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資料5 地方独立行政法人について

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資料5 地方独立行政法人について
資 料 5
地方独立行政法人について
福祉保健部
平成20年10月
1 地方独立行政法人とは
「住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の
公共上の見地から、
①その地域において確実に実施されることが必要な
事務及び事業であって、地方公共団体が自ら主体と
なって直接に実施する必要のないもののうち、
②民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施され
ないおそれがあるものと地方公共団体が認めるもの
を効率的かつ効果的に行わせることを目的として、こ
の法律の定めるところにより地方公共団体が設立す
る法人をいう。」(法2条)
地方独立行政法人制度は、事前の関与・統制を極力排し、事後チェックへの移行
を図ることとされ、設立団体の監督・関与を必要最小限のものにするという考え方で
設計されている。
1
2 地方独立行政法人の業務運営の基本原則
公共性、透明性及び自主性が地方独立行政
法人の業務運営の基本原則である。(法3条)
公共性・・・①中期目標を設立団体の長が策定すること
により、設立団体政策意図を反映
②不採算医療等への県負担
透明性・・・中期目標、中期計画、財務諸表、事業評価
等の公表
自主性・・・設置団体の長は、法人の業務運営におけ
る自主性に配慮。人事や予算執行におけ
る法人独自の意思決定
2
3 地方独立行政法人の業務
業務の範囲(法21条)
①試験研究を行うこと。
②大学の設置及び管理を行うこと。
③公営企業(水道、鉄道、病院など)
④社会福祉事業を経営すること。
⑤公共的な施設で政令で定めるものの設置及び管
理を行うこと。(介護老人保健施設など)
⑥上記に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
3
4 地方独立行政法人の設立
「地方公共団体は、地方独立行政法人を設立
しようとするときは、その議会の議決を経て定
款を定め、都道府県(都道府県の加入する一
部事務組合又は広域連合を含む。以下この条
において同じ。)又は都道府県及び都道府県以
外の地方公共団体が設立しようとする場合に
あっては総務大臣、その他の場合にあっては
都道府県知事の認可を受けなければならな
い。」(法7条)
4
5 地方独立行政法人の財産的基礎
第6条
地方独立行政法人は、その業務を確実に実施するために必
要な資本金その他の財産的基礎を有しなければならない。
2 地方公共団体でなければ、地方独立行政法人に出資するこ
とができない。
3 設立団体(地方独立行政法人を設立する一又は二以上の地
方公共団体をいう。以下同じ。)は、地方独立行政法人の資本金
の額の二分の一以上に相当する資金その他の財産を出資しな
ければならない。
4 地方独立行政法人に出資される財産のうち金銭以外のもの
の価額は、出資の日現在における時価を基準として出資する地
方公共団体が評価した価額とする。
5
第6条第1項の規定の効果として、地方公共団体のある機関
が多額の累積債務を抱え債務超過状態に陥っている場合、当
該機関はそのままでは地方独立行政法人に移行できないもの
であり、こうした場合には、設立団体に債務を残す、または設立
団体から金銭出資を行うといった手法により債務超過状態を解
消しなければならない。(法67条第2項参照)
法67条
前条の規定により移行型地方独立行政法人が設立団体の有する権利及び義務を
承継した場合において、その承継の際、承継される権利に係る財産の価額の合計額
が承継される義務に係る負債の価額の合計額を超えるときは、その差額に相当する
金額及び当該設立団体が出資する資金その他の財産の価額の合算額が当該設立
団体から当該移行型地方独立行政法人に対し出資されたものとする。
2 前条の規定により移行型地方独立行政法人が設立団体の有する権利及び義務
