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第 28 回太陽光発電欧州会議
第 28 回太陽光発電欧州会議(28 th European Photovoltaic Solar Energy Conference and Exhibition)報告 2013.10.7 山口真史(豊田工大) 1.開催月日:2013年9月30日~10月4日。 2 . 開 催 場 所 : Parc des Expositions Paris Nord Villepinte( パ リ 、 フ ラ ン ス ) 。 3.本会議の概要: 毎 年 開 催 さ れ る 太 陽 光 発 電 に 関 す る 欧 州 会 議 で あ る 。今 回 の 会 議 の 組 織 委 員 長 は 、Amaud Mine( SER - Syndicat des Energies Renouveiables、 フ ラ ン ス ) で 、 論 文 委 員 長 は Arnulf Jager-Waldau( EC-JRC、イ タ リ ア )で あ っ た 。今 年 は 、77 の 国 と 地 域 か ら 3,756 名 の 参 加 者 が あ っ た 。前 回 よ り 、270 名 程 少 な い が 、太 陽 光 発 電 に 関 す る 最 大 規 模 の 会 議 と な っ た 。 図1 国別参加者数 図 1 に 、国 別 参 加 者 数( pre-registered)を 示 す 。国 別 で は 、① ド イ ツ 24% 、② フ ラ ン ス 10% 、 ③ 日 本 8% 、 ④ 米 国 6% 、 ⑤ イ タ リ ア 5% 、 ⑥ 韓 国 4% 、 ⑦ オ ラ ン ダ 4% 、 ⑤ ベ ル ギ ー 4% 、 ⑨ ス イ ス 4% 、 ⑩ 中 国 3% 、 の 順 で あ っ た 。 図 2 は 、国 別 発 表 論 文 件 数 を 示 す 。74カ 国 か ら 1,620件 の 論 文 発 表 が あ っ た 。国 別 で は 、 ① ド イ ツ 376件 、② 日 本 118件 、③ フ ラ ン ス 110件 、④ 米 国 89件 、⑤ 台 湾 84件 、⑥ イ タ リ ア 82 件 、 ⑦ 韓 国 82件 、 ⑧ ス ペ イ ン 68件 、 ⑨ ス イ ス 59件 、 ⑩ オ ラ ン ダ 51件 、 の 順 で あ っ た 。 1 図2 国 別 発 表 論 文 件 数 ( RTS提 供 ) 図 3 は 、発 表 論 文 件 数 の 分 野 別 内 訳 を 示 す 。分 野 別 で は 、① 結 晶 Si系 436系 件 、② 薄 膜 系 ( 薄 膜 Si、CIGS・CdTe等 II-VI、色 素・有 機 )370件 、③ PVシ ス テ ム 269件 、④ 先 端 PV( 超 高 効 率 、 集 光 、 宇 宙 、 基 礎 ・ 新 材 料 ・ 新 素 子 ) 252件 、 ⑤ PVコ ン ポ ー ネ ン ト 198件 、 ⑥ PV普 及 ( 国 家 プ ロ グ ラ ム ・ 政 策 ・ PV市 場 ) 95件 、 の 順 で あ っ た 。 図3 発 表 論 文 件 数 の 分 野 別 内 訳 ( RTS提 供 ) Becqurel Prizeは 、Gabriel Sala( マ ド リ ッ ド 工 大 )が 受 賞 し た 。両 面 受 光 セ ル の 開 発 、 集 光 太 陽 光 発 電 ( CPV) の 研 究 開 発 へ の 貢 献 ( CPVモ ジ ュ ー ル 用 ソ ー ラ ー シ ミ ュ レ ー タ ー や 光 学 レ ン ズ 開 発 、CPVの 標 準 化 )、関 連 産 業 や 産 学 連 携 へ の 貢 献 、な ど の 業 績 が 評 価 さ れ た 。 2 この他、学会併設の展示会には,27 か国 247 社の太陽光発電関連企業、機関が出展した(前回は、 35 か国 619 社)。 4.主な発表論文の概要: プレーナリ講演を中心に、本会議のトピックスの概要を述べる。 4.1 先進太陽電池分野(超高効率多接合、集光型、宇宙用、量子・ナノ構造等新型、 新材料): ( 1 )A. Bett( FhG-ISE)は 、“ Overview of Technology Perspectives for High Efficiency Solar Cells for Terrestrial and Space Applications” と 題 し て 、 基 調 講 演 を 行 っ た 。 最 近 、 多 く の 企 業 が 、 III-Vベ ー ス の 集 光 太 陽 光 発 電 ( CPV) シ ス テ ム の 商 用 化 を 開 始 し て い る 。そ の 主 な 理 由 と し て 、次 の 点 が あ げ ら れ る 。① III-V族 セ ル を 用 い た 集 光 型 太 陽 電 池 は 40% 以 上 の 高 効 率 化 を 実 現 し て お り 、 近 い 将 来 、 40% 以 上 の 高 効 率 モ ジ ュ ー ル の 実 現 が 可 能 で 、非 常 に 効 率 の 良 い CPVシ ス テ ム を 提 供 で き る 。② PV応 用 が サ イ ズ の 上 で も 成 長 し て お り 、よ り 大 規 模 な シ ス テ ム の 実 現 が 要 望 さ れ 、CPVシ ス テ ム が 適 し て い る 。③ コ ス ト 的 に も 有 効 な 代 替 PV技 術 へ の 関 心 を も た ら し て い る こ と 。 集 光 型 太 陽 電 池 は 、 結 晶 Si太 陽 電 池 を 用 い た 集 光 倍 率 3倍 以 下 の 低 倍 集 光 、結 晶 Siな ど の 太 陽 電 池 を 用 い た 3~ 100倍 の 中 倍 集 光 、 III-V族 多 接 合 太 陽 電 池 を 用 い た 400倍 以 上 の 高 倍 集 光 に 分 類 さ れ る 。 こ こ で は 、 高 倍 集 光 に言及された。①高効率エネルギー、②高エネルギー生成、③高温度動作可能、④次世代 革 新 技 術 、 ⑤ 高 速 GW製 造 が 可 能 、 ⑥ 低 コ ス ト 太 陽 エ ネ ル ギ ー 、 と い っ た 集 光 型 太 陽 光 発 電 ( CPV) シ ス テ ム の 特 徴 を 述 べ た 後 、 集 光 型 太 陽 電 池 モ ジ ュ ー ル の 現 状 、 FhG-ISEの 取 り 組 み が 述 べ ら れ た 。研 究 段 階 の 集 光 型 セ ル の 効 率 は 、Sharpに よ り 44.4% に 達 し 、モ ジ ュ ー ル 効 率 32~ 35% 、 シ ス テ ム 効 率 26~ 28% の 現 状 で あ り 、 他 の 太 陽 電 池 よ り も 格 段 に 性 能 が 良 い。 既 に 、 数 社 が 、 1 MW以 上 の CPVシ ス テ ム 設 置 に 貢 献 し て い る 。 図 4 に は 、 III-V族 多 接 合 太 陽 電 池 の 宇 宙 用 、高 集 光( HCPV)市 場 を 示 す 。現 状 で は 、CPVの 製 造 コ ス ト は 、薄 膜 系 や 結 晶 Si系 と 同 等 と の 事 で あ る 。特 に 、2500kWh/m 2 /yr以 上 の 日 射 条 件 の 良 い 地 域 で は 、他 の PV技 術 よ り も 電 力 コ ス ト 低 減 が 可 能 で 、8.5セ ン ト /kWh以 下 が 期 待 で き る 。エ ネ ル ギ ー ペ イ バ ッ ク タ イ ム に つ い て も 、他 の PV技 術 に 比 べ て 有 利 で あ り 、1 年 以 下 の 実 現 が 可 能 で あ る 。 2012年 の 宇 宙 用 市 場 は 生 産 規 模 は 50MWで 、 2016年 頃 に は 、 1.2GWの CPVシ ス テ ム 導 入 を 期 待 している。 図 5 に は 、III-V族 多 接 合 、集 光 型 太 陽 電 池 の 高 効 率 化 の 可 能 性 を 示 す 。多 接 合 太 陽 電 池 の 集 光 動 作 に よ り 、 50% 以 上 の 高 効 率 化 期 待 で き る 。 ス ペ ク ト ル ス プ リ ッ テ ィ ン グ や メ カ ニカルスタックは、システム構成上、コスト高になろうとの見解が述べられた。モノリシ ッ ク タ ン デ ム が 妥 当 で 、格 子 整 合 系 GaInP/GaInAs/Ge3 接 合 セ ル が 、以 前 の 主 流 で あ っ た が 、 集 光 動 作 で も 、 効 率 41.6% 程 度 で あ っ た 。 さ ら な る 高 効 率 化 の た め に は 、 格 子 不 整 合 系 や III-V-N化 合 物 の 適 用 が 必 要 で あ る 。格 子 不 整 合 系 は 、転 位 発 生 が 課 題 で あ る が 、シ ャ ー プ は 、逆 エ ピ 構 造 InGaP/GaAs/InGaAs3 接 合 セ ル で 、非 集 光 効 率 37.9% 、250~ 300倍 集 光 で 効 率 44.4% を 達 成 し て い る 。Emcoreは 、逆 エ ピ 構 造 InGaP( Eg= 1.9eV)/InGaAs( 1.4eV)/InGaAs ( 1.0eV)/InGaAs( 0.7eV)4 接 合 セ ル で 、AM0効 率 34,2% を 実 現 し て い る 。III-V-N系 に お 3 い て は 、 Solar Junctionは 、 InGaP/GaAs/InGaAsNSb3 接 合 セ ル の 集 光 動 作 で 効 率 44.1% を 実現している。 サ ブ セ ル 材 料 の 組 み 合 わ せ の 柔 軟 性 か ら は 、 貼 り 合 わ せ 技 術 の 適 用 や 、 オ ン Si技 術 の 適 用 が 有 効 で あ る 。 Spectrolabは 、 GaAs基 板 上 の AlInGaP/InGaP/GaAs3 接 合 セ ル の エ ピ タ キ シ ャ ル ・ リ フ ト オ フ ( ELO) し た も の と InP基 板 上 の InGaAsP/InGaAs2 接 合 セ ル の 直 接 ボ ン デ ィ ン グ に よ る 5 接 合 セ ル で 、 AM1.5G効 率 37.8% 、 AM0効 率 35.1% を 達 成 し て い る 。 