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低品位炭改質技術について
2006 年石炭技術会議 【 講 演 Ⅱ 】 低品位炭改質技術について 大高 康雄 財団法人石炭エネルギーセンター 事業化推進部 担当部長 JCOAL Japan Coal Energy Center 低品位炭改質技術について (財)石炭エネルギーセンター 事業化推進部 大高康雄 低品位炭改質技術について 内 容 低品位炭とは? 低品位炭の資源と利用 低品位炭改質技術の概要 改質技術の商業化 まとめ 講-Ⅱ-1 JCOAL Japan Coal Energy Center 2006 年石炭技術会議 JCOAL Japan Coal Energy Center 低品位炭とは? 低品位炭とは? JCOAL Japan Coal Energy Center 低品質炭(Low Grade Coal) 高灰分炭、高硫黄炭 (石炭利用における不要分、不純物が 多い石炭) 低炭化度炭(Low Rank Coal) 褐炭、亜瀝青炭 (炭化度が低く、高水分な石炭) 講-Ⅱ-2 2006 年石炭技術会議 低品位炭とは? -石炭の分類 F.C. Class/Group Anthracite: Meta-anthracite Anthracite Semianthracite Bituminous: Low volatile Medium volatile High volatile A High volatile B High volatile C Subbituminous: Subbituminous A Subbituminous B Subbituminous C Lignitic: Lignite A Lignite B V.M Gross Calorific Value Moist. MMF Btu/lb MJ/kg DMMF % JCOAL Japan Coal Energy Center Agglomerating Character 98≦ 92≦ <98 86≦ <92 ≦2 2< ≦ 8 8< ≦14 78≦ <86 69≦ <78 <69 ---------- 14< ≦22 22< ≦31 31< ---------- ------14000≦ 13000≦ <14000 11500≦ <13000 10500≦ <11500 ------32.6≦ 30.2≦ <32.6 26.7≦ <30.2 24.4≦ <26.7 agglomerating ---------- ---------- 10500≦ <11500 9500≦ <10500 8300≦ < 9500 24.4≦ <26.7 22.1≦ <24.4 19.3≦ <22.1 nonagglomerating ------- ------- 6300≦ < 8300 < 6300 14.7≦ <19.3 <14.7 nonagglomerating ASTM D388 インドネシアの低品位炭範囲 低品位炭とは? -石炭の構造・特性 物理的構造 化学的構造 講-Ⅱ-3 commonly agglomerating JCOAL Japan Coal Energy Center 2006 年石炭技術会議 低品位炭とは? JCOAL Japan Coal Energy Center 低品位炭(Low Rank Coal) 細孔、表面積が大→保持できる水分量大 (スポンジのような構造) 芳香環少、酸素官能基(COOH,OH等)多 ¾親水性→水分吸着・保持 ¾化学反応性高→自然発火性 低品位炭の内部構造 JCOAL Japan Coal Energy Center 低品位炭の資源と利用 講-Ⅱ-4 2006 年石炭技術会議 JCOAL 石炭埋蔵量と生産量 Japan Coal Energy Center 石炭生産量 可採埋蔵量 9091億トン (WEC 2004) 47.3% (IEA2002) 52.7% 3910Mt 瀝青炭/無煙炭 亜瀝青炭/褐炭 882Mt 低品位炭は全石炭資源の約1/2 生産・利用は高炭化度炭の1/4程度 JCOAL 世界の石炭資原分布 