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その1(P0~31)

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その1(P0~31)
緊急雇用創出推進事業実施要領に基づく
石狩地域外国人旅行者受入環境整備事業
事業結果報告書
2015年3月31日
0
もくじ
事業概要
2
実施概要・実施内容
3
実施体制
5
新規雇用者
6
事業全体報告
7
スケジュール
8
①観光人材育成に関して
9
②石狩地域外国人旅行者受入環境整備事業に関して
12
接遇・マナー基礎研修・専門研修報告
14
フィールドワーク事前研修報告
33
座学とワークショップ
34
バス視察ツアー実施報告
37
フィールドワーク報告
44
モデルコース作成報告
59
新千歳空港での歓迎イベント
63
案内業務報告
76
OJT業務緊急雇用者報告
80
1
事業概要
実施概要
実施内容
実施体制
新規雇用者
2
事業概要
1. 実施概要
(1)実施主体
NPO法人コンベンション札幌ネットワーク
(2)既存の事業内容
・地域経済の活性化、学術文化の向上などに資するコンベンションの誘致・開催
支援に係わる事業
・地域特性を活かしたコンベンションの創出に係わる事業
・コンベンションを通じた街づくりに関する調査研究
・コンベンション振興に係わる施設等の運営
・コンベンションに係わる人材養成等の基盤整備
・新たなコンベンション理念・ビジネスモデルの構築
・コンベンションに係わる環境負担低減に向けた事業
(3)代表者と実施責任者
代表者 NPO法人コンベンション札幌ネットワーク
代表幹事 (理事長) 藤田 靖
実施責任者 NPO法人コンベンション札幌ネットワーク
統括責任者 (副理事) 玉村 眞也
(4)事業名
緊急雇用創出推進事業実施要領に基づく
「石狩地域外国人旅行者受入環境整備事業」
(5)事業の趣旨
石狩地域の観光関連施設等における外国人旅行者の受入環境を整備するため
観光関連企業において求職者を新たに雇用し接遇関連研修の受講や観光関連
施設等での接客業務の実践などを通じて、外国人旅行者の多様なニーズに応じ
た、きめ細かい対応をとることができる人材を育成する。
2. 実施内容
受託企業は、求職者を新たに雇用し次の研修を実施するため、現場で実務を経験する
OJT、職場外で講義などの研修を受講するOFF-JTなどの方法の組み合わせよる「人
材育 成・就業支援計画」を作成のうえ、これに基づく人材育成を行うものとする。
(1)研修の実施
ア 接遇・マナーに関する基礎研修[OFF-JT]
・観光の基礎、接遇の基本、石狩地域の観光資源と魅力に関する基礎研修を
半日程度のカリキュラムで3日間程度実施する。なお、実施にあたっては、
新規雇用者のほか、石狩地域の観光施設スタッフや自治体職員についても
参加枠を設けたうえ、広く参加を呼び掛けるものとする。
3
事業概要
イ 外国文化・習慣等に関する専門研修[OFF-JT]
・外国人旅行者に係る国・地域別及び宗教別の文化・習慣に関する専門研修を
半日程度のカリキュラムで2日間程度実施する。なお、実施にあたっては、基
礎研修同様に、新規雇用者のほか、石狩地域の観光施設スタッフや自治体
職員についても参加枠を設けたうえ、広く参加を呼び掛けるものとする。
ウ 石狩地域の食と観光に関する実地研修[OFF-JT]
(ア) フィールドワーク事前研修の実施
フィールドワークの実施に先立ち、石狩地域に関する予備知識を習得する
ため、石狩地域の「食と観光」に関するワークショップの開催及び石狩地域
8市町村の観光資源を巡るバス視察ツアーを実施する。
(イ) フィールドワークの実施
石狩地域の観光関連施設等におけるフィールドワーク(最低16カ所)を実
施し、外国人旅行者の受入環境の現状や課題の把握、課題解決に向けた
改善策を検討するとともに、検討結果を各市町村や施設へフィードバック
する。
エ 観光関連施設等における実務研修[OJT]
(ア) 観光関連企業での職場実習の実施
広告代理店において、観光情報等の収集及びマーケティングに関する職
場実習を集合で2ヶ月間程度実施するとともに、ホテルや旅行代理店等に
おいて、企業毎の実務に関する職場実習を3ヶ月間程度実施する。
(イ) 観光関連施設の案内所等での実務研修
観光関連施設の案内所等に新規雇用者を10日間程度配置し、案内業務
に関する職場実習を実施する。
(ウ) イベントの企画立案・運営
石狩をアピールするステージイベントの企画コンペを実施し、優秀な提案を
したグループを対象に11月開催予定の「北海道大人のバルin東京」におい
てステージイベントの運営を実践するとともに、同イベント参加者を対象と
するアンケートや聞き取り調査を実施し、調査結果を市町村等へフィード
バックする。
また、新千歳空港において、外国人観光客に対する歓迎イベントを開催す
るとともに、石狩地域の食や観光の魅力を発信する。
(2)事業実施報告書
各研修の具体的な実施状況、研修に使用した参考資料、研修を通じて取得した
参考情報などを掲載した事業結果報告書〔紙及び電子媒体各1部〕を作成のうえ、
実績報告書の提出と併せて甲に提出する。(電子媒体については、エクセル・
ワードなど二次加工が可能な形式とする)
4
実施体制
下記のような業務処理体制をつくり、本事業を推進した。
業務実施責任者:玉村眞也(コンベンション札幌ネットワーク副理事長)
■事業運営従事者(既存スタッフ3名):
進行管理・コーディネート業務
■事業事務従事者:
事務局運営・経理事務/雇用管理
a(コンベンション札幌ネットワーク副理事長)
b(インテリジェントリンク)
c(北海道グリーン購入ネットワーク)
d(札幌国際プラザ)
■OJT(職場実習)先
■新規雇用者:9名
京王プラザホテル札幌
札幌パークホテル
北海道宝島トラベル
DMC札幌
トヨタレンタリース札幌
札幌国際プラザ
ツーリストサービス北海道
10月17日〜1月9日【OFF-JT研修】
接遇・マナー基礎研修、外国文化・習慣に
関する専門研修、石狩の食と観光に関す
る実施研修(フィールドワーク)
1月13日〜3月27日【OJT研修】
観光関連施設実務研修