図4 図5 III-V族 多 接 合 太 陽 電 池 の 宇 宙 用 、 高 集 光 ( HCPV) 市 場 ( Dr. A. Bett提 供 ) III-V族 多 接 合 、 集 光 型 太 陽 電 池 の 高 効 率 化 の 可 能 性 ( Dr. A. Bett提 供 ) 本 講 演 で 、 FhG-ISE、 Soitec、 HZB、 CEA-Letiの 共 同 開 発 に よ り 、 4 接 合 セ ル の 2 9 7 倍 集 光 で 、 44.7 % の 世 界 最 高 効 率 を 達 成 し た 事 を 発 表 し た 。 こ れ ま で は 、 Sharp の InGaP/GaAs/InGaAs3 接 合 セ ル の 250~ 300倍 集 光 で の 効 率 44.4% が 世 界 最 高 効 率 で あ っ た 。 今 回 、図 6 に 示 す よ う に 、GaAs基 板 上 の InGaP/GaAs2 接 合 セ ル( FhG-ISE製 )と InP基 板 上 の InGaAsP/InGaAs2 接 合 セ ル ( HZB製 ) と を ウ エ ハ ボ ン デ ィ ン グ で 貼 り 合 わ せ る メ カ ニ カ ル ス タ ッ ク 法( Soitec)に よ り 、モ ノ リ シ ッ ク( 2 端 子 )4 接 合 セ ル を 実 現 し た も の で あ る 。 4 格子整合型で、古くから、理想的構造と言われていたが、2枚の化合物基板を使用するこ とで、高価であることから、本格的検討はなされてはいなかった。昨今の高効率化の競争 の中で陽の目を見たような気がする。図7は。世界最高効率4接合セル、4接合セルの外 部量子効率の波長特性、297倍集光下での動作特性、を示す。 図6 図7 4 接 合 セ ル の 作 製 プ ロ セ ス ( Dr. A. Bett提 供 ) 世界最高効率4接合セル、外部量子効率の波長特性、297倍集光下での動作特性 ( Dr. A. Bett提 供 ) 現 状 の 生 産 段 階 の セ ル の AM1.5D集 光 効 率 38~ 40% 、 AM0効 率 29~ 31% を 、 中 長 期 的 に は 、 AM1.5D集 光 効 率 45~ 50% 、 AM0効 率 33~ 38% と し た い と 結 ん だ 。 5 ( 2 ) M.A. Green ら ( UNSW ) は 、 “ Silicon Wafer-Based Tandem Cells: The Ultimate Photovoltaic Solution?” と 題 し て 、 プ レ ー ナ リ 講 演 を 行 っ た 。 UNSWノ グ ル ー プ は 、 結 晶 Si太 陽 電 池 で 、 最 高 効 率 25.0% の 実 績 を 有 し 、 結 晶 Si系 に こ だ わ り を 持 っ て い る 図 8 に 示 す よ う に 、 Si系 3 接 合 タ ン デ ム セ ル で 効 率 47.5% が 期 待 で き る 。 図8 Si系 タ ン デ ム セ ル の 高 効 率 化 の 可 能 性 ( Prof. A. Green提 供 ) 今 回 、オ ハ イ オ 州 立 大( OSU)や NRELと の 共 同 研 究 を ベ ー ス に し た ア プ ロ ー チ が 紹 介 さ れ た 。 OSUと の 共 同 研 究 で は 、 III-Vオ ン Siタ ン デ ム セ ル の ア プ ロ ー チ ( GaAsP/Siタ ン デ ム ) が 述 べ ら れ 、 高 効 率 化 の 可 能 性 は あ る が 、 低 コ ス ト 化 が 課 題 で あ る 。 NRELと の 共 同 研 究 で は 、CZTS( Cu 2 ZnSnS 4 )オ ン Siタ ン デ ム セ ル の ア プ ロ ー チ が 紹 介 さ れ 、低 コ ス ト 化 の 可 能 性 は あ る が 、 高 効 率 化 が 課 題 で あ る と し た 。 CZTSと Siは 、 格 子 定 数 が 近 い 点 で 有 利 で あ り 、 結 晶 粒 界 の 評 価 結 果 も 述 べ ら れ た 。ペ ロ ブ ス カ イ ト /Siタ ン デ ム で は 、効 率 27% が 期 待 で き るとしている。低コスト化の可能性はあるが、信頼性や毒性が未知である。 ( 3 ) L. Samuelson( Lund Univ.) は 、 “ Nanowire Array Solar Cells” と 題 し て 、 プ レ ー ナ リ 講 演 を 行 っ た 。 ナ ノ ワ イ ヤ 構 造 に よ り 、 単 接 合 で 効 率 18% 、 3 接 合 で 効 率 35% を 、 薄 膜 PVの コ ス ト レ ベ ル で 提 供 で き る 可 能 性 が あ る 。GaAsや InPの ナ ノ ワ イ ヤ が 、MOCVD( GaAs の 場 合 、TMGa、As 2 H 3 を 用 い て )と ナ ノ イ ン プ リ ン ト・リ ソ に よ り 、作 製 さ れ て い る 。ナ ノ ワ イ ヤ の 核 形 成 と 成 長 の 過 程 が 述 べ ら れ た 。 図 9 に 示 す よ う に 、 MOCVDと ナ ノ イ ン プ リ ン ト・リ ソ に よ り 、InPナ ノ ワ イ ヤ 太 陽 電 池 で 、効 率 13.8% が 得 ら れ て い る 。ナ ノ ワ イ ヤ が な い InPセ ル で は 、効 率 22.1% が 得 ら れ て お り 、ナ ノ ワ イ ヤ 12% 被 覆 に よ り 、効 率 が 低 下 し て い る と も 見 ら れ る 。ま た 、低 コ ス ト 化 に は 、集 光 技 術 の 適 用 は 必 須 で 、10倍 、50倍 集 光 で 、 コ ス ト が 1/10、 1/50に な る と 仮 定 し て お り 、 ナ ノ ワ イ ヤ 概 念 の コ ス ト パ ー フ ォ ー マ ン ス が 不明確である。 6 図9 4.2 InPナ ノ ワ イ ヤ セ ル の 構 造 と 太 陽 電 池 特 性 結 晶 Si太 陽 電 池 分 野 : やはり。現在の太陽電池市場を支配する結晶シリコン系太陽電池に関する発表が多かった。 (1) R. Brendelら( ISFH) は 、 “ The Future of Crystalline Silicon Solar Cells” と 題 し て 、 基 調 講 演 を 行 っ た 。 実 際 は 、 ISFHに お け る 結 晶 Si太 陽 電 池 の 研 究 開 発 の 状 況 が 報 告 さ れ た 。ISFHに お け る 結 晶 Si太 陽 電 池 の 研 究 開 発 は 、① 企 業 レ ベ ル の 技 術 開 発 と し て 、 PERCや PERTモ ジ ュ ー ル 、 ② 先 端 研 究 開 発 と し て 、 IBCや SHJモ ジ ュ ー ル 、 ③ 将 来 用 と し て 、 薄 型 Si、カ ー フ レ ス Siモ ジ ュ ー ル 、④ 材 料 技 術 、BSF、パ ッ シ ッ ベ ー シ ョ ン や メ タ リ ゼ ー シ ョンなどのプロセス技術、信頼性技術、評価解析技術、シミュレーション技術、などで構 成される。 PERCセ ル で は 、 選 択 エ ミ ッ タ ー や gas phase etch backを 採 用 し 、 233cm 2 セ ル で 、 効 率 20.3% ( Jsc=38.09mA/cm 2 、 Voc=660mV、 FF=80.9% ) の 現 状 で あ る 。 N型 Siを 用 い た IBC ( Integrated Back Contact) セ ル に 関 し て は 、 SunPowerが 24.6% 、 Samsungは 5イ ン チ サ イ ズ で 効 率 22.4% の 状 況 で あ る 。 ISFHは 、 Boshと の 共 同 開 発 で 、 イ オ ン 注 入 な ど を 採 用 し た Ⅱ -IBBCセ ル( 241cm 2 )で 、効 率 22.1%( Jsc=41.6mA/cm 2 、Voc=676mV、FF=78.8% 、5.32W) の 現 状 で あ る 。 SHJ( Si Hetero Junction) セ ル に つ い て は 、 Panasonic/Sanyoの 24.7% 、 Kanekaの 23.4% ( >200cm 2 ) の 状 況 で あ る 。 ISFHは 、 SHJセ ル ( 100cm 2 ) で 、 効 率 20.1% ( Jsc=36.3mA/cm 2 、 Voc=730mV、 FF=76.3% ) の 現 状 で あ る 。 a-Si:H/c-Siの 代 わ り に 、 poly-Si/c-Siの ヘ テ ロ 接 合 も 検 討 さ れ て い る 。 n + -poly-Si/p-c-Siヘ テ ロ 接 合 で は 、 Voc=690mV( J 0 =4fA/cm 2 ) 、 p + -poly-Si/n-c-Siヘ テ ロ 接 合 で は 、 Voc=719mV( J 0 =15fA/cm 2 ) の状況である。 結 晶 Si太 陽 電 池 の モ ジ ュ ー ル コ ス ト 配 分 は 、 Si: 16% 、 イ ン ゴ ッ ト ス ラ イ ス : 13% 、 セ ル:22% 、モ ジ ュ ー ル:49% で あ り 、ウ エ ハ の コ ス ト 比 率 が 30% を 占 め る 。ISFHで は 、PERC、 PERT、 IBC、 SHJ等 の セ ル で 、 効 率 21% ~ 25% を 維 持 し つ つ 、 ポ リ Siの 再 利 用 を 含 む 薄 型 カ 7 ー フ レ ス Si技 術 の 検 討 を 進 め て い る 。 面 積 156x158cm 2 の 43μ m厚 IBCセ ル で 、 効 率 20.1% が 得 ら れ て い る の で 、 こ の 試 み は 可 能 と 見 て い る 。 常 圧 CVD( 1100℃ 、 SHCl 3 ) を 用 い た い く つ か の 試 み が 紹 介 さ れ た 。130μ m厚 や 675μ m厚 の p + -ポ リ Si基 板 上 に 1.2μ m程 度 の 多 孔 質 Si 層 を 形 成 し 、そ の 上 に 30μ mの p型 エ ピ 層 が 形 成 さ れ る 。そ の 後 、PERLや PERCセ ル を 作 製 し 、 異 種 基 板 に 転 写 さ れ る 。 基 板 は 、 再 利 用 さ れ る 。 