成 して い
*)数 学科教育教室 Department of Mathemaics Education,Tottori
*)鳥
取県立鳥取盲学校教諭 (平 成 3年 度特殊教育内地留学生)TottOri
・
e
UniverSty
school for the Blind,Tottori Prefectur‐
笹田昭三・ 田中利江 :盲 児における図形・空間認知力の育成
くことは極 めて重 要な ことで ある。
そこで本論文 で は,一 つに,盲 児 の空 間認知力 はい かに育成 され るのか。 また,盲 児 の感覚 の特
性,知 覚 の発達等 ,盲 教育 にたず さわる教師 として理解 してお くべ き基本的事項 とは何 か,こ れ ら
を追究 の課題 にす る。 もう一 つは,盲 学校算数科 における「 図形・ 空間」領域 の授 業改善 について
の提案 で ある。盲学校 における算数教育 の現状や困難点 をぶ まえ,ま た前者の考察 の知 見 に基づい
た,授 業改善 の考 え方 とその学習指導 のプ ログラムを提示する。
I
盲 児 に お け る知 覚 と概 念 形 成
医学的 に生 まれつ きの盲人 を先天盲 ,生 後失明 した ものを後天盲 と言 うが,心 理 学的 には視覚的
経験 の記憶 が 問題 となる。 それが彼等 の心理 的特性 に影響 し,ま た教育 にも関係するか らである。
視覚的経験 に関す る記憶 の有無 と失明年齢 との関係 は個人差 があ り,一 様 には言 えないが, 3歳 か
ら 5歳 くらい までの失 明 は,視 覚的経験 の記憶 が残 らない とされている(1ち そ こで,本 研究 で用 い る
「盲児」 とは,視 覚的経験 の記憶 が無 い「早期全盲児」 を意 味す る。 この章 では,こ ういった早期
全盲児 の知覚 の特徴 や概念形成 の重要性 について追究す る。
1.盲 児にみ られる心理的影響 ②
人間の認知 発達 に重要な貢献 を果たしてい るのは視覚的な情報であ り,日 を窓 口 とす る情報 は全
情報量 の80%を 越す と言われ ている。
乳児の発達 をみて も,生 後す ぐに物 を注視 し, 2ケ 月 になると動 く対象 を目で追 った り,見 るた
めにうつぶせ状態 で頭 を上 げた りす るようになる。 4ケ 月 になると目の前 の物 をつか み, 9ケ 月 に
入 ると欲 しい ものをハ イハ イ して取 りに行 くことがで きるようになる。 これか らみて も,乳 児 は見
えた物 に誘発 されて行動 を起 こしていることが わか る。 このよ うに,人 間 の行動 に とって重 要 な役
割 を果 た して い る視覚 が,生 来 あるい は早期 において欠損す るとい う ことになると,環 境 に対 す る
認知行動 は著 しく制限 され,以 下のような問題が起 こる。
① 周囲の様子がわか らない。
視覚 は明暗,色 彩 ,形 態 に関す る情報 の窓 口である。 さらに遠感覚 と呼ばれ広 い視野 (視 空間)
をもつ ため,対 象 の全体像 を把握 した り,対 象物間の空間的な距離関係や方向・ 位置 の関係 ,さ
らに運 動や運動 の因果関係 な どの把握 に重 要な役割 を果た している。 こうした視覚特有 の情報 が
失われ ることか ら,自 分 の囲 りの情報 が無 いに等 しい。 したがって盲児 は,人 に教 えて もらうこ
とで もなければ,囲 りの様子が全 くわか らない。
視覚的模倣 がで きない。
②
正眼児 は成長過程 において,知 らず知 らずの うちに多 くの ことを視覚的模倣 を通 して学習す る
が,盲 児 はこれがで きない。イヽ
学部中学年 になって も模倣笑 いが現れない盲児 を経験 したが,笑
い の発達 もこの一例 である。正 眼児な ら集団指導 ですむが,盲 児 は個別 指導 によらなければな ら
ない ことが多 い のはこのためである。
③
視覚的刺激 に対す る反応が起 らない。
正 眼児 に とって は,環 境 の中 に行動 を誘発す る視覚的刺激 がた くさんあるが,盲 児 にはそれが
刺激 として働 きをしない。例 えば,お もちゃ。
絵本 は,子 どもに とって興味ある遊 び道 具 であ り
行動 の誘因になるが,盲 児 には行動 を誘発す る力 をもたない。 したがって,周 りか らの働 きか け
,
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻
第
1号 (1992)
21
がない限 り,盲 児の行動 は限定 され,経 験 も少な く,非 活動的な傾向が強 くなるのである。
④ 具体的事物で知 らない ものが多い。
正眼児は生 まれてか ら自分 の身辺 にあるいろいろな物 を見て育 ってい る。正眼児 には全 くあた
り前 に見える事物で も,盲 児 は知 らないでいることが多い。 したがって,盲 児には常に周囲に何
が存在 しているかを知 らせてやる必要が ある。
2.盲 児 と触覚的認知
(1)視 覚の代役 としての触覚 による認知
(触 知覚)
早期全盲者 は情報 の量的,質 的な不足分 を補償す るために,視 覚以外 の他 の感覚器官を総動員
しなければならない。視覚 に代わるもの として,触覚,聴 覚,味 覚,嗅 覚な どが あるが,視 覚 の
代役をするものとして触覚の役割 が大 きい。触覚 は盲人にとって重要な代替感覚であ り,「 目を手
に代えて」 と言われるくらい大切な役割 を果たす。 しか し,触 覚が視覚のすべてを代役できるも
のでない。視覚 と対比 して,触 覚 による認知 は,次 のような問題点 と限界 をもつ ものである0。
① 視覚 は遠感覚 と呼ばれ,広 い視空間を得 るのに対 し,触 覚 は近感覚あるい は接触感覚 と呼ば
れ,一 度 にとらえる情報量が極 めて少ない。
② 個々の事物 を触知することができても,そ れ らが空間内で どのような関係,配 置 にあるかを
把握することが難 しい。すなわち,経 験する物が個々にな りやすい。
③ 触覚では,あ る物 の全体像 を把握するためには,少 しずつ順 にその物 を触っていかねばなら
ない。そのため,全 体 と部分 との関係が とらえに くく,継 時的で部分的な知覚様式 になりやす
Vゝ
。
④ 視覚 は,目 さえ開けていれば自然に刺激が入ってきて,い ろい ろなことが学習できるのに対
し,触 覚 は,直 接的 に触れないと何 もわからない。つ まり,視 覚 は消極的,受 動的で もよいが
触覚 は積極的,能 動的でなければ情報の獲得ができない。
⑤ 視覚では可能 でも,触覚 では触われないために認知不可能 というものが極めて多 い。
たとえば,遠 くにあるもの (月 ,太 陽,空,星 など),触 ることので きない存在 (光 の反射や
,
影など),触 ると危険な もの
(沸 騰 しているものなど),触 っただけでは違 いのわからない もの
(容器に入った液体 ,寒 暖計の水銀など),あ まりに大 きすぎて一部分 しか触れない もの (山
川,海 ,島 など),あ まりにも小さすぎて触 ってもわからないもの (ア リ,虫 など)が その例 で
ある。
⑥ 動 いている物 の知覚 は困難 である。それは,触 る時 に常 にその物 に圧 を加えてしまい,自 然
的な状態を壊 したり,運 動 を変 えてしまうからである。 たとえば,カ ーテ ンがひらひらするな
どということは視覚の世界 (視 空間)の ことであって,触 覚 の世界 (触 空間)に は存在 しない。
⑦ 空間概念 の形成 に際 して,触 覚 の世界 では,左 右,上 下,前 後 という空間座標軸がつ くりに
,
くい。
修)触 運動の役割 とコン トロール (触運動知覚 )
(1)で 述 べ たような触覚 による不利 な条件 を少 しで も克服す るために重要 と考 えられてい るのが
,
腕や手の運動 (触運動 )で ある。腕 や手 の運 動 は大 きいのでつ くりやす く,ま た教師が子 どもの手
をとって指導す ることもで きる。運動 の結果 は,す ぐにフィー ドバ ックで きるし,必 要な ら反復 し
て確認で きる。特 に,空 間概念 の学習 にあたって,図 形・ 空 間 の座 標軸 の形成 は極 めて重 要 で ある
22
笹 田昭三・ 田中利江 :盲 児 にお ける図形 。空間認知力 の育成
が,こ の触運動 によって,盲 児 にお いて も体軸 を中心 とした座標 の形成が可能 となる。 こうした触
運動の利点を考 えるとき,盲 児 に とって,触 運動の コン トロール は極 めて重要な意味 をもつ。
盲児 が外界 に働 きか け,物 と接触 をもつの はよ くコン トロール された運動以外 にない。盲児 にお
ける触運動 は,触 覚 による認知 の不利 な条件 を緩和 し,克 服 して い く手 だてであ り,能 力 である。
このよ うな理 由か ら,盲 教育 の出発点 は,触運動の コン トロール につ いて の学習 にあると言われて
い る。 この「触運動 の コン トロール」 の学習 について,文 部省編 『盲児 の感覚 と学習』 では次のよ
うな基本学習 とその指導順序 を挙 げて いる
① 手 のひ らを握 った り,開 いた りす る。 そして,物 をつかんだ り放 した りす る。
② 平面 をなでた り,線 をた どった りす る。 (平 面や線 か ら離 れた り浮 いた まま運動 しない。)
141。
両手 で物 をた どる。 (ま ず,出 発点 を左手で押 さえ,右 手 でた どる。次に,左 手 がた どつてい
るものを,右 手 が知 るとい うようにして関係 づけの初歩 を学習す る。)
④ 手 の運動その ものを規制す る。 (腕 の運動 は円運動,あ るいは波形運動 になって い るが,こ れ
③
を直線的運動がで きるよう規制す る。)
⑤
③
線 の方向づ けをして,運 動 の方向をとらえる。
A:静 止 した線 をた どり方向づ けをす る。
BI運 動す るものを身体全体 を動か して追 う。
Ci自 分 の身体 は動 か さないで,腕 や手 で運動す るものを追 い,運 動 の方向 を弁別する。
点 の位置 づけ。(直 線 が折れ曲が るところ,2直 線 の交わ るところとして,空 間内 における点
の定位 を学習す る。)
このように,手 の運動 を意識化 させ る活動 の中で,触 知覚 は触運動知覚 に高 め られるとともに
図形概念 の形成 や構造化 が促進 されて い くのである。
,
3.知 覚の発達 と概念形成
概念形成 は,知 覚 の発達 と密接 な関係 があ り,特 に視知覚 を欠 いた盲児 には容易 なことで はない。
さまざまな不利 な条件 を克月
Rし ていかに概念形成 を図るか は,盲 教育 における重要な課題であると
こで
考 える。 そ
,こ の節 では,概 念形成 の過 程 ,お よび知覚 と概念形成 との関連 について考察す る
ことにす る。
(1)概 念形成 の過程 (0
人間 はあ くまで も外界 の状態 をみた り触れ た りしなが ら知覚 し,知 覚 に伴 つての判断で生活 して
い る。 したがって,知 覚 した ものを「記憶」 という形 で保持 して い く必要 があ り,ま た必要な場合
い象」 (イ メージ)
には,そ の記憶 を取 り出す ことので きる機能 をもつ ことが必要 である。 これが「ザ
と言われるものであ り,心 の中 に視覚的,静 的な記憶 として焼 き付 けられた ものである。
例 えば,「 コ ップが落 ちて壊れ る」 とい う事実 を例 にあげてみる。「ガチ ャンとい う音 とともに コ
ップが粉 々 に割れ る」とい う場面 を知覚す ると,こ れが,い 象 として記憶 の中 に保持 され る。その後
また,物 が壊れ る場面 を体験 した時,音 や場面 の状態 か ら以前の心象 を思 い起 こす。
「物 が落 ちて壊れ る」 とい う心象 を量的に積 み重ね,強 化 してい くと
,
Alの 時
② A2の 時
①
Blで あつた。
B2で あつたo
,
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻
第
1号
(1992)
Bnで はないだろうか ?