Japan Coal Energy Center ロシア 欧州 カナダ 31% 31% 34% 62% 62% 38% 38% 39% 39% 23% 23% 中国 53% 53% 14% 億 14% t 45% 45% 米国 41% 41% 55% 55% インドネシア 15% 31% 58% 97% 97% 0% インドt その他アジア 48% 48% 南アフリカ 94% 49% 49% 100% 100% コロンビア 66% 27% 27% 58% 褐炭 豪州 亜瀝青炭 講-Ⅱ-5 瀝青炭 88% 88% その他南米 2006 年石炭技術会議 代表的な低品位炭の性状 JCOAL Japan Coal Energy Center Fort Union Rhine Morwell Loy Yang Wara Mulia USA Germany Australia Australia Indonesia Indonesia 水分 (%, ar) 37.2 55.7 60.1 61.0 32.0 35.0 灰分 (%, ar) 6.2 2.1 1.3 0.5 2.0 3.3 Wet Basis(MJ/kg) 17.6 9.5 10.6 11.0 20.1* 20.9* 揮発分 (%, daf) 44.6 53.1 49.4 51.81 36.0 38.0 C (%, daf) 71.9 68.7 69.4 70.4 74.3 73.0 H 4.9 4.7 4.9 5.0 5.6 4.9 O 21.0 25.1 25.1 23.6 19.0 20.9 N 1.1 1.2 0.6 0.6 1.1 1.0 S 1.1 0.3 0.4 0.4 0.1 0.2 総発熱量 * air dry basis 低品位炭の燃料特性 含水分が高い(高水分) JCOAL Japan Coal Energy Center ▲発熱量が低い 含有炭素量が低い(低芳香族炭素) 酸素含有量が多い(高含酸素官能基) 空隙が多い:ポーラス(高内部比表面積) ▲自然発火しやすい 揮発分が多い ○燃焼性が良い 低灰分低S分 ○良好な環境特性 ガス化反応性が高い 低灰融点 講-Ⅱ-6 ○IGCC燃料に適性 2006 年石炭技術会議 JCOAL 低品位炭の利用状況 Japan Coal Energy Center 米国(Texas, N.Dakota, Wyoming他)、カナダ(Saskatchewan) 発電, ガス化(N.Dakota) オーストラリア(Victoria) 発電、ブリケット 欧州(ドイツ、東欧、ギリシャ、スペイン他) 発電、ブリケット等 インド、タイ、トルコ他 主に発電 *低品位炭利用の問題点 自然発火性大→山元発電 高水分・低発熱量→発電効率低;24~37% JCOAL 低品位炭の利用状況 Japan Coal Energy Center ドイツの発電状況 (2005) 天然ガス 10% その他 3% Lignite 29% Renewables 11% Hard Coal 21% 原子力 26% 褐炭発電が全発電量の1/4以上 2040年には33%に増加の見込み エネルギー効率化・CO2削減のため燃焼・発電効率改善 送電端効率(LHV) @32% (1960) → 45.2% (2003) *HHVでは37.7% 講-Ⅱ-7 2006 年石炭技術会議 JCOAL Japan Coal Energy Center 低品位炭改質技術の概要 JCOAL 高カロリー化=脱水 Japan Coal Energy Center 低品位炭は加熱すると瀝青炭同等まで水分は減少するが容易に再吸水する。 全水分 (wt%) 褐炭 亜瀝青炭 50~70 25~45 発熱量(到着基準) (kcal/kg) 2,000~3,000 4,000~5,000 固有水分 (wt%) 15~20 10~15 発熱量(恒湿基準) (kcal/kg) 6,000~6,500 6,500~7,000 脱水/加熱 瀝青炭 7~10 6,000~6,500 2~5 7,300~7,800 低品位炭は比表面積が大きく、親水性の表面官能基が多い。 再吸水させない為には表面改質が必要。 