こ れ に よ り 、 ウ エ ハ コ ス ト 比 率 を 29% か ら 、条 件 に よ る が 、5~ 12% に 低 減 で き る は ず と 言 う 。エ ピ Si層 の 実 効 少 数 キ ャ リ ア 寿 命 762 μ sを 得 て い る 。テ ク ス チ ャ TCO/n/i-a-Si/p-Si/Al2O3/SiN/Alミ ラ ー /ガ ラ ス 構 造 の SHJセ ル ( 4cm 2 ) で 、 効 率 19.1% の 状 況 で あ る 。 今 後 は 、 プ ロ セ ス 技 術 の 高 度 化 と 、 モ ジ ュ ー ル 効 率 20% 以 上 を 目 指 す と ま と め た 。 結 晶 Si太 陽 電 池 の 研 究 開 発 の 現 状 に つ い て は 、 前 回 の 第 27回 欧 州 太 陽 光 発 電 会 議 ( 2012 年 24日 ~ 28日 、フ ラ ン ク フ ル ト 、ド イ ツ )で の S. Glunzの 基 調 講 演 が ま と ま っ て い る の で 、 紹介させて頂く。 (2)S. Glunz(FhG-ISE)は 、第 27回 欧 州 太 陽 光 発 電 会 議 で 、“ Overview of High Efficiency c-Si Solar Cell Development in Research and Production” と 題 し て 、 基 調 講 演 を 行 っ た 。 160 μ m 厚 の 単 結 晶 Si 太 陽 電 池 で は 、 短 絡 電 流 密 度 Jsc と し て 、 理 論 値 に は 、 最 大 43.6mA/cm 2 が 得 ら れ る は ず で あ る 。 種 々 の 損 失 が あ る が 、 p-Siの Al-BSFセ ル で は 、 光 学 損 失 分 - 5mA/cm 2 、 表 面 再 結 合 損 失 分 - 1.1mA/cm 2 、 ベ ー ス 再 結 合 損 失 分 - 0.8mA/cm 2 、 裏 面 再 結 合 損 失 分 - 1.1mA/cm 2 が あ り 、35.6mA/cm 2 で 、Voc= 627mV、効 率 18.4% で あ る 。損 失 低 減 に向けた種々のアプローチが紹介された。 ① 裏 面 の 再 結 合 速 度 は 高 く 、 メ タ リ ゼ ー シ ョ ン の 改 良 が 有 効 で あ る 。 Alペ ー ス ト の 改 良 に よ る Al- BSF改 良 型 で は 、 Jscは 35.7mA/cm 2 に 改 善 さ れ 、 Voc=633mVで 、 効 率 η =18.7% で あ る 。 裏 面 再 結 合 損 失 分 は 、 - 1.1mA/cm 2 が ら - 0.8mA/cm 2 に 改 善 さ れ て い る が 、 高 濃 度 ド ー ピングによる表面再結合や表面パッシベーションが不十分であることが、課題である。 ② 表 面 層 の 改 良 と し て 、選 択 リ ン エ ミ ッ タ 構 造 が 有 効 で あ る 。PSGか ら の laser-over doping や 高 濃 度 エ ミ ッ タ 拡 散 層 の 化 学 的 エ ッ チ バ ッ ク が 検 討 さ れ 、 選 択 エ ミ ッ タ を 用 い た p-Siベ ー ス の Al-BSFセ ル で は 、 Jsc=36.2mA/cm 2 で 、 Voc=643mV、 η =19.0% と な っ て い る 。 表 面 再 結 合 損 失 分 が - 1.1mA/cm 2 か ら - 0.4mA/cm 2 に 大 き く 改 善 さ れ て い る が 、 ベ ー ス 層 お よ び 裏 面での再結合が課題である。 ③裏面再結合の低減に、裏面パッシベーションが有効である。裏面パッシベーションを用いた Q-CellsのQ-ANTUM技術(a-SiNx:HのAR、スクリーン印刷表面コンタクト、laser firedポイントコン タクトなど)によるp型ベースの単結晶および多結晶セル(156x156mm2 )の特性を表1に示す。 38.9mA/cm2の高いJscが得られている。CMOSのゲート絶縁膜として用いられているAl2O3は、負電荷、 化学パッシベーション、電界効果パッシベーションが特徴である。表面再結合速度の増加につなが る熱的安定性が課題である。AlOx/SiNxのダブル裏面パッシベーションも検討されている。表2に、 TrinaによるAlOx/SiNxの裏面パッシベーションを用いたp型cast-monoのPERCセル(156x156mm2)の 特性を示す。表3に、Schottのp型CZ-SiのPERCセル(156x156mm2)の最新の特性を示す。スタック 裏面パッシベーションが用いられ、光劣化後の特性で、選択エミッタを用いずに、38.9mA/cm2の高 いJscが得られている。抵抗率は2~4Ωcmのものが用いられている。表4に、170μm厚のMCZ-p型Si (0.9Ωcm)を用いたメタルラップスルー(MWT)PERCセル(156x156mm2)の特性を示す。光劣化抑 8 制のため、低Oi濃度のMCZ結晶が用いられ、laser overdopingによる選択エミッタ、熱酸化SiO2パッ シベーションなどが用いられている。PERCセルは、MWT技術と整合性が良い。 表1 Q-CellsのQ-ANTUM技術によるセル(156x156mm2)の特性 CZ-Si mc-Si 表2 Voc (mV) 652 652 Jsc (mA/cm2) 38.9 38.9 FF (%) 78.9 76.7 η (%) 20.2 19.5 TrinaによるAlOx/SiNxの裏面パッシベーションを用いた p型cast-monoのPERCセル(156x156mm2)の特性 Best Average Al-BSF 表3 Jsc (mA/cm2) 38.1 38.1 36.8 FF (%) 79.6 78.8 78.1 η (%) 19.6 19.4 18.3 Schottのp型CZ-SiのPERCセル(156x156mm2)の最新の特性 CZ-Si 表4 Voc (mV) 649 647 635 Voc (mV) 664 Jsc (mA/cm2) 39.9 FF (%) 79.2 η (%) 21.0 170μm厚のMCZ-p型Si(0.9Ωcm)を用いたメタルラップスルー(MWT) PERCセル(156x156mm2)の特性 Median Best cell Voc (mV) 652 652 Jsc (mA/cm2) 38.9 38.9 FF (%) 78.9 76.7 η (%) 20.2 19.5 まとめると、p-Siベ ー ス の 裏 面 パ ッ シ ベ ー シ ョ ン セ ル で は 、Jsc=37.2mA/cm 2 で 、Voc=651mV、 η =20.0% と な っ て い る 。裏面パッシベーションにより、裏面再 結 合 損 失 分 が - 1.1mA/cm 2 か ら - 0.3mA/cm 2 に 大 き く 改 善 さ れ 、か つ 、内 部 反 射 の 改 善 に よ り 、光 学 損 失 成 分 が 、-5mA/cm 2 か ら -4.6mA/cm 2 に 改 善 さ れ て い る が 、 ベ ー ス 層 で の 再 結 合 、 光 劣 化 に よ る 寿 命 制 限 が 課 題 である。 ④ベース層の改善に向け、n型基板の導入も増えている。表5に、Yingli/ECNによるPanda技術を用 いたn-SiベースP-BSF構造bifacialセルの特性を示す。表6に、Boschによるn-SiベースP-BSF構造 bifacialセルの特性を示す。Boschの検討によれば、n型Siのトップとテールで、ドーピング濃度は、 6倍異なるが、セルの変換効率は、ほぼ一定との事である。 まとめると、n-Siベ ー ス の P-BSFセ ル で は 、 Jsc=37.1mA/cm 2 で 、 Voc=648mV、 η =19.7% と な っ て い る 。n型 ベ ー ス により、ベース再 結 合 損 失 分 が - 0.8mA/cm 2 か ら - 0.2mA/cm 2 に 大 き く 改善されているが、裏面再結合が課題である。 表5 Yingli/ECNによるPanda技術を用いたn-SiベースP-BSF構造bifacialセルの特性 Average Maximum Voc (mV) 648 649 Jsc (mA/cm2) 39.2 39.3 9 FF (%) 78.0 78.3 η (%) 19.8 20.0 表6 Boschによるn-SiベースP-BSF構造bifacialセルの特性 Gold coated Black coated Voc (mV) 648 647 Jsc (mA/cm2) 39.1 38.7 FF (%) 79.5 79.4 η (%) 20.1 19.9 ⑤n型Siベースセルの裏面再結合の抑制が検討されている。表7に、Q-Cellsによるn型Siベース、B 裏面エミッタP-FSFセルの特性を示す。裏面Bドープエミッタの裏面接合で、裏面パッシベーション がなされている。表8に、FhG-ISEによるn型SiベースのPERLセルの特性を示す。表面BエミッタのAl2O3 パッシベーション、SiNxのAR、n++-BSF、SiO2裏面パッシベーションが用いられ、高いVoc=705mV、 アパーチャ効率23.9%が得られている。Pの局所拡散の代わりに、レーザドーピングなど、本技術 の工業化も検討されている。表9は、工業化に向けたn型SiベースのPERLセルの特性を示す。表8、 表9の結果は、FhG-ISEの認定データである。 まとめると、n-Siベ ー ス の PERLセ ル で は 、Jsc=37.3mA/cm 2 で 、Voc=682mV、η =21.3% と な っ て い る 。n型 ベ ー ス により、表面再結合損失分、ベース再 結 合 損 失 分 、裏 面 再 結 合 分 が 、各 々 、 - 0.8mA/cm 2 、 - 0.3mA/cm 2 、 - 0.5mA/cm 2 と 、 再 結 合 損 失 は か な り 改 善 さ れ て い る が 、 光 学 損失低減が課題である。 