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1 平成27 - 一橋大学大学院国際企業戦略研究科 金融戦略・経営財務

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1 平成27 - 一橋大学大学院国際企業戦略研究科 金融戦略・経営財務
平 成 2 7 ( 20 15 )年 度
一橋大学大学院国際企業戦略研究科
経営・金融専攻
専門職学位課程【専門職大学院】
金融戦略・経営財務コース
社会人選考募集要項
金融技術の発展、業務の自由化や経済の国際化、BIS 規制等の制度導入によって、資
産運用やリスク管理、資金調達、価値評価や M&A といった金融活動は高度化を続けて
きました。世界的な金融危機やエマージング・マーケットの興隆を通じて、ファイナン
スの知識を体系的に習得し、金融技術を戦略的に使いこなす能力を持った人材がこれま
で以上に求められています。
金融戦略・経営財務コースは、現代の金融業務に必要な知識を備え、問題を的確に把
握し、最先端の学問と実務の成果を利用して、直面する実際の問題に自らの判断で対応
できる高度な能力を持った専門的職業人の育成を目的とするプログラムです。金融に関
わる幅広い問題を定性的・概念的に深く理解し、実際のデータを使って定量的に分析し、
それらを経営上の判断に生かすことができる高度金融人材の育成を目指しています。
本コースの対象には、主に、金融機関及び商社・製造業・サービス業等の事業会社で、
資産運用、リスク管理、資金調達、投資等の業務に携わる社会人を想定しています。し
かしながら、近年の金融業務の範囲の拡大によって、その他の業種や官庁においても金
融技術を理解する必要性は増しています。また、これからの企業経営では、市場を相手
とした高いレベルでの財務的意思決定がますます重要な役割を担うようになるでしょう。
本コースは、このような現代の金融に関し基礎知識を体系的に習得したいと考える社会
人の方々に絶好の機会を提供します。
本コ ー ス ( 4 月 入 学 ) の 授 業 は 、 一 橋 大 学 大 学 院 国 際 企 業 戦 略 研 究 科
(所在地: 千代田区一ツ橋 2-1-2 学術総合センター内)において、夜間のみ
行います。本コースは、教育訓練給付金の支給対象となる指定講座です。
なお、本コースは、年2回の募集(秋期と冬期)を行いますが、募集人員は合
わせて41人とします。また、冬期の募集は若干名とします。
1. 学 生 募 集 人 員
経営・金融専攻(金融戦略・経営財務コース)
秋期募集
41 人
経営・金融専攻(金融戦略・経営財務コース)
冬期募集
若干名
2. 出 願 資 格
入学時点において、企業・官公庁等における原則 2 年以上の実務経験を有する者で、次の各号のいず
れかに該当する者。
1
(1)
学校教育法第 83 条第 1 項に定める大学を卒業した者及び平成 27 年 3 月までに卒業見込みの者
(2)
学校教育法第 104 条第 4 項の規定により学士の学位を授与された者及び平成 27 年 3 月までに授与
される見込みの者
(3)
外国において学校教育における 16 年の課程を修了し、Bachelor of Arts(以下 B. A.と略す)又は
Bachelor of Science(以下 B. S.と略す)を取得した者及び平成 27 年 3 月までに取得見込みの者
(4)
外国の学校が行う通信教育における授業科目を我が国において履修することにより当該外国の学
校教育における 16 年の課程を修了した者及び平成 27 年 3 月までに修了見込みの者
(5)
我が国において、外国の大学の課程(その修了者が当該外国の学校教育における 16 年の課程を修
了したとされるものに限る。)を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられた
教育施設であって、文部科学大臣が別に指定するものの当該課程を修了した者及び平成 27 年 3 月ま
でに修了見込みの者
(6)
専修学校の専門課程(修業年限が 4 年以上であることその他の文部科学大臣が定める基準を満たす
ものに限る。)で文部科学大臣が別に指定するものを文部科学大臣が定める日以降に修了した者及び
平成 27 年 3 月までに修了見込みの者
(7)
文部科学大臣の指定した者
(8)
学校教育法第 102 条第 2 項の規定により大学院に入学した者であって、当該者をその後に入学さ
せる大学院において、大学院における教育を受けるにふさわしい学力があると認めた者 注 1)
(9)
本研究科において、個別の入学資格審査により、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認
めた者で、22 才に達した者注 1)
(10)
その他本研究科において、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者 注 1)
注1)上記(8)、(9)、(10)に該当する者は、秋期締切
平成 26 年 8 月 18 日(月)までに、冬期締切
平成 26 年 12 月 1 日(月)までに本研究科事務室に申し出て、その指示に従うこと。
2
3. 出 願 書 類
書
類
等
入学志願票
提出者
全 員
卒業(修了)証明書等
学業成績証明書
摘
要
所定の書式に所要事項を記入し、写真を貼付したもの。
上記出願資格(1)によ
る志願者
出身大学長(学部長でも可)が作成したもの。本学卒業者は学
業成績証明書をもって代えます。
上記出願資格(2)によ
る志願者
大学評価・学位授与機構が発行する学士の学位授与証明書
上記出願資格(3)~(5)
による志願者