(ア)観光関連企業での実務研修
(協力)
■案内所実務実習先
札幌商工会議所
北海道観光振興機構
(イ)観光関連施設の案内所等での実務実習
(ウ)イベントの企画立案・運営
*OJT(職場実習)は、当法人の会員企業が受け入れた。
5
新規雇用者
本事業における新規雇用者は下記の通りである。
氏名
雇用期間
A
2014年10月17日〜2015年3月31日
B
2014年10月17日〜2015年3月31日
C
2014年10月17日〜2015年3月31日
D
2014年10月17日〜2015年3月31日
E
2014年10月17日〜2015年3月31日
F
2014年10月17日〜2015年3月31日
G
2014年10月17日〜2015年3月31日
H
2014年10月21日〜2015年3月31日
I
2014年11月11日〜2015年3月31日
J
2014年10月17日〜2014年10月31日
新規雇用者のうち、1名は就職が決定して2014年10月31日をもって退職したため、再度
募集を行い1名を追加雇用した。
6
事業全体報告
スケジュール
①観光人材育成に関して
②石狩地域外国人旅行者受入環境整備事業に関して
7
事業全体報告
スケジュール
■観光人材育成事業について
雇用期間中のOFF-JTで学んだことを、OJTで実務研修を実施することで、次へのステップにつなげる
ための観光人材育成事業を下記のスケジュールで行った。
月
10
OFF-JT
接遇・マナーに関する基礎研修
外国文化・習慣に関する専門研修
11
OJT
観光情報等の収集の実務研修
(石狩インバウンドプロジェクト事務所)
(事前)石狩地域の「食と観光」ワークショップと8市町村バスツアー視察研修
石狩エリアのPR用モデルコースづくりのための情報
収集、翻訳、A1判パネル用情報整理作業
当法人主催の東京での食と観光の独自イベント「北海道大人の
バル」にて、石狩地域の「食と観光」をパネルで紹介(11月19、
20日)
12
フィールドワーク(情報収集、ヒアリング取材、アンケート集計の一連)
新千歳空港歓迎イベント(12月19日、1月8日)
1
2
3
検討会の開催(フィールドワーク、
モデルコース)
新千歳空港歓迎
イベント(独自イベ
ント)
案内所業務
MICEリーダーズサ
ミットおもてなし実
施業務
空港でのアンケー
ト集計
観光関連施設等における
実務研修
9名のOJT先
●ホテル2社3名
京王プラザホテル札幌
(2名)
札幌パークホテル(1名)
●旅行代理店3社4名:
ツーリストサービス北海道
(1名)
北海道宝島トラベル(1名)
DMC北海道(2名)
●トヨタレンタリース札幌
(1名)
●札幌国際プラザ(1名)
オレンジ色は外国人旅行者受入環境整備を兼ね
た人材育成プログラム
緑色は人材育成が中心
8
事業全体報告
観光人材育成について
人材育成に関しては、前半の3カ月をOFF-JT研修とし、後半3カ月弱はOJTとして実務実習を行った。
STEP 1 OFF−JT
観光の基礎知識、ヒアリング手法、情報発信の習得および石狩エリアの観光現状の把握
10
月
17
日
〜
1
月
9
日
(1)接遇・マナー、ホスピタリティ、インバウンド等、観
光についての基礎知識と現状を学ぶ講義を9講座実
施した。*P15参照
(2)国による文化・習慣の違いを学ぶ専門研修を7講
座実施した。*P25参照
(3)フィールドワーク研修によりヒアリング手法、アン
ケート集計を学ぶとともに、石狩エリアにおける観光
の現状を把握した。*P44フィールドワーク報告を参照
(4)石狩エリアの観光資源を生かしたモデルコースの
作成を通じて観光情報の発信について学んだ。
●接遇・マナー基礎研修
●専門研修
●フィールドワーク
●モデルルートづくり
*P59モデルルート作成報告参照
STEP 2 OJT
現場の仕事内容の理解を深めるとともに、イベントを通じて企画・運営ノウハウの習得
1
月
13
日
〜
3
月
27
日
●企業での職場実習
●案内所での業務実習
●イベント企画立案・運営
(1)観光関連企業7社へ派遣し、企業の職場実習を
行った。期間1月13日から3月27日(3月2日〜3月15
日は除く)
*OJT先での実習内容については次ページ参照
(2)札幌市内観光案内所の案内業務、MICEリー
ダーズサミットでのおもてなし実施研修(3月4日〜
7日)*P76の案内業務報告参照
(3)新千歳空港での歓迎イベントを行った。(1月8日、
3月2.3日)*P63新千歳空港歓迎イベント報告参照
観光人材育成事業の成果
緊急雇用スタッフに対して、OJT受入企業4社から6名の継続雇用の申し出があったほか、当
法人の会員企業2社から照会があり、面談を行った。
継続雇用に関しては、当法人としては、本人の意向を尊重することとし、本人と企業間で話し
合って決定してもらうことにした。
9
事業全体報告
■緊急雇用者のOJT先企業と業務実習内容
OJT先
緊急雇用スタッフ名
研修内容
(株)グランビスタ&
リゾート
(札幌パークホテル)
1名:E
最初にマーケティン部に勤務後、外国人対
応研修として、ロビーのコンシェルジュデスク
に配属。お客様の荷物を部屋まで運ぶベル
の仕事など、シフト勤務で体験。
(株)京王プラザホテル
札幌
2名:I、F
最初の2週間は客室の清掃などの研修でホ
テルの基本を学び、2月からはロビー対応に。
外国人が多い時間帯などを中心に研修。シ
フト勤務を行う。
北海道宝島トラベル
1名:D
インバウンドの部署に配属。ホテルの手配
やリサーチ、英語でのメール対応などのアシ
スタント業務。
(株)DMC札幌
2名:C、A
インバウンドや視察のための外国人のアテ
ンド業務をはじめ、翻訳、通訳、資料づくり。
(株)ツーリストサービス
北海道
1名:G
インバウンド対応、行程表の作成など。また
雪まつり期間中はテレビ塔で接客案内業務
を担当。
トヨタレンタリース札幌
1名:B
中国語、英語のWEBサイトのチェック。新千
歳空港のカウンターでの英語対応へのアド
バイス業務。
(公財)札幌国際プラザ
1名:H
当法人の事務関係の補助業務。
OJT先企業への協力依頼について
(1)OJT先企業は、インバウンド対応をしている企業に依頼した。
