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11月号 - 河北総合病院
http://kawakita.or.jp 社会医療法人 河北医療財団 河北総合病院広報誌 ● No.127 ●特集 リニューアルした眼科! 臨床の現場から ▶ 手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん) 11 2013年 月号 ● 特 集 リニューアルした眼科! 新たな医療機器を導入し、 手術室も拡張 眼科外来は 2013 年 3 月 11 日より河北サテライトクリニック 4 階に移転し、新しい医療機器も導入して、リニューアルオー プンしました。新しくなった眼科をご紹介します。 新たなレーザー治療装置で 治療時の痛みを軽減 もうまくれっこう 近年、糖尿病網膜症、網膜裂孔、緑 新たな装置では、3 色のレーザー光 と多彩な照射パターンを病状によって 選択し治療することができます。短時 間での照射が可能になり、導入以来、 内障、網膜中心静脈閉塞症などさまざ レーザー治療時の患者さんの痛みを軽 まな眼疾患で、レーザーが治療に用い 減することにも効果を発揮しています。 られています。今回のリニューアルで、 当眼科では、新たなレーザー治療装置 として、NIDEK 社製のマルチカラー スキャンレーザー光凝固装置「MC500 ViXi 」を導入しました。 IOLマスターの導入で、より正確な 眼内レンズの選択が可能に 白内障手術では、濁ってしまった水 晶体を取り除き、代わりに眼内レンズ を挿入します。手術は本院手術室で顕 微鏡を使用し 2 . 8 mm 以下の小さな切 開で行っています。 当院ではより高い QOV(Quality of Vision =視覚の質)を目指して乱視の 度数入り眼内レンズも採用しています。 眼内レンズの度数は、眼軸(眼球の奥 行き)と角膜の屈折力から計算し、患 者さんに合ったものを選択します。そ マルチカラースキャンレーザー光凝固装置 MC500 ViXi 2 かわぴたる No.127( 2013年11月号 ) のため、眼軸長を正確に測定すること 明るい雰囲気の診察室 広々とした、落ち着いた色合いの外来待合室 はとても重要です。IOL マスターは、 体注射を行っています。 光干渉を利用した非接触型眼軸長測定 装置で、高い測定精度を持ちます。従 新しい外来に移転してから約半年が 来の接触型の超音波眼軸長測定と併用 経ちますが、通院されている患者さん し、より正確に眼軸長を測定すること からは「外来が明るい雰囲気になった」 「駅から近く通院しやすくなった」な ができるようになりました。 どの感想をいただいています。 外来処置室のリニューアル がんけんかすい 白内障、眼瞼下垂、緑内障などの手 外来処置室には、新しい手術用顕微 術は従来どおり、本院手術室で行って 鏡を導入しました。外来処置室では、 いますが、この手術室も今までより広 加齢性黄斑変性 症、黄斑浮腫に対す い手術室に引っ越ししました。 か れい せい おう はん へん せいしょう がん る抗 VEGF 抗体の硝子体内注射、眼 けん けい れ ん るい 入院、手術は河北総合病院本院で、 瞼 痙 攣に対するボトックス注射、涙 外来はリニューアルした河北サテライ 道手術、霰粒腫切開などの治療を行っ トクリニックで、より充実した質の高 ています。 い医療を提供できますよう努力して参 どう さんりゅうしゅ 特に最近増えているのが、加齢性 ります。 黄斑変性症の治療の一つである、抗 VEGF 抗体の硝子体内注射です。蛍光 眼底造影検査(フルオレセイン/イン ドシアニングリーン)と光干渉断層計 (OCT)で精査し、適応があれば硝子 眼科部長 かんの み き こ 菅野 美貴子 かわぴたる No.127( 2013年11月号 ) 3 臨 床 の 現 場 から 手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん) 手のしびれや痛みが続くときは早めに受診を 手根管症候群は、手のしびれと痛 どの薬を使いながらリハビリを行う みを生じる末梢神経障害の代表的な ことで、進行を防ぐことができます。 これらの保存療法で効果がない場 疾患の一つです。 手根管とは、手首の部分にある骨 じんたい と横手根靭帯に囲まれた空間で、指 けん せいちゅう 合は、正中神経を圧迫している横手 根靭帯を切り、神経を剥離する手術 を曲げる腱と正 中神経が通過しま を行います。これは日帰りでもでき す。この手根管内で、何らかの原因 る簡単な手術です。 により正中神経が圧迫されて、痛み 症状が重く、親指と人指し指でつ やしびれを生じるのが手根管症候群 まむ動作ができないなど、日常生活 です。 に支障をきたしている場合は、腱を 正中神経 の範囲 移行して機能を再建するための手術 が必要になります。