B. A.又は B. S.を有する証明書
上 記 出 願 資 格 (6) ~
(9)に よ る 志 願 者
出願前に一橋大学大学院国際企業戦略研究科事務室へ問い合
わせてください。
全
員
出身大学長(学部長でも可)が作成したもの。
勤務先あるいは過去に勤務していた企業・官公庁等が発行し
たもの。 在職期間又は実務経験期間を明示してください。在
職証明書の取得が困難な事情がある場合には、出願前に一橋
大学大学院国際企業戦略研究科事務室へ問い合わせてくださ
い。
在職証明書
全
員
評価報告書
全
員
所定の書式を用い、志願者の職業上の経験・能力を知る者(勤
務先の上司など)が作成し、厳封したもの。
評価報告書を提出できない場合は、所定の書式に志願者自身で
作成してください。この場合は、厳封の必要はありません。
修士論文計画書
全
員
所定の要領に従って作成したもの(詳細は別紙参照)
。
1) 書式・枚数:書式は A4 横書きとします。パソコンを使用
して 11 枚にまとめてください。用紙等は各自で準備してく
ださい。
3部
2) 内容: 修士論文のテーマ、文献、使用したいと考えるデー
タ、論文及び報告書、基礎知識と構想、その他
3) 提出部数:正本 1 部、副本(正本の写し)2 部、計 3 部
住民票の写し
第 1 次試験結果通知書
等送付用封筒
外国人出願
者のみ
全
員
市区町村長の交付する在留期間、在留資格が明記されたもの。
外国人登録を済ませていない者は、パスポートの写し。
定形封筒(23.5cm×12cm)に、簡易書留相当分(392 円)の郵
便切手を貼付の上、第 1 次試験結果通知書等送付先の住所・氏
名を明記したもの。
注) 提出書類の中に、
外国語で書かれた証明書、文書等がある場合には、その日本語訳を添付してください。
3
4.入学検定料
入学検定料
※
日本在住の者:銀行振込により納入してください。
振込先:三井住友銀行国立支店
30,000円
口座名義:
「国立大学法人一橋大学国際企業戦略研究科検定料口」
(振り込む際、ATM,
口座種別、口座番号:「普通預金7761795」
インターネット等は利
なお、振込の際、名前の前に「633」の番号を入力してください。
用しないでください。
)
必ず利用明細又は、振込受取書のコピーを出願書類と一緒に添付してくだ
さい。
※ 日本国外に在住の者:一橋大学のホームページからクレジットカード決
済により納入してください。
http://www.hit-u.ac.jp/admission/index.html
※
日本政府(文部科学省)奨学金留学生:入学検定料は振り込まずに、そ
の旨を証明する所属大学発行の証明書を添付してください。
振込期間
秋期:平成 26 年 9 月 29 日から 10 月 3 日
冬期:平成 27 年 1 月
5 日から 1 月 9 日
5. 出 願 方 法
(1) 志願者は、入学検定料を振り込みの上、上記3の出願書類及び利用明細又は、振込受取書の
コピーを一括し、封筒の表に「専門職学位課程金融戦略・経営財務コース願書在中」と朱書き
の上、所定の期間内に必着するよう郵送(書留郵便)で提出してください。
なお、出願書類は直接持参しても受付けませんので注意してください。
外国から出願する場合は、日本在住の代理人が出願書類等を提出することとなります。
(2)
(3)
出願期間:
秋期
平成 26 年 9 月 29 日(月)から 10 月 3 日(金)
〔10 月 3 日消印有効〕
冬期
平成 27 年 1 月
5 日(月)から 1 月 9 日(金)
〔 1 月 9 日消印有効〕
願書の提出先:〒101-8439 東京都千代田区一ツ橋 2-1-2
学術総合センター内
一橋大学大学院国際企業戦略研究科事務室
6. 選 考 方 法
第 1 次試験(書類審査)
、及びその合格者に対する第 2 次試験(口述試験)の結果を総合して合否
を決定します。
(1)
第 1 次試験(書類審査)
①
出願書類について審査を行います。
②
合否結果、及び第 2 次試験(口述試験)の実施日時については、
(2)
①
秋期
平成 26 年 10 月 27 日(月)以降に通知します。
冬期
平成 27 年
1 月 23 日(金)以降に通知します。
第 2 次試験(口述試験)
第 1 次試験(書類審査)の合格者を対象に、以下の日程で第 2 次試験(口述試験)を行います。
4
秋期
期
日
試
験
科
目
10 月 31 日(金) 口述
~11 月 6 日
(木)
(11 月 2・3 日を
除く)
提出された修士論文計画書に基づき、専
門に関連する事項、その他について行いま
す。
試 験 時 間
10 月 31 日(金):
1 8 :0 0 ~ 2 1 :3 0
11 月 1 日(土):
1 0 :0 0 ~ 1 7 :0 0
4 日(火)
・5 日(水)
・6 日(木)
:
1 8 :0 0 ~ 2 1 :3 0
冬期
期
日
試
験
科
目
2 月 6 日(金)
、 口述
2 月 7 日(土)
提出された修士論文計画書に基づき、専
門に関連する事項、その他について行いま
す。
②
試 験 時 間
6 日(金):
1 8 :0 0 ~ 2 1 :3 0
7 日(土):
1 0 :0 0 ~ 1 7 :0 0
第 2 次試験(口述試験)試験場
東京都千代田区一ツ橋 2-1-2 学術総合センター内 一橋大学大学院国際企業戦略研究科
(地下鉄竹橋駅より北へ徒歩約 5 分又は、神保町駅より南へ徒歩約 5 分)
7. 合 格 者 発 表
日
時:秋期
冬期
平成 26 年 11 月 20 日(木)
場
平成 27 年 2 月 19 日(木)
13:00
13:00
所: 学術総合センター内 一橋大学大学院国際企業戦略研究科掲示場(5F)
また、合格者受験番号を本研究科事務室ウェブサイトに掲載します。