(2)継続雇用も意識して、企業の人材に対する要望と緊急雇用者に経験したい職種を聞
いた上で、派遣した。
(3)就業条件は、原則として、4週8休制、かつ国民の祝日相当分を休日とする。1日7時間
労働。これを超える勤務については、時間外勤務として処理する。
(4)OJT期間中の3月2日から13日までの期間については、案内所等の勤務を優先する旨
の了承を得た。
10
事業全体報告
■OJT先企業からの人材に対する評価
OJT先担当者報告
研修内容
(株)グランビスタ&リ
ゾート(札幌パークホテ
ル)
語学力を生かしてコンシェルジュ業務の研修を実施。2月は外国人旅行者も
多く、語学力とコミュニケーション能力を生かして、業務を遂行してくれた。言
葉遣い、マナーも身についているので、安心してお客様対応に従事してもらえ
た。
(株)京王プラザホテル
札幌
2人とも客室の清掃業務も意欲的に取り組んだ。ロビー業務に移っても、立ち
振る舞いも美しく、語学面でも問題なく対応していた。通常のインターンシップ
と違い、期間が2カ月と長いのも企業としてはありがたかった。
北海道宝島トラベル
インバウンド業務を担当してもらったが、まじめで、正確、スピーディーで事務
能力も高い。今回基礎研修の講師をさせてもらったこともあり、弊社の仕事を
知った上で、OJTに来ているのが良かった。
(株)DMC札幌
視察等のツアー受入が多かった時期でもあり、語学力を生かしてアテンド業
務に従事してもらったり、翻訳業務も行ってもらった。まじめに取り組んでくれ
た。
(株)ツーリストサービス
北海道
2月の雪まつり期間中は、テレビ塔での接客業務、それ以外はデスク業務に
従事。業務内容に対する理解が早かった。
トヨタレンタリース
中国人だったので、中国語、英語のWEBサイトの言語チェック、千歳空港での
英語応対に対するアドバイス業務を行ってもらった。OJTの受入では、企業側
も準備が必要である。そういう意味では準備期間が1カ月くらいあると助かる。
札幌国際プラザ
MICEリーダーズサミット開催に向けた準備や事務的な業務を行ってもらった。
OFF-JT後の実務研修なので業務に従事してもらいやすかった。
■OJT総括
(1)本事業は、基礎研修、専門研修、石狩エリアの外国人受入環境の現状調査を行い、
観光に対する知識などを習得してからOJTの現場実習を行ったが、企業側からは、
「観光全般についての研修後にOJT派遣スタイルは理想的だ」と評価を受けた。(企業
内研修では、なかなか観光全般について研修する機会を与えるのが難しい現状)
(2)外国人旅行者が急増している現状から、OJT先の企業はいずれも語学力のある人材
を求めていた。今回の緊急雇用スタッフは、語学力のある人が多かったこともあり、
OJT受入に企業側も積極的に協力してくれた。
(3)OJT開始1カ月後に各企業を訪問し、中間の報告を受けたが、ほとんどの企業が真摯
に取り組んでいる姿勢や、語学スキルを生かして研修に取り組んでいるスタッフに対
して高い評価をしていた。
(4)OJT企業先4社から継続雇用の検討の申し出があった。継続雇用の形態は、正社員、
アルバイト、契約社員など各企業の規程により異なっていたが、当法人としては、本
人の意向を尊重することとし、継続に関しては、本人と会員企業との間で話し合って
決定してもらうことにした。また、会員の観光関連企業2社から雇用の申し出があった。
11
事業全体報告
石狩地域外国人旅行者受入環境整備について
●フィールドワーク
●モデルコースづくり
●新千歳空港でのアン
ケートの実施
(1)フィールドワークを通じて、石狩エリアの観光資源の現状を
調査および集計。
(2)モデルコースづくりにあたって、石狩エリアの観光資源(食と
観光)の情報収集を行った。
(3)外国人旅行者と日本人旅行者ニーズを調査するため、新千
歳空港でのアンケートを実施。外国人99名、日本人68名の回答
を得て、集計した。(アンケートの集計は、P71の歓迎イベント③
のCelebrate the Japanese Girl’s Festival, “HINA MATSURI”にまと
めている。)
検討会の実施
フィールドワーク、モデルコースづくりに関して、それぞれ専門
家による検討会を開催し、外国人旅行者受入環境整備に対す
る意見をもらい、提言としてまとめた。
(フィールドワーク調査結果の詳しい内容は、P48のフィールド
ワーク報告書にまとめている。)
■石狩地域外国人旅行者受入環境整備への提言
フィールドワーク検討会からの提言
【提言1】
「実感を掴まえに行こう!」
●個別の施設では着実にインバウンドを受入れ、実績に結び付け展望をみつけているとこ
ろもある。
●外国人のお客様を受け入れることが、自分たちの商売にとって、どれだけ有効・有益なも
のかと実感を持てた人が勝ちである。
●自分から実感を取りに行くような取り組みが必要。
●自分たちでお招きして、実際に来るようになったという実感があるから対応する。対応す
るからお客様が増える、という循環が生まれる。
●まずは外国人のお客さんが来ているところを見に行くところから始める。
●新しい動きに着目している個別の施設に対してのサポートが有効。
【提言2】
「FITへの情報発信と伝達方法を考えよう!」
●言葉が通じなくても身振り手振りでもOK!だが危険が伴う場合は、細心のコミュニケー
ションが必要。
●スノーモービルなどの操作、ルール、地元の漁業権などの取り決めなど、きちんと伝えな
ければならないものは、適切な説明が必要。
●公共交通は、自動販売機の使いづらさの解消と車内でのクレジットカードの利用を可能
に。
●本当の情報、響いて欲しいところの情報を届ける。
●案内所での充実した対応も大切。
12
事業全体報告
【提言3】
「ガイドさん任せではなく、自前で対応する能力をつくろう!」
●多言語対応が全てではないが、自前で対応する能力をつくる」その意識が、インバウンド
で大切。
【提言4】
「外の目を入れよう!」
●新しい視点を入れてプログラムをつくる。
●何も役に立たないと思っていた自分のまちの資源が、実は意外に生きてくる。
●地元の人が行くようなところに行くのが体験で、異国に行った実感というものが出る。
【提言5】
「教えない親切と、聞かれたときにきっちり教える親切」を使い分けよう!