② Anの 時
このような体験①,② ,… …・の蓄積の中で,② のような「類似性」によ
る心象をもつことが可能 となる。概念形成 に至る第 1段 階 として,幼 児
期から経験を繰 り返 してなされる,こ の心象の量的蓄積が極めて重要な
ことである。
そして,資 料 として蓄積 された心象 は,加工 されて概念 となる。右図
の
と
R瑞寇 良ま
を
]椒 ≧魁 を結 象綜
抽象化
抽象化
!_→ 士
け (統 合 )さ れて,一 つ の概念が形成 されて い くのである。
概念 が成立す る ことによって,知 覚 が論理的枠組 みに支配 され,幼 児期 の自己 中心的な知覚 の特
徴 に支配 されな くな り,認 識 のあ り方が次第 に客観性 を増 して くるのである。
このよ うに,知 覚 は心 象 を形 成 し,心 象 は概 念 を形成す るための資料 とな りなが ら,互 い に影響
を及ば し合 い,そ れぞれの客観性 を増 してい きつつ,上 記のような仕組 み と順序 ◆慨念形成 されて
い くのである。
彼)盲 児の知覚発達 と概念形成
知覚か ら心象 ,そ して概念形成 に至 る過程 を考察 して きた。 このことか ら,よ りよい概念 の獲 得
のためには,よ りよい知覚がで きることが大切 であることが わかる。盲児 にとって最 も有効 な触知
覚 については,本 章 の 2「 盲児 と触覚的認知」 で も述 べ て きたが,こ こではさ らに,図 形知覚 の発
達 とい う観点か ら考察 を深め,概 念形成 のための触察 のあ り方について考 える ことにす る。
国立特殊教育総合研究所が行 った,特 別研究「障害児 のパ ター ン認識 に関す る総合的研究」で は
パ ター ン認識 と知覚や知能な どとの関係 が検討 され, とくにパ ターン認識 と知 覚 との関係 で は,パ
ター ン認識の能力 の発達 が知 覚の分節 の発達 と深 く関わ っていることが示 されて い る0。
知覚 の分節の発達 とは,ゲ シュタル トの法則 でい うところの「閉合の要因」が優位 に働 く分節か
,
ら,「 よい連続 の要 因」が優位 に働 く分節 へ と発達 してい くとい う ことで あ り,そ の発達 の方 向 は盲
児,弱 視児,正 眼児の いずれにも認 め られ るとい う ことが明 らかにされている171。 具体的 に言 えば
,
2つ の円を組 み合わせた複合図形 を知覚す る場 合,知 覚発達 の初期 で は,「 閉合 の要 因」が優位 なの
で, 2つ の三 日月形 と 1つ の楕円 とい うように断片的に分 節 して知覚 され る。発達 が進 む と「 よい
連続 の要 因」 が優位 に働 くようになって,そ こに 2つ の円の重な りを知覚で きるようになる。 つ ま
り,発達が進むにつれてより合理的な形 のまとま りを知覚す るようにな り,意 味 あるパ ターン (形 )
として認識 され るようになるい
)。
図形の形の知覚 については,普 通 ,触 覚な い し触運動知覚で視知覚 を補償 して い る。 しか し,触
覚 は接触感覚 あるい は皮膚感覚 と呼 ばれ,情 報源 に直接掌や指 を触れなければ情報 を得 る ことがで
きない。 したがって,一 度 にとらえる情報量 が ずっ と狭 く,あ る物 の全体像 を把握す るためには
少 しずつ)贋 にその物 の全体 を触 っていかなけれ ばな らない。 そのために,ス ベ スベ,ザ ラザラ,と
,
んが っている,曲 線 である, といった手触 り的な特徴 (形 の特徴 に関す る情報 のうち)の みに注意
が集 中 して,形 の全体 と部分 との関係 に注意 が 向けられない ことが多 い。 これ は,知 覚 の分節 の発
達か ら言 えば,「 閉合 の要因」が強 く働 く段階 である。特 に,手 だてを講 じなければ,視 覚障害児 (と
りわ け盲児 )は,知 覚 の発達 が この段階 に とどまったままになる危険性 をはらんで い る。
笹 田昭三・ 田中利江 :盲 児 にお ける図形・ 空間認知力 の育成
そこで,「 閉合 の要 因」 が強 く働 く段階 か ら,「 よい連続の要因」 が強 く働 く知覚 へ と進 んで い く
ためには,運 動 の情報 ,特 に方 向,位 置 ,距 離 な どの空 間的 な関係 に関す る情報 の取 り込 みが必要
となる。 これを代行 で きるのは,手 や腕 の運 動 である。「形の特徴 の情報」 と「運動 の情報」のセ ッ
トが記憶 に送 られ,心 象 を とどめ,既 に形成 されて い る概念 と照合 されて共通 の属性 が抽 出 され
,
概念形成 がなされ るとい う ことになる。
乳児期 には,い ろい ろな感 覚体験 (明 暗 ,音 ,に おい,手 触 りな ど)と 運動体験 (握 る,振 るな
ど)を 重ねるうち,い ろい ろな感覚体験が運動体験 を媒介 にして統合 され,低 レベル の概念が形成
され る。 そして,低 レベル に対応 した未分化 な知覚が発現す ると考 えられてい る。 その後 は,そ う
した知覚体験 と同時 に得 られ る運動の情報 によ り統合 され,柔 軟 な対応 がで きる概念的枠組 や構造
をもつ高 レベル の概念 へ と発展 してい く。 これに伴 つて,知 覚 の分 節 も進み,そ の状況 に合 つた知
覚 がで きるようになって い くのである。 このよ うに,知 覚 と概念形成 は,互 いに影響 を及ぼ し合 い
それぞれの客観性 を増 して い くと考 えられてい る。
国立特殊教育総合研究所 の前記 の「特別研究」 で は,パ ターン認識 の発達 とい う点 か ら,盲 児 が
置 かれている不利 な知覚条件 を克服するための手 だてが検討 され,結 論 として豊かな触察経験 の重
要性 を指摘 してい る(lω 。 この触察 は触覚 による観察 であ り,そ こで は多様 な状況 に応 じたパ ター ン
,
)
認識 が求 められ る ことになる。触察経験 を通 して いか にパ ター ン認識 の仕方を学習 させ るか,こ の
ことは盲学校算数科 の学習指導 を成立 させ るための重要な鍵である と同時 に,盲 学校教育全体 に と
って も重要な課題である。
H
空 間概 念 形 成 の学 習
1.子 どもにおける空 間概念 の発達
環境 の空 間的認知 は,対 象 の位 置,大 きさ,形 ,お よび対象相互 ,あ るいは観察者 と対象 の方向
距離 とい う空間関係 にお いて把握 され る。 こうした空間的認知 を可能 にしてい るのは,視 覚 ,聴 覚
触覚 ,運 動感覚等 であ り, これ らの感覚 によ り総合的 に構成 された空 間的認知 の枠組 みを使 って
,
,
,
われわれ は日々行動 して い る。 その中で も視覚 は空 間認知 の有力 な決定者 である。 したが って,視
覚 を欠如 した盲人 にとって,環 境 の状態 やその中 での 自分 の位置 を正 し く判断 して行動す る ことは
非常 に困難 な ことで ある。
波多野氏 らは,著『 ピアジェの認識心理学』の中 で,「 空間概念 とは,生 来人間 に備わ つて い るも
のであろうか。」 と提起 し,「 知覚 は,本 来 は,あ る視野内の限 られた事物 に対応す るものであるか
ら,断 片的 で確率的 である。 そのバ ラバ ラな知 覚 を協調 させて,一 つのまとま りをもった物 の認知
を成立 させ るのが思考であ り,こ れを介 してはじめて概念が成立す る。」と述べ,空 間的認知 の生来
説 を否定 してい る(11ち 確 か に,見 える世界 にいる者 は,「 目が見 える こと」即 「空 間 を認知す る力」
と錯誤 しがちであるが,そ うで はな く,空 間認知力 は学習 と発達 によって組織化 されて い くのだ と
ピアジェの認識発達理論 は主張 してい る。
,
ピアジ ェ は,空 間概念 の発達 につ いて,次 の 3つ の段階 を考 えて い る。 まず第 1段 階 は,位相的
な関係 のみか ら成 立 して い る空 間概念 である。 この段階 の子 ども (3∼ 4歳 ごろ)は ,物 の大 きさ
とか,幾 何学的 な形 ,角 な どの関係 には着 目せ ず,図 形 が閉 じて い るか開 いてい るか,近 くにある
か離れ て い るか,中 にあるか外 にあるか,… …・な どの観点 か ら物 の性質 を抽象す る。空間内 の事物
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻
第
1号
(1992)
を孤立 させてバ ラバ ラに意識す るにす ぎない段階 である。
これに続 いて,射 影的な空間概念 の段階 (4∼ 5歳 ごろ)が くる。 この段階 になると,一 定 の見
地か ら事物 を相互 に関係 づ ける操作が可能 とな り,左 右 ,上 下 ,前 後,… … な どの意識 も生 じる。
また,見 地が違 うと事物 の相互関係 も違 って見 える ことを理 解 しはじめる。最後 に,ユ ー クリッド
的な空間概念が形成 され る (5・ 6歳 か ら芽生 え, 8。 9歳 で成立す る)。 ここに至 って,物 体 は水
平一垂直軸 という強固な枠組 みによってその位置 が しっか りと定 め られ,距 離 ,大 きさ,角 度 ,平
行 といった概念 がすべ て保存 され るようになる。 もちろん,こ れ らの空 間概念 が独立 して順次現れ
るというので はな く,相 互作用 しなが ら発達 して い くのである(12ち
以上 のように,子 どもにお ける空間概念の発達 は, 2次 元 , 3次 元の空間認知 の枠組みを生来備
えてい るので はな く,直 線 がわか り,平 面 がわか り,角 がわか り,し か もそれ らの基礎 の上 に立 っ
て,物 を繰 り返 し見比 べ た り,操 作 した りとい う経験が組織的 にまとめ られる結果 として,子 ども
の内 に空 間認知 の枠組 みが,上 記 3段 階 の発達 の様相 を示 しなが ら,徐 々 に形成 されてい くのであ
る。 しか も,ピ アジ ェが正眼児の発達 の過程 とした この 3段 階 のプ ロセ スは,盲 児の場合 にお いて
も,お おむね同 じであるといわれて い る。
さらに,ピ アジェ は,い ずれの空間概念の形成 において も,人 が物 に能動的 に働 きかけてい く過
程,つ ま リイ
子為 を重要視 し,こ れが概念形 成 に際 して決定的な役割 を演ず る ことを強調 してい る(13ち
この ことは, I章 で論 じた, 2(2)の 「触運動の役割 とコン トロール」,お よび 3の「知覚の発達 と概
念形成」 と密接 に関連 す ることである。盲児 における空 間概念 の形成 には,意 識化 された触運 動 や
概念行動が極 めて重 要 で ある。手や身体 の運動 を意識化 させ るような活動 の中で,触知覚 は触運動
知覚 に高 め られてい くとともに,図 形・ 空間概念 の形成や構造化 も促進 されてい くのである。
2.概 念行動 と空間概念形成の学習
は)盲 教育における概念行動の重要性
I章 の 2121で ,盲 教育における触運動知覚の役割 と統制 された触運動の学習の重要性について述
べた。盲児が外界 に働 きかけ,物 と接触 をもつのはよくコン トロール された運動以外にない。盲児
における触運動 は,触 覚による認知の不利な条件を緩和 し,克服 してい く手がか りである。
触運動が運動感覚 として成立するとい うことは,そ の感覚受容器が現在 とらえている状況 と直前
までとらえていた状況 とが関係づ けられていることである。その人の概念的な行動がまだ不充分な
段階にあるときには直前 の状況が消えてしまって現在 の状況 との結 びつ きが起 こらないとい うこと
になる。視覚障害児にはとくに この傾向が著しいといわれる(14ち したがって,現 在 の状況 と直前 の
状況 とを同時的に受けとめられるような手がか り 。場面 を,盲 児に対 しては,正 眼児に対するより
以上多 く学習 させていかねばならない。 たとえば,「 かたち」の学習 において,あ る位置 と別 の位置
とがそれぞれ駅立的に次々 と感受で きたとしても「かたち」 は成立 しない。ある位置 と他 の位置 と
力Ⅵ贋序をもって,さ らに言えば,空 間的な位置・方向をもって関係づけられて,は じめて「かたち」
の概念形成の基礎が成立するのである。
この ように,概 念形成の基盤づ くりとして重要な,主 体 による意識的な対象へ の行為,さ らに言
えば,よ くコン トロールされた触運動などを手がか りとして行われる外界への概念的な働 きかけの
ことを,文 部省 『盲児の感覚 と学習』 に従 って,「 概念行動」 とよぶ ことにする(15ち
正眼児 は,小 学校入学時 までに,手 の運動を主 とした概念行動により,次 第 に高い操作特性を身
につけ,生 活空間の関係的・概念的認識の基礎が形成される。 また,言 語 においても,こ れ らと関
笹田昭三・ 田中利江 :盲 児における図形・空間認知力の育成
連 して具体的イメージをもつ言葉 が豊 富 に獲得 され,言 葉 とともに事物 の状態 の知識が獲得 されて
い く。 これに反 し,盲 児 は,運 動 ことに概念行動 の不足か ら,空 間認識 はいつ まで も 1次 元的,継
学校 の
時的段階 にとどま り,空 間 の広が りに関連する言葉 も具体的イメージを欠 くことが多 い。イヽ
時期 にお いて,具 体的 な教材 によ り系統的な指導を受 けない とこの傾向 はます ます助長 される。
したがって,盲 児 には,基 本的 な事柄 を系統的にしか も主体的 に学習 させ,そ こで獲得 した方法
や手がか りを用 いて問題解決 させ,さ らに新 しい方法 を学習で きるようにす る必要がある。 ここで
言 う「基本的な事柄」 とは,感 覚 により定位 された運動 ,こ とに概念行動 であ り, この概念行動 に