一橋大学大学院国際企業戦略研究科事務室ウェブサイト:http://board.ics.hit-u.ac.jp/jimu/
なお、秋季合格者には、事務室窓口で合格通知書を手渡します。その際には必ず第 1 次試
験結果通知書をご持参ください。
冬季入試合格者には合格通知書及び入学手続書類を郵送します。
8. 入 学 手 続 き
(1)
入学手続期間(秋期・冬期とも)
平成 27 年 3 月 3 日(火)から 3 月 9 日(月)まで。 (土日除く 13:00 ~ 20:00)
(2)
入学手続の際に納入する経費等
入 学 料:
282,000 円
入学料については、入学手続期間内に納入がない場合、入学辞退者となります。
(注)本学には、入学料・授業料の免除・徴収猶予の制度がありますので、希望する場合には、入
5
学料・授業料を納入せずに、入学手続時に申請書類の交付を受けて、所定の期間内に申請を
行ってください。
(納付後の免除・徴収猶予の申請は出来ません。また、免除申請においては、
免除実施額が僅かであり不許可者が多数発生する等、全般的に厳しい状況にあるので、入学
料・授業料納入の準備は事前に十分行っておいてください。)
(3)
その他
入学手続きに必要な書類とその提出方法については、合格者に改めて通知します。(2 月下旬)
授業料(267,900 円(年額 535,800 円のうち半期分))については、入学後に納入することになり
ます。納入時期、納入方法については改めて通知いたします。
入学料、授業料の納入金額は、予定額であり、入学時又は在学中に改定が行われた場合には、
改定時から新たな納入金額が適用されます。
9. 注 意 事 項
(1)
気象状況や公共交通機関の遅延・運休等が入試実施に影響を及ぼす場合等、受験者に対し緊急
連絡を行う場合は、本研究科事務室ウェブサイト(http://board.ics.hit-u.ac.jp/jimu/)にて通知します。
(2)
入学試験に関する照会は、書面によるものとします。一橋大学大学院国際企業戦略研究科事務室
宛てに手紙又はファックス(03-4212-3006)で送付してください。
電話による問い合わせには応じません。
(3)
出願後の志望研究科、専攻、コースの変更は認めません。なお、志望するコース以外の教員の演習
は選択できないので注意してください。
(4)
出願書類及び既納の入学検定料は返却しません。
(5)
各種証明書は必ず原本を提出することとします。複写したものは受理しません。ただし、複写可の
断り書きがある書類については、この限りではありません。
(6)
口述試験の際には必ず第 1 次試験結果通知書を持参してください。
(7)
出願書類の記入にあたっては、原則としてパソコンを使用することとします。自筆等によって
記入する場合は黒又は青のペン(ボールペン可)で記入してください。
(8)
身体機能に障害のある人は、その障害の程度に応じ、受験時や入学後の学修に際して特別な配慮
をし、措置をとる必要とその準備があるので、出願に先立ち、一橋大学大学院国際企業戦略研究科事
務室に必ず申し出て相談してください。
(9)
(10)
入学手続き後、どのような事情があっても、入学料の払い戻しはしません。
入学試験合格者の個人情報及び成績は、入学後の教育・学業支援等の目的に使用することがあ
ります。
6
金 融 戦 略 ・ 経 営 財 務 コ ー ス 教 員 及 び 授 業 科 目 一 覧 ( 平 成 26 年 度 参 考 )
【 授業担当教員 】 (○は演習担当教員)
○
伊 藤
彰 敏
教
授(コーポレート・ファイナンス)
○
大 橋
和 彦
教
授(資産価格分析、金融契約論)
○
佐 山
展 生
教
授(M&A、バイアウト)
○
中 村
信 弘
教
授(投資戦略、金利・債券市場分析)
○
林
文 夫
教
授(マクロ経済学、応用計量経済学)
○
本 多
俊 毅
教
授(資産価格理論、証券投資、ポートフォリオ)
(国)楠 木 建
教
授
(研)祝 迫 得 夫
教
授
○
中 川
秀 敏
准教授(金融リスクのモデル化)
○
野 間
幹 晴
准教授(アカウンティング、企業価値評価)
○
横 内
大 介
准教授(統計学、統計的データ分析)
(国)大 上 慎 吾
准教授
土 岐
大 介
客員教授
服 部
暢 達
客員教授
藤 田
岳 彦
客員教授
沖 本
竜 義
客員准教授
青 木
義 充
非常勤講師
明 石
英 司
非常勤講師
大 沼
宏
非常勤講師
【 授業科目一覧 】
〔基礎科目〕
ファイナンス理論の基礎
コーポレートファイナンスの基礎
金融データ分析の基礎
会計・バリュエーションの基礎
ファイナンス理論
コンピュテーショナル・ファイナンス
金融数理の基礎
〔専門科目〕
統計科学の数理
ポートフォリオ投資論
派生証券理論
ファイナンシャル・リスク・マネジメント
コーポレート・ファイナンス
金融数理
アカウンティング
M&Aストラクチャ論
投資戦略論
資産価格の実証分析
金融機関経営論
金融データの時系列分析
線形モデル入門
データモデリング入門
計量経済学Ⅰ
計量経済学Ⅱ
7
ファイナンスにおける諸問題
金融経済学(情報とインセンティブ)
線形代数入門
微積分学入門
企業価値向上論Ⅰ
企業価値向上論Ⅱ
M&A実践論Ⅰ
M&A実践論Ⅱ
コーポレート・ファイナンス(ケース分析) エナジー・ファイナンス
金融リスク計量における諸問題
金融リスク計量入門
経営戦略論
企業税務の実務と実証研究
特別講義
修士論文演習1
修士論文演習2
修士論文演習3
修士論文演習4
☆博士後期課程
〔専門科目〕
資産価格理論
金融市場の計量ファイナンス
金融計量経済学Ⅰ
【修了要件】
 本コースの修了要件は、2年以上在学し、講義科目26単位以上、演習8単位以上を修得し、かつ、
