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協会長ステートメント
2014 年 12 月 18 日 協会長ステートメント 一般社団法人 会 長 日本損害保険協会 櫻 田 謙 悟 協会長に就任して約 6 ヵ月が経過しようとしています。その間の主な活動や出来事に つきまして、ご報告するとともに所感を申し上げます。 1.これまでの取組状況 (1)防災・減災への取組み ① 国連防災世界会議への参画決定 損害保険協会は、2015 年 3 月に仙台市で開催される、第 3 回国連防災世界会議の パブリック・フォーラム(関連事業)において、 「地震保険」と「防災教育」に関する フォーラムへの参画申請を行っていましたが、このたび、正式に参画が決定しまし た。具体的には、政府と損害保険会社が共同で運営する地震保険制度や 10 年先を見 据えた防災教育のあり方についての講演・パネルディスカッション、 「ぼうさい探検 隊マップコンクール」の表彰式などを予定しています。 東日本大震災の発生から 4 年を経て、被災地である仙台市で開催される同会議で は、日本をはじめ世界の防災に関するさまざまな最新の知見の発信が予定されてい ます。損害保険協会では、東日本大震災で損害保険業界が果たしてきた役割やその 経験などを踏まえ、世界の防災・減災文化の発展に貢献できるよう、準備を進めて います。 ②「ぼうさい探検隊」の取組み 次代を担う子どもたちが、自分の住むまちを探検しながら、実体験を通じて防災・ 防犯・交通安全について学び、マップにまとめる「ぼうさい探検隊」の取組みは、 今年度で 11 年目を迎えました。近年、集中豪雨などの大規模な自然災害の発生を背 1 景に、ハザードマップ情報などから、水害や台風、豪雨発生時の浸水範囲に着目し たマップが増加しています。また、沿岸地域からの応募では、津波を想定して高台 への避難ルートの確認を取り入れる作品も多く見られました。今年度の「ぼうさい 探検隊マップコンクール」では、過去最多の 511 団体・17,187 人が参加、2,267 マ ップの応募をいただきました。 今後、専門委員の審査により、ご応募いただいたマップの中から入選 17 作品を決 定するとともに、来年 3 月 15 日には、入賞 9 団体の子どもたちを国連防災世界会議 の開催時期に合わせて仙台市に招き、表彰式を開催する予定です。 ③ 防災・減災教育カリキュラムの推進 損害保険協会では、文部科学省が推進している「土曜日の教育活動推進プロジェ クト」の「土曜学習応援団」に、2015 年度から参加することを決定しました。 同プロジェクトでは、小学校から高等学校までの子どもたちを対象に、地域にお ける多様な学習や体験活動の機会の充実などを目的として、多様なテーマによる教 育活動が実践されています。損害保険協会は、地域特性を踏まえた防災・減災教育 を推進するため、学校やPTAなどの地域関係者と連携し、 「ぼうさい探検隊」を中 心とした教育カリキュラムの提供を行ってまいります。 (2)国際規制への対応 本年 10 月 20 日から 25 日まで、アムステルダムで保険監督者国際機構(IAIS) の第 21 回年次会合が開催されました。今回の年次会合では、現在IAISで策定が 進められている、「グローバルな保険資本基準(ICS)」にかかるオブザーバー・ ヒアリングが実施され、損害保険協会は、生命保険協会と共同で意見表明を行いま した。具体的には、グローバルに一貫性のある資本基準の導入は、グループリスク 管理の促進や規制対応コストの削減につながることから、ICSの策定を支持する とともに、その使用においては、早期警戒指標および保険グループの監督における 各国当局間のコミュニケーション・ツールとして用いるべきであることなどの提案 を行っています。 (3)アジア諸国へのインフラ支援 日本とマレーシアの二国間金融協力合意に基づき、財務省が金融庁、日本銀行等 と連携して取り組んでいる金融インフラ支援の一環として、10 月 30 日にクアラルン プールにおいて、カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナムの保険監督者を対象 にしたセミナーが開催されました。損害保険協会では、同セミナーの保険技術支援 プログラムへの講師派遣を行い、重点課題として取り組んでいる保険詐欺対策や、 2 会員会社における統合的なリスク管理態勢(ERM)の取組み、日本の保険規制や IAISにおける国際規制の議論の動向など、各国の損害保険業界の今後の発展に 資する取組みを紹介しました。 続いて、本年 11 月 6 日には、金融庁主催のワークショップがベトナムで開催され ました。官民が連携し、金融庁が保険業法についてプレゼンテーションを行った後 に、民間側からは損害保険料率算出機構が料率算出制度についてプレゼンテーショ ンを行いました。損害保険協会も参加して活発な意見交換も行われており、今後も、 ベトナムとの間で技術支援に向けた取組みを進めていくこととなりました。 損害保険協会では、これまでにもインドネシアで同様の取組みを進めていますが、 引き続きアジアの金融インフラ整備に資する、保険技術協力を中心とした積極的な 取組みを推進してまいります。 2.第 7 次中期基本計画の策定状況 損害保険協会では、本日の理事会において、2015 年度が初年度となる第 7 次中期基本 計画(2015 年度~2017 年度)の骨子を決定しました。損害保険業の健全な発展と信頼性 の向上を通じて安心・安全な社会づくりに貢献していくため、5 年・10 年先の環境と損 害保険業界に与える影響を見据え、超高齢社会やグローバル化、新たなリスク、自然災 害への対応などの課題に重点的に取り組んでいくこととしています。今後は、これら重 点課題ごとの具体的な取組みを整理するなど、次期中期基本計画の策定に向けた取組み を加速してまいります。 なお、超高齢社会への対応については、12 月に開催されたお客さまの声・有識者諮問 会議における議論を踏まえ、その傘下に作業部会(タスクフォース)を設置し、外部有 識者からなるメンバーに、超高齢社会への本格的な進行に伴うさまざまな課題について ご議論いただくこととしました。 ○取組み重点課題骨子 1.超高齢社会への取組み 2.グローバル化への取組み 3.新たなリスクへの取組み 4.自然災害への取組み 5.保険犯罪への取組み 6.新たな募集態勢の構築に向けた取組み 7.消費者からの相談・苦情・紛争解決への取組み 8.消費者教育の取組み 3 3.おわりに 本年 6 月に閣議決定された政府の成長戦略の改訂版では、企業が収益性や生産性を一 層高めるため、グローバルスタンダードとしてのコーポレートガバナンス強化が重要な 柱として掲げられています。現在、金融庁と東京証券取引所が事務局を務めるコーポレ ートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議において、上場企業に求めるコード に関する検討が進められていますが、12 月 12 日の公表資料によると、取締役会等の責務 として、企業戦略の大きな方向性を示すことや、客観的立場から経営陣に対する実効性 の高い監督を行うことを求めたり、いわゆる政策株式については、リターンとリスクを 踏まえた中長期的な経済合理性や将来見通しを検証することなど、実質的な機能に踏み 込んだ数々の提言がなされる見込みです。 今後、我々損害保険業界としても、損害保険という重要な社会的インフラを担う企業 として、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた取組みの一層の推進が重要 であり、本コードの内容も注視していく必要があると認識しています。 損害保険協会としましても、第 6 次中期基本計画の総仕上げ、および第 7 次中期基本 計画の策定に取り組んでまいりますので、引き続き、皆さまのご支援、ご協力をよろし くお願い申し上げます。 以 4 上