●教えすぎないことも大切。
●情報の欲しい人は、自分で収集する時代。
●インバンドに必要なインフラは“聞かれたときに備える”、その心構え。
●行政に頼れとは言いたくない。
モデルコースづくり検討会からの提言
【提言】
「魅力的な写真を用意しよう!」
各市町村や観光施設で、PR用に著作権フリーの写真を用意することも、外国人旅行者受入
環境整備となる。
13
基礎研修、専門研修報告
接遇・マナーに関する基礎研修
外国文化・習慣に関する専門研修
14
接遇・マナーに関する基礎研修
【概要】
日時:2014年10月20日(月)~10月22日(水)9:30~17:30
場所:札幌国際プラザ会議室
内容:接遇・マナーの基礎知識は、3日間にわたり、合計9講座、10.5時間実施した。具体的な講座内
容は下記の通り。
■研修スケジュール
15
接遇・マナーに関する基礎研修
1. 北海道における観光産業の展望
講師 前北海道大学観光高等研究センター長 石森 秀三
「北海道における観光産業の展望」では、1.北海道の人口推移、2.「人口ボーナス時代」か
ら「人口オーナス時代」へ、3.全世界においての観光、4.北海道観光産業の可能性の4つの
視点にそって現状、今後の可能性についての講義が行われた。
■ホッカイドウ・アズ・ナンバーワン~国際観光がホッカイドウの未来を拓く
前段では、北海道における将来人口の減少による、地域社会の変化、産業構造の変化に
ついて具体的な人口予想数値を示しながら説明。従来の人口増加に伴う経済発展、成長か
ら、人口減少に伴う市場の縮小、経済の停滞・衰退への対応について語り、今後は「定住人
口重視」から「交流人口重視(観光客・移住者」への転換と、観光を核とした地域活性化の推
進がキーワードである点を強調するとともに、北海道の意識の低さを指摘した。
また、観光の世界的動向、特にアジアにおいて中国の躍進の目まぐるしさ、アジア諸都市
の空港の巨大化への取り組み、LCCが成長している現状などを紹介した。
こういった道内の現状やアジアの動きの中で、北海道の可能性について抱えている課題を
含めて言及した。
具体的には、
①自然に恵まれた大地、自然の宝庫を資源として「アジア」の中での北海道ブランドの確立
②団体客から個人客誘致
③「ローコストトラベル」と「ラグジュアリートラベル」の二極化への対応
の3つを今後の課題としてあげ、「視覚重視型から五感・交流重視型」のコンテンツの整備、
地域全体でのおもてなし、人材育成を含む受入体制の整備が急務である現状を紹介しなが
ら北海道の観光産業を展望した。
16
接遇・マナーに関する基礎研修
2. 外国人観光客接遇マニュアル
講師:株式会社 北日本調査社 代表取締役 伊勢田 和幸
外国人観光客を接遇する上で大切なポイントをホテルの事例を交えて紹介した。
■なぜ外国人観光客の接遇なのか
査証発給の緩和、LCCの就航、新千歳、旭川、函館空港への国際線の就航を背景に、平
成25年度の外国人旅行者115万人が来道。そのうち、台湾を筆頭に3/4はアジア圏からで、
今後もしばらくは外国人旅行者の増加が望めると分析し、観光による経済効果の大きさを指
摘した。
また、歌登のホテルを例にとり、建物は古く、レストランには体育館を使用、バスなしの部屋、
周囲には何も無いといった環境の中でも、外国人観光客が大勢訪れ、リピート客が多く訪れ
ている現状を紹介。具体的には、ゆかたの着用、餅つきと流しソーメンを年中味わうことがで
き、太鼓やまぐろ解体ショーならぬ鮭解体ショーの体験など、お客様の要望に「対応しようと
する気持ち」が満載のもてなしが、リピーターや外国人旅行者増につながっていると分析した。
■おもてなしのキーワード
このホテルの事例から、おもてなしのキーワードとして
①「もて成す」とは、心をこめて客の世話をする。馳走す
る。もてなされた「人」がどう感じるかは、千差万別では
あるが、満足度の尺度は、お客様がもっている
②相手が誰でも共通するものは、身だしなみ、心からの
挨拶、自然な笑顔である
③第2段階として、不安の緩和と除去、異文化の理解と
受容、コミュニケーション
と、3項目をあげた。
最後に実際に香港での自身の体験エピソードを披露。
「香港の千徳道の“おやじ”の例です。道の露天で、梨
を買った。即、食べたかった。“おやじ”にはその気持ち
が伝わった。店のバケツで洗えといわれたが、躊躇した。
しかし、どうしてもその場で食べたい。“おやじ”はその気
持ちを感じ取ってくれ、売り物のミネラルウォーターを手
渡し、それで洗えとジェスチャーした。そのおかげで、そ
の場で梨を食べることができて、大満足した。“おもてな
し”は、日本の専売特許ではない」と締めくくった。
17
接遇・マナーに関する基礎研修
3. 外国人旅行者接遇実践
講師:株式会社イー・シー・プロ 岩崎 修子
「イランカラプテ~」とアイヌ語の挨拶からはじまり、通訳、旅
行ガイドなどの仕事の現場での経験を基に、実際に外国人と
ふれあった事例を紹介。接遇におけるポイントを具体的に示
した。
■逐次通訳・同時通訳と通訳案内士の違い
逐次通訳や同時通訳は、異なる言語を話す2人の間に入り、
相互のコミュニケーションを円滑に進めているのに対し、通訳
案内士は外国人旅行者と行動を共にすることで直接のふれ
あいがあることから、さまざまな場面をお客様と一緒に楽しむ
ことができる。また、逐次通訳・同時通訳は実力を伴えばでき
る仕事であることに対し、通訳案内士は国家資格が必要。
■外国人観光客が興味のある北海道の美しい風景・食事・
ショッピング
四季のはっきりしている日本、特に北海道は美しい風景が
外国人観光客に人気である。中でも葉が緑から黄色や赤に
色づく秋の風景は人気。またイチゴ狩りなどの果物狩り、ラー
メンなど日本ならではの食事、デパート巡りやUNIQLOでの
ショッピングも人気であると紹介した。
■現場で実践すること
現場では観光客の方に楽しんでもらうこと、楽しかったと
言ってもらえるように多くの努力がなされている。北海道は広
い土地のため、移動に時間がかかってしまうときも、写真を
使って北海道にいる多くの野生動物を紹介したり、バスの中
で歌を歌ったりして、お客様が飽きない旅を提供することに努
めているという。良い思い出を作ってもらうと共に、北海道の
ファンになってリピーターとして帰ってきて欲しいという想いを
伝えるのがポイントと語った。
■動画に見る外国人視点
道央から道北、道南のツアーの外国人旅行客が撮影した
動画を紹介。外国人観光客の視点は、日本人では気づかな
いものを映しており、日本の文化や食事への関心の高さを紹
介した。
18
接遇・マナーに関する基礎研修
4. いま求められる観光における地域のホスピタリティーとは
講師:北海商科大学 教授 加藤 由紀子
JAL(ホテルや旅行会社との調整、教育研究システム(Job training)での仕事経験と研究
者の視点から、ホスピタリティについて講義した。
■ホスピタリティの語源
最初にホスピタリティの語源について説明。辞書では「心のこもったおもてなし。手厚いも
てなし。歓待」のほか「異人歓待」という意味があり、この言葉が、ホスピタリティの語源を理
解するのに有効だと説明。「Hospes」(自分に危害を与えない好ましいよそ者)で、
「Hospitalis」(外来者は最高神ゼウスの保護をうける聖なる人として厚くもてなす)という意
味から、ホスピタリティは、共同体外からの来訪者を歓待して、休息の場や食事を提供する
異人歓待の風習に遡るという考え方を紹介し、その考え方が「家」単位から「都市」や「国
家」へと発展するとともに、人と人、地域ぐるみ、そして宿泊業のような産業レベルへと変化
してきたと説明。
ホスピタリティは、自然発生的な慣習から規範へ、そして精神(心構えや気持ち)と行為(も
てなす・厚遇する)という2つの意味を持つようになると解説し、気持ちがあることが一番大
切と説いた。
また、精神や具体的行為への評価は、個人差があることから、特定行為を意味していな