必要な研究指導を受けた上、本研究科が行う学位論文の審査及び最終試験に合格することです。修
了者には「経営修士(専門職)
「金融戦略・経営財務MBA」
」の学位が授与されます。
8
カリキュラム
〔金融戦略・経営財務コースの目的とアドミッション・ポリシー〕
金融技術の発展、業務の自由化や経済の国際化、BIS 規制等の制度導入によって、資産運用やリス
ク管理、資金調達、価値評価や M&A といった金融活動は高度化を続けてきました。世界的な金融危
機やエマージング・マーケットの興隆を通じて、ファイナンスの知識を体系的に習得し、金融技術を
戦略的に使いこなす能力を持った人材がこれまで以上に求められています。
金融戦略・経営財務コースは、現代の金融業務に必要な知識を備え、問題を的確に把握し、最先端の
学問と実務の成果を利用して、
直面する実際の問題に自らの判断で対応できる高度な能力を持った専
門的職業人の育成を目的とするプログラムです。金融に関わる幅広い問題を定性的・概念的に深く理
解し、実際のデータを使って定量的に分析し、それらを経営上の判断に生かすことができる高度金融
人材の育成を目指しています。
入学試験の目的は、出願者の全体の中から、我々のプログラムに最も適する応募者を見いだすことに
あります。金融戦略・経営財務コースのカリキュラムは、高度な金融人材の育成を目的として構成さ
れています。このため、入学者が上記の出願資格を満たすことに加え、つぎのような要件を満たすこ
とを期待しています。
入学者に求められる能力
以下は、本コースの講義・ゼミを履修して単位を取得するために必要となる能力です。これらす
べてが満たされていることが望ましいと考えます。不足していると自覚する項目があれば、自ら努
力をして改善してゆくことが求められます。
・何よりもまず自分の頭で考えて問題解決しようという意識が強いこと
・自分の考えを論理的に口頭発表や文章で表現するとともに、他者の考えにもきちんと耳を傾け
て意見交換することができるようなコミュニケーションが図れること
・英語で書かれた書籍や専門論文をきちんと読解することができること
・ファイナンスの理論モデルを理解したり統計分析を行ったりするための準備として、少なくと
も高等学校までの数学(微分・積分、数列とその和)を理解している者、あるいは短期間で復
習する意欲がある者
・ワープロ、表計算ソフト等を苦労なく操作できるコンピュータのスキルを身につけていること
本コースでの学習をより充実したものにするために求められる能力
以下は、本コースでより質の高い学習をしたり、より質の高い修士論文を作成したりするために、
入学者が習得していると好ましい能力の例です。
・経済学、会計学、経営学、統計学等の基本的な理解
・財務会計や企業価値評価の基礎的な事項を学習しており、財務諸表分析の経験があること
・外国人教員やゲストスピーカーによる英語の授業を理解し、英文レポートの作成やケーススタ
ディの議論が英語でできること
・統計学やデータ分析の基礎的な事項を学び、統計や計量経済学のソフトウェア(SAS, Gauss,
RATS, Eviews, S-Plus, R など)、C, C++といったプログラム言語、MatLab, Mathematica と
いった数値計算プログラムなどを利用した経験があること
・大学学部の課程において、線形代数、多変量解析、微分方程式、確率論、中級以上の統計学な
どの授業を履修しその内容を十分に理解していること
・経営学、会計学、商学、経済学、歴史学、社会学、心理学など、多様な社会科学の学問を幅広
く学んでいること
9
〔カリキュラム〕
金融戦略・経営財務コースは、平日の 18 時 20 分に講義を開始するコースです。講義は外国人教員
による場合等以外は日本語で行われます。各学年は、4 月に始まり翌年の 3 月に終了します。専門職
学位課程の標準修了年限は 2 年です。修了の要件は、本研究科で規定の単位数(34 単位)を修得し、
かつ、必要な研究指導を受けた上、学位論文の審査及び最終試験に合格することです。
授業は、基礎科目と専門科目の講義、及び専門科目の演習に分けられます。
基礎科目の講義では、全体を広く理解するために必要な基礎知識を習得します。
専門科目の講義では、特定のトピックについて詳しく学びます。演習では、受講者が自ら選んだテー
マに関して研究し問題解決を的確に行える力を身につけます。
演習は必修です。演習による指導は一橋大学の伝統であり、教育システムとして国際的に高い評価
を受けています。
基礎科目及び専門科目の講義は半年各2単位、専門科目の演習は半年各2単位です。
平日毎日 1 コマの授業を履修し続けると、少しの余裕をもって 2 年間で修了することが出来ます。
授業の内容が豊富であるため、平日は夜間しか勉強する時間が取れない学生は、毎日 1 コマの授業
履修の準備(予習と復習、宿題等、毎日 3 時間程度)で各週の時間を使い果たすことになるでしょ
う。夜間だけでなく昼間も勉強する時間を与えられた学生は、平日毎日 2 コマの授業履修の準備を
行うことが出来るでしょう。
金融戦略・経営財務コースの授業に加え、学生は、定められた範囲内で国際企業戦略研究科経営法
務専攻及び国際経営戦略コースの科目を単位として取得することができます。
修了者には、
「経営修士(専門職)
「金融戦略・経営財務 MBA」」
(Master of Business Administration
(MBA) in Finance)の学位が与えられます。
〔開講科目〕
基礎科目
基礎科目では、現代のファイナンス全体の理解に必要な基礎知識を、投資と価格決定の理論、統計
的方法に基づくデータ分析と実証、企業金融と財務の 3 分野に分割し、以下の講義で網羅します。
○
ファイナンス理論の基礎:
