販売のためのアウディ

GOLD
金賞
GOLD
Audi 5月フェアDM 「The new Audi A8 debut」
広告主
アウディ ジャパン
制作者
電通イーマーケティングワン
余計な装飾をそぎ落として
“究極の美”へと磨き上げていくクリエイティブ
Audiの最上位クラスでフラッグシップモデルでもある「Audi
A8」が2014年3月にリニューアルデビューし、そのお披露目フェア
が同年5月に開催された。今回のDMはその告知を目的として送付
された。
Audi A8は価格が1000万円を超えるモデル。DMにはそのグ
レードにふさわしい「コミュニケーション」と「ホスピタリティ」が求
められた。同時に、最上位モデルのDMとして、
“究極の美”
を体現
するデザインと、開封率を高めるためのデザインとの両立が必要
であった。
DMの外観は、横長形状の透明なPP素材のスリーブケースの中
に、デビュー告知のコピーと1枚のSDカードが見えるだけ。まるで
SDカードしか入っていないかのような外観は、DMを手に取った人
の興味を喚起し、開封率のアップを目指したものだ。
開封前の見え方については、上質さを感じさせながらも手に馴
染むサイズ感や、スリーブケースの厚みなどにこだわった。また、
DM外観はデビュー告知のコピーとSDカード1枚が見えるだけ。今回DMの送付
ターゲットは年齢層が高めであり、ターゲット層のITリテラシーを考慮して、ストレ
スなく使えるデジタルメディアとしてSDカードが選ばれた。
中に入れる紙の手触り、質感、インクの盛り方や濃度なども、細か
な検証を幾度も重ねて作り上げていった。
スリーブケースの中には、挨拶文、商品紹介、フェア期間の低金
利情報、アクセサリー情報などのリーフレットを入れ、中を開いて
初めてこれらの情報に接することができる構成とした。
SDカードには、Audi A8の走りの魅力を紹介する動画コンテン
ツを収めるとともに、Audi A8特設サイトへのリンクを載せ、サイト
へスムーズに送客できる導線デザインになっている。
通常のDMに比べ高いレスポンス率を達成
「すぐに中を見たい」という顧客の声
DMの発送件数は1万8000通で、そのレスポンス率
（フェアへの来
場率）
は想定していた目標の約3倍を達成。アウディ ジャパンでは基
本的に毎月フェアを実施し、集客にはDMを活用することも多い。今
回のレスポンス率はそうしたDM施策に比べても効果が高かった。
左から、電通イーマーケティングワン 二井内洋一氏、齋藤圭祐氏、
アウディ ジャパン 天野一登氏、電通イーマーケティングワン 小林正秀氏
審査委員講評
「SD
DMを受け取った人からは「すぐに中を見てみたいと思った」
カードが送られてプレミアムな印象を受けた」
「Audi A8に対するア
ウディの自信を感じた」
といった声が寄せられた。
リニューアルされたAudi A8の販売促進にあたっては3種類の
DMを送付した。１つ目は2014年1月に、すでにAudi A8を所有し
ているオーナーを対象に発送したDM。２つ目が、今回金賞を受賞
情報量を徹底的にそぎ落として、質感を際立たせるアプローチが新鮮
でした。SDカードを目立たせるデザインも「映像によって語らせる」コン
セプトをよく伝えています。
椎名昌彦
高級自動車はD Mが最も効果を発揮することができる業種だ。高級感
はデジタルメディアでは表現しにくいし、
「あなただけ」といったパーソ
ナル感もD M独特なもの。映像を見せる仕掛けは多々あるが、映像が
効果を発揮するのは自動車ファンだからこそだろう。
ルディー和子
したDMで、5月のフェア直前に発送した。そして3つ目のDMは、
見込み度がより高い顧客に対して同じくフェア直前に発送した。こ
れら発送時期、対象、内容がそれぞれ異なる3つのDMからなるコ
ミュニケーションでAudi A8の販売促進を最大化させていった。
07
DM GUIDE BOOK 2015
ターゲットに対して従来の外封筒に覆われた作りではなく、クリアな
P P素材を使い内容品のS Dカードが見える仕掛けは、期待感を誘発さ
せた。ウェブのみで解決せず、アナログタッチが良い。
鶴田信夫