いホスピタリティには、向上させるための特効薬はないといい、ホスピタリティの評価への難
しさを指摘した。
■ホスピタリティは接遇・態度だけでは語れない
次に外国人を受け入れる空港を例にとり、迷わない機能性に加えて、緊張感を和らげる
工夫など「モノ・コト・ヒト」すべてにホスピタリティを表現しなければならなく、単に接遇、態度
だけでは語れないホスピタリティについても説明。
地域におけるホスピタリティでは、言葉が分からなくても察してくれる気づかいが大事で、
外国語表記より「なんとかしてあげたい」という気持ちの方が勝ると語った。
観光客が求めるものは、多種多様でそれに全て応じるのは不可能だが、「異文化感受性
発達理論」(ミルトンベネット著)の「異文化に出会うと人はまず『否定・防御・最小化』を経て、
その後『受容・適応・統合』と成長する」を紹介し、相手の価値観を否定せずに受容すること
が個人や地域にとって重要である、と強調した。
■観光は相互交流。異文化とふれあう
最後に、「自分の経験から学ぶことが大きいので、積極的に行動すること、日常的に異文
化とのふれあいを大事にすることでホスピタリティは醸成される」といい、自分の文化的背
景に気づき、相手の違いを理解し尊重し合う。観光とは相互交流であると結んだ。
19
接遇・マナーに関する基礎研修
5. 外国人観光客接遇におけるポイント
講師:サポートネット有限会社 代表取締役 山林 裕子
航空会社の客室乗務員であった経験を基に、外国人観光客接遇にお
けるポイントを講義した。
■マナー・異文化への理解
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■食事
日本は安全でおいしい食事を提供するイメージがあるが、一方で、
アレルギーや宗教的なことに対する配慮が少ないという指摘もある。
配慮する点として「宗教的理由の食事制限」「ハラールに処理された
食をとるムスリム」「さまざまなベジタリアン」「厳格なユダヤ教徒はコー
シャーミール」「和食を提供するときの工夫」「日本の食材を使いスペ
シャルミールのスペシャリストへ」の6つをあげて説明した。
マナー・異文化への理解まとめ
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
チップもないのに仕事が早い、正確、丁寧な日本のサービス
異なる名刺交換のタイミング、素晴らしい日本の名刺交換
女性の幹部、男性が妻帯で来日する場合の注意点
握手は目を見て、お辞儀をしないで
過去はいまなお生き続け、良くも悪くも現在に影響を及ぼす。
異なる宗教への対応と理解
喫煙、特に食事時には注意
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■食事編 その12
食事レセプション編まとめ
1.
2.
3.
4.
5.
6.
宗教的な理由での食事制限の対応特にしっかりと
ハラールに処理された食事をとるムスリム。世界で増加傾向
さまざまなベジタリアン。エキス系、精進料理鰹だしにも注意
厳格なユダヤ教徒はコーシャーミール。
和食を提供するときの工夫(量、朝食、畳の部屋)
日本の食材を使いスペシャルミールのスペシャリストへ!
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■マナー・異文化への理解
喫煙、名刺交換、男女格差、握手を例に他の国の習慣や現状を紹
介。また、歴史についても習慣と同様に、相手の歴史を理解する一方
で、自分の国の歴史についての知識も深める必要がある、と語った。
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Support Net Co., Ltd.
接遇のポイントは、長い間記憶に残る「おもてなし」が大切であり、常
に「新しいもの」を提供することも大事である。「サービスにマニュアル
はないので、その時できる最善をつくすこと」が重要だと結んだ。
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自分達では気が付かない日本のスゴイ技
その1
「金のつぶ パキッ!とたれ とろっ豆」
■日本のおもてなしのすごいところ
サービスとおもてなしの違い
高い
おもてな
し
ホスピタリ
ティ
心
サービス
マナー
相
手
対
心
遣
モラル
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■もっと良くなる日本のおもてなし
もっと良くなる日本のおもてなし
1.
2.
3.
4.
5.
6.
よりコミュニケーションをとるには
できるかぎり目をあわせる
挨拶は外国人相手は特に先手必勝
最初の印象は特に大切
マニュアルに頼りすぎない
技をもっていても実行しなくては意味がない
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■日本のおもてなし
日本はサービスの質が高く、見返りを求めない、控えめな「おもてな
し」の心が根付いている、と評価した上で、外国人相手だからこそ基本
のあいさつをしっかりすることが大切と語った。
また、相手の印象は15秒で決まるといわれている点を紹介。日本の
おもてなしがもっと良くなるポイントとして「よりコミュニケーションをとる
には、できるかぎり目を合わせる。外国人には先に挨拶する。最初の
印象を大切に、マニュアルに頼りすぎない。技を持っていても実行しな
ければ意味がない」 と語った。
■意外なところに感動
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■外国人が感動するおもてなしとは
日本の技術力は高く、設備や商品をはじめいろいろな場面で外国人
が感動していることに触れ、それらの商品をを写真で紹介した。(例)
サランラップ、ウオシュレット、自動販売機、自動改札機、立体駐車場、
コンビニおにぎりetc
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接遇・マナーに関する基礎研修
6. 「ホテルの現場で求められる人材」
講師:京王プラザホテル札幌 管理部総務担当 土方 伸代
札幌のインバウンド旅行客の現状と、ホテルの人事担当の立場から現場で働く人材に求
められる資質について語った。
■京王プラザホテルの現状
はじめに、開業32年目を迎えた自社ホテルの概要と、年間約25万人が宿泊しているうち、
昨年度は30%が外国人宿泊者だった実績に触れ、インバンドが増加傾向にある点を語り、
2020年には、外国人宿泊比率を50%に目標設定していると紹介した。
■お客様の好みとインバウンド対応
宿泊している外国人客を見ていると、食事はカニ中心の海鮮、鉄板焼きなどで、ショッピン
グはドラッグストア、家電量販店、化粧品などが人気だと語った。
インバウンドが増加している中で、営業は3カ月に一度の出張で旅行代理店に誘客のため
のセールスを行っているほか、ウエブサイト経由での予約にも対応している現状を説明。受
入体制の整備として、海外営業の対応できる人材の確保が課題であると説明した。
■ホテルの人材
ホテルにおける人材として求められるのは、
①接客の基本:様々なお客様をお迎えする立ち振る舞い、身だしなみ
②コミニュケーション:内部外部問わず、周囲の人に興味を持ち、何ができるかを考える
③商品知識:ハード、ソフト両面で対応
④責任感:安心、安全を保証(設備・対応)
⑤引き出しの多い人間:様々なお客様とのコミニュケーション
の5つであると語り、今後増えるであろうインバウンド対応において、「語学力+基本的なお
もてなしの心が重要になる」と語った。
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接遇・マナーに関する基礎研修
7. インバウンドの現場から
講師:近畿日本ツーリスト北海道 インバウンド担当課長 小倉 浩仁