表7 Q-Cellsによるn型Siベース、B裏面エミッタP-FSFセルの特性 Maximum 表8 Best 表9 Best Voc (mV) 667 Jsc (mA/cm2) 39.6 FF (%) 79.18 η (%) 20.9 FhG-ISEによるn型SiベースのPERLセルの特性 Voc (mV) 705 Jsc (mA/cm2) 41.1 FF (%) 82.5 η (%) 23.9 工業化に向けたn型SiベースのPERLセルの特性 Voc (mV) 701 Jsc (mA/cm2) 39.8 FF (%) 80.1 η (%) 22.4 ⑥光学損失低減のため、裏面コンタクトセルが検討されている。裏面コンタクトセルも最 近 の 傾 向 で あ る 。 こ の 分 野 で は 、 Sunpowerが 実 績 を 有 し 、 2002年 の 20.6% か ら 、 2010年 の 24.2 % へ と 、 効 率 向 上 を は か っ て き て い る 。 表 1 0 は 、 SiIFab/ISC Konstanz 、 Bosch Solar/Varian/ISFH、Samsung SDI/Varianによる裏面コンタクトセルの特性を示す。SiIFab/ISC Konstanzのセルは、BBr3+POCl3拡散、SiNxパッシベーション、レーザパターニング、スクリーン印刷 メタリゼーションを用いたBifacialセルである。熱拡散に代わるイオン注入も注目されている。 Varian と の 共 同 研 究 開 発 が 進 め ら れ て い る 。 課 題 は 、 コ ス ト と ス ル ー プ ッ ト で あ る 。 Bosch Solar/Varian/ISFH で は 、 シ ャ ロ ー マ ス ク を 用 い た 選 択 ド ー ピ ン グ が な さ れ て い る 。 Samsung SDI/Varianでは、イオン注入による選択ドーピング加え、SiO2熱酸化パッシベーションが用いられ ている。 まとめると、n-Siベ ー ス の 裏 面 コ ン タ ク ト セ ル で は 、 Jsc=39.2mA/cm 2 で 、 Voc=699mV、 η 10 =23.0% と な っ て い る 。 裏 面 コ ン タ ク ト に よ り 、 光 学 損 失 分 が 、 - 2mA/cm 2 と 大 き く 改 善 さ れ 、ま た 、n型 ベ ー ス により、表面再結合損失分、ベース再 結 合 損 失 分 が 、各 々 、- 0.2mA/cm 2 、 - 0.3mA/cm 2 と か な り 改 善 さ れ て い る が 、 裏 面 再 結 合 分 が 、 - 1.6mA/cm 2 と 多 く 、 課 題 で あ る。 表10 SiIFab/ISC Konstanz、Bosch Solar/Varian/ISFH、Samsung SDI/Varian による裏面コンタクトセルの特性 SiIFab/ISC Konstanz Bosch Solar/Varian/ISFH Samsung SDI/Varian Voc (mV) 646 685 676 Jsc (mA/cm2) 41.2 41.3 40.1 FF (%) 79.1 75.0 81.0 η (%) 21.0 21.2 22.4 ⑦ ヘ テ ロ 接 合 型 も 最 近 の 傾 向 で あ る 。 Panasonic( 三 洋 電 機 ) は 、 HIT太 陽 電 池 で 、 モ ジ ュ ー ル 効 率 20.6% の 状 況 で 、 前 回 会 議 で 、 98μ m厚 の 10cmx10cmセ ル で 効 率 23.7% の 達 成 を 発 表 し て い る 。 a-Siに よ る 両 面 コ ン タ ク ト パ ッ シ ベ ー シ ョ ン に よ り 高 い Voc747mVが 実 現 し て い る 。裏 面 コ ン タ ク ト セ ル と ヘ テ ロ 接 合 の 併 用 に よ り 、高 い Jscの 実 現 が 期 待 で き る 。表 1 1 に 、a-Siに よ る ヘ テ ロ 接 合 を 併 用 し た n型 ベ ー ス 裏 面 コ ン タ ク ト セ ル の 特 性 を 示 す 。裏 面 に 、n型 a-Si、p型 a-Siに よ る ヘ テ ロ 接 合 を 用 い ら れ て い る 他 、表 面 も 、a-Siに よ る FSF層 が 用いられている。 表11 a-Siに よ る ヘ テ ロ 接 合 を 併 用 し た n型 ベ ー ス 裏 面 コ ン タ ク ト セ ル の 特 性 n型FZ-Si 4cm2 n型CZ-Si 239cm2 表12 Voc (mV) 723 Jsc (mA/cm2) 41.8 FF (%) 77.4 η (%) 23.4 692 38.4 77.9 20.7 裏面コンタクトパッシベーションを用いた Sunpowerの n型 ベ ー ス 裏 面 コ ン タ ク ト セ ル ( 155cm 2 ) の 特 性 Peak Median Voc (mV) 721 727 Jsc (mA/cm2) 40.5 40.0 FF (%) 82.9 81.2 η (%) 24.2 23.6 表 1 2 に 、裏 面 コ ン タ ク ト パ ッ シ ベ ー シ ョ ン を 用 い た Sunpowerの n型 ベ ー ス 裏 面 コ ン タ ク ト セ ル( 155cm 2 )の 特 性 を 示 す 。最 高 効 率 24.2%( 平 均 効 率 23.6% )、モ ジ ュ ー ル 効 率 21.2% の 状 況 で あ り 、 2013年 初 頭 か ら 、 50MW程 度 の 本 仕 様 の モ ジ ュ ー ル 生 産 を 開 始 す る と の 事 で ある。 ま と め る と 、 裏 面 コ ン タ ク ト パ ッ シ ベ ー シ ョ ン を 併 用 し た n-Siベ ー ス の 裏 面 コ ン タ ク ト セ ル で は 、 Jsc=39.4mA/cm 2 で 、 Voc=721mV、 η =24.1% と な っ て い る 。 損 失 解 析 が な さ れ 、 バ ル ク 再 結 合 損 失 が 3.5% と 多 く 、表面再結合損失1.1%、裏面再結合損失0.8%の、計5.4%であ る。 今後の方向として、フォトニック構造などによるlight trappingなどが、高効率化に有効で、低コ 11 スト化に向け、高効率・低コストセル構造、単純な低コストプロセスなどの開発が必要であるとまと めた。 4.3 4.3.1 薄膜太陽電池分野: 薄 膜 Si 太 陽 電 池 : ( 1 ) B. Rech( HZB) は 、 ” Recent Progress in Thin-Film Silicon Solar Cells: From Amorphous Towards Large-Grained Polycrystalline Silicon” と 題 し て 、 薄 膜 Si太 陽 電 池 に 関 す る 基 調 講 演 を 行 っ た 。薄 膜 Si太 陽 電 池 の 特 徴 と し て 、① 低 材 料 コ ス ト 、② 高 速 成 膜 、 ③ エ ネ ル ギ ー ペ イ バ ッ ク タ イ ム が 短 い 、 ④ BIPVに 適 用 性 、 ⑤ フ レ キ シ ブ ル 、 な ど が あ る 。 タ ン デ ム 太 陽 電 池 は 、TCO層 、a-Si層 、中 間 反 射 層 、μ c-Si層 、裏 面 反 射 層 、な ど で 構 成 さ れ る 。 薄 膜 Si太 陽 電 池 の 高 効 率 化 の キ ー 技 術 と し て 、 新 材 料 、 light trapping、 ナ ノ ・ イ ン プ リ ン ト 技 術 、モ デ リ ン グ 、新 概 念 が 重 要 と し て い る 。新 材 料 と し て 、a-SiO、s - SiC、 μ c-SiGeな ど が あ る 。単 接 合 セ ル で は 、a-Si:Hセ ル( 1cm 2 )で 、効 率 10.1%( TEL Solar)、 μ c-S:Hセ ル( 1cm 2 )で 、効 率 10.7%( TEL Solar)、SPC-poly Siセ ル( 64cm 2 )で 、効 率 10.4% ( CSG Solar) 、 の 状 況 で あ る 。 a-Si:H/μ c-Si:H2 接 合 タ ン デ ム に つ い て は 、 Kanekaの 小 面 積 セ ル ( 1cm 2 ) で 、 効 率 12.3% を 報 告 し て い る 。 light trappingと AR等 の 適 用 に よ り 、 1cm 2 セ ル で 、効 率 12.1%( Jsc=12.6mA/cm 2 、Voc=1411mV、FF=67.8% )が 得 ら れ て い る 。840cm 2 サ ブ モ ジ ュ ー ル の 安 定 化 ア パ ー チ ャ エ リ ア 効 率 8.9% の 状 況 で あ る 。 57m 2 モ ジ ュ ー ル で 、 効 率 9.7% で あ り 、50MWの 生 産 ラ イ ン を 用 い た 製 造 で は 、平 均 効 率 9.7% で あ る と の 事 で あ る 。 3 接 合 タ ン デ ム セ ル に つ い て は 、 UniSolarに よ る 初 期 効 率 16.3% 、 LG電 子 の 安 定 化 効 率 13.4% 、の 状 況 で あ る 。57m 2 実 用 モ ジ ュ ー ル 効 率 6~ 10% の 状 況 で あ る 。図 1 0 に 、UniSolar に よ る 3 接 合 タ ン デ ム セ ル の 初 期 効 率 16.3% を 示 す 。課 題 は 、モ ジ ュ ー ル の 安 定 化 効 率 15% 以 上 、 CVDコ ス ト 低 減 、 a-Siの 光 劣 化 抑 制 、 な ど で あ る 。 図10 UniSolarに よ る 3 接 合 薄 膜 Siタ ン デ ム セ ル の I-V特 性 と 分 光 感 度 特 性 BIPVの 例 も 紹 介 さ れ た 。 長 期 的 テ ー マ と し て 、 液 相 結 晶 化 の 試 み も 紹 介 さ れ た 。 EB蒸 着 と レ ー ザ に よ る 結 晶 化 が 検 討 さ れ 、 2 μ m厚 の 薄 膜 Si太 陽 電 池 で 、 効 率 10.4% (Voc=492mV) が 得 ら れ て い る 。 EB結 晶 化 も 検 討 さ れ 、 実 効 拡 散 長 は 、 数 10μ mで 、 EPR測 定 に よ る 欠 陥 密 度 も 、10 14 ~ 10 16 cm -3 、で あ る 。UNSWと SUNTECHで は 、10μ m厚 薄 膜 Si太 陽 電 池 で 、効 率 11.7% 12 ( Jsc=27.6mA/cm 2 、Voc=585mV、FF=72.4% )が 得 ら れ て い る 。