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シールドトンネルにおける高速施工用セグメントの開発

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シールドトンネルにおける高速施工用セグメントの開発
研究成果
Results of Research Activities
シールドトンネルにおける高速施工用セグメントの開発
<長距離高速化を目指して>
Development of a Rapid Construction Segment for Shield Tunnels
Aiming at a More Rapid Construction for a Longer Distance
(Underground Line Civil Engineering Section, Transmission & Substation
Construction Office)
Recently, in shield tunnel construction in urban areas that have become
increasingly overcrowded, it has been getting difficult to secure vertical
shaft construction sites. To solve this problem, there has been the
increasing necessity of a long-distance, high-speed construction segment
with a lower number of vertical shafts and a shorter construction period. In
the light of these circumstances, we developed a new-type segment that
can meet the requirements of high-speed construction as described below.
(中央送変電建設所 地中線土木課)
近年、シールド工事においては都市部の過密化に伴
い立坑用地の確保が困難となりつつある。このため、
立坑数を削減し工期短縮を図る長距離高速施工の必要
性が高まっている。そこで、高速施工に対応した新型
セグメントを開発したので報告する。
1
2
研究の背景
シールド工事における高速施工の要素としては、以
研究の概要
(1) 高速施工用セグメント構造
下の3つが考えられる。
従来、電力洞道クラスのセグメントでは6分割、ト
(1) シールド掘進の高速化 ンネル軸方向幅1∼1.2mが一般的であるが、高速施工
(2) セグメント組立時間の短縮 用セグメントは従来のものより分割数を減らし、幅を
(3) シールド掘進・セグメント組立の同時施工 拡大している(第1図)
。なお、最大の特徴は、継手面
このうち、最もコストダウンに寄与するという理由
にほぞ形状を有し、リング間・セグメント間を新型継
から、セグメント組立時間の短縮に着目し、高速施工
手(ワンタッチジョイント,シェアコネクター)の採
用セグメントの開発に取り組んだ。
用により、ボルトレス構造としたことである(第2図)
。
なお、目標は「従来のセグメントに対して組立時間
また、内面は平滑で金物の露出がないため、二次覆工
を50%短縮」と設定した。
桁 高
幅
切羽側
4,400mm
シェアコネクター
(セグメント間)
坑口側
200mm
シール材
シール材
100
外 径
ワンタッチジョイント
(リング間)
95
1. 300
1. 300
00
1,3
200
シール材
シェアストリップ
ワンタッチジョイント
トランスミッションストリップ
シェアコネクター
第1図 高速施工用セグメント構造図
技術開発ニュース No.75/1998- 1
第2図 継手概念図
19
200
シェアコネクター
R15
25
100
セグメント間
200
ワンタッチジョイント
継 手
H24
50
リング間
76
1,300mm
76
5(4+K)
38
RCほぞ付
分 割
H24
セグメント
形 式
の省略にも対応可能である。
研究成果
Results of Research Activities
(2) 要素試験およびリング載荷試験 目し、軸力毎に設定するのが妥当と判断した(第5図)
。
各要素試験により高速施工用セグメントの継手及び そこで、変形及び曲げモーメントについて、軸力毎
シール材の安全性を確認した(第1表)
。また、実規模
に設定した回転ばね定数を用いた解析値とリング載荷
のリング載荷試験を実施し、設計手法の妥当性並びに
試験値を比較した(第6図)
。この結果、解析値と試験
現場への適用性について検証した(第2表)
。
値は概ね一致しており、本設計手法の妥当性が確認で
なお、覆工設計においては、セグメント構造がほぞ
きた。
付きであることから、セグメント継手の非線形性及び
また、各試験の結果、高速施工用セグメントは要求
千鳥組みによる添接効果を評価して解析する必要があ
性能を十分満足しており、シールド工事現場への適用
るので「はり−ばねモデル」を適用した(第3図)
。
可能性が確認できた。
3
4
研究の成果
今後の展開
一般に、ほぞ付タイプのセグメント継手の回転ばね
今回の結果を受けて、実工事での適用を計画してい
定数は、レオンハルトのコンクリート継手理論に基づ
る。当面は、平成10年度に桑名地区洞道新設工事のな
き算定している(荷重偏心率に応じて3段階にモデル
かで実証施工を行い、以下の効果を確認する予定であ
化)
。しかし、高速施工用セグメントの継手曲げ試験の
る。
結果、回転ばね定数は理論値よりも小さく、荷重偏心
(1) 新型継手の実用性評価
率に依存しないことが分かった(第4図)
。むしろ今回
(2) 新型セグメントの高速施工性の検証
は、回転ばね定数が導入軸力に比例していることに注
(3) 組立時間の短縮効果及び工事費削減効果の確認
2400
第1表 試験項目 第2表 リング載荷試験ケース
④ 推力試験
⑤ シール材圧縮試験
⑥ シール材長期応力緩和試験
⑦ セグメント組立性能試験
⑧ リング載荷試験
1
2
3
4
5
6
7
3
0
20
50
70
110
0
20
70
許容応力度に達する
まで載荷
1600
計算モデル
1200
971
800
400
破壊に至るまで載荷
0
0
0 .1
0 .2
0 .340
③ セグメント継手曲げ試験
要素試験値(軸力 130.0tf)
理論値
1809
0 .167
② リング継手引張試験
2065
2000
載荷内容
0 .240
地盤反力 導入軸力
ケース
(kgf/cm3)(tf/Ring)
回転ばね定数 KΘ
(t f・m/rad)
① リング継手せん断試験
0 .3
0 .4
0 .5
0 .6
荷重偏心率 m
セグメント継手
千鳥組(添接効果)
第4図 荷重偏心率−回転ばね定数の関係
セグメント
1000
要素試験値
平均値
近似式(平均値)
900
回転ばね定数 KΘ (t f・m/rad)
800
リング継手
一次覆工
y = 5.3037x
700
600
500
400
300
200
リング継手せん断ばね
100
セグメント継手回転ばね
0
0
20
40
60
80
100
120
140
160
軸力N(t f)
第5図 軸カー回転ばね定数の関係
ケース3(軸力 70tf/Ring, 荷重 20tf/Ring)
270°
地盤反力ばね
第3図 はりーばねモデル
技術開発ニュース No.75/1998- 1
10
5
0
−5
−10
−15
−20
−25
−30
−35
−40
−45
−50
要素試験ばね解析値
リング載荷試験値
0°
90° 270°
10
5
0
−5
−10
−15
−20
−25
−30
−35
−40
−45
−50
0°
180°
180°
変 形 図(mm)
曲げモーメント図(tf・m)
90°
第6図 比較解析
20
●執筆者/松井伴和
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