よって関係 づ けられた空間の認識形態 であ り,さ らには,こ の認識形態 によって支 えられ,枠 づ け
られた言語や諸記号である(16ち
このよ うに,豊 かな概念行動 で関係 づ けられた空間の認識形態 を基礎 として獲得 された諸記号 を
操作 して こそ,盲 児 における各教 材・ 領域 の学習 が生 き生 きした活動 にな り得 るもの と考 える。
(2)概 念行動 による空 間 の形態認識の育成
かの感覚的 な手がか りによって,生 活空間 を定位 した後 ,運 動 を行 う。盲児 の場合 は
人間 は何 ら、
手の運動 を十分 に発達 させ,手 の運 動 を主 とした概念行動 を獲 得す る ことが まず重要な課題である。
この概念行動 の獲得 の導 き手 として,幾 何学的な形 や座標軸 な どを用 い,そ こで獲得 された概念的
,
枠組 みを用 いて表現活動 を行わせた り,具 体物 ことに生活用具 を分析 させた りして,生 活空間 の定
位 を図 る。 さらに,こ れを基 に,歩 行運動 の能力拡大 へ と転移 を図って い く必要 がある。 この こと
はまた,盲 児 が 自主的 に生活 経験 を拡大 してい く力 へ とつなが って い くことで ある。
そこで,概 念行動 を通 して,い かにして盲児の空間の形態認識 を発達 させて い くのか,そ の指導
の方向やあ り方 を探 る ことにす る。『盲児 の感覚 と学習』 (文 部省 )に 拠 って,そ の指導 の要点 をま
とめてみると,次 の ことが重 要だ とされている(1° 。
生得的な行動 を概念行動 へ と導 くために,い くつかの基礎的な学習活動 が必要である。 まず,子
ども達が,物 や人 に対 して どんな働 きか けをする能力 をもって い るか,観 察す る必要がある。 とり
わけ,肩 関節 の回旋 ,ひ じの屈仲 ,手 首 の回旋 ,手 のひ らの開閉 ,手 指 の 1本 ずつの屈仲な どが 自
由 にで きるか否か をチ ェ ックし,補 正 してい く必要 がある。 さらに,定 位 と運動 ,可 逆的概念行動
両手 の協調 ,属 性分離,定 位 と歩行 ,等 々の学習活動 が必要 である。
このよ うな基礎的な学習活動 を行 った後 に,次 の 5系 列 の指導 へ発展 させ る。
,
① 幾何学的ひな形 としての立体 や平面を 1つ の単位 として, 1次 元か ら2次 元, 3次 元へ と合
成 してい く過程。
② 立体か ら平面を,平 面か ら輪郭線 を,輪 郭線 か ら点を抽象 してい く過程。
③ 空間を座標軸 により枠 どりし,こ れを,運 動の軌跡 と重ね, 1次 元から 2次 元, 3次 元へ と
関係づ けてい く過程。
④ 概念行動 により形成 された図形 を平行移動,回 転,線 対称等 により変形,移 動させ,盲 児 と
環境 との角度 を変えることによ り,動 的,可 逆的な認識 を育てる過程。
⑤ 数量 および測定 の概念 をつ くり,枠 づけされた空間 に長 さを与 えてい く過程。
これ ら5系 列の指導 は,最 初平行 して行 い,次 元を高めてい く中で,適 切な時期 に結 びつけてい
くものとしてい る。最後 に枠づけられた空間を拡大・ 縮小 させて, この一連 の学習 は完成す る。
形態認識 を育てる学習では,触 覚や聴覚 によって定位 された運動が,具 体物 の枠 によって支えら
れた概念行動により操作 されねばならない。 したがって,留 意すべ きことは,概 念が定着 し,運 動
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第
1号 (1992)
27
が正確 に行われない限 り,こ の補助 としての「枠」 をはず してはな らない ことで ある。
13)空 間概念形成 の学習 における概念行動
,子 ども達 の図形・ 空間概念 を形成 してい くためには,適 切 な場面 における概
念行動の獲得 ,そ して操作的行動 ,さ らに記号操作 へ と接続 し,発 展 させ る ことによって,概 念 の
(1)で 述 べ た ように
理解 を図って い く必要 が ある。 この ことを実現 してい くために,(2)で論 じた ことを踏 えて, 8つ の
(18ち
学習 の視点 を取 り上 げ,各 学習 において行 われ るべ き概念行動や操作活動 を検討 しまとめた
(D
(5)二 次元的関係 づ けの学習
対 をつ くる学 習
学習内容 (空 間概念 )
概 念 行 動 ・ 操 作 的 行 動
「つながっている」嘩 れている」 ・盆のふちに積み木 を くっつける。 まん中に離
す。
(連 結・ 非連結 )
・連結機で列車 をつな ぐ。離す。
・ 砂をバ ケツの中に入れて運 び,外 に出す。
・手 をつないで輪 をつ くり内 と外で ジャンケン
内 と外 中 と外
をする。
・部 屋 の戸 を閉 め て 中 を一 周 し元 に戻 る (一 回 り
「あいているJ「 しまっている」
歩 き)
(開
閉)
・
筆習内容 (空 間概念 )
概 念 行 動 ・ 操 作 的 行 動
二つの座標軸の
関係づけ
・ 十 字 溝 切 り板 の溝 に タ イ ル を滑 らせ ,左 右 前
後 軸 の関 係 づ け ,左 右 上 下 軸 ,前 後 上 下 軸 の
関 係 づ け をす る。
直
縦
横
分
角
,直 角 定 規 を机 の 角 や部 屋 の 内 角 に合 わ せ る。
・ 直 角 の廊 下 の コー ナ ー で r右 向 け右 ,左 向 け
左 Jを す る。
類
・盲人用将棋盤 に積 み木やカー ドを縦横 に並ベ
る。
・ 縦横別 な属性 を組 み合わせて物 を分類する。
積 み木 や ゴム 磁 石 で 閉 じた空 間 を表 現 す る。
積
み 本
並 ベ
・ 教 室 内 の机 や 椅 子 な どの配 置 の よ うす を,積
み木 や プ ロ ッ クで表 現 す る。
二
次 元
図 形
,直 線図形 の辺や角の数 を輪郭線 をた どりなが
ら数 える。
・円や不規則な図形 の輪郭 をた どる。(基 準点の
意識化 )
12)同 じ物 を発見 す る学習
形
同
は め 遊
形
分
び
・受 け粋 に同形 の幾 何 的 ひ な形 を選 ん で はめ る。
類
・ 同 じ形 の積 み 木 を分類 す る。
属 性 に よ る集 合 づ く り
・生 活 用 具 を材 質 や 形 に よ り集 合 づ く りをす る。
「 同 じJ「 た くさん」
「 少 し」
・食べ物 と食器の数などで どち らが多 いか士ヒベ
る。
「 同 じJ「 長 い J「 短 い J
平面図形 の合成 ,分 解
・ 直 線 図 形 や 円 の合 成・ 分 解 をす る。
二 つ の直 線 とその挟 角
・二直線のつな ぎめを座標軸 の原点にお き,一
つの直線 を左右軸 に固定 し, もう一方の直線
を開 く。
(角 度 の大 きさと方向の変化 を見 る。
)
二 つ の平 面 とそ の挟 角
二つの平面 を一辺でつな ぎ (木 やび ょうぶの
ように),角 度 を変化 させ る。(固 定す る面 を
左右 ,前 後軸 と変 えて,方 向や位置 の変化 を
見 る。)
・ 積 み木 や棒 の高 さ比 べ をす る。
,
13)方 向づ けと直線運動 の学習
左 右 軸 と直 線 運 動
前 後軸 と直 線 運 動
上 下 軸 と直 線 運 動
直
線
直 線
歩
行
の 表 現
斜 め の方 向 と直 線 運 動
・ 窓 や ドア に直 面 し開 開 しな が ら左 ,右 と可 逆
運 動 す る。
の こひ きで前 ,後 ろといいなが ら可逆運動す
・ 柱 に そ っ て指 先 を上 下 に可 逆 運 動 す る。
並
べ
線順 序
「前 へ な らえJ
「右 へ な らえ」
まん 中 を決 め る
座 標 軸 の平 行 移 動
・ 水平面 ,正 中面 ,前 額面 な どの座標軸 を薄板
を用いて平行移動 させ る。(左 側 ,上 側 ,前 側
な どの方向の領域 をとらえる。移動 した方向
に一定の距離 だけ位置が変化す る。)
平面上での平行移動
レール を前後軸 にお き,汽 車 を乗せて移動 さ
せ る。
(左 右上下 は変化 な く,移 動 した距離 だけ位置
が動 く。)
・ 音 源 に向 か つて リズ ミカ ル に歩 く
・ レー ズ ラ イ ター で定 規 を用 い て直 線 を表 現 す
る。 (左 右 前 後 )
・ 棒で斜 め45度 を表現す る。 レーズライターで
寿婦 士 ム
^
但)直 線上 における順序 づけと位置 づ けの学習
物
16)図 形 の移動 の学習
。左 か ら右 へ 3∼ 4個 の具 体 物 を並 べ る。
(左 右 軸 ,前 後 軸 ,斜 め に可 逆 的 に並 べ る。上
に積 む )
・教師 を基準 に前後 ,左 右 に並ぶ。
・教室や建 物 の順序 を積み木等で表現する。
・ 十宇溝切 り板 の溝 の中にタイル を滑 らせ,左
右左 ,中 右中 …… と可逆的 に直線運動 を行 う。
・ 自分 自身 を原点 として方向 を決 める。(腕 振 り
体操 )
回転 軸 と直 角 の 方 向 の
平 面 上 の 回転 移 動
・ 円形 レー ル の 中 に す わ り,左 に もっ て い た汽
車 を右 に まわ す 。(回 転 軸 か らの距 離 は一 定 だ
が ,汽 車 の左 右 前 後 は逆 に な る。)
回転 軸 と平 行 な面 の
回転 移 動
・ 前後軸 に回転 軸 を考 え,切 り紙 の左右の形や
点字 を裏返 してみる。(回 転軸 か らの距離 は一
定 だが,平 面の裏 と表が逆 になる。)
動
・ 直 線 定 規 や コ ングヾス に ポ ー ル ペ ンを あ て ,レ
ー ズ ラ イ ター で 表 現 す る。(点 の移 動 に よ り線
が結 か れ る。)
認 知 角度 を変 えた
場 合 の 図形 の移 動
・「セ ッセ ッセ」
遊 びで向かい合 うと,他人 の逆
の手 と力I重 な り合 う。(対 象が移動 して も,盲
児 自身が移動 して も本目対的には同 じ)
歩 行 と図形 の移 動
・「 Uタ ー ンあそびJ音 源 な どの 目標 まで行 って
回れ右 をし,出 発点 に もどる。往 きと帰 りの
風景 をとらえ,積 み木 な どで表現す る。(前 後
の順序 と左右が逆転 して重 なる。 →歩行 の基
礎的学習)
点
の
移
笹田昭三・ 田中利江 :盲 児における図形・ 空間認知力の育成
(7)三 次元的関係 づ けの学習
18)図 形 の大 きさの学習
平 面 図形 の積 み重 ね
・ 正 方 形 の カー ドや 円形 を積 み重 ね て ,立 方体
や直 方体 ,円 柱 を作 る。 (逆 操 作 して立 体 か ら
平 面 を取 り出 す。)
1ヽ
図形 の拡 大・ 篤 チ
と関 係 概 念 の保 存
・ 既習学習 (例 ,教 室 の順序 を積み木で表現 )
か ら,実 際の大 きさとの関係 を考 える。(大 き
さは変わって も空間の関係 は変化 しない。)
立体 図 形 の長 さの伸 縞
・ ち ょ うち ん の よ うな 円形 蛇 腹 の 円 筒 を伸 縮 さ
せ る。
(立 体 と平 面 図形 の 関 係 を と らえ る。)
測 定 の単 位 と
「 何倍 「
」 何 分 の一 」
平面図形 による内空
立体 の組 み立て
・ 底 を円形 に し,側 面 を長 方 形 の紙 を筒 形 に ま
るめ て カ ン,茶 筒 を作 る。(平 面 を組 み立 て 内
空 の立 体 を表 現 す る。)
・ 感覚運動的単位尺 (親 指 と人差 し指 ,両 腕
歩幅等 )で はか る。
・ 5 cmの 客観的単位 を知 る。盲人用 ものさしで
はかる。
面 積 ,体 積 ,容 積
線 に よ る立 体 表 現
・棒 つ な ぎ積 み木 で 立体 を表 現 す る。 (針 金 や棒
な どで立 体 を表 現 す る。)
・長 さの測定 において用 いた「かた まり」 の考
えで,面 積や体 僚を求 める。
・ 1記 の容器何倍分かで容積 を求 める。
三 次元 座 標 軸 の 関 係
づ け と閉 鎖 空 間 へ の
位置 づ け
・三 本の棒 を真ん中で直交 させ二次元摩 標軸 を
作 り,左 右 ,前 後 ,上 下の運動 を可逆的にす
る。
・ ジャングルジムをたどり左右 ,前 後 ,上 下方
向へ動 く。(座 標軸の原点を盲児 自身に転移 し
閉鎖空間へ の位置づけをする。)
,
,
3.盲 学校算数科の図形・ 空間領域の学習
2節 では,前 書 『盲児 の感覚 と学習』を参考 にして,盲 児 における空間概念形成 の学習 のあり方
について考察 してきた。 それによれば,基礎 となる方向や位置,順 序,形 を明 らかにして,ま ず概
念行動を,続 いて合成 。分解や変形・ 移動 などの操作活動を獲得 した後,子 ども達 を記号操作に導
いてい くよう,細 かいステップが組 まれ,概 念形成 を図る学習の体系化がなされてい る。
今 日,算 数教育 においても操作活動が重視 されている。 それは,概 念,原 理や算数のアイディア
の獲得 は,言 葉 や文字で教えることで達成 されるものでない。 その達成 には,適 切な場面 を与え
子 ども達がね らい をもって対象に働 きかけ,具 体的 な操作・ 作業 を通 して,対 象や操作 が もつ特性
,
に気づかせてい くことが極 めて重要だと考 えられるようになったか らである。 このことは,盲 児 も
正眼児 も変わ りない。学習 させることは知識 ではな く,関 係概念 とそこで用 いた操作特性 を身につ
けさせることで ある。 しかし,盲 児 において は,空 間の形態認識を育成 してい く上で,さ らにその
ための概念行動が不可欠な ことである。
次 に,前 書 の空間概念形成 の学習 カ リキュラム と算数科教科書を比較 してみると,概 念形成 のス
テップや流れはほぼ同一である。 しか し,前 者 は,学 習の導入などにおいて, とりわけ具体物 から