今 後 、ケ ー ス Aで は 、効 率 14.7% ( Jsc=33mA/cm 2 、Voc=600mV、FF=75% )、ケ ー ス A+で は 、効 率 17.1%( Jsc=35mA/cm 2 、Voc=650mV、 FF=75% )が 期 待 で き る と し て い る 。HIT構 造 の 適 用 に よ る 高 Voc化 、フ ロ ン ト ガ ラ ス 、light trapping用 ナ ノ ・ イ ン プ リ ン ト 技 術 、 EB蒸 着 、 結 晶 化 の 高 度 化 、 が 必 要 で あ る 。 今 後 の 方 向 と し て 、効 率 20% 以 上 の 実 現 を 目 指 し て 、4接 合 タ ン デ ム 、a-Siの 光 劣 化 抑 制 、 a-Si お よ び μ c=Si の 高 品 質 材 料 に よ る Voc 向 上 、 HIT 構 造 の 適 用 、 高 光 吸 収 材 料 、 light trapping、 新 材 料 な ど の 検 討 が 必 要 と し て い る 。 4.3.2 CIGS、 Ⅱ ― Ⅵ 族 化 合 物 薄 膜 太 陽 電 池 : ( 1 ) A.N. Tiwari( EMPA) は 、 ”Advances in Thin Film PV: CIGS & CdTe”と 題 し て 、 CIGS 系 と CdTe 系 の 薄 膜 PV に 関 す る 基 調 講 演 を 行 っ た 。そ の 中 で 、CIGS 系 の 公 認 最 高 効 率 20.4% ( 0.5203cm 2 、 Jsc=3508mA/cm 2 、 Voc=0.7363V、 FF=0.789) を 報 告 し た 。 450℃ 以 下 の 低 温 プ ロ セ ス で 、 フ レ キ シ ブ ル ポ リ イ ミ ド 基 板 上 に 成 膜 さ れ て い る 。 構 造 は 、 ス パ ッ タ 蒸 着 ZnO 表 面 コ ン タ ク ト 層 / chemical bath deposition に よ る n 型 CdS バ ッ フ ァ 層 / 低 温 共 蒸 着 p 型 CIGS 吸 収 層 / ス パ ッ タ 蒸 着 Mo 裏 面 コ ン タ ク ト 層 / ポ リ イ ミ ド 基 板 、か ら 成 る 。Ga グ レ ー デ フ ィ ン グ や NaF の post deposition 処 理( PDT)が 検 討 さ れ た 。NaF-PDT CIGS に KF が 導 入 さ れ 、 Na と K の イ オ ン 交 換 が な さ れ て い る 。 XPS 測 定 に よ り 、 CIGS 表 面 ( <30nm) に は 、Cu と Ga が 欠 乏 し た 層 が 形 成 さ れ て い る 事 が わ か る 。こ れ に よ り 、CIGS 表 面 層 は 、Cd 拡 散 が 促 進 さ れ 、Cd Cu 欠 陥 の 形 成 、CIGS 表 面 層 に 反 転 層 形 成 、す な わ ち 、埋 め 込 み n-p 接 合 形 成 、 が 今 回 の 効 率 向 上 の 鍵 と 考 え て い る 。 図 1 1 に は 、 CJGS 技 術 の 可 能 性 : ポ リ Si 太 陽 電 池 と の 効 率 向 上 の 進 展 の 比 較 を 示 す 。タ ン デ ム 化 や 集 光 技 術 の 導 入 に よ り 、効 率 25% の可能性があるとしている。図12に示すように、フレキシブルサブモジュールも作製さ れている。 図11 CJGS 技 術 の 可 能 性:ポ リ Si 太 陽 図12 フ レ キ シ ブ ル CIGS サ ブ モ ジ ュ ー 電 池 と の 効 率 向 上 の 進 展 の 比 較( Dr. A.N. ル( Dr. A.N. Tiwari 提 供 。非 公 開 希 望 に よ Tiwari 提 供 。 非 公 開 希 望 に よ り 、 会 議 ハ り、ホームページより) イライトより) 小 面 積 セ ル の 効 率 は 、 CIGS セ ル で 20.4% 、 CdTe セ ル で 19.6% で あ り 、 モ ジ ュ ー ル 効 率 は 、 CIGS で 17.8% 、 CdTe で 14% で あ る 。 表 1 3 に 、 CIGS の 高 効 率 セ ル の 効 率 を 示 す 。 ベ ス ト の 特 性 を 組 み 合 わ せ る と 、効 率 21.8% が 可 能 で 、将 来 的 に は 、効 率 25% が 期 待 で き 13 る と し て い る 。表 1 4 に 、CIGS、CdTe 太 陽 電 池 モ ジ ュ ー ル の 実 用 効 率 の 進 展 の 予 測 を 示 す 。 2012 年 の 生 産 規 模 は 、CIGS 系 で は 、ソ ー ラ ー フ ロ ン テ ィ ア の 1000MW を 筆 頭 に 、計 2170MW、 CdTe 系 で は 、 First Solar の 2700MW を 筆 頭 に 、 計 3100MW で あ る 。 今 後 は 、 効 率 向 上 、 高 信 頼 性 と 同 時 に 、 モ ジ ュ ー ル コ ス ト の 低 減 が 必 要 で あ る 。 モ ジ ュ ー ル コ ス ト $ 0.5/W 以 下 に向けた薄膜系のコストダウンのためには、高スループットなどプロセス改良、ガラス、 封止などの改善が必要である。また、コスト低減には、生産量拡張が有効である。投資と 同 時 に 市 場 拡 大 が 必 要 で あ り 、BIPV や 軽 量・フ レ キ シ ブ ル モ ジ ュ ー ル 用 適 用 領 域 の 発 掘 が 望まれる。今後の高効率化のためには、層堆積、接合形成、界面特性、ワイドギャップ材 料 で の 高 効 率 化 、な ど が 重 要 で あ る と し て い る 。長 期 的 に は 、多 接 合 化 に よ る 高 効 率 化( > 25% ) 、 太 陽 電 池 の 損 失 メ カ ニ ズ ム や 大 面 積 モ ジ ュ ー ル の 非 一 様 性 の 理 解 等 、 基 礎 的 理 解 が重要であると考えられる Voc (mV) Jsc (mA/cm2) FF ( % ) η( % ) 表 1 3 CIGS 太 陽 電 池 効 率 の 状 況 と 高 効 率 化 の 可 能 性 NREL ZSW EMPA 691.8 720.4 736.3 35.74 36.33 35.08 81.03 76.78 78.9 20.0 20.3 20.4 表14 CIGS CdTe Potential 736.3 36.5 81.2 21.8 CIGS、 CdTe 太 陽 電 池 モ ジ ュ ー ル の 実 用 効 率 の 進 展 の 予 測 2012 13 10-12.5 2015 14-15 13 2020 15-16 13.5 2025 16-17 14-15 ( 2 )H. Hiragaら( 東 芝 )は 、“ Photvoltaic Properties of Homojunction CIGS Solar Cells Using Various Divalent N-Type Dopants” と 題 し て 、 ホ モ 接 合 CIGS太 陽 電 池 の 試 み を 報 告 し た 。 3 段 階 蒸 着 法 が 用 い ら れ 、 室 温 で の n型 ド ー ピ ン グ が 検 討 さ れ た 。 表 に 示 す よ う に 、 n 種 々 の ド ー パ ン ト が 検 討 さ れ 、V cu の 置 き 換 え の 観 点 か ら 、Formal Valence( V = ∑ exp r0 − ri 、 i =1 Bf n : 最 近 接 数 、 ro : 結 合 係 数 、 ri : 結 合 長 、 B f : 経 験 定 数 ) の 指 標 で 、 評 価 さ れ て い る 。 表15 Divalent Dopant Mg Ca Mn Fe Co Ni Cu Zn Cd 各 種 ド ー パ ン ト と CIGS層 の PL強 度 、 CIGS太 陽 電 池 効 率 と の 相 関 V 2.40 4.59 2.40 2.15 1.93 1.48 1.41 1.83 2.98 Efficiency (%) 13.4 13.4 14.1 8.6 = = = 11.0 17.7 14 Relative PL intensity 0.47 0.35 0.44 0.38 0.05 0.02 0.00 0.52 0.93 Electron Shell Closed Closed Opened Opened Opened Opened Opened Closed Closed 各 種 ド ー パ ン ト と CIGS層 の PL強 度 、 CIGS太 陽 電 池 効 率 と の 相 関 が 検 討 さ れ て い る 。 結 果 を 表 1 5 に 示 す 。 表 1 5 の 結 果 か ら 、 Formal Valence V = 3 の ド ー パ ン ト ( Cd) は 、 PL強 度 、 効 率 も 高 く 、 安 定 な ド ー パ ン ト と 見 て い る 。 V (Ca ) ≥ 3 、 V ( Mg , Zn ) ≤ 3 の ド ー パ ン ト は 、 不 安 定 と 考 え て い る 。 自 社 測 定 で 、 20.7% の 高 効 率 を 実 現 し た と の 新 聞 発 表 が あ っ た が、詳細については、次の機会にとの事であった。 (3)CdTe セルに関しては、2013 年 6 月の第 39 回 IEEE 光起電力専門家会議で、M. Gloeckler(First Solar)は、“CdTe Solar Cells at the Threshold to 20% Efficiency ”と題して、CdTe 太陽電 池のニューレコード効率 19.05%を達成したことを報告した。ここでは、最近の GE による高効率 19.6%の実現と合わせて紹介する。 1993 年~2003 年の CdTe セル効率のターゲット 19.0%(Voc=900mV、Jsc=27mA/cm2、FF=76.5)に 対して、2010 年段階では、セル効率 16.5%(Voc=845mV、Jsc=25.9mA/cm2、FF=75.5%)、量産ベー スのモジュール効率(Voc=791mV、Jsc=19.2mA/cm2、FF=62.2%)であった。