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投稿ログ - 新エネルギー・産業技術総合開発機構

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投稿ログ - 新エネルギー・産業技術総合開発機構
投 稿 ログ
2005 年 8 月 17 日 12:00 現在
<植物利用高付加価値物質製造基盤技術開発>
投稿No.11
2005/08/17 (水) 9:38
植物を用いた医療用タンパク質生産に関する研究に注目している立場からコメントさせて頂きます。
遺伝子組換え植物はこれまで、主として健康への影響と環境への影響の2つが懸念されてきた。今年
WHOは、現在までに各国で厳密に審査されて、国際市場で流通している組換え作物は、人体の健康
に大きな危険を及ぼすとは考えにくい、と判断した。環境への影響は、細心の注意が必要である。平成
17年7月産総研が発表した「医薬製剤原料生産のための密閉型組換え植物工場の開発」では環境に
配慮したシステムである。組換え植物を利用した「完全密閉型植物工場システム」を開発し、医療用タ
ンパク質等の実証生産を行うとした。世界に先駆けて実用化できることを期待する。これ以外に、植物
体を用いるのではなく、植物培養細胞を用いることも可能である。この方法は、生産条件を完全にコン
トロールでき、また分泌生産も可能となりダウンストリームも迅速かつ低コスト化が期待できる。翻訳後
修飾の問題は注意が必要である。種々の技術が報告されているが、やはり植物の翻訳後修飾システ
ムをきちんと理解する基礎研究が不十分と考える。糖鎖修飾の問題では、未だ植物型糖鎖はアレルギ
ー性があるのか?どうかについて結論が得られていない。また、生産された糖タンパク質にはどのよう
な糖鎖が、どの部位に付加しているのか、今後解析していく必要があると思われる。動物型化への変
換も、インビボでできる工程、インビトロでできる工程などを組み上げていけば可能になると思われる。
欧米に大きく遅れている植物による医療タンパク質生産であるが、この分野に興味を持ち、個々の技
術を持った産官学の研究者を結集したオールジャパンでキャッチアップが可能である。
投稿No.10
2005/08/17 (水) 0:35
動物細胞培養系に比して植物による物質生産系にて到達すべき課題は、まさに投稿No.1に集約頂い
た通りであるものと思います。中でも、植物生産系における糖鎖修飾や一定量以上の分泌生産に関わ
る技術開発は重要であると考えています。物質生産系や生産対象によっても異なりますが、これらの
点は動物細胞系、あるいは、微生物発現系等においても常に課題として存在する事から、植物生産系
での技術開発が可能となればその低コスト、省エネルギーというメリットと合わせ魅力的な物質生産シ
ステムとなるものと期待されます。
また、本プロジェクトでは閉鎖系での植物栽培システムという、組換え植物の拡散防止や非組換え体と
の分離という、組換え植物生産系において避けては通れない技術開発課題がキーテクノロジーとして
挙げられており、この点からも早急な取り組みが望まれます。
投稿No.9
2005/08/16 (火) 20:09
植物で医薬品等の付加価値の高いタンパク質を生産するいわゆるモレキュラー・ファーミングは、数年
欧米で研究が盛んで、実用化に近いものもあります。しかし、我が国では、概念自体が学界、産業界に
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投 稿 ログ
も必ずしも浸透しておらず、産業技術の進歩という点から憂慮しておりましたので、このようなプロジェ
クトが立ち上がることは喜ばしいことと考えております。また、抗体医薬などは製造能力(供給)が需要
に追いつかないことが予想されるため、実用化されれば産業的に大きな意味があると考えます。
ただ、GM 植物の開発に積極的な米国でさえも、この種の GM 植物の開発にこのところ慎重になってい