インバウンドが急増している中で、これまでの取り組みと現状の
課題を紹介した。
■インバウンド需要の現状
いま、インバウンドではグループ旅行が中心で、台湾、韓国が
多いが、旅行が成熟している地域では、FITが伸びる傾向にある。
一方、タイ、マレーシア、香港の東南アジア圏や中国はグループ
旅行が主流であると、現状を紹介した。
また、MICEは、規模も大きく、使われる費用も大きいことから札
幌市をはじめ、誘致に重点をおいている。MICEは、宿泊施設、会
場、余暇を過ごしてもらうための施設が必要で、開催できる都市
は限られているが、なかでも旅行自体にかける費用が大きいイン
センティブツアー(企業の褒賞旅行)は、香港、シンガポールで今
伸びている。今後は台湾、中国大陸、ASEAN諸国も伸びると予想
される。「MICEは、一つ誘致することによって、地域貢献につなが
る」と、インバウンドにおけるMICEの重要性を説明した。
■プロモーションとオフシーズン対応
北海道といっても海外では知られていない。そこでプロモーショ
ン活動が大切になる。これまで展開してきた現地のメディア利用、
ホームページ、口コミ、SNSの活用などによる情報提供や現地の
旅行博への出展、現地テレビ局や旅行代理店の招聘などの具体
例を紹介しながら、プロモーション活動の現状を紹介。
さらに、旅行シーズンにも注目。1月末から2月の中国の春節、
12月の学期休みになるシンガポールやマレーシアの家族旅行、4
月にはタイのお祭休暇、8月のラマダンあけ休暇のマレーシアと
いった具合に、日本の休日とも異なるため観光地のオフシーズン
に来道してもらえることが、観光産業にとって貴重な収入源となる
と語った。
一方で、道内のバスの絶対数不足で確保しづらくなっている点
やバス料金の値上がり、宿泊施設の老朽化、地方でのクレジット
カードが利用できない問題、wifi環境の整備不足など、受入側の
整備課題や、海外旅行代理店との信頼構築など、インバウンドの
課題を紹介した。
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接遇・マナーに関する基礎研修
8. 体験型観光について
講師:株式会社北海道宝島トラベル 代表取締役社長 大和 寛
2007年から北海道内のガイド会社の体験プログラムを集め
たポータルサイト「北海道体験.com」を立ち上げた宝島旅行社。
2010年には外国人に対して英語サイトの運営を開始
(Hokkaido Experience.com)。その旅行部門として創業したの
が北海道宝島トラベル。インバウンドに対応している立場から、
アクティビティを楽しむニーズと求められる観光人材について
講義した。
■5つの価値を世界に発信
まず、会社の使命を①北海道を世界に売る②北海道近郊の
遊びを作る。これにより北海道経済に貢献する会社を目指して
いると紹介。
年間5万人ほどの予約のほとんどが外国人を含めて道外客。
新しい旅行プラン、オーダーメイドの旅行プランを個人や家族
に特化して提供していると語った。
北海道を知らなければ作れないプランを北海道を知らない外
国人へ提案しなければならない難しさに対して、北海道の価値
を5つに分類。「都市と自然の距離が近いこと」「自然が豊富で、
四季があり、折々に姿を変えること」「雪が多い、川・湖が多い
(水資源が豊か)こと「食材が豊富で品質も高く、おいしいこと」
「温泉が豊富なこと」の5つの価値を世界に発信することを大切
にしている。
■石狩エリアの体験プログラム
続いて石狩エリアについて、具体的な旅行者のイメージを提
示。札幌に宿泊する個人客をターゲットに、3時間程度の手軽
なプログラムで、北海道らしい体験を、自身が体験して面白い
と感じたことを「石狩エリアの体験プログラム」として写真で紹
介した。
最後にこれからの北海道に必要な人材は「北海道外を見て
きた人」「外国語で自分を表現できる人」「日本人の心と誇りを
持っている人」「他人の幸せを自分の幸せと思える人」と、4つ
あげて締めくくった。
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接遇・マナーに関する基礎研修
9. 石狩の食を学ぶ
講師:フードライター 深江 園子
北海道の「食」の取材を続けているフードライターが「食」の魅力について語った。
■世界の料理学会 in 函館
世界の料理人が集まって、自らの料理論を披露して料理のあり方などを議論する「世界の
料理学会」には、世界中の料理人が、この交流を求めて函館に集結している。そもそもこの
学会は函館の1人料理人が、世界各国の料理人に手紙を送り始まったものだが、北海道の
「食」と「交流」が、いまでは魅力となっていると説明した。
■注目したいレストランやスイーツ
ミシェル ブラス トーヤ ジャポンは、料理も一流だが窓からの景色を含めて、一つの料
理が完成していると語る。その初代日本人料理長を務めた方が、いま円山に「Restaurant
MiYa-Vie」をオープンさせた。どちらの店も、一度足を運ぶ価値があると、北海道の料理
の質の高さを強調した。
また、スイーツにおいても、余市が主催する小さなスイーツコンテストを例にとり、果樹園の
ファンづくりと果物のために始まったコンテストのコンセプトが明確である点を評価。またパ
ティシエや製菓技術者のための札幌のスイーツコンペティションも含めてスイーツも魅力的
な北海道の「食」であると紹介。
■ローカルコンテンツ
一方、地元ならではの「食」の情報も重要で、たとえば札幌のホテルマンの「ラーメンおす
すめマップ」や、「石狩の野菜直売所マップ」など、地元の生の声は参考になると語り、ロー
カルコンテンツの大切さにも注目した。
また「食」は、食べて楽しむだけではなく、加工品のほか生産している風景も魅力で、輪作
体系を確立している豆、じゃがいも、ビート、麦といった北海道の主要四品目を紹介し、石狩
エリアの農業にも目を向けること、そして農業がつくりだす景観も観光資源であると語った。
「食」をテーマに生産から、調理、交流、競合とさまざまな切り口から、北海道の「食」の魅
力を説明した。
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外国の文化・習慣に関する専門研修
【概要】
日時:2014年11月10日(月)~11月11日(水)
場所:札幌国際プラザ会議室
内容:外国文化・習慣を学ぶ専門研修は、2日間にわたり、合計7講座、7時間実施した。具体的な
講座内容は下記の通り。
■研修スケジュール
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外国の文化・習慣に関する専門研修
1. 国別の観光客動向概論
講師:コンベンション札幌ネットワーク 理事 池森 祐吾
外国文化・習慣に関する専門研修に先立って、まず現在の外国人旅行者の国別動向に
ついて講義した。
■世界の外国人観光客の受け入れ
2013年のデータによると、日本は世界33位となっているが、観光収入では世界20位であ
る。2014年4月には、単月で国際的「旅行収支」が44年ぶりに黒字になった。観光収入では、
1位.米国 2位.スペインになどに続き、小国でありながら、5位にマカオが入っている。マカオ
にはカジノがあるからと解説した。
■訪日外国人旅行客の推移
2002年日韓W杯によりインバウンドは増えたが、翌年はSARSが流行したため減少し、その
後2003年~2008年までは、小泉内閣のビジットジャパンの影響で上向きとなったものの、
2009年はリーマンショック.円高.新型インフルエンザ゙により減少に転じた。2010年には、過
去最高を記録したが、2011年は東日本大震災で、再び減少。しかし2013年は、史上初の
1000万人を達成している。訪日外国人旅行客の推移は、社会状況に密接に関係している
点を指摘した。
■国別推移
国別の動向では、欧米はアメリカが多いが、日本のゴールデンルートと呼ばれる、京都.