その後、2012 年に、セル 効率 17.3%を達成したが、すぐに、GE が、効率 18.3%を実現した。2013 年 4 月には、First Solar は、セル効率 18.7%、つい最近、19/05%のニューレコードのセル効率を達成した。さらに、つい 最近、GE が、19.6%の高効率を達成している。最近の高効率 CdTe 太陽電池の特性をまとめて、表 6に示す。 IBM の 19.05%の例では、TCO の改良で、短波長域(300nm~400nm)の光透過が改善され、 Jsc=28.6mA/cm2 が得られている。Voc 改善に向け、粒界、界面、ドーピング、空乏層が検討され、 GE の Voc=857mV に対して、872mV に改善されている。少数キャリア寿命の改善が Voc の向上にもつ ながり、903mV も得られているとの事である。Voc 改善は、FF 改善にもつながる。モジュール効率 は、16.1%が認定され、量産ベースのモジュール効率も、12%から、12.3%、13%へと改善予定で ある。モジュール効率向上には、直列抵抗損、面積損、スクライブ損等の改善が必要である。次の ターゲットは、セル効率 22%(Voc=920mV、Jsc=30mA/cm2、FF=60%)であろう。 表16 Voc (mV) Jsc (mA/cm2) FF ( % ) η(%) 4.3.3 最 近 の 高 効 率 CdTe 太 陽 電 池 の 特 性 と タ ー ゲ ッ ト 効 率 と の 比 較 GE 857 27.0 79.0 18.3- First Solar 852 28.6 77.7 18.7 First Solar 872 28.0 78.0 19.05 GE 857.3 28.59 80.0 19.6 有機・色素太陽電池: ( 1 ) J. Hummeien( Uuniv. Groningen) は 、 ” Advances in Organic Photovoltaics” と 題して、有機系太陽電池に関する基調講演を行った。有機系太陽電池は、①低価格、②軽 量、③フレキシブル、④カラフル、⑤半透明、⑥大量生産性、などの特徴を有する。図1 3 に 示 す よ う に 、有 機 系 太 陽 電 池 の 高 効 率 化 に は 、バ ル ク ヘ テ ロ 接 合( BJT)や タ ン デ ム の 概 念 が 有 効 で 、P3HTの 他 に 、35以 上 の 高 分 子 系 で 効 率 5% 以 上 が 実 現 し て い る 。有 機 系 太 陽 電 池 の 高 効 率 化 の 変 遷 を 出 荷 さ れ て い る 有 機 系 太 陽 電 池 の 効 率 は 、 3% の オ ー ダ ー で あ る 。 三 菱 化 学 は 、低 分 子 系 で 効 率 11.1%( 0.159cm 2 、Jsc=17.8mA/cm 2 、Voc=0.807V、FF=0.657) 15 を 実 現 し て い る 。Heliatekは 、有 機 系 タ ン デ ム で 効 率 12.0% 、UCLA/住 友 化 学 は 、高 分 子 系 タ ン デ ム で 効 率 10.6% を 達 成 し て い る 。 有 機 系 太 陽 電 池 の 効 率 向 上 が 必 要 で あ る 。 2011年 に 、P3HT/PC60BM、PVNTNT/PC60BMの 組 み 合 わ せ で 、効 率 7% 、P3HT/PC71BM、TC60BA/PBDTT-DPP の 組 み 合 わ せ で 、 効 率 9.36% だ っ た 。 2012年 に は 、 UCLAで は 、 P3HT、 住 友 化 学 の 高 分 子 / 吸 収 端 波 長 900nm材 料 の 構 成 で 、 効 率 10.61% を 得 て い る 。 3 接 合 タ ン デ ム の 試 み も 紹 介 さ れ 、Rene Janse1グ ル ー プ で は 、PMPPPST、PCDTBTな ど を 用 い 、効 率 8.9~ 9.6% を 得 て い る 。 無 機 系 で は 、 Eg/q-Voc= 0.4~ 0.5Vだ が 、 有 機 系 で は 、 低 Eg系 で 、 Eg/q-Voc= 0.7V、 高 Eg 系 で 、 Eg/q-Voc= 1Vと 、 大 き く 、 高 効 率 化 の 障 害 と な っ て い る 。 図13 図14 有機系太陽電池の高効率化の変遷(会議ハイライトより) 色素ーペロブスカイトハイブリッド太陽電池(会議ハイライトより) 16 次 世 代 OPVと し て 、stretchable OPVの 試 み 、モ フ ォ ロ ジ ー と 効 率 と の 相 関 、Quantum Chain 解 析 な ど の 基 礎 的 研 究 に つ い て も 触 れ た 。 60℃ 、 85% RHの 高 温 ・ 高 湿 試 験 も な さ れ 、 1000 時 間 後 で も 、 10% 以 内 の 低 下 に お さ ま っ て い る と の 事 で あ る 。 最 近 の 話 題 は 、色 素 ー ペ ロ ブ ス カ イ ト の ハ イ ブ リ ッ ド 太 陽 電 池 で 、図 1 4 に 示 す よ う に 、 効 率 15.0% ( 入 射 光 強 度 96.4mW/cm 2 で 、 Jsc=20.1mA/cm 2 、 Voc=993mV、 FF=0.73) が 報 告 さ れ て い る 。公 認 デ ー タ は 、EPFLの 14.1%( 0.209cm -2 、Jsc=21.34mA/cm 2 、Voc=1.007V、FF=0.657) で あ り 、 こ れ ま で の シ ャ ー プ の 色 素 太 陽 電 池 の 効 率 11.9% ( 1.005cm -2 、 Jsc=22.47mA/cm 2 、 Voc=0.744V、 FF=0.712) に 比 べ て 、 開 放 端 電 圧 が 高 く 、 そ の メ カ ニ ズ ム 解 明 が 今 後 の 高 効 率化に有効と考える。 ま た 、 色 素 ・ 有 機 太 陽 電 池 の 分 野 で は 、 効 率 18% を 目 指 し た セ ル の 高 効 率 化 、 高 信 頼 度 化の検討が必要であり、公立の公的機関による効率測定の認定が必要であることが指摘さ れている。 次 の 4 .5 の PVコ ン ポ ー ネ ン ト 、4 .5 の PVシ ス テ ム の 基 調 講 演 に つ い て は 、報 告 者 が 、 10月 3日( 木 )、CNRS本 部 で 開 催 さ れ た UNESCOイ ベ ン ト「 Renewable energies in the service of humanity: the current challenges and prospects by 2030 and 2050」 に 出 席 し て い た た め 、 聴 講 で き な か っ た 。 お 許 し 願 い た い 。 参 考 の た め に 、 前 回 の 第 27回 欧 州 太 陽 光 発 電 会 議 ( 2012年 24日 ~ 28日 、 フ ラ ン ク フ ル ト 、 ド イ ツ ) で の 基 調 講 演 を 紹 介 さ せ て 頂 く 。 4.4 PV コ ン ポ ー ネ ン ト : ( 1 )J.H. Wohlgemuth( NREL)は 、第 27回 欧 州 太 陽 光 発 電 会 議 で 、” Standards for PV Modules and Components – Recent Developments and Challeges” と 題 し て 、 基 調 講 演 を 行 っ た 。 IEC TC82は 、 PVに お け る 国 際 連 携 を リ ー ド し 、 国 際 標 準 を 発 行 し て い る 。 1980年 初 頭 に 設 置 さ れ た モ ジ ュ ー ル に 関 す る 標 準 化 を 進 め て い る WG2の 活 動 の 概 要 が 報 告 さ れ た 。 5つ の サ ブ WGか ら 成 る 。 ① Measurement Principlesは 、 IEC60891、 60904~ 10に ま と め ら れ 、 今 後 は 、 CPVに 関 す る WG7( IEC60904-3) と 連 携 し 、 ダ イ レ ク ト ス ペ ク ト ラ ム や CPVデ バ イ ス 用 の ソ ー ラ ー シ ミ ュ レ ー タ ー に 関 わ る IEC60904-9の ア ッ プ デ ー ト が 必 要 で あ る 。 ② Qualification and Safety Testingに 関 し て は 、IEC61215( 結 晶 Si)、61646( 薄 膜 系 )、 61730( PVモ ジ ュ ー ル )に ま と め ら れ て い る 。追 加 修 正 と し て 、ホ ッ ト ス ポ ッ ト や 温 度 係 数 などがある。 ③ Power and Energy Ratings に 関 し て は 、 IEC61853-1 ( irradiation and temperature performance)お よ び -2( spectral response, cycle of incidence and module temperature) に ま と め ら れ て い る 。 現 在 、 61853-3( module energy rating calculation) を 開 発 中 で あ る。 ④ Specialized Stress Testsに 関 し て は 、 IEC617( salt-mist corrosion testing of PV modules)に ま と め ら れ て い る 。現 在 、IEC62719( transported testing)、62712( dynamic mechanical load testing)、62716( corrosion testing)2804( system-voltage durability testing) を 開 発 中 で あ る 。 ⑤ Module Componentsに 関 し て は 、 IEC62790( junction box) 、 62109-2( safety for power 17 convertors)、connectors for PC applications in P systems – safety requirement testing、 PV cablesな ど を 開 発 中 で あ る 。