ファイナンス理論の基礎では、資産価格、投資、資金調達の決定に関するファイナンスの基
本的な考え方を広く学びます。
全体像の体系的な理解と専門への基礎知識の習得のために、
ファ
イナンス理論の基礎、ファイナンス理論双方の履修を推奨します。
概要:基礎では、まず、ファイナンス理論の全体像の中で機軸となる幾つかの基礎理論の位
置付けを鳥瞰します。その後、無裁定による資産価格の決定とその応用、マルチンゲール価格
理論の基礎、Black-Scholes オプション価格公式等を学びます。最も単純な 1 期間モデルにお
いて基本的な結果を網羅的に理解した後、それらを多期間モデルの枠組みへと拡張します。
○
ファイナンス理論:
ファイナンス理論の基礎で扱えなかった証券価格及び投資決定に関する基礎理論を広く学び
ます。ここでは、投資の最適化と資産価格及び 情報の非対称性が金融活動に与える影響を中心
に学びます。具体的には、不確実性下における投資決定問題、平均分散アプローチと CAPM、代
表的個人と CCAPM、APT、多期間最適化問題とダイナミック・プログラミング、情報の非対称性
と資金調達、インセティブと金融契約、流動性等の問題を扱います。
○
コーポレート・ファイナンスの基礎:
本講義の目的は、コーポレート・ファイナンスの基礎的な概念や理論について学習し、実際
的な意思決定問題への応用力を養うことである。本講義では、経営上の重要な課題がコーポレー
ト・ファイナンスの観点からどのように分析されるかを議論していく。具体的には、
(1)価値
評価(valuation)と投資の意思決定、
(2)資本構成に関するトレードオフ理論、
(3)利益還元
政策(配当と自社株買い)、
(4)エイジェンシー問題と経営者のインセンティブ、
(5)情報の
非対称性と財務的意思決定について論じていく。
10
○
金融データ分析の基礎:
経済・ファイナンスデータの分析に必要となる統計学と計量経済学の基礎理論について解説
します。また、パソコン実習を適宜行うことで、統計ソフトウェアの基本的な使い方を学ぶと
ともに、実際の経済・ファイナンスデータを分析することも行います。
講義を通じて、統計学と計量経済学の基礎理論を理解するとともに、授業で学んだモデルを
推定し、結果を正しく解釈できるようになることを目標とします。
○
コンピュテーショナル・ファイナンス:
ファイナンスのモデル検証では数値解法、数値計算が重要な要素技術である。本講義では、
まず、簡単にプログラミング技法のガイダンスを行った後、ファイナンスで現れる事例を通じ
て、プログラミングに慣れてもらう。続いて、ファイナンスの代表的数値計算法(オプション
評価、格子法、モンテ・カルロ法など)を順次、解説していく。その他に、数値計算技術の観
点からリスク管理、金融市場の計量分析に繋がる入門的話題も取り上げる。
○
会計・バリュエーションの基礎:
金融戦略・経営財務コースにおける計量分析に最低限必要なアカウンティングの知識の習得、
財務諸表分析の手法、そして会計情報を用いた企業評価フレームワーク(DDM、DCF、EVA、
残余利益モデルなど)を正確に理解することが、本科目の目標である。それによって、株価な
どのデータと、企業が公表する会計データとの統合的な分析が可能となることを期待したい。
レクチャーとともに、関連するケースをとりあげて、分析・ディスカッションを行うことによ
り理論に関する理解を深めたい。
〇
金融数理の基礎:
確率モデルを用いて金融市場を理論的に分析する学問である「数理ファイナンス」の基本的
な概念を理解するために必要な数学(確率解析)の基礎的な内容を理解してもらうことがねらい
です。具体的には、離散時間モデルにおけるデリバティブの価格付け理論の理解を最終的な目
的としますが、そのために必要となる確率論の知識・考え方および、さらにその前提となる論
理・集合論・測度論・積分論などの基本的な知識・考え方にまで立ち戻って理解してもらうこ
とを目指します。
専門科目(講義)
専門科目の講義では、特定の分野に関する専門的な知識を習得します。講義科目名は以下の通りで
す。扱う内容の水準に応じて「入門的内容」「標準的内容」「発展的内容(博士後期課程向け科目)と
整理しています。
◆入門的内容
○
線形代数入門:
線形モデルの当てはめやポートフォリオ理論などを理解するために必要な線形代数の内容を
選び講義します。厳密な証明などは省き、代わりに直観的な理解を助けるような解説を行う予定
です。基本的な数学を理解している学生や理工系学部出身の学生は「金融数理の基礎」からの受
講を強く勧めます。
○
微積分学入門:
1 変数の微積分法および多変数の微積分法(偏微分法、重積分法)の基礎を講義する予定です。
この講義では厳密な証明は省き、受講者の計算力の養成に重点を置きます。基本的な数学を理解
している学生や理工系学部出身の学生は「金融数理の基礎」からの受講を強く勧めます。
○
線形モデル入門:
線形モデルの当てはめやポートフォリオ理論などを理解するために必要な線形代数の内容を選
び講義します。厳密な証明などは省き,代わりに直観的な理解を助けるような解説を行う予定で
す。基本的な数学を理解している学生や理工系学部出身の学生は「金融数理の基礎」からの受講
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を強く勧めます。
○
データモデリング入門:
この講義ではファイナンスデータの分析でよく用いられる統計解析の手法(線形モデル、一般
化線形モデルは除く)について紹介します。具体的な内容としては AR や GARCH などの時系列
モデル、クラスタリング、判別分析、樹形モデルといった機械学習法を取り上げる予定です。理
解に必要となる数学的な知識や統計プログラミングについては、授業中に適宜解説します。
