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機械学習による動画のリアルタイム異常検出

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機械学習による動画のリアルタイム異常検出
情報処理学会第 77 回全国大会
6Q-01
機械学習による動画のリアルタイム異常検出
黒木陵平
大嶺漢
荻野正
沖縄工業高等専門学校
1.
る.各移動体に関係する複数のフローベクトル
をそれぞれ平均化し,一つの移動体に対して一
監視カメラの普及が急速に進んでいる現代に
つずつの移動ベクトルを得る.さらにラベリン
おいて,監視員の増員によるコストの増加や監
グによって得られた範囲の重心位置を位置ベク
視業務の負担の増加などの問題点が発生してい
トルとする.
る.また,既存の監視カメラシステムでは録画
こうして得た 4 つのベクトル(位置 x,位置 y,
が主となっており,監視カメラが本来持つリア
移動
dx,移動 dy)を機械学習フレームワーク
ルタイム性を生かし切れたシステムとなってい
Jubatus[5]の LOF (Local Outlier Filter) アルゴリズ
ない.そこで本稿では監視カメラの監視員業務
の負担軽減・自動化のため,機械学習を用いて, ムを用いた外れ値検出機能によって学習する.
Jubatus には学習・異常値計算を行う Add メソッ
リアルタイムで異常状態の検出を行うシステム
ドと異常値計算のみを行う Calc メソッドがある.
の構築を目指す.具体的には SIFT,SURF より
も高速である ORB 特徴の追跡によるフローベク
トルの抽出とラベリングを組み合わせ,機械学
習フレームワークである Jubatus の LOF (Local
Outlier Filter)を用いて学習することにより,異常
状態の検出を可能にする.
動画中の異常検出手法としては南里らによる
CHLAC 特徴を用いるものが代表的である[1].ま
た,それに関して LOF を用いた最適化手法が小
川らにより提案されている[2].村井らは動的背
景モデリング,重み付き時空間勾配等により動
的背景における異常検出を行っている[3].田島
らはフローベクトルに One-Class SVM を用いて
Figure 1. Detection FlowVector
異常値検出を行っている[4].本研究はフローベ
クトルと LOF の組み合わせによる異常値の検出
3. 実験
を目的としており,既存研究とは実現方法が異
複数の人物が,左右双方向に歩行を行う動画
なる.
において正常行動のみの動画と異常行動(人物
の転倒)を含む動画を用意し,正常動画の学習
2. 原理
後に異常行動が検出可能か検証を行った.実験
本システムでの動画の特徴量の抽出及び機械
の結果,転倒が発生する 600 フレーム付近で大き
学習による異常の検出の原理について説明する. な異常値が発生し,それ以外の点では大きな異
まず,動画の連続した 2 フレームより ORB 特徴
常値が検出されなかった.この実験により,本
を用いてそれぞれ特徴点を抽出し,各点におい
システムによる正常状態の学習から,異常状態
てその特徴量を計算する.2 フレームにおいて特
を検出可能であることが示された.
徴量が一致した点同士をつなぎ,各特徴点にお
また,フローベクトルを学習した個数に対す
けるフローベクトルを得る.並行して現在のフ
る Add,Calc メソッドそれぞれの処理時間を計
レームからの前景抽出を行い,ラベリングを施
測した.結果を Figure 3,Figure 4 に示す.
す.これにより各移動体の位置と範囲を検出す
はじめに
Realtime anomaly detection using M achine Learning
Ryohei Kuroki Kan Omine Tadashi Ogino
Okinawa National College of Technology
2-231
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All Rights Reserved.
情報処理学会第 77 回全国大会
16000
14000
Calc[us]
12000
6000
2000
0
20
anomaly score
8000
4000
25
0
300
600
900 1200 1500 1800
Number of Training Data
15
Figure 4. Calc Process Time
10
4.
5
0
0
300
600
900
1200
frame number
Figure 2. Anomaly score
通常のカメラの性能である 30FPS を満たすた
めには最悪でも約 30ms 以内に処理が完了するこ
とが望まれる.今回のシステムでは常に Add メ
ソッドを使用しているため,異常検出が行われ
た 600 フレーム付近(学習データ数は 900 程度)
において約 60ms を必要としており,処理性能を
満たしていない.現実的にはある程度学習した
時点で Calc メソッドのみを行うように切り替え,
そのスコアが高い場合に人間に対して正常,異
常の判断を促し,正常な場合のみ Add メソッド
を使用すると言った使用法が考えられる.Calc
メソッドは同じ学習データ数 900 程度の状態にお
いて,遅くとも 10ms 以内には処理が完了してい
るため,本システムにおいて十分な処理性能を
持つと考えられる.
Add[us]
10000
200000
180000
160000
140000
120000
100000
80000
60000
40000
20000
0
0
300
600
まとめ
特徴点の追跡とラベリングを組み合わせるこ
とによってフローベクトルを抽出し,それを用
いることによって正常状態の学習による異常状
態の検出を行うことが出来た.
また,処理速度の計測を行ったことによって,
効率的に Calc メソッドを使用すれば,リアルタ
イムな異常検出も可能であることが示された.
今後はどの程度の学習により十分な異常検出
性能が 得ら れる か検 証し ,そ の結 果に応 じて
Calc メソッドを使用することで,より実用的な
異常検知システムの構築を目指す.
参考文献
[1]南里卓也,大津展之: 複数人動画像からの異常動
作検出, CVIM, Vol.2004, No. 91, pp.173–186 (2004).
[2] 小川宏高, 中田秀基, 工藤知宏: 多数の動画像を
対象とするリアルタイム異常値検出の検討, HPC,
Vol.2013, No.15, pp.1-6(2013).
[3]村井泰裕,藤吉弘亘,数井誠人: 時空間特徴に基
づくエスカレータシーンにおける人の異常行動
検知, 信学技報 PRMU, Vol.2008, No.82, pp.247–
254 (2008).
[4]田島和博,石川一樹,福光龍之介,関弘和: 画像フ
ロー情報の 1 クラス SVM に基づく独居高齢者非
日常行動検出システム, 電気学会研究会資料, 次
世代産業システム研究会, Vol.2013, No.2, pp.15-18
(2013).
[5] PFI and NTT: Jubatus : Distributed Online
Machine Learning Framework, http://jubat.us/
900 1200 1500 1800
Number of Training Data
Figure 3. Add Process Time
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