術後は 3~4 週間、 手をギプス固定することが必要です。 親指から薬指のしびれや夜間の痛 手根管 腱 正中神経 40 歳代~ 50 歳代の女性に多く、 親指から薬指の親指側半分がしびれ る、感覚鈍麻あるいは過敏が起こる などの症状が出ます。また、親指で つまみにくくなり、お箸を持つこと や、字を書くことが不便になります。 みが続く場合は、整形外科の受診を お勧めします。 以下に該当する方は、特に注意が必要です ◦手の使い過ぎ、特に手首を屈曲 位で行う作業や運動を行う方 ◦手首の脱臼や骨折をした方 ◦慢性関節リウマチや長期透析に よる腱鞘滑膜炎を起こした方 け ん しょう ◦妊娠中や更年期の女性 初期であれば、取り外しのできる固 定装具を夜間装着し、消炎鎮痛剤な 4 かわぴたる No.127( 2013年11月号 ) い と う そういちろう 整形外科臨床部長 伊藤 聰一郎 高い知識や技術を備えた“ 専門看護師・認定看護師 ”をご存じですか? 河北で活躍する 専門看護師 認定看護師 - 第 10 回- 感染管理認定看護師 あさ の み な こ 浅野 美奈子 ( 感染防止対策専従 ) 院内での感染症リスクを最小限に 感染管理認定看護師は、医療施設 らゆる場所を感染対策の視点で観察 を利用するあらゆる方々に対して、 し、問題があれば写真を撮り、それ 感染症のリスクを最小限にするため をもとに現場の職員と共に改善策を に活動をしています。 検討しています。また、職員が適 病院には高齢の方や免疫力の低下 切な場面で手洗いを実施しているか、 している方など、さまざまな方がい 手袋を装着しているかなど、直接現 らっしゃいます。そのため、私たち 場で職員へ指導することもあります。 感染対策チームは、感染症が広がら 感染管理認定看護師は、現場での ないよう対策を考えています。 感染防止対策や療養環境のほか、職 具体的な活動は、看護師・医師・ 員に向けて感染防止のための院内研 薬剤師・臨床検査技師などの多職種 修なども行い、知識・技術向上の啓 で感染対策チーム(Infection Con- 発にも努めています。 trol Team)を構成し、院内ラウン これから、空気が乾燥し、インフ ド * を実施しています。施設内のあ ルエンザやノロウイルスによる感染 性胃腸炎などが流行する季節に入り ます。適切な食事、適度な運動、十 分な休息・睡眠を取り、身体の抵抗 力を高め、手洗いやうがいの励行を 習慣づけましょう。私たちも、院内 で感染症が広がらないよう防止対策 ICT(感染対策チーム)による院内ラウンド を強化していきます。 *院内ラウンド:チェックリストなどをもとに病院内を定期的に巡回すること かわぴたる No.127( 2013年11月号 ) 5 当院で実施している検査の内容や受け方のアドバイス、トリビアなど、 現場のスタッフが検査の“あれこれ”をご紹介します。 no. 4 from.小児科 赤ちゃんの検査 編 赤ちゃんの血液型を教えてもらえないのはなぜ? 赤ちゃんの血液型やアレルギーの有無を早く知りたいというお母さんは多 いでしょう。でも、赤ちゃんの血液検査はすぐに行うことはできないのです。 今回は、赤ちゃんの検査に関するさまざまな「 ? 」にお答えします。 Q 赤ちゃんの血液型をすぐに 教えてもらえないのはなぜ? Q 血液型は何歳くらいで 調べられるの? 血液型は、赤血球の表面の抗原(で 特に必要がないけれど知りたい場 こぼこ)と、血 しょう(血液の液体 合には、1 歳 以 降 ( 採 血 量なども けっ 成分)に含まれる抗体を調べて判 A 定します。赤ちゃんは抗原性が低く、 抗体もまだ自分で十分作れないた め、正確な血液型が分からないこ とがあります。そのため、今は生ま れてすぐ検査をしないことが多いの です。 Q 赤ちゃんが熱を出したときに 尿の検査をするのはなぜ? 咳 や 鼻 水 などの 症 状 が な い 場 合、 乳児ではおしっこの感染症(尿路感 染症)の可能性があります。そのた め、尿の白血球が増えているかを検 査で調べます。検査は、陰部にパッ クをはって 調 べることが 多いです が、正確に調べるために尿道に細い 管を入れて尿をとることもあります。 A ●お子さんのアレルギーが心配なときは 考えると 2 ~ 3 歳以降 ) をお勧め しています。血 液検 査は小さなお A 子さんにとって負 担もありますの で、採 血の機会があるときに一緒 に調べるほうがよいでしょう。 ※ 輸血が必要な場合は、検査の上で 行いますので、 “いざ”という時のた めに調べておく必要はありません。 Q 子どものアレルギーを知りた いので、血液検査を受けたい のですが… A 血液検査の目的は診断なので、何 も症状がないときの検査はあまり 意義がありません。6か月未満の 乳児では血液検査では分からない ことも多いため、1 歳近くになって から検査をすることが多いです。 