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平成 19 年 4 月 9 日 東京大学経済学部 ゼミナール説明会 天野倫文 1
平成 19 年 4 月 9 日 東京大学経済学部 ゼミナール説明会 天野倫文 1.研究室の学問領域(フィールド) (1)経営戦略論や経営組織論を中心とする経営学 (2)企業の国際的な事業展開、国際経営 (3)産業発展や国際経済に関する領域、経営と経済がクロスする領域 基礎学問としては経営戦略論、国際経営論、企業経済学、貿易・直接投資論など。 2.教官略歴 天野倫文(あまのともふみ) 1996 年一橋大学商学部、2001 年同大学大学院商学研究科博士課程修了。商学(博士)。 04 年より法政大学経営学部助教授、07 年東京大学大学院経済学研究科准教授。1993-94 年カリフォルニア州立大学バークレイ校ハースビジネススクール留学。専門は経営戦 略論、国際経営論、海外直接投資論など。中国・東アジア地域の日本企業や外国企業 の現地調査多数。主著:『東アジアの国際分業と日本企業:新たな企業成長の展望』有 斐閣、2005 年、『中国企業の国際化戦略』(共編著)ジェトロ、2007 年、『対日直接投 資と日本経済』(共著)日本経済新聞社、2004 年等。. 3.ゼミの基本方針 (1)学部の基礎固めは極めて重要。上記分野に関わる古典的良書を厳選・精読し、企業 経営とは何か、組織や業界を動かす戦略とは何かをじっくりと考えたい。知識も大 事だが、基礎的な思考力と経営学的センスを養うことを基本とする。 (2)英語文献を読みこなせる能力を培う。同時に社会経済現象を批判的に洞察する眼 (critical thinking) 、 ゼ ミ の 仲 間 を 敬 い 、 自 由 か つ 建 設 的 な 議 論 が で き る 能 力 (construtive discussion)、ならびにそれを表現する能力を養う(presentation)。 (3)経営学は実学で、現実の経営と切り離すことはできない。調査研究を通じて自ら動 くことが求められる。書籍による勉学とあわせて、現実的テーマを取り上げた調査 研究(empirical research)を行う。このときに財務関係のデータや資料も読めるよ うにしたい。3 年時のグループ研究では必ず実際の実証的テーマを扱う。4 年の卒論 は必ずしも実証的テーマでなくてもよい(文献研究でもよい)。 (4)卒業論文は必須とする。テーマは自由に設定してよい。卒業論文は 4 年間の勉強の 集大成であり、自らの問題意識を深めるうえで、有用であろう。また、研究対象を 深く分析し、文章化する良い経験となるはずである。 4.ゼミで使用する書籍・文献など 輪読文献 (1)Henry Mintzberg, The Rise and Fall of Strategic Plannning: Reconceiving Roles for Planning, Plans, Planners. The Free Press or Prentice Hall, 1994. (2)三品和広『戦略不全の論理』東洋経済新報社、2004 年. (3)Hirschman, A.O.,Strategy of Economic Development. もしくは Hirschman, A. O., Development Project Observed. 参考文献 (1)経営分析に関する書籍を 1 冊指定する予定である。 (2)伊丹敬之『創造的論文の書き方』有斐閣 (3)天野倫文『東アジアの国際分業と日本企業』有斐閣 5.年間スケジュール 2007 年 前期 H.Mintzberg, The Rise and Fall of Strategic Plannning 三品和広『戦略不全の論理』 夏期合宿 2008年 前期 打ち上げ グループ研究のテーマアップ 後期 グループ研究の実施、とりまとめ。 前期 A.O. Hirschman 他 後期 打ち上げ 卒業研究のテーマアップ 夏期合宿 後期 卒業研究の検討会 卒業研究ととりまとめ *調査研究の内容に応じて、適宜、企業訪問なども企画してみたい。 6.書籍の輪読の仕方(毎週の進め方) (1)毎週 1 章分を精読し、その結果を発表し、議論する。 (2)本ゼミはレポーター制ではなく、全員が毎回人数分レジュメを用意し、交換し合い、 議論に使う方式をとる(レジュメには各節の理解の確認、感じたことなどを記載して もらう。適宜教官から質問を投げる)。 (3)書籍はいずれも米国や日本を代表する経営学者の文献である。したがって、まずは上 記の作業をきちんと行うことが、考える能力をつける第一歩となるので、指導を丁寧 に進めたいと思う。 (4)不明な箇所などは適宜、参考文献や関連文献を調べていただきたい。 7.ゼミ選考に関する手続き ※ホームページ参照。 (4)最終的な参加者については H.Mintzberg と三品の上記書籍を Amazon などでお買い 求めください。Mintzberg の著作は公刊年数が古いため、入手が困難かもしれない。2、 3 回は天野のほうでコピーを用意しますが、最終的には入手をお願いします。 8.その他 (1)本ゼミは今年からスタートするゼミです。経営戦略や企業経営全般、企業と経済との 関わりなどに興味がある方、それらを深く考えたいという方、調査研究活動等を通じ てじっくり考えてみたいという方の参加を期待します。第 1 に求められることは「知的 誠実さ」です。 (2)理論の体系度や完成度が高く、それらを習得することが与件とされる理論経済学とは 異なり、経営学の理論はしばしば非定型的といえます。逆にそれだけ、基礎的な理論 をベースに自ら現実の経営課題に挑む力、総合的にものごとを判断する力、自分の頭 で論理的に考える力がより必要だとも言えるかもしれません。会計や歴史の勉強も大 切です。経営学の理論は記憶や習得するものではなく、それをツールとして、現実の 経営課題を明らかにし、一歩前進するためにあるといってよいでしょう。そのような 実学的姿勢を共有する方の参加を望みます。