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在職老齢年金制度の見直しについて

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在職老齢年金制度の見直しについて
2005.2.
No.442
目 次
在職老齢年金制度の見直しに
ついて
在職老齢年金制度の見直しについて
成6年年金法改正(平成7年4月1日施行)のと
1.はじめに
きです。
平成17年4月1日より、在職老齢年金制度の
一部が改正されます。これは、平成16年年金
平成12年年金法改正では、60歳台後半の在
改正法(平成16年6月11日公布の「国民年金
職老齢年金制度(平成14年4月1日施行)が導
法等の一部を改正する法律(法律第104号)」)
入されました。また、平成15年4月1日より、
に基づくものです。さらに、平成19年4月1日
総報酬制導入に伴う改正が行われました。
より、70歳以上の被用者についても、60歳台
平成16年年金法改正では、60歳台前半の在
後半の在職老齢年金制度が適用されることにな
職老齢年金制度が改正され、一律に2割の支給
ります。
停止を行う仕組みが廃止されることとなりまし
そこで、今月号では、平成16年年金改正法
た(平成17年4月1日施行)。さらに、70歳以
における在職老齢年金制度の改正の概要をご紹
上の被用者についても、60歳台後半の在職老
介いたします。
齢年金制度が適用されることとなりました(平
成19年4月1日施行)。
これらの在職老齢年金制度に関する法律上の
2.在職老齢年金制度に関する法改正の変遷
最近の在職老齢年金制度に関する法改正の主
主な規定(条項)は【図表1】のとおりです。
な変遷の概略からみてみます。
高齢者の雇用を促進する観点から、在職老齢
3.60歳台前半の在職老齢年金制度の見直し
年金制度が、賃金の増加に応じて賃金と年金の
(平成17年4月1日施行)
合計額が増加する仕組みに変更されたのは、平
60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金につ
−1−
在職老齢年金制度の見直しについて
【図表1】在職老齢年金制度に関する厚生年金保険法上の主な規定条項
【厚生年金本体での支給停止】
60歳台前半の在職老齢年金制度
(平成17年4月1日施行)
法附則第11条
法附則第8条の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給停止
平成6年改正法附則第31条
平成7年4月前に既に受給権が発生している場合の経過措置
平成6年改正法附則第21条
定額部分の支給開始年齢引上げ開始前、及び、その経過期
間中の者に対する経過措置
平成6年改正法附則第23条
在職老齢年金制度の切替時の従前額保障に関する経過措置
【厚生年金基金での支給停止】
法附則第13条
法附則第8条の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給停止
平成6年改正法附則第28条
定額部分の支給開始年齢引上げ開始前、及び、その経過期
間中の者に対する経過措置
平成6年改正法附則第23条
在職老齢年金制度の切替時の従前額保障に関する経過措置
【厚生年金本体での支給停止】
60歳台後半の在職老齢年金制度
(平成17年4月1日施行)
法第46条
本則上の規定
平成12年改正法附則第18条
平成14年4月1日以後に受給権を取得した場合に限り適用
する旨の規定(平成19年4月1日削除)
【厚生年金基金での支給停止】
70歳以上の被用者への在職老齢年金
制度の適用(平成19年4月1日施行)
法第133条の2
本則上の規定
法第46条
本則上の規定
平成16年改正法附則第43条
昭和12年4月1日以前に生まれた者には適用しない。
(注)上表は一般の老齢厚生年金の被保険者に関するもの。
いて、60歳台前半の高齢者の就労を阻害しな
「支給停止調整変更額」という新たな概念が設
い、働くことに中立的な制度とするため、一律
けられ、毎年度、支給停止額の改定が起こり得
に2割支給停止する仕組みが廃止されることに
る仕組みに変更されました。
なりました。また、「支給停止調整開始額」及
具体的な改正内容は、【図表3】のとおりで
び「支給停止調整変更額」という新たな概念が
す。
設けられ、毎年度、支給停止額の改定が起こり
得る仕組みに変更されました。
5.70歳以上の被用者への在職老齢年金制度の
具体的な改正内容は、【図表2】のとおりで
適用等(平成19年4月1日施行)
す。
65歳以降の年金制度については、高齢者自
身の選択の幅を拡げ、また、世代間・世代内の
4.60歳台後半の在職老齢年金制度の見直し
公平の観点から、65歳以降の在職老齢年金制
(平成17年4月1日施行)
度を70歳以降にも適用することとされました。
60歳台前半の在職老齢年金制度と同様に、
ただし、施行日(平成19年4月1日)現在、70
−2−
【図表2】
60歳台前半の在職老齢年金制度
<改正前の支給停止額(支給停止基準額)>
A 基本月額(年金月額の80%)
