...

当日配布資料(2.13MB) - 新技術説明会

by user

on
Category: Documents
16

views

Report

Comments

Transcript

当日配布資料(2.13MB) - 新技術説明会
平成21年度 新技術説明会資料
平成22年1月29日(金) 市ヶ谷
FIR遺伝子のスプライシングを指標にした
新規抗癌剤のスクリーニング法
Novel anti-cancer drug screening by detecting FIR gene splicing
千葉大学大学院医学研究院 分子病態解析学
千葉大学医学部附属病院 検査部・遺伝子診療部
同
疾患プロテオミクスセンター
講師
松下一之
E-mail: [email protected]
1
本新技術開発の背景
新薬候補化合物(いわゆるリード化合物)には、予期しない効
果(効能)を発揮するものが臨床応用されることがあります。例え
ば、睡眠薬として開発されたサリドマイドが現在では、ハ
ハンセン病
の皮膚症状の改善や多発性骨髄腫を始めとする癌の治療薬とし
て使用されている。またビタミンAの活性代謝物(レチノイン酸)が
急性前骨髄球性白血病の治療薬となり、当初降
降圧薬として開発
中だったバイアグラが、現在ではED治療薬として世界中で使用
されています。
当初期待された効果とは別の予想外の効
これらはいずれも、当
能や効果です。このように、抗癌剤以外の目的で開発されている
リード化合物の中にも、抗癌剤としての機能を有するものが隠さ
れていると考えられます。
本研究では、このようなリード化合物の抗癌剤としての機能を
調べる簡便なスクリーニング法を開発することを目指します。
2
新技術の概要
自然界に存在する多くの化合物の中には、
抗癌剤活性を有するものが存在します。
本研究は、癌の原因となるc-myc遺伝子
を抑制するFIR遺伝子のスプライシングに
着目して、新規の簡便な抗癌剤のスク
リーニング法を開発しました。
3
FIRはTFIIHを介してc-mycの転写を抑制する
FIR:542個のアミノ酸から成る
60kDaのc-myc転写抑制因子である。
Far Upstream Element
FUSE
FUSE-Binding Protein;
Strong Transcriptional Activator
FBP
FBP Interacting Repressor
FIR
TFIIH
転写抑制
c-myc
Pol II
基本転写因子
Liu et al, Cell 2000
4
FIRは予想に反して癌組織で高発現していた
A
Dukes
stages
B
1
Case no.
T
A
5
N T
C
112
N T
D
117
N T
B
118
N T
B
35
N T
D
17
N
T
D
23
N
T
C
28
N
T
C
29
N T
N
FIR protein
E-actin
Relative FIR
protein level
(T/N)
Case no.
B
13.2
1.0
9.0
11.5
1
5
112
117
T
N
T
N
T
N T
10.1
2.4
118
N T
6.7
35
N
T
6.0
1.9
1.1
23
28
29
17
N
T
N T
N
T
N
T
N
FIR mRNA
* p<0.0056 (t-test)
10
0
D
*
20
T
N
Y: FIR (T/N)
C
FIR mRNA level
(FIR/GAPDH x 1,000)
GAPDH
10
8
6
Y=0.72+0.22X
p=0.00019
r=0.7
4
2
0
5
10
15
20
25
30
X: c-myc (T/N)
5
Cancer Res 2006
6
がん組織ではFIR'exon2がFIRの働きを阻害しc-mycが高発現する
FUSE
FIR
FBP
FIR'exon2
TFIIH
Pol II
癌化?
c-myc
FUSE
FBP
正常細胞; アポトーシス
FIR
Pol II
TFIIH
c-myc
Matsushita K. et al
Cancer Res 2006
7
臨床で使用されている分子標的薬(抗癌剤)
これら分子標的薬のレスポンダー(良く効く患者)の選択や
副作用予測、治療効果判定のバイオマーカーを同定する