ます。特に食用作物を用いる場合、フードチェインへの混入がバイオハザードを起こす危険性を懸念し
て、食用作物での生産には消極的になりつつあります。その意味では、世界的潮流を考えて、本プロ
ジェクトでは非食用作物あるいは培養細胞を宿主と用いることも念頭におくことが望ましいと考えます。
培養細胞を用いた分泌生産系は、精製コストが安いという利点がありますし、環境への遺伝子流出の
危険性が無いことから、現状の日本では実用化に最も近いシステムと考えられます。また、分泌量や
細胞の増殖速度など次第では、閉鎖系での植物栽培システム比べ、コスト的にも優位に立てる可能性
もあります。さらに、我が国は二次代謝産物などを目的とした細胞培養のハード、ソフト面の技術が世
界的に優れており、我が国が優位に立てる可能性を秘めています。植物の大規模な細胞培養設備を
保有している企業も複数あり、このような既存設備の有効利用が可能であることからコスト的な利点も
あります。
この場合、問題となるのは、上述のように増殖速度を含めた培養細胞の分泌生産能力の向上です。投
稿 No.1 で具体的な数字が挙げられていますが、このような生産性を達成できるような遺伝子発現、分
泌生産、細胞培養系の構築が求められる技術であると考えられます。また、プロジェクトの概要にもあ
りますが、生産性に加えて糖鎖構造の改変は全ての場合に必須な技術と考えられます。この2つの技
術がクリアできれば、技術的には実用化の道が開けると考えられます。また、最近では植物培養細胞
の凍結保存が進歩し、100%近い確率で、細胞株の凍結保存維持が可能となっています。また、米国
等では国土が広いことなどから植物培養細胞による生産系はあまり重視されておらず、知的所有権の
点でも培養細胞系には利点があります。
以上の理由にから、培養細胞を用いた生産技術の開発も本プロジェクトで考慮していただきたいと考え
る次第です。
投稿No.8
2005/08/16 (火) 17:46
本プロジェクトは遺伝子組み換え植物に対する世論の逆風に配慮しつつ実用化を可能とする非常に
重要なプロジェクトであると思います。是非、実現させていただきたいと思います。そのために必要なキ
ーポイントの一つは、物質生産に必要な有用物質の組み換え植物中での高発現であり、そのために
植物ウイルスベクターの利用を検討するのは非常に有用と思われます。ウイルスは感染細胞内で増
殖が盛んな時期には合成RNAの50%をウイルスのゲノムRNAが占める例もあり、最適な条件を検討す
ることにより、通常の遺伝子組み換え植物に比べるとはるかに高いレベルでウイルスベクターに組み
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投 稿 ログ
込んだ外来遺伝子を発現することが可能であると思われます。また、植物ウイルベクターを用いる利点
の一つは、有用物質を植物に発現するためには、外来遺伝子を組み込んだウイルスを感染させれば
よく、遺伝子組み換え技術の確立していない植物を利用することが可能だということです。この他、一
つのウイルスベクターに複数の外来遺伝子を導入することが可能であり、また、複数のウイルスベクタ
ーを用いることで、容易に複数遺伝子を同一細胞内で発現することが可能と思われます。これにより複
合体で機能する有用物質の生産も可能になります。我々もこのプロジェクトに適したウイルスベクター
を有しており、本プロジェクトが遂行される場合には是非一員として、プロジェクト研究の発展の一助に
なれば幸いです。
投稿No.7
2005/08/16 (火) 10:47
遺伝子導入技術および環境制御技術の研究は,個々に行われ,互いの成果が相互にフィードバック
することは少なかったように思われます.植物側のみの改良だけでなく,その植物を栽培する環境側も
改良するという本プロジェクトは,遺伝子導入および環境制御という異分野の技術の融合であり,大学
単体や企業単体では実現困難でしょう.それが可能な体制で本プロジェクトが実施され,環境制御によ
る組換え植物の栽培技術が確立されることは,他の遺伝子組み換え植物研究にとっても有益であると
考えます.