○
金融リスク計量入門:
本講義の目的は、金融リスク計測の目的や基本的な考え方を 90 年代に開発された RiskMetrics
(市場リスク計量モデル)および CreditMetrics(信用リスク計量モデル) に基礎づけられたリス
ク分析ツール(RiskManeger, CreditManager)のアウトプットや使用例を通じて修得してもらうこ
とです。モデルの解説の際には、最小限の数式や統計的概念を用いることはありますが、数学や
統計の側面を深追いしません。リスク管理分野に現在・将来携わっていく方にとどまらず、ふだ
ん金融リスクと関係ない業務に従事している人が、金融リスク計測の重要性が金融機関にとどま
らなくなっていることを認識して、各自が携わるビジネスシーンで「どのような金融リスクを考
慮する必要があるか」「またそれをどのようにマネジメントすべきか」を自然に考えてくれるよ
うになることを期待しています。
◆標準的内容
○
ファイナンシャル・リスク・マネジメント:
市場リスク計測と信用リスク計測に関連するトピックをいくつか選び解説します。市場リスク
計測では、Value at Risk(VaR)、Expected Shortfall(ES)、リスク尺度、リスク資本配賦、に関係する
話題を扱いたいと考えています。
また、信用リスク計測においては、信用ポートフォリオのリスク計測のための統計モデルや、
クレジット・デリバティブやカウンターパーティリスクの評価のための確率解析モデルに基づく
評価法も扱いたいと考えています。これらの話題に関連して数本の論文の講究も行う予定です。
○
コーポレート・ファイナンス:
「コーポレート・ファイナンスの基礎」で習得した知識をベースとしつつ、コーポレート・ファ
イナンスのいくつかの主要なトピックについて理論・実証の両面でこれまでの研究成果を概観す
ることで、コーポレート・ファイナンスに関してより深い理解を得ることを目的とする。あわせ
て実証研究におけるメソドジー(研究目的に見合った仮説の設定、適切な推定方法や検証方法の
選択)にも焦点をあてる。具体的なトピックとしては、(1)株主構成と企業価値、(2)資本構
成の調整速度とダイナミクス、
(3)機関投資家のコーポレート・ガバナンス、
(4)パネル・デー
タ分析、
(5)自己選抜バイアスの調整、など。
○
M&A ストラクチャ論:
国内外の企業合併・買収(M&A)市場における案件設計と交渉の概要を議論し、実務的な
M&A ノウハウの理解・習得を目指す。特に株式買収・合併・株式交換・営業譲渡・公開買付・
会社分割・敵対買収防衛策などのテーマを取り上げ、海外との比較から商法・税法・証券取引法・
会計原則など多岐にわたる M&A 関連の日本の諸制度に対する理解を深め、現行制度に関する問
題点も議論する。
加えて標準的な企業売却プロセスの理解を通じて M&A 実施に当たっての交渉・
案件設計ノウハウを考える。
○
金融機関経営論:
この講義は、過去の意思決定事例、将来の意思決定要素、経営資源、実務経験者との討議か
ら構成される。過去の事例として、変化が激しかった投資銀行業界と大きく拡大した資産運用
業界を中心に、1990 年以降の資本市場変化、金融危機における意思決定パターンを分析する。
BRICs 他の新興国への投資は、金融機関及び事業会社の将来の戦略的意思決定と考えられ、そ
れらの国の経済成長要因と投資意思決定要素を整理する。戦略的意思決定の実行に必要な金融
機関の主要経営資源についてまとめ、実際の金融機関等の経営意思決定に携わった方々と討議
する。
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○
金融数理:
金融工学、数理ファイナンスに必要な金融数理(初等的な確率論、各種の確率分布、ランダ
ムウォークなど)について講義するとともに、自分で手を動かすことによって理解し、計算力
をつけることをねらいとする。履修のための条件は特にはないが高校数学をよく理解し正しく
運用できることが望ましい。大学1,2年程度の数学を理解しているとなお可。しかし、高校
数学、大学数学ともに授業内で十分復習する。
○
資産価格の実証分析:
この授業は資産価格論の実装分析に関するコースであり、マクロ経済・行動ファイナンスに
ついても若干とりあげる。主なトピックは以下の通り。
*ランダム・ウォーク仮説の厳密なテストと Brownian motion の推定
*CAPM,Fama-French 等の株式市場のクロスセクションのテスト
*確率割引ファクターの概念を用いた実証分析
*行動ファイナンスの実証分析
*現在価値関係の実証上の含意
実例として取り上げるのは主に株式市場に関する分析で、債券市場と派生証券のトピックに
関しては原則扱わない。
○
M&A 実践論 I:
1970 年代から欧米では日常茶飯事の M&A も、日本経済に本格的に定着し始めたのは 1990 年
代に入ってからのバブル崩壊後である。しかし、
「やらざるを得ない M&A」は起こるようになっ
てきたものの、
「やった方がいい M&A」はまだまだ十分に起こっているとは言い難いのが、日
本の M&A 市場である。欧米企業は大型のグローバルな M&A を繰り返し企業規模を拡大し、時
価総額で日本企業に大きく水をあけてしまった。どの業界をみても、M&A 戦略抜きには生き抜
けない状況になってきているのは間違いなく、経営者にとって正確に M&A についての理解を
深めることは極めて重要である。本講座では、企業の価値とはどう考えればいいのか、M&A は
どうすすめるべきなのか、ゼロから実践的なレベルまで、M&A についての理解を深めることを
目的としている。
M&A 実践論Ⅰでは、
「M&A の進め方」
、具体的には、いかに対象企業を探し、交渉するか等