+総報酬月額相当額(※1)≦ 28万円 の場合 年金月額の20%
B 基本月額(年金月額の80%)
+総報酬月額相当額(※1)> 28万円 の場合 年金月額の20% + 下表の X
基本月額
総報酬月額相当額
28万円以下
28万円超
支給停止額(X)
48万円以下
(基本月額+総報酬月額相当額−28万円)
× 1/2
48万円超
(48万円+基本月額−28万円)
×1/2+
(総報酬月額相当額−48万円)
48万円以下
総報酬月額相当額×1/2
48万円超
48万円×1/2+
(総報酬月額相当額―48万円)
<改正後の支給停止額(支給停止基準額)>
一律の2割支給停止がなくなり、上記の「28万円」が「支給停止調整開始額」に、
「48万円」が「支給停止調整変更額」に変更
された。(基本月額=年金月額)
基本月額
総報酬月額相当額
支給停止額
支給停止調整変更額 以下 (基本月額+総報酬月額相当額−開始額)
× 1/2
支給停止調整開始額 以下
支給停止調整変更額 超
(変更額+基本月額−開始額)
×1/2+
(総報酬月額相当額−変更額)
支給停止調整変更額 以下
総報酬月額相当額×1/2
支給停止調整変更額 超
変更額×1/2+
(総報酬月額相当額―変更額)
支給停止調整開始額 超
(注)
「開始額」は「支給停止調整開始額」、
「変更額」は「支給停止調整変更額」を略記。
ここで、
支給停止調整開始額は、
「28万円」
ただし、
28万円に平成17年度以後の各年度の再評価率の改定の基準となる率(政令で定める率)
をそれぞれ乗じて得た額(※2)
が、
28万円(改定があった場合は直近の改定後支給停止調整開始額)
と異なる場合、当該年度の4月以後の支給停止調整開始額
を改定する。
支給停止調整変更額は、
「48万円」
ただし、
48万円に平成17年度以後の各年度の名目賃金変動率(※3)
を乗じて得た率をそれぞれ乗じて得た額(※2)
が48万円(改
定があった場合は直近の改定後支給停止調整変更額)
と異なる場合、当該年度の4月以後の支給停止調整変更額を改定する。
(※1)総報酬月額相当額=標準報酬月額+
(直近1年間の標準賞与総額÷12)
(※2)5千円未満の端数が生じたときは、
これを切り捨て、
5千円以上1万円未満の端数が生じたときは、
これを1万円に切り上げる。
(※3)名目賃金変動率は、前年の物価変動率×3年度前の平均実質賃金変動率(3年度前の年度の前後の年度を含む3年間の
幾何平均)
−3−
在職老齢年金制度の見直しについて
【図表3】
60歳台後半の在職老齢年金制度
<改正前の支給停止額(支給停止基準額)>
総報酬月額相当額+年金月額
48万円以下
48万円超
支
給
停
止
額
0
(総報酬月額相当額+年金額−48万円)
× 1/2
<改正後の支給停止額(支給停止基準額)>
上記の「48万円」が「支給停止調整変更額」に変更された。
この支給停止調整変更額は、
【図表2】における支給停止調整変更額と同様。
総報酬月額相当額+年金月額
支給停止調整変更額 以下
支給停止調整変更額 超
支
給
停
止
額
0
(総報酬月額相当額+年金額−支給停止調整変更額)
× 1/2
歳以上の者(昭和12年4月1日以前に生まれた
年金の額は、繰下げ支給の申出をしなかった場
者)には適用されません(平成16年改正法附
合の年金額に、政令で定める額を加算した額と
則第43条)
。
なります。ただし、施行日(平成19年4月1日)
また、上記と同様の観点から、65歳以降の
前に老齢厚生年金の受給権を有している者は対
老齢厚生年金の繰下げ制度も導入されます(平
象外となります。
成19年4月1日施行)。これにより、現行の繰
り上げ受給の仕組みと合わせて、年金を受給開
6.その他
始する時期について、受給者の選択の幅が広が
在職老齢年金制度の改正に伴い、厚生年金基
ることとなります。この制度では、65歳から
金において、60歳台前半の在職中者に対して、
在職しつつ受給したとしたら在職老齢年金制度
代行給付の一律2割支給停止を行っていた場合
で支給停止されていたであろう額の残額が繰下
には、その支給停止の取扱いが廃止されます。
の対象とされています。繰下げ支給の老齢厚生
企業年金ノート No.442
平成 17年 2月
年金信託部
〒100-8112 東京都千代田区大手町 1 ー1 ー2 TEL. 03
(5223)
1992
〒540-8607 大 阪 市 中 央 区 備 後 町 2 ー 2 ー 1 TEL. 06
(6268)
1866
りそな信託銀行発行
りそな信託銀行はインターネットにホームページを開設しております。
【http://www.resona-gr.co.jp/resona-tb/】
りそな信託銀行は、インターネットを利用して企業年金の各種情報を提供する「りそな企業年金ネットワーク」を開設しております。
ご利用をご希望の場合は、企画部までお問い合せ下さい。
(TEL 06(6268)1810)
受付時間…平日 9:00∼17:00
※土、日、祝日、12月31日∼1月3日、5月3日∼5月5日はご利用いただけません。
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