投稿No.6
2005/08/15 (月) 10:26
私の専門は、三つの研究開発課題のうち、①高付加価値物質生産のための組換え植物作成技術に
近いので、①に対するコメントを書かせていただきます。
この種の研究は、今後ますます重要度を増し、世界的に活発化すると思われますので、我が国が優位
な位置を占めるために、多角的な観点から研究を推進する必要があると考えます。特に、以下の4点
が重要と考えます。
①生産の場:植物体での生産の場として、種子、葉、茎、根などが考えられます。何を生産するのかに
よって、適した場が異なると思います。高発現が得られるということから、葉緑体での生産が注目され
ている感がありますが、タンパク質の生産という観点からは種子を第一に考えるべきと考えます。種子
が、器官の中で最もタンパク質含量が高いので、目的タンパク質を集積する能力は最も高いと考えら
れます。また、貯蔵タンパク質を多く(種子タンパク質の約70%)含んでいますので、その発現を
抑えることによって、目的タンパク質の高集積を成し遂げることができます。しかも、種子は乾燥状態で
はきわめて安定ですので、室温で貯蔵、輸送できるという大きな利点があります。このような種子にお
ける高集積を達成するためには、種子細胞における貯蔵タンパク質の集積機構も解明する必要があり
ます。
②植物種:タンパク質をターゲットとするなら、種子におけるタンパク質含量の高い植物種を選ぶのが
好ましいと考えます。豆類は穀類に比べて数倍のタンパク質を含有しています。また、油糧種子ならば
製油後の残滓を利用できるという利点もあります。
③有用物質種:タンパク質だけでなく、ペプチドもターゲットとするのが好ましいと考えます。修飾を受け
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投 稿 ログ
ていない単純ペプチドに薬理作用を示すものがあります。そのようなものの場合、糖鎖修飾などの問
題なく、生産をすることができます。しかし、短いペプチドは生産が困難なので、生産法の確立がポイン
トとなります。その一つとして、種子に多く含まれている貯蔵タンパク質をキャリアーとして利用する方
法があると思います。
④プロモーター種:どの器官で発現させるにしても、活性の強いものを選別する研究が必要です。
以上のような、基礎的な面からの研究も進めることによって、開発課題の遂行が可能となると考えます。
このためには、産官学の研究グループが連携し、研究体制を構築して課題に取り組むことが重要と考
えます。
投稿No.5
2005/08/15 (月) 9:13
閉鎖型植物生産システムの開発に関わる企業からコメントさせていただきます。
閉鎖型人工環境下において、省エネルギー、低環境負荷で、植物生産に最適な光、温度、湿度、水分、
炭酸ガス濃度等を調節する技術が、すでにいくつかの園芸作物や苗の生産において確立、実用化さ
れています。また閉鎖型人工環境下では、外界の気象条件に左右されずつねに一定品質で一定量の
植物生産を迅速に実現することが可能となっています。
このような既存の技術を組換え植物生産に適用した場合、生物多様性への影響の管理が容易である
ことはもちろんのこと、目的とする物質生産効率を高めるための各種技術開発も個々の環境要素の調
節によって今後発展がなされるものと期待されます。
農業、園芸分野で開発された技術が医薬品生産に応用されることに、私どもは多大な関心と期待を持
っております。
投稿No.4
2005/08/15 (月) 8:43
・生育期間の短縮・多収性・低エネルギー育成可能等閉鎖型人工環境下での育成に適した基盤植物
作成技術
現在、日本では遺伝子組換え植物の開放形での栽培は難しい状況である。しかし、今後、医薬品な
どヒトの健康に関連する物質を生産する遺伝子組換え植物は、消費者の利益になるとして社会的に受
け入れられる可能性が高いと考えられる。医療品等の生産に関わる遺伝子組換え植物については、
非遺伝子組換え植物との完全な分離が求められており、それらの要求に応えるためには、完全な閉鎖
型の人口環境下での育成が必須である。このようなことから、早急に研究に取り組む必要がある。
・植物の糖鎖修飾を改変する技術
医療用原材料や哺乳類由来の物質は、活性発現のために糖鎖による修飾が必須な場合が多い。し
かし、植物中でそれら物質を生産させ場合には糖鎖の修飾がむずかしく、植物を利用しての有用物質
生産の大きな問題となっている。したがって、これら問題の解決は今後の植物工場の発展には避ける
ことのできない克服すべき最重要問題の一つであり、技術の確立が必要である。
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投 稿 ログ
・ 植物ウイルスベクター
遺伝子組換え植物の作成は主にアグロバクテリアが用いられている。しかし、遺伝子の導入効率は植
物ウイルスベクターを最も高く、その有効利用が可能となれば、遺伝子組換え植物の実用化を加速化
できる事は明らかである。また、ウイルスの拡散に関しては、上記完全閉鎖型人工環境下で育成させ
ることにより、回避できることは明らかである。さらに導入遺伝子の発現量を上げることにより目的タン
パク質の生産量の増大が見込まれる。
上記3点の研究を進め、目的技術の基盤を確立し、相互の有効利用により、植物を用いた高機能タ
ンパク質などヒトに有用な物質生産が大いに期待できると思われる。
投稿No.3
2005/08/13 (土) 19:45
アメリカにLarge Scale Biology(LSB)という会社があり,植物ウイルスを使用して物質生産を行っている.