大阪に行き、北海道には入っていない。アジアでは韓国が最も多いが、北海道の国別観光
客の現状をみると、25年度、訪日外国人来道者数では、1位.台湾で全体のおよそ36.0%を
占めている。道内の都市別でみると、1位.札幌 2位に小樽と続く。14位には石狩が入って
おり、健闘をみせていると解説した。
宿泊数では、 オーストラリア以外は、札幌が1位。オーストラリアはニセコに宿泊している
のが現状で、リピーターが多いのも特徴である。中国の宿泊者が多いのは、北広島や壮瞥
町で、要因はクラッセホテルやサンパレスがあり、このホテルだけで集客していると語った。
■国別 基礎データ (日本政府観光局)
台湾、中国、韓国、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、米国、フィリピン、
ベトナム、オーストラリア、カナダ、英国、ドイツ、フランスの16カ国の基礎データをもとに、来
道目的、来道時期、長期休暇 スクールホリデー、宗教、ターゲット、姉妹都市などの、観光
客の特性を、国別に説明した。
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外国の文化・習慣に関する専門研修
2. 中国を知る
講師:富威株式会社 専務取締役 オリナ
在札中国人の立場から、また札幌で中国人旅行者を受入ている旅行会社を運営している
立場から中国人旅行者の特徴について語った。
■中国人の性格・習慣・文化
56の民族いる中国は、東西南北の地方によっても習慣・文化、味覚や購入行動も違うとい
い、中国人は家族を大切にして、家族で動く傾向にあると語る。性格的には、細部は気にせ
ず直感および周囲の状況を見ながら買い物をする傾向が見られるという。
海外旅行においても家族旅行が全体の50%を占める。旅行者の年代としては26歳~45
歳の若年層が50%で、今後はこれまでの団体旅行からFITへと変わると指摘した。
■中国人の海外旅行の過去・現在・未来
改革開放後、短期間で裕福になった富裕層と公務員視察旅行は、高級志向でショッピン
グ好き、行動は自分中心という特徴がある。最近は公務旅行が厳しくなってきていることか
ら個人旅行や企業の旅行が増えつつあり、将来的には、所得が安定した中高所得層サラ
リーマンが中心になると予想している。この層は、インターネット世代で、ネットを通して海外
の知識を持ち、また英語の知識もあるので、個人旅行でも困らないと分析。変化しつつある
中国人旅行者の動きを紹介した。
■旅行に対する中国人の考え方
現在北海道に訪れている中国人は年間15万人を数えるが、日本に初めて訪れる人は、有
名な東京や大阪に行き、北海道は2回目3回目の旅行地として選ばれるという。今後求めら
れるのは、付加価値のある商品の開発で、オプションを増やすことで客単価を上げることが
課題となっている点をあげた。さらに中国人観光客増に期待するなら北海道内の各自治体
の積極的な協力が不可欠であると語った。
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外国の文化・習慣に関する専門研修
3. ムスリムを知る
講師:札幌市観光企画課 国際交流員 サキーナ・ムハンマドカリード
シンガポールから札幌市の国際交流員として来日。自身もイス
ラム教徒であることからムスリム対応について話した。
■シンガポール事情
シンガポールは多民族が住む、イスラム圏に囲まれた国。シン
ガポールでは、イスラム教は仏教に続き、2番目に多く国民に信
仰されている宗教であると語った。イスラムとは、唯一神アッラー
への絶対的な服従を説き、豚やアルコールの摂取を禁じ、イスラ
ム法に従った調理法で調理された鳥、牛、羊を食べる。目に見
えるものを避ける人や、豚・アルコールの由来まで気にする人な
ど、どの程度食材に対して気にするかは、個々の知識と信仰心
により千差万別であると、説明した。
日常生活では、ウェットマーケットやスーパーマーケット内でハ
ラールのお肉を購入する。
シンガポールでのファストフードは、ほぼハラールの食材が使
用されており、1870店舗がハラール認証されている。最近では
おしゃれなCafeもあり、イスラム教徒も好んで行くようになった。
ハラールカフェでは、ハラールの認証を取得し、ケーキや料理が
提供される。
礼拝は1日に5回行われるが、時間は時期によって異なる。
68ヶ所にモスクがある。
シンガポールには宗教教育と一般教育を共に行う私立ムスリ
ム学校がある。以前はマレー語で教えていたが、今では英語の
授業となっている。週末だけ通うことも可能で、その後に一般の
大学に進学することも可能である。
■シンガポールの旅行者と札幌のムスリム対応について
シンガポールには山と四季がないため、観光客は日本の食べ
物と自然を楽しみに来日している。Visaが緩和されたこともあり、
マレーシアやシンガポールからの旅行客が増えていているのが
現状。現在は富裕層の旅行客が多いが、今後は若年層が増え
てくるであろう予想されるという。
札幌市内の飲食店では、英語のメニューに加え、成分を表示
することで環境整備に努めているが、ハラール認証は国によっ
て基準が違うため、積極的に取得しているわけではない。「その
代わりに、取り扱いしている情報を提供している飲食店もある」と、
自身の札幌生活に通して、ハラールにおける札幌の現状にも触
れた。
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外国の文化・習慣に関する専門研修
4. タイを知る
講師:エフエムノースウェーブ DJ 汐音
ラジオ番組の取材をきかっけに、タイが大好きになり、訪問も3年間で15回を数える。その体
験をもとにタイの国民性や食事について紹介した。
■タイ人の国民性と気質
人口6000万人のタイ。首都バンコクの人口は825万人と多く、交通渋滞も多い。国王は、