講-Ⅱ-8 2006 年石炭技術会議 低品位炭改質の効果・目的 JCOAL Japan Coal Energy Center 低品位炭のデメリット •低発熱量(高水分) •低発熱量(高水分) •自然発火 •自然発火 改質炭のメリット •豊富な資源 •豊富な資源 •環境調和型性状 •環境調和型性状 低灰分、低硫黄 低灰分、低硫黄 •高い燃焼性 •高い燃焼性 •低価格 •低価格 •ローカルエネルギー •ローカルエネルギー 改質技術 •経済的な脱水 •経済的な脱水 •性状の安定化 •性状の安定化 低品位炭の脱水・改質法 JCOAL Japan Coal Energy Center 機械的脱水法 – プレス、遠心分離器、濾過器 高コスト、自然発火 熱的乾燥法(蒸発法) – 流動層、気流乾燥 蒸発エネルギー大 – スチームチューブドライヤー 油の回収率 – 油中改質 熱的脱水法(非蒸発法) – バッチ式(飽和水蒸気、熱水) 高温高圧 – 連続式反応器(熱水) 講-Ⅱ-9 2006 年石炭技術会議 JCOAL 改質プロセスの条件 飽和水蒸気圧 20 Press. (MPa) Japan Coal Energy Center コスト増加 HWD 液相 15 気相 10 Fleissner Syncoal 5 Encoal K-Fuel UBC 0 0 100 BCB 200 300 400 Temperature 500 600 (oC) HWD(熱水処理:非蒸発法) 8.4 t/dプラント(日本) 1t/d(バイオdry) 条件:300℃、~15MPa 製品:CWM or 粉炭(水分5-6%) 原炭 バイオ Fuel CWM 平均20mm JCOAL Japan Coal Energy Center 310℃ 150bar 改質炭 粉炭 平均0.02mm 平均0.3mm 熱媒油 30℃ 150 bar 80℃ 0 bar 改質炭 CWM 講-Ⅱ-10 2006 年石炭技術会議 K-Fuel(非蒸発法) JCOAL Japan Coal Energy Center 75万t/yプラント(US・Wy) ・2004~2005:建設 ・2005末~:Commissioning、燃焼試験 条件:~450゚F、450psig 製品:水分<10%、 S、N ~30%、Hg 30~80% 除去 BCB(蒸発法) JCOAL Japan Coal Energy Center 20t/hプラント(西豪州) 温度:400~450℃(ガス) 時間:2~4 sec. 製品:水分<10% 講-Ⅱ-11 2006 年石炭技術会議 JCOAL UBC(油中改質:蒸発法) 600t/dプラント(南カリマンタン) ・2006~2008:建設 ・2008~:運転、製品評価 *(3t/dプラント:~2005) 条件:~180℃、<0.4MPa 重質油 原炭 Japan Coal Energy Center 循環油 スラリー調製 石炭/油分離 スラリー脱水 (遠心分離) 凝縮水(廃水) 循環油 循環油 油回収 改質炭(粉状) 成型 改質炭(ブリケット) JCOAL Japan Coal Energy Center 改質技術の商業化 -特にインドネシアについて- 講-Ⅱ-12 2006 年石炭技術会議 JCOAL K-Fuel、BCBの計画 Japan Coal Energy Center K-Fuel (開発社:Evergreen Energy社 旧KFx) インドネシア ・1990年代にPTBAが旧K-Fuelプロセスを検討→経済性の問題で終了。 ・2005年らインドネシアの導入可能性のある炭鉱の調査開始。 米国 ・75万t/年プラントを運転開始。近隣の炭鉱で400万t/年、800万t/年の計画に合意し、基本設 計等を開始。 ・2004年9月にアラスカ州と台湾政府間で、K-Fuelで改質したアラスカ州亜瀝青炭800万t/年の 売買契約を締結。ワイオミングでのプラント状況を見て、アラスカへ建設予定。 (アラスカ亜瀝青炭は日本も以前検討したことがあり、将来の日本への供給候補先の一つ) BCB(開発会社:White Energy社) インドネシア ・2005年6月頃からインドネシア石炭会社(2社)が、サンプル炭での試験を実施。 ・2006年4月に上記1社と商業化F/S実施で合意し、さらに合弁事業等の基本合意書締結。 ・2006年3月、日本商社が100万t/年プラント建設の基本合意書締結。 中国他 ・中国(神華、大唐電力)、南アにも進出中 JCOAL 低品位炭資源と利用 高品位低炭化度炭 Japan Coal Energy Center 低品位低炭化度炭 高灰分・高水分炭: 現地での改質による利用 が想定される低品位炭 低灰分・高水分炭: 改質して海外へ輸出 するビジネスの対象 となる低品位炭 China Low Rank Coal Thailand Mae Moh 講-Ⅱ-13 2006 年石炭技術会議 JCOAL インドネシアと改質事業 -1 インドネシア石炭資源 Japan Coal Energy Center インドネシアの石炭生産計画 57.85 Billion Tonnes 150 Coal Export Anthracite 0.3% Lignite 125 Coal, million ton Bituminous 14.3% 58.7% 100 Open Pit Mining 75 50 UBC Productions 25 Underground Mining 0 2000 Sub Bituminous 26.7% 2005 2010 2015 Years 2020 2025 2030 *インドネシア政府:2010年までに実用化を要望。 (大型実証プラント終了、商業化時期と一致) *2020年には2550万トンの低品位炭改質を期待。 (5000t/dプラント15基以上) インドネシアと改質事業 -2 JCOAL Japan Coal Energy Center 日本 Indonesia 豊富な低品位炭資源:低灰分、低S (環境調和型石炭) 石油資源量低下・価格高騰:石油輸 入開始(2004) 5年程度で露天掘から坑内掘へ 低品位炭有効利用はエネルギー政 策の重要項目 世界最大の石炭輸入国 インドネシアは豪州に次ぐ輸入供給国 灰処理等の問題顕在化 (H15年987万t→数百億円/年の処理コスト) 石炭の需給安定は重要項目 事業効果 ¾インドネシアの膨大な未利用資源である低品位炭の有効利用が可能 ¾日本の低品位炭利用の促進、供給炭種の多様化、石炭安定供給への貢献 ¾低灰分・低Sの改質炭による灰処理、脱硫等の環境対策面の効果 ¾脱水・高発熱量化によるCO2削減 講-Ⅱ-14 2006 年石炭技術会議 JCOAL イ国改質炭と豪州瀝青炭の競争力 Japan Coal Energy Center 日本市場での競争力 UBCと豪州瀝青炭のコスト比較例(日本市場) 60 Cost $/ton 50 Furnace End CIF 40 30 FOB FOB 20 捨て灰費 海上輸送 FOBコスト イ国内輸送 UBC処理費 原料生炭 10 0 UBC・FOB明細 UBC炉尻 豪州瀝青炭 炉尻でのコスト比較 イ国改質炭 は、平均的豪州瀝青炭に比べ競争力がある。 石炭価格低下時にも対応できる改質処理コストが必要。 まとめ JCOAL Japan Coal Energy Center z低品位炭(低炭化度炭)は、高水分・低発熱量、自然 発火性のため利用が限定。しかし、高炭化度炭と同 程度の豊富な資源量、低採炭コスト等から、有効利 用によりエネルギー需給安定化への貢献が可能。 z改質技術は低品位炭の脱水・高発熱量化、自然発 火性抑制を可能で、実用化段階。低処理コスト確立 により現状の一般炭に対抗。 zインドネシアの低品位炭は豊富に存在し、低灰分、 低硫黄の環境的に優れた性質を有しており、改質事 業の適用は日イ両国にとってメリット大。 講-Ⅱ-15 2006 年石炭技術会議 講-Ⅱ-16 2006 年石炭技術会議 おおたか 氏 名 : 大高 やすお 康雄 財団法人 石炭エネルギーセンター 事業化推進部 (最終学歴) 1978年3月 北海道大学大学院工学研究科修士課程応用化学専攻修了 (職 歴) 1978年4月~1999年6月 住友石炭鉱業株式会社入社 石炭液化、コールクリーニング技術等の研究開発業務 1999年7月~現在 財団法人石炭エネルギーセンター 石炭改質技術事業管理、石炭関連技術の調査業務等 講-Ⅱ-17