形 を抽象 し,さ らに面,線,点 の要素 を抽象 してい く段階が,細 かいステップを踏んで指導されて
い くとい うことである。例 えば,「 三角形」を指導する場合,三 角形 の形を有す る立体 (具 体物)か
ら平面を取 り出し,平 面図形か ら輪郭線 としての線図形を,そ して,線 図形か ら点 を抽象 してい く
過程 を細か くたどり,概 念形成へ と導いている。
以上,考 察 してきた ことか ら,次 のような知見 に到達する。従来 の言語・ 説明中心 の算数 の授業
では,次 図 (図 1)に おける ①→④→⑤ の形で学習指導が進められてきた。 これに対 し,最 近
の算数教育では,「 子 どもの活動 こそが概念形成の源泉である。
」 という心理学 の知見 か ら,操 作活
→
→
→
動の重要性が叫ばれ,次 図 (図 1)の ① ③ ④ ⑤ の流れの学習展開が望 まれてい る。
しか し,視 覚機能 を失ってい る盲児の図形・空間概念の形成には,こ の正眼児 における ①→③
→④→⑤ の学習 の流れでは十分 でない。やはり,③ の操作活動の学習 に入るまでに視覚障害が も
たらすさまざまなハ ンデ ィキャップをカバーしてい く学習が どうしても必要である。 それが「概念
行動」 と呼ばれる学習活動 である。 したがって,盲 児 における図形・ 空間概念形成の学習では,次
図の太線の流れ ① →②→③→④ →⑤ で示 されるような学習活動を展開 していかなければならな
セゝ
。
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻
(図
第
1号
(1992)
1)学 習活動の流れ
このよ うな考 え方に立 ち,盲 児 の特性 に立脚 した算数科 の学習指導 のあ り方 を考 えるとき,教 科
書の研究や学習指導の工 夫 ,用 い る教材・ 教具 の開発 な ど,盲 学校算数科 で は多 くの課題があるよ
うに思われ る。
Ⅲ
盲 学 校 小 学 部 盲 児 の 図 形 知 覚 発 達 検 査 と結 果 の 考 察
1.検査 の内容 と目的
国立特殊教育総合研究所視覚障害教育研究部で は,昭 和 56年 度 か ら 3ケ 年間 にわたって「 障害児
のパ ター ン認識 に関す る総合的研究」 を実施 して い る。 この研究 により,盲 児 の図形や文字 な どに
対する触覚 パ ター ン認識 の発達 を促す上で,パ ター ン認識 の仕方 が学習 で きるような触察経験 を数
多 く体験 させ る ことと,そ の触察経験 によって,盲 児 の図形概念 の形成 を図 り,か つ その構造化 を
進める ことが不可欠 な条件 であることが明 らかにされた(19ち
この研究成果 を具体的 な形 にまとめるために,同 研究所 同研究部 では,「 盲児用触察能力発達診断・
訓練教材 セ ッ ト」 の試作 を行 った。 このセ ッ トは,盲 児 の図形の知覚発達 を促進 させ るのに必要不
可欠 と考 えられ る学習 として, 5段 階 の訓練 ステ ップ と13の 訓練課題 ,さ らに訓練 ステ ップの各訓
練課題 か ら抽 出 された診断検査 か ら成 り立 ってい る。 したがって,こ のセ ッ トによって,知 覚 の発
達診断がで き,か つ知覚発達の どの側面 に問題 が あるかが把握で き,訓 練 を開始す る課題 も決 定 で
きるのである(2の 。
(1)検 査内容 とね らい
本研究 を進 めるに当たって,同 研究所 か ら,「 盲児用触察能力発達検査」 と基本的には同 じだが
,
検査 内容 とその配列 が一部異 なる「盲児用図形知 覚発達検査 (21も をお借 りし,鳥 取盲学校小学部児
童の図形 の知 覚発達の様相 を考察す ることにした。 その検査内容 は次頁 の表 1の 通 りである。
偉)検 査 による訓練課題 の決定 と課題 の内容
,図 形知覚 の発達診断がで き,知 覚発達 の どの側面 に問題 があるかが把握 で き
る。 そして,そ の問題 を克服 するために,訓 練 を開始す る課題 も決定で きる。 この検査 による訓練
(1)の 検査 によって
30
笹田昭三・ 田中利江 :盲 児 における図形・ 空間認知力の育成
1)「 盲児用図形知覚発達検査」の内容 とね らい
(表
検 査
内
ね
容
検査 A
1
複合図形 の模写
2
魚
の
再
生
ら
い
・ 複合 図形 の模 写 を通 して,知 覚 の発達段 階 を
チ ェ ックす る。
・ 具体 的刺激 を与 え,概 念形成 の程度 や内容 を
チ ェ ックす る。
・ 図形知覚 の基礎 とな る平面空 間 に関す る空 間
1
平面上 の方 向
概念 (平 面上 にお け る上下 ,左 右 ,中 央 ,斜
めの方向や位置 )が で きて い るか どうか を
チ ェ ックす る。
,
検 査 B
線 と交差 の再 生
・ 図形 を構成 す る形 態 的要素 (縦 線 ,横 線 ,斜
線 ,交 差 )の 概 念 が で きて い るか どうか を
チ ェ ックす る。
3
基本 図形 の再 生
・ 基本 図形 (円 ,正 方形 ,三 角形 )の 構成 や表
現 を通 して,概 念 が で きて い るか どうか を
チ ェ ックす る。
4
形
2
5
6
の
分
化
,
,
・ 仲間分 けを通 して,形 の概念 の分化がで きて
いるか どうかをチェックす る。
・立体 を分析的に理解で きるか どうか をチ ェ ッ
クする。
形 の変化
観察 の方 向 と
知覚 の多様 性
・複合図形 を状況 に合 わせて分析的 に理解 で き
ているか どうか をチ ェ ックする。
Oり
課題 の決 定 の手順 は,次 頁の図 2の フローチャー トに示す通 りである 。
また,そ の際 の訓練 ステ ップ と訓練課題 は,次 頁 の表 2で その概要 を示 している°9。
俗)検 査実施のね らい
この発達検査実施 のね らい を次の 3点 においている。
①
個 々の児童 の図形知覚 の発達状況 を把握 し,そ れぞれの問題克服 のための今後 の課題 を追求
す る。
② 算数科 の図形・空間領域 の学習を進 める上で,学 習 のレディネスとして求められるような基
本的な形 の概念形成 の様相 や図形の知覚能力の発達の状況を診断し,そ れに対応 した盲学校算
数科 としての学習指導 のあ り方を追求す る。
③ なお,検査に用 い る教具 は,国 立特殊教育総合研究所の先生方が考察 されたものであり,今
後,一 人ひ とりの児童に適 した自作教具を作 る上で多 くの ヒン トを与 えて くれるものである。
この検査 の実施 を通 して,そ れに学び,盲 学校算数科 の身近 な触察教材・ 教具 として大 いに参
考 にし,今後 の教材・ 教具 の開発 に供 したい。
2.実 施方法
(う
対象児童
鳥取県立鳥取盲学校小学部 の盲児童 4名 と高等部盲生徒 1名 を対象 とする。
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻
(表
2)
第
1号
(1992)
訓練 ステ ップ と学習課題 の概要
一
司
訓練 ス テ ップ
練
① 平面上 の方向 課題 A
や位 置
「平面上の方向や位置」
課
題
・ 平 面 にお け る縦 ,横 ,上 下 ,左 右 ,中 央 ,斜 め の方
向 や位 置 の 学 習
②線図形 の導入 課 題 B「 幾 何 立 体 」
幾 何 立 体 の形 や形 態 の特 徴 につ い て の 学 習
平 面 形 態 の形 や形 態 の特 徴 につ い て の学 習
幾 何 立体 ,平 面形 態 ,凸 図形 間 の形 態 的特 徴 の共 通
性 に よ る線 図形 導 入 の準 備 と,「 折 る」とい う手 の運
動 統 制 課題 の導 入
③線 図形 による 課 題 E「 線 図形 」
図形概 念 の形
成
課 題 F「 図形 の特 徴 J
基 本 的 な線 図形 の 学 習 と,レ ー ズ ライ ター に よ る
「か
く」 とい う手 の運 動 統 制 課 題 の導 入
基 本 的 な形 を構 成 させ ,図 形 概 念 の形 成 を図 る学 習
基 本 的 な形 の分 化 を図 る学 習
課題 C「 平 面 形 態 」
課 題 D「 凸 図形 」
課 題 G「 形 の分 化 J
④ 図形概念 の操
作
課 題 H「 図形概 念 の操 作 」
課 題 I「 観 察 の 方 向 と形 の変
化 」
課題
⑤ 図形知覚 の分
節 とその多様
性
J「 実 物 の 2次 元 表 現 」
課題 K「 重 な り」
課題 L「 複 合 図形 J
課題 M「 知 覚 の多 様 性 」
図 形概 念 の定 着 化 とBIE念 の構 造 化
触 察 にお け る観 察 の方 向 の意 識 化 と方 向 の変 化 に伴
う形 の変化 の 学 習
立 体 物 (実 物 )の 2次 元 平 面 へ の投 影 の学 習
図形 と図形 の 「 重 な り」 の概 念 の導 入
複 合 図形 の理 解 と表 現 の 学 習
複 合 図形 を重 な りと して と らえ た り,吉
「 分 的 な図形
を抜 き出 し,知 覚 の 多様 性 を図 る学 習
F
III型
II型
I型
﹂F
I︲︲ 訓 練 ス テ ップ ・訓 練 課 題 の決 定 ︱︱︱ ︱︱︱ IL
B-1
(図
平面上の方向
2)訓 練課題決定の手1頃
蜘
蜘
蜘
V型
Ⅳ型
魚の再生
再 そ再
I 発 達 段 階 の決 定 ︱ ︱
検査 A-2
笹田昭三・ 田中利江 :盲 児 における図形・ 空間認知力の育成
P児 (2年 ,女,網 膜芽細胞腫 )
Q児 (3年 ,男 ,未 熟児網膜症
R児 (4年 ,男 ,小 限球 )
S児 (5年 ,男 ,先 天性 白内障
であ り,す べ て先天盲 である。 5年 の S児 は,日 常生活 に必要な諸能力 が劣 っている。
なお,中 学部 2年 の とき担当 し,指 導 に苦慮 した盲生 T(現 在 ,高 等部普通科 2年 ,女 ,未 熟児
網膜症 ,軽 度 の精神発達遅滞 を伴 う)に ついて も検査 を試みた。 その結果 は,驚 くばか りであ り
今後 の指導 のために も記載 し,検 討 を加 えたい。検 査実施 は,1991年 7月 上旬である。
)
)
,
(21 手続 きおよび結果 の整理
検 査 A-1で 知覚発達 の段階 が I,Hの 児童・ 生徒 については,検 査 B-6は 行 わな くてよい と
されてい たが,い ろい ろな側面か ら知覚発達 の状況 を観察す る目的で,す べ ての児童・ 生徒 につい
て検 査 A,Bと もに実施 した。なお,今 回の検査 は,引 き続 いての訓練 を格別 にね らい としなかっ
たので,課 題 を提示 して はす ぐ反応 させた。ただ し,レ ーズライターで表現す る課題 は, 2∼ 3回
の試行 を認 めた。児童 の持続力 ,集 中力 を考慮 し,検 査 は 2∼ 3回 に分 けて実施 し,反 応 を記録 し
評価 に当たった。
3.診 断結果 とその考察
5名 の対象児童・生徒 の診断結果 は,次 頁 にわたって記載 してい る次の表 3に 示す通 りである。
(1)検 査 Bの 結果 の考察
検査 Bの 結果 をもとに,個 々の児童・ 生徒 につ いて考察す る。
P児 (小 学部 2年 )は ,平 面 における空間概念や図形 を構成す る形態 的要素 につ いて は,正 答率
が高 く,ほ ぼ概念形成 がで きて い る。基本図形 につい ては概念形成 の過 程 にあるため,今 後 の指導
に留意 しなければな らない。なお,レ ーズライターによる基本図形作成上 の問題点 として,円 と正
方形 (四 角形 )に ついて は,起 点 と終点 の意識化 を図 ること,三 角形 につ いて は再指導が必要であ
る。「知覚 の多様性」の課題 は遂行 が 困難 で無答 となったが,線 図形 の触察能力が不十分 な こと,お
よび「 閉合 の要因」 が働 き,よ い連続線 が とらえに くい ことがわかつた。
Q児
(小 学部
3年 )は,平 面 にお ける空
(表
間概念や基本図形 の概念 が よ く獲得 され
良い知覚の発達 を遂 げて い る。 とくに,触
3)各対象児童・ 生徒の検査結果
対象児童・ 生徒
,
察 の際 には,両 手 を使 った巧みな触運動が
み られ,複 合図形 を分析的に とらえること
がで きた。 また,「 観察 の方向 と形 の変化」
1複 合 図形
A
で,直 角柱 の斜面 に対 し,投 影的対応 を意
図 していることが うかが え驚 いた。四角形
の概念 の明確化 とレーズライターによる表
現技能 の向上 が今後 の課題 と考 えられ る。
R児
(小 学部
4年 )も ,基 本的 な平面空
間 の概念や基本図形 の概念 が獲得 されてい
査
検
2魚
l平 面上の
方向
内
高2
容
P
Q
R
S
T
I
Ⅳ
Ⅳ
I
I
I
Ⅱ
命名
▲
▲
再生
▲
O
(1頑 合図形の模写
(2)魚
の再生
I
I
O
▲
▲
▲
▲
O
○
O
O
l)上
12)下
○
○
O
①
▲
左
O
○
O
○
▲
O
O
①
○
○
O
▲
O
○
0
▲
▲
儡)右
B
G)右 上すみ
,)左 下 す み
(7)中 央
O… …正答
▲・……誤答
▲
● ……正答 とみるが完全でない もの
― ……無答
1号
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第
る。 Q児 と同様 に,触 察 の際,指 を開 いて
辺の長 さを決定 した り,指 何本 の幅かで正
(1992)
対象児童 。生徒
査
検
方形 ,長 方形 を決定す るな ど,感 覚運動的
な単位 を用 いて課題解決 を図 り,レ ーズ ラ
容
内
2線 と交差
の再生
│(レ ーズライター
)
0)\
イターによる作図 もしっか りしてい る。複
合図形 の課題 は,50%の 通過率であ り,や
4
,/
3基 本 凶形
の再 生
ある。
○
●
▲
▲
0
O
●
▲
▲
①
▲
▲
O
O
▲
▲
