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ダフ屋行為について
ダフ屋行為について 穂刈享研究会第6期 ダフ屋の売買方法 • ネットオークション • ダフ屋(独占) →会場付近で売る。ダフ屋は1人しかいない。 • ダフ屋(寡占) →会場付近で売る。ダフ屋は他にもいる。 分析の方法 • 消費者余剰と生産者余剰の和がどのように変化するか • 抽選でチケットを得る場合と並んでチケットを得る場合 • 並ぶ場合は1人当たりの上限枚数を1、3、5枚とする 条件 • チケット枚数は5000枚 • チケット価格は4000円 • ダフ屋の人数は500人 • 需要関数はD(p)=-p+10000 • 並ぶことにはコストがかかる • →一般客1000円、ダフ屋0円 抽選の場合 • ネットオークションでは相場が存在し、買えなかった人も皆自分の評 価額でチケットを購入する • 会場でダフ屋から購入する場合、イベントの開催時刻が近いことも ありダフ屋に支払ってもよいと考える金額は高くなる ダフ屋に支払える金額 定価の 1.5倍 人数の割合 金額 2倍 50% 6000円 2.5倍 40% 8000円 10% 10000円 6000×0.5+8000×0.4×10000×0.1 =7200より 抽選でチケットを手に入れられなかった人が ダフ屋に支払ってもよいと考える平均額は 7200円となる 抽選の場合の基本モデル 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×5000(1000+6000) =1750万円 チケット価格 総和は3750万円 消費者余剰 5000 4000 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 5000 チケット枚数 抽選*ネットオークション 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×5000(1000+6000) =1750万円 チケット価格 総和は3750万円 消費者余剰 5000 4000 黄色部分はダフ屋 の利益! 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 4500 5000 チケット枚数 ダフ屋のチケット販売価格 • チケットの定価は4000円 • 需要関数D(p)=-p+10000より、価格が10000円でも買う人がいる • 消費者のチケットに対する評価額(支払ってもよいと考える金額)は 4000円~10000円 • ダフ屋は評価額の平均をとり、7000円でチケットを販売する 抽選*ダフ屋(独占) ダフ屋の販売価格は消費 者の評価値4000円~ 10000円の平均7000円 チケット価格 消費者余剰 5000 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×4500(1500+6000) +500{(7200-7000)+(7000-4000)} =1847万5千円 総和は3847万5千円 4000 橙部分がダフ屋に よって増加した! 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 4500 5000 チケット枚数 なぜ7200円、7000円なのか? • 消費者の評価値が10000円~6000円で、人数比から7200円となる • ダフ屋は元々の消費者の評価値4000円~10000円で、平均から 7000円となる • 10000円でも欲しいという消費者にはダフ屋は9000円ほどで売り、 6000円でも欲しいという消費者にはダフ屋は5000円ほどで売ると考 える →平均して消費者の評価値は7200円、ダフ屋の売値は7000円となる ダフ屋が寡占状態とは? • ダフ屋が1人ではなく、2人いる場合を考える • 需要関数①D1(p)=-p+10000②D2(p)=-2p+12000 D(p) ② ダフ屋の販売価格が競争により 7000円→6000円に値下がりした! ① 0 6000 p 抽選*ダフ屋(寡占) 価格競争により、ダフ屋の 販売価格は7000円→6000 円に値下がりした チケット価格 消費者余剰 5000 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×4500(1500+6000) +500{(7200-6000)+(6000-4000)} =1847万5千円 総和は3847万5千円 4000 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 4500 5000 ダフ屋の利益の一 部がチケット購入者 の利益になった! チケット枚数 並ぶ場合 • 並ぶことにコストがかかるため、チケットが手に入らなかった場合 ネットオークションで支払ってもよいと考える金額は高くなる • 会場でダフ屋に対して支払おうという金額はそれ以上に高くなる ネットオークションの場合 会場の場合 ダフ屋に支払える金額 定価の 1.5倍 抽選 金額 2倍 50% 6000円 ダフ屋に支払える金額 2.5倍 40% 8000円 平均7200円 定価の 10% 10000円 1.5倍 2倍 抽選 金額 30% 6000円 2.5倍 50% 8000円 平均7800円 20% 10000円 並ぶ場合の基本モデル 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×5000(1000+6000) -1000 ×5000 =1250万円 チケット価格 総和は3250万円 消費者余剰 5000 並ぶコスト 4000 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 5000 チケット枚数 並ぶ*ネットオークション ダフ屋の販売価格は消費 者の評価値4000円~ 10000円の平均7000円 チケット価格 消費者余剰 5000 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×4500(1500+6000) +500{(7200-7000)+(7000-4000)} -1000×5000 =1347万円 総和は3347万円 並ぶコスト 4000 橙部分がダフ屋に よって増加した! 