食物アレルギーの診断には血液検査のほか、皮膚テストや経口負荷試験 なども行います。当院小児科外来にお電話でご相談ください。 6 かわぴたる No.127( 2013年11月号 ) やってみ よう! 膝関節のストレッチ くぼた ゆきお 監修:河北リハビリテーション病院 セラピー部 部長 窪田 幸生 今回取り上げるのは膝関節です。膝関節には、体重を支える安定性と、歩 行や走行の際の広い可動域(足を動かせる幅)が必要です。それを可能に するのが、太ももから膝関節にかけての筋肉です。とく に、太ももの後ろ側の半膜様筋・半腱様筋・大腿二頭筋、 半膜様筋 通称ハムストリングスが重要です。ハムストリングスが 大腿二頭筋 固くなると、膝関節痛や腰痛を起こす原因に。今回は、 半腱様筋 ハムストリングスのストレッチを紹介します。 膝関節 ワ ンポ イン ト 左右 10 ~ 15 秒程度、時間をかけながら 2 ~ 3 回行います。呼吸は止め ずに、整えながら行いましょう。痛みが出てしまうのは、やりすぎている 状態です。痛みがない範囲で行ってください。 立位 おまけ ストレッチ ポイント まっすぐ立つ。 片足を 40cm く らいの台やベッ ドの上に乗せる。 壁に向かって まっすぐ立つ。 両手を伸ばして 壁につけ、半歩 後ろに下がる。 バランスを崩さな いよう体を下げて いく。 ストレッチ ポイント あお向け 両膝を伸ばした まま、足先を両 手でつかむ。 ストレッチ ポイント あお向けに寝る。 片膝を曲げ、タオルを両手で 持ち、足の裏を通す。 ゆっくりと膝を伸ばしながら 足を持ち上げる ~ すべての方に有効とは限りません。また、現在、強い痛みがある方は、かかりつけ医にご相談ください ~ かわぴたる No.127( 2013年11月号 ) 7 K A W A K I T A TOP I CS ☆河北医療財団の活動や取り組みなどをお知らせするコーナーです。 第56回 蔦の会 ぜひご参加ください 糖尿病の患者さんとご家族のための勉強会です。 お か だ みつまさ ●日時:2013 年11月 9日(土)15:00~17:00 ● 参加費:500円 ●定員:80名 第2回 小児のための勉強会 就学児童の保護者の方や、児童関係者のための勉強会です。 かつもり ひろし ●内容: 「発達障害とは?~パート2 ~」小児科部長 勝盛 宏 ●日時:2013 年12 月 7日(土)11:00~12:00 ● 参加費:無料 ● 定員:80名 ※お子さま連れでの来場はご遠慮ください。 阿佐ヶ谷駅 ◆ いずれも、会場は細田工務店リボン館(右図参照)の2階で す。病院ではありませんのでご注意ください。 河北総合病院 広報室 ☎ 03 - 3339 - 5724 (月~土 9 : 00 ~17 : 00 祝日除) 第15回 やさしい健康講座 ~介助と福祉用具~ 介護をする方のための勉強会です。実技体験をとおして、からだ の負担を減らす介助方法などを理学療法士がアドバイスします。 ●日時:2013 年11 月 21日(木)15:00~16:00 ●会場:河北総合病院 本院1階 リハビリ訓練室 ● 参加費:無料 青梅街道 みずほ銀行 三井住友 銀行 杉並 区役所 南阿佐ヶ谷駅 丸の内線 お 申 し 込 み・ お 問 い 合 わ せ ☎ 03 - 3339 -2121(代) 健康生活支援室 健康生活支援室の受付時間 月~土 9 : 00 ~16 : 30 祝日除 ありがとう 5 回目を迎えた「around 杉並健康ライフ 」。 おかげさまで 10月6日 (日)に盛会のうちに終了 いたしました。ご来場ありがとうございました。 表紙の言葉 「 Warm Santa Claus 」アヤタクニオ/あと少し。あったかサンタができあがるよ 河北総合病院の『理念と目的』 理 念 ● 社会文化を背景とし 地球環境と調和した よりよい医療への挑戦 目 的 ● 質の高い 恕(おもいやり)のある医療を行う とともに 地域の健康向上に寄与する 「かわぴたる」へのご意見、ご感想をお寄せください 皆さまからのお声を、誌面作りの参考にさせていただきたい と思います。電話、eメール(右縦書き部分参照)で受け付け ています。皆さまからのお声を心よりお待ちしております。 発行責任者:河北 博文 発行:社会医療法人 河北医療財団 河北総合病院 広報室 〒166-8588 東京都杉並区阿佐谷北1-7-3 ☎03-3339-2121 (代) e-mail : [email protected] お申し込み お問い合わせ TSUTAYA 細田工務店 リボン館 中杉通り ◆ いずれも申し込みが必要です。下記までお電話にてお申し込 みください。 JR中央線 南口 年6回発行(1月・3月・5月・7月・9月・11月) ●内容: 「糖尿病治療の大切さ」内科副部長 岡田 光正(糖尿病・内分泌代謝内科) 「転倒予防・めまいを防ぐ運動」理学療法士 「食品交換表について」管理栄養士 No.127 2013.11 河北健康教室