▲
▲
▲
○
▲
▲
▲
▲
▲
10∠
▲
O
▲
▲
▲
①
(1)円
再 生
命 名
再
生
B
(3江 三角形△
▲
O
O
○
○
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
命 名
O
O
○
○
O
生
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
①
①
○
O
○
▲
O
O
O
O
○
▲
▲
▲
▲
a
▲
▲
▲
①
▲
〃
▲
▲
O
O
▲
O
O
○
○
O
O
O
〇
▲
Q
▲
ロ グループ
凸
▲
▲
▲
△
○
O
○
氏
○
○
○
△ グル ー プ
その他
①
▲
①
▲
○
○
O
○
O
○
○
○
O
▲
○
☆
●
D
5観 察の方
l
向 と形の 12)底
変化
0上
6知 寛の多
①
①
O
O
▲
(4)右
15)左
〇
▲
▲
▲
○
▲
▲
O
▲
▲
①
①
▲
▲
O
○
▲
▲
○
▲
O
∠コ
ヽ
「
Å
○
O
a
○
◆
,
COg
,
回
○
∩
巾
○ ……正答
▲……誤答
▲
▲
〇
様性
反応 もみ られた。検査 2「 線 と交差」で は
レーズライターで縦・ 横表現 はで きたが
斜線 は縦線 と同一の表現 となった。 マ グネ
ッ ト棒 による交差 の再生 について も下記 の
通 り驚 くべ き反応 であった。
▲
▲
9
の低 さと反応 の稚拙 さに驚 いた。検査 1の
「平面上 の方向」で は,` マ グネ ッ トをかた
″
めて置 く とい う言語指示の理解不足のた
めか, 1列 に並 べ て反応 した り,左 右逆の
①
▲
ライターによる手の運動統制 の学習 を多 く
取 り入れて い くべ きである。
遅滞 を伴 う生徒であるが,各 課題 の通過率
①
▲
▲
○
分,す なわちV字形 に触察 し,マ グネ ッ ト
棒 を 哭Fと 置 き,「 閉合 の要 因」が強 く働 い
2年 )は ,精 神発達
O
O
4形 の分化 ○グループ
本的な線 図形の学習 か らスター トし,形 の
概念形成 を図 るとともに,折 り紙 や レーズ
①
O
●
A
ていることがわかった。「線 の交差」の段階
でつまず きがあることか ら,本 児 には,基
O
●
合成
下 と右斜 め上が逆 になった。 また,マ グネ
ット棒 で ×字交差 を表現するとき,× の上 半
●
O
O
合成
基本図形 の命名 ,仲 間分 け以外の課題 は極
(高 等部普通科
▲
(8)×
(2)正 方形□
S児 (小 学部 5年 )は ,日 常生活 に必要
な諸技能 に遅れが見 られ るが,こ の ことが
T生
O
▲
●
合成
めて困難 であ り,図 形 の知 覚発達 が大変劣
っている。「線 と交差 の再生」で は,右 斜 め
O
O
(7,十
を確実 に定着 させて い くことが今後大切 で
,
O
●
R
〃
)
の分化 がいま一 歩であ り,基 礎的学習事項
検査結果 にも現われ ている。平面上 の方 向
T
Q
〃
(5)L(マ グネット棒
(6)T
はりまだ,「 閉合 の要 因」に とらわれ,よ り
よい連続線が とらえに くい傾向が残 る。形
2
S
P
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
○
○
O
▲
O
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲
● ……正答 とみるが完全でない もの
― ……無答
笹田昭三・ 田中利江 :盲 児における図形・ 空間認知力の育成
T字 交差
L字 交差
十字交差
×字交差
V交 差
∠交差
′
吼 ゝ
也
〃
吼 ゝ 地
u
′ 〃
∼
︲ u
I I
R I
吼
Ц 、
〃 〃
J
一
このよ うに,図 形知覚 の基礎 となる平面 における空 間概念 や形態的要素 の概念 も獲得 されて い な
い段階であることがわか る。基本図形 について も,命 名 や仲間分 けはある程度 で きたが,レ ーズラ
イターによる再生 の課題 になると次の通 りであ り,形 の概念形成 も未発達である。
円
正方形
三角形
反 応
書 き方
起 点 ,終 点 の意識 な
く, くる くる回 して
書 く。
12)検 査 Aの 結果の考察
次に,検 査 A「 複合図形 の模写」の結果
(次 頁 の表
4)に より,個 々の児童 。生徒の知覚の発達
診断を行 う。レーズライターで表現された 2つ の刺激図形 を,知 覚発達 の尺度 I∼ Vと 対応 させる。
知覚の分節 は, I型 か らV型 に向って発達す る。 I型 は極 めて未分化 な知覚であり,H型 は「閉
合 の要因」が優位 に働 く知覚の分節である。Ⅳ型 とV型 は「よい連続の要因」が優位 に働 く知覚 の
分節であ り,Ⅲ 型 はH型 か らⅣ型 への移行型である。
刺激図形① に対 し,Q児 (小 3)は ひし形を書 いてか ら中央線 を入れる書 き方,R児 (小 4)は
三角形 とV字 型の書 き方で, ともにVの 段階 となるが,図 の方向や形,直 線表現が不正確であるた
め,Ⅳ の段階 と評価 した。
また,刺 激図形② の場合 は,二 人 とも図形を分割 して,Q児 は三角形 4つ とひし形,R児 は三角
形 4つ と表現 してい る。 ともに「閉合 の要因」が働 くH段 階である。① ,② の 2つ の刺激図形 に対
する反応を総合 して知覚の発達段階を決定する と,二 人 ともⅢの段階 となる。
P児 (小 2)は ,刺 激図形① は三角形が 2つ ,刺 激図形② は三角形が 4つ とHの 段階のとらえ方
をしてい るが,基 本的な三角形 の表現ができず,し か も,図 形 どうしの連続性が とらえられていな
いため, Iの 発達段階 とした。
Stt 1/1ヽ
5),T生
(高
2)の 二人 については,再 生 した図形が全 く形 にな らず,極 めて未分化 な
鳥取大学教育学部研究報告
教育科学
第
知覚 で あ るこ とが わ か る。
「魚の再生」 につ いて も,上 記刺激図形①
刺 激
であると考 えられ る。 S児 (小 5),T生 (高 2)
は,形 の概念形成が未発達 と考 え られ る。
(2年 )
ぬ
P
角が2つ ある
軒Q
能力の発達段階 と問題点 を把握す ることがで き
窺
軸 砥
撃
▲
I
「 三 角 が 4つ あ る」
J
O
Ⅳ
(三 角1つ
の申にひし診
上で大変参考 になった。
知覚の発達がⅢの段階 の Q
tt1/Jヽ
3),Rtt1/Jヽ
4)に ついては,で きるだけ早 くⅣ∼ Vへ 移行
するよう,概 念操作課題 (形 成 された形 の概念
を操作 して問題解決 をさせ る学習 ,例 えば複 合
図形や知覚の多様性 の問題 な ど)を 学習 の中 に
段階 にあると思われ る。 したが って,形 の概 念
形成 を促進 させ るとともに,イ メージ通 りに手
の運 動 を統制 で きるよう,折 り紙 や レーズライ
ター を活用 してい くことが効果的 と思われ る。
R
◇
)
Ⅳ
(三 角形にW)
(5年 )
S
乱
八
一
-7と!キ
十
「三角の申に
監観 っていれ
※「
晨
O
(三 角 を4つ )
I
「 三 角 だJ
猪T
翻
意図的に取 り入れてい くことが必要 と思われる。
また,P児 (小 2)は ,知 覚 の発達 が Iの 段
階 と評定 されたが,内 容的 にみて H型 へ の移行
(4年
の 再 生
魚
②
淳
一
たことは,今 後 の指導指針 (訓 練課題 の設定や
算数科の学習指導のあ り方の検討 な ど)を 得 る
﹀
︶
︿
螺
Ч
m
︹
r三
今回の検査で,本 校盲児 の基礎 的な図形知覚
I
図 形
再生不可 ▲
再生 可 O
洒ノ
象童徒
対児生
知 覚 の発 達 段 階
①
,
13)検 査結果の総括
(1992)
知 覚 の発 達 段 階
② の場 合 とほぼ同様 の結果 が現われ ている。再
生評価 がOで あるQ児 (小 3),Rtt 1/1ヽ 4)は
知覚発達 に応 じた具体的な概念形成がなされて
い る。 P児 (小 2)は 形 の概念 が未分化 な状態
1号
第
4)検 査 Aに み られる児童・ 生徒の反応
(表
,
34巻
\ 繰芭
ヽ
I
▲
「四角だJ
I
ー)
メ
t角 出 こぐらいあるJ
I
+77
▲
あたま」
「 しっぼJ
Jは ,子 どものつぶや きを表す。 ()は ,書 き方を表す。
知覚発達の面で遅れのある S児 (小 5)と T生 (高 2)に ついては,遅 れ を取 り戻す ために,早
急に手だてを講 じなければな らな い。低 いレベル の概念構造 な らば,低 レベル の知覚 しか起 らない
のである。 この二人 の指導 については,触 察能力の向上 を図 りなが ら,形 の概念 を形成す る学習 を
基礎か ら一歩一歩積 み上 げて い くことが大切である。
Ⅳ
盲 学 校 に お け る算数 科 「図 形・ 空 間 」領 域 の 学 習子
旨導 の 改善
1.盲 学校 における算数科 「図形・ 空間」領域の学習指導の現状 と問題点
(1)点 字教科書における図形表示
点字教科書 は,一 般の教科書の内容 に沿って,し かも盲児 の立場 に立って記載の工夫がなされて
いる。 しかし,三 角形 を例 にとってみて も,赤 い色の三角形が地色の白か ら浮 き出て見える一般の
笹田昭三・ 田中利江 :盲 児 における図形 。空間認知力の育成
教科書 とちがって,触 察 を通 して凸状 の点 の連 続 か ら三 角形 の面 を意識 して いか なければな らず
これ は容易な ことで はない。立体 図形 となるとさらに学習の抵抗が大 き く,見 取図や展開図,投 影
,
図の理解 は困難 を極 めてい る。
したがって,盲 学校 にお ける図形 の指導 にお いて は, とりわけ,具 体物 か ら面図形 を抽 出 し,さ
らにその構成要素 である線図形 ,点 図形 へ と抽象 してい く過程 を重視す べ きである。併 せて,点 字
教科書 の図形表示 の弱点 を補 つて い くために,正 眼児 の場合以上 に,教 材 。教具 の開発・ 工 夫 とそ
の活用,お よび指導法 の工夫が必要である。本章3で 示す改善案 は,こ のような観点 を特 に重視 して
構成 した ものである。
惇)概 念形成 の遅れ と学習内容
1年 の学習 に「かたちづ くり」 とい う単元があ り,色 板 を組 み合わせて魚やち ょう,家 な どを表
現す る学習 がある。具体物 は,単 純化す れば,基本図形 かあるい は基本図形 を複合 した形かで表現
で きることをね らい とした学習 である。 しか し,Ⅲ 章 の「図形知覚発達検査」 の中 の魚の再生 (前
頁 )に み られ るように,魚 ひ とつ とって も,概 念形成 が不充分 な盲児が多 い。 このよ うな児童 に と
って,物 の形 を色板で表現す る学習 は困難 な内容 となる。すなわち,概 念形成 の遅れが,図 形・空
間領域 の多 くの学習 を困難 な もの とし,多 くの指導時間 を要す る結果 となって い る。
したがって,こ の概念形成 の遅 れ をいかに補 い,克 服 して い くかが,図 形 。空間領域 の学習指導
において重 要な鍵 となる。
13)「 養護 。訓練」 の学習 と算数科授業 との関連
鳥取盲学校小学部 の教育課程 で は,週 3時 間 「養護・ 訓練」 の授業時間が設定 され,そ れぞれの
児童 の発達課題 に応 じた指導がなされて い る。 しか し,盲 児 は,弱 視児以 上 に多 くの発達課題 を抱
え,そ の早急な指導 に迫 られて い る。空間概念形成 の学習 は,養 護 。訓練 の指導内容 の一つである
が,指 導内容 の系統性 に対す る研究不足 と指導 の時間的 な制約 のため,十 分 な指導がで きて いない
のが現状 である。 また,算 数科「図形・ 空間」領域 の学習 との接続 や関連 につ いて も,十 分 な考慮
が されていない。
しか し,あ らゆる「物」がす べ て形 をもち,そ れぞれの位置 を占めて存在 し,人 がその中で「物」
を認識 し,行 動 してい ると考 える とき,図 形・ 空間概念の育成 は,生 活 の基礎 となる重要な課題で
ある。 したがって,空 間認知力 の育成 を「養護・ 訓練」 の内容 に とどめず,全 教科 ,全 領域 で,相
互の関連 を考慮 し,連 携 を密 にして指導 して い くべ きであると考 える。さらに,「 物」を認識す る際
,
形や構成要素の位置関係 に着 目 し,概 念形成 を図ってい くことが重要である。 この点 で,算 数科 は
その基礎 となる概念 や考 え方 を養 う重要な役割 を担 ってい る。
(4)道 具の使用 と巧緻性の欠如
図形 の学習 にお いて は,紙 を折 った り,切 った りの多 くの作業技能 を要す る。 また,物 指 しや コ
ンパ スが使 える こと自体 も算数科 の重要なね らいで ある。 しか し,盲 児 は,紙 を折 ることも鋏 を使
うことも殆 どの盲児 が 困難 で,技 能 を獲得す るのに多 くの練習 を要す る。入学前 の経験不足 と手指
の巧緻性 の欠如 は入学後 も多 くの課題 を残 し,特 に図形・空 間領域 の学習 を困難 にしてい る。
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻
第
1号 (1992)
37
2.盲 学校算数科の学習指導の改善についての考え方
(1)概 念行動獲得学習の必要性
Ⅲ章 3で 述べた,「 盲児用図形知覚発達検査」の中の検査項 目 (B-3)「 基本図形 の再生」 の診
断結果 (表 3,33買 )を 見ると,円 ,正 方形,正 三角形の命名 は 5名 の児童・生徒が正答 してい る。
これに対 して,再 生 (表 現)と なると,完 全な正答が「円…60%,正 方形 …20%,正 三角形 …20%」
とかな り低 い。図形の認知,弁 別がで きても,そ の再生表現がで きないのである。