10年以上も前にベンチャーとしてスタートし,このウイルスベクターの技術をコアとして今日まで生き残
り,研究員150人を抱える会社にまで成長している.LSBがこれまで植物ウイルスで作った医療用タン
パク質の中には,既にFDAの認可までとり,商品として市場にでているものまである(例えば,ファブリ
ー病治療の酵素など).私は植物ウイルスの専門家として,この技術がどうして日本で真剣に検討され
ないのか長年憂えてきた.仮に,GM植物の系と比べてみても,GM植物に医療用タンパク質を作らせて,
それが,商売になっているものが世界にあるだろうか.畑で医療用タンパク質を作ることを考えるとウイ
ルスベクターはコスト面では優等生である.しかも,植物ウイルスの増殖能は極めて高いため,生産量
も必要量見込めるであろう.アメリカと違って日本での最大の課題は,ウイルスベクターを屋外で使用
できるかどうかの議論になることである.ならば,周辺に拡散しない新規ウイルスベクターを創造する
など,LSBとは異なる日本独自のものをぜひ開発してもらいたい.少なくても,欧米に遅れをとる前に,
技術だけは確立しておくべきである.本プロジェクトに植物ウイルスが検討されることに期待する一人
である.
投稿No.2
2005/08/12 (金) 7:19
投稿No.1でもご指摘がありましたが、植物体だけでなく植物細胞培養による生産も計画に含めた方
がよいと考えます。韓国では5年間の政府援助を受けた研究グループがイネ細胞培養による医療用タ
ンパク質の生産について精力的な研究を行いました。その結果、例えば9日間の培養でヒトGM-CSFを
500 mg/L程度分泌させることが可能であることを示しています。また、糖鎖構造の改変は酵素反応を
利用したインビトロでの修飾が有望視されています。一連の生産プロセスの中で培養・組換えタンパク
質の精製・酵素反応による糖鎖構造の改変を行うことが可能である点も細胞培養法の魅力となります。
植物細胞培養法は投稿No.1で示された条件をクリアできる可能性をもち、以前二次代謝産物の生産で
工業規模の細胞培養を行った技術的蓄積もあります。植物細胞培養法を用いて、短期間に発現系の
開発と発現されたタンパク質の機能評価を行い、優れた評価を得たものについて植物体を用いた方法
での生産に移行するというシナリオが最も実現の可能性が高いと思います。目的とするタンパク質の
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投 稿 ログ
性質、用途、生産規模によっては細胞培養法単独でも対応が可能となるでしょう。細胞培養と植物体
の持つ特徴を活用できるようなプロジェクトにすることが短期間に目的を達成するためには重要と考え
ております。
投稿No.1
2005/08/10 (水) 9:58
動物細胞による高機能蛋白質生産の専門家の立場からご意見申し上げます。
植物由来の医薬品生産が動物細胞を置き換えて産業化されるには、重要な順番に
(1)生産物精製も含めたコスト計算において細胞培養より優位であること
(2)細胞培養で達成されているg/Lレベルの分泌生産が確実になること
(3)生産されたg/Lレベルの糖蛋白質の80%以上に糖鎖が正しく付くこと(動物細胞と同レベル程度)
(4)実用化の目処となるfirst 1gが少なくとも20week程度で出てくること
(細胞培養のチャンピオンデータは10week程度)
が満たされる必要があると思います。この観点から見ると、本プロジェクトの生育期間の短縮、さらに人
工環境制御下での培養技術(植物体にこだわらなくても良いような気もします)が大いに貢献すること
が間違いないと思います。
大変期待しています。
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