を承継した場合において、その承継の際、承継される権利に係る財産の価額の合計
額が承継される義務に係る負債の価額の合計額を下回るときは、その差額に相当
する金額を当該設立団体が当該移行型地方独立行政法人の設立に際して出えんす
る資金その他の財産の価額から控除して得た額が当該設立団体から当該移行型地
方独立行政法人に対し出資されたものとする。
6
6 特定地方独立行政法人と一般地方独立行政法人
(特定地方独立行政法人)
特定地方独立行政法人とは、「その業務の停滞が住民の生
活、地域社会若しくは地域経済の安定に直接かつ著しい支
障を及ぼすため、又はその業務運営における中立性及び公
正性を特に確保する必要がある」(法2条2項)地方独立行政
法人で、役員及び職員は地方公務員の身分が与えられる。
(一般地方独立行政法人)
特定地方独立行政法人以外の地方独立行政法人。
(総務省の運用)
これまで病院事業について公務員型地方独立行政法人(特定地方独立行政法人)
の設立認可が行われているのは、いわゆる医療観察法第16条に基づく指定入院医
療機関の指定を受ける関係上、特定地方独立行政法人であることが必要な場合に
限定されている。
7
7 地方独立行政法人の業務運営
地方独立行政法人の業務運営の仕組みは、設立団体の長(このページでは以下
「知事」とする。)が業務の目標を示した上で、法人にその達成手段についての広範
な裁量権を与えて法人の責任と権限において業務を行わせ、事後的にその達成状
況をチェックする「目標による管理」の考え方を根幹として構成されています。
①目標期間(3年以上5年以下)、②提供す
るサービスその他業務の質の向上に関する事
項、③業務運営の改善、効率化に関する事
項、④財務内容の改善 などを定める。
中期目標
(法25条)
法人に指示
・知事が策定
・予め評価委員会
の意見を聴く。
・議会の議決を要
する。
①提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項
目標を達成するための措置、②業務運営の改善及び効
率化に関する目標を達成するための措置、③予算、収支
計画及び資金計画、④短期借入金の限度額、⑤剰余金
の使途 などを定める。
年度業務
実績評価
(法28条)
中期計画
(法26条)
年度計画
(法27条)
・中期目標に基づ
き、法人が作成
・知事の認可が必
要。(知事は予め評価
・中期計画に基づ
き、法人が策定
・知事に届出
・法人は評価委員
会の評価を受けな
ければならない。
・評価委員会は評
価結果を知事に
報告。
・知事は議会に評
価結果を報告。
中期目標に係る
業務実績評価
(法30条)
中期目標期間
終了時の検討
(法31条)
・法人は評価委員
会の評価を受けな
ければならない。
・評価委員会は評
価結果を知事に
報告。
・知事は議会に評
価結果を報告。
・知事は法人の業
務を継続させる必
要性等の検討を
行い、必要な措置
を講ずる。(知事は
委員会の意見を聴く。)
・ (公営企業型の場合)
議会の議決を要
する。(法83条)
中期目標に係る
事業報告書
(法29条)
(中期目標期間終了後)
・法人は知事に提出
・知事は議会に報告
評価委員会の意見を
聴く。)
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8 地方独立行政法人評価委員会
地方独立行政法人の業務運営は、地方公営企業のような単年度の予算
統制に代え、中期目標、中期計画による「目標による管理」の仕組みを採用
していることから、これに対応するため第三者評価を含む事後の事業評価
の仕組みを導入している。
法11条
設立団体に地方独立行政法人に関する事務を処理
させるため、執行機関の附属機関として地方独立行政
法人評価委員会を置く。
評価委員会は、地方独立行政法人について、その業務の公共性及び透明
性を確保するべく、住民の視点に立って、財務評価のみならず、社会的な評
価の観点からも評価することとされている。
9
9 地方独立行政法人と設立団体の長及び議会の関係
地方独立行政法人
設立団体の長
議会
備考
評価委員会
定款(法7条)
①定款作成・変更
②定款議決
評価委員会(法11条)