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 4500 5000 チケット枚数 並ぶ*ダフ屋(独占) 並んで買えなかった人の 評価値は7200円→7800円 にUP チケット価格 消費者余剰 5000 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×4500(1500+6000) +500{(7800-7000)+(7000-4000)} -1000×5000 =1377万円 総和は3377万円 並ぶコスト 4000 橙部分がダフ屋によっ てさらに増加した! 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 4500 5000 チケット枚数 並ぶ*ダフ屋(寡占) 価格競争により、ダフ屋の 販売価格は7000円→6000 円に値下がりした チケット価格 消費者余剰 5000 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×4500(1500+6000) +500{(7800-6000)+(7000-6000)} -1000×5000 =1377万円 総和は3377万円 並ぶコスト 4000 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 4500 5000 ダフ屋の利益の一部 がチケット購入者の利 益になった! チケット枚数 並んで買える枚数が1枚ではなかったら? • これまでは1人の購入枚数は1枚だったが、3枚、5枚購入できる場 合を考える • 消費者もダフ屋も買える上限だけチケットを購入するとする →消費者は友人などに定価で売る、つまり代わりに並んだことになる →ダフ屋はこれまで通り高く売ろうとする 並ぶ(3枚)*ネットオークション ダフ屋の購入枚数1500枚を 差し引いた残り3500枚を消費 者が1167人並んで買った チケット価格 消費者余剰 5000 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×4500(1500+6000) +1500{(7200-7000)+(7000-4000)} -1000× 2667 =1900万8千円 総和は3900万8千円 並ぶコスト 4000 橙部分がダフ屋に よって増加した! 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 2667 4500 5000 チケット枚数 並ぶ(3枚)*ダフ屋(独占) ダフ屋の購入枚数1500枚を 差し引いた残り3500枚を消費 者が1167人並んで買った チケット価格 消費者余剰 5000 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×4500(1500+6000) +1500{(7800-7000)+(7000-4000)} -1000× 2667 =1990万8千円 総和は3990万8千円 並ぶコスト 4000 橙部分がダフ屋に よって増加した! 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 2667 4500 5000 チケット枚数 並ぶ(3枚)*ダフ屋(寡占) 価格競争により、ダフ屋の販 売価格は7000円→6000円に チケット価格 値下がりした 消費者余剰 5000 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×4500(1500+6000) +1500{(7800-6000)+(6000-4000)} -1000× 2667 =1990万8千円 総和は3990万8千円 並ぶコスト 4000 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 2667 4500 5000 ダフ屋の利益の一 部がチケット購入者 の利益になった! チケット枚数 並ぶ(5枚)*ネットオークション ダフ屋の購入枚数2500枚を 差し引いた残り2500枚を消費 者が500人並んで買った チケット価格 消費者余剰 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×4500(1500+6000) +2500{(7200-7000)+(7000-4000)} -1000× 500 =2437万5千円 総和は4437万5千円 5000 4000 橙部分がダフ屋に よって増加した! 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 500 4500 5000 チケット枚数 並ぶ(5枚)*ダフ屋(独占) ダフ屋の購入枚数2500枚を 差し引いた残り2500枚を消費 者が500人並んで買った チケット価格 消費者余剰 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×4500(1500+6000) +2500{(7800-7000)+(7000-4000)} -1000× 500 =2587万5千円 総和は4587万5千円 5000 4000 橙部分がダフ屋に よって増加した! 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 500 4500 5000 チケット枚数 並ぶ(5枚)*ダフ屋(寡占) 価格競争により、ダフ屋の販 売価格は7000円→6000円に チケット価格 値下がりした 消費者余剰 生産者余剰=4000×5000 =2000万円 消費者余剰=1/2×4500(1500+6000) +2500{(7800-6000)+(6000-4000)} -1000 ×500 =2587万5千円 総和は4587万5千円 5000 4000 生産者余剰 D(p)=-p+10000 0 500 4500 5000 ダフ屋の利益の一 部がチケット購入者 の利益になった! チケット枚数 社会的余剰(表) 社会的余剰の推移 結論 • ダフ屋は消費者余剰を増加させるという存在意義がある。 • 抽選の場合、消費者の評価値が変化しないのであればダフ屋は消 費者余剰を増加させるはたらきはしない。 • 並ぶ場合、ダフ屋は消費者の並ぶコストを負担することによって消 費者余剰の増加に貢献している。 • ダフ屋は独占市場でも寡占市場でも社会的余剰に変化は及ぼさな い。