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問題点のまとめ

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問題点のまとめ
問題点のまとめ
1.汚泥の削減
遼寧省内では発生している汚泥はほとんど未処理のまま埋立によって処分されている。
下水汚泥の処理・処分は現在、日本でも進行形の課題であることから多くの研究や技術開
発が行われており、大阪府下においてもこれらの技術を有する企業があると考えられる。
そこで具体的な汚泥削減技術と技術交流の可能性を示すと以下の通りになると考えられる。
1) 焼却、および溶融処理 →
「極めて困難」
焼却および溶融は日本の都市部では多く行われている処理方法であるが、設備費用も
高く、かつエネルギーを多く必要とすることから、焼却および溶融処理の導入は困難
であると考えられる。
2) バイオガス発電(嫌気性発酵) → 「困難」
嫌気性発酵とは偏性嫌気菌(酸素がない状態で生息する菌)であるメタン菌などの働き
によって有機物からメタンガスなどの可燃ガスを取り出す技術であり、発生ガスを用い
て熱源や発電に用いるなどが可能である。また、消化による汚泥自体の減容化への効果
も大きい。発酵後の消化液についても液肥として農場への還元も可能であり下水汚泥か
ら様々な方面に還元できる有効な汚泥処理技術であると考えられる。本ミッションで訪
れた営口市西部下水処理場でも計画されており、バイオガス発電の遼寧省内での導入の
可能性は大きい。
しかしながらバイオガス発電での大阪府下企業の参入の可能性については、下水処理場
に建設する大規模なプラント建設での参入は困難であると考えられる。主には、維持管
理のノウハウなどの技術支援や消化を促進する薬剤の販売などが挙げられるが、日本国
内でみれば市レベルが管理する大規模な下水処理場が中小企業の特殊な技術を採用し
ている例はほとんどなく、中国国内でも同様のことが考えられ参入方法には課題が残さ
れていると考えられる。
3) コンポストなどの堆肥化 → 「可能性有り」
コンポストなどの堆肥化については、今回訪問した瀋陽市や営口市の下水処理場は主
に生活排水の処理場であり、重金属がほとんど含まれていないという情報からコンポ
ストなどの堆肥化が可能であると考えられる。厨芥廃棄物や下水汚泥などの堆肥化で
は有機物の有効な組成(C/N比・・カーボン/窒素比)や水分率、また安定した発酵を
促進するために必要な「組成や水分の調整剤」の添加、及び冬季の外気温対策など、
堆肥にするまでの各種調整や管理が非常に難しい。良質の品質を得るには熟成期間を
含めた「設備上及び運転管理上の多くのノウハウが必要」であり、そのための技術提
供の可能性はあると考えられる。ただし、検討段階においては、重金属を含む汚泥中
の「有害物質の有無」について十分調査する必要がある。
4) 汚泥発生を抑制する排水処理技術 → 「可能性有り」
汚泥発生の抑制技術(余剰汚泥の尐ない排水処理技術)については薬剤添加によるも
のやバチルス菌などの他の菌を投与することで余剰汚泥の生成を抑制する技術など多
くあり、これらは中小の企業でも多くの製品があると考えられる。
2.排水中の窒素(主にアンモニア)・リンの除去技術
下水中の窒素、リンは高度処理を行うことで除去が可能である。具体的には、
「A2O 法・・
嫌気・無酸素・好気反応」や「オゾン、活性炭処理」などを導入することで窒素やリンの
除去率を高くすることが可能であると考えられる。ただし、これらの技術は既往の水処理
技術であり中小企業の参入は難しい。しかし、リン除去のための凝集剤や活性炭に変わる
吸着剤を開発している企業はあり、処理システムの一部に中小の技術が参入することは可
能であると考えられる。
3.フライアッシュの有効利用
本ミッションで、遼寧省内には火力発電所が多くあることからフライアッシュ(飛灰)
の処分が課題であることが明らかになった。日本国内ではフライアッシュの再利用法で最
も多いのはセメントや道路材に混ぜ込む方法である。フライアッシュをモルタルに混ぜて
用いると強度や流動性が改善されるなど利点も多くあり、現在遼寧省内では建築用材料に
多く混合しているが、東北地方は厳寒期には建築業が停滞することなどから建材の需要減
となるため、フライアッシュの異なった利用方法を模索する必要があると考えられる。
4.排ガス処理(主に、NOx、SOx)
本交流ミッションでは水処理に主眼を置いて事前調査を行っていたが、現地の情報で多
く挙げられたのが産業からの排気ガスの浄化方法についての技術提供の依頼が多く、中で
も脱硫装置については質問が多かった。
小規模の火力発電所であれば水酸化マグネシウム法による脱硫が有効であるが、生成し
た硫酸マグネシウムの処分は、元々多くの硫酸マグネシウムを含む海であれば自由に放流
できる。しかし、淡水域への放流は電気伝導度の上昇など問題があると考えられ、内陸で
ある瀋陽市では用いることが難しいが、営口市では大いに利用できる技術である。企業の
参入の可能性については、小規模の排ガス浄化装置を製造している企業は大阪府下にも存
在すると考えられる。
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