中心に考える。
○
M&A 実践論Ⅱ:
M&A 実践論Ⅱでは、「企業評価」について、基本的な考え方と実践的に使用されている方法
も諸問題も考察する。
○
計量経済学 I:
『計量経済学 I』と『計量経済学 II』は,資産価格の実証分析に必要な幾つかの計量分析ツー
ルの解説と、それらツールの応用例の紹介です。前半部分である『計量経済学 I』では、まず時
系列分析の基本を復習したあと、実証ファイナンスで使われる二大手法のひとつである GMM
を勉強します。GMM の応用例として、Consumption CAPM(消費ベースの資産価格理論)
、線形
ファクターモデル、FX 市場の効率性などを取り上げます。受講者は,線形代数、確率論、統計
学、微分・積分の初歩的な知識を持ち合わせていることを前提に授業を行います。また,宿題
では、マトリックスを扱うプログラムである R か Matlab を使うことを前提とします。なお、
『資
産価格の実証分析』と内容的に重なる部分があります。この授業では,
『資産価格の実証分析』
に比べて、計量経済学はより詳しくカバーしますが、日本株の実証分析は行いません。
○
計量経済学Ⅱ:
『計量経済学 I』と『計量経済学 II』は、資産価格の実証分析に必要な幾つかの計量分析ツー
ルの解説と、それらツールの応用例の紹介です。後半部分である『計量経済学 II』では、実証
ファイナンスで使われる二大手法の一つである最尤法(ML)をまず勉強します(もう一つの手
法である GMM は,
『計量経済学 I』でカバーします)
。ML の応用例として、金利の期間構造モ
デル、ボラティリティーモデル、資産市場間の連関を分析するモデルなどを取り上げます。受
講者は、
『計量経済学 I』をすでに履修していることが望ましいですが、それを『計量経済学 II』
の履修のための必要条件とはしません。ただし、線形代数、確率論、統計学、微分・積分の初
歩的な知識とともに、
『計量経済学 I』でカバーしたような時系列分析の基礎知識を前提に授業
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を行います。また、
『計量経済学 I』と同じく、宿題では、マトリックスを使うプログラムであ
る R か Matlab を使うことを前提とします。
○
ファイナンスにおける諸問題:
ファイナンスの基礎的な論文をいくつか取り上げ、その文献でどのような分析が行われ、分
析結果を著者がどのように解釈、説明しているのかを読み解くことに重点をおきます。基礎的
な文献ということで古典的な立場を強調する論文をとりあげる予定ですが、必要に応じて、行
動ファイナンスなど、別の立場を強調する文献もとりあげて比較します。取り上げるテーマは、
1. 効率的市場、2. 金利の期間構造、3. 株式リターンの予測可能性、4. CAPM の実証研究、5. ファ
クターモデル、6. 投資信託のパフォーマンス評価など。
○
金融経済学(情報とインセンティブ)
:
情報の非対称性とインセンティブの問題が金融市場に与える影響を分析します。具体的に、
今回は、証券化金融商品の仕組みについて学んだ後、証券化とレポ市場を利用したシャドウ・
バンキングがどのようにしてリーマン・ショック以降の金融危機を引き起こして行ったか、ま
たより一般的に金融市場において流動性がいかに決定されるか等について、近年急速に発展し
たこの分野の研究結果を紹介しつつ、情報とインセンティブの観点から理解します。
○
コーポレート・ファイナンス(ケース分析)
:
「コーポレート・ファイナンスの基礎」で習得した知識をベースとしつつ、コーポレート・ファ
イナンスのいくつかの主要なトピックについてケース討論を通じて理解を深めることをめざす。
特にグローバル化の時代であることを意識して、国際財務の諸問題を中心に扱う予定である。具
体的には、(1)為替リスクのヘッジ、(2)クロス・ボーダーの価値評価、(3)国際的な資金
調達活動、
(4)国際的なM&A、などである。
○
統計科学の数理:
本講義では、金融データに(a)確率モデルをあてはめ、(b)そのモデルの推定誤差および予測誤
差の計測するために必要な統計科学の理論を解説します。統計的手法を単なるツールやマニュ
アルとして理解するのではなく、その背後にあるアイデアを体系的に理解することが主たる目
的となります。
○
アカウンティング:
本講義では、企業評価・分析を行ううえで必須の財務諸表に関する知識を獲得することを目
的とします。会計は「事業の言語」
(language of business)と呼ばれますが、会計に対する理
解が深まれば、会計の観点から企業を分析できるようになり、企業評価・分析もより深く行え
るようになります。本講義では会計制度についても説明しますが、特にその背後の理論、また
会計制度が企業行動へ与える影響などについての説明に重点をおきます。
したがって、各回の授業で実際の企業の財務諸表を用います。必ずしも毎回、ケース・スタ
ディを行うわけではありませんが、ミニケースは多用する予定なので、受講生には授業への積
極的な参加を要求します。
○
投資戦略論:
リスク資産に対する実践的な投資戦略構築の事例をゲスト・スピーカーを招いて紹介しても
らう。その理論的背景や必要な基礎知識を講義で解説し、周辺の関連する話題を取り上げる。
○
経営戦略論:
競争戦略に軸足を置いて戦略論の考え方を習得することが目的です。金融戦略専攻の学生に
とって、
「戦略」に注目して優れた経営や企業を評価するための視点を提供したいと思っていま
す。
○
ポートフォリオ投資論:
資産規模が比較的大規模な状況を念頭におきながら、標準的な資産運用手法の理解・習得を
めざします。特に、資産価格モデルと資産運用実務との関係性を重視しながら、ポートフォリ