①条例上程
②条例議決
役員(法14条、17条)
理事長、監事(任命、解任)
③総務大臣の認可
副理事長、理事(任命、解
任、届出、公表)
業務方法書(法22条) ①業務方法書作成、③公表 ②認可
長は予め意見聴取
中期目標(法25条)
長は予め意見聴取
②中期目標議決
長は予め意見聴取
・中期計画議決(公
営企業型の場合)
①策定・変更
③公表
中期計画(法26条、
法83条)
①中期計画作成・変更
③公表
②認可
(変更命令)
年度計画(法27条)
①年度計画策定、②公表
②法人から届出
年度業務実績評価(法28条)
中期目標事業報告
(法29条)
②評価委員会から報告
①評価・改善勧告、②公表 ③長から報告
①中期目標事業報告書作成 ②法人から報告
②公表
③長から報告
中期目標業務実績評価(法30条)
②評価委員会から報告
①評価・改善勧告、②公表 ③長から報告
中期目標期間終了後
の検討(法31条)
業務継続の必要性、組織のあ
長は予め意見聴取
り方等検討し、所要の措置
(注)上記以外に重要な財産の処分や法人の解散等でも設立団体の長や議会と関係がある。
(注)各項目の番号(①、②・・・)手続きの順番を示している。
10
10 職員身分等について
地方独立行政法人
地方公営企業
特定地方独立行政法人
身分
任命(職員)
労働基本権
身分保障
給与
地方公務員
管理者が任命(地企法15条)
・団結権、団体交渉権あり
・争議権なし
法定事由でなければ、意に反して、降任、免職
等されない。
・給与の種類及び基準は条例で定められ、給与
表等の具体的事項は団体交渉の対象とし、労働
協定を締結することができるとされており、管理
者が当事者となって交渉に応じ、その決定事項
を企業管理規定で定めることができる。
給与決定の原則 職員の給与は、職務に必要とされる技能、職務
遂行の困難度等職務の内容と責任に応ずるも
のであり、かつ職員の発揮した能率が充分に考
慮されるものでなければならない。さらに、生計
費、同一又は類似の職種の国及び地方公共団
体の職員並びに民間事業の従事者の給与、当
該地方公営企業の経営の状況その他の事情を
考慮して定めなければならない。(地企法38条)
福利厚生
・地方公務員等共済組合法を適用
災害補償
定員管理
・地方公務員災害補償法を適用
条例で定める
一般地方独立行政法人
地方公務員
理事長が任命(法20条)
同左
非公務員
同左
・労働三権(団結権、団体交渉権、争議権)あり
同左
降任、免職等については、就業規則において規
定
同左
・法人の規程による
職員の給与は、その業務の内容と責任に応ずる
ものであり、かつ、職員が発揮した能率が考慮さ
れるものでなければならない。さらに、同一又は
類似の職種の国及び地方公共団体の職員、他
の特定地方独立行政法人の職員並びに民間事
業従事者の給与、当該特定地方独立行政法人
の業務の実績及び認定中期計画の人件費の見
積もりその他の事情を考慮して定めなければな
らない。(法51条)
同左
職員の給与は、その職員の勤務成績が考慮さ
れるものでなければならない。さらに、当該地方
独立行政法人の業務の実績を考慮し、かつ、社
会一般の情勢に適合したものとなるように定め
なければならない。(法57条)
移行型一般地方独立行政法人の役職員は、地
方公務員等共済組合法を適用。
同左
同左
・法人の規程による(設立団体の定数には含ま (公務員でないことから定数概念なし)
れない)
(設立団体への常勤職員数の報告義務あり)
移行型地方独立行政法人は、設立団体から引き継いだ職員が退職する場合には、その者が設立団体から引継ぎの際に退職手当を支給されている場合を除い
て、設立団体の職員としての在職期間を法人の職員としての在職期間とみなして退職手当を計算し、支給するものとされています。(法61条)
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11 地方独立行政法人の人事管理について
地方公務員法等職員の任用に関する法令が適用されず、職
員の任命権者が、地方独立行政法人の理事長になる(法2
0条)ことから、一般に以下の人事管理上のメリット・デメリッ
トがあると考えられます。
(人事管理上のメリット)