国民から愛され尊敬されていると、冒頭にタイの概要を説明した。
国民性は、上下関係がはっきりしており、仏教徒は95%〜97%で、どんなに貧しくてもお
布施をする慣習がある。男性は一度は仏門に入り修業をする習わしがある。女性は働き者
で、女性のエグゼクティブも多い。
気質では、気楽で気持ちの良いことが大好き、楽しい、陽気、笑い上戸でのんき。占いや
運を信じ、年配者を敬う文化も息づいている。
お祭りで有名なのがソンクラン(水掛祭り)で、4月旧暦の新年に開催する。もう一つがロイ
クラトン(灯籠まつり)で、農作物の豊作や精霊に感謝する祭りとして11月に開催される。
タイはロングステイ先として人気が高く、食事も日本食レストランが多いこともあって日本
人居住者も2万人で、短期滞在者も含めると7万人いると言われている。医療水準も高いの
が特徴とタイについて紹介。
取材を通じて得た知識と自身が肌で感じてきた印象を交えて語った。
■タイからの旅行客への対応
タイ人は、自分の味を作って楽しむので、薬味を置いている店が多い。牛よりは豚肉を好
み、豚すきが好き。焼き鳥はたれ。辛いものは弱い人が多い。苦手な食べ物は納豆、生も
の(サーモンはOK)生卵(怖がる)であると、日本食で注意する点を紹介した。
シャワーや沐浴の習慣があるため、温泉での全裸には抵抗があるそうだ。
北海道とタイとの直行便も就航して、5時間~5時間半ぐらいのフライトで来ることができ、
時差も2時間しかない。タイ人は「北海道」や「雪」に対する憧れが強く、円安やビザが取得し
やすくなったことで、タイ人観光客増加している。彼らは、日本では水道水が飲めるのに
びっくりしている。タイ人は旅好きだが、7,8割は日々の生活で旅行ができない。日本に来て
いるタイ人はお金持ちで4,5人の個人客が多いと、現状を語った。
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外国の文化・習慣に関する専門研修
5. 欧米を知る
講師:デイビット・バーネット
「欧米」という枠組みは、とても大きすぎて、一括りでは説明できない。
ヨーロッパでも、イギリス人とドイツ人では異なる考え方・行動をするも
の」と前置きした上で自身が感じた日本の不思議を率直に語った。
■イギリス人が日本に来て驚いたシリーズ
その1.新千歳空港
エレベーターやカートの少なさ・荷物(スーツケース)を運ぶのに一
苦労。欧米人はドレスコードの習慣があり、荷物が多い。
その2.日本人のサービス
チップ制度がないにもかかわらず、平均的に質が高い。しかしサー
ビスが、マニュアル化しすぎており、温かみを感じない印象もある。
その3.看板・パンフレット
看板・パンフレットの情報が多すぎる結果、見づらくなり、本来の目
的を果たしていない。看板も景観を乱す要素になっている。
その4.タクシー
シートや荷物のスペースが外国人には小さすぎる。また、ドライバー
が道を知らなかったり、ナビを使うなど、仕事へのプライドが感じら
れない。日本の運転手にも、プロ意識をもって、仕事に取り組んで
ほしい。
その5.並ぶ習慣
“食べ物”に並ぶ習慣は日本独特。しかし、アメリカ人は“モノ”のた
めには並ぶ。 (i-phoneの発売日や、H&Mの開店日には並んでい
た)
その6.バケーションへの意識
イギリスでは2週間、フランスでは1ヶ月という長いバケーションがも
らえるが、日本では長くて1週間。そのせいか、旅行先の予定をつめ
こむ習性がある。
その7.観光地の考え方
ホテル内にボーリング場やカラオケを作り、食事付のプランが多く、
宿泊先ホテルで完結してしまうことが多い。一人勝ちを望まず、街
全体での観光地化を図るべき。そのことが地域の活性化にもつな
がる。
最後に欧米人に北海道単品で売り込むには難しい。なぜなら欧米の
方が自然が雄大なため。むしろ関東または関西と組み合わせた商品
で売り込むのがよいかもしれない、と提案した。
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外国の文化・習慣に関する専門研修
6. 台湾を知る
講師:台北駐日經濟文化代表処 札幌分処 熊谷 将太
台湾人観光客が増加したことにより2009年に開設された台北駐
日経済文化代表処札幌分処。北海道に一番多く訪れている外国
人が台湾である。そこで台湾について「基本情報」「台湾での観
光」「台湾人の観光」の3つの項目に分けて語った。
■台湾の基本情報
台湾の人口は現在2300万人で、北海道の4倍。面積は九州とほ
ぼ同じで人口密度が非常に高いところである。言語は中国語メイ
ンで、他は台湾語、客家語などがある。
■台湾での観光を知る
台北を例に官民一体で観光を推進している。「客本意の観光」を
重視していて、個人旅行の泣き所をしっかり研究している。英語
併記にしても笑われても書き、インフラに投資し交通整備にも取り
組み、情報アクセスにしても無料のwifi環境が整っていると説明し
た。
■台湾人の観光を知る
来日台湾人観光客は、昨年度230万人で、うち30万人強が北海
道に訪れているが、北海道旅行への期待は、食事(※最重要!)
で、ラーメン、洋菓子、チーズ、道産野菜、海鮮など肯定的意見も
あれば、否定的な意見も聞かれるが、道産野菜やスイーツにつ
いてはアピール不足の感がある。注意したいのは冷たい飲み物
は苦手であるということ。
雪は北海道のブランドであり、富良野・美瑛も大人気である。個
人旅行が増えてレンタカー利用も多くなってきたが、特に冬場の
雪道運転では事故もある。釧路のように、外国人ステッカー等対
策があると良いと語った。
今後の課題として、新千歳空港における通関に要する時間短
縮対策、飲料に氷はいれずに、飲食店での英語または中国語併
記の強化(特に寿司店)、Wifi無料エリアの拡大が望まれていると
受入整備を提案した。
台湾の北海道の食と
交通に対する意見
31
4
1
1 2
▲台湾の現状(メニュー、交通
網、wifi環境)
Fly UP