ここに,概 念形成 における概念行動獲得の必要性がある。 H章 20)で ,空 間概念を形成 してい く
ために 8つ の視点 (27-28頁 )を 取 り上げてい るが,例 えば,(D「 対 をつ くる学習」が不十分 で
開閉の概念行動が獲得 されていないと基本図形 はイメージ通 りに表現できないのである。
体全体 で
手足 を通 して概念を獲得 してい くことが,盲 児 にとって学習の前提条件である。
したがって,一 般の児童が教科書に提示されている課題 を操作 しなが ら解決 してい く段階 に先立
つて,盲 児の場合 は,図 形・空間の基礎的な概念を行動を通 して獲得 させてい く段階が必要である。
併せて,学 習 に必要な概念行動が獲得 されているか否かの評価が常に重要 となる。つ まり,H章 3
節で論述 した,① 場面→②概念行動→③操作的行動→④記号操作→⑤理解,と いった学習指導 のプ
ロセス (29頁 ,図 1)が ,盲 児 における図形 。空間概念の形成 に不可欠な ことであると考 える。
,
,
偉)基 点や方向を意識 させた自己作業のイメージ化
空間認知力が乏 しいT生 (高 等部普通科 2年 )に 方向の学習 を意図的 に試 みたのが,写 真 1,写
真 2で ある。 これは,著 者・ 田中が,鳥 取大学内地研修終了後,実 践 したものである。
写真 1は ,養 護・訓練の中で,ペ グポー ドを用 いて縦横・斜 め方向の学習をしたもので,基 点 (4
つの角)を 常 に意識 させ,基 点を変えてどの位置 か らでも斜 め表示 〔
斜 め右上 (右下),斜 め左上 (左
下)〕 がで きるよう指導 した。学習当初 は斜 め方向が全 くできなかったが,基 点や方向を意識 して 自
己の作業を明確にイメージさせる指導を通 して,写 真 1の ように学習成果が表われてきてい る。 こ
の学習 は,レ ーズライターによる斜め表示や,斜 め方向へ の身体移動,ま た碁 目並べ における斜め
方向への意識化へ と発展 してい く。
写真 2は , 3本 の紐 を押 しピンで固定 し,三 つ編みをしてい るところである。左右軸 と縦軸 を明
\
ミ
ヽ(
C馨
氏 慕
写真
1(ペ グボー陶ば斜め右下」を表現するT生
)
写真 2(三 つ編みをする T生 )
笹田昭三・ 田中利江 :盲 児 にお ける図形・ 空間認知力の育成
―
″
゛
写真 3 P ttlPJヽ 2)の 顔 づ くり
写真 4 Qttltlヽ 3)の 顔 づ くり
‐
写真 5
R児
(′
卜4)の 顔 づ くり
写真 7
写真 6
T生 (高 2)の 顔 づ くり
S児
(′
卜5)の 顔 づ くり
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻
第
1号 (1992)
39
確 に意識 づ け,編 んだ紐 を定位置 に返す ことを指導 した結果 ,そ れ まで何度練習 して もで きなかっ
た,二 つ編みがで きるようになった実践例である。
このよ うなT生 に対 す る指導実践 の中か ら,ど んな作業・ 学習 をする際 にも,盲 児 にとって,基
点や方向を意識 して 自己 の作業 を明確 にイメージで きるように指導 して い くことが極 めて重要であ
ることを学 んだ。
G)個 々の発達段階 をとらえての手旨導課題 の設定
この ことはよ く言われ ることで 当然 な ことで もあるが,次 の調査 を通 して,改 めて強 く感 じた こ
とである。写真 3∼ 7(前 頁)は ,Ⅲ 章 の「盲児用図形知覚発達検査」 の発展 として,調 査 してみ
たものである。磯石黒板 に紐磁石で顔 の輪郭 を固定 し,裏 に磁石 のついた眉 ,目 ,鼻 ,日 ,耳 を福
笑 いの要領で添付 させた ものである。
「図形知覚発達検査」 の診断結果 とほぼ同一の結果 がでていることがわか る。学習課題 の多 い S
児 1/1ヽ 5),T生 (高 2)は ,上 下 ,左 右 の位置関係 のみに意識 が 向 き,一 つひ とつの物 の形 と方向
は意識 で きていない。 それ に対 し,知 覚発達 が良 い傾向 にあるQ児 (小 3),R児 (小 4)は ,形
位置関係 ともに正 し くとらえ,P児 (イ ヽ2)も ,耳 を除 いて よ くまとめて表示で きるてい る。
,
このよ うに,顔 づ くりの課題一つ とってみて も,そ れぞれに形があ り,方 向をもち,部 分 と部分
全体 と部分が位置関係 を保 っている。そして,そ の課題解決 には,図 形知覚 における個 々の子 ども
の発達 の状態が大 き く関わ ってい くのである。 したがって,盲 学校算数科の図形・ 空間領域 の学習
,
指導 を進 めるに当た って は,① 個 々の子 どもの図形知覚 の発達段階 をとらえる,②学習内容 か らみ
て,レ ディネスとして図形知覚発達のどの ンベル にあるべ きかを検討する,③ 子 どもの発達段階が
学習の レディネスに到達 していない場合には,Ш 章 l121で 述べ た訓練 ステ ップと訓練課題 に取 り組
ませて補正 してい くといった,児 童の反応をみなが ら個々の子 どもの指導課題 をとらえ,適 切な指
導ができるよう配慮 してい く必要があると考える。
14)「 養護・訓練」の学習 との緊密な関連
1.(0で も論 じたように,算 数科にお ける図形・ 空間領域の学習 と養護・ 訓練 における空間概念
形成の学習 とは,緊 密 な連携を図って指導 してい く必要がある。盲児に,正 眼児 と同じ教科書で正
眼児に準ずる方法で指導 しても,望 ましい図形 。空間概念の形成 を期待す ることができない。(1)で
も述べてきたように,盲 学校算数科の授業の中で,概 念行動獲得の学習 として「養護・ 訓練」の適
切な内容を位置づけてい くことが極めて重要であると考える。
このような観点から,東 京都立盲学校感覚訓練教育研究所編 の「盲学校における養護・ 訓練関連
資料集 (第 3集 )。 3も に掲載 されてい る指導系列表を検討 してみた。その指導系列表 は,次 の理 由
から,概 念行動獲得の学習 として適切なものであ り,盲 学校算数科の学習指導のあ り方を考える際
大いに参考にすべ き指導系統 であると考える。
① 一つひとつの概念 が日常生活 の中の具体的行動場面 と直結 してい る。特 に低学年では,生 活
,
や遊びの中で概念 を獲得するよう配慮 されている。
② 生活の中の単純な立体から面を取 り出し,基 本的な面図形 を指導 した後,そ の構成要素であ
る線図形の指導に入 り,次 に点図形 に入ってい く。最後に,ま た生活 の中の具体物 に返る, と
いったきめ細かい合理的な指導のステ ップがぶまれている。盲児だからこそ,こ の細 かいステ
ップが必要である。そのための教具 として,面 図形のみならず,線 図形 を用 いたり,点 図形 を
笹田昭三・ 田中利江 :盲 児における図形・ 空間認知力の育成
構成 した りす る教具 の開発 も必要 な ことで ある。
③ 身体座標軸 か ら空 間座標軸 へ の発展 の学習指導 のステ ップが丁寧 にふ まれて いる。特 に,身
体座標軸 を用 いて行動 を処理 しがちな本校 (鳥 取盲学校 )盲 児 の指導 に とって参考 になった。
④ 立体図形 ,平 面図形 ,点 図形 の拡大・ 縮小 ,変 形 ,合 成 。分解 な ど,子 どもにとって理解困
難 な内容 につ いて,具 体的 な教具 を用 い て きめ細 かい指導 ステ ップが組 まれて い る。
このよ うに,前 記「指導系列表」 は,す べ て行動 ,作 業 を通 してイメージが構成 されるよう,学
習内容 が配列 されてい る。 これ こそ,概 念行動獲得 の学習その ものであ り,し たがって,こ れ らを
盲学校算数科 の授 業 の中 に積極的 に取 り入れ てい くことによって,盲 児 の「図形・ 空間領域」の学
習指導が より効果的 に行 えるもの と考 える。
3.盲 学校 における算数科 「図形・ 空間」領域の学習指導 の改善試案
ここでは, 1の 「現状 と問題点」 をぶ まえ, 2で 論 じた「改善 につ いての考 え方」 に沿 って,盲
学校算数科 「図形・空間」領域 の学習指導 のあ り方 につい て改善 試案 を提示す る。 この改善試案 は
Ⅲ章,3の 考 え方 (10-11頁 )に 基 づいて作成 した ものであ り, とりわ け,概 念行動 の獲得学習,自
己作業のイメージ化 ,お よび「養護・ 訓練」 の学習 と算数学習 との緊密な連携 を重視 してい る。別
,
表 5-1∼
5-6(42-47頁 )に まとめたのが ,小 学部第 1学 年 か ら第 6学 年 の授業改善案 である。
今後 ,実 践 を通 して評価・ 検討 を加 え,さ らに改善 を図 りたい と考 えてい る。 なお,試 案作成 に当
たっては,次 のような考慮 と検討 を重ねて いる。
(1)改 善案作成 に当 たって,ま ず,図 形・ 空間領域 の指導系統表 を作成 し,学 年相互 の関連 と発展
系統 をとらえた。そして,学 年毎 ,単 元毎 に教科書 と感覚訓練指導内容 との関連 を詳細 に検討 し
,
改善 のための学習指導系列 を考 えた。特 に,低 学年 で は,概 念行動 を獲得す るための内容系列 に
なるようにし,必 要 に応 じて素地学習 (レ ディネス学習)を 加 えた。 また,盲 児 の特性 を配慮 し
た教材・ 教具の活用や指導法 の工夫 を図った。特 に,教 材・ 教具 につ いて は,モ ンテッソー リ教
具 (「 」 のつ いた もの),算 数教具,日 用品,お もちゃ等 ,身 近 な物 を活用 し,必 要 な場合 には
手作 り教具 を作成 。開発 し,そ れ を用 い るよう試 みた。
,
鬱)指 導実践 が 困難 と思われ る単元 として,変 形や移動 の学習 (例 えば 6年 の対称図形の考察や作
図),立 体図形 の構成・表現 (見 取図,展 開図,投 影図 の基礎 )が 挙 げ られ る。 これ らに対 して も
,
「盲児 だか らで きな い」 とい う前提 に立 たず,す べ ての学習内容 の学習指導 の改善 を図 るよう努
めた。例 えば,投 影図 の素地指導 で は,光 の直進 によって写 し出 され る模 型 の像 のイメージを
針金 で投影的対応 させて概念形成 した後 ,分 割立体 や粘 土通 しな どの具体的 な教具や操作 を用 い
て,立 体 と面 との対応関係 が把握 で きるよう工夫 を こらした。しか し,立 体 の見取図 につ いて は
,
,
適切 な指導法や教具 を考 え出すに至 っていない。
0)指 導上 の留意点 として,と くに次の ことが重要である。作業や認知な どの基本的 な操作方法 に
ついて は,手 を取 つて直接的 に学習す る ことが大切 である。 また,学 習形態 としては,子 どもが
主体的に取 り組 む ことが大切 であ り,適 切 な場面 を工夫 した問題解決型 の学習指導 であ りたい。
とりわけ,盲 児 の学習 においては,生 活 の中の具体 か ら入 り,抽 象化 の過程 を通 って,最 後 にま
た具体 に返 ることが大切 である。 さらに,学 習 の各段階 で は,全 体観察 と要素着 目,操 作・ 作業
の 目的 と手順 の意識化 ,予 測 と確 かめ,等 々心掛 けさせ る ことが肝要 である。
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻
結
第
1号
(1992)
五
日口
本稿 で は,盲 児 における空 間概念形成 の学習 のあ り方について考察 して きた。 I章 で は,盲 児の
知覚 の特性 と概念形成 について,H章 で は,盲 児 の空 間概念 における概念行動 の学習 の重 要性 につ
いて,さ らにⅢ章 で は,小 学部盲児 の図形知覚の発達 の様相 について,そ れぞれ考察 した。 これ ら
を基 にして,Ⅳ 章 で は,盲 学校算数科 の「図形・ 空間」領域 の学習 のあ り方について論究 した。
要約すれば,盲 児 における空 間概念形成 の学習 には,基礎 となる方向や位置 ,順 序 ,形 を明 らか
にして,ま ず概念行動の学習 を,続 い て合成・ 分解や変形・ 移動な どの操作活動 を獲得 した後 ,子
ども達 を記号操作 に導 いてい く。 このよ うに, きめ細 かいステ ップが組 まれて,概 念形成 を図る学
習が組織 され,体 系化 されねばな らない とい う ことで ある。
今 日の算数教育で は,学 習 にお ける操 作活動 の重要性 が指摘 されている。 それ は,概 念 ,原 理や
算数 のアイデ ィアの獲得 は,言 葉や文字 で教 えることで達成 されるものではない。 その達 成 には
,
適切 な場面 を与 え,子 ども達がね らい を もって対象 に働 きか け,具 体的な操作・ 作業 を通 して,対
象や操作が もつ特性 に気 づかせてい くことが極 めて重要 だ と考 えられ るようになったか らである。
この ことは,盲 児 も正 眼児 も変わ りがな い。学習 させ ることは記号表現 された知 識 で はな く,関 係
概念 とそ こで用 い た操作特性 を身 につ けさせ る ことである。
しか し,視 覚機能 を失 っている盲児 の図形・ 空間概念 の形成 には,こ の正 眼児 にお ける「場面→
操作的行動 →記号操作→理解」の学習 の流れで は十分 でない。や はり,操 作活動の学習 に入 る前 に,
視覚障害が もた らすさまざまなハ ンデ ィキャップを補正 してい く学習 が どうして も必要である。 そ
れが「概念行動」 の獲得 と呼 ばれ る学習活動である。 したがって,盲 児 における図形・ 空間概念形
成 の学習では,「 場面→概念行動 →操作的行動 →記号操作 →理解」の流れで示 され るような学習展開
でなければな らない。