オ構築の理論的・実際的な問題を検討してゆきます。資産価格モデルの理論分析や実証分析か
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ら得られた知見を、どのようにポートフォリオ構築に反映させてゆくべきかが主要な問題意識
となります。したがって、株式や債券といった伝統的資産を主な分析対象とします。
○
派生証券理論:
金融工学、数理ファイナンスで重要なデリバティブの価格付けについて講義するとともに、
自分で手を動かすことによって理解し計算力をつける。ランダムウォークと離散確率解析(離
散伊藤公式、ドゥーブ・メイエ分解など)から始まり、ブラウン運動、ブラウン運動に関する
マルチンゲール、確率微分方程式、伊藤の公式などを解説して、マルチンゲールに基づくブラッ
クショールズモデルでのデリバティブの価格付け、ブラウン運動汎関数とエキゾティックオプ
ションの価格理論までを目指す。
○
企業価値向上論 I:
日本経済の活性化は各企業の企業価値向上努力の集積に負っているといえる。ビジネスの世
界で活躍されている経営者と直接話をする講義をできるだけ増やし、いろいろな経営者の経営
理念に実際に触れることによって、
「よい経営者」とは、働く者にとっての「理想の会社」とは、
について考察する。本講義では、何名かの一線で活躍されている経営者をお招きし、企業価値
向上を実践的に考えることを主な目的としている。
企業価値実践論Ⅰでは、
「よい経営者」とはどういう経営者であるかを中心に考察する。
○
企業価値向上論Ⅱ:
企業価値実践論Ⅱでは、
「理想の会社」とはどういう会社かであるかを中心に考察する。
○
エナジー・ファイナンス:
ファイナンスの知識と手法のコモディティーへの利用として、特にエネルギー商品に関わる
プライシング、リスク評価・管理、運用等に関して学びます。具体的に、今回は、電力市場を
中心に、電力価格の性質と表現モデル、価格や需要・供給のリスク評価と管理、天候や燃料価
格との関係から始め、原油、天然ガス、石炭、排出権等のエネルギー商品についても近年の議
論を紹介します。
○
金融リスク計量における諸問題:
金融リスク(市場リスク・信用リスク)の計量に関する数本の論文の講究を通じて、モデル
の理論的背景(特に数学的議論)の理解を深め、実際の金融リスク・マネジメントとの距離感
や実用化の方法などについて議論します。それを通じて、金融リスク計測に関連するモデルの
理論的側面について、数学的議論を通じてきちんと理解することを目指します。くわえてモデ
ルの実証方法を理解し、部分的に論文中の手法を再現することでリスク計測技術の向上も目指
します。さらに、専門学術雑誌に掲載された学術論文をきちんと読む姿勢を身につけることも
副次的に目指します。
○
企業税務の実務と実証研究:
本講義の目的は、制度と実証研究の両側面から企業税務を理解することである。
前半のパートでは、実務の観点から現行法人税制の重要な基礎的項目を解説する。実務編 7
回の講義により企業課税の基本構造・手順・基本用語とその概念の理解を目指す。後半のパー
トでは、前半のパートで学習した企業課税の実務を踏まえ、企業税務がどのように組織行動や
企業戦略、企業評価などに影響を与えるかを実証研究の知見から学ぶ。
○
金融データの時系列分析:
経済・ファイナンスデータの分析に頻繁に用いられる時系列モデルの基礎理論や応用例につ
いて解説します。講義を通じて、経済・ファイナンスデータの分析に必要となる時系列モデル
の基礎的な考え方を理解し、それらのモデルを実際の経済・ファイナンスデータに応用する方
法を取得することを目標とします。
◆発展的内容(博士後期課程科目)
以下の科目は博士後期課程学生向けの科目ですが、専門職学位課程学生であっても、当該科目担当
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教員と面接の上、承認されれば、履修することが出来ます。
○
資産価格理論:
本講義は、ファイナンスに関する博士レベルの基礎理論を学ぶ上級科目であり、主な目的
は資産価格や最適投資の決定に利用される様々なモデルの背景と数学的・経済構造を、自分
の手を動かして習得することです。そのため、受講者には、教科書及び配布される資料に関
する報告とディスカッションが毎週求められます。
○
金融市場の計量ファイナンス:
前半は、金融市場の依存関係の計量分析において重要な役割を果たす時系列モデルを概観
した後に、ベイズ統計に基づく時系列の推定法とフィルタリングによる状態推定法を学ぶ。
○
金融計量経済学 I:
ファイナンスの博士課程の学生向けの計量経済学です。Fumio Hayashi の Econometrics が教
科書です。修士向けの『計量経済学』では、GMM と Maximum Likelihood についての一通り
の解説をしますが、この授業では、それらのトピックについて、より詳細に、証明の仕方も
含めて勉強します。講義形式にするか、輪読形式にするかは、履修学生の希望に応じて決め
ます。
専門科目(演習)
演習は必修です。受講者は、以上の講義に加え演習として、特定の教員の指導のもと特定の問題に
ついて研究することを求められます。研究する問題は各自が入試申請時に提出した研究計画書に記述
されたものを基本とします。授業科目のなかで身につけた方法論と理論的知識、さらに自らの実務経
験をもとにして演習を行います。専門職学位論文は、この演習における学習・研究をもとに作成され
ます。通常、指導教員を中心とするセミナー形式で研究が進められ、受講者には積極的な貢献が期待
されます。
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