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インプットに変化をつける - 社内講師養成コンサルティング

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インプットに変化をつける - 社内講師養成コンサルティング
教育スタッフ
PLAZA
なぜ『飽き』が起きるのか?
4
季節もすっかり秋めいてきたので、今回からは少し
4
4
話題を変えて、参加者を飽き させないためのコント
ロールの仕方を紹介していきたいと思います。
・一方的に講師が話し続け、ただひたすら聞いている
だけ。
・話し方が単調で、抑揚やテンポに変化がない。
・内容も一般論ばかりで聞いていて面白くない。
こんな状況が続いたら、参加者にとって研修は苦痛
でしかありませんし、眠たくつまらなさそうに話を聞
いている参加者を目のあたりにするのは、講師にとっ
ても精神的にツラいものがあります。また参加型研修
であっても、①講師の指示→②グループで話し合い→
③全体で共有、
という一定のパターンが延々と続けば、
参加者はやはり「飽き」を感じてしまいます。
生活リズム、食事、身につけるもの……、何にでも
いえることですが、一般的に人は変化に欠ける状態が
続くと、飽きを感じて興味・関心レベルが下がってし
まいます。研修であれば参加者の意欲や集中力が下が
り、研修効果にも支障を来します。よって講師として
は、参加者を巻き込むための働きかけや工夫、すなわ
Sec.2
参加者を飽きさせない4つのコントロール
第
5 回
インプットに
変化をつける
ラーニング・クリエイト 代表取締役
鈴木英智佳
ち“プチ巻き込み”が必要となります。
では、
研修の進行に変化をつけるプチ巻き込みには、
どのようなものがあるのでしょうか。本連載の2番目
のセクション「参加者を飽きさせない4つのコント
ロール」の初回として、今回はインプットに変化をつ
ける方法を紹介します。
3つの情報源を意識する
たとえば、人のプレゼンを聞く場面をイメージして
みてください。私たちが人の話を聞く際には、3つの
すずき ひでちか
1997 年慶應義塾大学卒。花王株式会社
に て 人 事 部 門 に 在 籍 後、 教 育 研 修 ベ ン
チャーに転職。100 名を超える契約講師
の採用・育成に携わる。2011 年に株式
会社ラーニング・クリエイト設立。
“参加
者の学ぶ意欲を刺激する”教え方を体系
化し、内製化を支援する「社内講師養成
コンサルタント」として活動している。
情報源があります。①表情やジェスチャーといった視
覚情報、②声の大きさやトーンなどの音声情報、③話
の内容そのものから得る概念情報、の3つです。ここ
で は そ れ ら を 簡 略 化 し て、 ① Visual(視 覚)
、②
Vocal(音声)
、③ Story(話の内容)と表現します。
「講師の話に変化がなくて飽きてしまう」状況とは、
この3つの要素のいずれか(あるいはその複合)がマ
ンネリ状態、すなわちワンパターンになっていること
56
企業と人材 2015年12月号
教育スタッフ
PLAZA
図表 インプットに変化をつける3つの切り口
切り口
①
②
③
Visual
(視覚)
Vocal
(音声)
もう1つ、
話し方の工夫としておすすめしたいのが、
「アテンション」表現を使うことす。
対象となるもの
プチ巻き込みの例
使用教材・講師の
立ち振舞いなど
・ホワイトボードを使う
・立ち位置を変える
・お お げ さ な ジ ェ ス
チャーを入れる
こういった伝え方、言い回しを取り入れることで、
声のトーン・大き
さなど
・参加者に読み上げても
らう
・アテンションを取る
・大きめの間を取る(沈
黙する)
・講師の体験談を語る
・他社事例を紹介する
・だじゃれを言う
【Story(話の内容)に変化をつける】
最後の3つ目は、
Story
説明内容・話題
(話の内容) など
「今日一番お伝えしたいことをこれから話します」
「少しややこしいのでよく説明を聞いていてください」
「大事なところなので、もう一度繰り返します」
参加者の注意を喚起して、効果的に情報を伝達するこ
とが可能となります。
です。脳科学者の茂木健一郎さんは、著書『脳を活か
す仕事術』
(PHP 研究所)で、次のように書かれてい
を意味します。ですから、参加者に対して何かしらの
ます。
働きかけをしようと思ったら、意図的にそれぞれの情
「脳は予測できる部分と予測できない部分のバラン
報源に変化をつけていけばよいのです。具体的にどの
スが整った偶有性に満ちたものや、相手が本気でいっ
ようなプチ巻き込みができるのか、1つずつみていき
ていることなどには、興味・関心、注意を向けます」
ましょう(図表)。
教科書どおりの一般論やテキストに沿って淡々と進
「研
1つ目は、【Visual(視覚)に変化をつける】です。
めていくだけの予定調和の講義は、やはり面白みに欠
修中に視覚に変化がない」とは、参加者の視点が固定
けます。研修において「講師の体験談」が求められる
されていることを意味します。典型例は、講師が説明
理由はそこにあります。講師自身の体験談は、まさに
しているパワーポイントのスライドをじーっと眺め続
その人オリジナルのストーリーであり、参加者にとっ
けている状態です。その固定された視点を少し動かし
て「予測不能」であるため、聞く人の興味・関心をぐっ
てあげるだけで、1つのプチ巻き込みとなります。
と引きつけるのです。
参加者のフォーカス(焦点)を少しでもずらしてあ
「自分には特別な体験談がない」という方も、メディ
げられればいいので、たとえばホワイトボードを使っ
アで取り上げられた他社事例や他人の体験談であれ
たり、
テキストを見返してもらったり、
それまでのワー
ば、語ることができるはずです。教えるべきカリキュ
クで貼り出した模造紙に注目してもらう、といった方
ラムに沿って、どのようなストーリーを肉づけできる
法が考えられます。また、講師の立ち位置が固定され
のか。
その場で突然思いつくことではないので、
前もっ
ていることも多いので、意図的に動き回りながら話し
て準備しておくことが必要です。
たり、別の場所に立って注目させることもプチ巻き込
なお、予測不能な話という点では、ちょっとした雑
みとなります。
談やユーモアも効果的なプチ巻き込みとなります。私
2つ目は、【Vocal(音声)に変化をつける】です。プ
は、
「一般社団法人日本だじゃれ活用協会」の代表理
レゼンテーションもそうですが、講義や説明が続く場
事を務めていることもあり、研修中によくだじゃれを
面では、声の抑揚・トーンに変化をつけてあげること
活用します。今回は冒頭に秋(fall)にかけただじゃ
が大切です。特別なトレーニングを受けることなく音
れを1つフォーリ込んでみましたが、いかがでした?
声に変化をつけられる、ごく簡単な方法があります。
*
それは、参加者の声を借りる方法です。たとえば、テ
以上、インプットに変化をつけるためのプチ巻き込
キストの一部を参加者に読み上げてもらうのです。こ
みを紹介しました。今回取り上げたものは、ほんの一
うすると、
参加者は聞き飽きた講師の声から解放され、
例です。Visual、Vocal、Story の切り口から考えてい
講師も水を飲んでひと休み(笑)
。両者にとってハッ
けば、まだまだいろいろな方法があるはずなので、ぜ
ピーな状態をつくることができます。
ひご自身でも考えてみてください。
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企業と人材 2015年12月号
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