Ⅳ章 3節 で は,こ のような考 え方 に基づいて,盲 学校算数科 の「図形・ 空間」領域 の学習指導 に
ついての改善試案 を提示 した。 これ は,盲 学校算数科の現状 や問題点 も考慮 して, とりわ け,概 念
行動の獲得学 習,自 己作業 のイメージ化 を重視 し,算 数の学習内容 と感覚訓練指導内容 とが緊密か
つ有効 に接続す るよう,改 善 のための学習指導系列 を構成 した ものである。 また,盲 児 の特性 を配
慮 して,教 材・ 教具の活用や指導法 の工 夫 を図った。特 に,教 材・ 教具 については,モ ンテ ッソー
リ教具 ,算 数教具 ,日 用品,お もちゃ等 ,身 近 な物 を活用 し,必 要な場合 には,手 作 り教具 を作成
開発 し,そ れ を用 いてい くことを考 えて い る。
今後 , この試案 に実践的検討 を加 え,さ らに改善 を図 りた い と考 えて い る。 また, このプログラ
,
ムに沿 った教具・ 教材の開発・工 夫 も併 せて今後 の研究課題 としたい。
別表 5-1
元
名
い ろいろな
かたち
争
縫
○素地活動
□脂導内容と直結する活動
①左右軸,前 後軸,上 下軸 と直線運動
│
積木 による立 ・ 形の構成
体の構成
患
ご
2 1
,各 尋
①具体物の部分と全体との関係づけ
〔。自動車,家,人 形…〕
・ 分解 したり組み立てたりする
立
身辺の物 の形 ・ 形の特徴 をとらえる ①属性 の集合づ くり(機 能,材 質
を見 る
(形 の抽象 )
形など)
立体図形の分 ・ 触察 による形の弁別
類 と形あて遊
び
体
図
図
(数 字は指導順を表す
)
1球
;I │
至
・ 自分 を中心 として
各方向へ手 をあげ
た り,と んだ りす
る
② ブロックによるモデル待u作
・ モデルを分解 し,再 構成する
。モデルを見て組み立てる
②うけ枠 と形の対応 (立 体図形の
対応の予測と確かめ
雪
あ
含
ζ
符
懸
ぢ
,
△発展活動
△ 上中下,前 中後,左 中右の区別
。引 き戸 の開閉 (左 右)
。引 き戸 の引 き押 し (前 後)
。滑車 とひ も,身 長計 (上 下)
。しきい と自動車 (左 右,前 後)
。直線運動用教具 (左 右,前 後,上 下)
1義
教材・ 教具等〕
〔
感 覚 訂W練 と 授 業 の 改 善
運動・ 操作
(構 成 。
変換・作図な ど)
・ 位置や方向の
認知
1堅
6。
内 容
│:辛
tT贔
)
│
団 ブ ロ ックによる自由制作
・ 児童の自由発想 に基づいてつ く
る
蟄割
鹿
質
形
・ 片手で形 をさぐり,他 の手で枠
::ζ
を確かめて対応 させ る
・ ひな形 を観察 して具体物を選式
・ 同 じ物がい くつもの属性 をもち
両手 を交代 させる
逆 も行 う
形 はそのひ とつの属性 であるこ
とを意識 づける
│°
:i:Bみ
│
,
6,い ろい ろな
か たち
平
・ 積木面の形の ・ 積木の面の形 を写 し ① レーズライターの使い方 ②内空図形の輪郭たどり l③ 面図形の輪郭たどり 1日陸体図形の底面の輪郭
・ 自由描 き,線 引 きなど
とる
観察
ツカ
ツ乃
。面の形 を使 って絵 を
立体朋
基本技能の練習
覇$鉱
亀緒冥イ 虎
│:マ
│││:「
│ド 其
か く (ぬ り絵 )
・
・ 手のかえし方,ボ ール
最初,周 囲を手でたどる。 この場合,図 形を上に向けてたどったり,机 の上
ペ ンの角度 に留意す る
に置いてたどったりする
15.か たちづ く ・ 色 板・色 棒 で ・ 形の構成
面
形
図
形
り
形作 り
│:lζ
①色板 カー ドと具体物の対応
②色板 によるモデル制作
・ 魚,ち ょう,家 など色板を組み ・ モデルを見て色板を並べ る
合わせて具体物が表現できるこ
とを意識づける
看
写
手
争
子
│
21.ほ うがんし ・ 方眼紙 を使 っ ・ 方眼紙を使っての形 ①方眼にタイル,磁 石によるモデ ロ タイル,磁 石による自由制作
・ 児童の自由発想に基づいてつく
ル制作
て形作 り
の構成
をつかって
。モデルを見て,方 眼紙にタイル
磁石を並べ る
る
`
″
③色板を 裏返す,ず らす,回 す
2板
│。
の
わり
手ざ
違う
喬
雹
寝
│
・ 運動,操 作 と言葉 との対応 をは
かる
甫 口諷Ⅲ 。日モ型営 ︻=
皿涌 再社耳が図ミ ・碍酬剥き■⑤珊爵
空間 ︵
位置関係など︶
3.な んばんめ
導
指
ヽ]
単
感覚訓練 と授業改善 の学習指導系列 (第 1学 年)
別表
単
元
名
指
導
内 容
5-2
感覚訓練 と授業改善の学習指導系列 (第 2学 年 )
の
○素地活動_ □脂導内容 と直結する活動
)
1. 2年 生 にな ・ 平面上の位置
つて
の表 し方
(嘉
形
2・
・角
8.長 さ くらべ
三 角形 と四
家
:躍 目
善
△発展活動
マ
ス
の
却マ
んお
コマ
標
笏
漂
ぅ
引
│
・ 具体物の位置の表 し方を考 える。
1教
(数 字は指導
│:貧
1回
材・ 数 量 筆
平
)
↑
霜
・ 具体物 を分類基準 を考 えて整理する。
机やタンスなど日用品の整理にも応用できることを意識づける。
・ 直角をつ くる (紙 を
折 る)直 角を見 つ け
る (三 角定規 との対
す
芯)
‐
基尋霧蝕病議話諮韻
七黙協
二
辞 帯話
長方形,正 方 ・ 長方形,正 方形,直
形,直 角三角
角 三 角 形 の辺 の長
形の概念
さ,角 の大 きさを調
べ る。
面
1鎖
あ
誓
必
倉
テ宅
唇
│
・ 正方形,直 角三 角形
を作 る
(紙 を折 る,切 る)
図
形
方眼紙上での
作図切 り紙 に
よる構成
計
20. │ま
こづ くり
1
を表す
・ 直線の概念
・ 直線 をか く
・紙を4つ に折りさしがねや直角定規で直角の確認をする。
回直線 と直角の意識化
三 角形 と四角 ・ 帯厩妥素に看 日,弁 別 →〔。折り紙類,さ しがね,直 角三角定規〕 。さしがねを用いて
,直 角を有する外角や内角を確認する。
・ 点 をつ な いで ,三 角
形の概念
(辺,ち ょう点 )
形 ,四 角形 をか く
直角の概念
図
│:査
)
吸
・ 濶 の 形 f/9観 祭
形,長 方形,直 角三
角形 をか く
・ 等分 した切 り紙で形
を構成する,平 面 に
敷 き詰 める
相 の lalを 紙 に写 し切
りとる,テ ー プで つ
な ぎ合 わせ 組 み立 て
る
方眼紙 にか い た展 開 ・ の全
箱
部の面 に対 応す
図 を切 り折 る
るカー ドをわごむで と
ひ ご とね ん土玉 で 作
め,面 が立体の一部で
る
葬司
陽
1魏 殿制 睦翻 tユ
ある ことを意識づける
ヽ∞
立 体 図 形
・ 箱の形の構成
i 万蔑績 を便 ぢて正
万
刑聟>憮蝉珊報襲剤灘鵡申 蝉珊泄報 鴻 ∞ヽ餅 韻 一
ド中 ︵
毬駕︶
︵
位置関係 など︶
空 間
運動・ 操作
(構 成・変換・作図など
テープでつないで立体
図形のまわ りにかぶせ
る
。展開図を与えて箱を作る
を意識 させ る
別表
単
元
8.円
と球
名
指
1言
導
内 容
を
輸
│
・ 円のか き方
5-3
感覚訓練 と授業改善 の 学習指導 系列 (第 3学 年 )
運動・ 操作
・作図など)
(構 成・変換
円をコンパスでか く
円形の紙 を折 る
模様をか く
①系地活動
面 図 形
し
1快 魅 を
13.三 角形
図
面 図
正三角形
二等辺三角形
の概念
正三角形
二等辺三角形
の作図
,
立
8.円
と球
体
・ 球の概念
(中 心,半 径,直
径)
切 り回の円
)
の図形カード〕
(。 円
。円の図形カード〕
・ 折 った り切 った 〔
りして複数の基
本図形 に分解 さ ・ 円図形を回転 し
HI
│1錦
せる
たり,自 分が移
。等分図形 をシッ
I・ 枠の内側 ,面 の周を
動 したりして円
│ た どる
クスポーション
の認知の特性を
│・ 円を重ねて確かめる
チーズや扇子な
とらえる
・異形も入れ,違 いに気付 │・ コンパ スの い
使 方を
どと対比 させ る
かせる
1 習得する
1蠅 刑
辺の長 さに着 目した
線 図形
移動と図形の認知
弁別
たどり (内 空図形→面図形)
一
匠輪郭
△
図形 の回転 移
正三角形,二 等辺三
い
三
(。
角す ,平 面図形〕
「 ル ン
「 パ
。ー
ー
動,認 知角度 によ
・ 面が立体の一部であるこ (。 メタ イ セッツ」 幾何 ズル」 レ ズライタ )
角形の作図
区腺 図形 と面図形の対応
る図形の回転移動
(定 規 ,コ ンパス)
とを意識する
〔。針金線図形,線 図形カー ド,線 図形 と合同な面図形〕
匠陸翻
対
『
肱華
1婚 ξ
写 ¬
□ うけ枠 と三角形 との対応
角
邑
写
雫
し
匠腺図形 による同形分類 〔。各種三角形カー ド〕
匠繰図形の構成 〔。竹ひご,粘 土,ゴ ム磁石,ス チール │°
黒板〕
・ 回転 に伴 う三角
・ 竹ひごやゴム磁石の長さを考えて三角形を構成する
形の向 きの変化
。
コンパ
コンパ
スによる作図 〔
ス,定 規,レ ーズライ
ロ
をとらえる
ター〕
・ コンパスによる作図の手順を理解 し,技 能の習熟をは
かる
│
こ g3J173:::::3愚曇
あ
ご
兌
げ
層
憂
た
練
遇
彦
形
号
じ
を
と
三角定規 の角の大 き □角度の変化
さを比べる
紙 に切 りとり, 2つ
に折ちて角の大 きさ t°
・ コンパスの長 さと 2辺 が蕉li二
を調べ る
― ドの上 にコンパ スを広 r なが ら重ね合わせ角の
色紙 を折って正三角
大小 を確認する
形,二 等辺三角形 を
作る
」同形の集合づ くり
図
│°
萱
召
ヨ
易
三│
祭
ぁ
靴I馨 者
豪
;ケ
形
・ 異形の具体物を同時に観察させ,
違 いに気付かせる
等ね
二重
・ 角の概念
大小,相 等
三 角定規の角
・ 正三角形,二
等辺三 角形の
角の大 きさ
対称性
形
)
△移動と図形の認知
)〕
・ うけ枠に対応する三角形
をはめたり輪郭をたどる
団合同な三角形の集合づくり
〔。平面図形カー ド (各 種
三角形)〕
形
(数 字 は指導順 を表す
E三 角形〕
:
」わせて角の大小相
│
□粘上による「球」のモデル製作
ド
〔。立体…球 。粘上〕
・ 粘土遊びのレディネスの上に球
│:錦
を作る
・ 分割立体の断面 を重ね合わせた
力
ヤ
ニ
考
と
者
ζ
塾
ア
督
鋼
│
り,間 に対応するカー ドをはさ
んだ りする
。粘上で作 った球 をナイフで切 り
観察する
甫 田馬Ⅲ ・田モ型苗 ︻=
皿涌 再村 専が図ミ ・鵬団剥当当 ⑤研爵
,
〔
教材・ 教具等〕
△発展活動
日 円の分解
―
□立体の一部 と面 (円
との対応
│
〔。茶筒,平 面図形(円
・ 円のイメージ □同形の集合づくり
づ くりととも
に手首,ひ じ
肩の動 きをコ
ン トロールで
きるようにさ
せる
平
感 覚 訓 練 と授 業 の 改 善
□指導内容 と直結する活動
別表 5-4
単
元
と半 行
19.直 方体 と立
方体
指導内容
直線の垂直や
平行の関係 と
か き方
平行な直線の
性質
長方形,正 方
形の辺の性質
を使 う作図
療 覚 訓 練
と 将
業
の
△発展活動
(数 字 は指導順 を表す)
紙 を折 って垂直,平 」翌鳳,半 行関係の埋酢
,平 行線のかき方
行 な直線 を作 る
棒 と磁石板 。垂直・ 平行線の線図形 カー ド。折 り紙 。三角 図臣直線
〔。三角定規,レ ーズライター〕
三角定規,方 眼紙 を 遷義F線
・三
角定規を使ったかき方を理解し
。
2本 の直線俸を垂直においたり平行においたりする (交 差との対比)
使 って垂線,平 行線
習熟する
・ 線図形カー ドの 2直 線の関係 を位置に関係な く確認する
をか く
。垂直線,平 行線を使って長方形
。
長方形,正 方形 を作
折 り紙で,垂 直な 2直 線,平 行 な 2直 線 をつ くる
正方形をか く
。具体物の中か ら垂直線,平 行線 を有するものを探す
図する
指導内容 と直結する活動
① 素地 活動
,
°空
向 r/9任 直
(直 角座標の素地)
1窒 間歴標軸 と身体座標軸の相対的変化
平
台形,平 行四
辺形ひ し形の
概念 と性質
(対 角線 )
ニる
客
患 草怠
専
辱憲を
ヨ
→
万眼紙 に台形,平 行
移動 と図形 の試畑
泉 図 形 │―
1点 図 形
四辺形,ひ し形 をか 限 胞 の一部 と騨
甲 回輪郭 た どり
匡腺 図形か ら点の □画図形 の回転
く
形,平 行四辺形,ひ し形の平面図形と具 。内空図形か ら面
移動,認 知角
抽出
長方形 の紙 を切 って 漂易デ
│ 図形の周囲をた ・辺の
一部や角が欠
度 による図形
それぞれの形 を作 る □ うけ枠 と平面図形との対応
どる
の回転移動
けた線図形カー ド
紙テープを重ねてそ
□腺図形 と面図形
から頂点だけのカ ・ 台形,平 行四
れぞれの形 を作 る
の対応
ー ドの分類
辺形,ひ し形
5,自
・ 重ね合わせる
カー ドを回転
匠庶 図形 と面図形
による同
させた り,自
匠際図形
の対応
形分類
・ 重ね合わせる
分 がカー ドの
│:賢
・
同形の集合づ
く
囲 りを回って
形を作る
匝臆 図形の構成
りをする
憲己諺あ柱詈
図形 を弁別す
□平行解
〔。方眼板,ひ も〕
・方眼板の上にピンを
る
千
│
│
る
唇
づ
暮
仔
言
乏
幕
定
義
け
│
彗
自自
自
ラ
雰
拿
画
図
写
鬱
陥翻翻 )□ □ 団 │
形
│
19.直 方体 と立
方体
形
立
体
図
形
│
※社会科,図 工,養 護・ヨ練 との連携で行 う
① 2軸 の交点の
溝切 り板〕
。右中前,後 中左などといわせながら可逆的に行う △十字溝切仮・ 3次 元
座標軸と身体磨陳軸の対応
。上下を行う時は溝切 り板を立てる
② 3次元座標軸の形成と運動
gす
〔。棒などで組んだXYZの 3次元座標軸〕
・ 棒組みの座標軸の前後,左 右,上 下の運動を行う
:息 iを Zど │ヒ
:を
7辱 :子
│「
11.四 角 形
図
運 剛・ 操 作