8
抗癌剤以外で開発されたリード化合物を抗がん剤として再評価する
理化学研究所HPより
9
抗癌剤リード化合物(新薬候補)の標的分子・メカニズム
スプライシング阻害剤
10
多くのリード化合物の中からどのように抗癌活性をしらべるか?
FIR遺伝子はがん細胞でスプライシングしている
FIR遺伝子のスプライシング因子は同定ずみ
FIR遺伝子のスプライシング阻害剤は抗癌活性あり
リード化合物の中から、FIR遺伝子のスプライシングを
阻害する化合物をスクリーニングすれば、抗癌活剤
として新たに開発できるのではないか?
11
別々の研究室が独立して2種類の天然物由来の抗腫瘍活性物質の標的を特定
した。その結果偶然それらが同一のスプライソソーム構成因子、SF3b複合体であ
ることが明らかとなった。SF3b複合体がにわかに抗癌剤の創薬標的として注目され
その機能解明への期待が高まっている。
理化学研究所
Sep, 2007 Nature Chemical Biology
スプライソスタチンA
プラジェノライド
エーザイ株式会社
12
FIR
FIR
アロステリック阻害?
SSA
FIR
Corsini et al, JBC 2009
13
SF3b complex-PUF60/FIR relationship in antitumor effect
(c-myc
-myc
y ↑?)
?)
c-myc↓
G1 arrest
Spliceostatin A
1
Pladienolide
2
PUF60
(FIR)
PUF60
FIR?
(FIR) (PUF60)
14
新技術の特徴
化合物バンクを用いた抗癌剤のスクリーニング
癌化のメカニズム→バイオマーカーの開発
新規抗がん剤(分子標的薬の開発)
想定される用途
抗癌剤
スプライシング阻害剤
バイオマーカー(腫瘍マーカー)
15
新技術の特徴・従来技術との比較
抗癌剤のスクリーニングでは、単に癌細胞が死
滅することを確認するだけでなく、その作用機
序が明らかにならないと、臨床応用は困難です。
我々の技術は、作用メカニズムから、簡便な抗
癌剤のスクリーニングを意図したものです。
16
従来技術とその問題点
疾患の診断に有用な、血中にわずかに存在す
るスプライシングバリアントを検出する商業化さ
れた方法はない。
検出感度が低い
コストが高い
検出までに要する時間がかかる
等の問題があり、広く利用されるまでには至っ
ていない。
17
FIR関連特許
18
本研究に関連する特許
韓国特許は成立
中国は成立見込み
日本、米国、欧州は
審査請求中
分子病態解析学データクラブ
19
想定される業界
• 想定されるユーザー
がんの治療を希望する国民。
抗癌剤メカニズムの開発に従事する研究者。
がん診断薬を開発している企業。
• 想定される市場規模
平成16年度の国民医療費は約32兆円。
そのうち薬剤費は3分の1の10兆円
→抗がん剤は3兆円の市場規模
20
実用化に向けた課題
• 化合物バンクの共同利用。
• FIR以外の癌に関係する遺伝子のスプライシ
ングメカニズムの解明。
• 実用化に向けて、コストを低減できるよう技術
を確立する必要もあり。
21
参考
22
2010年前後に特許切れになる主な医薬品
2008年
プログラフ(アステラス製薬) 免疫抑制剤
開発費のかからないジョネリック医薬品
2009年
タケプロン(武田薬品) ※ 消化性潰瘍
ハルナール(アステラス製薬) ※前立腺肥大症
2010年
クラビット(第一三共) 抗生物質
アリセプト(エーザイ) アルツハイマー
2011年
アクトス(武田薬品) 糖尿病
2012年
ブロプレス(武田薬品) 高血圧
新しい医薬品開発
2013年
パリエット(エーザイ) 消化性潰瘍
23
お問い合わせ先
科学技術振興機構(JST)
産学連携展開部 産学連携担当
内野裕雄 E-mail :[email protected]
田中史祥 E-mail :[email protected]
浅野英之 E-mail :[email protected]
電話 03-5214-7519
FAX 03-5214-8454
産学連携展開部 技術移転プランナー
谷村 修也 E-mail :[email protected]
電話:03-5214-7054
FAX:03-5214-7064
24
Fly UP