①適材適所の職員配置や職員採用の迅速化が可能
②職員の専門性を高めるようなキャリアパスの導入も可能
③民間的人事管理手法の導入(一部の部署だけの特殊な
給与体系や勤務条件の設定など)
④帰属意識の向上
(人事管理上のデメリット)
・人事管理コストの増大(人事管理のために新たなシステム
の導入等が必要となる。)
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12 公営企業型地方独立行政法人について
1 公営企業型地方独立行政法人の経営原則
(1) 経済性の発揮
公営企業型地方独立行政法人(法21条第3号に掲
げる業務を行う法人)は、「住民の生活の安定並びに地
域社会及び地域経済の健全な発展に資するよう努め
るとともに、常に企業の経済性を発揮するよう努めなけ
ればならない。」(法81条)
(2) 独立採算性
公営企業型地方独立行政法人の事業の経費は、設
立団体が負担するものを除き、「原則として当該公営企
業型地方独立行政法人の事業の経営に伴う収入を
もって充てなければならない。」(法85条2項)
13
2 財源措置
独立採算性を前提とした上での財政措置として、
設立団体から運営費負担金が交付されます。
(法85条1項)
公営企業型地方独立行政法人の事業の経費のうち、
次に掲げるものは、設立団体が負担するものとする。
1 その性質上当該公営企業型地方独立行政法人
の事業の経営に伴う収入をもって充てることが適当
でない経費
2 当該公営企業型地方独立行政法人の性質上能率
的な経営を行ってもなおその事業の経営に伴う収入
のみをもって充てることが客観的に困難であると認め
られる経費
14
13 地方公営企業と公営企業型地方独立行政法人
地方公営企業
法
財
決
人
格 なし(地方公共団体の一部)
務 独立採算
適用あり
地 方 自 治 法 ・予算単年度主義
の財務 規定
管理者が調製し、長に提出。
算
議会認定が必要。
公営企業型
地方独立行政法人
法人格あり
独立採算
適用なし
・契約や財務運営の面で弾力
的な経営が可能
財務諸表を作成し長に提出
会 計 制 度 企業会計原則
企業会計原則
財 政 措 置 あり(地企法17条の2)
あり(法85条)
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14 地方独立行政法人のメリット・デメリット
(メリット)
①法人運営及び事業執行の弾力性の向上
・地方公共団体の内部組織である場合のような上位組織の意向確認
や関係組織との調整が不要となり、地方独立行政法人独自の意思決
定が可能になる。
・職員の任用や給与等が法令や条例に厳格に定められることがない
ため、地方公共団体の場合に比べて弾力的な人事管理が可能になる。
・弾力的かつ効率的な予算執行が可能になる。
②サービス・質の向上
・評価委員会による業績評価などを通じた業務改善サイクルが確立さ
れる。
(デメリット)
①地方独立行政法人制度への移行に伴うコスト
・準拠する会計基準や各種規程の変更に伴い、新たなシステムの導入
等のコストが発生する。
②業務運営
・評価委員会等の運営コスト等が生じる。
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参
考
地方独立行政法人法及び地方独立行政法人法の施行に伴う
関係法律の整備等に関する法律の公布について(抜粋)
(平成15年7月17日 総務省自治行政局長、自治財政局長及び文部科学省高等
教育局長通知)
もとより、地方独立行政法人の設立は当該地方公共団体の自
主的な判断によるものですが、
行政機能の減量化が強く求められている現状にかんがみれば、
まず、対象となる事務・事業についてその廃止や民間譲渡の可
能性について十分な検討を行うことが必要です。
その上で、公の施設の指定管理者制度の活用等と比較検討し、
地方公共団体が自ら実施するよりも地方独立行政法人を設立し
て行わせる方が効率的・効果的に行政サービスを提供できると
判断される場合に地方独立行政法人制度によることが適当です。
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