(構 成・ 変 換・ 作 図 な ど )
・操作を通して辺.角.対 角線の枠管を見付ける │
箱の見取図 と
展開図
直方体,立 方
体 の概念 とそ
の性質
辺 と辺,面 と
面,辺 と面の
平行,垂 直の
関係
立 てて図形 を作 る
→ I線 暁 に よ 0立 体 の 構 成
直万杯,豆 万体の箱
1豆 葎 の半 行・ 垂 直 関係
1移動 と豆体 の認畑
の展開図,見 取図を
│□ 腺図形による展開図と箱の辺の対応 国同 と面,辺 と辺,面 と辺 回眩体 の回転 移
かく
の平行関係の理解
動,認 知角度
画やひご,ね ん土玉
ふたつき容器〕 による立体 の
(。 スライド
]'Fヤ
で直 方体,立 方体 を 1蠅
:与
)
と
と
と
面
辺
辺
,辺
□面
,面
回転移動
・展開図カー ドを開いた
作る
:3ぞ :与fi語
の垂直関係の理解
・ 直方体 ,立 方
り,組 み合わせたりし
体 を回転 させ
次の点を考える
│;5盟 ,ア
た り,自 分が
t手
・面ごとに切った展開図を組み合わせる
立体の囲 りを
の
面と
辺の
平行
□鰭
・重なる辺に留意しながら展開図をかく
回つて立体 を
垂直関係
・展開図を切 り取 り見本の外側に構成する
弁別する
〔。直方体,立 方体の
│:与
:ζ B岳 □鰭 の構成
。
│
│
古宮 十
昇溜寸犠評)│
,
三
§
手
ζ
│::書 i::「
:
与
群
金
脚
鵬書
本
れ
祠
,
│〔
。ひご,ね ん土玉,針 金,箱 〕
箱 定規〕
・ 面 と面,辺 と辺,面
と辺の平行,垂 直関
係をとらえる
│
お聟>報彗叫報当翼淵銚眸 弾叫蒙叫 鴻 ∞
ヽ鰈 鴻 一
ド帥 ︵
る罵︶
空 間 ︵
位 置関係など︶
10.垂 巨
名
感覚訓練 と授業改善の学習指導系列 (第 4学 年)
別表 5-5
単
6。
7E
名
三角形 と
四角形
指
導
合同 の意味
三角形,四 角
形の合同
合同な図形 の
対 応 す る頂
点,辺 ,角
三角形のか き
方
合同の意味 を方眼紙
の上で考察
(切 り取 って重ねる)
三 角形 の作図
四角形の作図
(2つ の三角形)
三角形,四 角
形の内角の和
と 授 業
「教 材 ・ 教 旦 等 司
の 改 善
□指導内容 と直結する活動
△発展活動
(数 字は指導順を表す
)
三 角形,四 角形の作図〉
く
く
合同な形〉
面 図 形 ―
三
の
な
る
異
直
角
ラ
こ
三角形 と四角形の角〉
く
□各種 の方法で,三 角形
の内角の和が180度 で
あることを確認する
線 図 形
□うけ粋と形の対応
り
取
。
遺
a三 暴を
□合同な線図形
〔。各種針金線図形 。合同な画図形〕
・ 面図形と合同な線図形を選び出す
│:ξ
・ 合同な線図形の弁別
・ 合同な直角三 角形 を見 つ け □合同な線図形の構成
る
g子
│
角 を測 る
紙 を折 って重ねる
・分度器で測る
□四角形,五 角形の和
哲ヨ
ヒ
ζ阜
き
形
と
□合同 の意味 と対応す る頂
点,辺 ,角 の性質
。図形の位置に関係な く対応
Bi喜 83ニ
9「 ::F子
を図る
li!ζ
三 角形,四 角形の内 匠合同な三角形
・三角形が決定する条件 (3つ の要素 を用 い る
撃
縛ビ
期BF吝 お
)
│:ニ
:杉
:│
・ 切断 した三 角形 を合成
を操作 を通 して発見する
して合同な四角形,五
・ 四角形 も三角形 に分割すれば書 けることを理
│°
│
角形 を作 る
解する
・ 内角の和が三角形の角
日 レーズ ライターによる作図
の和 になることを理解
・ 既習の四角形 を合同の観点
する
で見直す
正多角形 を折 り紙で
く
正多角形〉
くお うぎ形〉
く円周率〉
作る
□円の周 りにひも磁石を
円を使 って作図する
に内接する正多角形
はり,円 周の長さを測
国目 霧拿
円 と正 多 角
形
形
懸 覚 訓 練
①素地活動
正多角形 の概
念 と性質
円周率の意味
円周,直 径
円周率 (3.14)
の関係 とそれ
らの求め方
お うぎ形の概
念 (中 心角)
,
Э
・二等辺三角形
・円の線図形〕
磁石つき各種おうぎ形
g::g監
:言 :骨
:3畳
る
εΣ
捲
)
ζ
)蕉
匠匠多角形の名称及び概念と性質の理解
り紙で正多角形 を折 る
□涙1定 結果から円周は直
径の約何倍か計算する
形
と線図形 との対応
〔。正多角形の各種面図形及び合同な線図形〕
匠に多角形の輪郭たどりと同形分類
〔。正多角形の各種線図形〕
匠に多角形の作図
ニズライター,さ し〕
(。 コンパス,分 度器,レ
・ 角 (360° C)を 分割する方法 と,半 径で円周
を区切る方法 (正 六角形)を 知 り,作 図方
法に対するイメージを高める
団 円周率の意味 と円周
直径,円 周率の関係を
理解する
,
団 おうぎ形の面図形 と線図形
との対比
t°
鋸蝦
ゑ
諦妬配と
)
日 おうぎ形の輪郭たどりと同
形分類
・三角形や円,半 円等 も含め
て対比 させる
□ おうぎ形の作図
〔。コンパス,分 度器,さ し
レーズライター〕
・ 決められた大 きさのおうぎ
形を書 く
,
暉田呂Ⅲ 。日讐翌肖 ︻=
Ⅲ涌 再針耳心図ミ ・賠酬訓き当○叫爵
・変換・作図など)
(構 成
面
図
運動・ 操作
内 容
図
平
感覚訓練 と授業改善の学習与
旨導系列 (第 5学 年)
別表 5-6
単
名
指
導
内
容
繰 刈杯 , 点対
称 の 意 味 と性
質 (対 称 軸 ,
対称 の中心)
対 称 性 に着 目
した基 本 図形
の考 察
面
・ 本 の見 開 きの片側 に図 形 をのせ
のペ ー ジに うつす
時 讃稚2至 僣自杉薯ど魯
耳髭質客署弩ち
│:鑑
い
lZ_三
立
体
図
形
,鋭
い
,鈍
い
も
形が同じことを意識する
□査島暑お釜実羅示
!脚ヨ
璧糊
回 三 角形 の拡 大縮 小 〔。各種相 似 三 角形 板 〕
面図2螂
□平
形 をみ つ け る
し
勇彩
憂
機 、
イ
多
経謬
,図
t°
)
・ 図 形 の運 統 的 変 化 の意 識 に よ り
形 の イ メ ー ジ を弾 力 的 に す る と と も
に 「 正 三 角 形 は ,二 等 辺 三 角 形 の 特
別 な 形 」 と い う見 方 を 育 て る
:名
板彰謝素修 ,異
」
顔嫁稗権緯浮睦撥躍駆動罫霧留
2角 の 変 化
と ひ し形
・ 角 度 を変
形 と平 行
と相 互 関 係 〔。角 度 の 変 わ る平 行 四 辺 形
の枠 〕
え て 運 統 的 変 化 を意 識 す る と と も に長 方
四 辺 形 ,正 方 形 と ひ し形 の 相 互 関 係 に 気
1騨
(素 地 )を か
耳と
」
:ど
対 応 を は か り構 成 す る
判
・ 展 開 図 を見 て
レー ズ ラ イ タ
ー で か く,こ
体 の辺 や各顧
との 対 応 を誕
識 し な が ら種
き切 り仮 帝愛
立 体 を構 成 サ
る
こ
:g言 ::ど :3:尋 │三 i
I・ 展 開 図 の 各 部 分 の 長 さ と立 体 と の
十
:
1層
線図形による謝本の級
:変
線 図 形
以な 線 図 形
警種 線 図 形 と利]似 な
レ〕
以 な 面 図 形 と 蒋モ
図形
寸上ヒす る
以形 の 重 ね 合 オ)ヽ 歩
以な各種針金線図形
以 な 線 図 形 を 習と
ね合
じ ,面 図 形 の 目ユ
ね合
じ と 上ヒベ る
以形 の 作 図
│ひ も
,ピ ン
,レ ーズライタ〕
艮板 の ピ ン の 形 力│こ
る作 図 方 法 の つ'餌
と
, レ
ズ ラ イ タ ー を 月]い る
く四 角 形 の 相 互 関 4糸 〉
回 の 形 に 看 日 した 弁
:3∃
上
醜歿さと
4HHMI° 子
こ
BI選 祭
彬と
枡魏8季 春
彗
監
辺
形置
形
││
房U
角 柱 ,円 柱 ,角 す い ,
円す い の展 開 図 をか
いて作 る
投影 図
く
(懸 と
り し な が ら ,大 き さ が 異 な っ て も 形 が 同 じ こ と を
意 識 す る
く三 角 形 の 相 互 関 係 〉
匝 艤 成 要 素 の一 部 が共 通 な図形 の変 化
関係
・ 四 角形 の相 互
関係
身 の まわ りに
あ る立 体 の 形
│こ よ る 弁 別
角 柱 と円 柱 の
概 念 と見 取
図 ,展 開 図 (立
体 ,平 面 ,由
面 ,角 柱 ,円
柱 ,狽 1面 ,角
す い ,円 す い )
角 す い ,円 す
い の 概 念 と見
取 図 ,展 開 図
立 体 を ま正 面
と ま上 か ら見
た図
回 円形 の拡 大縮 小 讐 瑠 緒 儀 ル」 の 長 馬 恥
の円 〕
︲
粘
直
じ
ン
報
徊
倒
翔
通
い
団
扮
朝
鞠
。
製
勘
躙
。
t
t
形
,細
い
等 の 概 念 を 導 入 し表 現
させ る)
形
。
ttε l発 :悲 る
形〔
匠罷ξ
□と同じ
〕 <ど
・ 手 触 り の 違 う 2つ の 合 同 な 形 を 重 ね て 固 定 し ,
の 図形 を回転 させ る
司点真拘麻の意 F/kと 性 質 〔
中対称賜 ,方 限板、ひも
,ピ ン
〕
「
匠陸 煤嵩移鴇譲喚遭 縮小
「 fe
。大 き さ の 順 に 積 み 重 ね
た り並 べ た り し て 大 き
さ が 変 わ っ て も形 が 同
じ こ と を意 識 す る
陸
体 図形 の長 さの変 化
□
に よ る変 形
。一 部 の 長 さ が 変 わ っ た
立 体 を 観 察 さ せ る (太
図
角 形 と四
角 形
度 閉 じて反対
く点 対 祢 〉
□ 点 を 中 心 に し た 形 の 回 転 〔。回 転 板 , 切 り抜 き も
よ う ,基 本 図 形 〕
・ 角 度 を 目盛 つ た 回 転 板 の 上 で ,決 ま っ
た 角 だ け 図 形 を 回 転 す る (基 準 点 基 準
投 影 図 をか く
形的 対 応 の 概 鷲 形 成
竜柱,投 影板,針 金
形 の 針 金 に そ つて 光
'模
二投 影
堂み 図 形 が 画 面 イ
しる こ と を 知 る
憮と面 と の 投 影 臣,対 応
:
割立体と断面カー ド
上 ダイコン,い も
劉立 体 の 観 察 , 粘 上
しや ダ イ コ ン し7り を
て形 を と ら え 招
形図 の イ メ ー ) とと
'イ
露
挙種 立 体 の 投 景夕
図,
―ズ ラ イ タ ー 〕
卜を イ メ ー ジ し た り,
形図 を か く
,ヽ
〕
孤聟>報蝉叫報襲ヨ灘韓眸 蝉輯望= 糾 ∞
卜鰈 淋 ︼
一帥 ︵
む駕︶
図
と′
陛質
拡 大 図 と縮 図
の意味
拡 大 図 と縮 図
の か き方
い ろい ろな長
さ を 縮 図 を利
用 して 求 め る
・ 方 眼 紙 に ,線 対 称 ,
点 対 称 な図 形 をか く
押
線
重
量
移
緊珍
推隷 騨
,一
‘
4
ィ
︲
ロ
■帥
か
か醐
方
o
よ
相
本
酌
硼
ξ
・珈
・帥
・
と落
宿/」 ヽ
(構 成・ 変 換 ‐作 図 な ど )
・ 根 を Zつ に 方 っ て 形
を 切 り抜 く
辺さめ
き決
う,大 を
使 の心
を角中
紙と
,
眼 さう ,
く
方長使 か
く のを て
平
感覚訓練 と授業改善の学習;旨 導系列 (第 6学 年)
48
笹田昭三・ 田中利江 :盲 児 における図形・空間認知力の育成
引用・ 参考文献
(D 佐藤泰正編,『 視覚障害心理学』,学 芸図書 (1988), p9
り)同 上書,pp 10-18を 参考 にする。
俗)文 部省,『 視覚障害児 の発達 と学習』,ぎ ょうせい (1989),pp.65-67
前掲書(1】 pp 13-16
(4)文 部省,『 盲児 の感覚 と学習』,文 部省 (1968),pp.41-42
脩)R.R,Skemp(藤 永保・ 銀林浩訳),『 数学学習の心理学』,新 曜社 (1986),pp.8-16を 参考にする。
(0 国立特殊教育総合研究所,特 別研究報告書「障害児のパ ターン認識 に関する総合的研究」,(1984)
9)小 柳恭治・他,視 覚障害児 のパ ターン認識の発達 とその指導(2〉 国立特殊教育総合研究所紀要,第 10巻 (1983),
115--126
181 志村洋・他,盲 児用触察能力訓練教材 セ ットの試作一訓練用ステップの構成原理 と適用事例―,国 立特殊教
育研究所紀要,第 13巻 (1986),■ 5-125
0)国 立特殊教育総合研究所・視覚障害教育研究部,『 盲児用触察能力発達診断・訓練 セ ット
教師のための手引
き罵
峯』(1985), pp. 1-5
10 前掲書181,p■ 5
10 波多野完治編,Fピ ァジェの認識心理学』,国 土社 (1966),pp.40-42
lD 同上書,pp.43-56
1131 同上書,p.56
QO 前掲書(4),p45
同上書,pp.109-126
,
同上書,p.128
同上書,pp.129-130
10 文部省編 『盲児の感覚 と学習』 (pp 131-176)を 参考にしてま とめた。
CD
10
10
10 前掲書(8),pp l15-■ 6
前掲書(9),pp 6-10
90
国立特殊教育総合研究所・ 視覚障害研究部,「 盲児用図形知覚発達検査手引 き書」
② 前掲書(9),p.9を 参考 にして,図 2の フローチ ャー トを作成 した。
9)前 掲書(8),p l17の 表 1を 参考にして作成 した。
90 東京都立盲学校感覚訓練教育研究会,『 盲学校 における養護・ 訓練関係資料集・ 3集 』
9〕
付記〕
〔
本研究を進めるに当たって,国 立特殊教育総合研究所,視 覚障害教育研究部長 木塚康弘先生,並 びに同盲教
育研究室長 志村洋先生か ら御助言 と懇切な御指導をいただいた。 また,Ⅲ 章の図形知覚発達検査を実施するに
当たって,同 研究所 より,「 盲児用図形知覚発達検査」の手引 き書および訓練教材セッ トをお借 りした。 ここに記
して,木 塚,志 村両先生 と同研究所 に感謝 申し上げる。
(1992年 4月 20日 受理)
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