Module Materialsは 、Encapsulants、Back Sheets and Front Sheets、Adhesives、Pottants、Edge Sealか ら 成 り 、IEC62775、62788-1-2( EVA)、62788-1-4 ( encapsulants and back sheets)、62788-1-5( encapsulation optimization)、62805-1-1、 1-2を 開 発 中 で あ る 。 PVモ ジ ュ ー ル の 25年 間 動 作 中 で 、 最 大 劣 化 率 は 、 約 0.8% /年 で あ る 。 25~ 30年 保 証 の た め に は 、 PVモ ジ ュ ー ル の 加 速 ス ト レ ス 試 験 に 基 づ く 寿 命 推 定 が 要 求 さ れ る 。 PVモ ジ ュ ー ル は 多 岐 に わ た り 、 信 頼 性 試 験 の 難 し さ が あ る 。 初 期 出 力 の 保 証 、 20年 後 の 出 力 が 予 測 と 異 な る ケ ー ス が あ り 、 消 費 者 が 損 を す る こ と と な る 。 現 時 点 で は 、 寿 命 は 予 測 し 難 い 。 PVモ ジュ-ルの劣化モードとして、熱サイクルによるインターコネクターやハンダの破断、ガ ラ ス を 通 し て の リ ー ク 電 流 、水 の 浸 透 、な ど が あ り 、多 岐 に わ た る 。図 1 5 に 示 す よ う に 、 PVの 品 質 保 証 に 向 け た 国 際 標 準 の 開 発 の た め 、 International PV QA Task Forceの 設 立 が 、 紹 介 さ れ た 。6つ の WGが あ り 、さ ら に 3つ の WG( wire loading、testing of TF modules、testing of CPV modules) が 組 織 さ れ て い る 。 図15 International PV QA Task Forceの 概 要 ( Dr. S. Kurtz提 供 ) こ の 他 、 Y. Hishikawa ( AIST ) の “ Traceable Performance Characterization of State-of-the-Art PV Devices”、J. Sutterfluetiら( Oerlikon Solar)の“ Bos Costs: Status and Optimization to Reach Industrial Grid Parity” と 題 す る 基 調 講 演 、 が あ っ た 。 4.5 PV シ ス テ ム : ( 1 )F.P. Baumgartnerら( ZHAW Univ.)は 、第 27回 欧 州 太 陽 光 発 電 会 議 で 、” integration and Management of PV Mattery Systems in the Grid” と 題 し て 、 プ レ ー ナ リ 講 演 を 行 っ た 。 ド イ ツ な ど で は 、 系 統 に 占 め る PVの 比 率 が 増 加 し つ つ あ る 。 ド イ ツ の 場 合 、 図 1 6 に 示 す よ う に 、2011、2012、2017、2020年 に 、各 々 、24GW( 4% )、29GW( 5% )、51GW( 9% )、 68GW( 12% ) と 予 測 さ れ て い る 。 集 中 発 電 か ら 分 散 発 電 へ 、 ス マ ー ト グ リ ッ ド が 重 要 と な 18 ろ う 。 系 統 連 携 は 、 電 圧 や 周 波 数 変 動 を も た ら し 、 系 統 の 安 定 化 の た め に は 、 PVシ ス テ ム の smart integration が 必 要 で あ る 。 一 解 決 策 と し て 、 PV + EV + バ ッ テ リ の solar home storage system( 図 1 7 ) が あ り 、 系 統 の 安 定 化 の た め に も 、 バ ッ テ リ の 重 要 性 が 増 し て いる。図18には、市場における種々のバッテリの現状をまとめて示す。いくつかのケー ス ス タ デ ィ が 述 べ ら れ た 。 図 1 9 は 、 PV、 バ ッ テ リ 、 グ リ ッ ド の コ ス ト シ ナ リ オ を 示 す 。 2017、 2018年 頃 に 、 PV+バ ッ テ リ シ ス テ ム も 、 グ リ ッ ド パ リ テ ィ を 実 現 で き る と し て い る 。 図16 ドイツおける系統に対する 図17 PV-EV-Batteryホ ー ム シ ス テ ム PVの 割 合 図18 市場における種々のバッテリの現状 19 図19 PV、 バ ッ テ リ 、 グ リ ッ ド の コ ス ト シ ナ リ オ こ の 他 、 H. Ossenbrikら ( EC-JRC) の “ New Opportunities for PV Systems” と 題 す る 基 調 講 演 、 A. Umlond ら ( SMA Solar Tech. ) の “ Industrial Solutions for Large PV Integration in the Smart Grid”、H. Schumacher( FH Erfurt)の“ Sustainable Development of the Local and Natural Scenery with Renewable Energy Sources” と 題 す る プ レ ー ナ リ講演、があった。 4.6 市場、政策等: ( 1 ) 開 会 式 セ ッ シ ョ ン で 、 Moderated Opening Panelと し て 、 M. Crane( Deutsche Welle) が モ デ レ ー タ ー で 、 “ Policy and Research for PV in a Global Market” に 関 す る パ ネ ル 討 論 が な さ れ た 。冒 頭 、J. Chase( Bloomberg New Energy Finance)が 、“ Setting the Scene: Investments along the Solar Value Chain” と 題 し て 、 話 題 提 供 を 行 っ た 。 図 2 0 は 、 世 界 に お け る PVの 投 資 額 の 変 遷 を 示 す 。2000年 の $ 2.4B、2005年 の $ 16.4B、2010年 の $ 99.9B、 2011年 の $ 158.1Bと 順 調 に 伸 び た が 、 2012年 の $ 140.4Bと 昨 年 は 下 が っ た 。 し か し 、 今 後 も 、太 陽 光 発 電 は 伸 び て 行 く で あ ろ う 。2012年 の 30.5GW、2013年 の 36.9GW、2014年 の 48.9GW、 2015年 の 53.9GWと 伸 び 、EPIAに よ れ ば 、2020年 に は 390GWに な る と 予 想 さ れ て い る 。雇 用 も 24.7人 年 /MWと い う こ と だ か ら 、75万 人 程 度 の 雇 用 が 確 保 さ れ て お り 、今 後 も 伸 び て 行 く で あろう。今後も、太陽光発電のさらなる導入・普及、市場の拡大のためには、政策、投資 や R&Dの 強 化 が 重 要 で あ る 。た だ 、図 2 1 に 示 す よ う に 、売 上 額 に 対 す る 太 陽 光 発 電 で の R&D 予 算 は 、 2% 程 度 と 、 半 導 体 産 業 の ~ 16% 、 薬 品 業 界 の ~ 14% 、 自 動 車 産 業 の ~ 3.5% に 比 べ て 低 く 、 R&Dの 強 化 が 望 ま れ る 。 C. Turmes( EU) 、 G. De Santi( EC-JRC) 、 M. Le( DOE) 、 A. Mine( SER) 、 M. Konagai ( 東 工 大 )、P. Verlindem( Trina Solar)、S. Rinck( 欧 州 工 業 会 )が パ ネ リ ス ト と し て 、 コメントが述べられた。折角の試みながら、参加者との意見交換がなかったのは残念であ 20 った。 図20 図21 世 界 に お け る PVの 投 資 額 の 変 遷 ( RTS松 川 氏 提 供 ) 太陽光発電の売上額に対する予算額の変遷と他の産業のそれとの比較 ( RTS松 川 氏 提 供 ) ( 2 ) 閉 会 式 セ ッ シ ョ ン で 、W. Sine( ECN)、“ Photovoltaics: Creating new opportunities for Europe” と 題 し て 、 欧 州 に お け る PV技 術 の こ れ ま で の 総 括 と 今 後 の 方 向 性 が 述 べ ら れ た 。 こ れ か ら の PV時 代 に 対 す る コ メ ン ト が 述 べ ら れ た : ① market- and application-driven developments、 ② self-sustained commercial markets within a sustainable market design、 ③ major contribution to energy system、 ④ growth 21 limited primarily by integration, not by cost、 ⑤ Europe has company and strong competition in PV. ( 3 ) C. Lins( REN21) は 、 “ Global Renewable Energy Development and Outlook with a Particular Focus on PV ”と 題 し て 、プ レ ー ナ リ 講 演 を 行 っ た 。関 連 資 料 は 、www.ren21.net で入手できる。 ( 4 ) P. Meniaら ( European Commission) は 、 ” Photovoltaics in Europe: Reality, Potentiality and Responsibility” と 題 し て 、欧 州 PVプ ロ グ ラ ム の 狙 い 、役 割 等 に つ い て 、 講演を行った。 ( 5 ) I. Kaizukaら ( RTS) は 、 “ Impacts of FIT on the PV Market in Japan” と 題 し て 、 我 が 国 に お け る 固 定 電 力 買 取 制 度( FIT)の 概 要 が 述 べ ら れ た 。FITに 関 し て 、2012年 度 は 、 20.022GWが 認 定 さ れ た が 、 実 際 の 設 置 量 は 、 1.67GWで あ っ た 。 し か し 、 2013年 の 日 本 市 場 は 、4.5~ 5GWで あ ろ う と 述 べ ら れ た 。2014年 度 は 、消 費 税 も 上 が る し 、FIFは 減 り 、小 規 模 の PVが 飛 躍 的 に 伸 び る だ ろ う と 見 て い る 。 PVモ ジ ュ ー ル も 改 良 さ れ て い る し 、 PV価 格 も 、 我が国でも、電力価格並みになるだろう。住宅における自己消費モデルへの移行、新たな ビ ジ ネ ス モ デ ル の 創 生 、系 統 容 量 の 確 保 、電 力 の 供 給 構 造 の 見 直 し 、等 も 求 め ら れ て い る 。 ( 6 ) M. Yamaguchiら ( 豊 田 工 大 ) は 、 “ Importance of Photovotaics Learned from the Fukushima Nuclear Power Plant Accident in Japan” と 題 し て 、 福 島 原 発 事 故 を 踏 ま え て 、 太 陽 光 発 電 の 重 要 性 が 述 べ ら れ た 。特 に 、太 陽 光 発 電 の 導 入・普 及 、市 場 拡 大 の た め に は 、 研究開発が重要であり、我が国における太陽光発電の研究開発の概要が述べられた。 図22 福 島 原 発 敷 地 内 ( 炉 心 か ら 500m) 、 浪 江 市 ( 30km) 、 い わ き 市 ( 40km) における放射線量(福島原発事故に伴う)の時間経過 図 2 2 は 、 福 島 原 発 敷 地 内 ( 炉 心 か ら 500m) 、 浪 江 市 ( 30km) 、 い わ き 市 ( 40km) に お け る 放 射 線 量 ( 福 島 原 発 事 故 に 伴 う ) の 時 間 経 過 を 示 す 。 半 減 期 30年 の Cs-137が 効 い て 、 22 放 射 線 量 の 減 衰 は 飽 和 し て お り 、現 在 よ り 放 射 線 量 を 一 桁 下 げ る た め に は 、約 100年 待 た ね ば な ら な い 。放 射 能 除 染 も 有 効 だ が 、福 島 県 の 2000km 2 の 地 域 の 放 射 能 除 染 が 必 要 で 、最 悪 80兆 円 か か る と も 言 わ れ て い る 。福 島 原 発 事 故 は 、今 後 、原 子 力 発 電 を 再 稼 働 す る こ と で 、 使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理や貯蔵をどうするのかの早期結論も求めている。今 のままでは、後世に負の遺産を残し、大きな倫理的な問題を生じていると言えよう。図2 4 は 、 太 陽 光 発 電 導 入 の 加 速 化 に よ る 原 子 力 発 電 代 替 の 可 能 性 を 示 す 。 PV2030+ ロ ー ド マ ッ プ に よ れ ば 、 2030年 ま で に 、 PVの 累 積 導 入 量 100GW( 日 本 の 総 電 力 の 1割 に 相 当 ) の タ ー ゲ ッ ト が あ る 。 図 2 4 に 示 す よ う に 、 太 陽 光 発 電 導 入 の 加 速 化 に よ り 、 2035~ 2040年 に 、 原子力発電の代替も可能と言える。 図24 図25 太陽光発電導入の加速化による原子力発電代替の可能性 各種太陽電池の高効率化の変遷と最近の我が国の貢献 (右端に赤い四角、丸で示す) 23 太陽光発電の導入・普及の加速化のためには、将来エネルギービジョンの創生、政策立 案、市場モデルの創生、投資等と同時に、太陽光発電に関する研究開発の強化が重要であ る と 述 べ ら れ た 。我 が 国 に お け る 太 陽 光 発 電 の 研 究 開 発 の 概 要 が 紹 介 さ れ た 。図 2 5 に は 、 各 種 太 陽 電 池 の 高 効 率 化 の 変 遷 と 最 近 の 我 が 国 の 貢 献 を 示 す 。 NEDOの 「 集 光 太 陽 光 発 電 に 関 す る 日 欧 共 同 研 究 」で 、シ ャ ー プ が 、InGaP/GaAs/InGaAs3 接 合 太 陽 電 池 の 250~ 300倍 集 光 で 、効 率 44.4% の 世 界 最 高 効 率( 上 記 し た よ う に 、つ い 最 近 、FhG-ISEが 、44.7% を 達 成 ) を 達 成 す る 共 に 、 同 構 造 で 、 非 集 光 で の 世 界 最 高 効 率 37.9% を 達 成 し て い る 。 こ の 他 、 パ ナ ソ ニ ッ ク /サ ン ョ ー の HIT構 造 結 晶 Si太 陽 電 池 で 効 率 24.7% 、 ソ ー ラ ー フ ロ ン テ フ ィ ア の CIS太 陽 電 池 効 率 19.7% 、シ ャ ー プ の 色 素 増 感 太 陽 電 池 で 効 率 11.9% 、三 菱 化 学 の 有 機 太 陽 電 池 効 率 11.1% な ど 、 誇 れ る 成 果 が あ る 。 今 後 も 、 太 陽 電 池 お よ び シ ス テ ム の 高 性 能 化 、 低コスト化、長寿命化に関する研究開発が、太陽光発電の将来の主要なエネルギーへの発 展、市場のさらなる拡大、主要産業への展開、雇用の確保や人材の育成に需要であると結 んだ。 5.感想: 今 回 の 会 議 は 、前 回 よ り 、参 加 者 数 が 減 っ た と は い え 、相 変 わ ら ず 、太 陽 光 発 電 に 関 す る 最 大 規 模 の 会 議 と な っ た 。展 示 の 方 も 、欧 州 市 場 の 冷 え 込 み を 反 映 し て 、出 展 企 業 数 は 、 減少した。 現 在 主 流 の 結 晶 Si系 は 、 本 会 議 で の 発 表 論 文 件 数 が 436件 と 多 く 、 企 業 や 大 学 、 研 究 所 に よ る 研 究 開 発 の 裾 野 の 広 が り は 他 分 野 を 圧 倒 し て お り 、 今 後 10年 は 結 晶 Si系 が 主 流 で あ り続けることが期待される。勿論、そのためにも、研究開発の一層の強化が重要なポイン ト の 一 つ で あ る と 言 え よ う 。 結 晶 Si太 陽 電 池 セ ッ シ ョ ン で は 、 欧 米 か ら の 研 究 成 果 発 表 が 盛んだが、日本企業からの参加は少なく、今後の危惧を感じる。また、欧州で産学連携が 進 ん で い る 。 わ が 国 で も 、 NEDOの 高 性 能 次 世 代 プ ロ ジ ェ ク ト で 、 結 晶 Si太 陽 電 池 の 研 究 開 発 の コ ン ソ シ ア ム が 進 展 し て 、 優 位 な 成 果 が 出 つ つ あ る 。 今 後 も 、 NEDOの 後 継 プ ロ ジ ェ ク ト を 期 待 す る し 、 結 晶 Si太 陽 電 池 を 含 む 太 陽 光 発 電 の 研 究 開 発 者 人 口 を 増 や し 、 さ ら に レ ベルを上げることが必要である。わが国には、太陽光発電に関し、他国が真似をできない 高度な研究開発を行うことが求められている。もう一度、世界一の生産量と市場の創製の 実現をしたいものである。 こ こ に 来 て 、薄 膜 Si系 の 元 気 の な さ も 気 に か か る 。産 学 連 携 を 強 化 し 、結 晶 Si太 陽 電 池 に対して、性能、コスト、寿命等でも優れたものを開発することが求められている。 一 昨 年 6 月 か ら 、集 光 型 太 陽 光 発 電 に 関 す る 日 欧 の 共 同 研 究 開 発 が 始 ま り 、欧 米 で の 集 光型太陽光発電システムの重要性が再認識されており、わが国における超高効率太陽電 池・材 料 、集 光 モ ジ ュ ー ル お よ び シ ス テ ム に 関 す る 研 究 開 発 の 再 強 化 の 良 い 機 会 と な ろ う 。 ま た 、欧 米 と 日 本 に お け る III-V族 多 接 合 、集 光 型 太 陽 電 池 の 超 高 効 率 化 の 競 争 が 進 め ら れ ており、日本の研究開発のレベルをさらに高め、大規模太陽光発電への道を切り開きたい ものである。 欧 米 の 専 門 家 達 と 話 す 中 で 、我 が 国 で の 有 機・色 素 に か け る リ ソ ー ス の 多 さ に 驚 か れ る 。 性能や信頼性に課題が多く、基礎にたちかえる必要があろう。 24 な お 、プ ロ グ ラ ム 委 員 長 が 閉 会 式 で 紹 介 し た 今 会 議 の ハ イ ラ イ ト が 、下 記 の ホ ー ム ペ ー ジで入手できる。 http://www.photovoltaic-conference.com/images/stories/28th/2_conference/EUPVSEC2013_high lights_.pdf 次 回 の 29 th EU-PVSECは 、 2014年 9月 22日 ~ 26日 に 、 オ ラ ン ダ の ア ム ス テ ル ダ ム で 開 催 予 定 で あ る 。第 23回 太 陽 光 発 電 国 際 会 議 (PVSEC-23)は 、2013年 10月 28日 ~ 11月 1日 、台 湾・台 北 で 、 40 th IEEE PVSCは 、 2014年 6月 8日 ~ 13日 、 米 国 コ ロ ラ ド 州 デ ン バ ー で 、 開 催 予 定 で あ る 。 ま た 、 PVSEC-24、 41 st IEEE PVSC、 30 th EU-PVSECの 合 同 会 議 と な る 第 6回 太 陽 光 発 電 世 界 会 議 ( WCPEC-6) は 、 2014年 11月 23日 ~ 27日 、 京 都 で 開 催 予 定 で あ る 。 (以上) 25